ゲームブックリプレイ・ブラッドソード4

2016年11月15日 (火)

ブラッドソードリプレイ4-12 死者の国から還れ!

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:7 戦闘力:7(+3) 打撃力:サイコロ4個+2 精神力:7 機敏度:8 生命力:43
装備:ブラッド・ソード ロジ・スカイランナーの剣 チェインメイル(鎧強度:4) 魔法の弓 矢筒(矢:2本) 金貨袋(所持金100) 鋼鉄の笏(残り2回) エメラルドの御守り 食糧一週間ぶん 金色の球

3ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:7 戦闘力:8 打撃力:サイコロ3個+2 精神力:8 機敏度:7 生命力:36
装備:ヘラクロスの戦斧 魔法の斧 シルバープレート(鎧強度:5) 魔法の弓 矢筒(矢:1本) 盾の御守り(鎧強度+1) 香油のびん 食糧一週間ぶん 魔法のパン 

Photo_2ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:7 戦闘力:7 打撃力:サイコロ2個+1 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:36
装備:剣 スタッドレザー(鎧強度:3) 魔法の指輪(精神力+1) 琥珀の火口箱 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 食糧一週間ぶん T字型の十字架  金貨袋(所持金100)

これまでのあらすじ

レジェンドという世界で「生命の剣」ブラッドソードを求めて旅する三人。
放浪の末に剣は完成したが、宿敵によって黄泉の国へ持ち去られてしまった。
それを取り戻すべく、三人は冥界へと乗りこみ、宿敵イコンを打倒。
ついにブラッド・ソードを取り戻した。

テツヤ「長かった旅も、これで一区切りってわけだ」

ミヤ「本当に長かったねー。作中時間とリアルタイムがシンクロする事でリアリティが増さざるを得ないよ」

だがしょせん、作品1つ発表する間の期間にも満たない話だ。

【493】

アザレルが巨大な頭を傾けて、ついに口を開いた。
その声は空を震わせ、地面を揺らした。

「神の怒りの日は近い。それまで、あと一年か二年というところだ。古い予言によれば、最後の日々に、人間は獣に逆戻りするといわれている。思えば死の剣が人間世界にあり、生命の剣が私の支配する黄泉の国にあるというのも、すでに大いなる逆転といえるだろう。予言の実現の日は近い」

テツヤ「突然な話だな。あと二年内に世界が滅ぶとか聞いてねーぞ」

ディアブロ「最後の審判てのは、キリスト教圏じゃそうそう突飛な話でも無いのかもよ。ああそんなのもあるな、程度の事なのかもしれないぜぇ」

ミヤ「アザレルさま。生命の剣にはまだ、人間世界でやらなければならない仕事があるのです。真のマグスたちは力を集結して、スパイトに戻ろうとしています。いったん戻れば、やつらはその勢力をクモの巣のようにどんどん広げていくことでしょう。この剣だけがあいつらを食い止めることができるのです」
といって剣を高くかざして見せる。

「人間世界へ戻してくれというのだな」
アザレルがいった。
大きな鐘を打ち鳴らすような声だ。

「じつは、ある魔法使いが帰り道をすでに準備してる。しかしそこに連れている女をどうするつもりだ? そちらとちがって、女は肉体を失った魂になってしまっている。女は私の王国の住人だ。住人の数を変えることはできないぞ。女の代わりにだれかが残るというのでなければ、女はここから出て行くことはできない」

テツヤ「誰かを引き換えにしろってのか! このデカブツと戦うしかなさそうだな」

そんな選択肢は無い。

ディアブロ「酒場で『ああああ』氏を雇えるシステムなら、特に悩む事もないんだがねぇ」

ミヤ「うーん……仕方がない。うん、仕方がないね。だったら私……」

テツヤ「俺がやればいいんだろ、畜生めが!」

ミヤ「ダメだよ、叔父ちゃん! 私が……」

テツヤ「却下だ。俺が!」

ディアブロ「……」

……

ディアブロ「薄々わかっちゃいるが、俺って事になるんだろうねぇ」

テツヤ「ディアブロ! お前って奴は! 俺は一生忘れねぇからな!」

ミヤ「うう、涙で前が見えないよ」

ディアブロ「やっぱりな。こっちのセリフだぜぇ」

というわけで身代わりは決まった。

【43→124】

ディアブロ「エンタシウスの助けを借りる代わりに、どんなことがあってもコーデリアを連れ帰ると、彼に誓ったかな。多分。まぁよろしい。我々の一人が彼女の代わりにここに残ることにするぜぇ」
黄泉の国に残る決心をした者が前へ進み出る。

テツヤ「墓は建ててやるからな!」

ミヤ「お盆にはお饅頭をお供えするからね!」

ディアブロ「泣けるぜぇ」

アザレルはにっこり笑っていった。
「よくいった。それでこそ真の英雄だ。これが私の一存で決められることなら、みんなを人間界へ戻し、マグスとの戦いの決着をつけさせてやりたい。しかしこれは、犯すべからざる神の掟なのだ。生者の中から死すべき者を選び出すのは私の役目だ。しかし死者の総数を変えることは、私にさえできない」
死の天使は巨大な手をあげた。

「さあ、おまえたちはいったんみんなで人間界へ戻るがいい。そしてエンタシウスとの約束を果たし終わったら、私の元へ来る者の名を呼ぶことにしよう」

テツヤ「そこは忘れてくれても結構なんだが」

ディアブロ「期限も決まってないし、千年後とかでも結構なんだが」

アザレルは天空に向かって手を差しのべた。
その手は輝く星雲に包まれた。
人間界への門が開かれようとしていた。

平原にすさまじい疾風が巻き起こり、地吹雪のために立っていることさえむずかしくなる。
肌を刺すように冷たい雪の中にとざされ、息をすることもできない。

ミヤ「ああ、神さま……」
気を失いそうになって思わず叫ぶ。

吹雪の向こうでアザレルの声がとどろいた。

「だまれ! おじけづいて神に助けを求めてはいかん! おまえは死ぬのではない。生き返るのではないか」

冷気と闇に包まれる。
とぎれとぎれの意識のまま、超自然の力に押し流されていく。
どれほどの時間がたっただろう。
人の手が身体に触れるのを感じて目をあける。
そこは波に洗われる荒磯だった。
背の高い女が、こちらを海から引き上げるように男たちに命じていた。
女はエンタシウスの召使いだった。
男たちの顔を確かめようとしたとき、視界が再び真っ暗になる……。

テツヤ「お? 割とあっさり帰ってこれたな……」

ミヤ「でも疲れたね。おやすみなさい……」

再び意識を取り戻すと、黄泉の国へ旅立ったときの、あの石の部屋に戻っていた。

ディアブロ「まだ埋葬はされてないようだねぇ」

召使いの女はこちらの唇を霊薬でしめらせていた手を止め、うしろにさがった。
石造りのベッドの上に起き上がる。
白いトーガをまとい、手にはブラッド・ソードを握りしめていることに気づく。
隣のベッドには、コーデリアが横たわったまま、大きな目を見開いて、あたりを見まわしている。

テツヤ「このお嬢さんも一緒に戻ってきたか」

ミヤ「あれ? 他の持ち物は?」

「磯に打ち上げられていたとき、あなたがたは何も身につけておられませんでした」
召使いの女が静かにいった。

「持ち物も何一つありませんでした。ただその剣だけをしっかりと握りしめておいでだったのです」

苦笑いをしていう。
ディアブロ「それで十分だぜぇ。俺達のうちの一人は、コーデリアの代わりに黄泉の国に戻ることになっている。この剣は高くついたねぇ」

テツヤ「あのクソ強い十字架は正直惜しいけどな」

ミヤ「無限に食べられるパンも無くなっちゃったかあ」

ディアブロ「俺の命の代金て事で」

「ご自分の命を犠牲になさるとは、なんと勇気のある方でしょう」
アザレルの元へ戻る者に向かって女がいった。

「あなたの名は永遠に、尊敬をこめて人びとの口にのぼることになるでしょう」

ディアブロ「正直、一億人に感謝されるよりは自分一人で好きにしたいタチなんだがねぇ」

テツヤ「実は俺も割と」

女はコーデリアを振り返っていった。
「恐れることはありません。あなたはまたこの世によみがえったのです。エンタシウスさまがお待ちです」

コーデリアがつぶやいた。
「エンタシウス……」

「おお、我が愛する人よ」
老いた魔法使いが部屋に入ってきた。

「ようやく再び会うことができた。もう何があっても離しはしないぞ」

テツヤ「ハッスル爺さん登場か」

デァイブロ「こちらの命で買った幸せタイムさね。せいぜい末永くお幸せに」

しかし……

コーデリアはふり向くなり悲鳴を上げた。

「そんなはずはありません。あなたがエンタシウスだなんて! あの方は若くてたくましくて輝くばかりの方です」
エンタシウスがしなびた手を差しのべると、コーデリアは叫んだ。

「あなたは年老いた老人ではありませんか」

ミヤ「え? え? ええ? なんか雲行きが……」

テツヤ「ほう、この爺さんも若い時はイケメンだったか。確か貴族か何かでもあったよな」

ディアブロ「しかも魔術師だったのに逞しいとはねぇ。名門大学のスポーツマンみたいな青年だったのかもしれないぜぇ」

テツヤ「その頃しか知らなかったら、まぁ落差はでかいか……」

自分への嫌悪を女の目に認めて、エンタシウスは叫んだ。
「だから、そんなに冷たくするのか。長いあいだそなたを思いつづけてきたこの私に? なんと残酷な人だ!」
彼は胸をえぐるようなうめき声をあげた。
そして急に、部屋の隅にだれかを見つけたように、そちらに向きなおっていった。

「おお、死に神よ! 七世紀のあいだ、私はおまえを出し抜いて生きつづけてきた。そして幻の人を愛しつづけてきたのだ。しかし、今こそ私の元にくるがいい。喜んでおまえを受け入れるぞ!」

テツヤ「おいおい、ヤケになんなって! 時間さえかければ……」

影がエンタシウスを包んだ。
黒装束の人影が彼に襲いかかったようだった。
エンタシウスはあっと叫ぶなり、石の床の上に倒れ伏した。
それが彼の最期だった。

ミヤ「……かける気には、ならなかったんだね」

テツヤ「僅かな希望にかけた700年は我慢できても、全部台無しになった一瞬は耐えられなかったかよ」

【276】

(コーデリアの代わりに黄泉の国へ行く約束をしたキャラクター)

どこか遠くから、かすかな声がささやきかけた。
「お前は契約から解き放たれた。エンタシウスは恋人の代わりに私の王国にやってきた。これで死者の数の帳尻は合う。しかし、おまえに再会する日はいずれ必ずやってくるだろう……」

ぞっと悪寒が走るのを感じた。
死の天使の声は、それきり聞こえなくなった。

ディアブロ「なんともはや……まぁ、こっちとしては助かったが、ねぇ」

【482】

すすり泣きの声が静寂の中に響きわたった。
コーデリアが魔法使いの死体のそばにうずくまり、その頭を腕の中にだきしめて泣いている。
しかし悔やんでももう遅い。
召使いの女のあとについて部屋を出ていく。

ディアブロ「あちらさんも事態を把握できたようだが……」

ミヤ「エンタシウスのお爺ちゃんを嫌いになったわけじゃないんだね。覚えてた頃とギャップがありすぎて、すぐには受け入れられなかっただけで」

ディアブロ「コーデリア嬢視点なら、ついこの前までイケメンで活気に溢れてた恋人が骨と皮になってたようなもんかもしれないしねぇ」

とはいえ、もはやコーデリアとエンタシウスの問題はどうしようもない。召使いの女性に案内されるがまま、ついていくしかないのだ。

【405】

キャラクター・シートからブラッド・ソード以外の持ち物を全て消せ。
黄泉の国とこの世との狭間で、すべてを失ってしまったのだ。

テツヤ「強力アイテムの数々をデリートか。制作側でもインフレに歯止めをかけたかったのかもしれんな」

しかし、いったん死に、それから生き返った影響がいくつか現れる。
まず、
これまでにかかった病気、毒薬の後遺症、心の病、記憶喪失といった影響がすべて取り除かれる
戦闘力、機敏度、精神力、生命力が減点されていた場合も、元に戻ることになる。

ミヤ「増加していたぶんはどうなるの?」

ディアブロ「書いてないぜぇ。ま、好きにしていいんじゃないの」

とりあえず1巻で増えた生命力の最大値は、ランク通りに戻す事にした。

また、もはや並みの人間ではない。
死の国から生きて返ってきた伝説的英雄だ。
そこで能力は次のようにアップする。

戦士:1ラウンドに二回の攻撃が可能になる。武器を持たずに戦う場合でも、戦闘力や打撃力から減点をする必要がない。

僧侶:生命力回復術を使う場合、サイコロを一つふって、出た目から2を引く代わりに1を引けばいい。それが1以上なら術は成功となるわけだ。

盗賊:敏捷性が以前より増す。盗賊を攻撃しようとする敵は、戦闘のサイコロを三つふらなければならない(防御している場合は四つふる)。

魔術師:呪文を唱えるとき、サイコロを一つだけふればいいことになる。

テツヤ「アイテムを無くした代わりに、強烈なパワーアップだな!」

ミヤ「うーん、僧侶はあんまり強化されてない感じ……今まででもほぼ回復の失敗はなかったし」

元手1点の回復術を十数連発という方法で、特に不便なく回復できていた。

ディアブロ「魔術師は順当な強化だぜぇ。これで【ネメシスの電光】砲台が高速化されるな」

まぁこれも、効く敵には高速にする必要は無い戦法なのだが。
ともかく、強化されないよりはされた方が良いに決まっているのだ。

【92】

冒険は成功に終わったので、1000点の経験点が与えられる(生き残ったキャラクターが複数いれば、そのあいだで平等に分けよ)。

ミヤ「これで全員ランク8! 1巻のソロプレイキャラと同じランクになったよ」

テツヤ「1巻時点なら最強のキャラが、パーティ組んで最終巻へ挑まされるわけか。なんとも計算されてる設計だぜ」

ディアブロ「能力が上がったのはいいとして、丸腰なのはどうにかならんかねぇ」

なるのだ。

エンタシウスの召使いは、武器をおさめた部屋に案内した。
「エンタシウスさまは悪と戦う人たちのために、武器を貯えておいででした」
召使いがいった。

「ここにあるものはどれも魔法の武器ではありません。でも、私がお着せしたそのトーガよりは、役に立ってくれることでしょう」

ここには六尺棒もある。
また、
鋲を打った皮の鎧(鎧強度2)数着と鉄の鎧(鎧強度4)も一着ある。

テツヤ「こいつは助かる。ご本人はもういねぇが、遠慮なく貰っとくか」

こうして全員、武装する事ができた。
準備はOKだ。

【557】

召使いの女は船の待つ岸辺へ案内した。
オールを握っているのは目に見えない妖精たちだった。

「この船で本土へお送りします」
女がいった。

「主人のために働いてくださったことへの、ささやかなお礼です」

テツヤ「礼と言っても、あの爺さんの最期は、なぁ……」

ミヤ「あの人にとっては悲しい結果になってしまったね。しかし幸いにも、ブラッド・ソードは取り戻すことができたよ。確かにエンタシウスさんの目的は、ただひたすら愛するコーデリアさんを取り戻すことだけだったかもしれないけど……でも全世界から彼は感謝されると思う。この剣が人びとを救うことになるだろうから」

「お気の毒なエンタシウスさま」
こちらが船に乗りこむと、召使いの女が静かにいった。

「あの方が救われることはもう永久にありません」

ディアブロ「救いは無いが、まぁ、落ち着くべき所に落ち着いたのかもしれないぜぇ」

姿も音もなく、妖精たちはオールをこぎはじめた。
船は孤島の岸を離れ、波を蹴立てて進んでいく。
こちらのマントも突風にあおられ、死の天使の羽根のように大きくふくらんだ。

うしろをふり返るのはよそう。
前方に見える白い水平線をぐっとにらみ、剣を頭上にかざして誓いのことばを唱える。

テツヤ「見ていろ、マグスども! おまえたちの滅びの日は近い。天罰を下す手が迫っているぜ。この手には、これ、このとおり、ブラッド・ソードが握られているのだ!」

真のマグスたちとの最終決戦は、「ブラッド・ソード」シリーズの第五巻の中ということになる。

テツヤ「……で、ここでお終い、と」

ミヤ「5巻が和訳されてないからね」

ディアブロ「最後のキャラクターシートでも確認するかねぇ」

最終ステータス

Photoテツヤ
(18歳・盗賊)

ランク:8 戦闘力:8(+3) 打撃力:サイコロ3個(+2個) 精神力:7 機敏度:9 生命力:48

装備:ブラッド・ソード 鋲を打った皮の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(矢:6本)

盗賊を攻撃しようとする敵は、戦闘のサイコロを三つふらなければならない(防御している場合は四つふる)。

3ミヤ
(15歳・僧侶)

ランク:8 戦闘力:8 打撃力:サイコロ3個 精神力:8 機敏度:7 生命力:40

装備:六尺棒 鉄の鎧(鎧強度:4) 弓 矢筒(矢:6本)

生命力回復術を使う場合、サイコロを一つふって、出た目から2を引く代わりに1を引く。
それが1以上なら術は成功となる。

Photo_2ディアブロ
(年齢不詳・魔術師)

ランク:8 戦闘力:7 打撃力:サイコロ2個+2 精神力:9 機敏度:7 生命力:40

装備:剣 鋲を打った皮の鎧(鎧強度:2)

呪文を唱えるとき、サイコロを一つだけふればいいことになる。

テツヤ「打ち切り漫画みてぇだが、ま、仕方ねぇか」

ディアブロ「じゃあそれらしいエンディングを」

Photo 時の流れの中で

わずかでも

このリプレイに立ち止まってくれた君に……

……Good bye。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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2016年11月10日 (木)

ブラッドソードリプレイ4-11 決戦!

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:7 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個+2 精神力:7 機敏度:8 生命力:43
装備:ロジ・スカイランナーの剣 チェインメイル(鎧強度:4) 魔法の弓 矢筒(矢:2本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金100) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 食糧一週間ぶん 金色の球

3ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:7 戦闘力:8 打撃力:サイコロ3個+2 精神力:8 機敏度:7 生命力:36
装備:ヘラクロスの戦斧 魔法の斧 シルバープレート(鎧強度:5) 魔法の弓 矢筒(矢:1本) 盾の御守り(鎧強度+1) 香油のびん 食糧一週間ぶん 魔法のパン 

Photo_2ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:7 戦闘力:7 打撃力:サイコロ2個+1 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:36
装備:剣 スタッドレザー(鎧強度:3) 魔法の指輪(精神力+1) 琥珀の火口箱 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 食糧一週間ぶん T字型の十字架 金の巻物 司祭長の杖

これまでのあらすじ

レジェンドという世界で「生命の剣」ブラッドソードを求めて旅する三人。
放浪の末に剣は完成したが、宿敵によって黄泉の国へ持ち去られてしまった。
それを取り戻すべく、三人は冥界へと乗りこみ、案内人とともに、ついに最深部へ辿り着いた。

テツヤ「で、決戦か。死の天使とやらが話のわかる奴なら別だがな」

ディアブロ「わからない奴でも、近接攻撃しかできない単体敵ならなんとかなるぜぇ」

ミヤ「そもそも死の天使さんてどんな人なの?」

それは次の項目を読めばわかる。

【262】

アザレルは山のように大きな、裸の巨人だった。
肌はあくまでも黒く、顔には白い目隠しをしている。
前の地面には巨大な剣が突き立ち、やつはその象牙の柄に、大きな手を置いている。

テツヤ「全裸の巨大黒人剣士か。想像してたのとちょっと違ったわ」

ミヤ「髪の長い女の人じゃないかと思ってたよ」

ディアブロ「頭に六枚の羽根だと思ったんだがねぇ」

彼こそ死の天使なのだ。
その顔は醜いものではなかった。
身体には、天にも届くような大きな羽根が生えている。
羽根にはクジャクの羽根に似た、無数の目の模様がある。
伝説によれば、あの目は一つ一つが人間を表わしているのだ。
人間が一人死ねば、一つの目が閉じられる。
すべての目が閉じられる日、それこそ最後の審判の日なのだ。
そしてその日はもう遠くないにちがいない。
あいている目より閉じている目の方が多い。
すなわち、死者が生者の数をはるかに超えているのだから。

テツヤ「あん? この世界、生まれるペースよりも死ぬペースの方が早いのか? 一日1000人死ぬから1500人生まれるんじゃねぇのかよ」

ミヤ「それは日本の神話だから、アザレルさんの管轄外なんじゃないかな」

ディアブロ「レジェンド世界はじきにヤマト人しかいなくなるってわけだぜぇ」

そんなバカな話を他所に、コーデリアが一緒かどうかを問われる。という事はやはり、姿が消えているだけでコーデリア嬢は存在しているのだろう。
というわけでコーデリアが同行しているものと判断した。

【150】

コーデリアがはじめて口を開いた。
夢からさめたように彼女はいった。

「ここはどこ? 私はどうしたのかしら?」
彼女は冷たい風に身体をふるわせた。

ミヤ「あ、正気に戻ったみたい! やっほー!」

テツヤ「エンタシウス爺さんの愛で心が戻る展開じゃなかったのか」

ディアブロ「それより、現状を教えてあげなくていいのかね?」

「こわがることはありません」
旅人(トラベラー)がいった。

「私が人間界へ連れ戻してさし上げますから。戻れば記憶もすぐに返ってきます」

私が連れ戻す?
いったいどういうつもりでそんなことをいうのだろう?

ミヤ「人間界へ旅人さんも一緒に帰るんでしょ?」

テツヤ「そいつ、もう死んでて帰れないんじゃなかったのか」

ディアブロ「コーデリア嬢を冥界の出口まで送ってやるって事かねぇ。俺達の存在を完全に無視した話になるが」

おそらくその通りで、旅人(トラベラー)はここでプレイヤーキャラクター一行がいなくなる事を前提に話しているのだ。

【169→325】

ここで以前、冥界について不審な事をメモした内容を確認される。
それが旅人(トラベラー)の事で、かつその正体がわかっていれば……

【468】

旅人(トラベラー)は冷笑を浮かべてふり向いた。
「俺の目的はお前らを、この黄泉の国で永遠に朽ち果てさせることだ。まだ俺の正体がわからないのか? 最後の最後に復讐を果たすため、お前らが黄泉の国の危険を無事にくぐり抜けるように手伝いをしてきたこの俺が?」

ここまでにいくつかの項目で、断片的なヒントが記されていた。
東洋のヤマト出身だとか、サモンの神殿で呼ばれても出てこないだとか……。

テツヤイコンだろう。あいかわらず口の減らないやつだ」

「ではわかっていたのだな」
やつは帽子とマントを払いのけた。

「それでは、これには気づいていたか?」
やつはマントの下の背中に隠していた剣を取り出した。
宝石のちりばめられた柄とさやは、まちがいなくブラッド・ソードだ。
イコンはそれを後ろに放り投げた。

「戦いには向かん。バランスが悪くてな」
やつは吐き捨てるようにいった。
そして仕込み杖からスラリとした細身の剣を引き抜いた。

「俺はこちらのほうが好きなのだ。では、切れ味をごらんいただくとしようか……」

テツヤ「ブラッド・ソード! ずっと持ち歩いてやがったか!」

ミヤ「でもわざわざ手放すなんて……ナメプって奴なのかな?」

そうでもあり、そうでも無し。ともかく戦闘準備。
ここでのバトルオーダーは1=ミヤ、2=テツヤ、3=ディアブロとする。
また所持品を少し入れ替えておいた。
そして今回、ディアブロが準備する呪文はレベル1の【白い火】である。

ディアブロ「主に位置と距離が理由だぜぇ」

【121】

413 イコンは嬉々とした表情でこちらに向かってきた。
「決着をつけるには最適の場所ではない?」
やつが叫んだ。

「ああして死の天使も見守っている。さあ、覚悟しろ」

なんと思い上がった男だ!
アザレルは我々人間が足元にもおよばぬ神の使いではないか。
それをつまらぬ果し合いの見物人に見立てるとは!

テツヤ「まぁ俺は嫌いな発想じゃねぇな」

ミヤ「でもアザレルさんから見たら、こんな所で何やってんのって感じだよね」

イコン(I)
戦闘力=9 精神力=9 鎧強度=0
生命力=55 打撃力=サイコロ五つ 機敏度=9

注:イコンに盲目的服従の魔法は通じない。
やつは四つの魔法を使う。
ラウンドごとにサイコロを1つふって彼の出方を決定せよ。
1~3なら剣で攻撃してくる。
4~6なら魔法を準備もしくは唱える。

やつの魔法は以下のとおり

(1)コンセントレーション―(レベル1)この魔法はイコンの力を増し、打撃力はサイコロ六つになる。4ラウンド間有効で、この魔法に成功した場合、この間、やつは他の魔法を使うことはない。相手が一人か二人の場合、この魔法を使いたがる。

(2)光―(レベル2)全員にサイコロ1つ+4のダメージを与える攻撃魔法(鎧強度は有効)。相手が三人以上の場合のみ使う。

(3)不可視―(レベル3)4ラウンド間、姿が消える。その間は、こちらの戦闘のサイコロを三つふらなければならない(イコンが防御の行動を取った場合は四つふること)。

(4)投げ菱―(レベル4)一人の相手に六個の投げ菱が襲いかかる(サイコロを一つふって命中する数を決める)。投げ菱は一個につきサイコロ二つ分のダメージを与える(鎧強度は有効)。投げ菱は命中した者の体に突き刺さったままになる。これを抜くためには1ラウンドを要する。抜かなければ、1ラウンドごとに命中した投げ菱の数だけの生命力を失う。この場合鎧は役に立たない。

テツヤ「相手も遠距離攻撃できんのか。いつもの砲台オンリーな戦法は通じねぇな」

ディアブロ「というわけで、いつもとやり方を変えていくぜぇ」

B19_2 〇第1ラウンド
イコン:ミヤを攻撃。出目6で命中。ダメージ13(被害7、半減して最終的に4)。
テツヤ:E7へ移動。

ミヤ:イコンを攻撃。出目11で外れ。
ディアブロ:【金の巻物】を使用。

テツヤ「なんだそりゃ」

ディアブロ「2巻で拾ったアイテム。戦闘中に使えるんだぜぇ。指示された項目は……と」

【2巻278】
巻き物を広げ、そこに書かれた文字を読む。
まもなく、超自然の力が急激に増加するのを感じた。
空気が熱くなり、かん高い音がかすかに聞こえはじめた。
そして、どこからともなく白い稲妻が矢のように落ちてきた。
戦いの最中なら、これが敵の一人を直撃する。
そしてサイコロ五つ分のダメージを与える。
ただし、鎧強度は差し引くこと。

ディアブロ「ははっ、結構な威力」

巻き物はさらさらの白い粉に変わってしまった。

ダメージ15(被害15)。
テツヤ:ダブルアクションでE6へ移動。

ディアブロ「サイコロの目は不調だったぜぇ」

ミヤ「あたしもー」

テツヤ「俺は一気に間合いを詰めておく。次ラウンドからが勝負だ」

〇第2ラウンド
イコン:
ミヤを攻撃。出目5で命中。ダメージ17(被害11、半減して最終的に6)。
テツヤ:【鋼鉄の笏】を使用。ダメージ16(被害16)。

テツヤ「必中で威力も大きいんだが、射程距離が剣並みなんだよな……」

ミヤ:イコンを攻撃。出目8で命中。ダメージ9(被害9)。
ディアブロ:【司祭長の杖】を使用。

ミヤ「それは3巻で拾ったアイテムだね!」

ディアブロ「セブン・イン・ワンに使えば即死させる事もできたが、別の敵にもある程度の効果はあるんだぜぇ?」

【3巻166】
杖から炎が噴射され、敵はサイコロ四つ分の損傷を受ける
杖を消せ(エネルギーを出しきって、杖は灰になってしまった)。

ダメージ11(被害11)。

ディアブロ「ま、ダイスさまのご機嫌が悪いとどうしようもないねぇ」

テツヤ「期待値ならもう倒せてるんじゃねぇか」

次がイコン最後の攻撃である。

〇第3ラウンド
イコン:
テツヤを攻撃。出目8(合計9)で命中。ダメージ10(被害7、半減して最終的に4)
テツヤ:【鋼鉄の笏】を使用。ダメージ17(被害17)。撃破。

テツヤ「まぁ残り4点だったからな」

ミヤ「受けるダメージもびっくりするぐらい低かったね。T字型の十字架が強すぎる気がするよ」

被ダメージの低さはダイス目の酷さもあったが。
敵味方とも、ダメージが全然揮わない驚愕の塩バトルであった。

まぁ十字架強すぎは確かだ。
おそらく入手=勝ち確のアイテムとして用意されたのだろう。
二つとない宝だ、と項目に書かれていたのは、本当に文字通りの意味であった。

【52】

致命傷を受けて、イコンは固い地面にひざをついた。
過去二回の対決を見ても、死ぬ直前にやつは最後の気力を振りしぼって、こちらの目の前から姿を消すはずだった。
しかし今回は、やつはその手を使わなかった。

ミヤ「どうして? 使えない理由があるの?」

テツヤ「まぁ冥界のどこかに逃げたとして、俺らは地上へ戻るから再戦はもうできねぇし……それに、逃げる気にもならねぇのかもな」

ミヤ「?」

苦痛のうめき声を上げることもなく、やつは話しはじめた。
聞き取れないほどの小さな声だ。

「俺は……そちらを見くびっていたようだ。まえの対決から腕を上げたようだな。ここ数年、俺はただお前らを憎みつづけてきた……しかし今は本望だ。すばらしい……敵に……やられて……死ねるのだから……」

やつは、なんともいえない表情で、こちらを見つめながら口を閉じた。
しばらく待っても、やつはそれ以上何もいわない。
やつの身体に触れると、やつは事切れて地面にころがった。

テツヤ「ならねぇ、の方だったか」

ミヤ「……よくわかんない」

テツヤ「そういうもんだ、としか……な」

アザレルの羽根の目がまた一つ、まばたきをして閉じた。

ディアブロ「終わったようだぜぇ」

【28→194】

ブラッド・ソードは、落ちているマスへ移動すれば戦闘中に拾う事もできる。
距離の関係であまり有用な戦法ではなかったので、今回は拾わなかったが、その場合は戦闘後に入手となるのだ。

生命の剣、またの名をブラッド・ソードは、天使長アブディエルによって作られた。
この世で最高の力を持つ聖宝の一つだ。
世俗のレベルでいえば、
これを持つ者の戦闘力が3点増し、打撃力はサイコロ二つ分増す
もしも相手が死後の世界に生きるアンデッド種族の場合は、この剣の直撃は精神攻撃の効果もあげる。
すなわち、
この剣の直撃を受けたアンデッドは、精神魔法による攻撃と同じように抵抗を試みなければならない。
これに失敗すれば、たちまち死ぬ

ブラッド・ソードは他にも秘めた力を持っているが、それは使ううちにわかってくるだろう。

テツヤ「こりゃ強力だな。元の戦闘力が9点以上の奴が装備すれば、敵が防御しないかぎり必中かよ」

ミヤ「戦闘力・打撃力とも、今までのどの魔剣よりも上だね!」

ディアブロ「ようやく手に入れたぜぇ……で、死の天使どのはこれからどう出なさるかねぇ」

それは次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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2016年11月 5日 (土)

ブラッドソードリプレイ4-10 冥界の奥へ

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:7 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個+2 精神力:7 機敏度:8 生命力:43
装備:ロジ・スカイランナーの剣 チェインメイル(鎧強度:4) 魔法の弓 矢筒(矢:2本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金100) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 食糧一週間ぶん 金色の球

3ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:7 戦闘力:8 打撃力:サイコロ3個+2 精神力:8 機敏度:7 生命力:36
装備:ヘラクロスの戦斧 魔法の斧 シルバープレート(鎧強度:5) 魔法の弓 矢筒(矢:1本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金の巻物 司祭長の杖 香油のびん 食糧一週間ぶん

Photo_2ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:7 戦闘力:7 打撃力:サイコロ2個+1 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:36
装備:剣 スタッドレザー(鎧強度:3) 魔法の指輪(精神力+1) 琥珀の火口箱 魔法のパン 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 食糧一週間ぶん 銅の杖 T字型の十字架

これまでのあらすじ

レジェンドという世界で「生命の剣」ブラッドソードを求めて旅する三人。
放浪の末に剣は完成したが、宿敵によって黄泉の国へ持ち去られてしまった。
それを取り戻すべく、三人は冥界へと乗りこみ、案内人とともに奥地へと向かう……。

テツヤ「武装も最終決戦仕様になったしな。準備はバッチリだ」

ミヤ「正直、あの宝物の獲り方は酷かったと思うの」

ディアブロ「ま、物に罪は無いぜぇ。ありがたく使わせていただきますかね」

テツヤ「どうせイコンの野郎との戦闘は最奥だろ。どうでもいいイベントは全部すっとばして行くぞ」

4巻はどうでもいいイベントが意外と多いので、ただクリアするだけなら案外長く無いのだ。

【515】

川岸は草や苔におおわれていて、歩きやすかった。まばらに木の生える一つの丘を越えると、向こう岸には似たようなもう一つの丘が見えた。

「この二つの丘は、ヘルの乳房と呼ばれている」
旅人(トラベラー)がいった。

「しかしこんなはげ山に自分の名前をつけられては、黄泉の国の女支配者もさぞ機嫌を悪くしていることだろう」

テツヤ「そんなことは、どうだっていい。俺達がこれから対決しようとしているのは、死の天使だぜ。心配すべきなのは、死の天使の機嫌のほうだろう」

「ヘルは死の天使のもう一つの顔なのだ」
旅人(トラベラー)が答えた。
「人びとは、彼のことをほかにも、アザレルとかプルートとかヘデスとかヤーマとかオシリスなどと呼んでいる。この王国に住む多くの者にすれば、死の天使の顔は自分を殺した者の顔なのだ。私もそのうちの一人だが」

ミヤ「いろんな神話が同じ起源だっていう説だね」

テツヤ「女神も男の神も性別の無いはずの天使も、全部同じ奴なのかよ」

ディアブロ「話から察するに、旅人殿も死の天使を見た事があるのかねぇ?」

テツヤ「あんたは殺されたのか?」

「卑怯にも。しかし私は必ず復讐する……」
もっと何かいいたそうだったが、彼は途中で口をつぐんでしまった。

「しかし今は、当面の問題を片づけることに専念しなければならない。我々の前に広がるのは、夜の深淵の森だ。道に迷ったら、二度と外へ出ることはできない。危険な生き物はすんでいないが、このことだけは心にとめておくことだ」

テツヤ「生き物は危険じゃないが森は危険なのか。凶悪なトラップでもあんのかよ」

ミヤ「じゃ、道を外れないようにしようね」

頭上では、クモの巣のように木々の枝がからみあっている。
進んでいくと、足の下でかび臭い枯葉が音を立て、ところどころに生える鉛色のきのこの、胸が悪くなるような甘い香りが、鼻をついた。

ミヤ「枯葉……冥界樹木も枯れるんだ。植物も死の天使さんのところに行くのかな?」

テツヤ「なさそうだな。前から薄々思っているんだが、冥界ってのは動植物の魂の処理はあんま考えてねぇだろ」

ディアブロ「エルフも考えられてない動植物に入るかねぇ?」

入る。ドラゴンウォリーズのレジェンド世界では、エルフは魂を持たないのだ。

テツヤ「じゃあなんで生きてられるんだよ!」

ディアブロ「魂は無くても命はあるって事よw」

ミヤ「禅問答みたいだなー」

【341】

近くで木の枝が折れる大きな音がした。
さっとそのほうをふり向くと、ほんの数歩先の木立ちのあいだに、銀の角の生えた黒いユニコーンが立っている。
こちらが呼びかけると、ユニコーンは冷ややかな目を向け、ひづめで地面をひっかく動作をした。
だが近づいてこようとはしない。

ミヤ「ユニコーンだ! 背中に乗せてくれないかな!」

テツヤ「道を外れるなって言ったの、お前だろ。こっちに来ねぇならほっとくぞ」

実際、ただの罠なので無視した方が良い。
T字型の十字架を持っていれば無傷、持っていなければ即死という、あまり面白味も無いイベントだ。

よって一行は先へ進む事にした。

ミヤ「あーあ、残念」

【530】

ついに暗い森から抜け出す。
そこからは嵐雲におおわれた山並みまで、吹きっさらしの荒地がつづいていた。
ステュクス川は激流となり、山々から滝となって流れ落ちている。

ふり返ると、森の上に月がかかっていた。
鉛色の雲越しに見える月は、心なしか光も弱く、気味の悪いふんいきを漂わせている。

ディアブロ「あれは人間界と同じ月なのかねぇ? まるで疫病やみの顔のようだぜぇ」

「もちろん同じ月だ」
旅人(トラベラー)がいった。

「変わったのは見ている人間のほうだ」

テツヤ「このゲームのPC(プレイヤーキャラクター)は人間限定らしいな」

ディアブロ「原作TRPGの方だと、エルフやドワーフも選べるんだがねぇ」

しかし「選ぶ事ができる」だけで、原則は人間が前提のようである。

412 雲の前を一つの影が横切った。
目をこらして空を見上げる。
何かが空から、こちらをめがけて落ちてくる。
近づいてくるにつれて、それは巨大な人間の頭だということがわかった。
青い肌の巨大な顔が、こめかみから生えた羽根をはためかせて舞いおりてくる!
あたりの空気がびりびりと振動しはじめていた。
こちらの頭の毛も、そのエネルギーのために逆立った。

テツヤ「おっ、敵だな!……しかしなんつうか、微妙なデザインだな……」

ミヤ「ドラゴンとかじゃダメだったのかな、あれ」

すさまじい大音声が響きわたった。
「遍歴の旅をする人間ども、雷をつかさどるレイ・クン様の顔を拝むがいい! わしは炎を吐く神、霊を焼きつくす神、雷の神だ」

声は山々にこだました。

ミヤ「雷神さまだね。実はトール神のアングバール王さんといい、冥界には雷神さまが住み易い何かがあるのかなあ?」

ディアブロ「賃貸住宅の割引でもあるんじゃないかねぇ?」

テツヤ「どういう繋がりだ、それは」

このシーンでは戦闘前にアイテムを使う事もできるので、手持ちの道具から適当な物を取り出す。
ここで使うのは銅の杖だ。

【333→521】

手の中で銅の杖がうなりはじめた。
目に見えないエネルギーが振動させているのだ。
ある直観がひらめいたので、杖を地面に突き刺す。
そしてレイ・クンが稲妻を口から吐くと同時に、こちらは横に飛びのいた。
稲妻が銅の杖に吸収されたのを見て、やつはあっけにとられたようだった。
激怒したやつは、こちらめがけて稲妻を次々と放った。
しかしどれも、銅の杖に吸いこまれてしまった。

テツヤ「避雷針バリアー!」

ディアブロ「雷神殿の御力も、電気エネルギー伝導の法則には従ってるとはねぇ」

だが問題が一つ生じた。
これでは、こちらもここに釘づけではないか。
杖を拾い上げることもできないし、かといって杖からあまり離れては、避雷針の役割をしている杖の保護下から出てしまうことになる。
どうやらこれはあまり良い作戦ではなかったようだ。

テツヤ「あん? ここから遠距離攻撃仕掛ければいいだろうが」

ミヤ「叔父ちゃん! 矢があんまり残ってないよ」

ディアブロ「俺の最強の攻撃呪文も雷属性だぜぇ。まぁレベルを落として低下力呪文を数十連発しても、ゲームシステム的には何も困りゃしないが」

テツヤ「……まぁ日が暮れる頃にはなんとかなってるだろ」

しかし旅人(トラベラー)がこの状況を救ってくれた。
彼は怒り狂っている悪魔に向かって、笑いながら悪口雑言をつきはじめた。

「あの老いぼれ雷神の姿はどうだ! 昔の腕のほどはいざ知らず、今では自分の真下に突っ立っている人間の頭に命中させることもできない。かわいそうな老いぼれめ、もう引退したほうがいいぞ」

これを聞いたレイ・クンは、ふいにひと声うなり声を上げて、森の向こうに飛び去っていってしまった。
わけがわからず
旅人(トラベラー)をふり返る。

テツヤ「いや、本当に意味不明なんだが。逆上してヤケクソにならねぇのか」

「レイ・クンは東洋の神なのだ」
彼がいった。

「東洋では、メンツを失うことは耐えがたいこととされている。彼はここで人間のあざけりのことばを聞いているのが、いたたまれなかったのだ」

テツヤ「……なんか東洋に対して、物凄い誤解がありそうだな」

ディアブロ「まぁ東洋側も西洋側に誤解は持ってるだろうし。そういうもんじゃないかね」

いっそ世界を全部誤解すれば、かえって平等かつ平和になると思う。Gガンダムみたいに。

ミヤ「あなたがいてくれて幸運だったよ」

「それはどうも。では、やつが戻ってこないうちに山へ向かおう」

とりあえず山地が今の目標地点らしい。逆らう理由も無いので、一行は山へ向かう。

【4】

これ以上読みすすめるまえに、黄泉の国について、あるいはそこで会った人物について、不審な点がなにかないか考えてみよう。
なにか思いついたら(仲間がいたら全員で考えよ)そのことをメモしておけ。

物凄く曖昧な指示だが、四巻におけるとても大事なポイントの一つだ。
ここでラストバトルの難易度が大きく変わるのである。

ガキの頃の初プレイ時は、たぶん「コーデリアが消えたままになってる」と書いたと思う。

【556】

目の前には、険しい山並みがそびえ、切り立った崖が荒野をふち取るようにつづいている。
地上から発せられるかすかな灰色の光線が、真っ黒な空を周期的に照らしだし、遠くでは雷鳴が鳴り響いている。
山並みの向こうは、嵐が荒れ狂っているようすだ。

テツヤ「ん? 地面から光線を発射してる奴がいるのか。それとも光線が出る岩でも転がってるのか」

ミヤ「照明に乏しいから、死の天使さんがサーチライトで照らしてるのかもしれないね」

ディアブロ「そこよりも警戒すべきは嵐なんじゃないかね」

ステュクス川は地上数百メートルの崖の真ん中にぽっかりあいた洞窟の口から、黒い滝になって流れ落ちている。
青白い人影のようなものが一つ二つ、もがきながら滝を落下し、下の岩に叩きつけられているのが見える。
細い小道を伝って洞窟の入口まで行くと、滝や嵐の音さえかき消すような、別のすさまじい音が聞こえてきた……。

拷問に苦しむ数千の霊たちのうめき声だった。

テツヤ「ようやく地獄っぽくなったな」

ディアブロ「今まではどこかの外国みたいな風景が多かったからねぇ」

ミヤ「でもあんまり楽しい所じゃなさそう」

そりゃ地獄ですので。

【517】

洞窟に入っていく。
川は洞窟の中央を流れ、両岸には醜い顔の灰色のデーモンが、地面に根が生えたようにじっと立っていた。
そいつらには足がなくて、下半身は木の幹になっている。
数十メートルものびる長い舌をムチのようにあやつって、そいつらは青ざめた霊たちを逆巻く急流の中へ追い立てていた。

テツヤ「植物系デーモンとは変わってるな」

ミヤ「でもなんで亡者さん達をいじめてるの?」

霊の一人がこちらに気づき、列から離れた。
そしてわめきながらこちらへ向かってきた。

「助けてくれ! 助けて……」

デーモンの舌がその霊ののどにからみつき、男はズルズルと地面を引きずられた。
デーモンは残酷な笑いを浮かべながら、男を列に引き戻した。

ミヤ「ああ、神さま」
思わずうめく。

ミヤ「こんな恐ろしいことはやめさせないと」

「そんな考えは捨てろ」
旅人(トラベラー)がいった。

「彼らは前世の行いの報いを受けているのだ。彼らは生まれ変わるため、人間世界に向かってこの川を運ばれていくのだ」

テツヤ「要するに刑罰か。なら手を出す必要ねぇな」

ミヤ「それは酷くない!?」

しかし、倒しても何も手に入らないのである。勝てない相手では無いのだが……。

テツヤ「じゃあ面倒だからやめやめ。甲斐が無ぇのにガンバルのは、腹が減るだけ損だわ」

ミヤ「んむー……叔父ちゃんがやる気を出してくれない」

ディアブロ「まぁ、このデーモンを倒しても、一時的に亡者が喜ぶだけで何かが変わるわけじゃないからねぇ」

最終盤に、なぜこんな意味の薄いイベントがあるのか。疑問ではあるな。

ともかく、一行はさらに奥へ進む。

【491】

洞窟は奥に行くにつれて広くなり、やがて大きな部屋になった。
水が壁を伝ってしたたり落ち、川に流れこんでいる。

ついに洞窟の奥にたどりついたようだ。
旅人(トラベラー)が水が流れ出してくる裂け目を指さした。
そこを調べるために壁をよじのぼる。

テツヤ「裂け目へ潜り込んでいくのかよ。閉所恐怖症だったらここで詰みだな」

ディアブロ「そんな奴が、ダンジョンに潜ってナンボの冒険者稼業をやるかねぇ?」

裂け目の中はせまくて、かがむようにしなければ進めない。
やがて四つんばいに進むしかなくなった。
そして最後には、蛇のように腹をつけて進むことになった。
緑がかった白い燐光を放つ流れが、どこか前のほうから流れてくる。
まるで目に見えないクモの巣を、おしのけて進んでいくような気分だ。
血管の中の血が音を立てているのがわかる。

テツヤ「歩き難いどころか、歩くことすらできねぇとはな。モンスターに襲われたらイチコロだぞ、この体勢は」

ミヤ「想像しちゃうからやめようよ」

ディアブロ「まさか死の天使殿も、裂け目で腹這いになって待ってなさる……て可能性が」

テツヤ「だったらたまげるわ」

「子宮の中へ入っていくようではないか?」
旅人(トラベラー)がくすくす笑いながらささやいた。

テツヤ「だまれ」
やつのおしゃべりにはうんざりしはじめていた。

テツヤ「今の内容にもな!」

【527】

せまいトンネルにとじこめられてしまったのではと心配しはじめた矢先、裂け目は急に広くなり、外に出る。
そこは白い霜が輝く、広大な岩だらけの平原だった。
ひんやりした風がそで口や髪をなでる。
空には雲一つなく、満天の星が輝いている。

ミヤ「いやあ、狭かった! やっと広い所に出たよ。あー気持ちいい!」

テツヤ「山を貫通して反対側に出たってわけか?」

ディアブロ「こちらには暗雲も光線も無いねぇ」

広い平原の中に立っているのは、まぎれもなく死の天使アザレルにちがいなかった。

テツヤ「ついにお出ましかい。で、どんな野郎だよ?」

どんな野郎が何をどう仕掛けてくるのか。

それは次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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2016年10月30日 (日)

ブラッドソードリプレイ4-9 ステュクスの向こう

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:7 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個+2 精神力:7 機敏度:8 生命力:43
装備:ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(矢:2本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金85)(オボル銅貨入り) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 食糧一週間ぶん 金色の球

3ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:7 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2+2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:36
装備:ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(矢:1本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金の巻物 司祭長の杖 香油のびん 食糧一週間ぶん

Photo_2ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:7 戦闘力:7 打撃力:サイコロ2個+1 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:36
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 琥珀の火口箱 魔法のパン 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 食糧一週間ぶん 銅の杖

これまでのあらすじ

レジェンドという世界で「生命の剣」ブラッドソードを求めて旅する三人。
放浪の末に剣は完成したが、宿敵によって黄泉の国へ持ち去られてしまった。
それを取り戻すべく、三人は冥界へと乗りこみ、案内人とともに奥地へと向かう……。

テツヤ「海岸から崖を登って、村だの神殿だのを通り過ぎて、川を渡って、だらだらと荒野を歩いて……今、全行程のどこらへんだ?」

ディアブロ「半分は過ぎてるぜぇ。距離的にも、イベント的にもな」

ミヤ「そうなんだ? ここまで特に苦戦もしてないし、残りもこんなものなら、意外と楽勝だね!」

これも4巻までに入手したアイテムや資金のおかげであろう。
やはりキャンペーン型のゲームブックは1巻から始めるにかぎる。
後半から開始した方が有利だと、誰も前の巻を遊ばないからな。

【83】

「とうとう荒野を渡りきった」
旅人(トラベラー)がいった。

「ここからは、いよいよ死の王国の中心部だ。あの川が見えるか? あれが、古代エンフィドールの人びとがステュクスと呼んだ憎しみの川だ」

ミヤ「ギリシャ神話が元ネタかな。やっぱり古代エンフィドール=紀元前のギリシャなんだね」

ディアブロ「【ネメシスの電光】も、その時代に開発されたのかねぇ」

川岸に立つ。
流れているのは透明な水ではなく、真っ黒なインクのような液体だった。
青白い魚が矢のような速さで泳いでいる。
ステュクス川は山脈地帯から流れ出て、暗い森を通り抜け、二つの小山のあいだを通って海へと流れこんでいる。

向こう岸の小山に目をやると、何かが動いたようだった。
テツヤ「生き物がいるぞ」

「生き物?」
旅人(トラベラー)は鼻先で笑っていった。
「そんなはずはない!」

テツヤ「つっても、何か動く奴がいたしな」

ミヤ「後で見に行こうよ」

ディアブロ「こちらの味方だといいんだがねぇ」

小山の向こうに塔が立っていた。
塔の窓はエメラルド色に輝いている。

旅人(トラベラー)はステノの塔だといった。
だが、それ以上のことは彼も知らなかった。

「ステノが果たして我々を歓迎してくれるかどうかは、私にもわからない」
旅人(トラベラー)がいった。
「しかし、どちらにせよ、我々はステュクス川を渡ってあそこへ行かなければならない」

気づかぬうちに、一そうの小舟が向こう岸から近づいてきた。
渡し守がマントのフードの奥からじっとこちらを見ている。
小舟は魔法であやつられているにちがいない。
渡し守の手はオールに触れてもいないのだ。
この川が三途の川のステュクスなら、あの渡し守は死者の霊を彼岸へ運ぶカローンということになる。
やつは生者を小舟にのせてくれるだろうか……

テツヤ「あん? 似たような奴が1巻にいなかったか?」

ミヤ「あっちはケロンさんだったね。タダで船に乗せてくれるいい人だったけど、こっちはどうかな?」

結論から述べれば、美味い話は無いのだ。

【489】

カローンの小舟がこちらの岸に近づいてきた。
顔はフードの陰にかくれて見えない。
沈んだ声でやつはいった。

「人間界から来た者だな? この川を渡りたいのか?」

これにはYESと答える。

【36】

しばらくだまっていたが、やがてカローンは答えた。
「渡し賃は一人につきオボル銅貨一枚だ」

ミヤ「こっちの人は代金とるのかー」

ディアブロ「まぁ、タダ働きを要求するのは感心できない事だぜぇ」

テツヤ「ワイトの墓をあばいてギッた硬貨が役に立つときが来たぜ」

代金を持っているのに、なぜ彼らワイト達が川を渡らずに墓場で寝ていたのか。
この奥に行きたくない理由でもあったのであろう。
だがこちらは奥に行かねばならないので、渡し賃をありがたく使わせてもらう。

【469】

カローンはマントのかげから白い手を出し、銅貨をひったくるように取った。
旅人(トラベラー)は自分の渡し賃を持っているので、こちらが払う必要はない(コーデリアが同行している場合も同じ

この一文を見るに、コーデリアを同行させる事はできるようだ。
やはりサモンの神殿で呼び出せば、姿は消えるが一緒にはいてくれるという事なのだろうか?

小舟に乗りこむ。
「水に触れてはいけない!」
旅人(トラベラー)がいった。
「触れると、この渡し守のような、生気を失った真っ白な身体になってしまうのだ」

テツヤ「色白になるなら、女は喜ぶんじゃねぇのか」

ディアブロ「白くなるだけなら、だぜぇ」

カローンはそれを聞いて、くっくっと笑った。
そして向こう岸を指さした。
小舟は方向を変え、ゆっくりと進みはじめた。

「テテュスの息子はこのステュクス川で水浴びをした」
カローンがつぶやいた。

「しかしやつの身に、悪いことなど起こらなかった。むしろ反対だ」

旅人(トラベラー)が渡し守をにらんで叫んだ。
「悪魔め! そんなうそに、我々がまんまとのせられると思っているのか? この川は憎しみの川と呼ばれているんだ。おまえのうそは、この川の名前だけからも見え見えだ」

テツヤ「まぁここは旅人(トラベラー)の方を信じて、触らないでいておくか」

なお触ると、ダメージを一定確率で無効化できるようになるか、単に即死するかという判定が行われる。即死率は5割といったところなので、基本、やるべきではないだろう。

【63】

向こう岸に着き、船をおりる。
カローンに礼をいおうとふり返ると、やつの姿は消えていた。
黒い水面には、小舟のたてたさざ波一つ残っていない。

ミヤ「どこ行っちゃったんだろ?」

テツヤ「消えたんじゃねぇのか。魔法の世界ならそんなもんだろ」

「黄泉の国は、奥地へ入れば入るほど、非現実的になっていく」
旅人(トラベラー)がいった。
「これからどこへ向かう? 生き物の気配を見たというあの丘へ向かうか、それとも窓がエメラルド色に輝く塔へ向かうか? あるいはこれ以上まわり道をするのはよして、まっすぐ死の天使に会いにいくか?」

ミヤ「さっきの丘だよね!」

デァイブロ「ま、何かはいるだろうぜぇ」

【466】

生き物の影を見た気がしていたので、用心のためイバラのやぶに身をかくしながら丘に近づく。
頂上には大きな箱を守る奇妙な化け物が二匹いた。
一匹は頭に真紅の角の生えた大コウモリ、そしてもう一匹は馬ほどの図体で、あごひげを生やした真っ白い毛の犬だ。

テツヤ「あれも何かの神話がモトネタなのか?」

ディアブロ「よくわからんぜぇ。ちと様子を見てみるかい?」

一行は茂みに隠れて、相手を観察する事にした。すると……。

【16】

驚いた事に、化け物たちは口がきけるのだった!

「この箱に宝を集めはじめてから、だいぶたつなあ、相棒」
角のあるコウモリが目を細めて箱を見つめながらいった。

ミヤ「お話はできる子なんだね! じゃ話しかけてみようよ」

テツヤ「いや、まだ様子見だ。宝の箱ってのが気になる」

ディアブロ「お、盗賊らしい対応だぜぇ」

「まったくだ」
あごひげのある犬がうなずいた。

「英雄たちの時代が過ぎてからというもの、生者の世界からやってくる旅人はめっきり減った。それに大したお宝を持ってくるやつもいなくなったしな」

ディアブロ「どうやら人様から強盗を働く仕事をなされているようだぜぇ?」

「嘆かわしいことだ」
角のあるコウモリが、羽根をバタバタさせていった。

「おれはときどき、この箱がかわいい息子のような気がするんだ。あんまり長いこと新しい宝を入れてやらないと、こいつが泣いているようで、おれまで悲しくなってくるのさ」

「いや、まったくだ。それにしても、おまえはうまいいい方をするもんだな。こんな血も涙もない世界ではめったにお目にかかれない、深い情ってやつがあふれているぜ」

コウモリがうなずいた。
「おまえってやつは、いいやつだなあ。おまえがいてくれなきゃ、おれにはこんな仕事はいっときだって我慢できなかったろうさ」

テツヤ「いや、我慢どころか喜んでやってるだろ、絶対」

ミヤ「強盗さんだったのかー。でもこっちから襲うのもなんか気がひけるね」

テツヤ「じゃ、こっちから話しかけてみるか」

一行は潜んでいた場所から出て、二匹の魔物へと近づく。

【146】

あごひげの犬は、こちらの姿を見てのけぞらんばかりに驚いた。

ディアブロ「犬の方はあんまり頭のまわる奴じゃなさそうだぜぇ」

しかし、角のあるコウモリは平静だった。
「ようこそ、旅の方!」
やつは叫んだ。

「こちらへどうぞ。我々はこの丘から一度も離れたことがないんです。外の世界の話が聞けたら、こんなにうれしいことはありません……」

テツヤ「で、コウモリの方はセコく立ち回れるみてぇだな」

「用心した方がいい」
旅人(トラベラー)がささやいた。

ミヤ「だいじょうぶだよ」
といって、化け物に近づいてゆく。

テツヤ「当然、お宝にも近づいてゆく……と」

ディアブロ「まぁこの状況だと、目当てはそれになるねぇ」

アイテム強奪はRPG黎明期からの冒険者の仕事なのだ。

【192】

「それにしても、生きた人間がここを通るのはめずらしいことだ」
角のあるコウモリはそういって、箱のまわりを気遣わしげに飛びまわった。

「まったく、そうだ」
あごひげの犬が平静を装っていった。

「ここには、おれたちとこの宝の箱以外、見るものもありはしないんだから……」

その瞬間、二匹ははっとして顔を見合わせ、こちらをふり返った。
犬の顔がかすかに引きつった。
あわてて二匹はしゃべりはじめた。
コウモリは犬の口を羽根でふさいでいった。

「こいつがいったのは、あの……炭箱のことなんですよ。なかなか立派な箱でしょう? 中には炭しか入っていないといっても信じられないくらいにね?」

テツヤ「ギャグマンガか、このシーン」

ディアブロ「お宝の事を彼らの用語で『炭』と呼ぶ事にしているなら、まぁ嘘じゃないんだろうぜぇ」

「まったくだな」
旅人(トラベラー)が落ち着きはらっていった。

「どう見たって、それは宝の箱というところだ」

「ハッハッハ」
あごひげの犬が大声を張り上げた。

「宝だって! そりゃまた、突拍子もない考えだ! ハッハッハ」

もう少し会話を続けられるので、塔の事も聞いてみる。

【134】

「塔のことは、ほとんどといっていいほど知りません」
コウモリがいった。

「俺だって、こいつより知らないよ」
犬がいった。

テツヤ「この犬、どことなくバカっぽさがあるな」

ミヤ「あたしは可愛いと思う!」

「だれも住んでいないと思うよ」
コウモリがいった。

テツヤ「じゃあ、あの上の窓の明かりは何なんだ?」
そういいながら塔を見ると、こちらからでは明かりが見えないのに気づく。

テツヤ「ああ、角度の問題か……って、大昔からここにいたんじゃないのか、こいつら」

ミヤ「大昔からずっとここだけに居たんじゃない? 冥界の住人さんの大半は、何百年もずっと同じ所にいそうだよ」

「明かり?」
コウモリがいった。

「上の窓だって?」
犬がいった。

「それじゃあ、だれかが住んでいるんだ」
二匹はこそこそと顔を見合わせていった。

「ってことは、宝も……」

ミヤ「あ、物を盗りに行く気なんだ」

テツヤ「強盗稼業何百年、か」

「エヘン」
コウモリがいった。

「では、何者かがあの塔に住んでいるのですね。我々は長いあいだここを離れなかったので、ちっとも知りませんでした」

「驚いたな」
犬がいった。

「行って確かめたほうがいいな……いや、いずれ、今すぐってわけじゃなくて」

ここで盗賊が行動を起こす事ができる。多分、この巻で一番の見せ場である。

【177】

Photo(盗賊)

テツヤ「それにしても不思議だな」
やつらに向かっていった。

テツヤ「あっちの丘の宝はどうして警護もなくほったらかしてあるんだろう……」

「えっ?」
コウモリがいった。

「なんのことです? あっちの丘って?」

「どこのことだ?」
犬がいった。

ミヤ「本当にどこ? そんなもの、あった?」

ディアブロ「いいから静かにしておこうぜぇ。君の叔父ちゃんが誉められない仕事をしているからね」

川の向こうを指さす。
テツヤ「この林をまっすぐ行った向こう岸の丘だ。盗んでくれといわんばかりに、穴の中に宝石や金貨が山積みされているんだがよ」
やつらの顔色が変わったのを見て、にっこり笑いかけた。

テツヤ「どうして確かめに行かないんだ?」

ディアブロ「まともな脳味噌があれば、こんな見え透いた話には食いつかないはずだぜぇ」

「おい、早速行ってみようじゃないか」
犬はむっくり起き上がっていった。

「あわてるなよ」
コウモリが相棒の耳にささやいた。

「俺たちが行っちまったら、あいつらは宝の箱と一緒に残ることになるじゃないか」
二匹はこちらをじろりとにらんだ。

「俺が行って見てくるよ」
コウモリがいった。

ディアブロ「まともな脳味噌がある奴ばかりでもないぜぇ」

テツヤ「ま、腰をおろして一服しとくか」

コウモリは林の向こうの闇の中へ消えた。
しばらく待つ。
それから、木の枝で地面をつっつきながら、犬に向かっていった。

テツヤ「相棒は遅いな? あいつ、見つけた宝があまりすごいもんだから、自分のものにしようと思ったんじゃないか?」

犬は鼻先で笑った。
「ばかいえ! あいつは信頼できるやつだ。俺を裏切ったりするもんか!」

ミヤ「あたしもしないと思うけど」

ディアブロ「まぁ、この時点ではそうだろうぜぇ」

テツヤ「しかし、それにしても遅くないか?」

「行くのに手間取ってるんだ」

テツヤ「飛んで行くのにか?」
皮肉な笑い声をたてる。

テツヤ「しかしまあ、あんたのいうとおりなんだろう……」

犬はしばらくウロウロと歩きまわっていた。

「おれは決めた」
ついに犬がいった。

テツヤ「ほう?」
とぼけて鼻をこすった。

「相棒がどうなったのか見てくるつもりだ。しかし、この箱をここに置いていきたくない。そりゃあ、中味はただの炭なんだが。こいつをおれの背中にのせるのを手伝ってくれないか」

ミヤ「おっけー!」

ディアブロ「さすがにそう簡単に、箱をくれはしないねぇ」

テツヤ「ま、そう慌てんな」

こちらは、やつが箱を背負うのを手伝った。
テツヤ「炭にしては重いな?」
そういってやった。

「全部炭だよ」
犬が叫んだ。
やつは丘を下って、イバラの茂みの中に消えていった。

ミヤ「箱を盗むの、失敗したね」

テツヤ「ま、ダメモトって言葉があるし、何か消費したわけじゃねぇからな。それにまだ終わったとも決まってねぇ」

よって少しのあいだ、ここで待つ。

【518】

Photo(盗賊)

まもなくコウモリが戻ってきた。
「あなたのかんちがいですよ。あそこには何もありませんでした」
やつは疲れたようすでいった。

「おや? 私の相棒はどこへ行きました?」

ミヤ「それはね……」

ディアブロ「はいストップ。叔父ちゃんの仕事を邪魔しちゃいけないぜぇ」

テツヤ「まったく、どこへ行ったのやら」
顔をしかめていってやる。

テツヤ「あんたが行ってしまってから、やつはこの機に宝を一人占めにしたいと考えたようだ」

「私の信頼できる相棒が? そんなばかな!」
コウモリは絶句した。

テツヤ信頼していたのは、あんたのほうだけだったんだな」

コウモリは涙をこぼした。
そして怒りの目でこちらをにらんだ。

「卑劣なやつはどっちへ行きました? 教えてください。このまま逃がすものか。何世紀ものあいだ、私はあいつの馬鹿さ加減や下品な会話を我慢してきたんだ。あいつに思い知らせてやらなきゃ、腹の虫がおさまらない!」

ディアブロ「こっちはあっさり掌を返したぜぇ。犬の方が、頭が悪いぶん騙され難かったかねぇ」

わざととぼけていった。
テツヤ「俺は関わりたくないんだが、しかし、これではあんたがあんまり気の毒だ。あいつはあの塔に隠すとかつぶやいていましたよ」

「そういうことか!」
コウモリは叫んで、空に飛び上がった。

ミヤ「行っちゃった……」

テツヤ「じゃ、ちょいと寝転んで待つか」

数分が経過した。
犬は背中に宝の箱を背負ったまま、ぶすっとした顔で戻ってきた。

「こんな荷物があっては、川を泳いで渡れないってことを忘れてたよ」
犬がいった。

「あんた、行ってコウモリに何が起きたか見てきてくれないか。おれはここで待ってるから」

テツヤ「わざわざ行かなくても、相棒に何があったか話してやれるよ。しかし、これを聞いたら、あんたは悲しむだろうな」

「どういうことだ? 相棒がひどい目にでもあったのか? 泥棒にでも襲われたのか?」

テツヤ「そうじゃない。しかし、やつはあんたとの友情をこれまでと決めたらしい。やつはすごい宝を持ってあっちの丘から帰ってきた。一人悦に入ったようすで、あんたのことをずいぶんひどいいい方をしていた。たしかこんなふうにいっていたな。“これは掘り出し物だ。あの山犬と分けあうなんて馬鹿げている。あの塔へ運んでいって隠すとしよう。あいつにはよじのぼれっこないからな” あんたにはショックな話だろう。しかし相棒の正体に目をそむけてはいけない……」

ミヤ「えっ? もう完全に焚きつけてない?」

ディアブロ「それを察する事ができる脳味噌があれば、彼らの話も変わったんだろうけどねぇ」

「くそっ!」
犬が叫んだ。

「腹黒のペテン師野郎! 俺はいままでずっと、あいつのためになんだかんだとつくしてやってきたんだぞ。仕返しをしてやる」

犬は塔のほうへかけだした。
それに距離をおいてつけていく。
塔にたどり着くと、コウモリが中から現われ、地面に舞いおりてきた。
やつは爪のあいだに金色に輝くお守りを握っていた。

「裏切り者め!」
犬がうなった。

「極悪人!」
コウモリが叫んだ。

二匹は怒り狂ってお互いにとびかかり、丘の斜面を組み合ったままころげ落ちていった。

激しい取っ組み合いののち、犬は敵ののどに鋭い牙を突き立てた。
しかしコウモリの爪も犬の腹にしっかり突き刺さっていた。

ミヤ「ええっ!? 何世紀もいっしょにいたのに、話もしなかったの?」

ディアブロ「そういう連中だったという事だぜぇ」

テツヤ「ま、いなくなった連中の事はどうでもいいだろ」

両方が死んだのを確認してから、やつらの持ち物を確かめるために、死骸に近づいていった。

テツヤ「さてさて、宝箱なんぞ久しぶりだな。全く、心が洗われるみてぇだ」

ディアブロ「景気が良くてけっこうw」

ミヤ「……」

【3】

コウモリが塔の中から見つけ出してきたのは、T字型の十字架で、頭の部分に円の模様がついている。
カイクハラン時代に、お守りとして人々が身につけていたものだ。
これを首にかけたいと思うキャラクターは25へ進め。

テツヤ「こいつの効果は後回しにすっか」

コウモリたちの宝の箱のふたがあいている。
中には以下のものが入っていた。

・鎧強度5の魔法の銀製の鎧(シルバー・プレート) 1着
※魔術師はこれを着たまま、呪文を唱えることができる。

・鎧強度4の魔法の鉄鎖製の鎧(チェイン・メイル) 2着

・鎧強度3の鋲を打った皮の魔法の鎧(スタッド・レザー) 1着
※魔術師はこれを着たまま、呪文を唱えることができる。

・魔法の斧 2本
※戦闘力は増えないが、打撃力がサイコロ1つ分増す。

・魔法の弓
※これで放たれた矢はサイコロ1つ+4のダメージを与える。

テツヤ「……まさか鎧や斧が詰まってるとはな。こりゃ予想外って奴だ」

ディアブロ「注釈で『魔術師は呪文を唱える事ができる』と書いてある所を見ると、書いてない鎧は魔術師の俺に着る事はできない、と考えるべきかねぇ」

ミヤ「斧も弓も、打撃力が増えて戦闘力は増えないんだね」

武具を選別する。
テツヤはチェインメイル(鎧強度4)と魔法の弓を入手。

ディアブロ「盗賊が金属鎧を着ていいのかねぇ?」

テツヤ「そりゃ他のゲームの理屈だな。この項目のどこにも駄目と書いてねぇぞ」

ミヤはシルバープレート(鎧強度5)と魔法の斧、魔法の弓を入手。

ミヤ「盾のお守りと合わせて、鎧強度が6になったよ」

テツヤ「だいぶ安心感が出てきたかな」

ディアブロはスタッドレザー(鎧強度3)を入手した。

ディアブロ「武器を使わないんで、こんなもんだぜぇ」

このほかに千枚の金貨も見つかった。
「ほう、これはたいした収穫だ」
宝に見入っているこちらに向かって、旅人(トラベラー)が皮肉っぽくいった。
戦利品を選び終わったところで、旅人(トラベラー)がいった。

「ずいぶん時間をとられてしまった。さあ、急ごう」

テツヤ「十字架の効果を確認してからな」

ディアブロ「荷物の関係で、俺かねぇ」

というわけでディアブロが装備。

【25】

このお守りは命の象徴だ。
死者の王国には、このようなものは他に二つとない。
これをだれかが首にかけると
、全キャラクターが影響を受け、敵から受けるダメージが半減する(端数切り上げ)
つまり攻撃によって17点の生命力を失う場合、お守りのおかげで9点のダメージですむのだ。

テツヤ「おいおい、全員がめっちゃ固くなったぞ!?」

ディアブロ「露骨に最終決戦仕様だぜぇ」

ミヤ「よし、これでなんでもドンと来いだよ!」

大した危険も冒さず大きくパワーアップだ。子供番組の年末商戦でもここまで露骨にやるかどうか。
この装備でもって、これからの戦いに立ち向かうのだ。

だがそれは次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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2016年10月25日 (火)

ブラッドソードリプレイ4-8 冥界の番犬

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:7 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個+2 精神力:7 機敏度:8 生命力:43
装備:ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(矢:2本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金85)(オボル銅貨入り) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 食糧一週間ぶん 金色の球

3ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:7 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2+2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:36
装備:ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(矢:1本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金の巻物 司祭長の杖 香油のびん 食糧一週間ぶん 記憶の沼の水

Photo_2ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:7 戦闘力:7 打撃力:サイコロ2個+1 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:36
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 琥珀の火口箱 魔法のパン 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 食糧一週間ぶん 銅の杖 蜜ろう

これまでのあらすじ

レジェンドという世界で「生命の剣」ブラッドソードを求めて旅する三人。
放浪の末に剣は完成したが、宿敵によって黄泉の国へ持ち去られてしまった。
それを取り戻すべく、三人は冥界へと乗りこみ、案内人とともに奥地へと向かう……。

ディアブロ「そしてついに長年飼ってたペットとお別れしたんだぜぇ」

ミヤ「スクリーボ……元気でね……」

テツヤ「お別れの理由が、なんとなく居ついたからってのはどうにかならねぇのか」

ならないのだ。

【299】

旅人(トラベラー)に案内され、荒野を抜けて、忘却の川にかかる屋根つきの橋にたどり着く。
向こう岸は黒い森におおわれている。
その向こうには、はるか遠くの山並みが、霧にかすんで見えている。

テツヤ「で、川を渡るんだよな」

ミヤ「屋根つきの橋かー。誰かいるのかな?」

もちろんいるのだ。

【256】

49 橋を渡ろうとすると、灰色のマントを羽織った女が、物陰から姿を現して橋の前に立った。
女の顔は整っているが、マントと同じ灰色をしている。

テツヤ「モノクロ絵だから見た目じゃわからねぇが、灰色の顔って血色悪いとかいうレベルじゃねけだろ」

ミヤ「この人も昔死んだ人だったりして」

ディアブロ「どうもここまでを考えるに、亡者はここら辺に好きなだけ留まっていられるようだしねぇ」

冥界の奥へ連行する鬼とか居なさそうだ。
それとも、亡者の村を襲っていたフクロウ使いがそれにあたるのであろうか。

「そこをどくんだ、モドガッド」
旅人(トラベラー)が杖をふるいながらいった。
「おまえには、橋を渡るじゃまをする資格などないぞ」

ミヤ「あ、知り合いなんだ」

テツヤ「顔が広いよな、このトラベラーって奴は」

「あなたを思いとどまらせようなどとは、考えてもいません」
女は低い声で答えた。
そしてこちらにふり向いていった。

「こちらの案内役は、この忘却の川の話をしましたか? 数多くの霊たちがこの水を飲んで、生きていたころのことを忘れようとするのですよ」

テツヤ「忘れる利点がなんかあるって事か。俺には不便に思えるんだがよ」

ミヤ「嫌な事をぱーっと忘れるのが、天国って場所の正体だったりして」

ディアブロ「それだと地獄の正体が気になるぜぇ。借金関係の書類と黒歴史ノートが山と待ち構えているのかね」

「この女のいうことに耳を貸してはいけない」
旅人(トラベラー)がいった。
「しゃべることで、いつまでもここにひきとめておこうという魂胆なのだ」

テツヤ「そりゃ困るな。こちとら先を急ぐんだから」

ディアブロ「そんじゃ、川の水を飲みますかねぇ。皆が飲んでいくなら、飲まないと困る事があるんだろうぜぇ」

ミヤ「記憶の沼みたいに、知識や呪文で飲んだ時の効果を調べられないのかな?」

られない。仕様なのだ。
よって度胸を決めて、川の水を一同三人いっき飲みする。
すると……

【321】

(水を飲んだキャラクター)

LETHEという暗号を記せ。

忘却の川の水は健忘症を引き起こす。
飲んだとたんに、記憶の大部分は、指のあいだからしたたり落ちる水のように、頭の中から消え去る。
冒険の旅のことは覚えているが、詳細については一部あやふやだ。
一緒に旅をしている者の名前は覚えているが、戦闘技術については、その大半を忘れてしまう。
つまり、生命力は変わらないが、
戦闘力と機敏度と精神力はランク2のキャラクターの点数になってしまう

テツヤ「うっ、ぐっ……戦闘能力が激減しちまった!」

ミヤ「今戦いになると物凄くまずいね!」

ディアブロ「俺は精神力が1点減っただけも同然だから、そんなに変わりゃしないがね」

とはいえ、これはこの先のイベントにおいてまず必要となる作業である。
こうしないと、物凄く分の悪い即死罠を食らうのだ。

必要な事は済んだので、一同は橋を渡る事にした。

【73】

橋を渡っていくこちらを見て、モドガッドは一人でくすくす笑っていた。
木造屋根の天井部分の陰の中に、キラキラ光る目がいくつもあって、こちらをじっとみつめている。

テツヤ「なんか気持ち悪い橋だな」

ミヤ「キラキラしてるし、そんなに不気味でもないかも」

ディアブロ「余計に不気味だと思うぜぇ」

「あれはまやかしだ」
気味の悪い目に見つめられ、落ち着きを失っているこちらに気づいて、
旅人(トラベラー)がいった。
「モドガッドのことばが、一見、意味ありげなのと同じことだ。あの女は神々によってここへ送りこまれ、ここを動くことができない。だが、これといった任務など命じられてはいない。橋を守るのが仕事というわけでもない。そこで彼女は、ここを通りかかる者に話しかけ、忘却の川の水を飲むように仕向けることを思いついたのだ。そうすれば、その者たちも自分と同じように、目的を失って生きることになるからなのだ」

ミヤ「死者じゃなかったんだね、あの人」

テツヤ「冥界生まれの冥界人てわけか。ついでに暇人でもあるらしいな」

ディアブロ「同情はするが、俺達にはあんまり関係ないぜぇ」

橋を渡りきり、川岸まで迫っているうっそうとした森の中へ入っていく。
大木のあいだには真の闇が広がり、どんなに大きな松明を持ってきても奥を見通すことはできないのでは、と思われた。

だが、旅人(トラベラー)は不安を感じているようすもなく、ランプに火をつけ、杖の頭にそれを縛りつけた。
ランプに、足元を照らすだけの明るさはあった。

ミヤ「そんなに急がなくてはならないの?」
森の中を進みながら、
旅人(トラベラー)の背に呼びかける。

「もちろんだ。黄泉の国にとどまる時間が長びくほど、人間界とのつながりが弱くなっていく。人間界へ戻るのが遅れれば、永遠にここをさまよいつづけなければならなくなるおそれがある。私のようにな……」

それはありがたくない初耳だった。
気を取りなおし、あたりを見まわす。

「これはアイアンウッドという木だ」
松のように見える葉を軽く打ちながら
旅人(トラベラー)がいった。
木の葉は金属音を立てた。

ミヤ「トラベラーさん、冥界からもう出られないんだ」

テツヤ「……さっきの話の流れからして、こいつが冥界に囚われてるのは、長く居続けたからって事だな。つまり死んだからここに来たわけじゃねぇのか」

というわけで、ここでの会話も旅人(トラベラー)の身の上のヒントになっている。

テツヤ「化け物は?」
前方の闇をみつめてきく。

「いるのは確かだ。しかしくわしくは知らない。全速力で森を突っ切れば、なんとか霧の門に到達できるだろう……」

ミヤ「よーし、全速力だよ!」

テツヤ「だからって走るんじゃねぇ!」

ゲーム的には、特に問題無く門まで行けるので安心。

【544】

アイアウッドの森の中を歩きつづける。
数時間が経過したとき、闇の向こうから、せきをするような音が聞こえ、頭上の枝がわざわざと鳴った。

テツヤ「おっ、何か出やがるか?」

驚いたような目でこちらを見て、旅人(トラベラー)は肩をすくめた。
「この森にひそむ化け物の正体を知る者はいない」
彼がいった。

「神々がやってくる以前にこの宇宙を支配していた、イミル時代の巨人たちの幽霊だという者もいるが」

ディアブロ「神はこの世に一人しかいないらしいぜぇ?」
と念を押す。

「それでは、そのお一人に祈りを捧げたほうがよい」
皮肉っぽっく笑って彼がいった。
「なにしろ我々は死の谷に向かっているのだから。おや、見てみなさい。森を抜けたようだ。ほら、あそこに門が見える……」

ミヤ「じゃあ神様にお祈りしながら行こう!」

テツヤ「じゃ、俺は御釈迦様に」

ディアブロ「じゃあ俺は旧支配者様にでもするかねぇ」

どれかの御利益があれば儲け物である。
まぁ実際には、運だのみするような危険なイベントではない。

【87】

森の周囲を取り巻くように、壁がつづいていた。
その壁は木でも石でもなく、燐光を放つ霧でできていた。
唯一の壁の裂け目の前に、狼の頭を持つ化け物が見張りをしていた。

「あれがガームだ」
旅人(トラベラー)がいった。

テツヤ「北欧神話だっけか? ガームってあんな化け物だっけか」

ミヤ「原典だと、大きくて狂暴な犬だったと思うよ」

ディアブロ「まぁテュポーンも異形の大巨人から馬怪人になってたし。あくまでレジェンド世界ではこうなっている、という事だぜぇ」

元ネタが神話であっても、原作厳守する必要は別に無いのだ。

狼頭の巨人は、うなり声をあげて突進してきた

ミヤ「狂暴なのは原典どおりみたい」

テツヤ「そこも大人しく変えておいてはくれねぇのかよ」

実は変えておいてくれているのだ。
このパーティは
蜜ろうを入手しているので、そうなる。

【451】

410 包みをあけて、蜜ろうをガームに見せる。
その匂いに気づくと、やつの目がギラリと光った。

「おれの大好物だ!」
やつには尻尾はなかったが、あれば喜んで振ったことだろう。

ミヤ「尻尾ないの? えー……残念」

テツヤ「あっても可愛くはねぇぞ、このツラだと」

ガームは大きな石の上にすわりこみ、蜜ろうにかぶりついた。
「うまかった!」
食べ終わると、やつがいった。
あまり頭のめぐりのいいやつではなさそうだ

「では、我々は門をくぐってもいいだろうな?」
旅人(トラベラー)がたずねた。

化け物は鋭い爪の生えた手を振った。
「よし。だがこのことは、だれにもいうなよ」

「もちろんだ」
霧の門に向かいながら、
旅人(トラベラー)が叫んだ。
そして小声で
「馬鹿な犬め!」とつぶやいた

テツヤ「誰にも言うなよって……王様が宴会で堂々とバラしてんのにかよ」

ミヤ「暗黙の了解化してるよね、きっと」

まぁ平和であるに越した事は無いのだ。
一行は門の向こうへ進む。

【69】

霧の壁の向こう側に出る。
目の前には、なだらかな平原がどこまでも広がり、石ころと枯れたヒースの草むらが点々と見えるだけだ。
薄明るい灰色だった空が、黒いベルベットのカーテンにおおわれたようになっている。
星はまるで見当たらない。

「死の天使が夜どおし祈りをつづけている場所に近づいてきた。我々は夜の中に深く沈みこもうとしているのだ」
旅人(トラベラー)がいった。
黄泉の国とは、時が場所に左右される夢の世界に似ている。だから、出会う物事が非現実的なものにも感じられるのだ。我々が見ているのは、幼いころから聞かされてきた死後の世界の夢のかけらなのだ」

テツヤ「天国の話しか聞かされずにいた奴は、この世界のどこに行っても極楽浄土が見えるのかよ」

ディアブロ「細かい例外はいちいちフォローしてないだろうぜぇ」

平原に二、三歩足を踏み出す。
だが、目指す山脈はあまりにも遠い。
数百キロはあるだろう。

ミヤ「すると、ここは?……」
案内役に尋ねる。

「人々が夢に思い描く世界と、彼らの意識もおよばぬ暗黒の深みとのはざまだ。エンフィドールの伝説でいえば、我々は花の咲き乱れる野エリュシオンに別れを告げ、底無しの淵タータラスへ下っていこうとしているのだ」

旅人(トラベラー)の話は大部分がちんぷんかんぷんだったが、エンフィドールの伝説なら、こちらも多少は知っていた。
荒涼とした平原を見つめながらいう。

テツヤ「つまり、地獄へ向かっているんだな」

ミヤ「うーん、エンフィドールの伝説に出てくる単語がギリシャ神話と被っているぞ。レジェンド世界ではエンフィドールって地方がギリシャにあたるのかな」

ここまでに、ロシア風の国やイスラム風の国は通ってきた。
ドラゴンウォリアーズTRPGでは、日本風の国も紹介されたらしい。
ギリシャ風の国があってもおかしくは無いだろう。

【358】

何キロも、平原をとぼとぼと歩いていく。
生き物のいる気配はない。
植物でさえまばらで、それもねじれたように生えている。
ときに枯れ木や岩が目に入ったが、近寄っていってその大きさを確かめるような距離ではない。

風はそよとも吹かない。
こちらのひそひそ声が静寂を破るのみだ。
荒涼とした風景を見つづけるうちに、催眠状態におちいる。
口数が減り、夢の中を歩いているような気分になる。

テツヤ「……」

ミヤ「……」

ディアブロ「……」

ただひたすら黙って歩く三人。
実は忘却の川の水を飲んで
いないと、ここで過去の苦痛や恐怖に襲われ、即死攻撃を食らう羽目になる。
精神力で抵抗はできるものの、
サイコロ3個をふって精神力以下を出せ、という難易度の高い判定だ。
だが記憶を失い
LETHEの暗号を得ている者は……

【342】

前方から何か聞こえる!
フクロウの鳴き声だ。
それに川のせせらぎの音も……。

テツヤ「ん? ああ、なんか通り抜けたか」

記憶を失いLETHEの暗号を得ている者は、安全に通過する事ができる。
ここまで来ればもう安心。
忘却の川の解毒剤、
記憶の沼の水をここで飲むのだ

【496】

(水を飲んだキャラクター)
LETHEの暗号がある者は、忘却の川の水の効力が記憶の沼の水の効力を無効にする。
よって
冒険開始時の戦闘力、機敏度、精神力を取り戻すことができる

こうして三人とも、元の能力値を取り戻す事ができた。

テツヤ「よし、これで万全だぜ!」

ディアブロ「もし記憶を失わずに飲んだらどうなるのかねぇ?」

ミヤ「酷い事になるよ

LETHEの暗号がない場合は、大変な事態になる。
記憶が、それも苦々しい記憶ばかりが、激流のようにどっと押し寄せる。
これに抵抗するには、よほどの幸運が必要だ。

サイコロを一つふる
1-
損傷はなし
2-ショック死
3-なんとか耐えて生き延びるが、無傷というわけにはいかない。
機敏度から2点引け
4~6-
気が狂う。冒険の旅を続けることはできるが、敵に出会うたびにサイコロを1つふらなければならない。出た目が1なら、仲間を攻撃してしまう。2なら、戦いが終わるまで何もできない。3から6なら、普通に戦える。

テツヤ「どんだけ嫌な事ばかり思い出すんだ、冥界のイベントは」

ミヤ「作者さんはこの巻を執筆中に、何かすごく嫌な事があったのかも」

ディアブロ「5巻が発売されないとかかねぇ?」

それは日本の話であり、イギリス本国では5巻まで無事刊行されたらしい。
余計なお世話を考えず、さらに死の国深部へ向かうのだ。

なお、もしここまでカラスのスクリーボを連れて来ていたら、特別なイベントが起こる
スクリーボの鳴き声により、記憶を失っているキャラクターが、本来の記憶を取り戻すのだ。

テツヤ「……なんでそんな事があのカラスにできるんだ?」

ミヤ「オーディン神の飼ってるカラス、ムーニンがその正体だからだよ」

テツヤ「いや、だからなんでそれが変な僧侶の一団に売られるんだって話になるが」

変な僧侶に売られてはいけないという理由も無い。
神鳥のゴッドなパワーにより、
記憶の沼の水を持ち歩く必要は無くなる。さらにアングバール王から蜜ろうをもらえない事により、荷物枠がさらに1個軽くなる。
なんと
荷物袋が2個ぶんも節約できるのだ。これは単キャラでプレイする時にのみ、かなり大きなアドバンテージとなる。

ディアブロ「微妙だぜぇ」

なお、ガームとの戦いは避けられなくなるので、そこは力押しで解決しなければならない。

ディアブロ「微妙だぜぇ」

まぁ過ぎた事はいいだろう。今や前進あるのみ。この先で何が待ち受けるのか。

それは次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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2016年10月20日 (木)

ブラッドソードリプレイ4-7 神殿と神

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:7 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個+2 精神力:7 機敏度:8 生命力:43
装備:ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(矢:2本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金85)(オボル銅貨入り) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 食糧一週間ぶん 金色の球

3ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:7 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2+2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:36
装備:ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(矢:1本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金の巻物 司祭長の杖 香油のびん 食糧一週間ぶん

Photo_2ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:7 戦闘力:7 打撃力:サイコロ2個+1 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:36
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 琥珀の火口箱 魔法のパン 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 食糧一週間ぶん 銅の杖

Photoスクリーボ

旅の途中で買われたカラス。

とりあえず当面、役に立つような能力は無い。
飯は食っているようだが、そのぶんの費用は免除されるので詳細は不明。

これまでのあらすじ

レジェンドという世界で「生命の剣」ブラッドソードを求めて旅する三人。
放浪の末に剣は完成したが、宿敵によって黄泉の国へ持ち去られてしまった。
それを取り戻すべく、三人は冥界へと乗りこんだ……。

テツヤ「冥界に来た途端に、変な馬人間にケンカ売られたり亡者にケンカ売られたりで揉め事が絶えねぇな」

ミヤ「冥界だから仕方ないのかなー。お爺ちゃん・お婆ちゃんが縁側でお茶のみながら挨拶してくる冥界とか、あってもいいと思うんだけど」

ディアブロ「そりゃ冥界じゃなくて田舎だぜぇ」

いろいろとバチ当たりな文章が脳裏に浮かばなくもないが、ここに書くのはひかえてゲームを進める事にする。

【467】

47地図によると、ここは忘却の川の岸辺だ。
川の上流へ向かえば屋根つきの橋がある。
川から離れた所にはサモンの神殿という建物があり、そのそばに記憶の沼がある。
さらに内陸部に向かうと、アケロン川と忘却の川が一つの川となり、その岸辺にはアングバールのハチミツ酒の館がある。

テツヤ「文章だけじゃよくわからんな。地図を出すぞ」

ディアブロ「ゲーム的に提示される選択肢は、橋・サモンの神殿・ハチミツ酒の館の三つだぜぇ」

ミヤ「地図で見ると、村からは神殿が近いね」

まぁ地図上の距離は、ゲームには何も影響しないので、どこへ向かうのも自由だ。
先ずは一行、サモンの神殿へ向かう事にする。

【222】

神殿が荒野の向こうに見えてきた。
丸屋根の載った白大理石の建物だ。
悪魔の彫刻がほどこされた柱に囲まれている。
そばには小さな湖があって、あざやかな色の魚が泳ぎまわっている。

ミヤ「このお魚さんたちも現世じゃ死んでるのかな?」

テツヤ「冥界で生まれて冥界で育った冥界魚じゃねぇのか」

ディアブロ「ここでこいつらを獲って食ったら、こいつらの魂はどこへ行くのか。ちと興味が無いでもないねぇ」

「ここは記憶の沼という」
片手で水をすくい上げ、指のあいだからしたたらせながら男がいった。

「この水は、失われた記憶をよみがえらせると聞いている。忘却の川の水の解毒剤ということになる」

テツヤ「忘却の川って何だ。知らねぇよ」

ディアブロ「他の地点へ先に行くと、そういう川が出てくるんだろうぜぇ」

ミヤ「あたし、僧侶だからこの沼の事を知ってるよ」

【348】

3(僧侶)

別の伝説によれば、記憶の沼の水を飲んだ者は、これまでの苦しい試練を、もう一度味わうことになると記されている。
もしこれを今飲めば、これまでに受けた損傷のすべてがたちどころに襲う。
そんなことになれば、気が狂うか、死んでしまう。
しかし、旅人(トラベラー)がいったように、忘却の川の水によって失った記憶を取り戻す解毒剤の役目を果たすということも、真実のようだ。

テツヤ「じゃなんでこの沼の魚は死んでねぇんだ」

ミヤ「これまでに苦しい試練を味わってないからだよ」

テツヤ「そんなに居心地がいいのか、この沼は……」

魔術師が【予言】の魔法を使えるので、それもやっておく事にした。

【407→344】

Photo_2(魔術師)

呪文によって、これから起こりうる未来がいくつか見えてきた。
自分が沼の水を飲んでいる光景に神経を集中させる。
すると、激しい痛みのために気が狂ってしまっていた。
飲むまえに予言の呪文を試したのは幸運だった!

ディアブロ「ま、これはさっき僧侶が教えてくれたとおりだぜぇ」

テツヤ「僧侶と魔術師、両方いても情報が重複するだけって事か」

ディアブロ「ところがどっこい、魔術師の【予言】には続きがある」

ミヤ「えっ」

次に神殿に入って行く光景に集中する。
自分は大理石の丸屋根の下にいる。
大きな鉛製のらっぱが天井から細い糸で吊り下げられている。
そこで呪文が切れた。

ディアブロ「とまぁ、プラスアルファ付きでござい」

ミヤ「うっ……調子にのってるな、このー……!」

テツヤ「しかしあんま大したオマケでもねぇな」

ディアブロ「タダの物に期待するのは誉められた事じゃ無いぜぇ?」

テツヤ「で、この沼は、ただのデストラップなのか」

ミヤ「忘却の川の解毒剤になるって言われたでしょ? ここで飲まなくても、持っていく事はできるよ」

テツヤ「いつか役に立つなら、持っていくのもかまわないがよ……」

【423→314】

旅人(トラベラー)は賛成してうなずいた。
「この水を飲むのは危険だ」
彼がいった。

「だが、あとで役に立たないとは限らない」
彼は
記憶の沼の水を水筒につめて、こちらに手渡した。

テツヤ「また変な所持品が増えちまったな。そろそろ荷物がいっぱいになりそうだぜ」

ディアブロ「現状、捨てるなら【食糧一週間分】になるんだろうねぇ」

ミヤ「勿体ないなー。なんとかやりくりして、食べ物は死守したいんだけど」

メシと荷物はともかく、ここでできる事は、他には神殿へ入る事だけだ。
よって三人は神殿へ足を踏み入れる。

【355】 

中に入ると、大きな鉛製のらっぱが丸天井の中心から長いひもで吊るされていた。
らっぱを手に取る。
しかしとても細いひもなのに、ひきちぎることはできなかった。

テツヤ「なんで引きちぎる事を前提にしてるんだ」

ミヤ「ちぎれる物はちぎるのが、レジェンド世界の風習なんだよ」

ディアブロ「まぁマジックアイテムと見れば持っていく方法を探すのは、TRPGの冒険者なら基本習性だぜぇ」

「らっぱをここから持ち出すことはできない」
旅人(トラベラー)がいった。

「しかし、これを吹いて、この死者の国のどこかにいる人を呼び出すことはできる。会いたい人の名を思い浮かべながら吹くだけでいい」

テツヤ「そりゃ助かる。さっそく使ってみるか」

【386】

ここで呼び出す対象にできるのは、以下6種。
ただし死んだor殺した者だけだ。

・トビアス
・イコン
・コーデリア
・黄泉の国へ来るまでに死んだ仲間
・ササリアン殿下
・プシュケ

テツヤ「知らない名前もあるし、身内は誰も死んでねぇしで、呼べる奴は限られてるな」

ミヤ「ササリアンさんやプシュケさんと再会しても、味方にはなってくれないよね」

スクリーボ(別のルートを通れば、ここでヒントをくれる過去の預言者を呼び出す事もできるんだが……今回はその名を知るイベントは通過していないのダ)

テツヤ「よし、先ずはイコンを呼んで叩きのめす。ブラッドソードを返してもらわねぇとな。その後、エンタシウスの恋人・コーデリアを呼んで、いっしょに冥界を出てもらおうか」

さて、そう上手くいくかどうか……。

【272】

イコンの名を頭に浮かべて、らっぱを吹く。
荘重な音色が鳴り響く。
なるほど、この音なら黄泉の国の隅々にまで届くことだろう。
宿敵が現われたら、対決するしかないと、気を引きしめて待つ。
しかしらっぱの音が鳴り終わっても、やつの出てくる気配はなかった。

テツヤ「来ねぇじゃねぇか」

ミヤ「来ないね?」

「おかしい」
旅人(トラベラー)がいった。
「黄泉の国のどこにいようと、呼ばれた霊はやってくるはずなんだが」

ディアブロ「必ず来る笛を吹いたが、やってこなかった。さて、どういう事かねぇ?」

スクリーボ(終盤、嫌でもわかるが、このイベントが大きなヒントなのだナ)

来ない者は仕方が無いので、コーデリアを呼び出す事にした。

【504】

らっぱの荘重な音色が響きわたった。
その音色がまだ鳴り終わらないうちに、神殿に何者かが現われたような気配がした。
ふり返ると、ほっそりした若い女が音も立てずに、柱のあいだをすり抜けてやってきた。
女は入口に立ち止まり、こちらと話すのをいやがっているようすだった。
何もいわなくても、この女がエンタシウスの恋人コーデリアであることはわかった。

テツヤ「これで縁もゆかりも無い別人だったら驚きだぜ」

ミヤ「なんか生気のない人だね」

ディアブロ「何世紀も前に死んだ元気ハツラツの人ってのは、なかなか居なさそうではあるねぇ」

旅人(トラベラー)が女に手を差し出したとたん、女の姿は消えた。
「黄泉の国の暮らしが長いので、おそらく生きている人間の迫力にまごついたのだろう」
旅人(トラベラー)がいった。

テツヤ「……ん? じゃあどこかへ立ち去ったという事か?」

ミヤ「同行してくれないんじゃ、連れて帰りようがないけど……」

このイベントをどう判断して処理するのか、正直、今でもよくわからない。
だがここでできるのはここまで。
やや消化不良ながら、他所へ行くしかないのである。

ミヤ「じゃあどこへ行くの?」

ディアブロ「ハチミツ酒の館へ行くか、行かないかだねぇ」

テツヤ「ビールよりマシな酒が出る事を期待して、館へ行ってみるか」

【322→497→142】

「ああ、アングバールの館だな」
館をめざすとこちらがいうと、
旅人(トラベラー)が答えた。
「じつをいえば、川を渡るまえにあそこに行くように、すすめるつもりだった。あそこには蜜ろうがあるはずだし、蜜ろうは霧の門を守る化け物ガームの大好物なのだ。それが手にはいったら……」
彼は終わりまでいわずにくすくすと笑いはじめた。

「私のいう事を信じなさい。館に行けば、行っただけのことはある」

テツヤ「行き先を決定してから『勧めるつもりはあった』とか、具体的な事は何も出さないとか、つっこみどころ有りすぎんだろコイツ」

ミヤ「旅人さんであって案内人さんじゃないもんね、そういうもんなんだよ」

ディアブロ「じゃあ彼は何のために着いて来てるのか、という問題になるぜぇ」

実はちゃんと答えが用意されている。
だが今は館へ向かうのだ。

【166】

アングバール王の館は、切り妻造りの壮大な木造建築だった。
ひさしにはドラゴンの頭部の彫刻がほどこされ、北方建築によく見られる美しいルーン文字や、うずまき模様が、金で描かれている。
まだ数百メートルも離れているというのに、薄明りの向こうから、酒を飲んだり歌ったりする騒ぎが聞こえてきた。

テツヤ「どんだけ騒いでんだよ」

ミヤ「ここは冥界なのに凄く陽気で賑やかだね! あたし、こういうの大好きだよ!」

ディアブロ「まぁ死者は陰気でなければいけない、という法は無いからねぇ」

「おやおや」
旅人(トラベラー)がいった。
アングバール王と家来たちは、いつものとおり酒盛りの最中だ。彼らは宴会場にでもいるつもりなのだ」
彼はふと何かに目を止め、こちらのそでを引っぱった。

「あそこを見なさい。ほら、あっちの……」

アケロン川の向こう岸に広がる荒涼とした沼地に目をこらす。
そこには灰色の目をした無数の幽霊が、ふらふらと歩きまわる姿があった。
彼らの嘆き悲しむ声は、館の騒ぎにほとんどかき消されてしまっていたが、時折聞こえるその声は、身が凍るほど恐ろしかった。

テツヤ「川一本挟んで、えらい違いだな……」

ディアブロ「あれ、わざわざ見せる必要のあるもんなのかねぇ?」

ミヤ「あの幽霊たちは苦しんでいるのかな?」
こわごわたずねる。

「彼らは埋葬されなかった死者だ」
旅人(トラベラー)が答えた。
「あの沼地はコキュトスという悪臭を放つ川が注ぎこむところで、彼らはあそこを永遠にさまよい歩く運命なのだ。コキュトスとは古代エンフィドールのことばで“嘆きの場所”という意味だ。だが彼らのことは忘れよう。我々の目的地はアングバールの館だ」

うなずいて、旅人(トラベラー)の後についていく。
そして大きな両開きのドアの前に立つ。
鉄の縁取りのあるドアには、雷神トールのシンボルのハンマーが飾られている。

旅人(トラベラー)は杖でドアを叩いた。

重い音が響きわたった。
館の中はシーンとなった。
そして声がした。
「ドアをあけろ。その者たちを入らせるがいい!」
トール神がどなったような大声だった。

スクリーボ(というか、トール神の化身なのダ、アングバール王は。これはわざと戦いを挑んで個別のアクションを起こさないとわからない事なのだガ)

このゲームはあえて最適では無いルートを通る事で知る事ができる裏設定がいくつかある。
物語性を重視している、と言えなくも無い。

【526】 

48_2館の中へ入っていく。
中央の炉には赤々と火が燃え、大広間の天井は煙でかすんでいた。
ハチミツ酒の杯を手にしたまま、だまってこちらを見ている戦士たちの前を通り、アングバール王の前に進み出る。
王は人間離れしたたくましい体つきをしていた。
真っ赤なあごひげをはやし、目には荒々しさがみなぎっている。

テツヤ「おっ、洋ゲー感あるキャラだな」

ディアブロ「日本のゲームだと鎧武者になったりしたねぇ」

神話の再解釈である。
神様だったのに悪魔をやらされる方もいる業界、鎧と斬鉄剣ぐらいでどうこういう方々でも無いはずだ。

王に話しかけようとすると、執事が前に進み出て、ドアのそばの棚を指さしていった。
「客人方、おそれ入りますが、殺しの道具を手にしたまま、王にお近づきになることは、遠慮していただいております」

旅人(トラベラー)は肩をすくめ、杖を棚に置いてからアングバール王の前に進み出た。

特に逆らう理由も無いので、一行も言われたとおりにする。

【22】 

旅人(トラベラー)の杖の横に武器を置く。
執事は、こちらがさっそく指示に従ったのを見て、満足げにうなずいた。

「館の作法を尊重してくださり、うれしく存じます。それでは我らが王アングバール様の前へお進みください。必ずや心からの歓迎を受けられることでしょう」

テツヤ「帯剣したままだと受けられずに追い出されるわけか?」

ディアブロ「いんや、戦闘になるようだぜぇ。3巻の悪魔どもをブチ殺せるぐらい強い王様に相手をしていただく事もできる、出血大サービス」

テツヤ「……武器の有無を気にする必要があるのか、この王様」

ミヤ「襲われるのが怖いんじゃなくて、宴会場にケンカ腰で来られるのが嫌なんだよ、きっと」

まぁ当然であろう。飯はリラックスして食う物だ。
個人的にも、飯時に鬱陶しい気分になる状況だけは本気で御免こうむる。
数年前に会社のつきあいで出席しなければならなかった酒の席は、今思い出しても(以下削除)。

【495】

王に仕える給仕女たちがふるまってくれたハチミツ酒は、魔法の酒だった。
一口飲むと、疲れきっていた身体に活力がよみがえった。

傷ついていたキャラクターは(プレイグ・スターの呪いを受けた者も含めて)元の生命力にまで回復することができる

テツヤ「どこのスターがどんな攻撃をするのかは知らねぇが、この酒が凄い事はよくわかる。この館、完全回復ポーションで宴会してんのか」

ミヤ「この館の戦士さんたちは、戦いにはこのお酒を持っていくんだろうね。強いボスの凄い攻撃を受けた後、全員でお酒を一気呑みするんだよ」

飲み薬だとおかしく感じないのに、酒だと急に違和感が出る不思議。
我々はアルコールへの偏見を改める時が来ているのかもしれん。
気のせいかもしれん。

旅人(トラベラー)はアングバール王と面識があるようなので、話は彼に任せることにした
「アングバール様」
旅人(トラベラー)がいった。
「私たちは怪物ガームの守る門を通らなければなりません」

「ガームか」
王が答えた。

「あれは確かに困り者の化け物だ。だがあいつの父親と比べれば大した悪者ではない。蜜ろうを少し持っていくがいい。ガームはあれが大好物だからな。スラッド姫!」

王の娘スラッド姫が蜜ろうの包みを運んできた。
王に礼をいい、立ち上がる。

テツヤ「回復も物くれるのも無料かよ。えらく気前がいいな、この王様」

ミヤ「むむ……蜜ろうがあるという事は、冥界ミツバチがどこかにいるという事になるぞ」

ディアブロ「地上にいる生き物は、基本、なんでもいると思って良さそうになってきたぜぇ」

亡者と鬼と冥闘士ぐらいしかいないだろう、という認識をそろそろ変える時が来た。

【195】

暖かい館から凍てつくような外に出る。

ここで次の行先選択……の前に。

【34】

スクリーボがいないことに、はじめて気づく。
カーという大きな鳴き声に上を見上げると、やつは館のひさしにとまっていた。
おりてくるように何度いっても、やつはそこを動かず、小さく光る目でこちらを見ていた。

テツヤ「ん? どういう事だ? ここが故郷ってわけでもねぇだろうに」

ミヤ「でも戻ってくる気はなさそうだね?」

やつはここにおいていくしかあるまい。
馬鹿なカラスだ!
何年も敵から守ってやり、食わせてもやったというのに。

ミヤ「えー! そんな! 一体どうして!?」

ディアブロ「蜜ろうの入手と引き換えって事だぜぇ」

ミヤ「だからどうしてよ!?」

後々、スクリーボが便利アイテムとして役立つイベントがある。
蜜ろうは別の場所で使うアイテムなのだが、2択で片方だけ持っていけるという構成なのだ。
だがスクリーボの代わりのアイテムはちゃんと存在するので、スクリーボを後生大事に飼い続けるのは、あまり意味の無い選択肢なのである。

テツヤ「本当に使い道が無かったな、あのカラス……」

ミヤ「そんな……」

割とどうでもいいアイテムだったカラスとお別れ。
がっかりしながら先へ進む一行を待ち受けるのは何か。

それは次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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2016年10月15日 (土)

ブラッドソードリプレイ4-6 案内人

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:7 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個+2 精神力:7 機敏度:8 生命力:43
装備:ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(矢:6本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金85) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 食糧一週間ぶん 金色の球

3ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:7 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2+2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:36
装備:ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(矢:6本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金の巻物 司祭長の杖 香油のびん 食糧一週間ぶん

Photo_2ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:7 戦闘力:7 打撃力:サイコロ2個+1 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:36
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 琥珀の火口箱 魔法のパン 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 食糧一週間ぶん

Photoスクリーボ

旅の途中で買われたカラス。

とりあえず当面、役に立つような能力は無い。
飯は食っているようだが、そのぶんの費用は免除されるので詳細は不明。

これまでのあらすじ

レジェンドという世界で「生命の剣」ブラッドソードを求めて旅する三人。
放浪の末に剣は完成したが、宿敵によって黄泉の国へ持ち去られてしまった。
それを取り戻すべく、三人は冥界へと乗りこんだ……。

テツヤ「乗りこんだはいいが、どこへ行ったもんだかわからねぇな」

ミヤ「テュフォンを倒したら出てきたひづめの跡があるよ。これについて行けばいいじゃないかな?」

他にアテも無いので、三人はこの変な道を歩いて行く事にした。

【154】

硫黄の臭いのする煙をあげるひづめの道は、陰気な霧にとざされた谷に下っていく。
スゲやヒースの茂みの向こうに、こちらをうかがっている目があるような気がする。
しかし生き物の姿は見えない。

テツヤ「そもそも『生き物』がいるのか? 冥界だろ、ここ」

ミヤ「もともと冥界で生まれた生き物なら、一度も死んでないから生き物だよ」

ディアブロ「冥界にいるけど種族がアンデッド以外のモンスターなんぞ、ファンタジーゲームには佃煮にするほど居るぜぇ」

テツヤ「そんなもんなのか……」

道は古い墓の集まる場所にさしかかった。
苔むした石をてっぺんに載せた墓丘がうずくまるように並び、筋肉の盛り上がった肉食獣の肩を思わせた。

テツヤ「で、生き物がいるなら墓場もあるのは道理って事か。でもこれ、多分モンスターが出るだろ」

ミヤ「冥界で生まれて冥界で死んだ住人さんが冥界で不死者になってもおかしい事は無いよね」

テツヤ「なんかもう冥界って名前の隣国ぐらいの感覚だな……」

地面の底からうめき声が聞こえた。
墓の一つの上に載った石がカタカタと音を立てはじめた。
別の墓からは霧が激しく噴き出した。
墓の住人がこちらに気づいて、深い眠りから目をさましたのだ。

ディアブロ「ご期待に応えてくださったようだぜぇ?」

ミヤ「はいはーい! ここで僧侶が行動をおこす事ができるから、私がやるよ!」

3【229】

  (僧侶)

亡者(ワイト)たちがあちこちで息を吹き返そうとしていた。
やつらが墓の中で生き返るまえに、一掃してしまわなければならない。
墓は七つだ。
墓一つに対してサイコロを二つずつふれ。
出た目が9以上なら、亡者は滅び、墓からはい出して襲うことはない。
何人の亡者を追い払うことができたかを確認せよ。

7回の挑戦の結果、3体の敵を戦闘前に追い払う事ができた。

ミヤ「冥界のお墓の中で生き返ったアンデッドを3体滅ぼしたよ!」

テツヤ「死んでんのか生きてんのか、そいつら混乱して頭が爆発したんじゃねぇだろうな」

ディアブロ「生き残った4体と次の項目で戦闘だろうし、俺は呪文を準備しておくぜぇ」

数が多いので、ここはネメシスの電光ではなく【雷撃】を準備しておく。

46 【154】

土まんじゅうの墓が盛り上がり、ぱっくりと口をあけた。
かびくさい臭いが立ちのぼり、古代の衣装を身につけた七人の亡者がはい出してきた。
灰色の顔が憎しみにゆがんでいる。
そして銀色の剣の切っ先をこちらに向け、声をそろえて歌いはじめた。

「温かい血よ、力みなぎる筋肉よ、冥土はおまえたちを迎え入れはしない。ここは死者が大手をふるい、歩きまわる土地。生者はおとなしく眠れ」

やつらは前進してきた。
射撃の行動を選べるキャラクターは、先手を打って、一度だけ攻撃できる。

ワイト(W)
戦闘力=7 精神力=8 鎧強度=2
生命力=15 打撃力=サイコロ1つ+1 機敏度=6

僧侶が悪霊払いを使って亡者を一人でも倒している場合は、人数を調整せよ。

ミヤ「誰から消せって指示はないね。好きな相手を倒した事にしていいのかな?」

テツヤ「多分そうだろ。ここはディアブロに近い奴を……」

ディアブロ「いや、こっちには呪文と飛び道具があるぜぇ。ここは距離の近い奴から消して、敵が近づく間にできるだけ弱らせ、後に位置調節して迎え撃つ……てのが得策だと思うがねぇ?」

ミヤ「じゃそうしよっか」

B-2、B-5、G-4のワイトを消去。

馴れぬ土地で逃げようとしてもむだだ。

ディアブロ「逃亡は許されないらしいぜぇ?」

テツヤ「やるしかねぇな。個々は大した事のない相手だし、なんとかなる筈だ」

ミヤとディアブロは、ミヤが先に動く。
ワイトは適当にA~Dと区別しておく。

B18_2 〇先制射撃
テツヤ:ワイトAに射撃。出目9で外れ。
ミヤ:
ワイトBに射撃。出目6で命中。ダメージ6(被害4)。

〇第1ラウンド
テツヤ:ワイトAに射撃。出目12で外れ。
ミヤ:ワイトBに射撃。出目2で命中。ダメージ3(被害1)。
ディアブロ:雷撃の呪文を詠唱。出目5で失敗。

ワイトA:G-2→F-2へ移動。
ワイトB:G-6→F-6へ移動。
ワイトC:E-8→D-8へ移動。
ワイトD:B-8→B-7へ移動。

〇第2ラウンド
テツヤ:ワイトAに射撃。出目2で命中。ダメージ1(被害0)
ミヤ:ワイトBに射撃。出目5で命中。ダメージ4(被害2)
ディアブロ:雷撃の呪文を詠唱。出目7で失敗。

ワイトA:F-2→E-2へ移動。
ワイトB:F-6→F-5へ移動。
ワイトC:D-8→D-7へ移動。
ワイトD:B-7→B-6へ移動。

〇第3ラウンド
テツヤ:ワイトAに射撃。出目5で命中。ダメージ6(被害4)
ミヤ:ワイトBに射撃。出目64で命中。ダメージ7(被害5)
ディアブロ:雷撃の呪文を詠唱。出目3で成功。ワイトAに
ダメージ9(被害7)ワイトBにダメージ12(被害10)。撃破ワイトCにダメージ14(被害12)ワイトDにダメージ5(被害3)
ワイトA:-2→D-2へ移動。
ワイトC:D-7→D-6へ移動。
ワイトD:B-6→B-5へ移動。

〇第4ラウンド
テツヤ:ワイトAに攻撃。出目10で外れ
ミヤ:ワイトCに射撃。出目6で命中。ダメージ7(被害5)。撃破。
ディアブロ:白い火の呪文を準備。

ワイトA:テツヤを攻撃。出目7+1で外れ
ワイトD:B-5→C-5へ移動。
テツヤ:ダブルアクション。
ワイトAに攻撃。出目7で命中。ダメージ13(被害11)。撃破

〇第5ラウンド
テツヤ:ワイトDに射撃。出目10で外れ
ミヤ:ワイトDに射撃。出目12で外れ
ディアブロ:D-5
→E-5へ移動
ワイトD:C-5→D-5へ移動。

〇第6ラウンド
テツヤ:ワイトDに射撃。出目8で外れ
ミヤ:ワイトDに攻撃。出目7で命中。ダメージ5(被害3)
ディアブロ:
白い火の呪文を詠唱。出目7で成功。ワイトDにダメージ12(被害10)。撃破。

ディアブロ「運が絡んだが、また無傷で勝利だぜぇw」

テツヤ「チッ……攻撃はずしまくったわ」

ミヤ「どんまい、おじちゃん。あたしも矢があと1本しかないよ」

まぁ距離があると有利なパーティではある。
何か使える物を持っていないか、敵が出てきた墓を覗いてみる事にした。

【30】

四つの墓からは、獣の皮の切れ端と、すっぱくなったワインのびんしか見つからなかった。
欲しければこれを持っていけ。

テツヤ「いらんな、これは」

五つめの墓にはもう少しましなものがあった。
ワインのびんの下から細長い
銅の杖がみつかった。
六つめの墓からは、さらに値打ちのありそうな
鏡を張った盾が出てきた。
ちょうど英雄ペルセウスがメデューサを倒すのに使ったものに似ていた。

ディアブロ「杖は俺が貰おうかね。これでも魔術師なんで」

期待しながら、最後の七つめの墓におりていく。
しかし期待ははずれた。
そこには古代の
オボル銅貨の入った箱が一つあるだけだった。
欲しければ各自の金貨袋に何枚かつめていくがいい。
もちろん金貨より値打ちはぐっと低いが。

テツヤ「金貨袋に空きがあるから、ここに人数ぶん入れとくぞ」

墓の外に出て、亡者たちの鎧を調べる。
古代エンフィドールで好まれていたタイプの鎧だ。
これが欲しいキャラクターは身につけてもいい。
鎧強度は2だ。

ミヤ「鎧を無くしてる人は、これを持っていけって事だね。私たちには要らないけど」

取る物をとって、三人は再びひづめの道を先へ進む事にした。

47 【111】

行く手には、赤い斑点の浮いた緑色の石碑が立っていた。
土台部分に、腐食した銅板がはめこまれている。
泥と苔をぬぐうと、地図が現われた。
荷物に入っている巻き物の切れ端にこれを写しとる。
この地図を見直したくなることがあるかもしれないので、111というセクション番号をキャラクター・シートに記せ。
ついでにTABULAという暗号を書き添えよ。

ディアブロ「ここで荷物を全く持っていないと、突然、背負い袋の中から巻物が生えてくるんだぜぇ」

ミヤ「巻物を含めて荷物袋なんじゃないかな?」

テツヤ「そういうのいいから。ここからだと、村か神殿が近いからどっちかに行くぞ」

ミヤ「こういう時は村なんじゃないかな」

ディアブロ「コンピューターRPGなら、その村で新しい武具を新調するところだねぇ」

残念ながら高価で強力な武器が売っていたりはしないが、それでも村へ向かう事にする。

【265】

村にはまるで活気がなかった。
村人たちはものうげに断ちつくしたり、のろのろと動きまわっている。

テツヤ「この村人達も亡者なのか。あの世でどんな生活を送ってるんだろうな」

ミヤ「地上と同じ事してるんじゃない?」

ディアブロ「生きても死んでも生活が変わらないなら、生死の意味もずいぶんと薄いもんだぜぇ」

酒場を見つける。
酒場の主人と客たちは、動く元気もないようだった。
まばたきもせず、唇をなめることもほとんどしない。
それどころか、彼らは息すらしていないようだ。
酒場の主人の女房がだまったままうなづいて、ビールの入ったびんを差し出した。
ビールはよどんだ沼の水のような味がした。

テツヤ「本気で生前と同じ生活してんのか。つーかあの世にもビールはあるんだな」

ディアブロ「冥界大麦で造った冥界ビール、品質はがっかりクラス。悲しいねぇ」

ミヤ「大麦も死んだ大麦だからかも?」

「よそ者がここへ来ることは、めったにない」
カタウンターのそばに立っていた男がいった。
男の額には深い傷がある。
だが傷口のまわりについた血は、からからに乾いてさび色をしている。
男はこちらが傷を見ているのに気づいた。

「古傷だ」
男はいった。

「しかし、これが命取りになった」

ミヤ「死んでる人は毎日どこかにいるはずなのに、めったに人が来ないんだ?」

テツヤ「ビールが不味いから人が寄りつかないんだろ」

ドアがバタンとあいて、もう一人、男が入ってきた。
村人たちの目つきからすると、この男もよそ者のようだった。
男はゆっくりとした足どりでこっちに近づいてきた。
つば広の帽子の下で、目がギラギラと光っている。
男は古ぼけたマントを羽織り、肩には長い杖をかついでいた。
杖の端にはランプがぶらさがっている。

ディアブロ「言ったはしから訪問者だぜぇ?」

テツヤ「じゃあ次の訪問者は滅多の二倍ぐらいの期間、無しだな」

男は名を名乗った。
「私には生前、たくさんの名前があった。たとえばアガルモン、あるいはジステオス。この地にやってきてからも、最初のうちはウルティオと名乗っていた。今は旅人(トラベラー)で通っている。きみたちを、死の天使の元へ、お連れしよう」

こちらはあいまいな笑みを浮かべて答える。
テツヤ「それは興味深い。しかしなぜそんな役を引き受けようというんだ?」

「生前につくった借りを返すためだ。個人的な問題だがね。今ここで話しはしないが、いずれご説明しよう。ところで、食事はおすみかね?」

男はさびた銀貨を数枚、カウンターの上に置いた。
酒場の主人が黒パンのかたまりと、ラードの入った壺を持ってきた。

テツヤ「怪しい男に不味そうな飯と、ここまでロクでも無い村はいつぶりだろうな」

ミヤ「借りを返す? 私たちに関係あるんだよね、それ」

スクリーボ(となると、この男は……まぁいずれ嫌でもわかるゾ)

【465】

「ここの人びとは」
男はいった。

「死んだばかりの幽霊なのだ。まだ生きていたころのおもかげを強く残しているが、生きた人間と勘ちがいしないように」

まわりを見まわす。
酒場の客の魂の抜けた目にぶつかり、ぞっとする。

ミヤ「そしてごはんの粗末さにも。むしろそっちの方に」

男は黒パンを粉々にくだいた。
しかし食べる気はないようだった。

「彼らは生前、運命と神々に対して小さな罪を犯した。そのため、ここを離れることができずに苦しんでいる。今こうして罰を受けているのだ」

テツヤ「回りくどい言い方だな。わかる奴にはわかるのか?」

ミヤ「それで、どんな罰なの?」

【155】

男はにっこり笑った。
「さては彼らに同情したとみえる。しかし同情は不要だ。彼らはこういう目にあって当然なのだ」

テツヤ「笑うところなのか、そこは」

ディアブロ「他人の不幸が嬉しい人は、常にどこかにいるからねぇ」

村人の何人かがこちらの会話を聞きつけた。
「古代セレンチウムの暴君でさえ、こんな恐ろしい目にあっていいはずがない」
一人がいった。そのうつろなうめき声を聞いたとたん、血が凍るような気がする。
それは到底、生きている者の声ではなかった。

「助けてくれ」
別の村人がいった。

「この連中のことは忘れることだ。案内人として忠告する」
男がいった。

「彼らがどんなひどい目にあおうと、それをそちらがどんなに理不尽だと思おうと、そんなことに関わっていては、生命の剣を探すことは不可能だ」

ミヤ「えー。でも、私たちにできる事ならやってあげてもいいよね?」

テツヤ「事と次第によるって奴だが……まぁ考えても俺はかまわねぇ」

ディアブロ「反対はしない、って所かねぇ。こちらは」

ミヤ「反対なしだね! じゃあ決まり!」

【538】

どうしても村人を助けたいというと、男はあきれ、少し腹を立てたようだった。
「無意味なことだ」
男はため息をついていった。

ミヤ「たしかに無意味かもしれないね。でも、助けを請う人間がいるのに、見捨てるわけにもいかないよ」
村人を振り返っていう。

ミヤ「さあ、くわしい話を聞かせて」

酒場の主人が前に進み出た。
「私たちが死の祭人と呼ぶ化け物がいるのです」
主人がいった。

「やつらは悪鬼です。ときおりここにやってきて、私たちの中から一人か二人をさらっていきます。さらわれた者がどんな目にあっているのか、私たちには想像もできません」

「どんな目にあっているかなんて、わかりきったことだ」
旅人(トラベラー)が口をはさんだ。
やつにだまれと合図をする。

テツヤ「倒し方なら別だがな。茶々だけならいらねぇよ」

「やつらはまもなく、ここにやってきます」
主人が抑揚のない声でつづけた。

「お願いですから、ここにとどまってやつらをやっつけてください」

ディアブロ「冥界に来てから、急に戦闘が多くなったぜぇ」

テツヤ「まぁ地獄なんだろ、ここ。だったら仕方ねぇ」

ミヤ「うし、やるぞー!」

【242】

村人たちはにこりともせずにうなずいて、礼をいった。
ドアのそばに陣取り、戦いの準備をする。

ミヤ「やつらはどんなふうにやってくるの?」
村人たちにたずねる。

「ふくろうの鳴き声とともにやってきます」
村人の一人がいった。
「ご存じでしょうが、ふくろうの鳴き声は恐怖と死の先ぶれです。ふくろうの声が聞こえたら用心してください」

テツヤ「おっと……ここで俺が行動できるわ」

ミヤ「そうなんだ? 叔父ちゃん、がんばれ」

Photo【84】

(盗賊)

外に出て、あたりをみまわした。
向かいの家の屋根の上に、ふくろうが止まっている。
ふくろうが鳴くまえに、石ころを拾い、狙いを定めて投げつけた。
地面に落ちたふくろうを手に酒場の中へ戻る。

テツヤ「先ぶれがなければ、恐ろしいことも起こらないだろう」
村人たちに向かっていった。
そしてふくろうを、テーブルの上に放り出した。

テツヤ「これでうまいシチューでもつくったらどうだ? またふくろうが姿を見せたら、同じようにしてやればいいんだ」

旅人(トラベラー)が立ち上がり、杖を手にした。
「利口なやり方だな。さて、我々は出かけるとしようか」

ミヤ「え? そういうもんなの?」

テツヤ「いや、だから。フクロウが鳴いたら来るって決まりのある連中なんだろ? じゃあ鳴かなかったら来ないんだろ」

ディアブロ「なんだかおまじない的な解決法だが、それを考え付くのが盗賊ってのも不思議な話だぜぇ」

これもファンタジー世界的な機転という奴なのかもしれん。
TRPGなんかでこういう行動を取られた時に、この項目みたいな裁定をする自信は全く無いが。

こうして三人は粗末な食事しか無かった冥界の村を後にする。
先で何が待ち受けるのか、これからどこへ行くのか、旅人(トラベラー)とは何者か。

それは次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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2016年10月10日 (月)

ブラッドソードリプレイ4-5 地獄の一丁目

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:7 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個+2 精神力:7 機敏度:8 生命力:43
装備:ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(矢:6本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金85) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 食糧一週間ぶん

3ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:7 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2+2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:36
装備:ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(矢:6本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金の巻物 司祭長の杖 香油のびん 食糧一週間ぶん

Photo_2ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:7 戦闘力:7 打撃力:サイコロ2個+1 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:36
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 琥珀の火口箱 魔法のパン 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 食糧一週間ぶん

Photoスクリーボ

旅の途中で買われたカラス。

とりあえず当面、役に立つような能力は無い。
飯は食っているようだが、そのぶんの費用は免除されるので詳細は不明。

これまでのあらすじ

レジェンドという世界で「生命の剣」ブラッドソードを求めて旅する三人。
放浪の末に剣は完成したが、宿敵によって黄泉の国へ持ち去られてしまった。
それを取り戻すべく、三人は冥界へと乗りこむ……。

テツヤ「変なワン公の腹にしがみついてな」

ミヤ「中東っぽい街から、エジプトっぽい冥界の入り方してるね」

ディアブロ「ごった煮こそ創作ファンタジーの醍醐味だぜぇ?」

そういやヨーロッパ風ファンタジーは掃いて捨てるほどあるし、和風ファンタジーや中華風ファンタジーてのも知ってるが、中東とエジプトはあまり見ないな。

なおピラミッドだけはファンタジー世界各所に多々建設されているようだ。
ピラミッド職人の仕事場は多元世界の壁を超えるという事か。

【408】

気がつくと、この世とは思われぬ岸辺に打ちあげられていた。
空は灰色がかった緑色で、イスラム寺院の丸いドームのようだ。
色のないかすかな光が、どこからともなく差している。

ディアブロ「心の声が届いたわけじゃないだろうが、いきなり中東風の主張が出てきたぜぇ」

テツヤ「エジプト系の入口じゃねぇのかよ。あのワン公、もういねぇし」

ミヤ「お出迎えもなしかー。冥界の裁判官みたいな人が審判する所とは、違うルートから入ったんだね」

小石の浜のすぐ向こうには、数十メートルの断崖が延々と、どこまでも続き、切り立つようにそびえている。
崖の上に、半分壊れたリング状の石の建造物が見える。
そこへ達するには、断崖をよじのぼるしか手はなさそうだ。

テツヤ「いきなりクライミングする前に、まず周囲を調べてみるか」

よって砂浜を歩くことにする。

【354】

小石の浜と見えたのは、おびただしい数の、小さな灰色の頭蓋骨が敷きつめられた浜だった!
ネコかネズミのような小動物の頭蓋骨だ。
そこを避けて、灰色の波が灰色の砂を洗う、波うちぎわを歩く。

ミヤ「小動物は冥界でも骨になったままなんだ。お掃除のおばちゃんとかいないのかな」

ディアブロ「骨だけしか無いとは悲しいねぇ。宝箱が脈絡なく置かれていてもバチは当たらないだろうに」

WIZ7にはありましたよ……初期レベルのキャラクターが即死する罠が仕掛けられた宝箱がね。
そこまでではないが、実はこの海岸も結構危険な場所だ。

ふいに足元の地面が崩れ、しめった砂の中にズブズブと太ももまで埋まってしまう。
必死にもがいて、固い頭蓋骨の浜にはいあがる。
両足に、凝固しかけた血がこびりついている!
恐怖のあまり、胸がむかつく。
これは自分の血ではない。
けがなど、どこにもしていない。
しかし砂浜には、こちらの重みによってぱっくり口をあけた真っ赤な裂け目が、あちこちに開いていた。
まるで傷口のようだ。

テツヤ「結局は骸骨しか足場が無いのかよ!」

ミヤ「あ、なんか出てきた」

ぬれた砂の中から、骸骨のような人影がはい出してきた。
黄色い骨からは赤い血がしたたり、空っぽの目の奥に、真っ赤な火が燃えている。

テツヤ「いよいよ戦闘ってわけかい。4巻はここまでチャンバラなしで来たが、流石に地獄の入口で平和な観光旅行とはいかねぇな」

スクリーボ(しかし逃げ道はあるゾ。そしてこの骸骨を倒しても、何ももらえはしないのダ)

今ならまだ断崖にかけ寄って、よじのぼることができる。

というわけで、実入りの無い戦いからは逃げる事にした。
負ける相手でも無いが、面倒臭いだけではやる甲斐が無い。

【536】

断崖は思ったより高く、よじのぼるのは容易ではなかった。
何度か足をすべらせたり、手をかけた岩がくずれ落ちたりして、あやうく、はるか眼下の岩に叩きつけられるところだった。
死ぬ……考えてみれば妙な話だ。
死の天使アザレルの治める世界で死んだ者には、いったいどんな運命が待っているのだろう?
忘却か。
おそらくそんなところだ。
それとも、もっと恐ろしい運命が待っているのだろうか。
しかし、その答えだけは、ぜひとも知らずにすませたい。

ミヤ「容易じゃないしあやうく死ぬところだったけど、判定無しでどんどん登れるね!」

どこまでか?
無論、上までだ。

【310】

断崖をよじのぼっているあいだは、時間のたつのがおそろしくおそかった。
ようやく崖の上にたどり着き、感謝の祈りを捧げる。
しかし、こんなところでは祈りなどむだかもしれない。
風にのって腐敗臭が漂ってきた。
凍てついたような空を見上げると、死んだカモメのような醜い化け物が二、三羽、ギャーギャーと鳴きながら狂ったように飛び回っている。

ミヤ「あれも不死の魔物なのかなー。それとも外見がちょっと変わってるだけのカモメなのかな?」

テツヤ「まぁ襲ってこねぇならいいだろ。それより、ここらには何か無いのか」

ディアブロ「あの建物ぐらいかねぇ?」

半壊した石のリングを近くから眺める。
おそらく最初は完全な円形だったのだろう。
幾世紀を経て、上部のアーチがくずれ落ち、今のような姿になったにちがいない。

ミヤ「よし、調べに行ってみよう!」

【223】

こちらの接近を察したかのように、壊れたリングの両端からかすかな光が出はじめた。
そして耳をつんざくような音があたりを包んだ。
カモメのような化け物は、ギャーギャーと鳴きながら、海の向こうへ飛び去っていった。

ディアブロ「そしてここで、魔術師は【予言】の魔法を使う事ができるぜぇ」

テツヤ「だいたい危険無しでかけられる魔法だったな。やってみろ」

【315】

Photo_2 (魔術師)
ありがたいことに、死の世界でも魔法はちゃんと使えるようだ。

ディアブロ「よぉし、見えるぜぇ」

時のカーテンの向こうに、大きな化け物と戦う自分の姿が見える。
馬の頭を持つ化け物は、透明な戦棍を振り上げていた。
その先の未来を見ようと努める。
化け物を倒すと、すばらしい宝を手にしていた……。

ディアブロ「戦利品ありの戦闘ってとこかねぇ」

映像は消えた。
再び現在に戻る。
もっとも、この世界で時というものに意味があるのかどうかは疑わしかった。

ディアブロ「敵は単体のようだぜぇ。上手くいけば無傷で余裕だな」

テツヤ「また延々と遠距離攻撃を飛ばす戦法か……。まぁ利益には変えられねぇが」

というわけでディアブロに【ネメシスの電光】を準備させ、バトルオーダーは1=テツヤ・2=ミヤ・3=ディアブロに決める。
後は乗りこむだけだ。

【163】

45_2 光はどんどん強くなってくる。
たまらなくなって目を手でおおう。
光が消えると、リングの前に巨大な化け物が仁王立ちになっていた。
頭と下半身が馬で、胴体と腕は人間の姿をした怪物だ。
身体は黒大理石ででき、カッと見開いた金色の一つ目が、こちらをにらんでいる。
手には透明な戦棍がにぎられている。

テツヤ「来やがったな。やってやろうじゃねぇか」

「俺はテュフォンだ」
そいつがいった。
「現世からやってきた者にとっては、厄介な相手だ。俺を倒さなくては旅を続けられない。ところが俺は負けを知らない。どんなつわものも、このメイスの一撃には敵わないのだ!」

ミヤ「あ、この人、喋れるんだ」

ディアブロ「とはいえ向こうさんもやる気満々だぜぇ」

そのとき、テュフォンの石の身体全体にひびが入り、やつはあっという間に粉々に砕けてしまった……。

テツヤ「は……?」

ミヤ「いきなり死んじゃったよ、あの人」

ディアブロ「予言だと戦いになっていたはずなんだがねぇ?」

【398】

何が起こったのか、見当もつかなかったが、ひとまずホッとする。
そのとき、再びやつが、目の前の地中から飛び出してきた。

ディアブロ「おっと、予言は外れてなかったぜぇ」

テツヤ「なにぃ!?」

「早く慣れることだな」
やつは雷がとどろくような声で笑いながらいった。
「死の王国では、目に見えるものを何ひとつ信じてはいかんのだ」

やつはいきなり、メイスを振り下ろした。
バトルオーダーが1番のキャラクターは、この一撃を受けて
15点の生命力を失う(鎧強度は有効)。
生き残った者は、やつと戦うしかない。

テツヤ「痛ぇ! なんだこの無理矢理な不意打ちイベントは! 無傷どころか強制ダメージかい!」

ミヤ「叔父ちゃんがいきなり3割もっていかれたよ!」

スクリーボ(そのうえ、コイツは能力値もかなり高めなのダ)

B17 巨人テュフォン(T)
戦闘力=8 精神力=8 鎧強度=3
生命力=70 打撃力=サイコロ6つ+1 機敏度=6

ミヤ「機敏度だけは低いね、この人」

ミヤとディアブロが機敏度同値なので、サイコロをふってどちらが先に動くか決める。
ミヤ=6、ディアブロ=5だったのでミヤが先に動く。

テツヤ「味方同士での先行争いって意味あんのか」

ディアブロ「まぁルールだしねぇ」

〇第1ラウンド
テツヤ:防御。
ミヤ:C3へ移動。
ディアブロ:D3へ移動。
テュフォン:テツヤを攻撃(防御されているのでサイコロを3個ふり、盗賊相手なので+1する)。合計11で失敗。

テツヤ「そうそう何度も殴られてたまるか」

そして攻撃を受けるのはこれで最後だ。

〇第2ラウンド
テツヤ:B6へ移動。
ミヤ:C2へ移動。
ディアブロ:D2へ移動。
テュフォン:距離的にテツヤを追いかける。B5へ移動。

これで勝負あり。
後はテツヤがテュフォンの周囲を逃げ回り、ディアブロが【ネメシスの電光】を飛ばすだけだ。
13ラウンドかけて3発の電光を浴びせ、テュフォンは粉々になった。

ディアブロ「単体近接型への戦法は冥界でも安定だぜぇ」

テツヤ「正直、まともに戦うにはリスクが大きい相手だしな」

【61】

テュフォンは再び砕け散った。
だが今度は、元の姿に戻らなかった。
あとにはやつの目だけが残った。
固い水晶でできた、子供の頭蓋骨ほどの大きさの
金色の球が、ギラギラ光っている。
欲しければ、これを持っていけ。

テツヤ「これが素晴らしい宝って奴か?」

ディアブロ「痛い目も見たんだし、持っていくかねぇ」

ミヤ「叔父ちゃんのケガを治しておくよ。1点ずつの回復をサイコロ6回まとめふり~」

あっさり全快した。

テツヤ「よしよし、相変わらず有能だぜ。さて、次はどこへ向かうかだが……」

空がごろごろと鳴っていた。
いや、空が鳴っているのではない。
あれは馬のひづめの音だ。
姿のない馬の一団が、雷のようなすさまじい音を立てて押し寄せてくるのだ。
ガラスにひびの入るような音がしたかと思うと、近くの枯れ草の上にひづめの跡が現われ、煙が立ちのぼった。見守るうちに、ひづめの跡の数は次々とふえていく。
ひづめの跡は内陸部へと向かう一本の道になった。

テツヤ「……こっちに行け、という事だろうな」

ミヤ「よし、行ってみよう!」

さっそく卑怯攻撃をかます敵に出くわした冥界探索。
はてさて、この先はどこで何が待ち受けるのか。
それは次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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2016年10月 5日 (水)

ブラッドソードリプレイ4-4 エンタシウスの島

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:7 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個+2 精神力:7 機敏度:8 生命力:43
装備:ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(矢:6本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金85) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 食糧一週間ぶん

3ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:7 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2+2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:36
装備:ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(矢:6本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金の巻物 司祭長の杖 香油のびん 食糧一週間ぶん

Photo_2ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:7 戦闘力:7 打撃力:サイコロ2個+1 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:36
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 琥珀の火口箱 魔法のパン 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 食糧一週間ぶん

Photoスクリーボ

旅の途中で買われたカラス。

とりあえず当面、役に立つような能力は無い。
飯は食っているようだが、そのぶんの費用は免除されるので詳細は不明。

これまでのあらすじ

レジェンドという世界で「生命の剣」ブラッドソードを求めて旅する三人。
放浪の末に剣は完成したが、宿敵によって黄泉の国へ持ち去られてしまった。
それを取り戻すべく、三人は冥界への入口を知る魔術師の島へ来た……。

ミヤ「このお迎えの船で、そろそろ到着するんだよね。まだ見えない?」

テツヤ「まだだな。まぁ明日には着くだろ。出てくるのは、塔なのか城なのか豪邸なのか」

ディアブロ「アパートの一室とかだと斬新だがねぇ」

テツヤ「他の入居者がいるのか、それは」

斬新なのが常に良い事だとは限らない。残念な事ながら。

【項目71】

次の日、島が見えたと人魚が告げたのは、もう日が暮れようとするころだった。霧の向こうに目をこらすと、荒涼とした小石の浜がぼんやり見える。

テツヤ「あれがエンタシウスの島か? 不毛の地のように見えるが」

「もっともです」
人魚が答えた。

「ここからは浅瀬を渡って上陸なさい」

テツヤ「桟橋ぐらい作ろうって気にならねぇのか」

ディアブロ「客が少ないと設備投資にも回し難いんだろうぜぇ」

冷たい水の中を歩いて浜にたどりつく。
ふり返ると、バイキング船はもう島をあとにしようとしていた。
船は霧に包まれ、やがて闇の中へ消えていった。

ミヤ「あの船、普段は何に使ってるんだろ? 他のお客さんを迎えに行ってるのかな?」

テツヤ「基地にでも帰投すんじゃねぇのか。ま、俺らはエンタシウスとやらにさっさと会おうや」

【項目156】

島の荒涼とした岸部に立つ。
海から漂ってくる霧が、不毛の岩肌をおおいつくしている。
塔か宮殿でも立っているだろうと思っていたのに、見わたしても、人の住んでいそうな建物は一つも見当たらない。

テツヤ「何も無ぇな……地下迷宮でも作って引っ込んでるのか?」

ミヤ「おーい、誰かいませんかー?」

「ようこそエンタシウスの島へ」

テツヤ「なにぃ!?」

おどろいて見上げると、岩棚の上に美しい衣装をまとった女が立っている。

ミヤ「あ、本当にいたよ!」

ディアブロ「女って事は、エンタシウスご本人じゃなさそうだぜぇ」

テツヤ「あなたはだれだ?」

「私は召使いです。ついておいでなさい」
女は自分の立っている岩棚へ通じる小道を指さした。
案内されて石の階段を登っていくと、洞窟の入口に達した。
女の待つろうそくの明かりを頼りに、狭いトンネルを進む。
行き止まりに青銅のドアが並んでいた。
どのドアにも、人の横顔が刻まれている。
近づいてみると、古代セレンチウムの神ヤヌスを象ったものだった。

「ヤヌスは旅の神です。旅の始めと終わりをつかさどるのです」
女が叩くと、ドアは次々にひらき、地下室が現われた。
岩のくぼみや石筍のてっぺんに無数のろうそくが置かれ、壁が不気味に光っている。

テツヤ「マジで地下迷宮かよ。どうしてわざわざ地下なんだかな」

ミヤ「地下派と塔派があって、どっちがいいのかけんけんがくがく議論したりするのかな?」

ディアブロ「なんかの漫画の最強キャラ談義みたいで微笑ましい事だぜぇ」

そんな不毛な事を始める前に、一室に怪しい影がいる事に気づく。

44 突き当たりの壁に背を向けて、おそろしく年取った男が石の椅子にすわっている。
男の頭上には鍾乳石のアーチがかかっている。
男の肌はろう人形のようだった。

「エンタシウスさまです」
女がいった。

ディアブロ「おやま、番人も試練も無しに会ってくださるとは驚きだぜぇ」

テツヤ「まぁ船を寄越した事を考えりゃ、向こうさんも俺らに用事があるんだろうしな」

ではその用事とは?

【項目316】

エンタシウスの目は、どんよりくもっていた。
自分自身に向かって話すように、彼はしゃべりはじめた。
「わしは若かりしころの、遠い昔を覚えている。あの愛しいコーデリアが生きていたころのことを、ガラスの形見入れに入れてあるように、はっきりとな。あいつのほほえみだけがわしの喜びだったのだ。あいつが地獄へ連れ去られて以来、終わりのない夜の冷気が骨の髄までわしを凍らせてしまった。わしの心はこの世になく、コーデリアが去った黄泉の世界ばかり夢見つづける。わしの魂を貫く氷のいばらを引き抜くことができるのは、あいつの笑顔だけなのだ」
彼はまっすぐこちらを見た。
「地獄へおりていってくれ。頼む。そしてあいつをわしの元に連れ帰ってくれ」

ミヤ「えっと、叔父ちゃんが持ってるエメラルドのお守りには、死者を蘇生させる魔力があったよね。それを使えば……」

ディアブロ「そのアイテムには骸が必要だった筈だぜぇ。数百年前に死んだコーデリア嬢の屍は、もう残ってないだろうよ」

ミヤ「じゃあ無理なの?」

テツヤ「あんたの助けは必要だが、その報酬としては、あまりに法外な注文だ。そんなことができると思うのか?」

「理性は不可能だと告げる。しかし、理性などくそくらえだ! 死の天使アザレルはなぜ、ものさびしい死の国にあいつをとどめ、あいつから喜びを奪い取り、あいつの輝きをくもらせようとするのだ? あいつは永遠にわしのものだ」

ディアブロ「想いの熱さはわかったが、肝心の方法はちっともだぜぇ」

ミヤ「冥界に行ってから考えるしかないみたいだね」

テツヤ「とにかく現地に行ってみねぇと話にならんて事かい。仕方ねぇな……」

テツヤ「どうしてもとおっしゃるなら」
燃えるような彼の目から目をそらしていう。
テツヤ「やってみよう。もしも死の国から戻る道があったなら、必ずコーデリアを一緒にお連れしようじゃねぇか」

エンタシウスの顔が不思議な激情にかられたようにゆがんだ。
「では行くがいい。道は召使いが教えるだろう」
彼を取り囲むろうそくの火がゆらめいて消えた。
女に従って行くことにする。

テツヤ「歳はとってもお盛んな爺さんだ。もうちょっと落ち着く気にはならねぇもんかい」

ミヤ「恋人とは無理矢理引き裂かれたらしいから、未練は消えないんだろうね。いいじゃない、なんとかしてあげようよ」

ディアブロ「次の女を作れば……というのは駄目なのかねぇ」

ミヤ「ダメ」

恋人が死んだから俺好みの女を紹介しろ、というクエストがこの流れで出てきたら、建設的ではあっても腰砕けでもある。
腰が砕けては困るので、一行は召使いの女について行く事にした。

【項目546】

女は別の出口から出ると、迷路のようなトンネルを進んでゆく。
やがて、荒けずりの石壁に囲まれた、ひんやりした部屋に出た。
部屋には、数人が横になって寝る事ができそうな、大きな石の板が置いてある。
まるで墓石のようだ。

部屋の奥のアルコーブの中に、雪花石膏でできた壺があった。
女はこちら全員に杯を手渡し、壺から香りのない黒い液体を注いだ。
「そこに横になって、それをお飲みなさい」
女がいった。
「そうすれば、死の王国へ行くことができます」

ミヤ「え? お薬なの? ワープゾーンとかじゃないんだ」

ディアブロ「この薬により、奥底に眠る第八の感覚が解放され、生きながら冥界へ行く事が可能となるんだぜぇ」

スクリーボ(割と本当にそんな感じのイベントなのダ)

少しためらったが、心を決めて液体をぐいと飲み干す。
石板に横になると、ひんやり冷たかった。部屋が暗くなってきた。

女は出ていこうとしていた。
何か尋ねたいことがあるか?

ここでの選択肢は
・なぜエンタシウスは自分で死の国へ行かないのか
・今飲んだ液体は何か
・黄泉の国への道はどうやって見つければいいのか
・どうやってこの世に戻ればいいのか

・何も聞かず寝る
である。

ミヤ「物事は順番に解決するのが賢明って、2巻のウルバちゃんも言ってた」

ディアブロ「じゃあ黄泉の国への道でも聞くかね」

ミヤ「え? エンタシウスさんが行かない理由じゃないの?」

テツヤ「ああ、俺もそれ気になるわ」

というわけでそれを聞いてみる。

【項目68】

薄れていく意識の向こうで、女の声がぼんやり聞こえる。
「あの方は黄泉の国へ行くすべを探し求めて、普通の人の二十倍も生きつづけてこられました。寿命を延ばすすべは、すでにつきとめておられましたから。いまやあの方のお年は千年をこえておいでです。そして年老いた人びとがみなそうであるように、ご自身もいずれは死ぬのだということを日々思い知らされていられるにちがいありません。あの方は死を恐れておいでなのです……」

テツヤ「いやいや、だから死なずにあの世へ行く方法があったんだろ? この薬なんだろ? なんでそれを自分で使わないのかって理由をだな……」

女の声は雷のように反響し、不明瞭になって、やがてこちらの心臓の音にかき消されてしまった。

ミヤ「叔父ちゃん! かき消されて話ができないよ」

テツヤ「おいぃ?」

全てが暗黒に包まれた

テツヤ「話は終わってねぇって言ってんだろ!」

終わったので次のシーンへ。

【項目471】

目をさます。
だが、まだ夢の中にいるようだ。
あたりには何もなく、物音一つしない。
迷路をさまよい歩いても、女の姿はおろか、エンタシウスと話を交わしたあの部屋さえ見当たらない。
突然、動物のほえ声が静寂を破った。
思わず足を速める。
前方に明かりが見えた。
やがて海辺に出た。
嵐が吹き荒れていた。
どしゃ降りの雨で、息をすることも困難だ。
巨大な黒雲が空のあちこちに浮かび、雷光が走っていた。
海は生き物のように猛り狂っていた。

テツヤ「エンタシウスの島……じゃねぇのか?」

ミヤ「別の場所に来たみたい。ここが冥界なのかな?」

ディアブロ「あそこにいる奴が教えてくれないかねぇ」

一頭の大きな猟犬が頭をもたげて、こちらを見ていた。
いや、猟犬ではない。
ジャッカルだ。
死者の案内人、アヌビスだ。
やつは高くほえて、こちらを呼んでいた。
あいつについていけば、目ざす死の国へ行きつけるのだ。

テツヤ「ついていけば……って、どうやって?」

ミヤ「確か運んでもらうんだよ」

テツヤ「マジか? 噛みつかねぇだろうな、コイツ」

そいつの脇腹にしがみつくと、ぬれた毛皮の臭いがした。
息は、胸がつまりそうな悪臭だ。
そいつはざんぶと海へ飛び込んだ。
こちらは命がけで、すがりつく。

命がけで死の世界へ向かおうとは……。

テツヤ「なんで海を渡るのにワン公の腹なんだよ! 船じゃねぇのか!」

ディアブロ「本当にこのシリーズ、海を渡るのに難儀してばかりだぜぇ」

海も嵐も忘れて、アヌビスの毛皮にしがみついたまま、荒々しい無の世界にもみくちゃにされる。
突然、かんぬきのおろされた巨大なドアが前方にぼうっと浮き上がる。
アヌビスはこちらをひきずったまま、ドアに向かって突っ込んだ。
見ることも息をすることもできない。
ふいにこれは夢ではないと悟る。
大渦の中に引きずりこまれながら、死の恐怖に悲鳴をあげる。

テツヤ「なんで海の中に冥界の扉があるんだよ!!」

黄泉比良坂の穴へ飛び込むのかとでも思い来や、まさかの海中からである。
まぁ魚だって死ぬ事もあるんだから、海中にだって冥府の門は必要であろう。

そんな魚用門の向こうに何があるのか。それは次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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2016年9月30日 (金)

ブラッドソードリプレイ4-3 進め海原

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:7 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個+2 精神力:7 機敏度:8 生命力:43
装備:ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(矢:6本) 金貨袋(所持金85) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 食糧一週間ぶん

3ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:7 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2+2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:36
装備:ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(矢:6本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金の巻物 司祭長の杖 香油のびん 食糧一週間ぶん

Photo_2ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:7 戦闘力:7 打撃力:サイコロ2個+1 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:36
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 琥珀の火口箱 魔法のパン 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 食糧一週間ぶん

Photoスクリーボ

旅の途中で買われたカラス。

とりあえず当面、役に立つような能力は無い。
飯は食っているようだが、そのぶんの費用は免除されるので詳細は不明。

これまでのあらすじ

レジェンドという世界で「生命の剣」ブラッドソードを求めて旅する三人。
放浪の末に剣は完成したが、宿敵によって黄泉の国へ持ち去られてしまった。
それを取り戻すべく、三人は冥界への入口を知る魔術師の下へと船出した……。

ミヤ「作中でまともな船に乗るの、これが初めてじゃないかな?」

テツヤ「絨毯とか沈む小舟とかジニーの掌とか、確かにまともな船じゃなかったな。3巻のプロローグだけか」

ディアブロ「一応、どれも海をちゃんと渡れる手段ではあったぜぇ」

さて、ゴールデン・ランス号はちゃんと渡れる船なのか。

【項目20】

キャラクター・シートにFLAGという暗号を記せ。

ロックベンが寝場所に案内した。そこは船首甲板の下の乗組員用船室の隅だった。
「ここに手おけがあります」
彼がいった。

「酔った時にお使いください」

テツヤ「正直、ひでぇ所だな……」

ディアブロ「先客様もいるようだぜぇ?」

寝棚の下にうずくまっている大ネズミに気をとられて、彼の説明を聞くどころではない。
ネズミは堂々とこちらをにらんでいる。

テツヤ「猫はいないのか?」
彼にたずねる。

「以前はいましたよ。ゴブリンという名前の猫がね。だがかわいそうに、大ネズミにのどを食いちぎられてしまいましてね。それはそうと、船長が日暮れ時に船長室へおいで願いたいそうです。おそらく目的地のご相談でもしたいのでしょう。よくは知りませんがね」

テツヤ「ここも『まとも』な船じゃあなかったみてぇだな」

ディアブロ「いやまぁ、中世ヨーロッパぐらいの文明レベルなら、こんなもんかもしれんがねぇ」

ミヤ「ネズミは長い航海中の食糧の一つだったらしいよ。あたし、あんまり食べたくないけど」

テツヤ「俺は全然だ」

ゴブリンの冥福を祈りながら、一行、とりあえずは船長室へ話を聞きに行く。

【項目170】

船は強い追い風にのって、北北西に進んでいった。
太陽が左舷に沈んだので、船長の船室へ出向く。

ブランデー・グラスを傾けながら、船の進路について語り合う。
「エンタシウスの島がどこにあるのか、我々にははっきりしたことはわかっていません
船長がいった。

「ミスト海についたら、六日のあいだ、島をさがすことにしましょう。その間にみつけられなかった場合は、フェロメーヌに向かいます。そこで別の船をさがしてもらうしかありません」

ミヤ「仕方ないかな? でも期限についてはもうちょっと考えて欲しいよね。一週間足らずはちょっと不安だなー」

テツヤ「そもそも出航してから期限を勝手に決めようという態度が気に入らねぇ」

気に入らないので「約束がちがう。六日かかろうが六百日かかろうが、エンタシウスの島をさがすんだ」と無茶を言ってやる事にする。

【項目513】

シルソール船長はどうやら、むっとしたようだった。
ブランデーを注ごうとしていた手を止め、ボトルに栓をした。

「そうですか。それでは」
彼はゆっくりいった。

「そのことについては、ミスト海に着いてから、ご相談することにしましょう」

長居をしてきらわれてもと思い、船長室を出る。
そして数日間は彼と顔を合わせないようにする。

ミヤ「六百日がんばるぞ、と了解してもらったら、かえってこっちが困るよね」

テツヤ「そりゃな。しょせん例え話で出しただけだしよ。だが交渉もせずに話を先延ばしにしようとは、ますますこの船長が気に入らなくなったぜ」

こうして面白くなさそうな航海が始まった。

【項目494→419】

数週間が過ぎた。
船室は狭くて最悪だった。
傷ついていたキャラクターはサイコロを一つふれ。

(目の数)

1~2 傷は化膿し、サイコロ1つ分の生命力しか回復しない。
3~5 船酔いのためによく眠れず、かろうじて8点の生命力を回復する。
6   劣悪な環境にもかかわらず、16点の生命力を回復する。

テツヤ「だが俺らは全くの無傷なので、別に出目がどうだろうと関係ない……と」

ディアブロ「船室の居心地悪さだけは深刻だがねぇ」

ミヤ「叔父ちゃん! ゴブリン二世がどこかに行っちゃったよ」

テツヤ「大ネズミに名前をつけるのはやめろ……」

そんなこんなで日は過ぎる。
だが長い航海、途中で何も起こらないわけもないのだ。

【項目359】

クレサンチウムを出航して数週間たったある日、甲板の騒ぎに目をさます。
外へ出てみると、水夫たちが右舷の船べりに集まっている。
強い日差しに手をかざして目を防ぎながら、波の向こうを見る。
真紅の帆を張った一隻の船が浮かんでいる。
帆は低くおろされたり、たたまれたりして、船は微風の中でほとんど停止している。

テツヤ「おかしくねぇか、あの船。こんな海の真ん中で何停まってんだ」

ミヤ「どうするつもりなのか、船長さんに聞いてみようよ」

「幽霊船だろうか?」
船尾甲板の船長に近づいていくと、船長がつぶやいた。

「乗組員に見捨てられ、風の吹くままに流されていく船の話をいくつも聞いているが……」

ディアブロ「決めあぐねているようだぜぇ。こちらから何か提案してやるべきらしいねぇ」

テツヤ「提案つってもな。近づくか離れるかだろ」

ここは離れる事を提案する。

【項目281】

「そうですね。それが賢明だ」
船長がいった。

「幽霊船とわかれば、乗組員たちも不安がるでしょう。船が幽霊の出る海に迷い込んだのではないかと、怖がるかもしれません。やつらはあてにならないやくざ連中ですから、暴動を起こしかねません!」
船長は舵手を呼んで、赤い帆船から離れるように命じた。

テツヤ「甲板上で船員を堂々とやくざ呼ばわりか。聞かれてもかまわねぇんだな」

ミヤ「すごい信頼関係だね!」

ディアブロ「ちょっと違うんじゃないかねぇ」

スクリーボ(別の選択で、給料だけで繋がっている関係だとわかる項目もあるゾ)

ともかく、赤い帆の船からは離れる事になった。
しかし……

【項目12】

日暮れ時に、もう一隻の船に出会う。
「まったく、このごろは、このあたりの海も、フェロメーヌの市場なみの混雑だ」
船長がいった。

「近づいて、どういう素性の船か、確かめますか?」

テツヤ「またか。今度はどうすっかな」

ミヤ「あれ? 向こうから来てない?」

だがこちらが答えるまでもなく、その船はすでに肉眼で様子を確かめられるほど近づいていた。
船腹に金色に輝く盾飾りを張った、堂々たるバイキング船だ。
船首には、金赤色のラッカーをぬった愛らしい人魚像が飾られている。
白い帆にはアンゲート文字のENを表わす記号が記されている。
魔法使いエンタシウスの印だ。

テツヤ「へぇ、エンタシウスとやらも船の持ち主かい。こんな所で何をさせてんだ」

ミヤ「うん、船の人に聞いてみようよ」

ふとふり返ると、船長はまだこちらの返事を待っていた。
テツヤ「近づいてくれ」
船長に命じる。

【項目334】

バイキング船に接近していくと、船首の人魚像の両目が開き、木を打ち合わせるような音を立てて口が動いた。
「エンタシウス様がお待ちです」
人魚像がいった。

「この船にお乗りなさい。彼を島へお連れします」

ミヤ「あれ? 船が喋ってるの? 乗組員さんは?」

テツヤ「いないのかもな。しかもまさかの、こちらへのお出迎えとはよ。どこで俺らの事を知ったんだか。ちと怪しくねぇか」

ディアブロ「でも船長どのは乗り気らしいぜぇ?」

シルソール船長は大喜びだった。
こちらがバイキング船に乗り移れば、ゴールデン・ランス号はフェロメーヌへ直行できるのだ。
船長はカッターを海へおろすように命じた。

テツヤ「まぁ向こうの船に乗りこんでみる事は賛成だ。だがあのオッサン、勝手に決めやがって気に入らねぇな。現地までの金を受け取ったくせによ」

ディアブロ「ふむ、じゃあちょっとばかり返金するよう要求してみるかね?」

金はあっても困らないので、要求はしてみる事にする。

【項目31】

テツヤ「払った金を金貨百枚だけ返してくれ」
船長にいう。

テツヤ「あれは全行程分の船賃として払ったんだ。この船は、エンタシウスの島への行程の半分もいかないうちに、こうして引き返せるんじゃないか」

船長は得意げに大声で笑った。
「ばかな! いったん支払われた金は、返すわけにはいきませんよ。船を乗り換えるのは、そちらの勝手ではありませんか。我々のかわした契約とはなんの関係もありません」

テツヤ「こっちより先に決めやがって、よくも言いやがる」

力づくで取り返す事もできなくはないが、盗賊か魔術師が行動を起こす事もできる

ディアブロ「よしよし、ここは俺がやってみるぜぇ」

ミヤ「二人とも、お金が惜しいの? そりゃー無いよりはあった方がいいかもだけど」

テツヤ「いや、あのオッサンのツラが気に入らねぇからだ」

ディアブロ「俺は面白そうだからだぜぇw」

ミヤ「えー……」

【項目473】

Photo_2 (魔術師)
シルソール船長をじろりとにらみつけると、両手をあげて水夫たちに向かっていった。

ディアブロ「船長はいかさまを働こうとしている。魔術師の、この俺を相手にだ。俺は暗黒や死の秘密を知りつくしている。俺に手出しをしたり、正当な権利のある金を返さないというのなら、俺はこの船に呪いをかけよう。ゴールデン・ランス号は行く先々の港で入港を断られ、海をさまようことになるだろう。なぜならこの船は、疫病にとりつかれるからだ……」

水夫たちの顔は恐怖に青ざめた。
彼らは船長につめよった。

「魔術師のうらみをかったら、おれたちまで巻きぞえを食うんですよ、船長」
操舵手が低い声でいった。

「金を返してやってください」

ほかに手はなかった。
部下に暴動を起こされてはたまらない。
船長は金貨百枚をきみに差し出した。

ディアブロ「簡単に騙されやがったぜぇw」

テツヤ「でかした! 金貨はどうでもいいが、うぜぇ野郎にほえ面かかせたのはナイスだぞ」

笑いをこらえながら、小舟をこいでバイキング船に向かう。

テツヤ「ケチもついたが、まぁまぁの船旅だったな!」

ディアブロ「うはwwおkwww」

ミヤ「……レジェンド世界の魔術師が一般人から敬遠されてるって設定、なんかわかるなー」

なお、パーティの金貨は合計185枚。
三人で分割するのが普通なのだが、荷物の枠の関係で、100枚と85枚にまとめておいた方がいい。
よってテツヤが全て持っている事にする。

では、船を新たに航海が続く。

【項目492】

バイキング船は、人間には感じ取れない不思議な強風を帆いっぱいに受けて、すごいスピードで北へ向かった。
太陽が水平線に沈みきるころには、ゴールデン・ランス号は視界から消えていた。

テツヤ「ああ、そんな船もあったな。沈まねぇかな、あれ」

ディアブロ「疫病にとりつかれるよう、祈ってはおいたぜぇ」

【項目392】

来る日も来る日も、バイキング船は北をめざして進んだ。
傷ついていたキャラクターは
元の生命力まで回復する

テツヤ「ケガするような選択肢もあったのか」

スクリーボ(力づくで金を取りかえそうとすると、戦闘になっていたゾ)

人魚の像にいろいろな質問を試みたが、実のある答えは返ってこなかった。
人魚が話すことといったら、天気がどうなるとか、船がこの先どう進むかというようなことばかりだった。
夜になると人魚は、昔のセレンチウムの栄光を、アンゲート語で歌って聞かせた。
船べりに並んだ盾が、鐘のような音を立てて、人魚の歌の伴奏をした。

ミヤ「おお、音楽機能つきの船なんだ。会話機能はあんまり高くないみたいだけど」

テツヤ「しかし他の人間の姿は無ぇな。マジで乗組員ゼロなのか」

甲板の上には、毛布や食べ物や旅に必要な品物が用意されていた。
船尾の物置きには、寒い夜のための毛皮まであった。

ディアブロ「ま、準備はちゃんとしてくれてたみたいだぜぇ。食べ物が野ざらしなのはどうかとも思うがねぇ」

テツヤ「つぅか、バイキング船だから船室とか無いんだな、これ」

ミヤ「雨がふったら毛布を被って我慢するしかないんだね」

だが航海は順調に続く。

ついにある日、人魚は旅の終わりがきたことを告げた。
「明日この船は、タンタシウス様の島に到着します」

ミヤ「あれ? なんだかんだで、何も危険はなく航海が終わっちゃった?」

テツヤ「まぁ結構じゃねぇか。マジで生命力が一度も減ってねぇ

ディアブロ「このまま最後まで淡々となんとなく安全に終われば、言う事はないんだがねぇ」

ゲームのリプレイとしては壮絶なつまらなさになってしまうが……。

エンタシウスの島がどんな所なのかは、次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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