ゲームブックリプレイ・ブラッドソード

2009年11月21日 (土)

ブラッドソードリプレイ1-17 勝利の紋章

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:3 戦闘力:7+1 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:6 機敏度:8 生命力:19
装備:剣 革の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒 ロジ・スカイランナーの剣 オパールのメダル 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り ブロンズのハンマー

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:8 機敏度:7 生命力:16
装備:六尺棒 鎧(鎧強度:3) 金貨袋(所持金13) 弓 矢筒 オパールのメダル 八角形のプリズム 八角形のプリズム カリウムの破片 回復薬

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:3 戦闘力:6 打撃力:サイコロ1個 精神力:8 機敏度:6 生命力:16
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金13) 炎の護符

クラースのダンジョンレースへ参加した三人。街の領主マグス・カルーゲンの雇われ戦士として地下迷宮へ挑む。数々の強敵を退けてゴール目前に達した三人だが、古代の魔術師の亡霊により、その復讐に協力させられてしまう。操られるがままに霜巨人スクリミール蘇生の手伝いをした三人だが……

風化しかけた骨を集めると、いかな魔力によるものか、巨人スクリミールは復活を始めた。黙って見ていれば程なく完全に蘇ってしまうだろう。

ミヤ「うわー、どうしよう? こいつが復活しちゃったら、絶対にマグスさん達に大迷惑かけるよね?」

テツヤ「確かにな。なにかできる事は無いもんか……」

ディアブロ「ここでアイテムを使う事ならできるぜぇ?

テツヤ「よしそれだ! とりあえず背嚢から何か出せ!」

【項目302】
巨人の肉や筋骨が再生する前に、何を添える気だ!

テツヤ「この項目で使える物は何だ!?」

ディアブロ「まずは氷の宝石……」

テツヤ「もう使った! 無え!」

ディアブロ「じゃあ鉄の籠手……」

テツヤ「拾ってこなかった! 無え!」

ディアブロ「なら後一つ。カリウムの破片だな」

ミヤ「それなら持ってる! よし、これを突っ込むよ。えいや!」

【項目441】
小箱からカリウムの破片を取り出して、化石の心臓の奥に差し入れる。
やがて心臓が脈を打ち始め、ピンク色の鮮血が心臓に流れ込んだ。
部厚い筋肉や軟骨や皮膚がすでに骨を覆っている。
スクリミールは死の縁から蘇ったのだ。

ミヤ「あれ? 効かなかったのかな?」

テツヤ「水に濡れると爆発するって話だったが、血液じゃ成分が違うから駄目だったんじゃねぇのか?」

ディアブロ「だとすると厄介な話だぜぇ。ま、こいつさんが友好的である事に期待するかい?」

彼は切り立つ氷壁のように、こちらの前にそびえたった。
顎鬚にはつららが輝き、両眼の奥底には冷たい憎しみの炎が燃えている。

「スクリミールがこの世に再び蘇ったぞ!」
彼は怒鳴った。
岩の壁を揺るがすような声だ。

「この声をよく聞け。クラースの王座の上で縮こまっているマグスども、用心するがいい。明日の日の出を拝む事はできないぞ。その血で空を真っ赤に染めてやるからな!」
その時、彼はこちらに気づいた。
暗いまなざしは、まるで冬を告げる初霜のようだ。
彼は呟いた。

「スクリミールは人間の手によって墓場から呼び戻された。こんな事があっていいのか? 誇り高いヨタンハイムの巨人の俺が、こんな屈辱を耐え忍ばなければならんのか? いや、断じて許せん。この蘇った手で、お前達を最初に血祭りにあげてやろう……」
彼はこちらに向かって手をのばしてきた。

ミヤ「えええ! 何それ! 報酬は思いのままだったんじゃないの! このウソツキ!」

ディアブロ「ご本人の思いのまま、という意味だったのかもな」

テツヤ「単なる詐欺だろそりゃ! チッ、しょうがねぇからエキドナやイコンの時みたいな戦法でなんとかするぜ!」

ディアブロ「できるかねぇ……」

なにせスクリミールは機敏度・戦闘力・打撃力、全てが物凄く高いのだ。そしてこのゲームの『防御』は敵より機敏度が高くないと無駄なので、魔術師が充分に距離を離す前に味方が殺されかねない。ブラッドソードはグズやウスノロにとって非常に住み難い世界なのである。

テツヤ「じゃあどうすんだよ!」

ミヤ「あ、叔父ちゃん! あれ見て!」

そのとき突然、彼は胸をかきむしり、身をよじって苦痛の悲鳴をあげた。
「俺の心臓! 俺の心臓が燃えている! お、お前らのしわざか……」
彼は倒れた。
物凄い勢いで地面に激突したために、そばにいた者は吹っ飛んだ。
舞い上がる土ぼこりの向こうで、カリウムに心臓を焼き尽くされたスクリミールの身体が痙攣をおこしている。
氷の巨人は熱と炎の力の前に屈したのだ。
炎はみるみるその巨大な身体を包みこみ、ほどなく全てを焼き尽くした。
後には骨の欠片すら残らなかった。

ミヤ「やっぱり効いてたんだ! 効果が出るのがちょっと遅れてただけだったんだね!」

テツヤ「チッ、驚かせやがる。しかし流石に心臓を直接攻められりゃ、古代の巨人といえども呆気ないもんだな」

ディアブロ「ははっ、心臓を焼かれても平気な顔で襲ってくるような奴と戦わされちゃかなわんぜぇ」

ミヤ「結果的には大勝利! さ、勝利の紋章をとるよ!」

【項目432】
クラースのかつての偉大なマグス達を悩ませた氷の巨人スクリミールを葬る事ができた。
この偉大な勝利に対しては、
200点の経験点が与えられる(生き残っているキャラクターの間で平等に分配せよ)。

ミヤ「あたしが取っていいよね!」

テツヤ「ああ、無論だ」

丘の頂上に登って、勝利の紋章を手に取った瞬間、光の柱の中に閉じ込められた。
転送の魔法だ!
気がつくと、クラースの大会堂の中にいた。
そこには、勝利を誉め称えるためにマグス達が集まっていた。

ミヤ「おお! いきなり祝勝会場だよ!」

テツヤ「もう集まってるって事は、案の定、終始観戦していたらしいな」

ディアブロ「ま、生還者のいない年も多いらしいからな。むしろ命を賭けたレースを観戦するのがメインなのかもしれないぜぇ」

まず、マグス・トールが近づいてきた。
「マグスの代表として告げる。年一回のこの試合に勝つ以上の事をやってのけてくれたな。我々の先祖の時代からの恐るべき敵スクリミールを倒したのだ。だから、惜しみなく最高の報酬を与えよう……」
彼が手を打つと、賞品を山積みにした翡翠の盆をささげた奴隷達が進み出てきた。

ここでは各キャラクターに応じたアイテムが貰える。

ディアブロ「例えば、魔術師の俺なら魔法の指輪だ。こいつは精神力を1上げてくれる。今後は魔法の成功率が上がるってわけだぜぇ」

テツヤ「俺なら魔法の弓か。戦闘力+1で命中判定、打撃力はサイコロ1個+1で普通の弓より1高いってわけだが……」

しばらく考え、テツヤは弓をミヤに渡す。

テツヤ「大概バトルオーダー1番にいる俺が持っていてもあまり使わねぇのが見えてるな。お前が使えよ」

ミヤ「いいの? じゃああたしが貰う盾の御守り(鎧強度が1上がる)は、代わりに叔父ちゃんが……」

テツヤ「それもお前が持ってろ。僧侶は生命力回復術のために、自身の生命力を残しておく必要があるからな」

ミヤ「あたしばっか二つになっちゃうよ?」

テツヤ「俺がいいんだからいいんだよ、それでな」

ミヤ「ありがとう! さっすが叔父ちゃん、かっこいい!」

テツヤ「へっ、今さら気づくとは目がでかいわりによく見えてやがらねぇ」

ディアブロ「オモチャを姪に買ってやって自分の方が喜ぶ叔父の図、かね……」

【項目540】
勝利はこちらの物だ。
ダンジョンから戻ったこれまでに数えるほどしかいない生存者の一員になれたのだ。
マグスの試合は命を賭した危険な試合だから、生存者が一人もない年もしばしばだった。
生きて戻ったキャラクター全員に対して1000点の経験点が与えられる。
これを平等に分けるがいい。

テツヤ「さっきのと合わせて一人399点て事か」

ミヤ「合計して1200点、3人割で400点にならないかなあ? 1点お得だよ?

ディアブロ「でも、どうせ今後で半端な数は出るぜぇ」

というわけで399点獲得、皆の経験点が899点になる。晴れてランク4に到達である。

マグス達の礼儀正しい拍手に祝福されるのもなかなかの気分だったが、大会堂の外で嵐のような群衆の歓呼に迎えられるのは、また格別だった。
今日は、彼らが暴君以外の者を誉め称える事のできる、年に一度の日なのだ。

ミヤ「やっほー! 皆さん、お誉めにあずかり光栄でーす!」

テツヤ「アイドル気分か。しょうがねぇな」

ディアブロ「お、向こうからカルーゲンのおっさんも来るぜぇ」

雇い主は得意満面だった。
この勝利によって、彼は他のマグスの広大な領地を獲得できたのだ。

ミヤ「なんだかんだ言って、カルーゲンのおっちゃんも嬉しそうじゃない」

テツヤ「もともと博打好きだからな。勝負事に勝てて悪い気はしねえんだろ」

ディアブロ「ま、いずれどこかで勝手に身を持ち崩しそうな御仁ではあるな」

祝福の挨拶ぜめの合間をぬって、彼はこちらのそばにやってきて言った。
「クラースを離れる時だぞ。一度ダンジョンに入った者は、以後数年間、試合に参加する資格がない。だが、そんな事はどうという事もあるまい。苦労の末に偉大な勝利を勝ち取ったのだからな。だがそち達を恨んでいる者が一人いる。これは水晶玉を覗かなくても断言できる。奴とは再び会う事になるだろう。くれぐれも油断をするな」
歓呼の声をあげる群衆を見まわすうちに、憎しみの目でこちらを睨んでいる黒装束の男が、ちらりと視界に入ったような気がした。
しかしそちらへ目を戻した時、男はすでに姿を消していた。

テツヤ「イコンの野郎か。ま、来るならいつでも来やがればいいぜ」

ミヤ「ふっ。勝者の陰には、常に敗者がいるのだ。おみそ汁で顔を洗って出直すがいいだろう」

 マイナーな本一冊出すだけでも何人もと競わなけりゃならんかったようだしな(正直、競争した意識あんま無いけど)。世の中は本当に面倒だ。

ディアブロ「気楽に寝て食ってだけで生きていけりゃあいいんだがねぇ

ミヤ「そんなんじゃつまらないじゃない。冒険の旅はまだまだ続くんだよ。さあ、今日はお腹いっぱいに食べて寝て、明日からはまた元気に出発進行だ!」

テツヤ「やれやれ。ま、元気があるって事は、無いよりも常に良い事だろうがよ」

肩を竦めて呟くテツヤ。こうして一つの冒険は幕を閉じる……今しばし。次の幕が開く時、三人の前には寒風吹きすさぶ荒野が待つだろう。

次巻「魔術王を倒せ!」 近日開始予定

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2009年11月17日 (火)

ブラッドソードリプレイ1-16 古代の亡霊

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:3 戦闘力:7+1 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:6 機敏度:8 生命力:19
装備:剣 革の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒 ロジ・スカイランナーの剣 オパールのメダル 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り ブロンズのハンマー

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:8 機敏度:7 生命力:16
装備:六尺棒 鎧(鎧強度:3) 金貨袋(所持金13) 弓 矢筒 オパールのメダル 八角形のプリズム 八角形のプリズム カリウムの破片 回復薬

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:3 戦闘力:6 打撃力:サイコロ1個 精神力:8 機敏度:6 生命力:16
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金13) 炎の護符 

クラースのダンジョンレースへ参加した三人。街の領主マグス・カルーゲンの雇われ戦士として地下迷宮へ挑む。神殿の魔女エキドナ、火口の死闘、そして最後のライバル・イコンにも勝利。栄冠は目前かに見えた……

神をも恐れぬイコンを倒し、三人は浮かれ歩調で丘へと向かう。だがその足が不意に止まった。

ミヤ「うわ……何あれ?」

【項目68】
やがて驚くべき光景が眼前に現れた。
大きな玄武岩の島が、なんの支えもなしに、地上から五十メートルほどの空中に浮いているのだ。

島の真下の地面には、ブロンズの銅鑼が置かれていた。

テツヤ「青銅の銅鑼、か。そういえばイコンの奴がブロンズのハンマーを落としていったっけか」

ミヤ「よし、使ってみよう!」

【項目508】
ハンマーで銅鑼を打ってみる。
ゴーンという音が鳴り響いたかと思うと、いつのまにか転送の魔法によって、玄武岩の島の上に移動させられていた。

ミヤ「こう都合よく転送されたという事は、やっぱハンマーはここに来るためのアイテムで、イコンさんは迷宮のどこかでそれを拾ったんだね」

テツヤ「で、ここは何なのかって事になるが……」

ディアブロ「あれを置くための場所だろうぜぇ」

ディアブロが島の中央を指差す。

島の中央には宝石で飾られた大きな石棺が置かれていた。
石棺の陰のあたりから、年老いた男が一人、こちらに向かって歩いてくる。
その男の身体を通して、洞窟の天井からしみ出る燐光を放つ地下水が見えた。
普通の人間ではないのだ。
男は幽霊のような両手を上げた。
歓迎のしるしか、それとも攻撃のしるしなのか……?

テツヤ「いきなり戦闘にならねぇなら、少し様子を見てみるか?」

【項目509】
男の声は、一千年の歴史の向こうからこちらに話しかけてきた。
「生前、わしはマグス・ジンと呼ばれていた。わしは最も強いマグスとして、全てを支配していた。しかし他のマグス達はわしを妬み、わしを罠に落とした。馬鹿者どもは、わしの下男の巨人スクリミールまで殺した。だが彼らはわしを殺す事ができずに、ここにわしを閉じこめた。わしはここに千年のあいだ眠っていた。千年だぞ! なんと長かった事だろう……。千年の間、わしは入念に計画を練ってきた。復讐の計画が今こそ実を結ぶ時だ。だがこの計画には助けが必要だ。どうだ、助けてくれるか?」

テツヤ「マグス達の内輪揉めかよ。正直、関わり合いになりたくねぇ話だな」

ミヤ「だよねー。じゃあ帰ろっか……帰り道、わかんないけど」

 ここには銅鑼が無い。なんと転送装置は一方通行なのである!

テツヤ「あー……もしかして、この爺さんに協力しねぇと事実上の行き止まりって事かよ?」

ディアブロ「はは、NAKERUDE」

ミヤ「しょうがないなー。じゃあ協力するけどさ……」

【項目116】
男は無感動な笑顔で言った。
「うむ、それは結構。マグス・ジンの栄光は臣下の栄光だ。誰よりも多い報酬で報いよう」
そいつが石棺の蓋の上に手をかざすと、蓋はゆっくりと宙に持ち上がった。
石棺の中には手に花崗岩の塊を握りしめた朽ちた骸骨があった。
男は懐かしげに言った。
「わしの身体だ……。芳醇なワインを舌の上で味わい、柳の間を吹き抜ける風を肌に感じたのは、遥か遠い昔の事だ……さあ、その石を取れ! 早くしろ! わしはもう一刻たりとも思い出の中に埋もれていたくないのだ」
こちらは従うしかなかった。
男を助ける事を承諾した時から、男に逆らう力を奪われてしまっていた。
骸骨の手から花崗岩の塊を取り上げると、石棺の蓋が再びゆっくりと閉まった。

見れば手の中にあるのは、化石になった心臓だった。
男が言った。
「それは巨人スクリミールの心臓だ。奴はマグス達に殺された。わしは奴を使って、昔のマグス達の末裔である現在のマグス達に復讐するつもりだ……」

テツヤ「とばっちり食らうのは今の人間かよ」

ディアブロ「親の因果が子に報い……とは言うが、当時負けた奴が無理に報わせているだけの話だぜぇ」

ミヤ「ぶっちゃけ八つ当たりだよね、それ」

男の発する光は一瞬明るくなったかと思うと、次に暗くなり、やがて冷たい輝きになった。
「あの丘へ向かえ。わしはけちな試合に興味はない。そちらが勝利の紋章を手に入れようと入れまいと、わしの知った事ではない。手に入れたければ、そうするがいい。しかし、頂上の紋章にたどりつくまでに、スクリミールの死体の一部が残る部屋を通るはずだ。巨大な足や胴体や腕や頭蓋骨を見つける事だろう。それを拾って進め。そして頂上に着いたら、それらを組み合わせて、胸の中に化石になったその心臓を収めるのだ。そうしたら、すぐにそこから離れろ。マグス・ジンの魔力が、再び昔日の威力を発揮するだろう。スクリミールの黄色くなった骨に肉が付き、心臓は鼓動を始め、温かい血が血管を巡りはじめる。奴は目を開け、このクラースの変わりようを見るだろう。そして成り上がりのマグス達に、最も相応しい運命をつきつけてやるだろう。さあ、下へ降りる準備はいいか……」
彼が両手を上げると、灰青色の光がこちらを包んだ。
風景が一変し、気付いた時には、空中に浮かぶ島の真下の平地に立っていた。
さあ、前進するがいい。
ただし、スクリミールの
化石の心臓を持っていかなければならない。
捨てていく事はできないのだ。

ミヤ「ハンマーでこの心臓をブッ壊す事、できないかな?」

ディアブロ「残念ながら……」

テツヤ「チッ、実際に手を下すのも下男とやらにやらせるのかよ。人間、歳はとりたくねぇな」

 悪態をついていても話は進まない。仕方なく三人は丘へと再出発する事にした。

【項目238】
ついに、めざす丘のふもとにたどりついた。
平原は妙に広く感じられ、三キロ近くも歩いたような気がした。
頂上をめざして斜面を登っていくと、上のほうから霧が流れてきた。
勝利の紋章が風にひるがえる悲鳴のような音が、荒涼とした風景の中に響き渡っている。

ミヤ「風に翻る……て事は、勝利の紋章てやっぱり旗なんだね」

テツヤ「ビクトリーフラッグを己の手でふれ、て事か。へ、洒落てるじゃねぇか」

一本の坂道をたどっていくと、丘の裂け目に入っていき、その先にはくねくねと曲がりながら登っていくトンネルのような通路があった。
登りが急で、足を休める事ができる小さな部屋にやっとたどりついた時には、正直ほっとした気持ちだった。
一息入れてあたりを見まわすと、部屋の奥に赤い光が射している。
そこには、巨大な頭蓋骨があった。
しかし、なんという大きさだろう!
たぶん、四メートル近い大男の物に違いない。

ミヤ「もしかして、これが……」

ディアブロ「そのもしかしてだぜぇ」

呆れて見ていると、その頭蓋骨の口から呻き声が聞こえた。
そしてそいつは喋り始めた……。
「俺は巨人のスクリミールだ。俺はマグス達に戦いを挑んだ。それはずっと昔、スパイト火山の大爆発が起こり、その結果いまのマグス達が王座を横取りする事になる以前の事だ。昔のマグス達は正真正銘の魔法使いだった! 彼らは呪文を唱えて、俺の肉を塵に変え、心臓を石にしてしまった。俺の血を煮え立たせ、骨を砕いてしまった……しかしお前達の助けを借りて、俺は再び立ち上がる事ができる。俺はマグスを名乗っているペテン師どもをこの地から一掃するのだ。俺の骨を集めてくれ。いま俺は、頭蓋骨の口を通してお前達に話している。あとの骨を見つけてくれ。そして頂上に登って、集めた骨を組み立ててくれ。俺に命を与えてくれたら、どんな報酬もお前達の思いのままだ!」

テツヤ「骸骨で千年野ざらしだった奴が、何をくれるというのやら」

 しかし化石の心臓を持っているため、その魔力によりこの頭蓋骨を持っていかねばならない。持ち物がいっぱいなら、他の所持品を捨ててでもだ。一人パーティだとこれが非常に辛い。

ミヤ「ま、しょうがないね。よいしょっと……」

 背嚢に被せるようにして頭蓋骨を背負う。なんかモゴモゴ言ってるが、そんな事はこの際気にしないのだ。

【項目271】
トンネルのような通路をさらに登っていくと、別の部屋に達した。
石化した木があり、その枝の一つに巨大なあばら骨が南京錠で固定されている。
他の枝にはいくつもの人の首がぶら下がっている。

ミヤ「あたし、こういうイタズラは感心しないなぁ」

ディアブロ「趣味で本気のデコレーションしてるのかもしれないぜぇ?」

テツヤ「だとしたら頭沸いてるぞ、そいつ」

外壁の割れ目からはダンジョンを一望のもとに見渡す事ができた。
石柱の点在する平原とその上空に浮かぶ玄武岩の島、ダージマンの飛び交う谷、沸き立つ溶岩の池の中央にそびえる塔門、その向こうには神殿と拝殿が見えた。
なんとはるばる来た事だろう。
しかしなぜか今、どうしようもない虚脱感がこみあげてきて仕方がなかった。
なぜか冒険の旅が無意味な物に思われはじめてきた。
このままここにいた方が、なんの苦労もなくて、どんなに楽な事だろう。
負けを認めてしまえば……。

テツヤ「……て、何でここまで来て諦めるんだよ!」

ミヤ「おかしいなあ? 何かの魔力に攻撃されてるような気がするよ」

その時、木の方向から風が吹いてきた。
そして石化した木の幹の上に、歯をむき出しにした無数の口が現れて、こちらに向かって泣き叫んだ。
同時に、はかりしれない深みから無数の黒こげの手がのびて、おいでおいでをしている。
狂気の中に今にも引きずりこまれそうな光景だ……。

ミヤ「気持ち悪!」

デイアブロ「さて、どう対抗したもんかねぇ?」

【項目176】
マグス・ジンの声が頭の中に響き渡った。
「マグスの衛兵達は、魔法を使ってお前達を阻止しようとする。しかし、ジンの臣下は常に主人の助けを得る事ができるのだ……さあ、この古いクラースの音楽を聞け」
頭の中に流れる音楽に耳を傾ける。
それはとても単調な歌だった。楽しい歌とはいえなかったが、確かにそれは、気が狂うのではないかという不安を取り除いてくれた。

ミヤ「こんな方法で覆せる精神攻撃だったんだね」

ディアブロ「催眠術の一種だったのかねぇ? だから別の事に集中されると破れるのかもな」

ミヤ「つまり頭の中で、今日の晩御飯の事を考えれば良かったんだよ!」

テツヤ「催眠術なめんな」

 ジンが言った。

「さあ、スクリミールのあばら骨を取れ」

【項目161】
頭蓋骨の口から、まるで弔鐘でも打ち鳴らすような重々しい号令が発せられた。
すると南京錠が開いて、
あばら骨が石化した木の根元にドスンと落ちた。

テツヤ「こいつもやっぱり、強制的に運搬か?」

ディアブロ「ま、そういう事だぜぇ」

ミヤ「荷物があふれてきちゃったよ」

 とはいえ仕方がないのであばらを背負って先へと進む。

【項目159】
さらにトンネルを登っていくと、また部屋があった。
頂上まではあと半分というところだろう。
部屋の奥に別の上り坂のトンネルが見える。
しかし、そこに行くには、巨人の足と骨盤の骸骨が鎖で繋がれた石の王座の横を通らなければならない。

テツヤ「ここには罠はなさそうだな」

ミヤ「さすがのマグスさん達も弾切れかな?」

【項目433】
頭蓋骨が再び声を発した。
すると
骸骨の足を縛っていた鎖がほどけ、カチャカチャと音を立てながら石の床の上に落ちた。

ディアブロ「付け加えるなら、足は二本あるので荷物としても2個なんだぜぇ」

ミヤ「そりゃ大変だよ。でも荷物の空きからしてディアブロが持つ番だね」

ディアブロ「おっと、こりゃしまった」

テツヤ「重たけりゃひきずってもいいぞ」

頭蓋骨「もうちょっと丁寧にせんかい……」

【項目538】
次の部屋に何が待っているか、こちらにはもうわかっていた。
その部屋は奇妙な形に歪み、焼けただれていた。
まるで物凄い熱風に襲われた古代の神殿のようだ。
参拝の人々が突然の天災に逃げ惑うかっこうのまま固まっている。
柱の向こうには、思ったとおり
骸骨の両腕と肩甲骨があった。
片方の腕は
鉄の籠手をはめたままだった。

テツヤ「なんで人々は石化してて、部屋は焼けてるんだ?」

ミヤ「まずは石化、その後に熱風と時間差で襲われたのかなあ?」

【項目394】

ディアブロ「ちなみに腕も二本だから持ち物としては二つだぜぇ。肩甲骨は幸いにも個別の荷物にはならない」

テツヤ「どっちにしろ持つのはお前だぞ」

ディアブロ「あれま。でも籠手は置いていくぜぇ?」

ミヤ「しょうがないなぁ」

石化した人々の悲しげな顔を見ていると、落ち着かない気分になってきた。
急いでその部屋を出て、頂上への階段を登る事にする。

【項目322】
トンネルの外に出ると、丘の頂上の勝利の紋章はすぐ目の前だ。
地底の溶岩の明かりはとうてい達しそうもない場所なのに、紋章は明るい白色の光に包まれていた。
マグス達がかけた魔法の照明に違いない。
だがそれは、単なる照明ではなさそうだった。
よく見ると、洞窟の天井に向かって、一本の光の柱が真っ直ぐにのびている。
すぐに、それが地上へと転送する魔法の柱である事に気づいた。
さあ、あとは壇上の紋章を手に取るだけだ……。

テツヤ「けど、俺らは真っ直ぐ地上へは出られないんだったな?」

ミヤ「でも、どこでこの骨を組み合わせればいいの? 頭蓋骨さん、知らない?」

頭蓋骨「あそこだ……よく見ろ」

紋章の立っている石の台は、鉄の枠組みに支えられていた。
近づいて見ると、それは巨大な枠組みで、その中に巨人の骨を組み立てる事ができそうだった。

【項目412】
意思とは無関係に、鉄の枠組みの中に骸骨を組み立て始めている自分達に気づく。
意識ははっきりしているのに、マグス・ジンの魔法の力に逆らう事ができないのだ。
巨人の骨を組み立てていく自分達の手を、ただ見つめているしかなかった。

ミヤ「おおっ!? これは学校の宿題をやる時に欲しい魔法だなー」

テツヤ「チッ、こんな事する奴らが正直に礼をしてくれるとは思えねぇな」

ディアブロ「ま、今は組み立ててやるしかないねぇ」

組み立て終わって、巨大なあばら骨の下に化石の心臓を置く。
冷たい一陣の風が泣き叫ぶような音とともに丘の周囲から吹きつけた。
スクリミールの魂が死の縁から蘇ろうとしていた。

ひからびた骨の上に、苔のような皮膚が少しずつ広がり始め、頭蓋骨の眼孔の奥で命の光がキラリと光った。

この後、三人はどうなるのか? それは次回、1巻の最後で。

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2009年11月 9日 (月)

ブラッドソードリプレイ1-15 最後のライバル

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:3 戦闘力:7+1 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:6 機敏度:8 生命力:19
装備:剣 革の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒 ロジ・スカイランナーの剣 オパールのメダル 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 金色のくつわ

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:8 機敏度:7 生命力:16
装備:六尺棒 鎧(鎧強度:3) 金貨袋(所持金13) 弓 矢筒 オパールのメダル 八角形のプリズム 八角形のプリズム カリウムの破片 回復薬

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:3 戦闘力:6 打撃力:サイコロ1個 精神力:8 機敏度:6 生命力:16
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金13) 炎の護符

クラースのダンジョンレースへ参加した三人。街の領主マグス・カルーゲンの雇われ戦士として地下迷宮を進み、神殿で強敵・魔女エキドナを撃破。転移装置で先へ進み、火口にて死闘を切り抜ける。そしてついにゴール目前へと迫ったが……

三人は立ち往生していた。目の前には深く広い断崖が口を開けている。飛び越せる幅でもなく、左右どちらを見ても橋など無い。

ミヤ「あたしの空中浮遊術の出番かなあ? でも叔父ちゃんとディアブロはどうしよう?」

僧侶の浮遊術は他者を運べるほどの力は無いようで、後の巻を見ても仲間を運んでいる描写は見当たらない。

ディアブロ「ま、ここは落ち着いて、もう一度辺りを見ることだぜぇ」

テツヤ「ん? そういえば、橋は無いが妙な連中がいるな

【項目482】
深い谷のあちこちに、翼を持つダージが飛びかっている。

テツヤ「だからダージって何なんだよ……。詳しい描写無しだが、そんなに有名な魔物なのか?」

ディアブロ「どうだろな。それを考えると、色々と途中省略してドラゴンクエストは物凄く偉大、という話になるんだぜぇ」

日本のファンタジーRPG黎明期、ゴブリン・オーク・トロール、プレートメイルやロングソード等の「洋物TRPGではおなじみだったが、まだまだ聞きなれない人間も多かった」名前を極力使わず、漫画じみた絵を現役漫画家に描かせて「がいこつ」「あくまのきし」「はがねのよろい」等のわかり易い名称にしていた辺り、受け入れられる事に対して本気だった事が窺える。そしてそれがあのシリーズの成功の一因である事は間違いあるまい。
なお、自分はRPGのイラストについて、洋物絵画よりも和製漫画絵の方が好きだ。これもまたドラクエの影響である。洋絵が嫌いってわけじゃないが「サムライの剣」の表紙を見て「男塾の人が描けばいいのに」とか考えていた。まぁそんなガキだった。

ミヤ「そんなもんかな? あたしが生まれる前の事だからよくわかんないや」

テツヤ「それよりもダージどもをどうするかだな」

一匹が風に押し流されて、こちらの側にやってきた。
そいつは、前に出くわした連中と違って、襲いかかってくる気は無いようだった。
それに、その顔はまるで人間の顔のようだった。
前に見たダージとは全く違う。
こちらを見つけると、奴は降下してきて、しゃがれ声で言った。
「おい、翼が無くては、この谷を渡れまい?」

テツヤ「やっとダージの描写が出てきたぜ。前の連中はよくわからんが、こいつは羽根の生えた人間なんだな」

ミヤ「むむ。あたしはこいつについての知識があるぞ」

テツヤ「マジか!?」

【項目393】
3 (僧侶)

これはただのダージではない。
オカルト種のダージだ。
おそらくこいつは、元は人間で、クラースのマグスに逆らうか何かしたために、その罰としてこんな化け物の姿に変えられてしまったのだろう。
確かクラースでは、よほどたちの悪い極悪人でなければ、こんな恐ろしい、永遠に続く罰は受けないという話だ。
今のクラースに正義など無いが、それでも犯罪者の多くは慈悲をもって、速やかな死という罰を受ける事になっている。

ミヤ「つまりクラースはカルーゲンのおっちゃんが困った人なせいで、あまり誉められた統治がなされていないと言う……」

テツヤ「政治批判は今はいらん。要するに、このダージは元人間て事だな

ディアブロ「だったら交渉も可能かもな。ま、ファンタジーRPGの人間の3分の1はモンスターだがね」

ミヤ「そんで半分はモブと背景だよね」

テツヤ「名前の無いキャラの話はいらねぇんだよ。今は目の前のコイツだ」

【項目79】
ダージマンはこちらの立っている階段の上の段に降りてきて、大きな皮の羽根を折りたたんだ。
一休みできたのを喜んでいるようだった。
普通のダージと違って、手には鋭い爪が無く、しかも人間の手の形をしている。
しゃがれ声で彼は言った。
「俺ならお前らを乗せて飛んでやれるぞ。だが一つ疑問があるんだ。それが俺に何の得になるんだろう?」

ミヤ「むむ。このダージさんはあたしら全員を乗せられるんだ。くそう、あたしの浮遊術に勝った気でいるな?」

テツヤ「お前の被害妄想はおいといて、とりあえず交渉すっか」

ここでは魔術師が盲目的服従の呪文をかけたりもできるが、アイテムを報酬として差し出す事も可能だ。テツヤは背嚢を探り、金色のくつわを見せた。

テツヤ「金色だからといって本物の金だとは限らねぇ……というより、持ってた連中的に偽物な気はするがな」

【項目301】
金色のくつわを取り出すと、折りよく、近くの間欠泉が新たに溶岩を噴き上げたので、くつわは燦然と輝いた。
ダージマンは驚いて息を呑んだ。
「なんと見事な宝だ! それを俺にくれ。くれたらすぐに谷を渡してやる」
彼は叫んだ。
欲が全ての理性を追い払ってしまった。

テツヤ(こいつはチャンスだな。ちと予定変更といくか)

テツヤ「いいとも」

そう言って、くつわを彼の頭の上に放り上げ、留め金をかける。
背中に飛び乗って手綱を強く引くと、ダージマンは一度苦しげな悲鳴をあげたが、くつわの鋲が皮膚に突き刺さるので、すぐにおとなしくなった。

テツヤ「よし、コイツに乗るぞ」

ミヤ「叔父ちゃん……なんか妙に盗賊らしいよ」

ディアブロ「ま、お前さんの知識によれば、このダージが正直者かどうかわからんし。確実に渡してもらうためには間違いではないぜぇ」

あきらめた彼は大きな羽根を広げ、そのまま飛び立った。

ダージマンの背は激しく揺れ、クレーターからの突風にもまれ続けた。
ダージマンは一度背中の重荷を放り出そうとしたが、手綱を強く引いてやると、悲鳴をあげてあきらめた。
そしてついに向こう岸に降り立つ。
彼の抗議の鳴き声などには耳も貸さず、手綱を傍らの大きな石に繋いで先を急いだ。

ミヤ「やっぱりなんか酷くないかな?」

テツヤ「やってから俺もちょっとそう思った」

ディアブロ「ま、超合金の鎖でもなし。ただの革紐ならいずれ千切れて自由になるさ。その時には約束通りくつわも手に入って、めでたしめでたしだぜぇ」

【項目359】
霧に包まれた平原を、とぼとぼと歩くにつれて、足元の小さな生き物がクモの子を散らすように逃げていったが、地面を覆う厚い霧のために、その姿ははっきり見えない。
途中に一つの石碑が立っていたので、近づいて調べてみた。
ひびのはいった石碑の表面には古代の文字が刻みつけられている。
その文字の魔力はまだ生きているようだ。
伝説によると、二世紀も前に、罪深い都市スパイトを全滅させた火山の噴火があったという。
その際に死んだマグスが書き残したルーン文字がこれなのだろうが、今のマグス達でさえ、この文字を読む事はできないだろう。

テツヤ「ここらの神殿やら拝殿やらも、そのスパイトの物だったわけか?」

ディアブロ「多分な」

 そしてその滅びた都市名やマグスの伝説を、後の巻で再び見る事になるのだ。いわば伏線なのである。

ミヤ「うーん……あたしにもこの字は読めないなー」

115 「なんて書いてあるんだろうな?」
背後から声が聞こえた。
びっくりしてふり返ると、黒い鎧を着けたマグス・ウルの戦士イコンのワーロックが立っていた。
彼は攻撃的な動作はいっさい見せずに、おじぎをして言った。
「イコンのワーロックだ。神を恐れぬイコンと呼ばれる事もあるが、まあそっちの好きなように呼んでくれ。俺は先の事をとっくりと考えてみた。そして我々が協力し合えば、勝利の紋章を手に入れる見込みがあると踏んだ。別々ではきっと失敗する。協力しようではないか。競技の規則で許されているはずだ。賞金は分け合わなければならんが、分けたとしても、十分に潤うだけのものが得られるではないか……」

テツヤ「へえ、礼儀正しい奴だな。しかし言ってる事には納得できねぇ」

ミヤ「なんで?」

テツヤ「違う雇い主の選手が手を組んでゴールしていいなら、出会い頭でどんどん合流していってクリアーしても良いって事になっちまうだろうが。それじゃあ競技が成り立たねぇ」

ディアブロ「ははっ、マグス連中の賭け金配当もややこしい事になりそうだな。カルーゲンみたいな奴が、そんな事を認めてくれるかねえ?」

テツヤ「ここは戦いを挑むぜ。違う雇い主についた者同士、そうなる事は承知している筈だから苦情は受け付けねぇよ」

バトルオーダーを1:テツヤ、2:ディアブロ、3:ミヤに変更。ディアブロはネメシスの電光の呪文を準備。

【項目341】
イコンの顔は怒りに歪んだ。
彼は怒鳴った。
「それでは勝手にしろ! その愚かさがきっと命取りになるぞ……」
彼は何やら呪文を唱えて、パチパチと音を立てるエネルギーで身体を包むと、突然こちらに向かって襲いかかってきた。

イコン(I)
戦闘力=8 精神力=8 鎧強度=2 生命力=28
打撃力=サイコロ2個+2 機敏度=7
※イコンには盲目的服従の呪文は通用しない。また、彼は報復の炎の呪文で身体を包んでいるので、彼に接近して攻撃に成功した者は、この呪文のために火傷を負う。鎧を着けていても着けていなくても、生命力を1点引け。

テツヤ「チッ、厄介な能力だぜ。接近戦がやり辛え」

ミヤ「でもディアブロの準備を見る限り、またハメくさい戦法で戦いそうだよ」

ディアブロ「おっと、先にバラすのは感心しないぜぇ

 ミヤとイコンの機敏度が同点なので1d6勝負。ミヤ2、イコン4で敵が先攻。

B7○第1ラウンド
テツヤ:防御。
イコン:テツヤを攻撃。出目14で失敗。
ミヤ:C-5へ移動。
ディアブロ:E-6へ移動。

○第2ラウンド
テツヤ:防御。
イコン:テツヤを攻撃。出目16で失敗。
ミヤ:何もしない。
ディアブロ:E-7へ移動。

○第3ラウンド
テツヤ:E-3へ移動。
イコン:C-4へ移動。

ミヤ「あれま。あたしを追いかけてきたよ、この人」

テツヤ「チッ、このロリコンめ!」

ミヤ:B-5へ移動。
ディアブロ:充分距離をとったのでネメシスの電光の詠唱を開始。出目12で失敗。

しかしこの時点でもはや勝負あり。ひたすらミヤを追いかけまわすイコンを横目に、8ラウンド目で詠唱成功。ダメージ34(被害32)で一撃必殺。イコンの絶叫が地下に響いた。

テツヤ「また無傷で勝っちまったか……」

【項目377】
イコンにとどめの一撃を加える。
しかし、驚いたことにイコンは倒れなかった!
地面に膝まずき、彼は真っ青な顔を苦痛に歪ませながら、傷口から剣を引き抜いた。

ミヤ「電光で攻撃したんだよね?」

ディアブロ「フッ……俺の小宇宙を篭めた光速拳の一撃を『ネメシスの電光(ライトニングネメシス)』というのだ」

テツヤ「やっぱり剣じゃないじゃねぇか」

苦痛のうめき声をあげながら、彼は言った。
「傷を癒すあいだは、魔法が俺の命を守ってくれる。だが、その間は、無念だがここを退却せねばならん。勝利の紋章を目前にして、よくも俺の邪魔をしてくたな。この仇はきっと取る。覚悟してろ……」
口から血をしたたらせて、彼はこちらを睨みつけた。
呪文の言葉をつぶやくと、その姿は赤い煙に変わった。
そして、地面を這うようにして、何処ともなく消え去った。
彼はきっと、再び姿を現すに違いない。
とどめを刺せなかった事が心残りだ。

ミヤ「気化なんてできるんだ。そのまま戦えたら無敵っぽいのにね」

それを本気でやった仮面ライダーがいたのだが「強すぎ」「もはや卑怯」「敵が可哀想」とステキな評価となっていた。

イコンは気化の魔法で煙に変身して逃げる際に、忘れ物を残していった。
それは
ブロンズのハンマーだった。

テツヤ「あいつ、こんな武器を使っていたのかよ。捉えどころの無い野郎だな」

ディアブロ「使ってたのかねえ? 落としていくんだから手に持っていたとしても不自然じゃないけどさ」

丘を見上げても、他の戦士の姿はどこにも見当たらない。
さあ、勝利の紋章への道を妨げる物は、もう何も無いぞ!

ミヤ「よーし、それじゃあ優勝へと全力疾走だ! あたしが一番乗りだよ! うわーい!」

テツヤ「まてまて。お前な、ちょっとは落ち着けよ……」

ディアブロ「ま、後は報酬貰って表彰台で紙吹雪を浴びるだけかね。今夜は大酒かっくらって寝るとするぜぇ」

もはや勝利ムードの三人。しかしそうは問屋が卸さない。次回、もう一波乱が三人を待ち受けるのだ。

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2009年11月 8日 (日)

ブラッドソードリプレイ1-14 火口の戦い

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:3 戦闘力:7+1 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:6 機敏度:8 生命力:19
装備:剣 革の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒 ロジ・スカイランナーの剣 オパールのメダル 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:8 機敏度:7 生命力:16
装備:六尺棒 リングメイル(鎧強度:2) 金貨袋(所持金13) 弓 矢筒 オパールのメダル 八角形のプリズム 八角形のプリズム カリウムの破片

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:3 戦闘力:6 打撃力:サイコロ1個 精神力:8 機敏度:6 生命力:16
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金13) 炎の護符 

クラースのダンジョンレースへ参加した三人。街の領主マグス・カルーゲンの雇われ戦士として地下迷宮を進み、神殿で強敵・魔女エキドナを撃破。転移装置で先へ進み、拝殿にて炎の護符を手に入れた。魔物の群れに襲われるも難なく切り抜け、さらに奥へと進み続ける。

拝殿を後にする三人。後ろで魔物どもが騒いでいるが、拝殿から出てくる気はなさそうだ。

テツヤ「それにしたって、なんで地下に神殿だの拝殿だを建てたんだ? 誰も参りになんぞ来ないだろうによ」

ミヤ「建てたんじゃなくて、地下に陥没しちゃったんじゃないかな」

テツヤ「地盤沈下で? 埋まらずに上手く空洞へ落ち込んでか? まさか」

実はそのまさかの可能性があるようだが、そんな事は三人の預かり知らぬ事である。

【項目92】
114_3 切り立った崖道を進む。
眼下は深い霧に包まれ、火山の赤い光が時折あたりを明るく照らし出す。
崖道はやがて深いクレーターの縁に達した。
クレーターの中央には石の塔門がそびえている。
塔門には入口が見える。
ひょっとすると、その中には宝が山と積まれた部屋があるかもしれない。
だがそんな期待は諦めるしかない。
なにしろ塔門は煮えたぎる溶岩の堀にさえぎられ、とうてい近づけそうにないからだ。

崖道はクレーターの縁をくねくねと曲がりながら延びていた。
洞窟の向こう側に通じる坂道に向かって、ゆっくり進む。

その時、突然、クレーターの縁の岩陰から、剣を振りかざした二人のみすぼらしい冒険者が現れた。
火口の赤い光に照らし出されて、二人はまるで悪魔のように見える。
一人がにたりと笑った。
歪んだ口からボロボロの歯がのぞいた。そいつが言った。
「金と命をもらうぞ」

テツヤ「こんなクソ細い道でずっと待ち伏せてたのか? コイツらは」

ミヤ「あたし達が通らなかったら、競技が終わっちゃうまでずっと待ってたのかな?」

ディアブロ「無駄に我慢強すぎるぜぇ。歯がぼろぼろというあたり、何か薬でもやってるのかもしれないな」

テツヤ「我慢強いんじゃなくて頭が蝕まれているだけって事かよ……」

実は彼らが先へ進まずここにいた事には理由があるのだが、この時点ではそれはわからない。三人は敵チームとの戦闘へ突入する。バトルオーダーは1:テツヤ、2:ミヤ、3:ディアブロへ戻し、ディアブロは盲目的服従の呪文を準備する。

テツヤ「また難易度の高い呪文を準備しやがるな。それ、抵抗されるかもしれない呪文だろ」

ディアブロ「成功するまで頑張ればいいだけだぜぇ。ここではな

【項目198】
クレーターの縁の狭い小道の上で、破れかぶれになっている冒険者を向こうにまわして、命を賭した戦いが始まる。

冒険者(A)
戦闘力=8 精神力=6 鎧強度=3 生命力=1番22、2番23
打撃力=サイコロ2個 機敏度=6

ディアブロと敵の機敏度が同じなので1d6勝負。ディアブロ3、敵6で敵が先攻。

ディアブロ「ま、この戦闘にはたいして影響ないぜぇ」

テツヤ「余裕こけるほど弱い相手じゃねぇだろ。流石にここまで来ただけあって、コイツらは強いな」

ディアブロ「なに、逃げるのは簡単だ。後ろに逃げられる道があるからな。しかし勝率のそこそこ高い戦法があるから、まずはそれを試してくれ」

ミヤ「あ。なんかまた『かっこ悪い』戦い方な気がする」

ディアブロ「御名答

B6○第1ラウンド
テツヤ:防御。
ミヤ:E-6へ移動。
冒険者1:テツヤを攻撃。出目8で失敗。
冒険者2:E-5へ移動。
ディアブロ:C-6へ移動。

テツヤ「まずは退くのか」

ディアブロ「ちょっとだけな」

○第2ラウンド
テツヤ:防御。
ミヤ:D-6へ移動。
冒険者1:テツヤを攻撃。出目12で失敗。
冒険者2:テツヤを攻撃。出目11で失敗。
ディアブロ:C-7へ移動。

テツヤ「ちとキツイ!」

ディアブロ「ここが山場さ」

○第3ラウンド
テツヤ:防御。
ミヤ:C-6へ移動。
冒険者1:テツヤを攻撃。出目12で失敗。
冒険者2:テツヤを攻撃。出目7で成功。ダメージ7(被害5)。

ミヤ「叔父ちゃん、大丈夫!?」

ディアブロ「もういいぜぇ。テツヤも退きな」

テツヤ「了解!」

ディアブロ:盲目的服従の呪文を詠唱。出目8で失敗。
テツヤ(ダブルアクション):D-6へ移動。

○第4ラウンド
テツヤ:D-7へ移動。
ミヤ:防御。
冒険者1:D-5へ移動。
冒険者2:E-6へ移動。
ディアブロ:盲目的服従の呪文を詠唱。出目11で失敗。

○第5ラウンド
テツヤ:防御。
ミヤ:防御。
冒険者1:D-6へ移動。
冒険者2:何もできない。

テツヤ「まぁこいつら、近接攻撃しかできねぇからな……」

ディアブロ「こうやって地形にひっかけて2対1に持ち込んだ時点で、半ば勝ちは確定だ。だがどうせならもうちょい変わった戦法でいくか」

ディアブロ:盲目的服従の呪文を詠唱。出目6で失敗。

○第6ラウンド
テツヤ:防御。
ミヤ:防御。
冒険者1:テツヤを攻撃。出目15で失敗。
冒険者2:何もできない。
ディアブロ:盲目的服従の呪文を詠唱。出目6で失敗。

○第7ラウンド
テツヤ:防御。
ミヤ:防御。
冒険者1:ミヤを攻撃。出目9で失敗。
冒険者2:何もできない。

ミヤ「ただでさえ防御してるのに、敵さんは一人であたしら二人を攻撃してるから、こりゃ当分こっちは死なないね」

ディアブロ「それも狙いだが、もう一つここに布陣をしいたのには理由があってな

ディアブロ:盲目的服従の呪文を詠唱。出目9で失敗。

○第8ラウンド
テツヤ:防御。
ミヤ:防御。
冒険者1:テツヤを攻撃。出目12で失敗。
冒険者2:何もできない。
ディアブロ:盲目的服従の呪文を詠唱。出目4で成功。冒険者1は出目11で抵抗失敗。

ディアブロ「よし成功。敵は精神力低めだったから、効く見込みは充分あったがね」

テツヤ「効かなかったらまた何ラウンドも時間かけたわけか?」

ディアブロ「YES。あと2、3回なら安全に挑戦できただろうぜぇ。効いたんだから結果オーライだ。そしてこの時点で俺達の勝ちだ

ミヤ「なんで? ラウンドごとにサイコロ1個ふって、6が出たら呪文が切れるんでしょ?

ディアブロ「日本語版では『他の敵を攻撃させたら』とルールに書いてあるぜぇ。だから、俺は攻撃させずにずっと待機させておく。これで呪文は永続だ。そして敵1がいるせいで敵2はこっちに来れない。だから俺はいくらでも時間をかけて呪文を詠唱できる。さて、ネメシスの電光で何もできない敵2を焼き払うとするかね」

ミヤ「なんかもうあんたが悪党だよ」

テツヤ「しかも小悪党な……」

9ラウンド目にネメシスの電光を準備。12ラウンド目に詠唱成功し、冒険者2にダメージ33(被害30)。撃破。

ミヤ「棒立ちなままの敵1さんはどうすんの?」

ディアブロ「呪文がきれない以上、相手は死ぬまで無抵抗だからな。袋叩きにして倒せばいいぜぇ」

テツヤ「無抵抗の相手をかよ!」

ディアブロ「ああ、確かにお前さんらに汚れ仕事を押し付けるのは悪いな。おkwww俺がやろう

18ラウンド目に再びネメシスの電光を詠唱成功、冒険者1にダメージ34(被害31)。撃破。

ディアブロ「勝ったぜ。多少運が絡むが、まぁそこそこ安全な勝負だったな」

ミヤ「……とりあえずあたしは叔父ちゃんのケガ治しておくよ」

難なく生命力が最大まで回復。

【項目308】
死体の一つは、こちらが手を伸ばす前にクレーターの中へ落ちていった。
もう一つの死体を探ると、
金色のくつわと、回復薬(飲んだ者はサイコロ二つ分の生命力を取り戻す事ができる)と、青い試金石と、鉛の指輪が見つかった。
それにもちろん、
鎧(鎧強度3)もある。

テツヤ「一人ぶんにしてはいろいろと見つかったな。アイテムいっぱい持ってるくせに無一文だが」

ミヤ「だからお金をも貰うって言ってたんだね。多分。それより持っていく物だけど……」

ディアブロ「金色のくつわ回復薬だな。後はいらないぜぇ」

ミヤ「この鎧って、装備制限書いてないけど、誰が着てもいいのかな? 許可無しだったらダメ! とか言い出すと、誰も装備できないアイテムを出したって変な話になるよね」

ディアブロ「材質も形状も書いてない怪しい鎧だが。テツヤが着て重装甲高回避キャラにでもするか?」

テツヤ「いや……ミヤが着るべきだろ。回復術には元手になる生命力が必要なのに、僧侶の生命力は低めだからな。防御力を上げておくべきだ」

ミヤ「さんきゅー! じゃあ貰うね!」

ディアブロ「なんで叔父・叔母ってのは、甥姪に何かと物やろうとするかねぇ……」

テツヤ「何か言ったか? そろそろ先へ進むぞ」

【項目537】
1142 溶岩の池を取り巻く狭い崖道を、用心して進む。
クレーターの中では溶岩がふつふつと煮えたぎっている。
足を止めて、マグマから沸き上がる泡を見ていると、キラリと光る青い炎が見えた。
炎の化け物がクレーターの中から顔を出し、こちらを目指して登ってくる。

テツヤ「正直、こんないかにも危険そうな場所に何も無いとは思ってなかったぜ」

ミヤ「予想どんぴしゃだね! あたしも思わせぶりな場所だとは思ってたけどさ」

そいつは、鋼鉄をも溶かし、肉をバターのように切り刻む爪を持つ、恐ろしい火の悪魔スキアピールだった。

ディアブロ「やれやれ。さっきの冒険者どもと相討ちにでもなってくれりゃ、手間が省けたんだがねぇ」

そうはならない。というのも、さっきの二人組はこいつらが恐ろしくて立ち往生していたからあそこにいたのだ。スキアピールはそれだけ恐ろしい魔物で、その攻撃には鎧強度が無効(高熱で溶かされるから!)だ。個々の生命力はさほど高くはないが、機敏度が高い上に数も多い。まともに戦うにはちと荷が重い敵なのだが……

ミヤ「あ、ここ、アイテム使っていいみたいだよ」

ディアブロ「それじゃ、ま、前回手に入れたコイツをば」

セレクトするのは炎の護符。

【項目158】
彼らは、溶岩の光に照らされて太陽のように輝く護符を見ると、恐れおののいた。
一人が囁いた。
「聖なる御守りだ。このままお通りください」
彼らが心変わりしないうちにと、先を急ぐ事にする。

テツヤ「あれま。これはこいつらを避けるための物だったんだな」

ミヤ「祀られるには理由があるんだね……」

こうして三人は火口を切り抜ける。だがこのエリアにはあともう一つ……。

【項目223】
クレーターの外側へ下っていく坂道に辿り着いた。
坂は最初はなだらかな斜面だったが、やがて岩を切って作った階段になった。
前方には、小山と岩の点在する荒涼とした平原が広がっている。
そして、その向こうには洞窟の天井に届きそうな小高い丘がある。
丘の頂上に、灰白色の光を浴びてひるがえるのは勝利の紋章だ!
もうゴールはすぐそこだ!

ミヤ「よし、ゴールが目の前だよ! そろそろラスボスでも出そうな気がするけど!」

テツヤ「へん、倒せばいいんだろ。さあ行くぜ!」

だが、階段を降りきった時、その高揚とした気分は見事に打ち砕かれた。
洞窟の地表を覆う蒸気のためにそれまでは見えなかったが、眼下には大きな地面の割れ目が口を開けていたのだ。
紋章の立つ丘にたどりつくには、この谷を渡らなければならない。
しかし、見渡す限り橋は無かった。

テツヤ「おいおい……」

ミヤ「むう、こういう手でくるのかあ。どうしろっての、これ」

ディアブロ「ま、ゴールできないようには作られてねぇさ。競技が成り立たなくなるからな」

ではどうやって突破するのか? それは次回のお話。

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2009年11月 1日 (日)

ブラッドソードリプレイ1-13 神殿から拝殿へ

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:3 戦闘力:7+1 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:6 機敏度:8 生命力:19
装備:剣 革の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒 ロジ・スカイランナーの剣 オパールのメダル 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:8 機敏度:7 生命力:16
装備:六尺棒 リングメイル(鎧強度:2) 金貨袋(所持金13) 弓 矢筒 オパールのメダル 八角形のプリズム 八角形のプリズム カリウムの破片

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:3 戦闘力:6 打撃力:サイコロ1個 精神力:8 機敏度:6 生命力:16
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金13)

クラースのダンジョンレースへ参加した三人。怪しげな神殿で遭遇した強敵・エキドナを、運も手伝って見事に快勝。大きな山場を抜けて、三人は次のステージへ……。

エキドナを倒して得たカリウムの破片はミヤに持たせておく事にした。さて、ここで1巻の大きな分岐となるのだが――。

【項目319】

ミヤ「んで、神殿の奥へ行くか、もう出ていくかなんだけど」

ディアブロ「思案のしどころだぜぇ。一応、俺らには選択肢があるんだけどな」

そういって八角形のプリズムを弄ぶディアブロ。実はこのアイテムがあると、神殿の奥のテレポーターからダンジョンの奥へショートカットができるのである。二つあれば、ここからの危険を大きく飛び越えて一気に最終エリアまで飛んでいく事ができるのだ!
だが実の所、パーティの構成次第ではその道中とて特に難所というわけではない。この三人なら突破できて当然とさえ言える。

テツヤ「おいおい。プリズムのうちの1個は、手に入れるために死にかけたぐらいなんだが?

実は無駄な努力だったのである。通ってから気づいた、このリプレイ痛恨のミスであった。1-9でプリズムを手に入れないルートへ進むと、戦闘も無しで安全に先へ進めたのだが。編成次第ではどうしてもここのワープを使いたくなるので、ついつい昔の癖で正解とは言い難いルートを通ってしまったのである。

ディアブロ「はは、NAKERUDE。ま、ここはどんな“難所”が待ち構えているか、どういう風にクリアしていけばいいのかという案内も兼ねて、ワープを使わずに先へ進もうぜぇ」

テツヤ「はいはい。なんかもう好きにしてくれとしか言えない心境だぜ」

ミヤ「叔父ちゃん、元気だせ。いろんな所に行けて楽しいじゃない。ほら、あたしもついてるからさ」

テツヤ「はいはいありがとよ。神殿には左右二つの出口があるから、どっちから先へ進むのかも選んでくれや」

ここは右の出口から神殿を出るべきである。

【項目56】
神殿のテラスの右の小道をたどると、そこには、岩でできた床に降りる大理石の階段があった。
そして、かすかに光る二つの卵形の物体が宙に浮かんでいるのがぼんやり見えた。

ミヤ「おおう! いきなり変な物を発見!」

テツヤ「ここからじゃ何なのかよく見えんな」

ディアブロ「ま、階段を降りていこうじゃないの」

【項目427】
長い階段をゆっくり降りる。
固い大理石の階段は、魔法の力だけで支えられているようだった。
その上に立っていると、なんだか気味が悪かった。

テツヤ「なるほど。よく見ればこの階段、物理的な支えが無いんだな」

ミヤ「へえ、面白い! よし、下まで二段飛ばしでダッシュだ!」

テツヤ「落ち着け!」

ちょうど中間あたりまで来た時、突然、階段が激しく前に傾いた。
どうにも身体を支えきれずに、岩の床めがけて落ちてしまう。
だが不思議な事に、ケガ一つせず、宙に浮かんだちらちら光る二つの卵形の物の前に転がっている自分に気づく。

ミヤ「お? お? なんかよくわかんないけど下まで到着だよ」

テツヤ「罠か手抜き工事なのか、判断に迷う所だ」

ディアブロ「設計者がドリフのファンだったのかもしれないぜぇ」

近寄ってよく見ると、それはアストラルの門だった。
これをくぐれば、どこかへ転送(テレポート)されるはずだ。
しかし、くぐってみなければ、どこに転送されるかはわからない。

神殿をふり返ってみたが、テラスに続く大理石の階段は傾斜が強すぎて、もう上れそうもない。
アストラルの門のどちらかを選ぶしかない。

テツヤ「結局ワープかよ」

ディアブロ「青い金属的な光を放つ方と、脈打つ緑色の方。どっちの門を潜るかだな」

ここは緑色を選ぶべきである。

【項目307】
脈をうつ緑色のアストラルの門へ足を踏み入れた瞬間、ぞっと寒気を感じる。
単なる寒さではなく、全神経が悲鳴をあげるような超自然の冷え冷えとした空虚感だった。
しかしありがたい事に、数秒でそれは過ぎ去り、今いるのは、門の出口の所だ……。

テツヤ「描写がキツイわりには何のダメージも無ぇな」

ミヤ「あげる“ような”だからね。実際には悲鳴もあげてないし寒く感じるだけで寒くもないんだよ」

テツヤ「それに何の意味があるのかさっぱりわからんが、ま、今いる場所を確認するか……」

【項目78】
今立っているのは、古い拝殿の、崩れかけた壁にとり囲まれた所だ。
二百メートルほど離れた別の山の頂に、ハッグ達の住む神殿が見える。

ミヤ「おお! 隣山までワープしたんだよ! きっとこの拝殿とあの神殿は同じ宗教の物なんだね」

テツヤ「エキドナが住んでたような神殿と同じ宗教だとすると、ここもきっとロクな場所じゃねぇんだろうな」

まわりを見まわすうちに、溶岩の間欠泉の光を受けて、時折かすかに輝く一枚の金の深皿があるのに気づいた。
壁には、灰色のガーゴイルの石像が刻まれている。
石像はちらちらする光と影の中で、にたりと笑っているように見えた。
拝殿の裏の出口の向こうには、ナイフの刃のような崖の上を走る、細い小道が見えた。

テツヤ「とりあえずあの皿を調べてみるか」

ディアブロ「よし、じゃあ前準備だぜぇ」

ディアブロは緊急救出の呪文を準備。さらにここではバトルオーダーを変更。1=ミヤ、2=ディアブロ、3=テツヤの順にする。準備ができたら皿を調べるのだ。

【項目507】
砕けたり傾いたりした敷石を縫うように進み、ようやく金の深皿のある所にたどりついた。
手を入れて中を探ると、中央に真紅のオパールをはめた、炎のような形をした大きな金の護符が出てきた。

ミヤ「炎の護符を手に入れたよ!」

テツヤ「何事も無く、か? そんなわけねぇと思うが……」

小石が転がる音が拝殿の中に響き渡った。
見まわすと、石のガーゴイルの一つが元の場所から消えていた。
そいつは既に出口の前に立ちはだかっている。
石の爪が大鎌のようだ。
他のガーゴイル達もゆっくり息を吹き返し、壁をすべり降りてきた。

テツヤ「チッ、宝と化け物か。本当に前回の神殿と同じだな!

ミヤ「うわー、8匹もいるじゃない」

ディアブロ「ま、その代わり一匹あたりの強さはたいした事ないぜぇ」

 何よりアイテムを既に手に入れているので、倒す必要もないのだ。

ガーゴイル(G)
戦闘力=5 精神力=5 鎧強度=2 生命力=7(全員)
打撃力=サイコロ1個+2 機敏度=4

B5_2○第1ラウンド
テツヤ:防御
ミヤ:防御
ディアブロ:緊急救出の呪文を詠唱。出目4で成功。三人ともC-1へ。

ディアブロ「おやま、一発で成功しちまった」

ガーゴイル1:ディアブロを攻撃。出目8で失敗。

テツヤ「防御を選んでない奴を攻撃する事は賢かったんだが……能力も低いしダイス運も悪いんじゃあな」

ガーゴイル2~8:5だけがB-9へ移動。他は全部北へ1マス移動。

○第2ラウンド
逃亡成功。

ミヤ「よーし、上手く切り抜けたぞっと」

テツヤ「また無傷か。今回は多少ケガしたって死ぬような事にはならんかったろうが」

ディアブロ「ま、このエリアは矢継ぎ早に危機が訪れるから、そう安心もしてられないんだぜぇ」

次に何が待ち受けるのか? それは無論、次回の話である。

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2009年10月29日 (木)

ブラッドソードリプレイ1-12 神殿の魔女

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:3 戦闘力:7+1 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:6 機敏度:8 生命力:18
装備:剣 革の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金17) 弓 矢筒 ロジ・スカイランナーの剣 オパールのメダル 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:8 機敏度:7 生命力:15
装備:六尺棒 リングメイル(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒 オパールのメダル 八角形のプリズム 八角形のプリズム

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:3 戦闘力:6 打撃力:サイコロ1個 精神力:8 機敏度:6 生命力:15
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 

クラースのダンジョンレースへ参加した三人。死者の蘇る橋での個々の死闘を切り抜けたが、次は不気味な神殿が待ち受けている……。

 断崖の橋を渡り終え、三人は古い神殿のテラスで合流した。ケガの治療や荷物の受け渡し等を終え、三人は改めて地下迷宮の突破に挑戦する。

ミヤ「決意もあらたに、いっちょいきますかあ!」

テツヤ「しかしな。ここにはケッタクソ悪いハッグどもが群れていやがる筈なんだが……」

ディアブロ「あいつらなら、ほれ、あそこにいるぜぇ」

ディアブロが指差す方では――

【項目98】
ショーが終わり、ハッグ達は大鍋の側に戻っていった。
彼女達の粘りつくような視線を感じながら、テラスを歩く。
おぞましい彼女たちの仲間が、こちらの足元に押しかけてきた。
目の腐りかけたカラス、黄色い牙をむく鼠、人間のような顔をしたイボだらけの奇形のヒキガエルといった化け物たちが、あちこちから近寄ってくる。

ミヤ「うっひゃあ、気持ち悪う! なにこれ、敵? 戦闘?」

テツヤ「実害のありそうな連中じゃねぇな。しかしペットは飼い主に似るとはよく言ったもんだ!」

ディアブロ「ま、蹴っ飛ばして進むしかないぜぇ」

かまわず通りすぎようとすると、そいつらは踵に噛みついてきた。
こんな気味悪さに耐えなければならないのなら、橋の上の戦いの方がまだマシだ。
ハッグ達は互いに喋り合い、気違いじみた笑い声をたてながら、神殿の階段の上に寝そべっている。

ミヤ「襲ってこないなら、何か話きけないかな?」

テツヤ「うさんくせぇな、あのババアどもは」

ディアブロ「ま、話す“だけ”なら無害だぜぇ。ちと声かけてみるか」

【項目212】
ミヤ「こんにちは! お婆ちゃんたち、ここで何してんの?」

こう尋ねると、彼女たちはにたりと笑ってこちらを見上げた。
その乱杭歯を見ると、吐き気を催した。

「料理をしているのさ」
一人が言って、鍋の石の蓋を開けた。
嫌な臭いが立ちのぼり、目がチクチク差すように痛む。
それを見て、ハッグ達は狂ったように笑った。
別のハッグが小走りでやって来て、尋ねた。

「味見をしてみるかい?」
彼女は湯気の立った粥を、ひしゃくですくって差し出した。

テツヤ「やっぱ先へ行く方が良さそうだな……」

「お待ち、こっちのほうが味がいいよ」
別のハッグが金切り声をあげたかと思うと、腐った片手を煮えたぎる自分の鍋の中へ突っ込んだ。

テツヤ「おい、このババアどもを斬り殺していいか?

ミヤ「叔父ちゃん、気持ちはわかるけど短気は良くないよ」

なお、ここでは魔術師が行動を起こす事が可能だ。

ディアブロ「ふむ、じゃあちっとばかり呪文を試させてもらうぜぇ?」

【項目283】
Photo (魔術師)

盲目的服従の呪文を心に準備した。
ハッグたちは疑り深い目で見守っている。

ここで呪文を判定するのだが、この項目の指示は少し解釈に戸惑うところだ。以下に本文のまま抜粋する。

呪文を無事唱える事ができたら、服従させようとした一人のハッグの抵抗ぶりをチェックせよ。
彼女の精神力は7だ。
成功したら374へ。
失敗の場合、相手のハッグは君の企てを見抜き、鍋の中身を君に向かってぶちまける。
そのため、君は生命力を1点失う。
再び呪文を唱える事ができるが、失敗するたびに生命力を1点失う。

呪文の発動に失敗する度に1点のダメージなのか。最初の1回は無条件に成功していいのか。はたまた、呪文が成功するまで唱え放題で、敵に抵抗された時だけダメージなのか。
少し迷ったが、やや厳しめに「呪文の発動失敗でも敵に抵抗されても1ダメージ」とする。ただし呪文の準備だけはノーダメージでやらせてもらう。
結果、5回ほど発動に失敗したが、6回目の詠唱で呪文が成功。幸いハッグは抵抗に失敗したので、5点のダメージで相手を服従させる事ができた。

ディアブロ「やれやれ、変な汁まみれになっちまった」

テツヤ「次の項目へ進む前によく拭いておけ……」

【項目374】
(魔術師)

ハッグは魔力の奴隷になった。
彼女は言った。

「さあ、なんでも尋ねてください。お答えしますから」
しかし彼女の生来の頑固さが、呪文と戦っている様子が目に見えるようだった。
質問を1つする暇しかなさそうだ。

ディアブロ「さて、何を訊くかねぇ」

ミヤ「他の挑戦者が気になるよ!」

ディアブロ「じゃあそれで。婆さん、ここを誰が通ったかね?」

【項目49】
(魔術師)

彼女は答えた。
「神を恐れぬイコンのワーロックが通りました。そして下劣な悪漢が二人。最後に来たのは、あの橋を渡る時に仲間を失い、一人ぼっちになった僧侶。あの男は私たちの料理の役に立ってくれましたよ」
彼女は鍋の一つをちらりと見る。
その時、服従の呪文がとけた。

ディアブロ「おっと、こいつは危ねえや」

とっさに近くの鍋のひしゃくをつかみ、毒を含んだ中味を相手の上にぶちまける。
ハッグはシューッと音をたてて溶けはじめ、灰色のどろどろした液体になってしまった。
他のハッグ達は大声で喚きたてたが、こちらの力を恐れて、何もしようとはしなかった。

ミヤ「うっわ……ちょっと酷くない?」

ディアブロ「正直、ここまでの威力がスープにあるとは思わなかったぜぇ。ま、さっき汁まみれにされた仕返しって事で」

【項目67】

テツヤ「さて、先に進むか」

ミヤ「たんま。鍋の中身が気になるよ

テツヤ「今のを見てなかったのか!? 毒だろ、それは

ディアブロ「しかしそうとは限らないんだぜぇ?

テツヤ「マジか!?」

 マジです。

【項目103】
鍋は五つ。
一つにつき金貨2枚で中味を飲ませてもらえる。

ミヤ「それで、あたしは中味を毒見できるんだよ」

 しかも無料で。

テツヤ「まぁ止めはしねぇけどな……」

【項目9】
3 (僧侶)

泡立つ緑色の液体は治療の薬。
黒い液体は“キメラのつば”という、効果がゆっくり表われる毒薬。
シューシューと泡立っている液体はキメラのつばの解毒剤。
ドロドロの緑の液体は死の毒薬。
無色の液体は分析不可能。

ミヤ「というわけだ。さ、皆で緑色のスープだけ飲もう! 見てくれは悪いけど、きっとホウレン草か何かだよ」

ディアブロ「案外、僧侶が放り込まれた鍋かもしれないぜぇ? 生命力回復術の力がダシになってるというオチでな」

テツヤ「笑えねぇからやめろ……」

【項目62】
この液体を飲んだ効果は、誰の場合も同じだ。
身体の中をエネルギーの波が走るのを感じる。
生命力を、最高点に1点加えた点にまで増やせ。
損傷を受けている場合も、この新しい最高点にまで生命力は回復する。

ミヤ「おお、なんか力が湧きあがってくるね! 無性に走りたい気分だよ!」

テツヤ「見た目はアレだが、まぁいけるな。どれもう少し……」

もう一口飲もうとすると、鍋の側にうずくまっていたハッグが、こちらの手からひしゃくをひったくった。
彼女は甲高い声で笑った。

「一人に一口だけだよ。そうしないと、身体に毒だ。おわかりだろう……」

テツヤ「そんなもんか。ま、他の鍋に手を出すつもりにはなれんし、そろそろ先へ行くぞ」

ミヤ「あいあいさあ!」

【項目481】

テツヤ「さて、神殿に向かうわけだが。よく見たら中に入らなくても横手に回れるな」

ミヤ「入らないの? なーんか残念……」

テツヤ「いや、入っても構わねぇよ。何かあるかもしれないしな」

事実、ここは最重要ポイントと言っていい。良くも悪くも、それ相応のモノが待ち構えている……。

ディアブロ「ま、恐れる事無く前進、と」

【項目298】
ハッグ達の前を通り過ぎた時、一人が聞えよがしに囁いた。
「私の鼻が嗅ぎつけたところによると、誰か勇ましい奴があっちへ行くようだよ……」
そして彼女達はどっと甲高い笑い声をたてた。

煤で汚れた階段をのぼり、神殿の柱廊へ入る。
間欠泉の光はそこまでは射し込んでいなかった。
しばらくの間、真っ暗闇の中を進む。
やがてふいに大理石の祭壇にぶつかった。
手をのばしてみると、その上には鋭いナイフと大きな石の壺があった。
壺の中には、温かくてべとべとした物があふれそうなほど入っている。
驚いた事に、それは血だった。

テツヤ「さっきのババアのたわ言といい、やっぱり魔物がまっていやがるようだな……」

ディアブロ「しょうがねぇさ。このダンジョンは挑戦者を蹴落とすための物なんだからな」

ミヤ「ねぇ。その魔物って、あれかなあ……?」

112 薄暗がりに目が慣れると、青白く光る顔が目の前に現れた。
美しい女の顔だ。
ただ、その女の肌は緑色がかっていて、顔の周りにはヘビがシューシューと音を立てながら、とぐろを巻いている。
僧侶に教わるまでもなく、そいつは人の生き血を吸うという半人半蛇の魔女エキドナだった。
九頭の蛇ヒュドラの母である彼女は、悪魔の中でも最も恐ろしい一人だ。

テツヤ「そんな神話級の悪魔が、なんで博打の対象になる競技場に飼われているんだよ!

ミヤ「不景気だから仕方なく探したお仕事がこれだったのかもしれないよ?」

ディアブロ「はは、神様の世界ってのは、負けたら悪魔の一族にされちまうような世知辛い所だからな。場末で働く羽目になる奴も出るだろうぜぇ。どうする? 試しに話してみるかい?」

テツヤ「壺いっぱいに生き血を溜めてるような奴が友好的なわけねぇだろ! 速攻だ!」

三人は古代の悪魔に挑む!

【項目129】
エキドナが、大理石の床の上を滑るようにして進んできた。

エキドナ(E)
戦闘力=8 精神力=9 鎧強度=2 生命力=40
打撃力=サイコロ2つ+2 機敏度=8
※彼女の牙は強い毒を持っている。従って、攻撃を受けてダメージを受けたときは、通常のダメージをそのキャラクターの生命力から引いた後、さらにサイコロを1つふれ。出た目が1から5なら、毒は傷口に入らない。しかし6が出たら、そのキャラクターはさらにサイコロ3つ分の生命力を失う。

機敏度が同点なので、テツヤと敵で1d6競争。テツヤ6、エキドナ5。今回はテツヤが先に動く事ができる。

テツヤ「うおおっ、コイツ強え! 能力値に全く隙が無え! しかも毒を食らえば俺らじゃほとんど即死だ!」

ミヤ「うわあ、大丈夫かなあ?」

ディアブロ「相当に高い確率で勝利できる方法があるんだが……はっきり言って格好悪いんだな、それが」

テツヤ「あるのか! よし採用だ! 格好なんぞクソの役にも立たん物はロンゲのイケメンだけが死ぬまで気にしてりゃあいい」

ディアブロ「わかった。じゃあ俺の指示通りに頼むぜぇ」

B4_2○第1ラウンド
テツヤ:防御
エキドナ:テツヤを攻撃。テツヤは防御しているので、エキドナがふるサイコロは3個。出目9で失敗。
ミヤ:D-2へ移動。
ディアブロ:F-4へ移動

テツヤ「本当にこれでいいんだな? なんか俺だけ敵の目の前に放置なんだが!」

ディアブロ「なに、危険に身を晒すのはこのラウンドで最後だぜぇ」

○第2ラウンド
テツヤ:B-4へ移動
エキドナ:C-2へ移動
ミヤ:D-3へ移動
ディアブロ:ネメシスの電光の呪文を詠唱。出目10で失敗。

テツヤ「最強の呪文か。確かにそれならコイツ相手でも有効だろうが、成功率低いだろ。間に合うのか!?」

ディアブロ「間に合うも何も、もう勝ってるぜぇ

ミヤ「へ?」

このゲームの基本ルールとして、敵が接近戦を挑むとき、一番近い者へ向かって移動する。ディアブロがテツヤおよびミヤよりも遠い場所にいるので、この状態ではエキドナはディアブロへ向かっては移動しない。
そして移動するとそれだけで1行動終わってしまい、攻撃は次のラウンドとなる。テツヤとミヤが常にエキドナの斜めマスに移動すれば、エキドナはいつまでたっても二人に攻撃を仕掛ける事はできない。
つまり、テツヤとミヤがディアブロに近づかないよう動き続ければ、全員がいっさい攻撃を受けず、かつディアブロがいくらでも呪文を詠唱できる事になる。
このゲームの魔法はMP消耗型ではなく、強い呪文=詠唱に時間がかかるというシステムだ。射程も半無限(戦闘エリアのどこにでも届く)なので、詠唱時間が無限にあるなら、事実上無制限に唱え放題だ。

テツヤ「つまり、最強呪文を長々と唱え続ける間、俺らにひたすら反復横とびを続けろと……

ディアブロ「ああ、その通りだぜぇ

7ラウンド目にネメシスの電光が炸裂。ダメージ30(被害28)。
8ラウンド目にネメシスの電光の呪文を準備。
12ラウンド目に呪文炸裂。ダメージ35(被害33)。撃破。

ディアブロ「勝ったぜぇ。まさかの無傷で大勝利だ

テツヤ「恐ろしく自慢にならねぇ勝利だな……

ミヤ「ていうかさ。これって格闘ゲームでいところのハメ技って感じじゃない?」

 まぁイカサマ無しでも、鋼鉄の笏エメラルドの御守りを使えば高確率で勝てるし、ある地点で魔術師の精神力を限界突破して上げる技を使えば何も考えなくても勝てるんだが。こういうやり方もあるよ、という事で。

【項目253】

テツヤ「ま、勝てたんだから文句はねぇ。何か無いか探すとするか」

ミヤ「おお、叔父ちゃんが久しぶりに盗賊らしい事をしてる」

暗い神殿の中で、エキドナの宝を探す事にする。
祭壇の下で見つけたのは、灰白色の金属片の入った小さな小箱一つだった。

テツヤ「なんだこりゃ?」

ミヤ「ここはあたしの知識の出番だね!」

 しかしその時、マグス・カルーゲンから受け取ったオパールのメダルが……

【項目521】
メダルの中から雇い主の声が聞こえた。
声はかすかで、遠くから聞こえてきた。

「お前達は地下深くへ達したので、交信が難しくなってきた。お前達が見つけたのはカリウムの破片だ。持って行くつもりなら、小箱の蓋をしっかり閉じておけ。カリウムは、水に濡れると爆発的な反応を起こす揮発性金属だからな」

テツヤ「おやま、助言ありがとさん。これ、通信機だったんだな」

ディアブロ「あのオッサンもたまには役に立つぜぇ」

ミヤ「むう……あたしだってそのぐらいの知識あったのに」

テツヤ「ふくれんな。一度ぐらい博徒のオッサンにいい格好させてやれよ。お前はちゃんと、何度も役にたってるからよ」

ミヤ「そう? やっぱりそう思う? もっと誉める権利をやろう!」

テツヤ「はいはい、ありがとよ。とりあえず今は先へ進もうな」

この神殿から進むルートはいくつかに分かれているのだが……それについてはまた次回で。

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2009年10月26日 (月)

ブラッドソードリプレイ1-11 死者を呼ぶ橋

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:3 戦闘力:7+1 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:6 機敏度:8 生命力:18
装備:剣 革の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金17) 弓 矢筒 ロジ・スカイランナーの剣 オパールのメダル 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:8 機敏度:7 生命力:15
装備:六尺棒 リングメイル(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒 オパールのメダル 八角形のプリズム 八角形のプリズム

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:3 戦闘力:6 打撃力:サイコロ1個 精神力:8 機敏度:6 生命力:15
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) オパールのメダル 

クラースのダンジョンレースへ参加した三人。魔術師クレフとのゲーム勝負に勝利し、さらなる地底の深部へと案内された。そこで魔物の群れを退けた三人は、地底の断崖へ降り立つ……。

【項目142】
踊り場は、洞窟の壁から突き出した広い岩棚だった。
深い谷の向こう側では、ペットのダージを殺されて、ハッグ達が怒り狂っている。

テツヤ「だったらけしかけんなよ。テメエらの無責任で他人に怒るとかバカじゃねぇの?」

ミヤ「ま、あの人達も仕事でやってるんだろうし。仕方なしとはいえ、世話してた動物がやられちゃったら心中穏やかじゃいられないんだよ」

ディアブロ「そして俺らがそれを気にしてやる義理は無い、と。さ、気にせず目の前の谷を渡るとしようぜぇ」

111_3 その谷を渡るには、神殿のテラスと岩棚の間にかかった二本の橋を行くしかない。
踊り場の中央には、滝が流れ落ちて踊り場を二分しているので、滝を越さなければ向こうの橋にはたどりつけない。
ふと見上げると、天井近くの壁に大きなガーゴイルの頭の彫刻が刻まれている。
滝はその口から流れ出して踊り場を分断し、はるか眼下の激流に流れ落ちているのだった。

ミヤ「落ちたら死ぬよね……」

テツヤ「そして易々とは渡れないような仕掛けがある、て事までは容易く想像できるぜ」

ディアブロ「ま、安心しな。洋ゲーではあるが、ブラッドソードシリーズには選択間違い=即死、なんて場面はほとんど無いぜぇ。これはじきに死ぬ、という目にならちょくちょく遭うけどな」

ミヤ「うーん、じゃあどっちを渡ればいいのかなあ?」

どちらの橋を行こうかと思案していると、地響きを立てるような声が聞こえた。
もう一度上を見上げると、ガーゴイルの口が動いている。
よく聞くうちに、なんとかその言葉が聞き分けられるようになった。
その声はくり返しくり返し節をつけて言っていた。
「お前が最も恐れるものに立ち向かえ。あるいはより恐れぬものと対決せよ」
おそらく二つの橋の事を言っているのだ。
手前の橋は、一見、なんの苦労もなしに渡れそうだった。
しかし、向こう側の橋は滝の下をくぐらなければならない。
ガーゴイルの言葉は、曖昧で意味深だ。どちらを選ぶべきなのだろう?

テツヤ「先ずは俺から行く」

ミヤ「叔父ちゃん、がんばれ!」

【項目113】
二つの橋のどっちを渡って行くかを決めなければならない。
二つはほとんど同じように見えた。
ただ遠い方の橋へは、ガーゴイルの口から流れ落ちる滝の下をくぐって行かなければならない。

テツヤ「よし、ここは手前だ」

【項目267】
Photo_3 橋の上をゆっくりと歩いていった。
その時、雷のような声が響き渡り、ふと我に返る。
「死より蘇れ」
ガーゴイルの頭が叫んでいた。
それに応えるように、前方の橋の上にぼんやりした人影が現れた。
人影が前に進み出た時、噴出した溶岩の赤い光がその男を照らし出した。
男は錦織りのガウンを身に着けていた。
そして片目に宝石を鏤めた眼帯をかけ、もう片方の目は白く濁って、見えない様子だった。
そいつは、数年前の決闘で倒した狂った魔法使い、盲目のヒュロンダスだった。
そいつの盲目を額面どおりに受け取ってはいけない事を、こちらは知っていた。
それを補って余りある別の感覚を持っているのだ。
「ヒュロンダス、お前の待ち望んでいた敵が橋を渡ろうとしている。やつを食い止めろ。そして生き返るのだ」
ガーゴイルの頭が言った。
「俺の待ち望んだ敵か。ついに復讐の時が来た……」
ヒュロンダスは悪意のこもった声で言った。

テツヤ「チッ、戦闘かよ。なんとか楽に切り抜けられればいいんだが……」

 手前の橋は、各クラスのキャラクターに因縁のある敵が登場する。どの敵もこちらのランクにあわせて能力調節がなされ、こちらが強い時は相応に強くなる。ランクに関わりなく難敵なのだ。
 一応、盗賊には戦闘せずに切り抜ける方法もある。身軽さを利用し、敵を飛び越えられるのだ。機敏度で判定を行うのだが、問題は失敗すれば即死というリスクの高さ。テツヤの機敏度は8なので、成功率は7割程度だ。

テツヤ「3割の確率で即死か。ちょっと勘弁願いたいぜ……」

 ならば正面きって戦うしかない。

【項目171】
ヒュロンダスは、こちらのどんな動きも見逃すまいと、鼻をきかせ、耳をそばだてながら、そっと近寄ってきた。
背後には既にエネルギーの障壁ができていて、後退は許されなかった。
奴の待ち望んでいた決闘を受けて立つしかないのだ。

 狭い橋の上、後退も前進もできないので戦闘MAPは無い。小細工もできない力比べである。

ヒュロンダス
戦闘力=7 精神力=7※ 鎧強度=0 生命力=18
打撃力=サイコロ1個+1 機敏度=7
※ヒュロンダスは既にソードスラストの呪文を準備している(本来の精神力は8)。呪文が成功した後は、ヒュロンダスは通常の攻撃で戦う。

テツヤ「なかなか面倒な相手だぜ。けど悪い、こっちの準備は万全でな」

ロジ・スカイランナーの剣で戦闘力を補強し、鋼鉄の笏で追い込まれた時の逆転手段を確保しており、エメラルドの御守りで万が一の保険もある。どの程度消費するかはともかく、結果が勝利である事だけは疑いようがない。

○第1ラウンド
テツヤ:ヒュロンダスに攻撃。ダイス目7で成功。ダメージ6。残り12点。
ヒュロンダス:ソードスラストの呪文を詠唱。ダイス目6で失敗。
テツヤ(ダブルアクション):ヒュロンダスに攻撃。ダイス目3で成功。ダメージ5。残り7点。

○第2ラウンド
テツヤ:ヒュロンダスに攻撃。ダイス目9で失敗。
ヒュロンダス:ソードスラストの呪文を詠唱。ダイス目7で失敗。

○第3ラウンド
テツヤ:ヒュロンダスに攻撃。ダイス目5で成功。ダメージ2。残り5点。
ヒュロンダス:ソードスラストの呪文を詠唱。ダイス目7で成功。ダメージ10(被害8)。残り10点。

テツヤ「一発で半分近く持っていかれたか! だが時既に遅しって所だな」

○第4ラウンド
テツヤ:ヒュロンダスに攻撃。ダイス目6で成功。ダメージ5。撃破。

ヒュロンダス「ぬうぅう……! 無念……」

テツヤ「悪いな。愚痴は地獄の鬼相手に言っといてくれ」

くずおれて動かなくなるヒュロンダスを跨ぎ、振り向きもせずに対岸へ向かうテツヤ。

【項目88】
橋を渡りきり、テラスの上に立った。
ハッグ達はこちらを見ていたが、近づこうとはしなかった。

テツヤ「ふん、自分らが挑んでくるわけじゃねぇのかよ。さて、後の二人を待つとするか」

【項目494】
Photo_4 ディアブロ「テツヤの奴、無事に渡ったようだぜぇ」

ミヤ「よし、叔父ちゃんに続くよ!」

ディアブロ「ああそうだな。と、ここは俺が先に行かせてもらうぜぇ。後、これを預かってくれ」

 ディアブロはミヤに、剣と鎧以外の所持品全てを渡す。

ミヤ「???」

 首をかしげるミヤを尻目に、ディアブロは気軽な足取りで橋へ向かった。まずは白い火の呪文を準備。そして目指すは滝をくぐる方だ。

滝の中に踏み込んだ時、ひりひりするような奇妙な痛みを感じた。
滝の向こう側に出てみると、鎧と剣以外の所持品が全て無くなっていた。
幸先が悪いな、と思いながら、橋の上に足を踏み出した。

ディアブロ「ま、俺は剣と鎧しか持っていなかったから、何も無くしてないけどな

そのとき、橋の向こうから若い女がやってきた。
女は自分の髪をもてあそび、美しいドレスに触れて得意げに高笑いしながら進んできた。
「私の魔力を証明するために、死んでもらいます」
近づきながら女は言った。

ディアブロ「おやま、これは困った。若い女とは、死んじまうには勿体ないねぇ。ま、俺の命に比べればそうでもないけど」

ディアブロは平気な顔で攻撃呪文の詠唱を始めた。
若い女だろうが御釜だろうが、遠慮しない程度の神経はとうの昔から持っていた。

若い女
戦闘力=6 精神力=7 鎧強度=0 生命力=5
打撃力=サイコロ1個-2 機敏度=6
女は白い火の魔法を使って戦う。戦闘前、彼女は呪文を準備していない。

機敏度が互角なので1d6勝負で先攻を決める。ディアブロは2、女は5。残念ながら先手を打たれてしまった。とはいえ、ここまで弱い相手ならさほど問題にならないだろう。

○第1ラウンド
女:白い火の呪文を準備。
ディアブロ:白い火の呪文を詠唱。ダイス目9で失敗。

○第2ラウンド
女:白い火の呪文を詠唱。ダイス目7で失敗。
ディアブロ:白い火の呪文を詠唱。ダイス目7で成功。ダメージ5。撃破。

猛火が女を包み、断末魔をあげさせる。橋から落下する火達磨を尻目に、ディアブロは肩をすくめて橋を渡った。

テツヤ「無事に渡れたみたいだな」

ディアブロ「まぁな。簡単なもんだったぜぇ?」

滝をくぐる橋は、所持品を紛失する代わりに敵が弱い。よってパーティを組んでいるなら、メンバーの一人ないし二人は仲間に道具を預ける事で安全にここを通過できるのである。魔術師と戦士は因縁の敵が相手でも真っ向勝負するしかないので、この橋を渡る時には仲間の存在が大きな鍵となるのだ。

【項目157】
3_3 ミヤ「後はあたしかあ。むう、荷物を預ける相手もいないし、これは手前の橋しかないよね……」

手前の橋の上を進んでいった。
見下ろすと、百メートルも下の谷底を毒の川が激しい音を立てて流れている。
橋の中間点へ達した時、ガーゴイルの頭が再び喋った。
「再び息を吹き返せ」
それに応えるかのように、前方の橋の上に黒い影が現れた。
数分後、それは痩せて青ざめた女の姿になっていた。
女は破れた黒いドレスの下から鋭い鉄の剣を引き抜き、こちらへと進んできた。
こちらが得物を構えたのを見て、女の目は微かに輝いた。
その女は悪魔を母に、人間を父に持つネメシスだった。
六年前に殺したはずの、最も苦手とする敵だ。

テツヤ「なるほど。ミヤが九歳の時に倒した敵か。戦闘方法は口喧嘩か泥団子の投げ合いって所かよ」

ディアブロ「いやいや、殺した、とはっきり書いてあるぜぇ。九歳児ながら得物で殴り合ったわけだな」

テツヤ「サイコ臭え! キャラの年齢を十代に設定する事を作者は想定してなかったらしいな……」

「生と死は不変ではない。戦って、いずれか生者を決めよ」
ガーゴイルが低い声で言った。
ネメシスは軽く腰をかがめたかと思うと、やにわに襲いかかってきた。
彼女の剣がこちらの腕を直撃する。
(ダメージ4:被害2)。

ミヤ「うっわ、不意打ち卑怯! よし、あたしもここで超能力だ」

 この場面では僧侶の浮遊術を試す事が可能なのだ。

【項目282】
空中浮遊術は、学んだ超能力の中でも最も難しいものに入る。
それを行うには、大きさと重さの存在を忘れなくてはならない。
物質世界に囲まれた者にとって、これは容易い事ではない。
雑念を心から追い払う……。

 敵の死を望むか、勝ち負けに拘らない事にするか。それにより術の成否が決まる。

ミヤ「うん、拘らない事にしよう。自分が生き残れればそれでいいもんね」

【項目173】
全てを超越した境地に達した。
物質界は今も周りを取り巻いていたが、それを乗り越えて、解脱の境地へ達した。
そして重力の糸から切り離されたかと思うと、体はふわりと空中を漂いはじめた。
澄みきった境地から無私の心で下界を見下ろすと、こちら目指して突っ込んできた相手が、そのまま橋から谷底へ落ちていくのが見えた。
それがこちらを物質界へ引き戻した。
体が橋の上へゆっくりと降り立った。
谷底をのぞくと、相手の死体が激流に押し流されていく。
ため息をつき、橋の上を渡って行った。

ミヤ「あーあ。結局、ネメシスちゃんは死んじゃったか。何も喋らずに刃物ばかり振り回す困った子だったけど……

 少々後味が悪かったが、ミヤも橋を渡りきる。神殿のテラスにて全員集合。

ミヤ「おまたせー!」

テツヤ「よし、荷物と隊列を元通りにしたら先へ進むぞ」

 神殿で待ち受ける物は何か? それは次回のお話。

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2009年10月21日 (水)

ブラッドソードリプレイ1-10 金のスパイラル

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:3 戦闘力:7+1 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:6 機敏度:8 生命力:18
装備:剣 革の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金17) 弓 矢筒 ロジ・スカイランナーの剣 オパールのメダル 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:8 機敏度:7 生命力:15
装備:六尺棒 リングメイル(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒 オパールのメダル 八角形のプリズム 

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:3 戦闘力:6 打撃力:サイコロ1個 精神力:8 機敏度:6 生命力:15
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) オパールのメダル 

 クラースのダンジョンレースへ参加した三人。魔物のたむろする通路を強行突破して死にかけるも首の皮一枚差でなんとか生存。壊滅の危機を辛くも突破した三人は、長い廊下を進むことにした……。

【項目503】
廊下をとぼとぼと歩いて進む。
何キロも歩いたかと思われたとき、天井に、こじ開けられた格子窓を見つけた。
別の冒険者がそこを通ったのかもしれない。
しかし、窓は高すぎて手が届かない。

テツヤ「多分、先んじて進んでいる奴がいるって事だよな」

ミヤ「その人もここを延々と歩かされたんだよね……。長いよー。キロ単位を歩かせる通路が、なんでダンジョンに必要なの?

ディアブロ「請け負った建築業者が通路をメートルあたりなんぼという勘定で契約したからだと見たぜぇ」

テツヤ「どこの道路工事だよそれは」

さらに進むと、廊下の片側にオパールの鋲の打たれた鉄の扉があった。
オパールの一つが抜き取られている。
足元を見ると、べとべとした液体が水たまりをつくっていて、その中で、抜き取られたオパールが不気味な光を放っている。
扉は開けられなかったので、そのまま廊下を進み続ける。

ミヤ「やっと扉があったけど、開かないし光景はわけわかんない」

テツヤ「宝石で飾った扉なんぞ、普通なら何か意味のある場所なんだが……行けないなら仕方ねぇ」

やがて、ゴシック様式のアーチに飾られたホールに出た。
そこから廊下は二方向に分かれていた。
分岐点の上の壁は何かの彫刻で飾られていた。
よく見ると、それは人の頭を象っていて、その横顔は左手を向いていた。

テツヤ「左へ行けって事か?」

ミヤ「じゃあ行こうよ」

ディアブロ「罠は疑わなくていいのかねぇ?」

ミヤ「そう思わせる事が罠かもしれないじゃない。でもさらに裏かいてるかもしれないね。もしかしたらさらに裏を……というわけで、考えても仕方ないよ

テツヤ「お前、今結論を先に考えて喋らなかっただろうな?

 とはいえ特に異論もない。三人は左へ歩を進める。

【項目249】
110 通路の壁には、血なまぐさい戦いを続ける剣闘士の姿が描かれていた。
通路のはずれには階段があり、それを降りると巨大な地下闘技場だった。
周りには段状の観覧席が設けられている。
天井の煙突のようなところから、薄明るい陽の光が射している。
そして低い壇の上には、シマメノウのテーブルにもたれかかるようにして、痩せた男が座っている。

テツヤ「奴が対戦相手って所か?」

ミヤ「或いは相手を用意する進行係かもね」

着ているローブは純金のように輝き、肌は黒檀のように黒光りしている。
そいつは、闘技場へ入ってきたこちらを見上げると、しばらくの間、長い眠りから覚めたばかりのような状態で、黙って見ていた。
それから、おもむろに口を開いた。
「お前らが初めてというわけじゃないが、よくここまでたどりつけたもんだ。今度は大きな難関だぞ。これは知恵くらべでも、剣や魔法の戦いでもない。おまえは、あるゲームでわしを倒さなければならんのだ……」

テツヤ「まさかのゲームバトルかよ。闘技場を設ける意味ねぇだろ」

ミヤ「むむ。しかし結構な強敵とみた」

ディアブロ「そりゃあ苦手なゲームで挑む奴はいないだろうな。でもこっちは受けてたつしか無さそうだぜぇ?」

 なにせ、先に進む道が無いのだ。前進するためには彼と勝負するしかないのである。

【項目26】
男はテーブルの上に両手を広げた。
それから、両手を引っ込めると、きらきらと輝く十四枚の金貨がテーブルの上に現れた。
七枚は男の前に、後の七枚はこちらの前に一列に並んでいる。
そばにはサイコロが一つずつ置かれている。
金貨は全て表向きになっていた。
「わしの名はクレフ。このゲームのチャンピオンだ。このゲームは“金のスパイラル”という。これから説明するから、よく聞くがいい。

我々はスパイラルと呼ぶ勝負をくり返す。最初のスパイラルで、わしは秘かにサイコロの目を選び、それを手の下に隠す。そちらも同じ事をする。そして互いのサイコロを見せ合う。

わしの選んだ数が大きかった場合、そちらは、二人の差に相当する枚数の金貨を失う。その金貨はわしの物になるわけではなく、脇へよける。一方、わしは金貨は失わないが、自分のサイコロに示した数に相当する枚数の金貨を裏返さなくてはならない。つまり、わしが手の下にサイコロ4の目を出しておき、そちらが3の目を出しておいた場合、そちらは金貨一枚を失い、わしは四枚の金貨を裏返すことになるわけだ。

次のラウンドはリカバリーから始まる。これはつまり、裏返しになっていた金貨を持っているプレイヤーは、そのうちの一枚を表に返す事ができるというルールだ。そして我々はさっきと同じように数字を選ぶ。こうやってプレイを続け、どちらかのプレイヤーの前に表向きの金貨が一枚も無くなったとき、彼の負けになるわけだ」

テツヤ「ただでかい目を出せばいいってもんじゃないんだな。自分の損失も考えながらやれ、と

ディアブロ「だが裏返しの金貨は時間経過で表がえる。これも考慮すべきだな」

ミヤ「むむ……ちょっとこんがらがってきたぞ」

「覚えておいてもらわなければならないルールが、あと三つある。そちらがサイコロに示す数は、そちらの前の表向きの金貨の枚数より多くてはいけない。つまり我々は、どちらも、最初のスパイラルでは1から6の数字を選ぶ事ができる。スタートの時点では、互いに七枚の金貨を持ち、全部が表を向いているからな。だが、ゲームが進んで、例えばわしの前に表向きの金貨が五枚しかないとすると、その時わしは1から4の数しか選べない事になるわけだ」

ミヤ「あ、これは説明がちょい間違いだよね? “多くてはいけない”じゃなくて“少なくないといけない”だよ

テツヤ「そうだな。ま、誰でも言い間違いはあるだろ。例をあげながらだから、本当のルールは伝わったじゃねぇか」

「次に、二人が同じ数を選んでいた場合、そのスパイラルは勝負なしで、二人とも失う物はない。

最後に、金貨を失う時は、残る金貨のうち表向きの物の中から出すこと。

以上だ。プレイのやり方がわかったかな?」

テツヤ「俺は了解」

ミヤ「多分OKだよ」

ディアブロ「それじゃ、始めますか」

【項目15】
「結構」
クレフはそう言うと、さっそくほっそりした手の下にサイコロを隠した。
そして最初の目を何にしようかと考えながら、テーブルの向こうからこちらに笑いかけた。

テツヤ「さて、どうするか……大きすぎても少なすぎても首を絞める事になるな」

ミヤ「て言うか、はっきりいってカン勝負だよね、これ」

ディアブロ「ま、ここは俺が遠慮なく……」

 ディアブロがサイコロを手に取り、4の目にして掌に隠す。そして合図一つ、クレフと同時にサイコロを見せ合った。

【項目20】
クレフのサイコロの目は5だった。

ミヤ「という事は……ええと?」

【項目35】
こちらの勝ちだ。クレフもそれを知っていた。
次のスパイラルのリカバリーの結果、彼は表が三枚と裏が四枚になっていた。
こちらの前には金貨が六枚しかなかった。
だがそれらは全て表を向いている。
今度彼が選べる数はせいぜい2だ。
こちらが5を選べば、彼はこのゲームを落とすことになる。

テツヤ「あれま。一発勝負じゃねぇか」

 この“金のスパイラル”にはかなりの項目が割いてあり、実は様々なパターンの勝負を楽しめる。しかしこのリプレイ、基本イカサマ無しで進めるため、唯一自分が覚えている勝ちパターンを使わせてもらった。まぁ勝てる物をわざと負ける意味も無いので……。

【項目85】
クレフは苦笑いを浮かべてこちらを見た。
「これまでに、このゲームでわしを負かした者はなかった。わしの嬉しさは、どんな褒美を与えても表しつくせないほどだ。だが、そちらがきっと興味を持つはずの品が二つある」

彼はテーブルの上に二つの物を置いた。
一つは色ガラスでできた
八角形のプリズム、もう一つは青い光を放つ氷の宝石だった。

ミヤ「プリズムは二つ目だね」

「どちらも持って行くがいい。さあ、さらに地下深くの洞窟へ入っていく準備をしろ……」
彼の指先から輝く光線が放たれ、こちらの周りにエネルギーの網ができた。
一瞬ひるんだが、すぐにその光線が危害を加えない事がわかる。
一体、これは何なのだろう?

そう思った時、自分の身体が床の中に沈みはじめているのに気づいた!

テツヤ「おおっ!?」

ディアブロ「ある種の転移魔法みたいだな

ミヤ「というか、クレフさん、魔術師だったんだ? カルーゲンさんといい、博打好きの魔術師さんが多いなー」

【項目5】
幽霊のように岩を通り抜ける間、肌に感じたのは微かな冷気だけだった。
まるで、濃くて冷たいタールの中に沈んでいく、といった感じだった。

ミヤ「でも息はできるんだ?」

ディアブロ「冥界だの魔界だの異次元だのにでも空気はあるからな。ファンタジー世界では水中ぐらいしか呼吸の心配は無いぜぇ

テツヤ「普通に考えりゃ呪文で保護されてるんだろ……」

クレフの呪文によって、さらに地底深いダンジョンへと転送されていく。
ゴツゴツした岩の天井を抜け、荒削りの階段の上にゆっくり降りる。
下からは、息のつまるような湿った熱風が吹き上げてくる。

【項目356】
階段を降りると、まもなく危険な岩棚に出た。
巨大な地下洞窟の壁から突き出している岩棚だ。
畏敬の念に打たれて、目の前に広がる、この世の物とは思えないパノラマをしばらく眺める。
洞窟は奥行きが二キロメートル以上、天井の高さは、場所によっては百メートル以上もありそうだった。
眼下には休火山の巨大なクレーターが見える。
裂け目から溶岩がふつふつと沸き出し、そこからさす赤黒い光が洞窟を照らしている。

ミヤ「ええっ? このダンジョン、火山の上に造られてるの!?

テツヤ「……おい、上を見てみな。もっと驚く事があるぜ」

天井は巨大な玄武岩の柱に支えられていた。
カルーゲンの砦の土台の下にいるのだ。
魔力がこの飢えた火山をおとなしく沈黙させているのだと思うと、ぞっとした。
岩天井のあちこちに口を開けた裂け目からは、有毒な液体がしたたり落ちている。
その裂け目は、砦の下水道の出口なのだ。
したたり落ちた汚水が火山の炎に当たって、ボッと緑色の光を発している。

ミヤ「えええっ!? カルーゲンさん、自分の家を火口の真上に建ててたんだ!? 度胸ありすぎでしょー! 魔力がきれちゃったら木端微塵だよ!」

ディアブロ「それを怖がるどころか、汚水処理に使っているぜぇ。あのオッサン、博打好きが高じるあまり自分の人生賭けて博打やりたくなったのかもな

テツヤ「付き合わされる使用人達は偉い迷惑だな……。給料はいくらなんだ?」

クレーターの底は、白緑色のもやが渦巻き、赤い火花以外何も見えない。
もやの海の中からは、三つの山が突き出ている。
その一つと、いま自分がいる岩棚のすぐ下の踊り場とは、二本の幅の狭い橋で繋がっている。
だが、それを渡るのは容易ではなさそうだった。
一歩踏み誤れば、汚水の激流がごうごうと音を立てて流れる谷間へ真っ逆さまだ。

テツヤ「激流ができるほど大量の汚水か。街の下水を直結させてやがるな

ディブアロ「カーカバードのカレーの街より、清潔度も危険度も格段に上だぜぇ」

橋を渡ったところには、油煙で黒く煤けた神殿が見えた。
岩棚を降りかけると、神殿の前のテラスに、ファウル・ハッグ達が出てきた。
こちらを歓迎しようというのだろうか?
いや、違う。彼女達は、澱んだ空気の中を舞い降りてくる翼のあるダージに注目しているのだ。
彼女達はショーを見るために出てきたのだ!
そして彼女達の喜ぶ見世物を提供するのは、おそらくこちら自身なのだと気づく。

テツヤ「ハッグて何だ?」

ミヤ「魔女のお婆さんだよ。まあ邪悪だと見て間違いないね」

テツヤ「で、ダージてのは?」

ミヤ「知んない」

テツヤ「チッ。まぁロクでもねぇ化け物なんだろうとは予想つくぜ」

【項目318】
ダージ達は高く舞い上がりながら、空腹そうな金切り声をあげた。
その煤けた連中は、はるか下方の間欠泉から立ちのぼる、嫌な臭いのする熱風の上を飛び続けた。
生死を賭けた戦いを見物に集まったハッグ達に、憎しみの一瞥を投げてやる。
彼女達はぺちゃくちゃと喋りあっている。
しかし谷間を流れる激流の音にかき消されて、その声はこちらの耳には届かなかった。

テツヤ「6匹ほどか……ちと面倒な数だな。正面から戦うのは避けたい所だ」

ディアブロ「職業別の行動はこの項目には無いが、アイテムは使えるぜぇ」

ミヤ「じゃあ何か役立つ道具を探そっか」

【項目89】

ディアブロ「さて、ここに取りだした氷の宝石。こいつをほうり投げてみるとします」

ミヤ「よーし、景気よくやっちゃえ!」

ディアブロ「おやま。君は女の子なのに、こういう物は惜しくないかね?」

ミヤ「宝石とか普通に好きだよ? 食べる物ほどじゃないけど

テツヤ「お前って奴は……」

ディアブロ「ま、ゲームのアイテムを惜しまれても面倒だし。そんじゃ投げるぜぇ」

【項目99】
祈りをこめながら、氷の宝石を岩棚から放り投げる。
すると、熱い空気の流れがたちまち冷たくなった。
高く飛んでいたダージ達は、あっというまにバランスを失って、はるか眼下の谷間を流れる激流の中へ、きりもみ状態になって落ちていった。
ほっと安堵のため息をつきながら、岩棚の下へ降りていくことにする。

ミヤ「よっしゃ、成功だね! でも気流が変わるほどの凍気が篭められているなんて、物騒な石だったんだね

ディアブロ「何かの拍子に暴発したら全滅の危機だな」

テツヤ「役に立ったんなら上等だ。よし、下まで降りて先へ進むぞ」

新たな地底世界で何が待ち受けるのか。それは次回で。

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2009年10月18日 (日)

ブラッドソードリプレイ1-9 夜の妖精

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:3 戦闘力:7+1 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:6 機敏度:8 生命力:18
装備:剣 革の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金17) 弓 矢筒 ロジ・スカイランナーの剣 オパールのメダル 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:8 機敏度:7 生命力:15
装備:六尺棒 リングメイル(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒 オパールのメダル 銅の鍵

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:3 戦闘力:6 打撃力:サイコロ1個 精神力:8 機敏度:6 生命力:15
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) オパールのメダル 

 クラースのダンジョンレースへ参加した三人。不死の魔物と戦いながらも不気味な地底湖を渡りきる。だがダンジョンはまだまだ奥へと続いているのだ……。

【項目152】
桟橋からは石造りのトンネルが前方に延びていた。
それを進むと、やがて小さな円形の部屋に出た。
部屋には二つの出口があった。
一方の出口は真っ正面にあり、ほぼ長方形に岩をくりぬき、鉄格子がはめ込んである。
鉄格子には鉄の鎖と南京錠が取り付けられている。

ミヤ「叔父ちゃん、さっそく鍵開けだ!」

テツヤ「どれどれ……こいつはちと開きそうにねぇな」

ミヤ「えー。ガッツが足りないよ」

ディアブロ「焦らなくても、もう片方を見てからでもいいと思うぜぇ?」

もう一つの出口は右手にあり、アーチ形をしていて、松明に照らされた短い廊下の先には、一つの扉が見えた。
廊下の両側には深いアルコーブ(岩壁の入り込み)がいくつも並んでいる。

テツヤ「こっちに来いと言わんばかりだな。しかも、いかにも敵が隠れてそうな場所まで設けてよ」

ミヤ「ところで、あっちの鉄格子だけど。ここに来る途中で、銅の鍵を一つ拾ったよね? あれ使おうよ」

ディアブロ「ま、拾ったもんは試さないとな」

【項目221】
鍵をとり出して、南京錠に差し込む。
思った通り、鉄格子は開いた。
そのとき、右手の廊下から不気味なうなり声が聞こえてきた。
そっちへ目をやると、アルコーブの奥から、前かがみになった灰色の化け物の一団が姿を現していた。

ミヤ「やった! けどピンチ! というか、あっちで待ってたんなら、鍵が開いたからってこっちに出て来ないで欲しいなあ!」

ディアブロ「鉄格子の中には今すぐにでも逃げ込めるぜぇ? ま、逃げ切れるとも限らんし、一応白い火の呪文を準備しとくかね」

テツヤ「……ん? ちょっと待った

【項目209】
最初は気付かなかったが、不気味な化け物達はそれぞれのアルコーブの壁に片足を繋がれていた。
鎖は、彼らが廊下まで出られる十分な長さがあった。
だが、鉄格子とその壁は繋がっているようで、鉄格子を開けたとたん、鎖はそれ以上伸びなくなった。
化け物たちはアルコーブから半身を乗り出したまま、それ以上延びない足首の鎖をねじ切ろうと、やっきになっていた。
彼らの歯ぎしりが聞こえた。

ディアブロ「勝手に出歩かねえようにされてるらしいな。よほど素行の悪い連中なんだろうぜぇ

テツヤ「化け物どもが通路の真ん中までこれねぇなら、走って突破もできそうだな。向こうの扉へ入る事も、できねぇわけじゃなさそうだが……」

ミヤ「せっかくこっち開けたのに? あ……でも、守衛を配置してるぐらいなら、何か値打ち物とか置いてあるかも!」

テツヤ「そうだな。おもしれえ、ひとっ走りするか。おい、これ」

 エメラルドの御守り(蘇生アイテム)をミヤに渡しておく。全員が攻撃にさらされるなら、HPが多めのテツヤよりもミヤの方に保険をかけるべきだと判断したのだ。

ミヤ「おお! 叔父ちゃん、ありがとう!」

ディアブロ「俺は……?」

テツヤ「一つしか無いんだからしょうがねぇだろ。ほれ、行くぞ」

【項目388】
右手の廊下を突進する。灰色の化け物は、こちらにつかみかかろうと、金切り声をあげながら身を乗り出した。
そのうちの六匹が、鎖を引き延ばす事に成功して、こちらに襲いかかってきた。

テツヤ「とはいえまん前で遮る事はできねぇようだな! このまま突っ切る!」

ディアブロ「ひええ、こいつは思ったよりハードだぜぇ」

 三人は6回攻撃を受ける。走りながら身をかわす事ができるので、敵がふる命中判定のサイコロは3個。化け物の戦闘力は7、打撃力はサイコロ3個だ。
 結果はとんでもない事に。テツヤとミヤが1発ずつ、ディブアロが2発くらった。

ディアブロ「ギャースッ!」

ミヤ「うわー! ディアブロが死んだー!」

 しかし威力はいまいちふるわず、ダメージは6点と11点。鎧強度を差し引いて合計13なので、残り2点でなんとか生きている。
 そのぶんかどうか知らないが、敵の攻撃はテツヤとミヤには重い一撃を放ち、テツヤに13(実ダメージ11)、ミヤには14(実ダメージ12)。全員が残り生命力1ケタという惨状に! 期待値どおりならもう少しマシな筈だが……と思いつつ、奥の扉へ転がり込んだ。

【項目31】
扉を開けると、そこは小さな洞穴だった。
石の床の上には死体が転がっている。
カルーゲンの衛兵だ。おそらく、悪魔のような主人に馬鹿げた自殺的任務を与えられて、この地底世界に送り込まれたのだろう。

彼は手の中に何かを握りしめていた。
それは色ガラスでできた
八角形のプリズムだった。

ミヤ「この人、ここにこれを持ってくるためだけに死んじゃったのかな……」

テツヤ「それこそ、魔法か何かで送ればよさそうなものなのにな。しかし明日は我が身だぜ」

 ボロボロの状態を立て直そうにも、ミヤの生命力も残り3点しかない。僧侶の回復術は本人の生命力を使って実行し、3分の1の確率で消耗するのみで終わる。後がない状態では、決して馬鹿にできない確率だ……。

ディアブロ「ま、ほぼ確実に立て直せるけどな

テツヤ「なに楽観視してんだ。確率的には分があるが、1点ずつ消費を2回しか試せな……」

ディアブロ「いや、エメラルドの御守りで蘇生できるから死ぬまで消費できる。つうかむしろ、一度死んで蘇生し、生命力を満タンにした方が早いくらい……

テツヤ「そんなバカな回復方法があるかボケがー!

ミヤ「でもそれしか無いなら仕方ないよ、叔父ちゃん。まずは残り3点、全部回復術に費やすよ! サイコロ様、お願い!」

テツヤ「マジかー!」

 さすがに一発勝負をする気にはなれないので、1点消費3回として3個ふる。出目は2・2・6。1か2なら無駄消耗なので、3点消費1発勝負なら本当に死んでいた。
 この後、元手の小さい回復判定を延々と繰り返し、相当に時間はかかったが全員の生命力を最大まで回復できた。

ミヤ「ふえー、しんどい。なんとか立て直したよ……」

テツヤ「偉いぞ、よくやったな。疲れただろ、しばらく休憩しとけ」

ディアブロ「生命力は満タンなんだからゲーム的にはピンピンしてる筈だぜぇ」

テツヤ「しばくぞ。黙れ

洞穴には別の出口はなかったが、傍らに大理石の祭壇があった。

死の通路を引き返す気にはならなかったので、三人は祭壇へ乗ってみる。すると……

【項目386】
壇上に登ると、眩暈が襲った。
洞穴は闇の中に消え去り、この世のものと思えぬ色と音の中を押し流されていくのを感じる。
まもなく、ふと我に返ると、再び固い地面の上に立っていた。
渦巻く光が消えると、長い廊下のはずれにいる事がわかった。
そこがどこだか見当もつかない。
しかしそんな詮索は後回しだ。
四人のナイト・エルフに取り囲まれているのだ。
指先で魔法を操る、すらりと背の高い妖精だ。
彼らは既に身構えていた。

B3_2

ナイト・エルフ(E)
戦闘力=7 精神力=6 鎧強度=1 生命力=6(四人とも同じ) 
打撃力=サイコロ1個+1 機敏度=7
※彼らは全員、ナイトハウルの呪文を既に準備している。各ラウンドでは、エルフのうち一人が魔法をかけようとする。他の三人は普通に戦う。呪文をかける事に成功したエルフは、次のラウンドからは普通に戦う。そして別のエルフが魔法を試みる。失敗した場合は、同じエルフが再び魔法をかけようと試みる。

テツヤ「チッ、敵か!」

ミヤ「あ、ディアブロが呪文の準備してないんじゃ……」

ディアブロ「してるぜぇ? 死の廊下へ入る前にな。解除の宣言はしてないからまだ有効だ。それよりミヤと敵の機敏度が五分だから競争だぜ」

1d6勝負。面倒なので敵はひとまとめ(今後もそうします)。結果、ミヤ4・敵3でミヤが先に動く。

○第1ラウンド
テツヤ:エルフ1に攻撃。ダイス目6で成功。ダメージ5(実ダメージ4)。残り2点。
ミヤ:エルフ2に攻撃。ダイス目12で失敗。

ミヤ「ところで、敵さんは誰が呪文を唱えるの?」

テツヤ「まぁランダムで決定だな」

 結果、まずはエルフ3から呪文を唱えだした。

エルフ1:テツヤを攻撃。ダイス目7で失敗。

ミヤ「あれ? 戦闘力7だから命中じゃあ……」

テツヤ「盗賊の“身をかわす技術”で、敵はダイス目に+1して判定なんだよ」

ミヤ「あ、そっか」

エルフ2:ミヤを攻撃。ダイス目9で失敗。
エルフ3:ナイトハウルの呪文を詠唱。ダイス目12で失敗。
エルフ4:ディアブロを攻撃。ダイス目9で失敗。
ディアブロ:白い火の呪文を詠唱。ダイス目6で成功。エルフ3にダメージ10(実ダメージ9)。撃破。

ディアブロ「おおっと好調! 汚物は消毒だぜぇヒャッハー!」

テツヤ「敵の数が多いな。俺も最初にエンジンかけておくか」

テツヤ:ダブルアクションでエルフ1に攻撃。ダイス目4で成功。ダメージ2(実ダメージ1)。残り1点。

テツヤ「うっ、ダメージが腐ってやがる……」

ミヤ「幸先悪いなー」

○第2ラウンド
テツヤ:エルフ1に攻撃。ダイス目3で成功。ダメージ5(実ダメージ4)。撃破。

テツヤ「よし、残り2匹! 半分いったぜ!」

ミヤ「よーし、あたしも!」

ミヤ:エルフ2に攻撃。ダイス目6で成功。ダメージ6(実ダメージ5)。残り1点。

ミヤ「あーん、惜しい!」

ディアブロ「敵の反撃だな。一匹は呪文に成功するまで挑戦する、と……」

エルフ2:ナイトハウルの呪文を詠唱。ダイス目7で失敗。
エルフ4:ディアブロを攻撃。ダイス目8で失敗。
ディアブロ:白い火の呪文を準備。

○第3ラウンド
テツヤ:エルフ2に射撃。ダイス目8で失敗。

テツヤ「うおっ、初めて弓を使ってみたが、なんか当たらねえ!」

ミヤ:エルフ2に攻撃。ダイス目12で失敗。
エルフ2:ナイトハウルの呪文を詠唱。ダイス目6で成功。目標テツヤ。抵抗判定のダイス目は2、抵抗に成功。

テツヤ「やっべ、目をつけられたか?」

ミヤ「しっかし、2とか12とか、今日は出目が極端だよ」

エルフ4:ディアブロを攻撃。ダイス目8で失敗。
ディアブロ:白い火の呪文を詠唱。ダイス目7で失敗。

○第4ラウンド
テツヤ:エルフ2に射撃。ダイス目6で成功。ダメージ3(実ダメージ2)。撃破。

テツヤ「あと一匹!」

ミヤ「よし、あたしも!」

ミヤ:エルフ2に射撃。ダイス目10で失敗。

ミヤ「初めては不手際があるもんだよ」

テツヤ「まぁな……」

エルフ4:ナイトハウルの呪文を詠唱。ダイス目7で失敗。
ディアブロ:白い火の呪文を詠唱。ダイス目7で成功。ダメージ11(実ダメージ10)。撃破。

ミヤ「あらら。終わってみたら無傷で勝利だよ。圧勝?」

ディアブロ「圧倒的だな、我が軍は」

テツヤ「へっ、生命力1ケタの相手に苦戦してたら先が思いやられるぜ」

 無傷の勝利にいつもより余裕のある三人。しかし……

【項目518】
最後のナイトエルフを片づけると、そいつは死ぬまぎわに妖精の言葉で何かを囁いた。
すると、しめった霧がこちらの周りに立ち込め、恐ろしい幽霊のようなものが周りじゅうに姿を現した。

テツヤ「チッ、最後っ屁か! しかしこいつは何なんだ?」

ミヤ「うし、あたしに任せて!」

【項目66】
3 (僧侶)

ナイトエルフは、死ぬ間際、祖先の死霊たちを呼んだ。
彼らは血族を殺した君達に復讐するためにやってきたのだ。
そして霧の中でこちらを取り囲んだ。

ミヤ「しかし大丈夫! ふっ、あたしに出会った不幸をのろえ」

悪魔払いの超能力を使って死霊を追い払う事にエネルギーを集中する。
そして幸運にもそれは成功した。
死霊達は退散し、霧も次第に消えていった。

テツヤ「この項目では判定不要で追い払えるんだな

ミヤ「まぁざっとこんなもんだね! さ、誉めれ」

ディアブロ「そんな事より戦利品を漁るべきだと思うぜぇ。エルフどもが何かと持っているみたいだな」

テツヤ「へえ? お、こいつら矢を持ってるじゃねぇか。補充しとくか」

剣6本 弓一張 矢8本 革のジャケット6着(鎧強度1)

テツヤ「逆に矢以外は特に欲しい物無ぇな」

ミヤ「ここ、廊下の真ん中じゃない。どっち行けばいいかな?」

ディアブロ「戦闘のFLEEマスが北にしか無い所を見ると、そっちに行くしかなさそうだぜぇ」

 そちらに何が待ち受けるのか。それは次回のお話。

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2009年10月14日 (水)

ブラッドソードリプレイ1-8 湖上の死闘

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:3 戦闘力:7+1 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:6 機敏度:8 生命力:18
装備:剣 革の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金17) 弓 矢筒 ロジ・スカイランナーの剣 オパールのメダル 鋼鉄の笏(残り4回)

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:8 機敏度:7 生命力:15
装備:六尺棒 リングメイル(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒 オパールのメダル 銅の鍵 

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:3 戦闘力:6 打撃力:サイコロ1個 精神力:8 機敏度:6 生命力:15
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) オパールのメダル 

クラースのダンジョンレースへ参加した三人。迷宮内の冥府の渡し守の船に乗り、地底湖を進む。だが何事もなく渡れるはずも無く……。

タダ乗りした三人を乗せてゴンドラは進む。

ミヤ「ところでケロンてあの世の川の渡し守だけど、服を脱がせちゃうお婆さんもいるんじゃなかった?

テツヤ「そりゃ日本の話だろ。ここにゃそんな奴はいねぇよ……多分な」

ミヤ「それは助かった。脱がされてすっぽんぽんになったら大変だからね。このゲーム、回避力とか無いから鎧強度でしか身を守れないし

ディアブロ「攻撃からは逃げない。敵味方全員プロレスラーだな。カッコイイ世界だぜぇ」

テツヤ「そんなわけねぇが、まぁ確かに日本人的発想なら避けたり受けたりしたいわな……」

【項目193】
ゴンドラは湖を渡っていく。
見上げると、洞窟の天井は恐ろしく高く、鍾乳石がシャンデリアのように下がっている。
じっと目をこらしても向こう岸はまだ見えない。

ミヤ「でもあそこに何か浮いてるよ? ビーチボールか機雷かな?」

テツヤ「形だけで適当な事言うなって」

ゴンドラは湖面に浮き沈みする一つのブイの近くを通り過ぎた。
木でできた部分は波に削られ、鉄の雷文飾りは酷く錆ついていた。

テツヤ「こんな所にか。ちと調べてみるか……」

ミヤ「賛成! 船頭さん、ちょいと船を横付けてよ」

 タダ働きにも関わらず、船頭は黙ってゴンドラを近づけた。

【項目419】
ブイの木の部分に刻まれた詩の、三行だけが読み取れた。

お前が今あるごとく、私はかつてあった
私がいま有る所、お前は行かねばならぬ
私を引き上げよ、私の横たわる場所から……

ブイの輪には重い鎖が付けられていた。
鎖の先は湖底深くに沈んでいる。
船頭はそこにぐずぐずしていたくないようだった。
オールを握る痩せた手がピクピク動いている。

テツヤ「なんでかね。どうにも嫌な予感がするぜ」

ミヤ「船頭さんも内心は嫌がってそうだしね。でも調べてみたいな」

ディアブロ「そんじゃま、まずは俺からやりますか。予言の呪文を唱えるぜぇ」

【項目122】
Photo (魔術師)

呪文を唱えると果てしない無の空間が見えた。
未来が無いという事なのだろうか?
或いはそうかもしれない。
暗黒の死の世界が待っているのかもしれない。
だがそうではない可能性もある。

ディアブロ「ま、こんなところかな」

テツヤ「何もわかってねぇんじゃねぇか!

ディアブロ「毎回上手くいくもんじゃないぜぇ。未来なんてのは結構コロコロ変わるしな。選んだ項目によって

ミヤ「うし、それじゃあ次は私が透視術であの文章を読んでみるよ!」

【項目108】
3 (僧侶)

「内なる目」の潜在力を呼び起こさなければならない。
師匠達の教えを思い起こしながら、心の雑念を追い払った。

ミヤ「あり? なんか二つの数字から一つ選べ、とか書いてあるけど

ディアブロ「片方が正解の項目、もう片方が失敗の項目だ。ヒントは無いぜぇ。カンで選びな」

テツヤ「なんともゲームブックらしい選別方法だ……

ミヤ「要するに成功率50%かあ。サイコロで選ぼっかな?」

ディアブロ「安心しな。俺が正解を教えてやるから」

テツヤ「なんでお前が知ってるんだ?」

【項目263】
(僧侶)

成功だ!
詩の全体が目に見えてきた。

“お前が今あるごとく、私はかつてあった
私がいま有る所、お前は行かねばならぬ
私を引き上げよ、私の横たわる場所から
そして深みの底で私と一つになろう”

不気味な誘いだった。

ミヤ「私と一つになろう、だって。あは、いけないお誘いみたいだなあ」

テツヤ「どう見ても地獄への誘いじゃねぇか

ディアブロ「そんじゃま、準備しますか。今回、俺は呪文を準備しない。バトルオーダーは前と同じでいいぜぇ」

テツヤ「1番俺、2番ミヤ、3番がディアブロだな」

ディアブロ「そして俺が鎖を引き上げる、と。重いな……ちょっと待ってくれよ……」

【項目502】
B2 鎖を引き上げる事にする。
大変な重さだった。
引き上げた鎖の先には、泥をかぶった人骨の入った鉄のかごがついていた。
人骨の首にはコガネムシの形をしたエメラルドの御守りがかけられている。
その御守りに手を出した瞬間、気味の悪い衝撃を感じた。
その時突然、骸骨の眼窩が緑色に輝いた。
驚きで思わず鎖を持つ手が緩む。
気味の悪い鉄かごが再び水中に沈んだとき、緑色に光るエイドロンがゴンドラの側に浮き上がってきた。

「解放だ。人間の手で解放された。予言の通りだ。それでは、予言を完結させるとしようか」
化け物は呻き、爪で掴みかかってきた。

エイドロン(E) 初期位置は鎖を引っ張った者に隣接するマス
戦闘力=7 精神力=9 鎧強度=0 生命力=40 

打撃力=サイコロ2個+2 機敏度=9
※エイドロンが攻撃のサイコロで2を出した場合、爪は相手の脳を直撃する。そのときはサイコロを2つふり、自分の精神力と同じか、それより少ない目を出さなければならない。これに失敗すれば、攻撃を受けたキャラクターは即死する。
※エイドロンには鋼鉄の笏は通用しない。

船頭(G)
戦闘には参加しない。

テツヤ「なんなんだ、コイツのピンポイントな防御耐性は!」

ミヤ「うわ、強さもさることながら、こっちの動きが制限されまくりな状況だよ!」

○第1ラウンド
エイドロン:ディアブロに攻撃。ダイス目4で成功。ダメージ12(実ダメージ10)。

テツヤ「おい、大丈夫か! いきなり3分の2持っていかれてんぞ!

ディアブロ「ぐはっ、こりゃキツイぜぇ。だがこれで俺たちの勝ちだな

ミヤ「へ?」

ディアブロ「次は機敏度8のテツヤの行動順だな? 別の方法を考える、という選択肢があるだろ。それを選んで欲しいぜぇ」

テツヤ「何か手があるって事か? よし、わかった!」

【項目462】
僧侶がいれば、エイドロンを悪魔払いの術で追っ払う事ができる。
さもないときは戦いを続行してもいいし、別の手を考えてもいい。

ミヤ「そっか! ここはあたしが……」

ディアブロ「おっと、お譲ちゃんにも頑張ってもらうが、そっちじゃないぜぇ」

テツヤ「俺の行動順だしな。選ぶは別の手の方か!

【項目439】
厄介な事態になった。
おそらく、こいつの骸骨を再び引き上げる事ができれば、こいつを倒す事ができるのだ。
つまり、あの鉄かごを、水から引き上げなければならないということだ。
そのためには、一人のキャラクターでなら4ラウンド、二人のキャラクターが同時に取りかかるなら2ラウンドを必要とする。
三人以上で引っぱりあげることはできない。
その間、これに取りかかっている者は、戦ったり、逃げたりなど、戦闘シーンで可能ないかなる行動もとれない。
エイドロンの攻撃は、かごを引きずり上げようとしている者に集中する。

テツヤ「この鎖を引っ張ればいいんだな! よし、ミヤも手伝ってくれ!」

ミヤ「あいあいさあ!」

 ここから戦闘続行。

テツヤ:鎖を引っ張る。
ミヤ:鎖を引っ張る。
ディアブロ:する事がないので痛え痛えと呻いておく。

○第2ラウンド
エイドロン:D-6へ移動。

 エイドロンは戦闘前に鎖を引っ張っていた者に隣接して出現する。そして戦闘中に鎖を引っ張る者を最優先で攻撃する。つまり、戦闘前と戦闘中で鎖を引っ張る者が変わると、どうしても移動に行動を1回費やしてしまうのだ。

テツヤ:鎖を引っ張る。
ミヤ:鎖を引っ張る。二人で2ラウンド引っぱったので、これでかごが水上に出てくる。

 敵の性質を利用する事で、この戦闘では敵の攻撃を1回に抑える事ができる。ただしパーティが三人以上の場合だが。

【項目107】
ついにかごを引っぱり上げる事ができた。
かごが水面に現れると、エイドロンは絶望の呻き声をあげ、両手を握りしめた。
そいつは、骸骨に触らないでくれと哀願しているようだった。
しかし、こういう化け物に情けは禁物だ。
骸骨の首から御守りをもぎ取ると、それはちかちかっと光った。
エイドロンは悲鳴をあげ、その身体は空中に飛び散った。

テツヤ「強敵だったがなんとかなったな……」

コガネムシの形をしたエメラルドの御守りが手に入った。

テツヤ「で、これは何なのかって話だが」

ミヤ「叔父ちゃん、あたしに見せれ」

【項目352】
3_3 (僧侶)

御守りの裏には象形文字が刻まれている。

これは死から蘇ったカイクフランの神オシリスの象徴だ。
この御守りをつけていれば、死んでもたちまち生き返る。
その者の生命力がゼロになった途端、通常の最高点にまで生命力が回復する
御守りは一人に一度しか効かないので、こうして蘇った者は、他の者にこれを渡すか手離すしかない。
また、この御守りを既に死んだ者の上に置けば、この者は蘇る。
ただし、この場合は御守りの効力はこれっきり失われる。
またこれを、朽ち果てた屍の上に置いてはならない。
さもないと、死者は恐ろしい死霊の姿になって戻ってくる事になろう!

ミヤ「という鑑定結果が出たよ!」

ディアブロ「俺の手当ても忘れないうちに頼むぜぇ」

ミヤ「はいな! 2点消費の回復術を5連発、サイコロ5個ふって一発判定だ! 1回目、合計プラスマイナスゼロ! 2回目で2点、3回目で8点回復! これで10点回復したから満タンだね!」

テツヤ「マジで僧侶は便利すぎだな、おい……」

ディアブロ「ダイス運がちょっとアレだったが、ま、結果オーライで助かったぜぇ」

 というわけで入手したエメラルドの御守り。これがあるからこのルートを選んだような物だ。なにせランクの低いうちは事故死し易いのである。とりあえずテツヤに装備させておく。

【項目247】
ゴンドラは低いトンネルの前を通った。
はるか前方には、桟橋のランタンの明かりが見える。
船頭はかいを漕ぐ手を止めて、こちらの指示を待っている。

テツヤ「桟橋だな。船をつけるために有るわけだしよ」

【項目368】
ゴンドラは、湖の外れのごつごつした岩の桟橋についた。
桟橋の上には紙製のランタンが並べられ、湖面に映るその明かりが洞穴の天井に、ゆらめく影を作り出していた。
ゴンドラを降りる。
ふり返ると、ゴンドラも気味の悪い船頭も、跡形もなく消えていた。

ミヤ「ありゃま。お礼も言ってないのに消えちゃったよ」

テツヤ「俺らの顔を見るのにうんざりしてたのかもな。さて、前に進むとするか」

ディアブロ「通路が一本伸びてるな。この奥に行くしかなさそうだぜぇ」

 通路の奥は……次回へ続いている。

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