ゲームブックリプレイ・ブラッドソード3

2012年10月21日 (日)

ブラッドソードリプレイ3-17 復活と喪失

このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:5 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:7 機敏度:8 生命力:31
装備:ブラッド・ソードの鞘 ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(6本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金35) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:5 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:26
装備:ブラッド・ソードの柄 ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(6本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金貨袋(所持金100) 金の巻物 司祭長の杖

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:5 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+2 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:26
装備:銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 金貨袋(所持金100) 琥珀の火口箱 魔法のパン 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 真鍮のびん

Photo スクリーボ

旅の途中で買われたカラス。
お値段は金貨1枚。
とりあえず当面、役に立つような能力は無い。
しょせんは金貨1枚。

レジェンドという世界、クラースの地にて冒険者として旅する三人。伝説の“生命の剣”ブラッドソード探索の旅を続け、その柄と鞘を手に入れた彼らは、最後の部品である刀身を探す。刀身を求めてたどり着いたのは、十字軍が拠点とする都・クレサンチウムだった……。

ブラッドソードを手に入れるため、ササリアン王子に協力した三人。裏切られはしたもの、街の地下にあった古代遺跡でガーディアンを倒し、王子を追いつめる。だが王子を討ったのは、道中で知り合った暗殺者のハサンだった。目指す物はもうすぐそこだ……。

ミヤ「ボスキャラもやっつけたし、ブラッドソードの刃はすぐそこだよね! れっつごー!」

テツヤ「さすがにもう面倒事はねぇよな」

スクリーボ(実はあるのダ。あと一つ)

そんな事は露と知らぬ三人、ハサンとともに迷宮の最深部へと向かう。そこには……。

【項目40】
310 ハサンははね上げ戸に近づき、それをこともなげに開けた。
こちらも試しに持ってみたが、凄い重さだ。
彼のしなやかな身体には普通の人間の三倍ほどの力が秘められているに違いない。
まったく、彼がこちらの敵でなくて幸運だった。

ディアブロ「普通の人間というと、そこらを歩いているオッサンとかで、ランクにすると1ってところか。その3倍だから、ハサンはランク3のキャラクターなんだぜぇ」

テツヤ「なるほど。クソ強い凄腕NPC様かと思いきや、ちょっと腕に覚えのある程度の冒険者だっんだな。んなわけねーだろ

彼の後について、白い大理石でできた細長い大広間に入る。
磨き上げられた黒い花崗岩の柱が、はるか向こうの壁までずらりと二列に並んでいる。
そしてその間には、天井に達する円形の光線と、床に達する円形の光線とが見えた。
天井への光線は燃え立つように赤く、床への光線は冷たい緑色の光を放っている。
ハサンが言った。

「これは永遠の集約点だ。生と死の極なのだ。我々はハクバッドの地底を通ってここにたどり着いた。しかし実は、ここに至る道は数多く、真実も数多いのだ」

ミヤ「探せば他の場所にも別口があるんだ」

テツヤ「他の口は、外海の幽霊船から宝石をとってくる方法より遠回りなのか? そうでなけりゃ、わざわざこの道から来たのは損だった気がするな」

スクリーボ(もっと近い道が本当にあるっぽいのダ

彼と一緒に、突き当たりの灰色の石の上まで進む。
ハサンは石の上に手を伸ばして、輝く円月刀を拾い上げた。
そして腕の毛に刃をあてて切れ味を確かめ、その刀の美しさに深いため息をついた。
しかし、そこにはもっと美しい物があった。
石の上に置かれているのは、この長い年月探し求めてきたブラッド・ソードの刀身だった。
ハサンは死の剣を背中にくくりつけると、こちらを振り向いた。

「ササリアンは裏切っただろう。あの男が欲しかったのは死の剣だけだ。しかし、裏切るのがあの男の生まれながらの性質だ。覚えておくがいい。裏切りが彼の性質だったと。生命の剣と死の剣は対立すべき物ではない。二本は互いの片割れなのだ。だからこそ、我々が再び会うとき、敵同士としての再会でない事を祈るぞ」

最敬礼をして、同じ気持ちである事を彼に告げる。
目を上げたとき、彼の姿はなかった。
音も無く消えた彼の手際に驚き、敵にはまわしたくないと、心から思う。

テツヤ「ま、なったらなったで仕方ねぇが。それより今は、剣のほうだ」

ディアブロ「コイツが今まで探してきたお宝か。感慨深いぜぇ」

ミヤ「じゃ、あたしが拾うよ? 拾うからね? 拾った!」

そしてようやく、ブラッド・ソードの刀身を手に取る。
刀身は柄にきっちり収まった。
この冒険を託した、あの年老いた吟遊詩人を思い出すあの忌まわしい森のできごと以来、このために戦い続けてきた。
彼との約束がいま達成できたのだ。
生命の剣は修復された!

ミヤ「ちゃきーん! 柄と鞘と刀身が合体! 完成・ブラッドソード! 任務達成、ミッションコンプリート!」

生き残ったキャラクターに1000点の経験点が与えられる(全員で平等に分ける)。ただしレベルアップは3巻の終了時に行う。 

また、柄と鞘を所持していたキャラクターは、この二つをキャラクター・シートから消す。これからはブラッド・ソードは一つの持ち物になる。冒険を達成した事により、ブラッド・ソードの助け無しでも真のマグス達に対抗できるだけの力を得た。だからブラッド・ソードを失っても475へ進む必要はない。

テツヤ「よし、引き上げるか。コイツを使った戦いが俺達を待っているぜ」

大広間から出ていく。
ドアの側の階段の上で、すらりと背の高い男がしゃれた異国風の鎧をつけ、こちらを待っていた。
ひと目でそれが何者かを悟る。
ブラッド・ソードを探す冒険の旅に出る前からの宿敵、あのクラースの戦闘場のライバルだった男だ。

テツヤ「イコン……」

ミヤ「1巻に出てきて、再戦するみたいな事言って、全然出てこなかった人」

ディアブロ「前は遠距離攻撃に手も足も出なかった兄ちゃんだぜぇ」

テツヤ「お前らいらん事言い過ぎ」

ディアブロ「まぁ戦闘になるだろうぜぇ。ネメシスの電光を準備して、バトルオーダー3番にまわっとくか」

【項目415】
311「異国の奴らは、いつも俺の名を間違える。エイケンが先祖からいただいた俺の名だ」 

首を横にふる。

テツヤ「立ち去れ、イコン……エイケンか……名前などどうでもいい。そんな事を言い争ってなんになる。ここで一晩中、流血の戦いがあったんだ。お前も死者のリストに名前をのせてもらいたいわけじゃねぇだろ」 

奴が怒鳴った。

「俺の名誉にかけて、戦いを挑むぞ! 俺が敗れるとでも思うのか? アリのように、この踵で踏み潰してやるわ! 五年もの間、俺は追ってきたのだ。青二才め、あのクラースで俺を負かしたのは、ほんの偶然だったんだぞ。クレアンチウムにいる妹サイキの館へ着いた時、そちらもオトレメールへ来ている事を知った。

スクリーボ(そのサイキというのが、魔女プシュケの本名なのダ。それから一人で追いかけてここに来たのだから、やはりこの迷宮にはPCが通ったのとは別の、もっと楽な道がどこかにあるのだナ

その時から俺は追跡を開始した。必要とあらば、この世の果てまでも追う覚悟でな。俺の恨みは落雷のように激しいのだ!」

突然やつはおとなしくなった。
こちらを横目で睨みつけながら、奴は上着から銀の粉の袋を取り出し、粉を左右にふりまいた。
奴の後ろに真紅の炎の壁ができて、大広間の出口が塞がれた。
奴は籠手をつけた左手を炎の中に突っ込み、炎の包帯を引きずり出すと、それで自分の身体を包んだ。
以前、奴が似たような手品を使うのを見た事がある。
報復の火の呪文だ。
数年の間にかなり上達したようだ。
ため息をついて言う。

テツヤ「よしわかった、イコン。戦いたいというのなら、お前の思いどおりにしてやろう」

突然、怒声をあげて、奴に向かって突進していく。

神を恐れぬイコン(I)
戦闘力=9 精神力=9 鎧強度=2
生命力=55 打撃力=サイコロ5つ 機敏度=9
※奴に盲目的服従の呪文は効かない。戦いの最中に彼を攻撃して打撃を与えたキャラクターは、その度に報復の火の呪文のために1点の生命力を失う(鎧をつけていても同じ)。

テツヤ「俺より速いか! こいつは強敵、腕を上げたな……だがこちらには既にブラッド・ソードがある。こいつの切れ味を確かめてやるぜ!」

だがこの戦闘では使えない。

テツヤ「……なんでだ?」

仕様。そうとしか言いようが無いのだ。なにせデータが無いのだから。

テツヤ「納得いかねぇ……」

ディアブロ「ま、仕方ないねぇ。というわけでいつもの戦法で」

ミヤ「あきないね……」

ディアブロ「魔術師の商売だけにw

ミヤとディアブロの機敏度が同じなので、行動順をダイスで決める。ミヤ=2、ディアブロ=4でディアブロが先に動く。

B15○第1ラウンド
イコン:C-3へ移動。

テツヤ: B-4へ移動。
ディアブロ:E-5へ移動。
ミヤ:E-4へ移動。

ここで勝負あり。後は一番近くにいるテツヤを追って動くので、テツヤが毎ラウンド、イコンの側をちょろよろすれば、相手はずっと追いかけ続けるだけだ。
ここからディアブロは遠慮なくネメシスの電光を詠唱し始める。
というか、そうしろと言わんばかりの位置取りから戦闘が始まっている……。

4ラウンド目で詠唱成功。ダメージ27(被害25)。

ディアブロ「どうも威力が揮わないぜぇ」

ミヤ「でも相手が倒れるまで続けるんでしょ?」

ディアブロ「もちろんw」

5ラウンド目に呪文(ネメシスの電光)準備。9ラウンド目で詠唱成功、ダメージ28(被害26)。

テツヤ「イコンの生命力は残り4点か。もう斬って倒してもいいんじゃねぇか?」

ミヤ「でももし仕留め損ねたら、反撃はかなり痛いね」

ディアブロ「次のネメシスの電光が飛ぶまで安心して待っててくれていいぜぇ」

テツヤ「もういらねぇだろ! そんな強力呪文」

しかし容赦なくかつ無駄に最強の攻撃呪文を準備。

10ラウンド目に呪文(ネメシスの電光)準備。12ラウンド目で詠唱成功、ダメージ31(被害29)。撃破。

ディアブロ「おーおー、イコン殿の断末魔を聞くのも久しぶりだぜぇ。景気良くあげてくれw」

テツヤ「ロクでもねぇなコイツ……」

【項目304
イコンは血を吐いた。
顔は真っ青だ。
しかし奴は倒れなかった。
こちらの目の前で、奴は輝く霧に変わり、空中に漂いはじめた。
肉体を離れた声が言った。

「俺はお前達との以前の戦いの最後に、逃げるために霧の呪文を使った。だが、今度はそれが俺の活力を取り戻してくれる」 

奴は何を言っているのだ?
炎の壁を見つめる。
鎮火しかけているようだが、まだかなりの熱だ。

テツヤ「チッ、まだ外には出られねぇか」

ミヤ「イコンさんも何か企んでいるみたいだね? 放っておいたらマズいんじゃないかな」

実はその通りだ。だがここではイコンに対し、あるアイテムを使う事ができる。

【項目144→388
ディアブロ「取り出しましたるはこの真鍮の瓶。ジニーを閉じこめていた瓶だぜぇ」

312瓶の栓を抜いて、登っていく霧の上に逆さに掲げた。
イコンの魂胆はわかっている。
霧に包まれて、天井の生の集約点まで漂っていく気だ。
その光源から放射されているエネルギーによって傷を癒し、戦う力を回復しようと考えているのだ。

ミヤ「その集約点、あたし達が使って同じ事できないかな?」

ディアブロ「できないぜぇ」

ミヤ「なんで?」

仕様ですから。仕方が無いのでディアブロが瓶をかざす。

ところが奴は、生の集約点の光源に入る代わりに、瓶の中に吸い込まれていった。
霧が全部中に収まった時を逃さず、栓をぐいと押し込む。
イコンの声が瓶の中で響いた。

「なんという卑劣なやり方だ! 俺をここから出せ。堂々と戦う勇気もないのか?」

テツヤ「うるせー! 自分だけ無償回復しようとしてた奴が言う事じゃねぇだろ!」

イコンが黙るまで、瓶を柱に打ちつけた。
この瓶は、あの強いジニーを千年近くも閉じ込めていたのだ。
きっとこいつも閉じ込めていてくれるはずだ……。

しかし、こちらの望みどおりになるとは限らない。
万一を考え、唇を噛む。
奴がここから逃げ出したら、恨みも力も倍増させて、こちらを追ってくるに違いない。
いつ力を回復して、襲ってくるかわからないのだ。
この先ずっと、枕を高くして眠れないだろう。

テツヤ「穴でも掘って埋めるか。犬が掘り出すかもしれねぇが……」

ディアブロ「地の底へ放り込むなら、あちらに丁度いい物があるぜぇ」

ぼんやりと大広間を見まわす。
そうだ。死の集約点の緑色の輝きが、こちらの悩みを解決してくれるぞ。
伝説によれば、この光源は死の国へ直結している。
そこから生きて戻った者はないのだ。
少しだけイコンが可哀想になる。
だがほんの少しだけだ。
ちょっと躊躇った後、瓶を緑色の光の中へ放り込む。

奴はこちらの考えに気づいて、悲鳴をあげた。
奴の声が、轟く雷のように響き渡った。

「俺が死ねば、復讐はいよいよ凄まじい物になるぞ。俺は最後の望みを達成するため、先祖の霊を全て呼び寄せる。死の復讐の呪文をかけるぞ。これから落ちていく世界で彼らを招集するのだ。俺の命を奪うなら奪え。望むところだ。俺は霊達に、そちらのいちばん大事な物を奪うよう命じてやる……」

瓶は見えなくなった。
しかし、入れかわりに光線の中から何かが噴き出した。
最初は緑色の霧の塊のようだった。
しかしそのうちに、顔が見えてきた。
こちらを睨みつけ、口を開けて声にならない叫び声をあげ……やせこけた両手を差し伸べている……。
イコンの先祖の霊が、奴の最後の望みをかなえるために死の国から這い出してきたのだ。

ミヤ「死霊? だったらあたしの悪霊払いの術で……」

ディアブロ「あ、それここじゃ使えないぜぇ」

ミヤ「なんで?」

ディアブロ「仕様」

テツヤ「クソッそればっかだな!」

背を向けて逃げ出そうとする。
霊達は光線の中から次々に飛び出してきた。
奴らに取り巻かれ、その恐ろしい呪いの言葉を聞くと、身体中の血が凍るようだった。
呻き声をあげて大理石の床に倒れ込む。
不気味な笑い声が響く。
イコンの顔が霊の群れの中にちらりと見えた。
奴はやっぱり死の国へ行ったのだ。
奴の顔が迫ってくる。
そして呪いの言葉が響く。

「そちらの一番大切な物をな」

ようやく目を上げ、一瞬、視力を失ったかと疑う。
霊達は大広間から消えてしまっていた。
出口を塞いでいた炎の壁も、跡形も無い。そして、ブラッド・ソードに手を伸ばしかけて、勝利が泡と消えた事を悟る。
絶望の叫びが口から漏れた。
霊達は、死の王国へブラッド・ソードを持ち去ってしまったのだ。

テツヤ「これも仕様……か?」

ディアブロ「まぁ仕様だぜぇ」

ミヤ「むっきー! 仕様って言えばなんでも通ると思っているなー!」

残念ながら、ここらへんはイベントシーンでひたすら事態が進むだけだ。もしTRPGでこんな展開やったら、プレイヤーから少々批難も出てくるだろう。まぁここらへん、本の形式でキャンペーンゲームをやると仕方ない場面もあるという事で。 

【項目489】
落胆のあまり、茫然自失のまま、来た道を戻る。
井戸から這い出すと、ようやく夜が明け始めていた。

ミヤ「これからどうすんの?」

テツヤ「ちと思いつかねぇが、とりあえずここを出るしかねぇだろ」

足元の石など蹴飛ばしながら、とぼとぼと歩いていく三人。

【項目31
再びファティマの庭園の門を目の前にする。
門は開いていた。
そして門の前には、ファティマがハサンと並んで立っていた。
悲しい気持ちのまま、彼らに近づく。

テツヤ「とりあえず、事の顛末でも話してみっか」

ミヤ「そだね。何か耳よりな情報とかあるかもしれないし」

二人はにっこり笑って迎えてくれたが、今までの話を聞いて、たちまち眉をひそめた。
ハサンが言った

「悲しい知らせだ。エイケンという男は、よほど執念深い魂を持っていたに違いない。私がもう少しご一緒していれば、短剣で奴の心臓を貫き、この悲しい結末を防げただろうに。しかし私の言う事を聞いて、元気をお出しなさい。この世には良い事も悪い事もない。そう思えるのは全て妄想でしかないのだ。今は絶望の極みと思っているかもしれないが、見方を変えれば、事態は好転する。絶望のどん底に、ぱっと光が差し込むという事はよくあるのだよ」

テツヤ「特に情報は無かったな! 観念論かよ」

しかし短気は良くない。ハサンはともかく、ファティマには何か話があるようだ。

【項目588
ファティマがハサンの腕に手を置いた

「いいえ、ハサン。それは貴方のやり方です。貴方は、行動しようと努めずに行動します。でも他の人達は、英雄の道をめざして努力しなければならないのです。無益とわかっているもののためにも戦わなければならないのです。貴方の一生は努力とは縁が無いけれど、英雄はこの世にどっぷりつかって、人生を味わい尽くさなければならないのです」 

彼女はこちらを向いて、門の向こうの庭園を指さした。

「ハサンは敗北を受け容れ、そして拒否しろと忠告しています。でも別の方法もあるのですよ。それは危険をはらんでいますが、だからこそ貴方達は惹きつけられると信じます。生命の剣は永遠に失われたと思っているのでしょう。仇が死の国へ持ち去ったのですからね。死の王国は、二度と戻ってこれない所と言われています。でも、そうではないのです! 全ては可能なのです。それを試みる勇気さえお持ちなら、黄泉の国へ通じる道をお教えしましょう。どうすれば死の国に挑む事ができるかを、お教えしましょう……」 

ミヤ「……そっか! 黄泉の国へ持っていかれたんだから、黄泉の国へ行って取り返してくればいいだけだね! なんでこんな簡単な事に気が付かなかったのかな」

テツヤ「そりゃ、どこに行けばあの世へ着くのかわかんねぇからな」

ディアブロ「首を吊ればすぐそこだろうけど、それじゃ帰ってこれないからねぇ」

しかし帰還できる行き方に、ファティマは心当たりがあると言っている。ならば次の道は決まった。完成した伝説の剣・ブラッドソードを求める旅は、冥府の彼方へと続くのである。

次巻「死者の国から還れ!」 近日開始予定

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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2012年7月15日 (日)

ブラッドソードリプレイ3-16 7身分体

このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:5 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:7 機敏度:8 生命力:31
装備:ブラッド・ソードの鞘 ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(6本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金35) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:5 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:26
装備:ブラッド・ソードの柄 ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(6本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金貨袋(所持金100) 金の巻物 司祭長の杖

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:5 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+2 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:26
装備:銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 金貨袋(所持金100) 琥珀の火口箱 魔法のパン 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 真鍮のびん

Photo スクリーボ

旅の途中で買われたカラス。
お値段は金貨1枚。
とりあえず当面、役に立つような能力は無い。
しょせんは金貨1枚。

レジェンドという世界、クラースの地にて冒険者として旅する三人。伝説の“生命の剣”ブラッドソード探索の旅を続け、その柄と鞘を手に入れた彼らは、最後の部品である刀身を探す。刀身を求めてたどり着いたのは、十字軍が拠点とする都・クレサンチウムだった……。

ブラッドソードを手に入れるため、ササリアン王子に協力した三人。裏切られ、召喚された魔神をけしかけられたものの、なんとか逃げ延びて剣への案内役・ハチュリを手に入れた。ハチュリの案内に従い、街の地下にあった古代遺跡へ潜り、その奥までたどり着いたが……。

テツヤ「ブラッド・ソードまであとどれぐらいだろうな」

スクリーボ(実はもうすぐそこなのダ)

ミヤ「きっとすごく強いボスキャラが守っているよね。これはきばっていかないと!」

ディブロ「まぁ何かの手違いでゴミ捨て場の片隅に捨ててある、というのも斬新だが……斬新なだけで何の意味もないから、やる奴はいないだろうぜぇ」

しかしゲームブック版ドルアーガにて最強最後の魔法は、迷宮の片隅にいるただのザコが持っていたりした。今考えると凄い話だ。
ともかく三人は次の部屋へと足を進める。

【項目483→21】
ハチュリを持っているかどうかで、ここで起こるイベントは少し描写が変わる。まぁ内容は同じなんだが。

茶碗を伏せたような形の洞穴へ入る。
壁は急傾斜で、水晶の鉱脈が松明の光に輝いていた。
丸天井からは、鍾乳石が涙のように垂れ下がっている。
ハチュリは立ち止まると手をあげて、向こうの壁の、宝石に飾られたはね上げ戸を指さした。
にっこり笑って、小さな人形を手にとる。

「そうだ、ハチュリ、でかしたぞ」

背後から囁き声がした。
思わずふり返る。

テツヤ「ササリアンか……蛆虫野郎が!」

奴は怯んだ。

「待ってくれ。そちらが興奮している事はわかるが、だからといって無礼を働いていい事にはならんぞ」

剣を抜いて怒鳴る。

テツヤ「何を言ってやがる。クレサンチウムの肉屋の店を覚えているか。あの切り刻まれた獣の死体をな? 裏切り者へ、すぐにお前も……

ミヤ「えっ? ササリアンさんがボスキャラ? 古代のナントカじゃなくて?」

ディアブロ「ちと微妙かねぇ。しかもあんまやる気なさげだぜぇ」

奴はもう怖がってはいなかった。

「脅しもいい加減にしろ。私の魔法にはかなわない事が、まだわからんのか? 後ろを見てみたらどうだ?」

ふんと鼻先で笑ってやる。

テツヤ「まさかお前は……」

重い足音が洞穴の壁に響いた。
ゆっくりふり向くと、そこには巨大な化け物が立っていた。
木を彫って作られたらしい。
ずんぐりした奴だった。
ササリアンが言った。

「セブン・イン・ワンと呼ばれる凶暴な原始の神だ。私の影達よりずっと始末におえないぞ。なにせこいつは影ではなく、実物だからな……」

ミヤ「前に本で読んだやつだね! こんな所にいたんだ。……でもこれ、ササリアンさんの魔法じゃないよね」

ディアブロ「つまり『私の魔法にはかなわない事が、まだわからんのか? (しかし私はここで魔法を使う気はないし、私が使わなくても貴様らと戦う奴はいるので)後ろを見てみたらどうだ?』という事だろうぜぇ」

テツヤ「驚愕の腰抜けぶりだな……」

しかし驚愕していても、セブン・イン・ワンと戦わねばならない事に変わりは無い。どこかの孤島から地下迷宮へ引っ越してきた古代の木像ゴーレムとの戦いが幕を開ける。

ディアブロ「バトルオーダーはいつも通り、俺がネメシスの電光を準備しておくのもいつも通りだぜぇ」

【項目204】
39セブン・イン・ワンは、貝殻の目でこちらを睨んだ。
そして木の拳をふりあげ、ドシンドシンと近づいてきた。

セブン・イン・ワン(7)
戦闘力=6 精神力=9 鎧強度=0
生命力=45 打撃力=サイコロ5つ 機敏度=5
※セブン・イン・ワンは、厳密にいえば魂を持っていない。だから、盲目的服従の呪文でいう事をきかせる事はできない。

今回は退却はできない。
ゴールはごく近い。
この最後の敵を倒しさえすればいいのだ。

テツヤ「ササリアンの蛆虫野郎はえらくコイツを持ち上げていたが、正直たいした強さじゃねぇな?」

ディアブロ「遠距離攻撃はできないし、敏捷度も遅いから、こっちが誘導し易いぜぇ」

というわけで近接型敵単体のセオリー通りに戦う事にした。
ミヤとディアブロの機敏度が同じなので、行動順をダイスで決める。ミヤ=4、ディアブロ=3でミヤが先に動く。

○第1ラウンド
テツヤ: F-5へ移動。
ミヤ:D-6へ移動。
ディアブロ:D-5へ移動。
セブン・イン・ワン:E-4へ移動。

○第2ラウンド
テツヤ:射撃でセブン・イン・ワンを攻撃。出目8で失敗。

テツヤ「チッ……射撃なんざ久しぶりなんで外しちまったぜ」

ディアブロ「ロジ・スカイランナーの剣が使えないから、7以下じゃないと当たらないしねぇ」

ミヤ:C-6へ移動。
ディアブロ:C-5へ移動。
セブン・イン・ワン:E-5へ移動。
 

B141○第3ラウンド
テツヤ:F-4へ移動。
ミヤ:B-6へ移動。
ディアブロ:B-5へ移動。
セブン・イン・ワン:E-4へ移動。
 

ここで勝負あり。後は一番近くにいるテツヤを追って動くので、テツヤが毎ラウンド南北に移動を繰り返せば、セブン・イン・ワンはずっと追いかけ続けるだけだ。
ここからディアブロは遠慮なくネメシスの電光を詠唱し始める。

8ラウンド目で詠唱成功。ダメージ42(被害42)。

ディアブロ「ほう、いい出目だぜぇ。鎧強度も0だから素通しでナイス威力w」

ミヤ「残り3点だね。もう何当てても倒せるよ」

9ラウンド目にテツヤが攻撃、出目5で命中。ダメージ7(被害7)。撃破。

テツヤ「そして一突きして終わり、と。相変わらず腰砕けな戦法だな……」

スクリーボ(しかし今回に限り、拍子抜けばかりもしていられないのダ)

敵もそう毎度毎度、同じやり方で終わらせてはくれない。

【項目243
B142化け物の身体が動いたかと思うと、突然、クルミのように二つに割れた。
殻の中からは、ひとまわり小さいが、形の全く同じ木像が出てきた!
なぜ、奴がセブン・イン・ワンと呼ばれているのかが、だいたいわかったぞ……。

セブン・イン・ワン(7)
戦闘力=7 精神力=9 鎧強度=0
生命力=40 打撃力=サイコロ4つ+2 機敏度=5
※セブン・イン・ワンは、厳密にいえば魂を持っていない。だから、盲目的服従の呪文でいう事をきかせる事はできない。

テツヤ「チッ、おかしな名前だと思ったがそういう事か!」

ミヤ「戦闘の項目が連続してるから、生命力回復術を使う暇も無いね?」

ディアブロ「持久戦を挑むタイプの、珍しい敵って事だぜぇ」

○第1ラウンド
テツヤ:射撃で攻撃。出目4で命中。ダメージ3(被害3)。
ミヤ:D-6へ移動。
ディアブロ:D-2へ移動。
セブン・インワン:距離の関係で、テツヤめがけてF-4へ移動。

ここで勝負あり。後は一番近くにいるテツヤを追って動くので、テツヤが毎ラウンド南北に移動を繰り返せば、セブン・イン・ワンはずっと追いかけ続けるだけだ。
ここからディアブロは遠慮なくネメシスの電光を準備、後に詠唱し始める。

テツヤ「さっきよりハマるの早いぞ

ミヤ「位置取りが悪いんじゃないかな?」

ディアブロ「景気良くいくぜぇw」

第2ラウンドでディアブロがネメシスの電光を準備。
第4ラウンドで詠唱成功。ダメージ37(被害37)。撃破。

テツヤ「おや、残りHP丁度のダメージで倒したか」

ミヤ「なんか無意味に嬉しくなるよね、こういうの♪」

ディアブロ「さて、名前通りだとこの後がまだありそうだぜぇ」

ご期待にはちゃんと応えてくれる。

【項目240】
B142三番目の木像が殻から抜け出して、こちらに襲いかかってきた。

セブン・イン・ワン(7)
戦闘力=8 精神力=9 鎧強度=0
生命力=35 打撃力=サイコロ4つ+1
 機敏度=5
※セブン・イン・ワンは、厳密にいえば魂を持っていない。だから、盲目的服従の呪文でいう事をきかせる事はできない。

ミヤ「でも配置がさっきと同じ……」

テツヤ「ゴーレムだから学習能力なんざ無いんだろ」

○第1ラウンド
テツヤ:射撃で攻撃。出目6で命中。ダメージ4(被害4)。
ミヤ:D-6へ移動。
ディアブロ:D-2へ移動。
セブン・インワン:当然F-4へ移動。

もちろん勝負あり。ディアブロは嬉々としてネメシスの電光を準備、後に詠唱し始める。

第2ラウンドでディアブロがネメシスの電光を準備。
第3ラウンドで詠唱成功。ダメージ32(被害32)。撃破。

ディアブロ「おおっと、1ゾロふって一発成功したぜぇ! ソードワールドだったら自動失敗で敵さん生きてられたんだが、ま、己の不運を呪ってほしいぜぇw」

ミヤ「なんか絶好調だね……」

【項目87】
B142四番目の木像が殻から抜け出して、こちらに襲いかかってきた。

セブン・イン・ワン(7)
戦闘力=9 精神力=9 鎧強度=0
生命力=30 打撃力=サイコロ4つ
 機敏度=5
※セブン・イン・ワンは、厳密にいえば魂を持っていない。だから、盲目的服従の呪文でいう事をきかせる事はできない。

テツヤ「やっぱり続きがあったか」

ミヤ「そして位置はやっぱり同じ……セブン・イン・ワンの能力、ちょっとずつ変わってるけど、こりゃ展開は変わらないよね」

ディアブロ「変える理由も無いぜぇw」

○第1ラウンド
テツヤ:その場で防御。そろそろ弓撃つ必要もなくなってきた。
ミヤ:D-6へ移動。
ディアブロ:D-2へ移動。
セブン・インワン:もちろんF-4へ移動。

はいはい勝負あり。ディアブロは笑いながらネメシスの電光を準備、後に詠唱し始める。

第2ラウンドでディアブロがネメシスの電光を準備。
第7ラウンドで詠唱成功。ダメージ30(被害30)。撃破。

ミヤ「またぴったり撃破」

テツヤ「戦闘力と引き換えにだんだん虚弱になってるな、セブン・イン・ワン」

ディアブロ「もう矢で弱らせる必要も無いぜぇ」

【項目382】
B142こちらは、次々とくり出される戦いに疲れ果てた。
が、奴は攻撃をやめようとしなかった。
五番目の分身が襲いかかってくる。

テツヤ「誰か疲れたか?」

ミヤ「私は別に。ディアブロはどんどん元気になってるよ」

ディアブロ「みwなwぎwりwんwぐww」

テツヤ「そうか……アイツを見てると俺はある意味疲れるから、まぁ俺の事だとしとくか……」

セブン・イン・ワン(7)
戦闘力=10 精神力=9 鎧強度=0
生命力=25 打撃力=サイコロ3つ+2
 機敏度=5
※セブン・イン・ワンは、厳密にいえば魂を持っていない。だから、盲目的服従の呪文でいう事をきかせる事はできない。

○第1ラウンド
テツヤ:その場で防御。意味はないが動いてはいけないので。
ミヤ:D-6へ移動。
ディアブロ:D-2へ移動。
セブン・インワン:もちろんF-4へ移動。

よっしゃ勝負あり。ディアブロは鼻唄まじりでネメシスの電光を準備、後に詠唱し始める。

第2ラウンドでディアブロがネメシスの電光を準備。
第8ラウンドで詠唱成功。ダメージ34(被害34)。撃破。

ディアブロ「無力な相手を粉々にするのは心が痛むぜぇw」

テツヤ「俺はそろそろ頭が痛え」

【項目536
B142また一人、木の殻から飛び出して襲いかかってきた。
今度のは、大きさはこちらの身体とさほど変わらない。
しかし、今までのよりもずっと動きが速く、より破壊的な力を持っているようだ。

セブン・イン・ワン(7)
戦闘力=11 精神力=9 鎧強度=0
生命力=20 打撃力=サイコロ3つ+1
 機敏度=5
※セブン・イン・ワンは、厳密にいえば魂を持っていない。だから、盲目的服従の呪文でいう事をきかせる事はできない。

テツヤ「動きの速さは命中値(戦闘力)にしか反映されないんだな」

ミヤ「動きが速いのは上半身だけで、足はゆっくり動いてるんだよ」

テツヤ「……もしかしてこの木像、始めから勝つ気ないんじゃねぇか?」

○第1ラウンド
テツヤ:その場で防御。攻撃はされないんだが。
ミヤ:D-6へ移動。
ディアブロ:D-2へ移動。
セブン・インワン:相変わらずF-4へ移動。

当然のように勝負あり。ディアブロは尻を掻きながらネメシスの電光を準備、後に詠唱し始める。

第2ラウンドでディアブロがネメシスの電光を準備。
第6ラウンドで詠唱成功。ダメージ33(被害33)。撃破。

ディアブロ「そろそろ今日の昼飯なににするか考えておこうぜぇ」

ミヤ「量のある物がいいな!」

テツヤ「あのな……後1個残ってるはずだろ」

【項目361
B142七つ目の木像は1メートル足らずの戦士だった。
これが最後でありますようにと、心の中で祈った。

テツヤ「そうでなけりゃ、俺もそろそろアクビが出そうだ」

セブン・イン・ワン(7)
戦闘力=12 精神力=9 鎧強度=0
生命力=15 打撃力=サイコロ3つ
 機敏度=5
※セブン・イン・ワンは、厳密にいえば魂を持っていない。だから、盲目的服従の呪文でいう事をきかせる事はできない。

○第1ラウンド
テツヤ:その場で防御。攻撃とんでこないんだけどな。
ミヤ:D-6へ移動。
ディアブロ:D-2へ移動。
セブン・インワン:ルールに則りF-4へ移動。

公明正大に勝負あり。ディアブロは腰をおろして一服しながらネメシスの電光を準備、後に詠唱し始める。

第2ラウンドでディアブロがネメシスの電光を準備。
第4ラウンドで詠唱成功。ダメージ26(被害26)。撃破。

ディアブロ「ハハーン、恐ろしい敵だったぜぇ」

テツヤ「しつこいだけのサンドバッグじゃねぇか!」

とはいえ、威力のある遠距離攻撃ができる味方は魔術師だけのこのゲーム、接近戦で戦うとどんどん体力が削られていき、それでいて回復の機会が与えられないという厄介な敵なのだ。
しかし木像だけあって、火を起こす一部のアイテムに弱い。2巻で入手できる火の球、あるいはこの巻で入手できる司祭長の杖(実は火炎で敵を攻撃するアイテムなのだ)。このどちらかがあれば、セブン・イン・ワンを一撃で倒し、しかも再生させずにおける(芯まで燃え尽きるため)。
マギ派との合戦は、ジニーの願い事を2つも消費する勿体ないイベントだが、ダンジョンの地図と強敵撃破アイテムの入手という2つの特典が与えられるのである。非常に考え抜かれた構成である事がおわかりいただけたであろう。

テツヤ「……ちょっと待てや。じゃあ俺ら、杖もってるんだから最初にそれ使って一撃必殺できたんじゃねぇか!」

実はその通りである。が、このゲームの魔術師は特定の場所でやけに強力なので、今回はそれを活用してみた。単独だと一番弱いのはおそらく魔術師なのだが、パーティを組んで活用すると局地的に最強なのである。こういう事ができるとは……と、当時ものすごく感心したものだった。

テツヤ「……まぁいい。そろそろササリアンの塵虫野郎を片付けるぞ」

ミヤ「あいあいさあ」

ディアブロ「全くの無傷だから余力はたっぷりだぜぇ」

【項目356→436
さあ、ササリアンとの対決だ。
目をぎらつかせて、すばやくふり返ると、奴は呪文を唱えるかのように、両手をあげて立っていた。
しかし、その顔には驚きの表情が浮かんでいる。
唇の端から血が滴り、ガウンの緑色の縁飾りの上にポタポタと落ちた。
奴は目を閉じると、大きく傾き、洞穴の床の上に息絶えて倒れた。

テツヤ「……死んでるぞアイツ」

ミヤ「待ちくたびれて……じゃないよね?」

ディアブロ「誰かいるぜぇ?」

奴の後ろに老人が立っていた。
老人は黒い絹の布で短剣を拭うと、カチリと音を立てて鞘に納めた。
その瞬間に、彼の正体を悟る。
マリジャー暗殺団の団長、ハサン・イーサバーだ。彼が言った。

「ササリアンの過去はようやく彼自身に追いついたな。夜が明けた」

ディアブロ「おやま。爺さん、はぐれたと思ったらササリアンを不意打ちするチャンスを狙ってやがったようだぜぇ」

テツヤ「ま、いいんじゃねぇか。手間がはぶけたってもんだ」

ミヤ「あれ? それじゃあ、後は最奥へ一直線かな?」

ディアブロ「そういう事だろうねぇ」

テツヤ「んじゃ、奥に行くか」

ハサンと合流し、三人はさらに奥へと足を踏み入れる。ついにブラッドソードの最後のパーツが姿を現すのだ。

しかしそれは次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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2012年7月 8日 (日)

ブラッドソードリプレイ3-15 古代の迷宮

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:5 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:7 機敏度:8 生命力:31
装備:ブラッド・ソードの鞘 ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(6本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金35) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 木の人形

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:5 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:26
装備:ブラッド・ソードの柄 ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(6本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金貨袋(所持金100) 金の巻物 司祭長の杖

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:5 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+2 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:26
装備:銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 金貨袋(所持金100) 琥珀の火口箱 魔法のパン ファティマの銀の鍵 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 真鍮のびん

Photo スクリーボ

旅の途中で買われたカラス。
お値段は金貨1枚。
とりあえず当面、役に立つような能力は無い。
しょせんは金貨1枚。

レジェンドという世界、クラースの地にて冒険者として旅する三人。伝説の“生命の剣”ブラッドソード探索の旅を続け、その柄と鞘を手に入れた彼らは、最後の部品である刀身を探す。刀身を求めてたどり着いたのは、十字軍が拠点とする都・クレサンチウムだった……。

ブラッドソードを手に入れるため、ササリアン王子に協力した三人。だがササリアンは道標となる人形・ハチュリが完成するや三人を裏切り、古代の魔神を召喚してけしかけてきた。なんとかその場を逃げ延びた三人だが……。

テツヤ「とりあえず路地裏の扉に飛びこんだんだが……どこだここは」

ディアブロ「ファティマってお嬢さんから貰った鍵で入れたんだから、彼女の所有地だろうぜぇ」

ミヤ「じゃあ安全な場所だよね。あの人、良い人だったし」

旅行先(とくに外国)で知り合った人間を容易く信用するのは感心できた事ではない。ちょっと検索すれば、旅先で騙されてエライ目にあった話ぐらいすぐに出てくる。TVや広告は綺麗ないい話を書きたがるが、彼らも商売でやっている事を忘れてはならないだろう。
まぁ今回は安全な良い場所なのだが。

【項目123】
そこは塀に囲まれた庭園だった。
ジャスミンの香りが満ち、夜明け前の紫色の影が濃い。
足元の草は青々と、露に濡れていた。

ディアブロ「小汚い路地裏から、急に金持ち臭がする場所に出たぜぇ」

テツヤ「チッ……あの猿もブルジョワ様のペットだったのかい」

一緒に飛びこんだ猿が、急いで芝生の向こうに走っていった。
そこには東屋があり、女が一人座って銀の杯を傾けている。

女はヴェールを被っているが、すぐにファティマだと気づき、おじぎをする

ディアブロ「感謝いたします、レディ。この庭のおかげで、危ない所を助かりましたぜぇ」

ささやくような声で彼女が言った。

「こちらへ来て、おかけなさい」

言われた通りにする。
まもなく銀の皿にのった砂糖菓子が出された。
その時ふいに、デーモン達の事を思い出す。
高い塀の向こうから、奴らの吠える声がまだ聞こえている。

ミヤ「やつらは、ここに入ってこれないのですか?」

彼女はにっこりして言った。

「あなた達を追ってきた物達は姿を消しました。あれは野良猫達の鳴き声ですよ……

もう一度耳をすましてみる。
彼女の言う通りだった。

別の門が勢いよく開いて、革の上着を着た痩せた老人が入ってきた。
彼はツタの絡まる格子窓の側に立った。
猿の首を撫でさすりながらファティマが言った。

「ご安心なさい。あれはハサンです」

ミヤ「ハッサン? 正拳突きするモヒカンの人と同じ名前だぁ」

テツヤ「外国じゃわりと有る名前なんかね」

老人は近づいてきて、微笑みかけた。

「お許しください、ファティマ。近道にあなたのお庭を通らせていただきました。ササリアンが側にいると、九つの門(ナイン・ゲイト)は開けられないのです」

とび上がって、ハサンに尋ねる。

テツヤ「ササリアンだって! あの卑劣な野郎の居場所をご存じか?」

「見つけたいと思っています。朝日が昇る前に、奴を殺すつもりです」

テツヤ「それでは一緒に行こうじゃねぇか!」

ふり返って、ファティマにお辞儀する。

テツヤ「姉ちゃん、お話ができて愉快だったぜ。ほんのしばらくの間だったが、もうお別れしなきゃならねぇらしい……」

彼女は頷いた。

「あちらの門から出ていらっしゃい。ハサン、貴方もね。目ざす物の近くへ行けるでしょう」

その門を潜って庭園を出ると、小石の敷きつめられた広場に出た。
中央に井戸がある。
ハサンはすぐ後ろにいた。
いると思っていた。
だがふり返ると、彼の姿はなかった。
そして、門も消えてしまっていた。

ミヤ「お爺ちゃんも門も幻だったの?」

テツヤ「庭ごとなんかの結界でも張ってあんだろ。ブルジョワ様は貧乏人と同じ空気吸ったら死ぬからな。爺さんは、ほらアレだ、能力値を記録させると手間がかかるから、空気としてついてきてイベントの時だけ出てくるタイプのNPCになったんだろ」

スクリーボ(ハサンに関しては本当にその通りなのダ)

【項目202→261】
ハチュリを人形とすりかえていると、ここでイベントが起きる。

小さな人形が食料袋から飛び出して、井戸の縁に駆け寄った。
こちらも走っていって、井戸を覗く。
井戸は墓穴のように真っ暗だが、水は無さそうだ。

ハチュリは地下の世界へこちらを案内しようというのだ。
取るべき道は次の通り。

左の道を進み、左のアーチを抜け、最初の分かれ道を右に折れ、二番目の分かれ道を左に折れる

ミヤ「わぁ、この子、本当に道案内なんだ! お利口さんだね

テツヤ「ササリアンの蛆虫野郎からギッておいた甲斐があったな」

ディアブロ「ブラッドソードの刀身は井戸の底だったんだねぇ。そのすぐ裏に住んでいて、こちらの目的を御見通しだったファティマ嬢ってのは一体何者なのか、ちと気にならないでもないぜぇ」

実家がたまたま伝説の剣が眠る遺跡が隣にあっただけの人かもしれない。この広場は町中なので、周囲の住人のほとんどはそうした一般人だと思うのだが……。
ともかく三人は井戸の中へと降りていく。

【項目477
井戸の底はまだ真夜中の冷気に包まれていた。
あたりはじめじめしていたが、床の中央に汚い泥が残っているだけで、やはり水はなかった。

ミヤ「本当にドラクエ6みたいだね」

テツヤ「もちろん、こっちの方が古いけどな。しかしこの遺跡、水があった頃は誰がどうやって利用していたんだ」

ディアブロ「制作・使用は深き者どもな連中だったのかもしれないぜぇ」

南側の壁に三つのトンネルがあった。
右手のトンネルからは水の滴る音が聞こえる。
他の二本のトンネルからは何の音も聞こえない。
割れた敷石の上に転がっていた乾いた木を拾い上げて、松明を作る。
パチパチと音を立てて松明は燃え上がった。
頼りない明かりだが、仕方があるまい。
松明の熱に驚いて、ヘビが左手のトンネルに逃げ込んだ。

見納めに空を見上げ、松明をかかげて、南の方角へ進む。

ディアブロ「トンネルは三つ、左・中央・右とあるぜぇ」

テツヤ「俺らにはガイドがあるからな。ハチュリの指示に従って左へ行くか」

ミヤ「うーん……井戸、ヘビ、左手……?」

テツヤ「どした?」

ミヤ「前に修道院長のお爺ちゃんから絵を見せてもらった事があるけど……あれもここの事を示していたのかなぁ?」

スクリーボ(その通リ。3-13の435番で見せてもらえる絵も、この迷宮の抜け方を教えているのダ)

このダンジョン、小さいながらも判定に失敗すると即死するような罠もいくつか仕掛けてあり、正解ルートを知らないと犠牲者が出かねない。盗賊がいると簡単に、いなくてもやり方次第で情報を得られるようになっているのだ。

【項目206】
用心してトンネルを進んでいく。
井戸に差しこむ陽の光も、ここまでは届かず、辺りは薄暗い。
まもなく円形のレンガを並べた部屋に出た。

テツヤ「ダンジョン内で部屋にでたなら、罠と隠れている敵の捜索をしねぇとな」

デァイブロ「繰り返しているうちに飽きるんで、終いに自動で行っている事にする場合ばかりだったぜぇ」

ミヤ「ていうか、壁に何かあるよ?」

周囲の壁は手のこんだ絵模様で飾られている。
そこに描かれている大男は、三本のとんがりのついた兜をかぶり、金属製の鎧をつけていた。
そいつが自分を取り巻く小さな人間達をメイスで殴り倒している絵がある。
また、その鎧男が神殿を打ち壊している絵もあった。

テツヤ「多分、こいつがこの先で出てくる敵だな」

中で一枚だけ、そいつが人間達におじぎをしている絵が目をひいた。
司祭の一団が両手をあげ、手の甲を押しつけるようなポーズで、奴に命令を下している光景だ。
これは何か魔法のしぐさに違いない

ミヤ「じゃあこれは攻略法なんだね!」

ディアブロ「ま、覚えておいて損は無いと思うぜぇ」

肩をすくめ、絵に背を向けて、部屋を見まわす。
出口は一つしかない。
それを通って、真っ直ぐにトンネルを進むと、前方に明かりが見えた。

【項目65】
38明かりの見えた丸天井の部屋に入って行く。
東から西へ伸びる細長くてだだっ広い部屋だ。
入って来た北側の壁には、他に二つの入り口があり、正面の南側の壁には二つのアーチが見える。
壁は数百枚の金属でできた木の葉で飾られている。
木の葉は本物そっくりの出来栄えだ。
トネリコの葉をまねて作られたのだろうか。
その時、南側に妙な奴が姿を現した。

ミヤ「何かな? 友達になれる子だったらいいんだけど」

ディアブロ「安全に越した事は無いので同感だが、あれは違うみたいだぜぇ

金属製の鎧をつけた男が、こちらに向かってドシンドシンとやってくる。
普通の戦士の二倍以上の背の高さで、顔の無い頭からは三本のスパイクが鋭く突き出ている。
大きなメイスを振り回している所を見ると、奴は地底世界へ入ろうとする者を阻止するために、ここに配置されたオートマトンに違いない。

テツヤ「さっきの壁画はこいつか。思った以上に早く出たな!」

ミヤ「オートマトン……自動人形って事だね」

ディアブロ「ではさっきの壁画に基づいて合図を送ってみるかねぇ」

なお、この部屋を通らないという選択肢を選ぶと、問答無用で戦いになるので注意が必要だ。部屋を通ろうとする者は合図を送るチャンスがあるが、避けようとすると即座に殴られるのである。何かおかしい気もするが、こいつは自動人形……そういうプログラムをインプットされているなら仕方がない。怒りは脳のネジが緩かった古代の技術者へ向けられるべき。

【項目512→515→357】
ミヤ「確か……両手をあげて、手の甲をくっつけるんだよね」

こちらが古代の命令のしぐさをすると、鎧をつけたオートマトンは怯んだようだった。
身体が大きく揺れて、メイスが床に落ちた。
奴は両手を胸の上に置いた。今にもひっくり返るのかと思った。
が、奴は胸についている蓋を開け、中から
水晶の音叉を取り出したのだ。
奴は
音叉をこちらに手渡した。
音叉の先端から、かすかな振動が伝わってくる。

ミヤ「プレゼントまで貰えたよ! ラッキー!」

テツヤ「この先で使うんだろうな。持っていくか」

オートマトンは、満足した様子でおじぎをすると、大広間の向こうへ退却していった。

ミヤ「あれ? あの子は帰っちゃうんだ。ついてきてくれたら嬉しいのに」

ディアブロ「あくまでガーディアン、ご主人様に御伴するようにはプログラムされてないんだろうねぇ」

なお、オートマトンは抵抗力こそ高い物の、低確率で盲目的服従の呪文が通じる。精神支配が有効という事は、人工頭脳に当たる部分に生体部品が使われているのかもしれない。

【項目293
ここには、他にめぼしい物が見当たらない。
やがて広間を照らしていた不思議な照明が消え始め、辺りは再び松明だけの薄明かりに包まれた

ミヤ「照明に省エネ機能があるんだ! すごく技術レベルの高い遺跡だね」

テツヤ「出口は二つ。右と左にアーチ状の入口があるな」

ディアブロ「ハチュリに従って左へ行こうぜぇ」

【項目528
花崗岩の敷きつめられた通路を進むと、まもなく行く手が二つに分かれた

テツヤ「今度は直進と右折か。ま、右だな」

ミヤ「ここらへんには何も無いの?」

ディアブロ「単調なのは安全だからだぜぇ」

【項目8
通路はまた二つに分かれていた。
左の道は北の方へ戻っていくようなので、真っ直ぐに進む事にする。

ミヤ「あれ? ハチュリの道案内とも、お爺ちゃんの絵とも違うような気がするよ?」

ディアブロ「直進と左折に関して、文章を逆に書いちまったのかねぇ」

それとも自分の読み間違えかと思って何度か文章を見直したが、やはり違うように思えてならない。だがそんな疑問は他所に、イベントは自動進行するのであった。

【項目554
部屋に着く。
見れば、北側からもこの部屋に通じる通路が一本あった。
そして正面には、トネリコの木でできた大きなドアがそびえている。
ドアは、錆びた鉄の閂と大きな南京錠で厳重に閉ざされている。

ミヤ「この迷宮造った人、トネリコが大好きなんだね」

テツヤ「で、どうやってあの扉を開けるかだが……ん?」

影の中から何者かが現れた気配がする。
パッと振り返り、松明をかざしたが、そこには何も見つからない。
だが、念のためにもう一度ふり返ると、化け物の衛兵が目と鼻の先のドアの正面に立っていた。
それは、よだれを流す犬の頭に、逞しい人間の戦士の身体を持つ化け物だった。
奴は手に持った槍をこちらに向けている。
黄色い目でこちらを睨み、そいつはウーッと唸った。

テツヤ「次の番人がお出ましか。やる気みてぇだな」

ディアブロ「何か道具を使うチャンスはあるぜぇ」

ミヤ「じゃあそれでやってみようよ。戦うのは、道具を使ってもダメだった時でいいし」

【項目81→305
ここで使える道具は三つ。金の鏡、真鍮のびん、そして音叉である。

テツヤ「ここで貰った物だし、音叉が一番それらしいな」

音叉を打ち鳴らした途端、化け物は耳をそばだて、こちらをじっと見た。
そしてドアに近づき、槍をかかげた。
その態度は堂々としていて、目の奥には知性の閃きすら感じられた。
槍がドアに触れると、ぱっと閃光が走り、錠と閂は消えた。

ドアが開くと、犬戦士は槍を一振りして、中に入るように合図をした

ミヤ「あの音叉は通行証だったんだね。壁画に書かれていた司祭さん達が、ここを造った人達だったんだ」

数々の強力な化け物(戦わなかったが)と数々の致命的なトラップ(避けたが)を配置する、熱心な司祭達である。まぁ伝説の剣を置く迷宮が子供でも入れるような場所だと、それはそれで不自然ではあるが。

テツヤ「んじゃ、奥に行くか」

犬戦士に手をふって、三人は先へ進む。

スクリーボ(いよいよこの巻のクライマックスなのだガ……ちと変わった戦いになるゾ)

それは次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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2012年6月28日 (木)

ブラッドソードリプレイ3-14 神か悪魔か

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:5 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:7 機敏度:8 生命力:31
装備:ブラッド・ソードの鞘 ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(6本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金35) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 木の人形

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:5 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:26
装備:ブラッド・ソードの柄 ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(6本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金貨袋(所持金100) 金の巻物 司祭長の杖

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:5 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+2 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:26
装備:銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 金貨袋(所持金100) 琥珀の火口箱 魔法のパン ファティマの銀の鍵 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 真鍮のびん エメラルド

Photo スクリーボ

旅の途中で買われたカラス。
お値段は金貨1枚。
とりあえず当面、役に立つような能力は無い。
しょせんは金貨1枚。

レジェンドという世界、クラースの地にて冒険者として旅する三人。伝説の“生命の剣”ブラッドソード探索の旅を続け、その柄と鞘を手に入れた彼らは、最後の部品である刀身を探す。刀身を求めてたどり着いたのは、十字軍が拠点とする都・クレサンチウムだった……。

クレサンチウムでブラッドソードを求め、三人は伝説の海賊船からエメラルドの目を奪った。これがあれば生命の剣への道が拓けるはずなのだ。魔神ジニーを従えながら紆余曲折、三人はようやくクレサンチウムへ戻ってきた……。

テツヤ「マジ長かったな。やった事自体はさほど多くないはずなんだが」

ミヤ「内容が濃かったからそう思うんだよ、きっと」

ディアブロ「更新が滞ってただけの話だと思うんだがねぇ」

まぁしゃあねぇや。いろいろあるんだよ、こっちにも。
いや、いろいろ無くなったと言うべきか。
そんな事を考えている間にも物事は先へ進む。

【項目550】
朝早くハクバッドに到着する。
上空からは大きな宮殿や、先のとがったドームのある神殿が見えた。
そして広大な果樹園の向こうに、墓場や雑木林が広がっている。
人や建物が密集した北の都市を見慣れている目には、こういうだらだらと広がったターシムの都市がとても奇妙なものに映る。
ハクバッドの人口は百万以上と聞いている。
フェロメーヌの町の人口の四倍だ。
しかしそれが約十倍の広さの土地に住んでいるのだ。
考えただけでも、あっけにとられる話だ。

ジニーが言った

「この町はいくつかの川の合流地点にあるんだ。もともとは小さい町だったんだが、どんどん広がって、いまみたいなハクバッドの都になったんだな」

ミヤ「キミはいろんな事を、よく知っているね。この町はまるで……」

ジニーは二本の運河にはさまれた細長い原っぱを目ざして降下をはじめた。

「その昔、おれは犬や商人に姿を変えて、この町をぶらついたもんだ。おれの仕事は無事に完了したから、今夜は変身して大いに楽しむとしよう」

こちらを地面に降ろすと、やつは身体を縮めていき、シェロの木ほどの大きさになった。

テツヤ「そこらの行商人から土産物でも買おうと思ったら実はジニーだった……という事が有り得たわけか。この街は」

ミヤ「それはそれで何か面白そうじゃない?」

ディアブロ「ま、何食わぬ顔して適当な物をひっぱり出して売りつけてお終い、だと思うぜぇ」

無から有の創造という超魔力が小銭で買える饅頭の箱を生み出すのに使われる事があるのかと思うと、無意味に感慨深い物があるような気がする。

スクリーボ(なお、ジニーへの願い事がまだ残っている場合、ここで全て使いきってしまわないといけないのダ。このパーティは全て使いきったので関係ないガ)

【項目432】
ジニーはギラギラ輝く目をした黒い猟犬に変身した。
原っぱの向こうまで走っていくと、やつは肩ごしにどなった。

「真鍮のびんを拾ってきたのなら、持っているがいい。古いものだから値打ちがあるかもしれん。どっちみち、おれには二度と必要ないからな!」

ミヤ「いろいろありがとね! バイバーイ!」

テツヤ「野良犬に餌やったらジニーだったという事がありえるわけか……」

ディアブロ「ま、何食わぬ顔して骨っこ咥えて路地裏へ消えると思うぜぇ」

つまり魔神の餌=骨。

猟犬は木立ちの中に消え去った。
ササリアンは『砂漠の微風館』でこちらを待つといっていた。
それがどこにあるのかわからないので、適当に進んでいく。
町の中心へと通じるらしい砂利道に出た。
すぐにその道は幅の広い並木道に変わり、向こうから年老いた僧が重そうな袋をかついでやってくるのが見えた。

ミヤ「何持ってるのかな。行ってみようよ!

ディアブロ「どうしてすぐ首を突っ込みたがるのかねぇ。おじちゃん、何か言ってやってはどうかね……ん?」

一人、道の向こうへ行くテツヤ。盗賊が木の人形を持っていれば、ここで行動を起こす事ができるのだ。

【項目228】
Photo(盗賊)

原っぱに戻り、砂利道にかがみこむ。

[さがしていた物はすぐに見つかった。
緑色の小石が二個だ。
これを人形の目に押し込む。
ハチュリそっくりとはいえないが、うす暗い光の下でならごまかせるかもしれない……]

並木道に戻る。

テツヤ「ハチュリってのが今後の鍵になるなら、こういう準備をしておけば役に立つかもしれねぇしな

後々、実際に役に立つ。今は道に戻り、僧に話しかける事にした。

【項目134
テツヤ「散歩には時間が遅すぎねぇか」

近づいてきた僧に話しかける。

「早すぎるとも言えますね」

僧は答えた。
僧は立ち止まったが、話を続けようとはしなかった。

テツヤ(うえ……俺の嫌いなタイプだ、この坊主)

ミヤ「その袋には何が入っているの?」

肩にかついだ重そうな袋を指差してたずねる。

「本ですよ。経典もありますし、五感の詩集、倫理学や法学や数占いの論文集、ナセリーヌとオパラールの文学全集、カイクハランの墓から出土した写本……」

ディアブロ「それは値打ちがありそうだぜぇ。売るつもりですかい?」

僧はすきまだらけの歯を見せて笑った。

「とんでもない! 立派な僧である私が、金を欲しがるとお思いですか。ちがいますよ。これを燃やして、夜が明けるまで暖をとるつもりなのです」

ミヤ「冗談でしょう? そんなことをしたら、罪になるよ」

彼はあいかわらず笑みをうかべている。

テツヤ「はいはい立派りっぱ。自分で言う事で『嘘です』と教えてくださる点がまことにご立派」

ディアブロ「焚き付けにするための本をどこから持ち出したのか、そっちの方が気になるぜぇ」

「教典は、読むよりも実行するものです。あらゆる点において、行動は思考に勝るのです。けれど、燃すのにしのびないとお思いなら、この写本をさしあげましょう」

彼は袋から巻き物を一本、無造作にひっぱり出して、こちらの手に押しつけた。

僧のおかしな理屈に面くらいながらも、『砂漠の微風館』がどこにあるかをたずねた。

「近くですよ。この並木道を突き当たりまで行って、左手をごらんなさい。砂漠のまん中に、『砂漠の微風館』と、クモの塔と呼ばれている塔がそびえています」

クモの塔とは、縁起の悪い名だ。
僧に礼を言い、教えられた方向に歩いていく。

この巻き物はいつでも読む事ができる。このゲームには、読むとその場で威力を発揮する魔法の巻物なんかがあるので、いつ読むかの選択も重要なのだが……。

テツヤ「これが魔法の攻撃呪文を封印してる、て事はねぇだろ。荷物も多いし、読みたきゃ今読んじまえ」

ミヤ「うん、じゃあそうしよう」

よって巻き物を開いて見るのだが……。

【項目518→141】
この巻き物を読む事ができるのは、例によって僧侶だけである。

3(僧侶)

それは長い物語の一部だった。

[……こうして私は長く生きてきた。しかし、動く偶像に面と向かったとき、私は我を忘れ、がく然とした。私はひざまずき、神に救いを求めた。しかし偶像は私をつまみあげ、島の中央にしつらえた竹の檻に運んだ。檻の中には三人の不運な先客がいた。化け物が行ってしまうと、私は彼らに、どうして捕まったのかとたずねた。

「あなたと同じだ」

最初の男が言った。

「ここがセブン・イン・ワンの島だという事を知らないのか? セブン・イン・ワンというのは、あなたを捕らえたあの悪の偶像の名前だ。七つの偶像が一つになっているところから、そう呼ばれているのだ。どうしてやつに捕まったのかと、あなたは不審にお思いかもしれない。じつは我々も、キータイで最も賢い僧侶の三人なのだが、この檻の中で、その疑問について考えつづけてきたのだ。私自身の見解なのだが、これは天国へ入ろうとした三人のイフリットの物語に似ている」

「それはどんな物語なのですか?」

私は尋ねた……]

巻き物はそこで終わっていた。

ミヤ「ふむふむ。セブン・イン・ワンという怪物がいますよ、と……」

テツヤ「あんま実のある情報じゃなかったな。つーかこれ、いつ読んでもいいらしいが、戦闘中に読んだらこのクソ長い文章を一通り読むまで、敵味方全員が動き止めるわけか?」

ディアブロ「ま、戦闘中に読むなとは指示されてないから、そうなるだろうねぇ」

ゲーム処理の都合にいちいち突っ込んでも仕方がない。巻き物はその場に捨て、三人は砂漠の微風館に向かった。

【項目88】
僧の話から、『砂漠の微風館』はすぐにわかった。
それは灰緑色の大理石でおおわれた、二つの中庭のある低い建物だった。
中庭を仕切っている中央の建物にはぜいたくな部屋が並び、中庭のぐるりの建物には、厩や寝室が並んでいる。
中央の建物の上に、僧のいっていたクモの塔がそびえている。
細い尖塔は彫刻で飾られ、先端にはブロンズの小塔がのっている。
ターシムの天文学でクモ星と呼ばれる星が、ちょうど塔を照らしていた。
ササリアンはあの上にいるだろうという予感がした。

ミヤ「なーんか、今までの宿より高級感のある旅館だよね」

テツヤ「ササリアンはそういう所の高い場所が好きそうだな」

ディアブロ「まぁどこかの元王様とやらが、納屋の片隅みたいな場所でひっそりされておられてもねぇ」

やはりそうだった。
階段の下でしばらく待っていると、召使いがランプを持って現われ、塔の上へ案内した。
ササリアンの部屋は、塔のてっぺんの、悪魔の顔の彫刻のほどこされた赤いドアの向こうにあった。
何十本もの太いろうそくが部屋を照らしている。
壁に描かれた絵は、マラジッドのターシム以前の神々のほうらつぶりを描いていた。
ろうそくのゆらめく光の中で、神々はまるで生きているように見えた。

テツヤ「居住性は低そうな部屋だな。寝泊りしてる奴はバカだろ」

ミヤ「ササリアンさんだよ?」

テツヤ「ああ、知ってる」

ササリアンは、カーテンをさっと開いて、部屋にはいってきた。
ベージュの部屋着に、金とエメラルドグリーンの縁取りのあるガウンをはおっている。
ターバンの中央にはアヒルの卵ほどもあるサファイアが輝いていた。

彼はものうげにほほえんだ。

「もっと早く来るかと思ったぞ。ハチュリの目を持ってきたか?」

テツヤ「はいはい、これだろ。そらよ」

交渉を試みる事もできなくはないが、どの道、これを渡さねば話が進まない。今はさっさとアイテムを渡す事にした。

【項目347】
ササリアンがのぞきこむと、二つのエメラルドは明るい緑の光を放った。
彼はため息をついた。

「見事なものだ。長い年月がたつというのに、サークナサールの魔法はまだ残っているようだ」

彼はハチュリを箱から出して、エメラルドを人形の目に押し込んだ。
そして小さなテーブルの中央にそれを置いた。
こちらの存在も忘れて、彼はハチュリの周りに金で渦巻きを描いた。
そして渦巻きのふちにシマメノウを彫ったコマを十二個並べ、唱え始めた。

「ディダン、ジョスタン、ベイダーン、アーヴァルダン!」

恐ろしいことに、人形は気をつけの姿勢をとった。

ササリアンは人形に向かってほほえんでから、目を上げた。

「動いたぞ。宇宙の満ち潮から必要なエネルギーを吸収したら、これは自由に動けるようになる。そのとき、私のために死の剣を見つけだしてくれるだろう」

ミヤ「あたしたちのためにはブラッドソードをね。お互いに幸せになれる協力ってステキだと思うんだ」

ディアブロ「全く同意だが、相手をよく見ないとそういう協力は成り立たないだろうぜぇ」

話している二人を尻目に、テツヤはポケットを探る。

【項目482→219】
盗賊が木の人形を持っていれば、ここで1アクション起こす事ができる。

Photo(盗賊)

ササリアンの骨董品をよく見ようと近づいていって、絨毯につまづき、テーブルにぶつかった。
コマがいくつか床に落ちた。

「まぬけなやつめ!」

ササリアンはこちらを睨みつけながら、コマを拾い集めた。

「おまえたちコラード人は、妊娠したラクダのように不器用な動きしかできんのか」

「失礼」と答えて、倒れたハチュリを元どおりに立たせた。

[その時、漁師の人形とハチュリをすり変えた。
ササリアンはあまり腹を立てていたので、それに気付かなかった]

テツヤ「つーか俺コラード人じゃねぇし」

ミヤ「ササリアンさんの母国語では、自分たち以外の人という意味=コラード人、なのかもしれないよ」

ディアブロ「もしそうだとすると、彼は自分ら以外の人種は全部ラクダ妊婦だと思っている事になるわけだがねぇ?」

そんなバカな会話が聞こえたわけでもなかろうが、ササリアンがふり向いた

【項目86
ササリアンは急にふり向くと、壁画を指さした。

「じつに美しい壁画だと思わないかね? 火山灰の下に埋もれた神殿から発見されたものだ。見てもわかるとおり、ターシム教以前、五百年も前のもので、今の西ゼニールとオトレメールに住む多くの人々は、こういう神々を崇めていたのだ」

身震いをこらえてたずねた。

ミヤ「近くで見ると、ここには胸の悪くなるような悪魔のふるまいが描かれているけど、当時の人々は本当に、こんなきもちの悪い怪物を崇めていたの?」

彼は嬉しそうに笑った。

「お前たちコラード人は上品ぶりすぎるぞ! いや、そういう意味でなら、人々はこの神々をまるで崇めてはいなかった。こいつらは崇拝の対象ではなく、嫌悪の対象だったのだ。彼らは古い神話上の悪魔なのだ。彼らが崇められていたといったのは、そうだな、お前たちが、自分たちの宗教上の悪魔を崇めているのと同じように、という意味でだ。そうではないか? お前たちが存在を信じるからこそ、悪魔は実際の力を持つ。それが神話の力というものだ……」

テツヤ「だからコラード人じゃねぇっての」

スクリーボ(とはいえ、作者にそれを想定しろと言っても、デイブ氏やオリバー氏には迷惑だと思うがナ)

こちらはササリアンの相手をしているのにうんざりしはじめた。

ディアブロ「ばかばかしいぜぇ。いつ出発できるかねぇ? ハチュリの用意はまだですかねぇ?」

彼は再び笑った。

「ずいぶん気が短いのだな。ここを見ろ。この三つの人間の頭を持つヘビの化け物をな。これはアジダハカといって、破壊のデーモンだ」

彼はその次に、頭の上に木の根が生えた、ひからびたような男の姿を指さした

 「これはヤジール。ごまかしとペテンのデーモンだ。伝説によると、奴は魔法を使う」

彼は巨大なハエの頭を持つ、でっぷりとした女を指さした。

「そしてこれ。これはナスー。彼女は腐敗のデーモンだ。腐った物を食べて人が死んだら、ナスーのしわざと考えてもいい」

テツヤ「ササリアン殿下サマよ。この壁画は悪趣味そのものだぜ。この神々は悪魔の一族としか思えねぇ。さあ、ハチュリの用意ができたら、剣を探しに行こう。そして俺たちのうんざりする協力関係を早く終わらせましょうや」

彼はふり返って、こちらを見た。
くちびるの端には笑みが残っていたが、目は威嚇するように光っている。

「私がそんなに嫌われているとは知らなかった」

テツヤ「あんたが行く先々の国から追放されたことからも、わかりそうなもんだが。いずれにせよ、俺達は遠くかけ離れた立場にいる。あんたも言ったように、目的が正反対なんだ。今さら、喧嘩をしても始まりまらないぜ」

ディアブロ「いや、どう見てもお前さんが売ってると思うぜぇ」

彼はうなずいた。

「確かに、そのとおりだ。私がお前たちの民族を嫌い、正義漢ぶる者どもを憎んでいる点については異議はない。私の動機は恨みよりも好奇心なのだ」

ミヤ「いったい、なんのことなの、ササリアンさん? あなたの動機って?」

彼は再び壁画を指さした。

「神話と現実について、私はある考えを持っている。レンズを使って遠くの物体の映像が作り出せるなら、魔法によって神話の登場人物を作ることもできるはずだと思うのだ。つまり、神話の世界から、この世に影を映すということだ。理解できない話でもあるまい? いやはや、コラード人というのは、想像力の乏しい連中だ! よし、実演してみせてやろう」

彼は何か呟いた。
空気が急に息苦しくなった。
嵐の前のよどんだ大気のようだ。
ろうそくの火がゆらめき、部屋が暗くなった。
悪い予感がする。
数秒後、その予感が現実のものとなった。
壁画からデーモン達の姿が消えた。
ろうそくの火が再び明るくなると、壁の上には三つの巨大な影が映っていた。

テツヤ「だからコラード人じゃねぇって言ってるだろ」

ミヤ「むむ、彼の母国語に関するあたしの仮説も現実味を帯びてきたぞ」

ディアブロ「しかしフィクションから実体を召喚する術が使えるなら、マンガからかわいい女の子でも呼び出した方が建設的だと思うぜぇ」

本当にこんな術があったら、まぁ大半の野郎はそうするだろう。しかしササリアン氏の間違った行為により、このシリーズ和訳分で最強の敵が召喚されてしまった。

ディアブロ「とりあえず緊急救出の呪文を準備しておくぜぇ」

そして最強最悪の敵に挑む!

【項目300】
B13目の前に古代の三人の神々の幻影が立っている。

アジダハカ(A)
戦闘力=11 精神力=10 鎧強度=6
生命力=100 打撃力=サイコロ12個 機敏度=7

ナスー(N)
戦闘力=10 精神力=11 鎧強度=3
生命力=140 打撃力=サイコロ8個 機敏度=8
*ナスーの手は腐敗の手だ。彼女に傷を負わされたキャラクターは、精神魔法に抵抗するサイコロをふらなければならない。これに失敗したら、キャラクターは腐り果てて死ぬ。

ヤジール(Y)
戦闘力=9 精神力=18 鎧強度=3
生命力=85 打撃力=サイコロ5個+1 機敏度=9
*ヤジールは、ラウンドごとにかわるがわる呪文を準備して、それを唱える。サイコロを1つふって、彼の使う呪文を決める。出た目が1ならネメシスの電光、2なら雷撃、3はバンパイア、4は死の霧、5はソードスラスト、6はナイトハウル。最初のラウンドで準備ができると、次のラウンドで、この呪文は自動的に相手にかかる(彼の精神力は十分高いので、失敗することはないのだ)。つまり、1ラウンドおきにヤジールの魔法が襲いかかる。

テツヤ「……はあ? なんだこのバカなギャグみたいな数値は。子供の考えた、攻撃力百億万のスーパーロボットを見てるような気分だぞ」

ミヤ「これはちょっと、どう見ても勝つのは無理だね」

ディアブロ「ま、力押ししかできないプレイヤーにはここでゲームオーバーになってもらおうって事かねぇ」

機敏度が同じ者同士でイニシアチブを決める。
機敏度8 ナスー→テツヤ
機敏度7 アジダハカ→ディアブロ→ミヤ

テツヤ「しかも先手の取り合いはこっちの全敗かよ!」

ミヤ「こ、これはちょっと不吉かな」

スクリーボ(実はそうでもない。どうせ逃げの一手だから、行動順はさほど問題にならないのダ。戦闘マップやその配置も、そこらへんをちゃんと考えて作ってあるゾ)

○第1ラウンド
ヤジール:ソードスラストを準備

ディアブロ「おおっと、助かった。ネメシスの電光を準備されたら、逃げる間もなく一人殺される所だったぜぇ」

常に死の危険が付きまとうので、この戦闘はどうしても運が絡む。2ラウンドごとに6分の1の確率なので、実際はそうそう起こらない事だが……確率とは事故を起こす物なので。

ナスー:C-3に移動

敵は一番近いPCめがけて動くので、このラウンドの敵の行動はある程度決まっている。

テツヤ「1ラウンドたりとも接敵してられねぇが、敵の動きが誘導しやすい配置にはなってるな」

テツヤ:E-3に移動
アジダハカ:D-2に移動

ディアブロ:C-6に移動
ミヤ:D-5に移動

距離の関係で、以後のラウンド、敵はテツヤを追いかけて動く。後は隅に追いつめられる前に緊急救出の呪文が成功すれば、逃亡できるのだが……果たして呪文の詠唱は何ラウンド目で成功するか?

ミヤ「本当に運が絡むね。おじちゃん、大丈夫かな……」

ディアブロ「ちょいと気合を入れて呪文を唱えますかねぇ」

○第2ラウンド
ヤジール:ソードスラストを詠唱。ミヤにダメージ12(被害8)。

ミヤ「痛っ! でもまだ大丈夫」

ナスー:D-3に移動
テツヤ:F-3に移動

アジダハカ:E-2に移動

テツヤ「早くも壁際か。後は南下して時間を稼ぐわけだが……」

ミヤ「ディアブロ、お願い!」

ディアブロ「はいよ」

ディアブロ:緊急救出の呪文を詠唱。出目6で成功。パーティ全員がB-8へ。

ディアブロ「ほい成功。こんなもんでどうかねぇ?」

ミヤ「ええっ!? 嘘みたい!」

テツヤ「マジか!? サマか!?」

ちゃんとサイコロふりましたよ。

ミヤ:何もせず待機

○第3ラウンド
逃走。

すたこらさっさと部屋から出る三人。ここから逃走劇が始まる。

【項目278
部屋から飛び出し、階段を駆け降りる。
耳ざわりな金切り声と吠えたてる大声が聞こえた。
奴らは餌食の臭いをかいで追ってくる。
こちらを血祭りにあげるまで、追跡は続くだろう。

ササリアンが上の踊り場に出てきた。
彼は嘲るように言った。

「逃げられはせんぞ! 私の影たちは疲れを知らない。どこへ逃げようと、奴らは追っていく。そちらが疲れ果てたとき、やつらは容赦なく追いつくだろう。そして最後に、その身体を八つ裂きにするのだ……」

中庭に走り出る。
ササリアンの怒鳴り声が聞こえなくなっただけでもありがたい。
ふり返ってみると、化け物たちは階段を半分降りたところだった。
大きな図体で先を争って、かえって手間取っているようだ。

中庭を見まわす。
辺りは夜明け前のブルーと紫の薄明かりに包まれていた。
入って来た正門から出ていく事もできるし、中庭の奥の狭い通路をぬけていく事もできる

悪魔達から逃げねばならないが、逃走経路を間違うとまた追いつかれてしまう!

スクリーボ(まぁ、そう簡単に袋小路に追いつめられはしないように設計されているのだがナ)

ミヤ「あたし負傷してるから治療しとくね」

しばらくサイコロをころころ。全回復。

ディアブロ「そんな悠長な事してるのはおかしい気もするぜぇ?」

ミヤ「戦闘項目じゃないから合法だよ?」

テツヤ「よし、ならOKだ」

生命力を回復させてから、正門を選んで逃げ込む。

【項目587
あえぎながら、中庭を駆けぬけ、正門から外の通りへ飛び出した。
化け物は追ってくる。
薄明かりにぼんやり浮かんだその姿は、まるで夢魔のようだ。
左右を見渡す。通りに人影はない。
冷たい東の風に身体が震えた。
太陽が昇って一時間もすれば、町は炎天下にさらされるだろう。
しかしその時までに、こちらは死んでいるかもしれない

テツヤ「道が二手に分かれているぞ! 右へ行くか? 左か?」

ミヤ「なんとなく左!」

テツヤ「よし走れ!」

スクリーボ(実はどっちでもいいのダ)

そんな事を知らず、三人は懸命に走る!

【項目563
狭い通りを走る。
行き止まりで、道は二つの裏通りに分かれていた。
立ち止まって、後ろを見る。
迫ってくる化け物の姿は無い。
しかしすぐ近くに迫っているような気もする。
いまにも追いつく事だろう……。

右手の裏通りで、何かが動く気配がして、飛び上がった。
それは小さな猿だった。
日陰で眠っていたのだろう。
猿はわけのわからない言葉をまくしたてて、裏通りをぴょんぴょんと走り去った。
はっと我に返る。
こちらも早くここを立ち去った方が賢明だ。

ディアブロ「ここも右か左かの二択だぜぇ」

ミヤ「じゃ右!」

実は猿が目印なのだ。右を選び、持ち物にファティマの銀の鍵があると……。

【項目321→524
裏通りへ走りこむ。
両側の塀は六メートル以上もある。
掴まる所が見つかっても、よじ登っている暇はない。

必死に走ったので、猿につまづきそうになった。
バカな猿は立ち止まって、こちらをポカンと見上げていた。

テツヤ「行ったほうがいいぞ、相棒」

走り過ぎながら言う。

ミヤ「そうしないと、キミも食べられちゃうよ」

だが、ふと走るのをやめ、猿を見る。
奴は塀のドアを指さしていた。
そこで
を思い出した。
そういえば、ファティマが猿のことを何か言っていたではないか!

錠をさぐったが、興奮のあまり、指が震えていう事をきかない。
デーモン達はすぐ後ろに迫っている。
奴らの吐く息の悪臭が鼻をつく。
奴らを取り巻く悪魔の臭いで息がつまりそうだ。
ようやく錠を開け、ドアを押し開けたとき、やつらの鋭い爪がこちらにのびてきた。

ドアの向こうに飛びこむ。
デーモンの顔はすぐ後ろだ……。

ドアをバタンと閉めた。
ドアの向こうで、獲物に逃げられたデーモンの不満そうなうなり声があがった。
疲れきって、ドアに倒れかかる。
やれやれ、助かった。

ミヤ「あの怪物達、ドアは開けられないんだね」

ディアブロ「ファンタジーゲームの鍵つき扉は、破壊不可能の無敵材質でできてる事も多いからねぇ」

テツヤ「……で、ここはどこだ?」

それは次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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2012年2月29日 (水)

ブラッドソードリプレイ3-13 マギ派との合戦

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:5 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:7 機敏度:8 生命力:31
装備:ブラッド・ソードの鞘 ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(6本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金35) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 木の人形

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:5 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:26
装備:ブラッド・ソードの柄 ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(6本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金貨袋(所持金100) 金の巻物

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:5 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+2 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:26
装備:銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 金貨袋(所持金100) 琥珀の火口箱 魔法のパン ファティマの銀の鍵 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 真鍮のびん エメラルド

Photo スクリーボ

旅の途中で買われたカラス。
お値段は金貨1枚。
とりあえず当面、役に立つような能力は無い。
しょせんは金貨1枚。

レジェンドという世界、クラースの地にて冒険者として旅する三人。伝説の“生命の剣”ブラッドソード探索の旅を続け、その柄と鞘を手に入れた彼らは、最後の部品である刀身を探す。刀身を求めてたどり着いたのは、十字軍が拠点とする都・クレサンチウムだった……。

クレサンチウムでブラッドソードを求め、三人は伝説の海賊船からエメラルドの目を奪った。これがあれば生命の剣への道が拓けるはずなのだ。魔神ジニーを従えた三人、帰路の途中にあった廃城で爺さんを助ける。爺さんはついでにもう一仕事頼んできた……。

ディアブロ「きいてやるためにはジニーへの願いを二つ使っちまうんだがねえ」

テツヤ「ああ、とんでもねぇ話だ。助けてやる側が、見返り有るどころか損しろってんだからな」

ミヤ「でもきいてあげていいよね?」

テツヤ「ああ、当然」

ミヤ「だよね!」

プレイヤー側が損する事前提で、善意のみが引き受ける動機というイベントは、本来あまり感心しない。そういう流れを“やらされる”と白ける事も多いからだ。
 だがこのゲームのこのイベント、別に必須でもなんでもないので、やりたくなければ平気でシカトして普通にクリアできる。自分がこのゲームを評価している一因でもある。

というわけで爺さんの頼みを引き受け、マギ派から若木を取り返してやる事にする。ジニーへの頼みは使いきり、クレサンチウムへ帰る道もこの後探す事になるはずだが……。

【項目316】
手に乗り移ると、ジニーがぶつぶつ言った。

「とんでもない話だ。何をしようとしているのか、自分でわかっているのか? この老いぼれを助けるために、自分の冒険をふいにしようというんだぞ。あんな爺い、狂ってるにちがいないんだ……」

ミヤ「よしなよ。あの人は助けを求めてきたんだから。できるだけの事はしてあげないと」

ふり返って修道院長に手をふる。
修道院長はここに残って、こちらの帰りを待つことに決めたのだ。
そのほうがこちらにも好都合だ。
彼を連れていけば、若木を探して取り戻すかたわら、彼をマギ派の連中から守ってやらなければならない。
彼はここにいたほうが安全だ。
どう見ても、勇ましい冒険に向いている男ではない。

ディアブロ「実際、スタート直後に失敗してたぜぇ」

テツヤ「修道院の連中が束になっても人食い鬼一匹に勝てなかったんだよな……魔物がうろつくファンタジー世界で秘宝を求める旅をするにゃ、戦力の乏しい修道院だったんだよなぁ……」

「神がお守りくださいますように!」

彼はテラスから叫んだ。
一つ目の化け物の焚火の光を背に受けて、修道院長は教会の窓を飾る聖人のように見えた。
遠ざかるサークナサールの宮殿が豆粒のようになるまで、じっと見守る。
院長の姿も焚火も、濃くなった夕闇の中に消えた。

ふと気が付くと、ジニーは夜空にのぼっていこうとしている。
飛んでいくつもりか……。
やつが説明した。

「長旅だからな。いつもなら、エネルギーを消耗するから空を飛ぶのは嫌なんだが、オパラールまでは長旅だから、しかたあるまい」

周りで雷の音が響き渡った。
嵐になった。
冷たい雨まじりの風が顔に吹き付ける。
先刻の会話を思い出して、思わずニヤリとする。
ジニーに尋ねた。

テツヤ「これを見た連中は、何と思うだろうな?」

「夜空を見上げた善良なターシム人は、何やら光りながら飛び去るものを見かけるかもしれないな。連中はそれを、伝説のデーモンだと思うだろうさ」

やつの目は東のはるか遠いオパラールをじっと見すえていた。

「だが、西の空を見ているマギ派の連中がいたとしたら……俺は大昔に、やつら一派と対決したことがあるんだ」

ジニーの声には憎しみがこめられていた。

「そいつらは、復讐に燃える天使の姿を見るだろう!」

テツヤ「おいおい。こいつもマギ派って連中にめっちゃ因縁あるんじゃねぇか」

ディアブロ「積極的に行くほどには恨んでないのかねぇ」

ミヤ「きっとあたし達の願いを使うのがもったいないって思って、黙っててくれたんだよ! ジニーも結構いい子だね!」

なぜか天使を自称しはじめたジニーに乗って、一同はマギ派の本拠地に直行する。

【項目284】
ハロガーン山脈を越えるころ、夜が明けた。
朝日を受けた雲が、はるか眼下の峰々を包んでいる。
ジニーは旅のあいだじゅう静かだった。
しかし、マギ派への憎しみを燃やしている様子はありありとうかがえた。
山の東側のふもとをめざして降下を始めた時、奴はようやく口を開いた。

「俺たちジニーは火から作られた。マギ派は火を崇めている。それなら、やつらは我々を崇めると思うだろう? ところが違うんだ。やつらの崇拝の仕方は狂っている。吸血鬼が血を崇めるように、奴らは火を崇めるんだ。捕らえたジニーから火を吸い出し、生命の無いぬけがらにしてしまう。あるいはその火を消して、やつらの奴隷にしてしまうのだ。邪悪な一族、マギ派どもめ! やつらの巣に近づくにつれ、我が一族の情熱がむらむらと蘇る! 復讐の炎が胸に燃え上がる! やつらとの対決の時には、俺も加勢するぞ!」

やつの怒りを見て、砦へこっそりもぐりこむ望みはなくなった。
やつは盲めっぽうにマギ派の砦に突っ込んでいくだろう。
それなら、やつを囮に使うのが一番だ。
少なくとも、やつに急襲されて、マギ派たちが右往左往しているうちは、若木の守りが手薄になるはずだ。

36テツヤ「なんかジニーの奴、いつのまにかスゲーやる気になってんぞ」

ディアブロ「なら率先して協力してくれりゃ、願い事を消費せせずに済んだと思うんだぜぇ」

ミヤ「ジニーも好きでわたし達に従ってるわけじゃないからね。仕方ないよ」

テツヤ「しかしジニー族をそうたくさん捕まえる事ができるんなら、マギ派の連中、強すぎなんじゃねーのか?」

マギ派の砦が地平線上に現われた。
砦は、切り立った崖の上に建っていた。
朝日に照らされて、なめらかな黒灰色の石の柱が輝いている。
建物全体が、まるで巨大な岩を削って造られたように見えるが、まさかそんなはずはあるまい……。

砦の中央の塔のてっぺんに、紅玉髄とトパーズがちりばめられた卵形のドームがのっている。
それは、第二の太陽のように、灰色の建物の上におさまり、朝日を受けて光り輝いていた。

「あの塔の上に降ろしてやったら、俺は攻撃を開始する」

ジニーが言った。

「俺が奴らを相手にしているあいだに、若木を探してくるがいい」

ここでは別れて行動するか、一緒に急襲するかを選択する事ができる。

テツヤ「まぁ別行動だな」

ミヤ「そうなの?」

テツヤ「マギ派ってのはジニー族をとっ捕まえる事ができる力があるんだろ? 正面から行くのは危険だ」

ディアブロ「まぁ負けなくとも甚大な被害を被る可能性はあるだろうぜぇ」

ミヤ「しゃあないなあ。でもジニーの掌の上じゃ、動きも制限されちゃうし仕方ないか!」

というわけで三人は別行動を選ぶ。

【項目39】
ジニーはこちらを塔の上に降ろすと、攻撃を開始するため、飛んで行った。
マギ派はあわてなかった。
銅の冠をつけ、金の縁飾りの真紅のガウンで着飾った司祭達が、中央のバルコニーに続々と現われた。
真ん中に立つ司祭長は、彼らに自分を取り巻くように合図をした。
彼は降下してくるジニーを、うす笑いを浮かべて見ていた。
自信たっぷりの様子だ。司祭達が甲高い声で歌い始めた。
司祭長が金と宝石で飾られた杖をかかげる。
杖は魔法のパワーに震えた。

テツヤ「ジニーと正面からやって勝てる自信があんのか……この世界の坊主はちと強力にすぎるんじゃねぇか」

スクリーボ(ドラゴンウォリアーズに神官なんて職そのものが無かったのはそのせいかもナ)

のんびり見物している暇はない。
こちらは塔の中へ入っていく。
ドームの中央には祭壇がしつらえてあり、その上に大きな水晶の卵が乗っていた。
ドームにはめこまれたトパーズを通して朝日が差しこみ、卵はキラキラ輝いている。

下へ降りる螺旋階段を見つける。

テツヤ「階段を降りるぐらいしかねぇかな」

ディアブロ「卵をブッ壊すってテもあるぜぇ?」

ミヤ「え? 持っていくんじゃなくて?」

ディアブロ「そんな選択肢は無いねえ。後は俺が呪文を使う程度だね」

久々に非戦闘シーンで魔術師の呪文を使うチャンスだ。

【項目75→213
Photoここで魔術師が呪文を使う事にすると、予言の呪文か魔法探知の呪文か、どちらかを選ぶ事ができる。

ディアブロ「どっちも無難で鉄板だぜぇ」

テツヤ「無難でも鉄板でもない呪文て何だよ?」

ディアブロ「ファルタインの召集

とりあえずここでは魔力探知の呪文を選ぶ。

(魔術師)

水晶の卵自体にも、そしてその周辺にも強力な魔力が感じられる。
そのあまりの強さによろめいた。
精神力がにぶったため、予言の呪文を使うのはあきらめる。

ディアブロ「というわけで半端なく感知したぜぇ。で、卵を砕くか階段を降りるかなんだが」

テツヤ「どうして卵をいきなりブチ壊すような不自然な選択肢を強調してんだ」

ミヤ「可能性その1。あの卵がマギ派の大事な物で、壊すと有利になりまーす」

テツヤ「で、その2は?」

ミヤ「単なる罠でーす」

ディアブロ「その上、やっちまったら即死だったりな。理不尽な即死こそレゲーの醍醐味だぜぇw」

テツヤ「……そんなクソな展開はねぇだろ。よし、いっそ叩き壊すか」

【項目567】
力いっぱい卵を打つ。
卵は無数の水晶のかけらとなって飛び散り、中心で火の玉が炸裂した。
水晶の破片は火を吐くような熱風に乗ってゆっくりと降り注いだ。
こちらも炎に包まれ、悲鳴をあげる。

テツヤ「熱っちー! マジで罠かよ!」

ディアブロ「ブッ壊されたマジックアイテムが暴走してんのかもしれないぜぇ」

各キャラクターは7点の生命力を失う。鎧は役にたたない。

テツヤ「ひでぇ目にあったな!」

ミヤ「生命力満タンだったから死なないけど……痛いよー」

スクリーボ(しかしこれで事態は急展開するのダ)

【項目463】
永遠に燃え続けるかと思われた火が消えた。
外は静まりかえっている。
黒くなった水晶の破片を踏んで、手すりに近づいた。
マギ派の連中が集まっていたバルコニーを見おろすと、黒焦げの死体がいくつか転がっているだけだ。
ジニーはこちらに気づき、にっこり笑って手を差し出した。
やつの手にのって、バルコニーに降りながら尋ねる。

テツヤ「何があったんだ?」

「危ないところだった。ところが突然、やつらのパワーが切れたんだ。防御の呪文を効かなくなったから、俺は雷を一発見舞ってやったんだ」

ジニーはおおげさに肩をすくめた。
焼け焦げた死体の顔に目をそむけ、臭いをかがないようにしながら、焼死体を点検していく。
何か光る物がある。
司祭長の杖だ。
奇跡的に、傷一つない。

テツヤ「何かの魔力でもあんのかね」

ディアブロ「じゃ持って行こうぜぇ」

スクリーボ(パーティ構成次第では、ほぼ必須アイテムなのダ)

指導者が死んだ今、生き残ったマギ派の連中は何の抵抗も見せなかった。
彼らは
若木を差し出した。
それを受け取った瞬間、身体に強いエネルギーがみなぎった。

これにより、全キャラクターはサイコロ2個ぶんの生命力を回復する。幸い、前の項目で受けたダメージを完全に癒す事ができた。まぁ僧侶がパーティにいるので、このイベントがなくても生命力を回復させる事はできるんだが。

テツヤ「無駄に6ゾロふっちまった……」

ディアブロ「どうでもいい時だけサイコロ様は良い目をお出しになるねえ

ジニーは得意満面の顔をしていた。
手に乗り移ると、やつが言った。

「我々の任務は、これ以上期待できないほどの成果をあげたな。これでマギ派もすぐには立ち直れないほどの打撃を与えてやったぞ!」

ミヤ「なんかジニーも嬉しそうだね! 笑顔見せてくれるの、初めてじゃないかな?」

テツヤ「文句言いまくってたわりに、コイツが一番楽しんでるよな。つーかさっきの卵、マギ派の連中の魔力源だったんだな」

若木を入手した一行、ジニーの手にのって廃城へと引き返す。

【項目494】
ジニーは空に舞い上がり、サークナサールの島へ向かった。
やつが言った。

「これで願いは使いきったな。修道院長の所に送り届けたら、おれは行くからな。あとの事は知らんぞ」

言い返す言葉が無い。
ハクバッドへ行く方法は他に考えるしかあるまい。
やつは七百年も閉じこめられていたのだ。
一刻も早く自由になりたいのも無理はない。

ディアブロ「輸送の願いの伝え方を間違ったねえ。どんな遠回りや迂回路を通ってでも絶対にクレサンチウムまで飛んでいけって言うべきだったぜぇ」

テツヤ「それ言ったら地球一周コースで帰還されそうだな」

レジェンド世界が球体なのかどうかは知らんが。

ジニーは戦いで疲れたのか、帰りに丸一日を要した。
やつの手のひらは居心地が悪く、こちらもほとんど眠れない。
疲れ果ててサークナサールの砦に到着した。

テツヤ「無人島の野宿でさえ回復する生命力が、全く回復しねぇ」

ミヤ「無人島の寝心地が良かったんだよ。あたし熟睡して12時間寝てたし!」

ディアブロ「若いうちはいくらでも寝てられるからねえ」

自分は今でも結構……まぁどうでもいい。

【項目531】
修道院長はたき火の前で高いいびきをかいていた。
老人の前に
若木を置いて、そっと彼を揺り起こす。
老人が目をさましてまず見た物は、若木だった。

ミヤ「これが求めていた若木だよね、院長さま?」

院長はまばたきをし、信じられないというように目をこすった。
しばらく口をパクパクやっていたが、言葉にならなかった。
やがて歓喜の叫びをあげて飛び起きた。

「私はまだ眠っているのだろうか? 魔王は空しい夢を見せて、私を苦しめようというのか? そうではない。この若木は本物だ! この指で触れる事ができる。若葉や芽や樹皮の香りをかぐ事もできる……確かめるために、我が身をつねってみよう。あいたっ! この痛みよりも美味なワインはこの世にあるまい。という事は、私は目覚めているのじゃな」

彼はふり返って、こちらに抱きついた。

テツヤ「危ね。よいしょ」

とっさにディアブロを爺さんの前に押し出す。おかげで院長殿が、15歳の少女に抱きつくお変態様というレッテルを張られずにすんだ。

ディアブロ「まあ構わんけどねえ…」

「私がどんな感謝したとて、すべての人間から受けるべき感謝の何百万分の一にもなりませんぞ」

やれやれと伸びをして、横になる。
どんな感謝よりも、今は眠りの方がありがたい。
眠りに落ちそうになりながら答える。

テツヤ「それはそうかもしれねぇが、生命の剣も取り戻さないことには、全てが無駄になっちまう。しかし、その事は八時間ほど忘れさせてくれ……」

そう言って目をつぶった。
数分後、院長が叫んだ。

「あれをごらんなさい! 東の空に、幻が浮かび上がりましたぞ……」

しかし、こちらは既に眠りこんでいた。

テツヤ「話は次の項目で聞くわ。じゃおやすみ」

ミヤ「zzz……」

ディアブロ「みな寝つきがいいぜぇ。俺もつきあうとしますか」

爺さんを引きはがし、ディアブロも眠りにつく。そして数時間後……

【項目435
37目を覚ますと、夕陽が沈もうとしていた。
修道院長がすぐに駆け寄ってきた。
旅の準備を整え、腕には若木をかかえている。

「ペレウスのアストラルの門をくぐって、修道院に戻ります。あなた達にこれをお渡ししようと待っていました」

彼の差し出す羊皮紙を、ねぼけた目でみつめる。
そこには謎のような絵がかいてあった。
院長が言った。

「あなた達が眠っているあいだに、東の空にこの幻が見えたのです。私はときどき幻覚を見るのですよ」

テツヤ「長いあいだ閉じこめられ、食べ物も与えられなかったあとでは、それも仕方ねぇよ」

絵を院長に戻していった。

「いいえ。これはあなた達が持っていなければなりません。この木と鹿の角とヘビとは、イグドラシルの伝説に出てくる重要なシンボルです。神はこれをあなたの冒険の案内役としてお送りくださったのです」

ミヤ「それなら、どうしてお爺ちゃんが幻を見たの?」

「おそらく、あなた達が私のいうことなら信用するからでしょう。あなたが同じ物を見たとしても、自分の目を信じたでしょうか? 私が恩返しをできるように神がこうなさったのでしょう。神は全能です。あの方がこのような示し方をなされたのなら、それが最良のやり方だったに違いありません」

絵を受け取り、荷物の中にしまう。

スクリーボ(この絵は持ち物に数えなくていいのダ。実は終盤で訪れる迷宮の地図、それも正解ルートを示しているのだゾ)

院長は袋の中から、ビスケットと塩漬けの牛肉と、ブランディーを一口わけてくれた。

 これにより全キャラクターは1点、さらに睡眠と休息で各自のランク数の半分(端数切上)の生命力を回復できる。

テツヤ「手のひらの上より石畳の方がよほど休息になるみてぇだな」

ディアブロ「しかし壊血病になりそうな保存食だぜぇ」

ミヤ「もぐもぐ……けっこうイケるよ?」

握手をかわすと、院長は壁を手探りしていって、何かを見つけた。
のぞいてみると、石の壁の上にかすかに光る物があった。

「さてと、ペレウスはなんといったかな……」

院長は目をつぶって考えた。
そして、しかめっ面をしながら、左手で鹿の角を描く異教徒のポーズを取った。

「神よ、魔法を使う事をお許しください。善い事のために行うのですから。それでは、ヴェスディジア・ヌーラ・レトロルサム!」

その言葉とともに、院長の姿は消えた。
こちらは、びっくりして立ち尽くすばかりだ。
壁にさわってみても、固いだけだった。

ディアブロ「行っちまったかい。騒がしい割にたいした事してくれねぇ爺ちゃんだったぜぇ」

テツヤ「年寄りに見返り求めるのは感心しねぇな」

しばらくしてから、テラスに出ていく。

テツヤ「問題はここからどうすっかだな。近くをハクバッド行きの船が通りがかってくれりゃいんだが」

ミヤ「ジニーは今ごろ何してるかなあ」

考えていても始まらない。ともかく三人は廃墟を出る。

【項目520】
そこには、驚いたことに、海の中に立って月と星を見ているジニーの姿があった。
やつは横目でちらりと、廃墟から出てきたこちらを見た

「それでは、院長は行ってしまったんだな。彼のためにしてやった俺たちの苦労を、ちゃんとわかってくれたのかね」

ミヤ「よくわかってくれたよ。けど、どうして行っちゃわなかったの? 七百年も閉じこめられていたから、やる事がいっぱいあるんじゃない?

やつは傷ついたような表情で、こちらを振り向いた。

「もちろん、やる事はたくさんある。実を言えば、俺は、お前たちが寝ているあいだにキータイへ行きかけた。だがその時ふと、まだそちらに借りがあるような気がしたんだ。マギ派のやつらをとっちめて、いい気分にさせてもらったからな。だからハクバッドへ連れて行ってやろうと戻ってきたんだ。ただし、これが本当に最後だぞ」

テツヤ「どう見たって、おまえの目には同情のかけらも見えないが? お前が礼儀にかなった事をする奴とも思えんしな?」

横目でやつを睨んでやる。
やつがうなり声で言った。

「言葉に気をつけろ! ハクバッドへは連れていってやる。だが侮辱は許さんからな」

そう言ってやつは手をのばし、こちらをそっとすくい上げた。

ミヤ「わあ、やっぱりこの子はいい子だよ!」

テツヤ「出してやったらまず踏みつぶそうとするような奴がかよ。思いつきで生きてるだけなんじゃねぇのか」

ディアブロ「マギ派に勝つ要因がこちらの加勢だったてのが、密かに大きい……かどうかはわからんねえ」

ミヤ「二人とも、いつまでもそういう事いうのは感心しないよ。さあ、ハクバッドへしゅっぱーつ!」

というわけで、街へ帰るのは次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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2012年2月 5日 (日)

ブラッドソードリプレイ3-12 廃墟の鬼女

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:5 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:7 機敏度:8 生命力:31
装備:ブラッド・ソードの鞘 ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(6本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金35) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 木の人形

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:5 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:26
装備:ブラッド・ソードの柄 ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(6本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金貨袋(所持金100) 金の巻物 金の鏡 黒い絹のクッション

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:5 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+2 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:26
装備:銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 金貨袋(所持金100) 琥珀の火口箱 魔法のパン ファティマの銀の鍵 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 真鍮のびん エメラルド

Photo スクリーボ

旅の途中で買われたカラス。
お値段は金貨1枚。
とりあえず当面、役に立つような能力は無い。
しょせんは金貨1枚。

レジェンドという世界、クラースの地にて冒険者として旅する三人。伝説の“生命の剣”ブラッドソード探索の旅を続け、その柄と鞘を手に入れた彼らは、最後の部品である刀身を探す。刀身を求めてたどり着いたのは、十字軍が拠点とする都・クレサンチウムだった……。

 クレサンチウムでブラッドソードを求め、三人は伝説の海賊船からエメラルドの目を奪った。これがあれば生命の剣への道が拓けるはずなのだ。魔神ジニーを従えた三人、後は街に戻るだけなのだが……。

テツヤ「まぁ街に戻ってから、また一波乱あるだろうってぐらいは想像つくわな」

ディアブロ「本当に何事もなく普通に剣が落ちていて、その日のうちに悪党の親玉に出くわして袈裟斬り一つでケリがつく……てのも悪くないんだがねぇ」

 ここまで来てそんな終わり方だったら、ある意味で伝説にはなれそうだ。「え? こんな終わり方!?」と言いたくなるゲームはごく一部に本当にあるが……。

【項目44】
35夜が近くなると、ジニーを取り巻いていた嵐は徐々におさまり、やがて雲におおわれた空から、暖かい霧雨が降ってきた。
前方に垂直に切り立った岩山が見える。
その頂上は、ちょうどジニーの頭の高さだ。
これが、魔法使いサークナサールの難攻不落の砦があるというあのグレイ・ロックにちがいない。
砦の廃墟が見えている。
横を通り過ぎながら見ると、風雨にさらされた砦は、岩の頂上にはりつくフジツボの化石のようだった。

ディアブロ「空き家があるぜぇ。なかなかの年代物だと見たね」

テツヤ「立地場所を考えるに、物件としての価値は最低峰だろうがな」

そのとき明かりが目にはいった。

ミヤ「止まって!」

ジニーは立ち止まり、こちらをのぞきこんだ。

「どうしたんだ? 旅がゆっくりすぎるというのか? それとも速すぎるのか? そうか、それで気分が悪くなったんだな? 何をしたいのかいってくれ。俺はおまえのいう事を聞くためだけに生きているんだ!」

ミヤ「これ、別にお願いじゃないんだけど……。それにしても、皮肉な言い方はやめない? あたしたち、あんまし長い事いっしょにいないんだしさ。ハクバッドに着いたら別れちゃうんだし、今ぐらい仲良くしよ?」

「わかったよ。どうして止まれといったんだ?」

廃墟のあいだの明かりを指差して教えた。

ミヤ「誰かがサークナサールの宮殿にいるの。調べた方がよくないかな」

「俺たちが? 新しい友情関係からいわせてもらうが、調べるのは反対だ。サークナサールの宮殿跡にだれが住み着いていようと、こちらの知ったことか。好奇心は危険だぞ。ヴィジールと四人のドワーフの話を知らないのか……」

やつが長たらしい話をはじめる前に、黙れと合図した。

ミヤ「え? あたし、どんな話か聞きたいんだけど」

テツヤ「興味がねぇから俺が合図した」

ディアブロ「で、家の中についてのご興味はどうかね?」

テツヤ「イマイチってところかね」

ミヤ「はいはい! あたしはめっちゃ有る!」

 というわけで、ここは調べてみる事になった。

【項目306】
こちらが宮殿を調べるあいだ外で待っていればいい、とジニーにいってやる。
ただし、その後で、こちらが再び願わなくても旅を続行する、という条件つきだ。

「どっちみち、おれの体は大きすぎて、あの中に入れないものな」

やつが言った。

「まあいいだろう。真夜中まで、ここで待つことにする。それまでに戻ってきたら、ハクバッドへの旅をつづけよう。戻らないときは、もうおれを必要としないのだと考えて、好きな所へ行く。それでいいな?」

もちろん、真夜中よりずっと前に戻ってくるつもりだ。
「いいよ!」と答え、やつの手から大理石のテラスへ飛び移る。
明かりは列柱の向こうに見える。
アーチをくぐり、大広間へはいっていった。

ミヤ「たいがいの事はできる魔力があるんだから、ジニーも小さくなってついて来れると思うんだけどなー」

テツヤ「んな事に願いを1個使うのも勿体ねぇだろ」

ディアブロ「小さくなってついて来い、で願い1個。何かあった時に手助けしてもらってさらに1個。帰り道をもう1回頼んだ時に『全部使っただろ』と言われてお終いだぜぇ」

ゲームオーバー確定が見えているのにそうする理由はもちろん無い。三人だけで奥へ進む事にした。

【項目39】
大広間を進んでいくと、夕陽が雲間から顔を出し、はるか遠くの壁の高窓から、一条の血の色をした光線が差し込んだ。
そして、消えかかっていた焚火の輝きと混じり合った。
するとその燃えるような赤い光が、奇妙な光景を照らし出した。
シェロの木のような黒い肌の大女が、鉄の鍋をひざにはさんで座り、べとべとしたシチューを手ですくっては食べている。
身体の大きさも異様だが、さらに驚くべき事に、女には目が一つしかない。
額の中央に黄緑色の大きな眼球が一つはめこまれているだけだ。

ディアブロ「ギリシャ神話のオデュッセウスの航海に出てくるサイクロプスを思い出すぜぇ。単眼の人食い鬼と、それに捕まった船員達の話だが」

テツヤ「とすると、あっちにいるのが食われる船員て所か?」

女のそばに鉄の檻が置かれ、その中にあごひげの長い老人が閉じこめられている。
老人は足に灰色の木綿のゲートルを巻き、ブルーのベルベットのひきずるようなガウンをはおっている。
そして檻の格子にしがみつき、大女が食事をするのを悲しげに見守っている。

ミヤ「んー、先入観で決めるのも良くないし、もうちょい様子を見ようよ」

【項目379】
檻に閉じこめられた老人は、弱々しいうなり声をあげた。
大女は巨大な片手をかざして、夕日をさけながら頭をめぐらした。
あざけるように大女が言った。

「どうしたんだい、おチビさん? この食事をわけてほしいのかい?」

「悪魔め! それをのどにつまらせて、思いきり苦しめばいいんだ」

老人が言った。
大女は顔をしかめ、やがて下品な声で笑いはじめた。

「おあいにくさまだね。おまえの仲間はみんな、じつにうまかったよ」

大女は空の鍋を放り投げた。
鍋は後ろの炉に当たって、大きな音を立てた。

「ひと眠りするとしよう。目がさめたら、今度はお前の番だよ……」

大女は板切れを二、三本炉に放り込んだ。
船材を割ったもののようだった。
錨を火かき棒がわりに使うと、その板切れにパッと火がついた。

テツヤ「様子を見た結果、人食いの邪悪な化け物だと確定したな」

ミヤ「むむ、これは見過ごせないぞ。よし、あの怪物をやっつけてお爺ちゃんを助けよう!」

テツヤ「ああ、困ってる年寄りを助けるのはこの世の法律だと相場が決まっているからな」

ディアブロ「まぁ助ける事に異論は無いが、正面から巨人となぐり合うのは避けたいぜぇ」

 そこで使えそうな物が無いか、持ち物から探してみる事にした。

【項目2】→【項目504】
ここで取り出すのは、プシュケの塔で手に入れた黒い絹のクッション

テツヤ「よし、狙いをつけて……ほらよ!」

黒い絹のクッションを投げると、ちょうど大女の背後に落ちた。
大女はあたりを見まわしたが、こちらはとっくに柱の陰に隠れている。
大女は檻の中の老人にたずねた。

「何か音がしなかったかい?」

老人が答えた。

「べつに。自分の犯した罪への良心の呵責から、ありもしない音が聞こえたんだろうよ、根っからの悪魔め……」

物音のことは忘れて、大女がいった。

「ふん。おまえの屁理屈はいただけないね。根っからの悪魔に良心の呵責があるものかい?」

大女が後ろへ下がると、かかとがクッションに当たった。

「おや、これはなんだい? 枕じゃないか……これはいいね! 色もあたしの肌にぴったしじゃないか! 今まで目にはいらなかったというのは変だね。でも、まぁいいさ。生まれたときからあんなに欲しかった枕が手にはいったんだから」

大女が瓦礫の山のベッドに寝ようとすると、老人がいった。

「待ってくれ。おまえが目をさましたとき、私を食うというのなら、せめて最後の願いを聞いてくれ」

「だめだよ」

大女は嬉しさを押えて、吐き出すように言った。

「なあ、頼むよ。願いを聞いてもらえず、嘆きながら死んだ私の身体は、まずくなるに決まってるぞ……」

大女は考え込んだ。

「それもそうだね。それで、どんな願いなのだい?」

老人は炉のそばの背負い袋の山を指さした。

「私の仲間の持ち物の中に竪琴がある。それを私に渡してくれ。仲間の死をいたむ最後の曲を演奏したいのだ」

「そうしてあたしの眠りのじゃまをする気かい? 冗談じゃないよ!」

老人は頭をふった。

「どうしてお前は、そんなに気が短いのかね? 美しい曲なのだ。これを聞けばぐっすり眠れるぞ。そして目ざめたら、食欲も増していることだろう……」

「まったく! ベチャクチャとよくしゃべるねえ! おまえもおまえの仲間も、わけのわからないことをしゃべりまくるんだから! おまえは最後のごちそうだから、そのおしゃべりもがまんして聞いてやっているけれど、あたしは神様にお願いして、この一つ目に合わせて耳も一つにしてもらいたいよ。余計なことを聞かないですむようにね。おまえが口を開くたびに、あたしはむしずが走るんだ!」

老人が静かに言った。

「お前こそ私の十倍はしゃべるじゃないか。それで、竪琴を取ってくれるのかね、くれないのかね?」

「いいだろう。だけど、あたしの眠りのじゃまをしたら、許さないよ!」

大女は袋の中から竪琴を見つけだし、ぷりぷり怒って老人に渡した。

テツヤ「おやま。結局、願いはきいてやるのかよ」

ディアブロ「殴り殺して冷蔵庫に入れとく、という案は無いようだぜぇ」

ミヤ「冷蔵庫が無いんじゃないかな?」

大女がクッションを巨大な頭の下にあてがって寝転がると、老人は物悲しい歌をかなではじめた。
音色は静かで、メロディーは押し付けがましいところのない魅力的な物だった。
美しい調べに引き込まれ、こちらもしばし我を忘れた。
柱の陰からもう一度のぞくと、大女はぐっすりと眠りこんでいた。

テツヤ「よし今だ! 行くぞ」

そっと近づいて、檻から老人を出してやる。
ほっとして泣きそうな顔つきで彼が言った。

「ありがとう。あの女は私の仲間を一人残らず食べてしまいました。そして今夜、私も食べられるところだったのです」

こちらの声で大女が目をさますのではないかと心配したが、老人は首をふって言った。

「いいえ、よほどのことがなければ、あの女は目をさましません。私が歌ったあの歌は、コーナンブリアの吟遊詩人から教わった強力な催眠の歌なのです」

ミヤ「そうだったんだ」

そう答えたものの、大女が眠りこけているのは、やはりクッションのせいだと、こちらは思う。

テツヤ「さてどうすっか。爺ちゃんは助けたが、化け物を放っておいていいもんかどうか」

スクリーボ(実は放っておいてもゲームは何も問題無く進むし、倒しても何一つ得は無イ。ゲーム的には放っておくのが正解なのダ)

ミヤ「ほったらかしにして次の犠牲者が出たらいけないよ。やっつけよう!」

 というわけで大女を退治しておく事にする。バトルオーダーはテツヤ=1、ミヤ=2、ディアブロ=3で、ディアブロはネメシスの電光の呪文を1発だけ準備。

【項目484】→【項目398】
 

テツヤ「では遠慮なく寝込みを襲うとすっかね」

ディアブロ「はは、それでこそこのゲームの盗賊だぜぇ」

Photo(盗賊)

大女は簡単には死ぬまい。
最初の一撃で目をさましたら、抵抗してくるだろう。
最初の一撃は効果的なやつを見舞ってやるしかない。
そこで、大女の目を狙った。
大女は悲鳴をあげて飛び起き、盲めっぽうに巨大な握りこぶしをふりまわした

テツヤ「よし、こんなもんでどうだ!?」

ディアブロ「近接戦闘しかできない敵単体なら、いつものネメシス電光責めで楽勝なんだがねえ」

ミヤ「どっちにしろ卑怯な事は変わらないんだね……」

大女(G) 戦闘力=4 精神力=8 鎧強度=1 生命力=59
打撃力=サイコロ五つ-1 機敏度=5

B12_3テツヤ「この命中率なら正面からでも勝てるだろ。ディアブロの呪文が成功する前に勝負を終わらせるぜ」

ディアブロ「まあ頑張んな」

味方同士でサイコロを振りあい、ミヤ→ディアブロの順番に決定。

○第1ラウンド
テツヤ:出目5で命中。大女にダメージ11(被害10)。残り49。
ミヤ:出目7で命中、大女にダメージ2(被害1)。

ミヤ「ありゃ、ピンゾロ出ちゃった」

ディアブロ:出目5で「ネメシスの電光」詠唱失敗。
大女:ミヤを攻撃、出目7で失敗

○第2ラウンド
テツヤ:出目11で攻撃失敗。
ミヤ:出目7で命中、大女にダメージ4(被害3)。残り46。

ディアブロ:出目8で「ネメシスの電光」詠唱失敗。
大女:テツヤを攻撃、出目8で失敗

○第3ラウンド
テツヤ:出目7で命中。大女にダメージ10(被害9)。残り37。
ミヤ:出目10で攻撃失敗。
ディアブロ:出目6で「ネメシスの電光」詠唱失敗。
大女:テツヤを攻撃、出目10で失敗

○第4ラウンド
テツヤ:出目7で命中。大女にダメージ5(被害4)。残り33。
ミヤ:出目9で攻撃失敗。
ディアブロ:出目8で「ネメシスの電光」詠唱失敗。
大女:テツヤを攻撃、出目9で失敗

○第5ラウンド
テツヤ:出目6で命中。大女にダメージ4(被害3)。残り30。
ミヤ:出目11で攻撃失敗。
ディアブロ:出目7で「ネメシスの電光」詠唱成功! ダメージ34(被害33)。撃破。

電撃に打たれ、大音響をあげて大女は倒れた。

ディアブロ「ウェヘヘ、結局は俺の呪文でケリだぜぇ」

テツヤ「チッ……まぁいいだろ」

ミヤ「うーん、あたし絶不調だったなー」

ともかく、助けた老人に話を聞いてみる事にする。

【項目467】
すこし落ち着くと、老人は話し始めた。

「カールランドの北のドラッケン山のふもとに、復活派の修道院がありましてな。無慈悲な一つ目の大女に食われてしまった仲間は、そこで長く修行した修道僧で、わしは修道院長なのです。我々の負っている使命は、人類全体にかかわる重大事なのです。我々は何年もかけてその準備をしてきました。ご存じかもしれませんが、新しい千年王国の夜明けには、万物の創造主は、ご自身の作品、つまりこの世界をすべて取り除かれ、新たな世界を創りはじめられる。悪は雑草のごとくこの世から引き抜かれ、悪魔やその家来は永遠に抹消されるのです。そして我らの子孫は新たな神の王国、千年王国を見出すのです」

なるほど、一千年という年が嵐と流血の戦いの年になるだろうということは聞いていた。
その時、スパイトの門が開き、真のマグスたちがこの世に戻ってくるのだ……

ディアブロ「その地上の楽園は、戦いなしには実現しないだろうぜぇ」

修道院長が答えた。

「そのとおりだ! よくわかっておられる! 多くの人々は、その楽園が彼らの生まれながらの権利だと考えている。しかし実は、神は人間がそれに耐えうるか否かを判断なさるのだ。戦ってそれを勝ち取るだけの力があるかを。神はお導きになることはできる。しかし、この世の初めから我々を悩ませてきた悪を倒すのは、我ら人間の任務なのだ。それができないのなら、我々は楽園を手にする事は不可能なのだ」

肩に手を置き、院長をなだめる。

テツヤ「落ち着け、爺ちゃん。あんたはあの辛い体験のあとで、まだ混乱してるんだって……」

院長は激しい調子でいった。

「ちがう! わしはいま、さらに大きな苦悩に苦しんでおる。危険はまだあるのだ。わしたちは最後の審判の日の戦いに必要なある物を取り戻すため、はるばる旅をしておった。ある物とは、我らの修道院の僧たちが代々育てつづけてきた生命の若木だ。生命の大木イグドラシルから生えた若木なのだ」

テツヤ「さっきまでキリスト教的な終末論だったのに、急に北欧神話がまざったな」

ディアブロ「レジェンド世界の基本なんだぜぇ」

ミヤ「お爺ちゃん、それでその若木はどこにあるの?」

「盗まれてしまった。オパラールのマギ派の連中によってな。彼らは魔法を使って我らの防御を破り、炎の橋に乗って若木を持ち去った。わしらは、同僚ペレウスの開いたアストラルの門を使って、彼らを追おうと考えた。ペレウスはかつては異教徒であり、魔法を学んだことがあったのだ。しかし不幸なことに、彼は呪文を唱えまちがえたらしい。門はオバラールへではなく、この大広間に開いた。そして、門の中へ飛び込んだわしらは、あの化け物につかまり、檻に入れられてしまった! 神が助けをつかわさなければ、わしは食われ、わしらの探求の旅も失敗に終わったろう。さて、もう一度わしを助けていただけまいか。若木はぜひとも取り戻さねばならんのだ。生命の大木イグドラシルが、エデンの園に生えた最初の木であり、千年のあいだこの世を支えてきたように、あの若木は新しい時代を支えなければならないのだ。神を冒涜するマギ派どもから、若木を取り戻す手助けをしてくれ!」

テツヤ「いやにスケールのでかい事情が出てきたが、結局、泥棒からお宝を取り戻してくれって話だな」

ディアブロ「しかしジニーが寄り道してくれるのかねえ。回り道ふくめて一回の願いごと、という理屈に納得してくれりゃいんだが」

 ともかく、こうしていても始まらない。ジニーのもとへ戻る事にする一行。

【項目253】
院長をともなってテラスに戻りながら、彼の申し出について考える。
彼の話からすると、院長の冒険はこちらの冒険と同じぐらい重要な任務のようだ。
しかし、彼を助けて若木を取り戻すのが先決なのか、それともこのままハクバッドへ向かい、ブラッド・ソードの刀身を見つけるのが先決なのか?

ミヤ「お爺ちゃんを仲間にして、一緒にブラッドソードを探しながら若木も追いかけるってのはダメかな?」

テツヤ「さすがにそこまで融通きかせるのはゲームブックの項目数じゃ無理だろよ」

ディアブロ「コンピューターゲームでもそこまでやらせてくれるシナリオは少ないだろうぜぇ」

考え込んでいると、ジニーを見つけた院長が大声をあげた。

「ターシムのデーモンだ! 見つからないうちに、中に戻りましょう」

「ああ、ようやく帰ってきたのか。新しい仲間を連れてきたんだな。えらくカッカしている老いぼれのようだが……」

院長をまるっきり無視して、ジニーが言った。

ミヤ「失礼だよ。こちらは修道院長さまなんだから」

院長は唖然としていた。

「この……化け物と知り合いなのですか? こいつを支配しているのですか?」

ジニーは大理石の手すりに手をのばしてきた。
奴がたずねた。

「旅を続ける準備はいいか? そのおえらい修道院長さまにお別れをいって、出発しようぜ」

どうするかの判断の前に、金の鏡を持っているかどうかのチェックがある。

【項目367】
院長はこちらの持ち物の中でキラキラ光っている鏡に目をつけ、それを手にとった。
彼はうっとりしているようだった。
院長は鏡を差し出して言った

「見えるかね? この木とヘビが見えるかね? どちらも生命のシンボルだ」

輝く鏡をのぞいてみた。シミが二つある。
金属内のヒビではないか?
だが想像力を働かせるうちに、院長のいうとおり、それが一本の木と一匹のヘビに見えてきた。

院長はもう一度鏡をのぞきこんだ。

「わしは占いの術も学んだのだ。ヘビは変わって、一本の剣になったぞ。生命の剣だ……これは何を意味するのだろう? 木の根元に剣が巻き付いている。ああ、だめだ。見えなくなってしまった……」

院長はまだたきをし、頭をふった。
沈黙が流れた。まもなく彼がいった。

「この鏡は非凡な道具だ。わしは未来をあんなにはっきりと見た事がない」

生命の剣か。
彼の冒険はこちらの冒険とつながりがあるのだろうか?

ここで鏡を院長にあげるかどうか、決めておけと指示される。

ミヤ「あげてもいいんじゃない? 拾い物だし」

ディアブロ「鏡を眺めてうっとりする爺さんて時点で、それ以上かかわりたくないから、まあくれてやってもいいような気がするぜぇ」

テツヤ「嫌な言い方すんじゃねぇよ。荷物も空いて丁度いいわ」

爺さんに鏡をくれてやる事にし、次の項目へ。

【項目19→343】
ジニーへの願い事が二つ残っていると、この項目に来る事ができる。

残る願いの使い方を考える。
考えながら声に出していく

ミヤ「オパラールのマギ派の砦へ行くのに、願いの一つを使うよ。そしてそこからハクバッドへ行くのに、もう一つの願いを使うの。これでオッケーだね!」

修道院長が言った。

「いいえ、いけませんよ! 若木はここに、グレイ・ロックに持ってこなければなりません。大広間にあるアストラルの門が、私が修道院へ若木を持ち帰ることのできる、唯一の安全な道なのですから

ディアブロ「この爺さん、自分の都合しか主張しやがらないぜぇ」

テツヤ「そう言うな。爺さんの気持ちになりゃ、ああも言いたくなんだろ。しかし俺らに不都合極まりないのは間違いねぇな……」

ジニーが口を挟んだ。

「ここに戻ると、願いは使いきってしまうぞ。それに、オパラールへ行けと命じれば、ハクバッドへ行くという目下遂行中の願いは無効になる。結論を言えば、マギ派の砦へ行って、その若木を持って戻ってくることはできる。しかしそのとき、俺は立ち去る。後の事は知らん。さあ、どうするつもりだ?」

ディアブロ「選ぶ余地ないぜぇ、普通に考えたらねえ」

テツヤ「しかし手助けはしてやりてぇな」

ミヤ「ん、じゃあ決まりだね?」

どう決まりなのか。それはもちろん次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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2012年1月21日 (土)

ブラッドソードリプレイ3-11 魔人登場

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:5 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:7 機敏度:8 生命力:31
装備:ブラッド・ソードの鞘 ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(6本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金35) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 木の人形

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:5 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:26
装備:ブラッド・ソードの柄 ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(6本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金貨袋(所持金100) 金の巻物 金の鏡 黒い絹のクッション

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:5 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+2 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:26
装備:銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 金貨袋(所持金100) 琥珀の火口箱 魔法のパン ファティマの銀の鍵 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 膏薬の瓶(残り5回) エメラルド

Photo スクリーボ

旅の途中で買われたカラス。
お値段は金貨1枚。
とりあえず当面、役に立つような能力は無い。
しょせんは金貨1枚。

レジェンドという世界、クラースの地にて冒険者として旅する三人。伝説の“生命の剣”ブラッドソード探索の旅を続け、その柄と鞘を手に入れた彼らは、最後の部品である刀身を探す。刀身を求めてたどり着いたのは、十字軍が拠点とする都・クレサンチウムだった……。

クレサンチウムでブラッドソードの在処を知る人物・ササリアン王子に出会う三人。剣の有る場所へ行くため、海賊王ハンガックからエメラルドを2個、見事に奪い取る。しかしこれから街まで海原を超えて戻らねばならない……。

ミヤ「そうだっけ? ブラッドソードはもう手に入って敵の四天王は全部やっつけて真のボスキャラにとどめさそうとしたらそのボスの10倍強い新しい敵が出てきたぐらいのところまで行ったんじゃなかったっけ?」

テツヤ「今どきJャンプのマンガでもそんな展開やらねぇよ」

ディアブロ「まぁ間が空いたし、前までの話はほとんど忘れちまっても無理ないがねえ。でも前回から作中では一日しか経ってないんで、その線でよろしく頼むぜぇ」

【項目573】
ぐっすり眠って、目がさめると、もう日が昇っていた。
朝食に果物を食べる。
さて今度は、この島からの脱出方法を考えなければならない。

ミヤ「うん、早く帰らないとササリアン殿下さんが待ちすぎでミイラになっちゃうかもしれないしね!」

ディアブロ「働いてないみたいだったしねえ。時間かけすぎると食い扶持なくて飢え死にだぜぇ。ま、それはそれで結構かもしれないがね」

テツヤ「そんなアホな最期を迎える悪役がいてたまるか」

 ともかく帰らねばならない事は確かだ。だが来れたなら帰る事もできるのが道理。とはいうものの……。

【項目306】
小舟をじっくりと眺める。
よくここまでもったものだ。
だがもう限界だろう。
この船で本土に戻れるチャンスはほとんどないといっていい。
ましてハクバッドまで行こうなどとは、お笑い草だ。
別の方法を考えなければなるまい……。

ミヤ「二艘買っておくべきだったね」

テツヤ「二艘とも同時に壊れるだけだろ」

ミヤ「ううん、一艘は背負い袋に荷物として入れておけば痛まないよ。私、頭良いんじゃないかな!」

ディアブロ「いやあファミコン時代のFFが懐かしいねぇ」

テツヤ「カヌーは海渡れねぇだろ」

 そこで渡れる物を探す事にした。そう都合良く乗り物が落ちているはずもないが、今捜索できるのはこの島だけなので否応など無いのだ。

【項目201】
岸辺をぶらつくうちに、ぐうぜん真鍮でできたびんを見つけた。
奇妙な象形文字の書かれた鉛の栓がしてある。
何がはいっているのか見ようと、栓を引き抜く

なお、栓を抜かないという選択肢は無い。これは自動的に進行するイベントである。つまりレジェンド世界では瓶の栓は抜かねばならぬ物なのであるので、もしドラゴンウォリアーズのゲームマスターをする機会があっても、瓶の栓を抜いたら死ぬトラップは仕掛けないように。やらねばならぬ事をするとゲームオーバーになるのでは理不尽というものである。死ぬまでに一度ぐらいは役に立つ知識であろう。

【項目299】
びんの口から、黒い煙の柱が噴き出した。
それは岸部いっぱいに広がり、雲に届くまで立ち昇った。
煙が形を作り始める。
煙はとうとう巨人ジニーの姿になった。
頭は空につっかえ、地面を踏みしめた足は、筋肉の一本一本が木のように太い。
やつが両手を広げると、片方の手の端からもう片方の手を見るのに、首をめぐらさなければならなかった。
やつが口を開けると、黒い乱杭歯がのぞいた。
目は松明のように赤く燃えている。

恐怖のあまりへなへなとなって、ジニーの前にひざをつく。
奴は自分の立っているちっぽけな島を見おろし、こちらを見つけて、怒鳴り声をあげた。

「ここはどこだ? 何がどうなったんだ? 話せ、お前が俺を自由にしたんだな」

ミヤ「うわー何この子、すごいおっきい!」

ディアブロ「多分、ランプの精の一種だろうぜぇ」

テツヤ「そ、そうか。なら願い事をかなえてくれるんだな?」

なんとか冷静になろうと努め、やつに答える。

テツヤ「のんびりお互いの身の上話をするのもいいが、ぐずぐずしている暇はないぞ。最初の命令はこうだ。翼のある戦車をつくれ」

ジニーはこちらをじろりと見て言った。

「最初の命令だと? ふん、何か勘違いをしているようだな。まごつかないように言っておくが、俺は命令なんか聞く気はないんだ。命乞いをするほうがまだましだぞ。もっとも、役には立たんがね。この足で踏んづけて、ペシャンコにしてやる!」

テツヤ「それはおかしいじゃないか? 長く閉じこめられていたんで、脳味噌が腐っちまったな。お前をびんから自由にしてやった者には、相応の報酬があるはずだぞ。暴力をふるうとは、恩も礼儀もわきまえぬやり方だ」

ジニーが怒鳴った。

「俺の知った事か! この俺が、どれほど長くこのびんの中に閉じこめられていたと思う? 最初の百年は、俺を自由にしてくれた者には持ちきれない富を与えるつもりだった。だが、そのとき俺を自由にしてくれたか? まあ、いいさ。次の二百年は、俺を自由にしてくれた者に世界中の宝と名誉を与えるぞ、と毎日誓っていた。だが、そのとき俺を自由にしてくれたか? 次の四百年は、俺を助けだしてくれた者に三つの願いを聞いてやる、と誓いを立てた。この世では考えられないほどの富と力を与えることも、そいつの言葉がそのまま法律となるような王国を造ってやることも、死ぬまで失われない若さを与えてやる事も俺にはできた。だが、そのとき俺を自由にしてくれたか? してくれなかったではないか! そういうわけだ……今では俺の気持ちはすっかり変わってしまった。俺を自由にした者に与える唯一の報酬は死と決めてしまったのだ。もう言う事がないなら、この報酬を受け取る準備をするがいい……」

ディアブロ「いやー死ぬまでに一度は役立つ知識を、ディブ・モーリス氏とオリバー・ジョンソン氏はここで使わなかったようだぜぇ」

テツヤ「だからといって、ハイそうですかと死ぬ気がねぇな。さて、どうしたもんか……」

ミヤ「んじゃ、あたしがこうしたもんだよ」

そう言って、ミヤが自信もたっぷり、平気な顔でジニーの前へ進み出る。

【項目420】
3(僧侶)

先を急ぐ旅の途中だ。
虚栄心の強いジニーを相手に費やす時間など無い。

ミヤ「口に出してはならぬ名によって、おまえを拘束する!」

サラマンの巻物と、バラカの息子イザフの七つの指輪に記された儀式の言葉を叫んで、ジニーの自由を奪った。

奴の怒りはおさまらなかったが、反抗する力を失った。
不可解なあの言葉が、奴を従わせたのだ。
しかし注意しなければならない。
こちらはサラマンほど、ジニーの事をよくは知らない。
奴にあまり多くを要求すると、奴はこちらの拘束を破って逃げ出すかもしれない。

ミヤ「はいオッケー。楽勝だよ?」

テツヤ「……この世界のランプの魔神どもは、修行僧のいる寺には近づけねぇな。勝率0%の絶望しかない勝負になっちまう」

ディアブロ「魔神にとって住み難い世界もあったもんだぜぇ」

3巻はどうにも僧侶が有利なイベントが多い。まぁ大概のRPGでは僧侶は非常に重要な職業ではあるが……。製作者の匙加減一つで選民と奴隷をいったり来たりする戦士・魔術師とは段違いの安定度だ。

【項目525】
用心のため、ジニーが閉じこめられていた真鍮のびんを拾い上げる。
これを持っていきたければ、誰かのキャラクター・シートに記せ。

ディアブロ「所持品枠に余裕が無いぜぇ。仕方ないから膏薬の瓶(中身5回ぶん、満タン。1回で生命力がサイコロ1個回復)を捨てて持っていくかねえ」

テツヤ「回復アイテムがえらく粗末にされる世界もあったもんだな」

所持品袋のシステムがなかった昔のRPGではよくあった事。

ジニーが言った。

「願い事があれば、俺に言ってくれ。だが心して選べ。三つの願いを聞き届けたら、俺は自由になって、ここから立ち去るからな」

ミヤ「そうだね、最初の願いは、キミがさらに千の願いを聞き届けてくれるという事かな。そうすれば、あれこれ悩む必要もないしね!」

テツヤ「一度は言ってみるよなコレ」

ディアブロ「ではあと999回願いを言え、言わねば帰さん……という展開はあまり見かけないがねえ」

ジニーは卑屈に両手をこすりあわせた。
いばりくさっていない時の奴は、どこか憎めないところがある。
奴は作り笑いをした。

「それができればいいんだが。あいにく、俺よりずっと偉い奴が、あんたみたいな考えを受け容れると、願いをかなえるという行為自体をバカにする結果になると教えているんだ。細かい理屈は忘れたが、この説が正しいという事は、俺が保証するよ」

気に入らないが、奴の言葉を信用するしかあるまい。
さて、それでは願いを決めなければならない。
そこでまず、生命の剣の刀身を持ってこいとジニーに命じる。
奴は震え声で言った。

「それは俺の力の及ばぬことだ! 世の中には、英雄的努力によってのみ到達できる物事がある。俺は英雄になるようには生まれついていないって事だけは確かだ。俺はお前に大金を与える事はできる。魔法の鎧兜を授ける事もできる。だが、この地上に散らばった何百万もの品物の中から、特定の一つを見つけ出す事は不可能だ。なぜなら、俺もお前と同様に、この世の時間に縛られている。俺が地上の国の半分も探しまわらぬうちに、お前は死んで骨になっているだろう。それに、魔法や神話に出てくる障害が俺を邪魔したら、どうなる? 駄目だ。お前の願いは、神話と論理のうえからも、叶えられん」

ミヤ「この子、唯一品をとって来いって行ったらじかに出向くんだ! エメラルドより先にこの子と会ってエメラルドとって来いって命じたら、ハンガックさんvsジニーになってたかも!」

ディアブロ「海賊船がブッ壊れてエメラルドは海の底に転がりそうな気がするぜぇ」

ミヤ「それじゃ、キミは一体は何ができるの? どの願いもムリゲーって言われたら、願い事を考える気が無くなりそうだよ」

ジニーが言った。

「俺ができる事を並べれば、お前も命令を下しやすいかもしれんな。俺にはいくつかの力がある。たくさんの金を与える富の力。完璧な健康を授ける元気の力、武器や鎧を直す修復の力、腕力を人並み以上に高める増強の力、そして輸送の力を使えば、お前をこの手に乗せて、遠い所まで、ほんの一跨ぎで行く事ができる」

この最後の言葉で、願いの一つは決定だ。
他の方法よりずっと素早く、ジニーはハクバッドへ連れて行ってくれるだろう。
しかし、願いは三つしか許されていない。
後の二つは心して選ばなければなるまい。

テツヤ「じゃミヤ、さっさと選びな」

ミヤ「え? あたし?」

ディアブロ「ジニーを服従させた本人に選択の決定権があるんだぜぇ」

【項目56】→【項目290】
 

ミヤ「じゃーハクバッドに連れていって! あたし達全員ね」

テツヤ「一番肝心なのが最初に来たな」

一応、ここで願いを全部使いきってゲームオーバーになる事も可能だ。無論、全く意味の無い最高にマヌケなバッドエンドである。まぁ自由度ってもんは、無いよりはあった方がいくらかは良い。

ジニーにハクバッドへ連れて行けと命じる。
奴はこちらを手のひらに乗せて言った。

「おお、ヒスイ星の都か。俺があのびんに閉じこめられる以前から、噂に名高い都だ。サッサン軍がセレンチーヌ帝国からカイクフルの西域を奪ったのち、あの町は造られた。それまでの両国は、腐った骨をあいにして争う病んだ二匹の犬同然だった。歴史は両国を追い払った。なんの不思議もない事だ。いずれにせよ、再びハクバッドを見ることができるとはありがたい。あの見事な尖塔や模様のほどこされたドーム、テラスに囲まれた宮殿の庭園、シェロの並木道……」

テツヤ「また七百年が経過しちまうぞ。さっさと出発しろ」

ジニーを怒鳴りつける。

シニーは一日海を歩き続けた。
奴にとって湾の水位は、人間が渡る小川程度のものだった。
奴が進むうちに、嵐雲が集まってきて、奴を取り巻き、雲が太陽を覆い隠して、空は物凄い灰色と黒に変わった。
ジニーはこちらの頭上に手をかざして、雨が当たらないように防いでくれた。

嵐の圏外には船がいるだろう。
船の水夫たちがこの嵐の中心に目を向けたら、彼らには、腰まで水につかって海を渡っていく醜い巨人が見えるのだろうか?
なんという幻想的な話だ。
ジニーにこの事をたずねてみた。

嵐の上から、奴の声が聞こえてきた。

「それは見る人間の遠近感しだいだな。お前は俺の手の上にのってハックバッドへ運ばれていく所だから、俺の姿形が自分の姿を見るようにはっきり見える。だが、自分が見ている物がなんであるかを知らない人間にとっては、物事は違って見えてくるだろう。遠く離れた船の甲板から見上げている水夫は、どんなに空想好きな奴でも、自分が見ているのは、髭ぼうぼうの巨人に似た嵐雲だと思うだろう。それだけの事だ。ほとんどの人間は、この世で行われる魔法をかぎつける才能に恵まれてはいない。俺が何者かを見分けられるのは魔法使いくらいのものだ。もっとも、サークナサールがまだ生きているなら、話は別だがな」

サークナサールは、四世紀も前に海賊王ハンガックに殺されたはずだ。

ミヤ「その人、死んじゃったよ」

シニーが答えた。

「ほう。サークナサールも死んだか? 俺はずいぶん長い間、閉じこめられていたんだな……」

ジニーの沈んだ声に心が少し痛んだ。
そこで、大きな手の上にのったこちらの姿を見たら水夫は何と思うだろう、と訊いてみた。

「こっちは本物の人間なんだから、遠近感の違いは関係ないはずだ。嵐の切れ目から俺を見たら、ドラゴンのような雲だと思う奴はいるかもしれない。だが人間は人間だ。この事実はどうしようもないだろう。もし水夫がお前を見たとしても、不運な人間が嵐に巻き込まれて、空を吹き飛ばされていくと思うだろうさ。無情な運命の女神に捕らえられた不運な人間を目撃したと思うだけだ」

奴は笑った。

「彼をとんまな奴だと思うかね? さっきも言ったように、真実には東洋の宝石を集めたよりも多くの面があるんだ」

ミヤ「なんかこの子、妙に詩的なところあるね」

ディアブロ「魔神で詩的とは、なかなかいい趣味だと思うぜぇ」

テツヤ「風流とか全然わからんから俺にゃどうでもいいこった。ひと眠りするから、着いたら起こしてくれや」

行きがあれば帰りもあるのだ。また海を渡ってクレサンチウムへ戻らなければならない。はたして無事に戻れるのか……それは次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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2011年6月19日 (日)

ブラッドソードリプレイ3-10 激戦海賊王

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:5 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:7 機敏度:8 生命力:31
装備:ブラッド・ソードの鞘 ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(6本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金35) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 木の人形

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:5 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:26
装備:ブラッド・ソードの柄 ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(6本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金貨袋(所持金100) 金の巻物 金の鏡 黒い絹のクッション

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:5 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+2 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:26
装備:銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 金貨袋(所持金100) 琥珀の火口箱 魔法のパン ファティマの銀の鍵 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 水晶の瓶 膏薬の瓶(残り5回)

Photo スクリーボ

旅の途中で買われたカラス。
お値段は金貨1枚。
とりあえず当面、役に立つような能力は無い。
しょせんは金貨1枚。

レジェンドという世界、クラースの地にて冒険者として旅する三人。伝説の“生命の剣”ブラッドソード探索の旅を続け、その柄と鞘を手に入れた彼らは、最後の部品である刀身を探す。刀身を求めてたどり着いたのは、十字軍が拠点とする都・クレサンチウムだった……。

クレサンチウムでブラッドソードの在処を知る人物・ササリアン王子に出会う三人。剣の有る場所へ行くには海賊王ハンガックからエメラルドを2個、奪わねばならないという。次元の狭間を流離う伝説の海賊船に、三人は乗り込んだ……。

ミヤ「さあ、甲板から船の中へ降りていくよ。鬼が出るか蛇が出るか! わくわくするね!」

テツヤ「時間制限がある事を忘れんようにな。時間経過の印が10個集まったら強制イベント発生だからよ」

ディアブロ「一つ目は階段を降りるときに既に記入してあるぜぇ。あと9つだ」

何が起こるかはその時のお楽しみである。三人は階段を降り、船の通路に立った。

【項目487】
空気は濁り、かび臭かった。
だが少なくとも、白い霧に包まれた甲板の上より、ここのほうが暖かい。
通路の壁にはめこまれた球体のランプから、ほの暗い明かりが差していた。
床は琥珀でできているようだ。
天井と壁はマホガニーの板張りで、古風な装飾がほどこされている。

二つ目の印を記す。

テツヤ「床が琥珀の船だと!?

ミヤ「贅沢だよね。普通は木なのに。たぶんこれも略奪した琥珀で張り替えたに違いないよ」

ディアブロ「琥珀が余ってるから床に使おうってかね。さすが海賊王ともなると発想が違うぜぇ」

理解しがたい贅沢の仕方に思いをはせる。ここからは船首と船尾に向かえるようなので、三人は船首の方を選んだ。しばらく進むと……

【項目182】
ドアがあったので、あけて中に入る。
そこは前甲板下の船員室だった。
ぐるりの壁には四段ベッドがずらりと造りつけられ、優に千人の船員を収容できそうだ。
しかしどのベッドも空っぽで、あるものといえば、ほこりの山と人骨とボロボロの衣服ぐらいのものだった。

三つめの印を記す。

テツヤ「船員が死んでるじゃねぇか。どうやって海賊稼業をやってるんだ?」

ミヤ「前の仕事で全滅しちゃったのかもしれないね」

ディアブロ「その仕事もずいぶん前らしいぜぇ」

テツヤ「しゃあねぇ、ちと調べてみるか。目当てのエメラルドがありそうな場所じゃねぇけどな」

【項目242】
ベッドは金属製で、寝床には銀の針金細工の綱が張ってあった。
床には弾力性のある灰色のマットが敷かれているベッドの一つに近づこうとしたところ、船員の死体に突き当たり、骸骨の手がこちらの頭の上へドサッと落ちてきて、ギョッとする。
ふるえながら、船尾へ向かう事にする

四つめの印を記す。

テツヤ「驚かせやがって! てっきりアンデッドモンスターと戦闘かと思ったぜ」

ミヤ「あー、ありそうなパターンだよね」

【項目564】
甲版へ上がる階段まで戻る。
あせりながら、船尾へ急ぐ。

五つめの印を記す。

ディアブロ「ここは通り過ぎるだけの項目、と」

テツヤ「どう考えても時間を無駄にしてるよな。これ、選択を間違えたように思うんだが」

スクリーボ(実にその通りだゾ。魔術師のいないパーティがこの選択で時間を無駄にすると、最悪強制ゲームオーバーになるのダ)

【項目437】
通路の両側には、たくさんの船室が並んでいる。

六つめの印を記す。

ミヤ「こういう場所に来ると、一つのぞいてみたくなるよね!」

テツヤ「まぁ一つぐらいならいいけどよ」

ディアブロ「物をとりに来たんだから、あちこち探る事自体は間違いじゃないぜぇ」

というわけで扉を一つ開ける事にした。

【項目34】→【項目392】

開ける事を選ぶと、魔女プシュケに会ったことがあるかどうか、殺したか否かを尋ねられる。それによって部屋の中の展開が少し異なるのだ。
まぁゲーム的には大差ないのだが。

テツヤ「おいディアブロ、お前のクソな知人だった女だな」

ディアブロ「そうだったねぇ。お前さんが殺しちまった女だぜぇ」

テツヤ「そうしなきゃこっちが殺されてたからな」

その場合、この部屋には……

【項目523】
船室のドアを開けたとたん、プシュケの美しい姿が目にはいった。
しかし前に会った時とは様子が違う。鉄の手錠につながれ、美しかったガウンや宝石のついた飾りはボロボロになっている。
彼女がうめいた。

「助けて。この手錠を外して。早く……」

七つめの印を記す。

テツヤ「生きてるじゃねぇか。なんでだよ?」

ミヤ「私たちが去った後、屋敷に控えていたクレサンチウム最高の医師団が三千年の医術の秘を駆使して一命をつないだんだね!」

ディアブロ「俺ら、あの屋敷に一晩はいたんだけどねぇ。ま、助ける気にもなれないし、そこらへんの理由をちょいと聞いてみるぜぇ」

【項目175】
「ばかなことを聞くんじゃないよ!」

プシュケが叫んだ。
以前の毒のある口調が少し戻ってきたようだ。

「私は死んだのさ。私の魂は邪悪なペスト王エクフェリナーに担保として取られていた。お前らが私を殺すと、あいつは私を奴隷にしてしまった。そのあとで、あいつは海賊王ハンガックとの賭けに敗れ、私はこの忌まわしい軍艦に連れてこられたのさ。早く私を自由にしておくれ。この船室でひとりぼっちにされるのもつらいけど、もっとつらいのは、ハンガックがここにやってくることさ」

テツヤ「その鎖はお前自身が作ったんだ。お前は悪魔を崇拝する罪深い人生を選んだ。いま、その代価を払うしかねぇだろ。定まった運命からお前を救い出そうなど、考えるだけでも神さんを冒涜する事になるだろうよ」

ドアを閉めて、船尾に向かう。

八つめの印を記す。

ミヤ「海賊王さんに売り飛ばされたのはわかったけど、何されてるんだろ? なんで辛い目にあわされてるのかな?

テツヤ「妾にでもするつもりで連れてこられたが、あの性格なんでハンガックを怒らせちまったんだろうよ。ま、俺らにゃ関係ないこった」

ディアブロ「時間もないしねぇ。印あと二つでタイムオーバーだぜぇ」

【項目473】
円形の大きなドアの前にやってくる。
しばらくためらった後、中央のハンドルを回した。
ワイン色の木のドアは、花のつぼみが開くように少しずつ開いていった。
部屋に入ると、中には身長二メートル以上の大男のために作られたような家具があった。
古いタピストリーで覆われたベッドがあり、テーブルの上には黄色くなった海図が数枚、広げられている。
そして正面の骨董品の並ぶ棚に挟まれて、もう一つドアがあった

九つめの印を記す。そしてMYTHAGOという暗号を記す。

テツヤ「どうやら船長室のようだな」

ディアブロ「エメラルドがあるならここだろうぜぇ。で、どこを探すかね?」

ミヤ「ちょっと興味あるんで海図を見てみよう。どれどれ……」

【項目209】
それはこれまでに見たこともないような海図だった。
歴史と伝説の地が楕円の碁盤目と収束線の上に記され、余白には魔法使いの文字とおぼしきものが殴り書きされていた。
が、まるで解読不可能だった。
 

ミヤ「私にもわかんない字だなー。ハンガックさんは海賊なのにこれ読めるんだ? 実は魔法使いなのかな?」

ディアブロ「メガネかけたインテリ風あんちゃんが出てきて『フッ……僕がハンガックだ』とか言い出すのかねぇ」

テツヤ「どんな海賊王だよ。ともかく、この机にエメラルドは無いんだな? じゃ他を探すか」

だがここで経過時間を示す印が十個になる。よって強制的に項目422番へ移動。

【項目422】
船内を探索するうちに、なんらかの暗号を書きとめなかったか?

テツヤ「MYTHAGOだな。これ、進行チェックのフラグだったんだな」

暗号が一つも無い場合、船とととも異次元に引きずり込まれゲームオーバーだ。だがこれ一つだけ記録してある場合は……

【項目271】
もう一つのドアが突然バタンと開いた。
とたんに灰青色の強い光が押し寄せてきた。そこに肩幅の広い男が立っている。
船室の天井は高かったが、それでも前かがみにならなければならないほど、その男は大きかった。
両腕を上げると、鉄の鎧がジャラジャラと重そうな音を立てた。
両手には血のりのついた戦斧を一本ずつ握っている。
雷のような声で、やつがいった。

「海賊王の宝庫に盗みにはいるとは、どこのどいつだ? この代償は血で支払ってもらうぞ!」

テツヤ「見つかっちまったぞオイ!」

ミヤ「しかもインテリメガネさんじゃない!」

ディアブロ「エメラルド見つけたら帰りますんでもうちょっと待ってくれ……と言っても許しちゃくれないだろうねぇ」

どう見ても、戦いたい相手ではない。
ハンガックはもはや人間ではない。数世紀を経て、神話のヒーローとなってしまった男だ。
ブラッド・ソードを求める冒険の旅に、運悪くこんなやつが紛れ込んできて行く手に立ちふさがってしまうとは!
エメラルドを手に入れるためには、やつを倒さなければならない。
それには、戦うしか手はあるまい。

B310_2ハンガック(H)
戦闘力=10 精神力=9 鎧強度=5 生命力=100
打撃力=サイコロ6つ 機敏度=9
※ハンガックはラウンドごとに二度打ちかかってくる(二本の戦斧を使って)。彼には盲目的服従の呪文は通じない。海賊王に命令を下せる人間などいないのだ。

テツヤ「とりあえず死ねって言われてるような能力だな! 暗黒聖闘士を倒しに富士の風穴に行ったら黄金聖闘士が横から出てきたみてぇだぞ!」

ミヤ「ダメージ期待値は31点前後だね。攻撃されたらだいたい即死しちゃうよ」

ディアブロ「でもこいつ、近接攻撃しかできない敵単体だぜぇ」

テツヤ「久しぶりに逃げ回り&固定砲台か……」

○第1ラウンド
ハンガックがD-3に移動。
テツヤがB-4に移動。
ミヤがC-4に移動。
ディアブロがF-5に移動。

事実上決着。
戦闘ルールでは、敵は近接攻撃の目標として近いキャラクターへ移動する。一番遠いディアブロへは向かわなくなったので、あとはミヤとテツヤがハンガックの側で移動を続ければいい。ディアブロは心おきなく最強の呪文を詠唱し続ける事ができる。

呪文を準備していなかったので、2ラウンド目にはネメシスの電光を準備。
4ラウンド目に詠唱成功、ダメージ29(被害24、残り76)。
5ラウンド目に呪文を準備、7ラウンド目に詠唱成功。ダメージ30(被害25、残り51)。

8ラウンド目に呪文を準備、14ラウンド目に詠唱成功。ダメージ34(被害29、残り22)。
15ラウンド目に呪文を準備、18ラウンド目に詠唱成功。ダメージ38(被害31、撃破)。

ディアブロ「海賊王に勝ったぜぇ

ミヤ「牛さんが卑怯攻撃で倒されたみたいな光景だね!」

テツヤ「それを自分たちがやるとはな……」

まともに戦ったら即死なので仕方がない。

【項目547】
カシの古木が倒れるように、ハンガックは船室の床に音を立ててころがった。
不気味な静寂が流れた。ハーハーという自分達の息だけが聞こえる。
魔力がこめられているはずの、奴の戦斧を手に取ろうとしたが、びくともしない。
奴の鎧の一部をはがしてみる。
この戦いの前に、やつはひどく傷ついていた。
大きな爪をもつ化け物の一撃を肩に受けたのだろう

鉄の鎧が肉に深く食い込んでいる。
これを見て、勝利の喜びはふっとんだ。
ハンガックはこんな傷を負ったまま戦っていたのか。
普通の人間なら、とっくに死んでいるところだ。
そのとき、やつがうめき声をあげた。
 

テツヤ「ゲーッ! 生きてやがる!?」

ディアブロ「もう一度同じ戦法で戦うしかないかねぇ」

ミヤ「でもちょっと様子が変だよ?」

【項目154】
ハンガックは低いうなり声をあげて、よろめきながら起き上った!
床に座り込んだやつの目は、立っているこちらの目と同じ高さだった。
やつはかぶとを脱いで、こちらの顔を見つめた。
灰色の目には、もはや敵意は見えなかったが、じっと見つめられると、やはり体が震えた。
恐怖でなければ、畏怖の震えだっかもしれない。

テツヤ「あんたは死んだはずだ……」 

「死んだ? 海賊王ハンガックが?」

やつは立ち上がった。

「いや死んではいない! フェシティスさえとどめをさせなかったのだ。そのかぼそい腕で、そんな芸当ができると思うのか?」

一瞬、やつは戦いをつづける気がどうか考えた。
しかしやつは戦斧をテーブルの上に置き、ベッドにドスンと腰をおろした。

「やれやれ、わしは疲れたよ。いつまでも骨の冷えがひかんのだ……」

やつはこちらを見た、

「いい戦いぶりだったぞ。大胆で、しかも堂々としていた。わしは滅多にほめんのだから、誇りに思うがいい! 大声で自慢しろ。女のようにぼそぼそいうのは、ヒーローにふさわしくないからな。さあ、そちらの冒険談を聞かせてくれ」

テツヤ「いや……あの戦法は大胆でも堂々ともしていないと思う」

ミヤ「知恵を駆使したことを認めてくれてるんだよ、きっと。あとあたし女だからぼそぼそ言っても許されるんだよね?」

ディアブロ「君が一番声でかいんだがねぇ」

やつは話すのをやめて、目を閉じた。

「わしは休まねばならん……休むことができたらなあ……」

やつは大きな手を棚に向けて振った。

「欲しい物を持って行け。勇気をもって、自らが勝ち得た物だ。若さゆえのその無鉄砲さを克服できたときには、伝説のヒーローとなれることだろう。さあ、行くがいい!」

エメラルドは粘土のかめの中にあった。ハンガックに一礼をして、船室から出ていくことにする。 

テツヤ「よし貰った! ほなさいなら!」

ディアブロ「気が変わる前に立ち去るとするかね。接敵状態で戦闘をはじめられたら間違いなく屍の山だぜぇ」

ミヤ「でもなんか、思ったより悪いおっちゃんじゃなかったね!」

廊下を走る三人。なお、エメラルドは2個で一つの持ち物となる。荷物もいっぱいなので、プシュケの館で拾った水晶のびんを捨てていく。

テツヤ「あれ、中身なんだったんだ?」

ミヤ「回復薬だよ。生命力がサイコロ4個回復するの」

テツヤ「なるほど、いらんわ」

【項目185】
階段にさしかかると、なにか恐ろしいことが起こる予感に襲われた。
思わず足を速める。
甲板に出たとたん、何かがすぐそばを矢のように通り過ぎた。
見ると化け物のような奇妙なものが、まわりをすいすいと飛び交っている。
それが船体やマストに触れるたびに、パッと赤い火花が散った。
一陣の風が甲板を渡ると、凍てつくような雨が霧を二つに分けた。
前方に見えるのは真っ黒な闇ばかりだ。
ふり返ると、船尾の眺めはトンネルの中から見る外の景色のようだった。
あの島が見える。
そして湾の水は夕陽に染まっていた。
だがそれらは恐ろしい速度で後退しつつあった。
デビルス・ランナー号はこの世の海を離れようとしているのだ!
 

テツヤ「おいおい、異次元に引きずり込まれそうになってるんじゃねぇか!」

ミヤ「急いで離れようよ! あたしたちの船、鎖でつないでたよね」

【項目369】
小舟をつないでおいた鎖を伝い、小舟に乗り移る。
オールを握ると、手遅れにならないうちにデビルス・ランナー号から離れようと、死に物狂いでこいだ。

ディアブロ「なんだかんだいって役に立つ小舟だぜぇ」

【項目99】
ようやく島にたどりつくと、ふり返ってハンガックの船の出発を見守った。
船は厚い霧に覆われ、夕陽に赤く染まった雲に映る大きな影にしか見えなかった。
やがて風が霧を吹き飛ばした。
あとには、平らな海に霧の切れ端がかすかにたなびいているばかりだった。
デビルス・ランナー号は影も形もない。
船が起こした最後の波が足元に打ち寄せ、それが行ってしまうと、あたりの海は星空の下で鏡のように静かになった。

テツヤ「ふう……なんとか助かったな。えらい目にあった」

ミヤ「ハンガックさんさようなら。元気でね」

ディアブロ「いや、あの人無駄に元気だったように思うぜぇ」

テツヤ「不死身のおっさんより、俺らの今後を心配した方が良さそうだ」

行きがあれば帰りもあるのだ。また海を渡ってクレサンチウムへ戻らなければならない。はたして無事に戻れるのか……それは次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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2011年6月11日 (土)

ブラッドソードリプレイ3-9 海賊船

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:5 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:7 機敏度:8 生命力:31
装備:ブラッド・ソードの鞘 ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(6本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金35) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 木の人形

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:5 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:26
装備:ブラッド・ソードの柄 ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(6本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金貨袋(所持金100) 金の巻物 金の鏡 黒い絹のクッション

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:5 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+2 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:26
装備:銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 金貨袋(所持金100) 琥珀の火口箱 魔法のパン ファティマの銀の鍵 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 水晶の瓶 膏薬の瓶(残り5回)

Photo スクリーボ

旅の途中で買われたカラス。
お値段は金貨1枚。
とりあえず当面、役に立つような能力は無い。
しょせんは金貨1枚。

レジェンドという世界、クラースの地にて冒険者として旅する三人。伝説の“生命の剣”ブラッドソード探索の旅を続け、その柄と鞘を手に入れた彼らは、最後の部品である刀身を探す。刀身を求めてたどり着いたのは、十字軍が拠点とする都・クレサンチウムだった……。

クレサンチウムでブラッドソードの在処を知る人物・ササリアン王子に出会う三人。剣の有る場所へ行くには海賊王ハンガックからエメラルドを2個、奪わねばならないという。海岸にいた漁師から小舟を買って、三人は海に乗り出した……。

ミヤ「〽海は広いな大きいぞ、水平線の向こうには虹の橋があるんだろーっと」

ディアブロ「混ぜて歌えばひっかからないかねぇ」

テツヤ「歌っててもかまわんがサボるんじゃねぇぞ」

海の上で何が忙しいのかというと……。

【項目341】
「小舟のあやつり方なんぞ、簡単なもんだ」というのが、漁師ウーラックの別れのあいさつだった。
四苦八苦の末、帆を上げて、湾にこぎ出したとき、あいつのいうことなぞあやしいものだと思い始める。
やつがあえて値上げ交渉をしなかった理由もわかった。
しょっちゅう水をかい出していなくては、船は沈んでしまうのだ。
目的地に着くまで、いい天気が続き、海が荒れないことを祈るしかない。

ディアブロ「まぁ本当に荒れないなら、わざわざ項目割かないだろうけどねぇ」

テツヤ「祈るだけならタダだろ」

しかしここでも、こちらの祈りはまたもや裏切られることになった……

テツヤ「こうなる事がわかっていてもな!」

資本主義社会にある以上、タダに過剰な期待は無駄というのものだ。

【項目423】
ササリアンの天体図で確かめながら南へ向かううち、航海にも慣れてきた。
リラックスして、午後の太陽を浴び、さわやかな塩風を思いきり吸い込む余裕も出てきた。
水をかい出す仕事さえ苦にならなくなる。

ミヤ「フンフフーン。いやー、お日様ぽかぽかでいい気持ちだよ」

テツヤ「やけに不吉なことが書いてあったわりに順調だな」

むろん、そんな事が長続きするわけもない。

日暮れ近くに、岸へ戻る漁船の一団とすれちがう。
漁船は、夕日で真っ赤な西の水平線の上に、黒いインクのしみが垂れるように現われた。
漁師のあいさつのことばにこちらが答えると、彼らは大声で何かを叫んでこぎ去った。
空は暗くなり、星が一つ、また一つと出てきた。
冷たい風が船首に吹き付け、頭上ではカモメが甲高い鳴き声をあげながら旋回している。
生暖かい海中に泳がせていた手に、何かが触れた。
ハッとして、あたりを見まわす。海は無数の死んだ魚の死骸で埋まっていた。

水面が盛り上がり、泡立ってきた……。

ディアブロ「ここらで夜釣りは厳禁みたいだぜぇ」

ミヤ「中国なら魚が浮かんでたらみんなが殺到するのにね」

テツヤ「そりゃ今からでてくる化け物も大喜びだろうな」

こんなのがうようよしていれば、ファンタジー世界では海水浴の光景がめったに見られないのも仕方がないことだ。
年中半裸の人間が多い事と何か関係あるかもしれない。無いかもしれない。

【項目497】
何かが大きく水面にせり上がると、船はその渦に引きずられ、翻弄された。
最初は盛り上がった水面が大きすぎて全体を見ることができず、それが何なのかわからなかった。
やがてそれが巨大な魚のヒレだと悟る。
見れば、水中深くから、巨大な魚がいままさに海面に現われ出ようとしている。
うろこ一枚が盾十数枚ほどの大きさで、そいつがほら穴のような口を開けると、大きな渦が巻き起こる。
ちっぽけな船はあっという間に渦に巻き込まれた

テツヤ「次のダンジョンは魚の胃袋だな!」

そういう展開のゲームも時折あるが、このゲームでは呑み込まれるとただ死ぬだけだ。だが『紫の玉座の塔』という宿に泊まって老水夫の話を聞いていたので、助かるチャンスは与えられる。

【項目77】
水夫はこの海の化け物のことを話していた。
彼はこいつをデンダンと呼んでいた。
化け物を魔法のことばで静めた魔法使いの話を思い出せ。

ミヤ「ハイ、ユー、ヤン! だね」

テツヤ「よーし、つまらんボケをかまさずよく一発で言えた」

それを唱えると……。

【項目551】
巨大な海の化け物、デンダンはあばれるのをやめ、波の下へゆっくりと沈んでいった。
危険は去った。
極度の神経の疲労から、小舟の底にひっくり返り、そのまま眠りこんでしまう。
船は穏やかな海流にのって漂流しはじめた。
次の朝目覚めると、水はくるぶしのところまできていた。
水をかい出してから調べると、船はコースをそれほどはずれていなかった。
風も潮流も、こちらに味方してくれたのだ。

ミヤ「ついてるね! あのお魚もそうそう出会うもんじゃないみたい」

テツヤ「さすがに毎晩出るんなら、もっと真剣に対策してんだろ」

ディアブロ「クジラ漁ならぬデンダン漁がおこなわれて地元のメシの種になるわけだぜぇ」

おおよそ人間が己の糧にしない物は無い。ときおりやめとけと言いたくなる物もままあるが。

二日後、ハンガックの船が現れる地点近くの海上に、草木の生えていない島を発見する。

傷ついていたキャラクターは、この航海のあいだに身体を休めることができたので、4点の生命力を回復する。さらに、食べ物を持っていれば、それを食べて2点の生命力が追加される。

ミヤ「なくならないパンを持っててよかったね!」

テツヤ「逆に食料を持っていないと、二日は飲まず食わずで我慢するのか……?

回復しない程度に魚でもとって食べているんだろうとは思うが……ゲームの世界のメシにあまり深く考えても仕方がない。

島に上陸して、デビルス・ランナー号が現れるのを待つことにする。

【項目488】
太陽が沈むと、島は霧に包まれた。
どんよりとしめった空気に息が詰まりそうになりながら、ハンガックの船が見えないかと必死に目をこらす。
ササリアンの天体観測図が正しければ、船はすぐそばまで来ているはずだ。
ゴウゴウという振動が足元の岩に伝わってきた。
人間の耳では聞き分けられない低い音だが、あれは海賊王の船の到来を告げる先触れだ。
ついに、霧を背景に、城のように巨大なデビルス・ランナー号がぼうっと浮き出てきた。
そしてゆっくりと目の前を横切っていく。

ディアブロ「意外と早く出てきやがったぜぇ」

テツヤ「あれがそうか……霧の中から沸いてきたみてぇだな」

ミヤ「よし、さっそく出発だよ! さあ、やるぞー!」

みなで小舟に乗り込み、海賊船を目指す。自分たちの小舟と海賊船のザイズ差が、そのまま存在の差であるかのようだ……。

【項目210】
ほとんどこぐ必要はなかった。
小舟はまもなく船首方向からの波に乗り、見えない手に引き寄せられるように、船に近づいていった。
水の中をのぞきこむと、人間の顔をした紫色のウナギが海中深く泳いでいくのが、ちらりと見えた。
おそらく船の引き波につかまって、どこかこの世でない国から、デビルス・ランナー号に引きずられ、ここまでやってきたのだろう。
その化け物はみじめな恐怖の表情で、こちらをじっと見つめ返し、やがて視界の外へひきずりこまれていった。

テツヤ「つまりこの船はずっと海の上を走っているんじゃなくて、異次元を渡り歩いているわけだな」

ディアブロ「なるほど。そりゃ伝説にもなるわけだぜぇ。滅多に会えるもんじゃないからねぇ」

ミヤ「それじゃ珍しい物があるかもしれないね! うん、わくわくしてきたぞ!」

ディアブロ「まぁその珍しい物を今とりに来たわけだぜぇ」

小舟の船首がデビルス・ランナー号の脇腹にぶつかった。
係留用の鎖の端に小舟を縛り付け、甲版にのぼっていくことにする。

そして甲板にたどり着くと……

【項目374】
 どこまでも途切れることのない霧に包まれて、デビルス・ランナー号は世界と世界のはざまにぶら下がっているようだった。
方向も時も失ったようだ。茫然として手すりから下を見下ろす。
もはや海面も見えない。
船に打ちつける波の音すら聞こえない。遠くからうめき声が途切れ途切れに聞こえてくる。
まるで海で死んだ水夫たちの泣き声のようだ……。

テツヤ「不気味ではあるが、いきなり襲われたりはしないわけだな」

ミヤ「門番がいて名乗りをあげてかかってくるような展開かと思ったよ」

ディアブロ「どっちかというと、この世界なら腐った不死系モンスターがうらーうらーと呻きながら大挙して来る方がありそうだぜぇ」

だが、そんな考えを払いのけるように、甲板の調査にとりかかる。
船は十字軍最大の軍艦よりも大きく、千人は収容できそうだ。船幅は9メートルほどで、高さは海面から約十二メートルあった。
銅でおおわれた太いマストが数本あるが、帆はクモの巣だらけで使われていないようだった。

ミヤ「見えない海面から目測して、高さは十二メートルほどだよ」

テツヤ「いらん揚げ足はとらんでいい」

ディアブロ「あっちに階段があるぜぇ」

悪魔の彫刻で飾られた階段を見つけて、降りていこうとすると、舵輪のそばをうろついている人影が目にはいった。
うす気味悪い霧に包まれて、長いマントの男は黒コウモリのように見えた

ミヤ「この人が門番で、ハンガック最強部隊12人衆の一番手なんだよ。それを一対一で次々と倒していくと、最後にハンガックが出てくるの。美形の人は後で仲間になってくれるけど、巨漢の人は後で次の敵の最強部隊にイッパツで倒される仕事が待っているんだよ。あと生き別れの兄弟とか師匠の仇とかが混じっているから見落とさないように注意しようね

ディアブロ「でもこの人、襲いかかってこないぜぇ」

ミヤ「あれ?」

テツヤ「……とりあえず話しかけてみるか」

【項目296】
男に近づいていく。しかし近づきすぎないように気をつける。
男の頬はカサカサで青ざめ、はりついたような笑いを浮かべている。

「おれを知っているか?」

灰色の嵐を思わせるような声だ。
男の吐く悪臭で、胸が悪くなる。

テツヤ「海賊王ハンガックだろう……」

男は笑った。

「ハンガックだと? ちがう! おれはシャンビアといって、ハンガックの忠実な舵取りだ。この舵輪を見たか? この年老いた手は、七年ものあいだ舵輪から離れたことがないのだ。『ハンガックに仕えて寿命を延ばした男』、それがこのシャンビアだ」

男が弱々しく笑うと、長いマントの下で、やせた骨がぴくぴくと動いた。

テツヤ「違ったか。ま、そう簡単に出くわすもんでもないだろうからな」

スクリーボ(事実、簡単にはハンガッックに出会えない。だが出会うと確実に戦いになるし、まず勝てないオーバーキルな戦闘力の持ち主だゾ)

こちらが質問を始めても、男は固く口を閉ざしたまま、一心に霧を見つめていた。
男が叫んだ。

「我々の周りは恐ろしいものだらけだ! 邪悪な者に平和はない。そうだろう? さあ、質問するがいい。だが手早くな。おれが仕事から気をそらすと、悪魔の猟犬がおれたちの骨をしゃぶりにくるぞ!」

質問は一つに限られる。

テツヤ「質問してから『さあ、質問するがいい』もないもんだ」

ディアブロ「まぁ言いたい事を言ってからしか答える気がないんだろうぜぇ。で、何を聞く?」

ミヤ「そうだね……この船はどこに向かっているの?

【項目79】
シャンビアがうなった。

「なんだと! おれの知ったことか? 水先案内人はいなくなり、今や目の見えない運命の女神が、船の進路を決めているんだ。ただし、これだけは教えてやろう。この船がこの世の海を航海しているのは、あと五分だけだ。それまでに仕事を終えて、去るがいい。さもなければ、デビルス・ランナー号の乗組員として、永遠につづく航海に同行させられるはめになるぞ……」

声もなく笑うシャンビアを見て、急いで甲板に下に降りていく。

ミヤ「時間がきれると海賊に強制転職なんだね!」

テツヤ「つーかあのおっさん、舵輪を握っているだけで進路は関与してねぇのか……?」

【項目59】

さて、ここから船の探索が始まるわけだが……魔術師がいればそれを有利に進める事ができる。

ディアブロ「出番が来たぜぇ」

さっと呪文を唱え始めるディアブロ。何をするのかといえば……

【項目14】
Photo(魔術師)

シャンビアは時間に限りがあると忠告している。
そこで予言の呪文を唱えて、近い未来をちらりとのぞこうと考えた。
そうすれば危険を避けながら、時間を有効に使って、船内の探索ができるだろう。

 紙になにかの印を一つ記し、その脇に422と記す。
この先、次のセクションに進むごとに、印をつけろと指示される。
この印が、船内の探索に要した時間を示すことになるのだ。
印が10個になったら、ただちに422に進まなければならない。

ディアブロ「時間制限もあるし、これでちょっとは進めやすくなるぜぇ」

なお、魔術師が行動を起こさない場合、印8個で時間切れとなる。2項目ほど余裕ができているわけだ。

テツヤ「海賊に転職する気もねぇし、ゆとりがあるのは良い事だ」

ミヤ「よーし、それじゃあ海賊船の探索を始めるよ!」

この中に何がいるのか、何があるのか……それは次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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2011年5月 1日 (日)

ブラッドソードリプレイ3-8 海原へ

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:5 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:7 機敏度:8 生命力:31
装備:ブラッド・ソードの鞘 ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(6本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金37) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 膏薬の瓶(残り5回)

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:5 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:26
装備:ブラッド・ソードの柄 ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(6本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金貨袋(所持金100) 金の巻物 金の鏡 黒い絹のクッション

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:5 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+2 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:26
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 金貨袋(所持金100) 琥珀の火口箱 魔法のパン ファティマの銀の鍵 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 水晶の瓶

Photo スクリーボ

旅の途中で買われたカラス。
お値段は金貨1枚。
とりあえず当面、役に立つような能力は無い。
しょせんは金貨1枚。

レジェンドという世界、クラースの地にて冒険者として旅する三人。伝説の“生命の剣”ブラッドソード探索の旅を続け、その柄と鞘を手に入れた彼らは、最後の部品である刀身を探す。刀身を求めてたどり着いたのは、十字軍が拠点とする都・クレサンチウムだった……。

 クレサンチウムでブラッドソードの在処を知る人物・ササリアン王子に出会う三人。剣の有る場所へ行くには海賊王ハンガックからエメラルドを2個、奪わねばならないという。どうやって沖合へ行くのか、三人はその手段を求めて彷徨う……。

テツヤ「そして出会った酔っ払いと路上でカップ酒ひっかけてるという状況だったなオイ」

ディアブロ「おやま、ちと不満そうだねぇ」

テツヤ「あんま意味なさそうだからよ!」

ミヤ「まぁまぁ、現地の人と相談すればいい方法がわかるかもしれないじゃない?」

 実際にわかるから困る。

【項目458】
座りこんで、ひょうたんを傾ける。
酒は冷たくて、生き返るようだ。日に焼けた眉をこすりながら男が訊いた。

「どこから来たかね?」

ディアブロ「クレサンチウムからだぜぇ」

「それで、どこまで?」

ひょうたんを返す前に、もう一口飲む

テツヤ「飲んでばっかいねぇで話きけや」

ディアブロ「じゃあこの酔っ払いに相談するって事で。よろしく」

テツヤ「話は俺がするのかよ」

【項目76】
テツヤ「ある船と落ち合うために、この湾の陸から百キロの所まで、ぜひ行きたいんだ。落ち合うのは二日後という事になっている」

冒険の目的は気取られないように、言葉を選んだ。
この男が何者かは知らないが、用心にこした事はない。男がいった。

「俺に話して良かったぞ。さもなきゃ、その冒険は失敗に終わってたろうからな。いいかい、この季節、この湾内には、デンダンと呼ばれる巨大な化け物魚がうようよしているんだ。漁師たちはやつらの起こす高波を恐れて、金輪際、岸を離れようとはしない。そんな危ない冒険に小舟を貸してくれるような奴は一人もいないさ」

テツヤ「デンダンて宿屋のほらふき爺さんが言ってた超巨大魚だろ。そんなのがうようよっていうほどたくさんいるのかよ。生態系どうなってんだ」

ディアブロ「そいつらの餌を賄えるほど魚が多いんだろうぜぇ。だから死ぬほど危険な海なのに漁師をやる奴が絶えないという」

ミヤ「ていうか伝説の怪物かと思ったら、案外そこらへんにいっぱいいる魚なんだね」

ディアブロ「RPGじゃよくある事だぜぇ」

神様が群れででてきてマシンガンで蹴散らされる事もあるし。メガテンの主人公がRPG最強主人公だという説が、昔仲間内で一瞬だけ出た事がある。

テツヤ「普通にいっぱいいいる伝説の大怪魚をどっやって避けるのか知りてぇもんだな」

【項目113】
男は墓泥棒のガロールと名乗り、墓場から出て、険しい丘の道を指差した。

「最近の事だが、俺はある日の午後ここに座って、夕食にカモメの卵をとってこようと思いついた。もちろん、墓場には誰も見当たらなかった。それで俺は、あの丘にカモメが巣を作ってるんじゃないかと、この道を登っていった。ところが、恐ろしい大物を見つけちまったんだ。偶然見つけたほら穴の中に、伝説に出てくる大怪鳥の巣があったのさ。伝説を知っているかね? それなら俺がいうまでもないが、大怪鳥というのは、水夫シンバーが航海の途中に出会った巨大な鳥なんだ。シンバーがこの鳥をどう使って、魔法使いシャジレーの難攻不落の砦に入り込んだか、もうおわかりだろう。彼はこの鳥が寝ているあいだに、巨大な足に自分の身体を結びつけたのさ。そこで鳥が空に飛びあがると、彼も一緒に飛んでいけたってわけだ」

テツヤ「墓泥棒を堂々と名乗る奴がいるのもアレだが、伝説の鳥が何気なく暮らしているのも相当突っ込みまちだな。クレサンチウムの人間は平気で生活できてんのか」

ディアブロ「何事も慣れだぜぇ。最初に街つくった連中は頭がおかしいと思うがね」

なお、僧侶はこの話についての知識を持っている。

【項目9】
3_3(僧侶)

ガロールの語った伝説は、古文書で読んだことがある。
その古文書には、シンバーが目的地に着いた時、大怪鳥をそこへ着地させた秘密の合言葉も書かれていた。
その合言葉は『タウイ』だ。

ミヤ「それを唱えれば、好きな時に降りることができるよ」

テツヤ「そりゃ凄え。で、好きな方向に飛ばす合言葉は?」

ミヤ「無いよ」

テツヤ「……目的に行けるかどうか、帰ってこれるかどうかは『運』か?」

ミヤ「うん」

 しばし無言で見つめあい、やがて溜息をついて、三人はガロールと別れる事にした。

【項目314】
村に向かって歩いていく。
最初の家を通り過ぎようとした時、やせこけた数十人のターシムの子供たちに取り囲まれた。
子供たちは袖にすがって、金をくれと叫んだ。

ディアブロ「物心ついたら物乞いのバイトとは。世の中不景気だぜぇ」

テツヤ「しゃあねぇ、小銭やって追い払うか」

ミヤ「はいはーい、ではあたしが」

【項目124】
一番近くにいた子供が金貨を受け取った。
騒ぐのをぴたりとやめ、子供たちは信じられないという顔つきで、キラキラ輝く金貨をじっと見つめた。

ミヤ「さ、とっときなよ」

数秒間、沈黙が流れた。
やがて子供たちはワーッという歓声をあげて道を下っていった。
その後には、もうもうと土煙が立った。
金貨を手にした子供は、それを空中に放り投げた。
金貨が陽の光を受けて輝くと、その少年はにっこり笑った。

「神は親切な人をご覧になっていて、必ずご褒美をくださいますよ」

ふり向くと、かぶのような顔つきのターシム人の老婆がすぐそばに立っていた。
老婆が言った。

「私の家におはいりになりませんか?」

ディアブロ「金を持っている相手を家に誘う。この後強盗が出てきたら完璧だぜぇ」

テツヤ「あるいは物か情報をくれるかだな。まぁ物乞いに金をやると礼を言われるだけで終わりってゲームは意外と少なそうではあるぜ」

何も起こらないイベントって作る意味ねーし。

ミヤ「それじゃ行ってみよう! お邪魔しまーす」

【項目93】
老婆は、網をつくろっている若者を呼んだ。
若者がとんできた老婆が言った。

「私の孫のリダックです。リダック、コーヒーを用意してくれないかね?」

老婆が頼むと、若者はうなづいて走っていった。

「若い者は元気がよくて」

老婆が笑いながら言った。
小屋へ入っていくと、孫のリダックは、ターシム人がよく飲む苦いコーヒーの入った大きなコップを差し出した。
小屋の中を見回して、ある物に目を奪われた。
部屋の中央に黒檀と象牙で作られた等身大の馬が立っている。

テツヤ「なんか聞いた覚えがあるな……?」

ディアブロ「安宿にいたほら吹き水夫の話に出てきたぜぇ」

【項目469】
テツヤ「この奇妙な物はなんですか?」

老婆に尋ねる。

「信じられないような話なのですが、全部お話いたしましょう。
何年も昔、あなたがたがこの国を征服される以前に、東方のミンジから、一人の男が王様の娘と結婚するためにやってきました。男は黒檀を彫って作った空飛ぶ馬に乗って到着しました。それを見た人々はびっくり仰天。
男は王様に、お香と絹をおみやげとして差し出しました。ところが王様は、空飛ぶ馬に目をとめられ、自分のものにしたいと考えました。王様は約束を破って婚約を取り消し、ミンジの男を捕らえました。王様の勝手な仕打ちにあっけにとられた人々に向かって、王様はミンジの男の醜い風貌を盾にいいわけをしました。王様は嘆いてみせました。

『わしの娘を、あんな見るもおぞましい異教徒に嫁にやらなければいかんというのか?』

哀れな男が引っ立てられた後、王様は馬の背に乗って、手綱を強く引きました。すると馬は突然空へ舞い上がり、弓を離れた矢のように雲のあいだを駆けまわりました。最初怖がっていた王様は、そのうちに新しいおもちゃに夢中になりました。しかし、手綱をどう引っ張っても馬が降りようとしないので、また恐ろしくなりました……」

ミヤ「あれ? 水夫さんの話となんか違うよ?」

テツヤ「あの爺さんが嘘ついてたんだろ」

スクリーボ(とはいえこの婆さんの話も、通る項目によって変わるんだがナ)

 とりあえず不細工が結婚に夢を見るとロクな目に合わないという事らしい。

老婆はコーヒーを飲み、もたれかかっているクッションを整えはじめた。
まだまだ話は続きそうだ。
慌てて老婆を押しとどめた。

テツヤ「お話は実に面白いんだが。しかし今は全部聞いている暇がなくてね。結局は地上に戻って、今はあんたの小屋にあるってわけだ。それで、これはまだ飛ぶのかい?」

「いいえ、とんでもない! そんな事をしたら、イスハン王のかめから真珠を盗んだ奴隷みたいになってしまいますよ。たまたま、これも空飛ぶ馬の話の一部でしてね。いい教訓が出てきます。お聞きになりますか?」

テツヤ「さぞ面白い事だろうな。だがあいにく、こちらは急いでいるもんでよ……楽しい話をありがとさん。リダック、コーヒーをごちそうさま。お二人に神の加護がありますよう」

ミヤ「え? もう行っちゃうの? 最後まで聞こうよ」

ディアブロ「今は期限つきの行動中だからねぇ」

小屋を退散して、また海沿いの道を歩きはじめる。

【項目82】
海を見ながら歩き続ける。
二日後、百キロ南の海上に、ハンガックの船が現れるはずだ。
しかしこちらは、時間までにそこにたどりつけるだろうか……?

テツヤ「どうすっかね。空飛ぶ絨毯でも落ちてねぇか?」

ミヤ「向こうに地元の人ならいるよ」

ここらの人間はちょっとクセの強い住民が多いが、他にあてもないので行ってみる事にする。

【項目577】
やる気の無さそうな漁師に出会った。
網はあちこち敗れ、船も修理が必要と見えるのに、漁師は船にもたれて、小さな人形を彫っている。
こちらが近づいていくと、漁師はじろりとにらんだ。
彼が言った。

「俺はウーラックといって、網作りのアブダラの息子だ。座ったままでお役に立てるんなら、喜んで力になるぜ」

テツヤ「この船をいくらでゆずってくれる?」

漁師に尋ねると、奴の目にずるそうな光が浮かんだ。

「この船は古い。金貨五枚にまけとこう。払いは金貨でなくてもいいぜ。だが、俺の女房に会っても、これを買ったとは言わないでくれ。船は沈んじまって、俺は命からがら逃げ出したと女房には話すつもりだからな」

テツヤ「わかったよ」

ここへ来た以上、この船を買わない事には先へ進めない。なお、アイテムを1個くれてやればそれが代金となる。

ディアブロ「じゃあ俺の剣でもやるか。どうせ使わないし、3巻始まる前にタダで手に入れたもんだし、荷物が増えたら捨てるだけだからねぇ」

この他、あと1回ぶんしか残っていない回復薬や矢のカラになった矢筒などがあればそれも代金としてお勧めだ。

テツヤ「しかしロクデナシの多い街だな、ここは……」

なお、盗賊はここでさらに行動を起こす事ができる。

【項目385】
Photo(盗賊)

ふと思いついて、漁師ウーラックが彫っている木の人形を金貨一枚で売ってくれと頼む。

「いいとも! なんなら、もっと彫ってやってもいいんだぜ……」

彼は答えて、金貨を受け取った。
人形を手の中で転がしながら、なぜこんなものを買う気になったのかと首を傾げた。

テツヤ「いや、一つで十分だ」

まぁこのゲームの盗賊のカンは魔術師の予言程度には信用がおけるので問題は無い。

テツヤ「そう書くと魔術師がヘボく見えるな」

ディアブロ「予言の魔法はもっとも無難な選択肢の一つなんだがねぇ」

とりあえず船を入手したので、これで海へ漕ぎ出す事ができる。

ミヤ「よーし、さっそく出発! 目指すは南へ百キロよーそろー!」

ディアブロ「ボロい小舟で向かうには、普通に考えて自殺行為だぜぇ」

テツヤ「そのまま『難破したので死んだ』とゲームオーバーになりそうな選択肢だな」

無論そんな事は無いので、三人は海へ漕ぎ出す。確か大怪魚がうようよいた筈だが……どうなるかは次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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