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2017年3月12日 (日)

ウルフヘッドの誕生 1

魔法の精通していた者達が神々と呼ばれていた時代。
彼らは二つの勢力に分かれて大戦を起こした。
勝利した陣営は善神を名乗ったものの、その力は疲弊し、地上から姿を消す。
以降、世界は様々な種族が入り乱れ、争いながらも無数の国家を築きあげていた。

Photo_3 ヘルドア湿原のほとりにあるサングール国も、そうした小国家の一つであった。
だがその国は、突如、滅亡を迎える。

魔王を名乗る、邪悪にして強大な妖術師グリーディガッド
彼は邪神バアルの復活をもくろみ、生贄のため百人の子供を差し出すよう、サングール王へ要求したのだ。
当然、王は拒み、戦を決意。
だがサングールに飛来したグリーディガッドの空飛ぶ居城・膏血城から石化の邪視を放つ巨眼の魔物が飛来し、兵士をことごとく石の像と変えてしまう。
残る住民も魔王配下のゴブリン兵達によって狩り出され、殺されるか石化の魔物の前へ引きずり出されるかし、サングールは滅んだ。

例外は、生贄にするため集められた百人の子供たち。
そして魔王への貢物として捕らえられた、王女スミアであった。

スミア王女が護送の兵士達の隙をつき、野営地から逃げ出したところから、この物語は始まる……。

以上がゲーム開始時のストーリーだ。
主人公はこのスミア王女……ではなく、彼女が出会う獣人である。
どうして出会うかというと、王女がジュジュの森に逃げ込むからだ。
ジュジュの森には『ヘルドア』と呼ばれる底なしの深い穴があり、美しい月夜、ときおりそこから地獄の業火とともに強大な魔物が産まれ、這い出してくる。出くわせば貪り食われ、ただ死あるのみ。
だがそんな呪われた地だからこそ、敵も恐れて追ってこない。故郷を滅ぼした魔王の物となるぐらいなら、魔物に食われた方がまだ良しと、王女スミアは考えたのである。

0 そしてゲームは項目1番へ。
最初の18項目は「オリエンテーション・ゲーム」とされ、選択肢はあるもの、前から番号順に読んでいけと指示されている。
作者なりに気をつかい、ゲームのチュートリアルを用意してあるのだ。

そして項目1番で、主人公が登場である。

スミア王女は『ヘルドア』に着いた。
そこではまさに伝説どおり、地の底から魔獣が誕生する瞬間だった。
穴から青白い炎が吹き上がり、巨大な灰色狼が這い上がってきたのだ。
体長は5~6メートル、体重は優に3トン以上。

絶体絶命。
だが王女がとっさに側の岩陰に隠れると、狼は王女に気づかず、近くの砂地に横たわって眠り始めた。
今のうちに逃げよう……と王女が考えた時、体長20メートルにもなる巨大な吸血沼蛭が湿地から這い出し、眠っている狼へと迫る。

蛭の狙いに気づいたとき、娘の心は微妙に揺れた。
あの狼を救いたい……目を覚ませば、彼女を食らうかもしれぬ魔獣をだ。
勇敢なサングール戦士の血を引く身には、寝込みを襲う卑怯さが見過ごせなかったのか、それとも、同じように恐ろしい姿ながら、灰色狼のそれには、ある種の気高さが備わっていたためか。
ともかく、沼蛭が狼の喉笛に吸血口を押し当てようとしたとき、思わず娘は言葉にならぬ叫びをあげて、岩場から走り出ていた。

だがこの勇敢な王女は、蛭の尻尾ビンタ一発で気絶してしまう
しかし声に起こされた灰色狼は目を覚まし、巨大な沼蛭に向かい合った。
これがこのゲーム最初の戦闘である。

沼蛭 ヒットポイント:12 スピード:1 体力ポイント:4 ダメージ:1/2d

ここで命中・防御・ダメージ等が説明される……が、さすがチュートリアル。
主人公のヒットポイントは合計14、対して沼蛭のスピードは1。
「サイコロ2個+スピード≧攻撃目標のヒットポイント」で攻撃成功となるのだが、沼蛭の攻撃は最大で合計13にしかならないので、絶対に命中しない

やがて蛭は、のたうち回る、十数個の肉塊に変わった。

戦闘ルールの説明が終わり、次は選択肢が出てくる。
失神している王女を起こすのに、狼のままか、人間の姿になるか……だ。
一応選択肢があるが、オリエンテーションゲームなので順番に読む事となる。

狼のまま起こすと、目覚めていきなり怪物の巨体におおいかぶさられている王女が、恐怖で心臓麻痺を起こす

今回はここでゲームオーバー。

こんな事を書かれているが、ここで体力ポイントの説明が入る。
この項目は「ゲームエンド」という箇所ではなく「狼の姿のままだと戦闘力は上がるけど、いろいろ不便な事もあるよ」という解説なのである。
ではサイコロ2個+10で主人公3機ぶん、体力ポイントを決める。

一人目=13
二人目=18
三人目=17

……平均を下回ってしまったな。
特に一人目が弱いのが残念な所だ。3機全部残してのクリアは考えない方が良いかもしれん。

4_4 次は人間の姿に戻って王女を起こす。

主人公はワー・アニマル(変身型の獣人)で、ヘルドアから直接生まれた第一世代でもある。
大地から生まれた第一世代はファーストボーンとも呼ばれ、強力な力を持つばかりか、例え死んでも一定の期間が経つとヘルドアから復活する、ある意味では不死の存在なのだ。
この特性は他種族と交わって生まれる第二世代以降には無いらしい。
主人公が残機制なのは、この背景をゲーム的に表現している側面もあるのかもしれん。
まぁ多分、ルールを反映した設定を後で考えたのだと思うが……。

突然、青白い炎が灰色狼の身体を押し包んだ。炎が消えたとき、あなたは浅黒い肌に漆黒の髪をした、しなやかな身体付きの若者に変わっていた。

なかなか男前になった主人公。
王女を起こすと、彼女は主人公に状況を訊ねる。
数時間後、夜が明けるころ、王女……スミアは全てを打ち明けていた。

「不思議な人ね……あなたは」
峰からの照り返しに、頬を染めて、スミアが微笑んだ。
「一緒にいると安心して、何もかも打ち明けたくなってしまう。王宮で暮らしていた頃のわたしは、あなたたちワー・アニマルの事を、狂暴で恐ろしい魔物だとばかり思っていたのに……」

能力値の一つ、ファシネーション=魅力度だという解説の項目だが……容姿は正義だという場面にしか見えん
この怒りは魔王グリーディガッドに叩きつけるしかあるまい。
縁もゆかりも無い生後数時間のケモノに打倒を目論まれる事をグリーディガッドがどう思うかはわからないが、魔王を名乗って非道を行うツケが回ってきたのだと思って貰うしかないな。

1_5 ここで王女スミアが仲間になる。

ヒットポイント 10
スピード 3
パワー 3
体力ポイント 9

※スミアが死ぬと、主人公に残機があってもゲームオーバーになる。
※スミアには重量3以下の武器を自由に装備させる事ができる。

戦闘力は貧弱、死ぬとゲームオーバー、荷物は3つしか持てないので運搬係としても低性能……と、ゲーム中最も役に立たない仲間の一角である。
成り行きで同行しただけのお姫様なので、多くを期待してはいけないのだ。

こうして主人公・通称ウルフヘッドとスミアの、冒険の旅が始まった。
目指すは膏血城。魔王グリーディガッドを打倒し、さらわれた百人の子供を救出して、邪神の復活を阻止するのだ。
だが出発する際、人の姿のままか、狼の姿となるか、選択肢が出る。

選ぶ意味のある選択肢はここからだ。
今回、【人間の姿のまま岩場を出る】を選んだ。

森を出ようと歩くと、黒小人の商人二人と遭遇。
彼らは主人公・ウルフヘッドが魔物と気づかず、商談を持ちかけてくる。
何せスミアは野原を走り回って泥だらけ、ウルフヘッドに至っては全裸だ。
聖マッスルだって後半は服を着てたんだからこれぐらい持っとけ、と商品を見せてくれる。
もちろんこちらは金など持っていないが、スミアが身に着けていた金の腕輪と交換しようと、商魂たくましい小人達は持ちかけてきた。

ここでスミアの腕輪と黒小人の商品を取り換える事で、初期装備一式が得られる。
スミアの腕輪はアイテムではなく、ゲーム内の描写に過ぎないので、失って損は全く無い。ゲーム的にはタダで貰えるのと同じだ。
まず武器が2つ、鎧もくれる。

剣 材質=鋼 重量=4 ダメージ=サイコロ1個
短剣 材質=鋼 重量=2 ダメージ=サイコロ1/2個
チェンメール 重量=4 効果=被ダメージ1軽減

アイテムは3つ。透明になれる薬・インビジビリティ・ポーションと食糧を二つだ。
犯罪に便利そうなインビジビリティ・ポーションだが、ゲーム中で使う機会は少なく、実はあまり有用なアイテムでは無い。

1・インビジビリティ・ポーション(含壜)
2・食糧
3・食糧

お釣りとして金貨もくれる。
70から主人公の体力ポイント合計を引いた値が最初の所持金となる。
体力ポイントが少ないと金銭面で助かる……のではあるが、ゲーム中に金を増やせる方法が当然有るので、やっぱり体力ポイントが高い方が有利である。

所持金=金貨22枚

アイテムでは無いが、まともな服も二着くれた。これで主人公・ウルフヘッドも全裸から文明人に進化である。
まぁ全裸でもゲーム的には何も困らないが……。
なお主人公の変身は「青白い炎に包まれ、巨大な狼になる」という物であり、装備品は鬣の一部に変化する。人間に変身すると逆の手順で元通りになり、装備品も復元される。よって変身でアイテムが失われるという事は無い。
さすがファーストボーン、装備品をブッ壊しながら力づくで変身するような畜生とは違うのだ。
当時の小冊子にあった読者投稿で「俺は月光の子! ウルフヘッドBLACK・RX!」と書かれただけはある。

以上がこのルートで得られる初期装備である。
が、ここで【このまま黒小人たちと別れる】を選ぶと、一文無し全裸で話が進んでしまう。

今回、あえて交換せずに全裸で進める事にした。

これで準備は整った。何も持っていないが整ったのだ。全裸で森の外に出て、いよいよ出発である。
が、オリエンテーションゲームでは、選ばなかった選択肢も読むよう勧められる。

〇もう片方のルート
10 こちらでは灰色狼の姿を見た小人達が、奇襲をかけてくる。

黒小人1 ヒットポイント:10 スピード:4 体力ポイント:3 ダメージ:D
黒小人2 ヒットポイント:11 スピード:5 体力ポイント:5 ダメージ:1/2D

まぁ狼形態で負けるような相手では無い。
彼らを蹴散らすと、荷物を放り出して逃げて行ってしまう。こちらのルートでは強奪する事で初期装備が入手できるのだ。

武器
剣 材質=鋼 重量=4 ダメージ=サイコロ1個

所持品
1・キュアオール
2・食糧
3・食糧

所持金=金貨22枚

キュアオールは体力ポイント完全回復・バッドステータスも消してくれる最高級の回復アイテム。
物の価値という点では、実はこちらの方が良い。
ただこちらだと戦闘を行う必要があるし、ゲーム序盤の展開の金のやりくりにちと気をつかう。

どちらにせよ、片方のルートを選んでもう片方のイベントも見ると、オリエンテーションゲームは終了。
両方のパターンの初期装備が掲載され、再確認される。
この時、購入で得た時の短剣の重量が、再掲載ぶんでは何故か3に増加している。小人たちの商品説明にデマカセが混じっていたのかもしれん。
そして再掲載ぶんの後に、作者からの注釈。

もちろん15番地で黒小人たちから買い物をしなければ、装備、所持金ともに0という場合も考えられますが……それではゲームエリアに出てから困ってしまいます。ここで改めてA、Bどちらの装備でゲームエリアに乗り出すかを決めておいてください。

まさに今回選んだ展開であるが、好きな方を選んで良いと許可が出た。
地面からアイテムが生えてきたぞ!
作者に感謝しながら服・金・武器・飯・薬を持っていく主人公・ウルフヘッドとスミア。
パターンAを選び、剣とキュアオールと食糧二食を入手。
全くの合法である

まぁゲーム的な意味は薄いが……面倒無しで良い方のアイテムが手に入るなら、それに越した事も無いからな。

オリエンテーションゲーム終了後、経験値をサイコロ2個入手。
以前も書いたが、このゲームは獲得経験値がランダムなので困る。
あまり期待せずサイコロをふると……10点
おお? なんとも好調なスタートとなった。

ウルフヘッド

ヒットポイント 12
スピード 5
パワー 7
ファシネーション 5
体力ポイント 13
経験ポイント 10

武器 剣 材質=鋼 重量=4 ダメージ=d

次回、意気揚々と本編に乗り出す。
地面から生えたアイテムを担いで、だ。

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コメント

ウルフヘッドBLACK・RX、懐かしいですね。巨大狼vs20メートル超の沼蛭で始まる辺り、実際には怪獣物っぽいですが…。

投稿: 野良猫 | 2017年3月12日 (日) 21時10分

狼形態が半獣人型なら、もう少しヒーローっぽかったかもしれませんな。
完全に狼型とする事で、人間時の武具との使い分けをさせたかったのだと思いますが。

投稿: 松友健 | 2017年3月13日 (月) 19時38分

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