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2016年11月 5日 (土)

ブラッドソードリプレイ4-10 冥界の奥へ

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:7 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個+2 精神力:7 機敏度:8 生命力:43
装備:ロジ・スカイランナーの剣 チェインメイル(鎧強度:4) 魔法の弓 矢筒(矢:2本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金100) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 食糧一週間ぶん 金色の球

3ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:7 戦闘力:8 打撃力:サイコロ3個+2 精神力:8 機敏度:7 生命力:36
装備:ヘラクロスの戦斧 魔法の斧 シルバープレート(鎧強度:5) 魔法の弓 矢筒(矢:1本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金の巻物 司祭長の杖 香油のびん 食糧一週間ぶん

Photo_2ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:7 戦闘力:7 打撃力:サイコロ2個+1 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:36
装備:剣 スタッドレザー(鎧強度:3) 魔法の指輪(精神力+1) 琥珀の火口箱 魔法のパン 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 食糧一週間ぶん 銅の杖 T字型の十字架

これまでのあらすじ

レジェンドという世界で「生命の剣」ブラッドソードを求めて旅する三人。
放浪の末に剣は完成したが、宿敵によって黄泉の国へ持ち去られてしまった。
それを取り戻すべく、三人は冥界へと乗りこみ、案内人とともに奥地へと向かう……。

テツヤ「武装も最終決戦仕様になったしな。準備はバッチリだ」

ミヤ「正直、あの宝物の獲り方は酷かったと思うの」

ディアブロ「ま、物に罪は無いぜぇ。ありがたく使わせていただきますかね」

テツヤ「どうせイコンの野郎との戦闘は最奥だろ。どうでもいいイベントは全部すっとばして行くぞ」

4巻はどうでもいいイベントが意外と多いので、ただクリアするだけなら案外長く無いのだ。

【515】

川岸は草や苔におおわれていて、歩きやすかった。まばらに木の生える一つの丘を越えると、向こう岸には似たようなもう一つの丘が見えた。

「この二つの丘は、ヘルの乳房と呼ばれている」
旅人(トラベラー)がいった。

「しかしこんなはげ山に自分の名前をつけられては、黄泉の国の女支配者もさぞ機嫌を悪くしていることだろう」

テツヤ「そんなことは、どうだっていい。俺達がこれから対決しようとしているのは、死の天使だぜ。心配すべきなのは、死の天使の機嫌のほうだろう」

「ヘルは死の天使のもう一つの顔なのだ」
旅人(トラベラー)が答えた。
「人びとは、彼のことをほかにも、アザレルとかプルートとかヘデスとかヤーマとかオシリスなどと呼んでいる。この王国に住む多くの者にすれば、死の天使の顔は自分を殺した者の顔なのだ。私もそのうちの一人だが」

ミヤ「いろんな神話が同じ起源だっていう説だね」

テツヤ「女神も男の神も性別の無いはずの天使も、全部同じ奴なのかよ」

ディアブロ「話から察するに、旅人殿も死の天使を見た事があるのかねぇ?」

テツヤ「あんたは殺されたのか?」

「卑怯にも。しかし私は必ず復讐する……」
もっと何かいいたそうだったが、彼は途中で口をつぐんでしまった。

「しかし今は、当面の問題を片づけることに専念しなければならない。我々の前に広がるのは、夜の深淵の森だ。道に迷ったら、二度と外へ出ることはできない。危険な生き物はすんでいないが、このことだけは心にとめておくことだ」

テツヤ「生き物は危険じゃないが森は危険なのか。凶悪なトラップでもあんのかよ」

ミヤ「じゃ、道を外れないようにしようね」

頭上では、クモの巣のように木々の枝がからみあっている。
進んでいくと、足の下でかび臭い枯葉が音を立て、ところどころに生える鉛色のきのこの、胸が悪くなるような甘い香りが、鼻をついた。

ミヤ「枯葉……冥界樹木も枯れるんだ。植物も死の天使さんのところに行くのかな?」

テツヤ「なさそうだな。前から薄々思っているんだが、冥界ってのは動植物の魂の処理はあんま考えてねぇだろ」

ディアブロ「エルフも考えられてない動植物に入るかねぇ?」

入る。ドラゴンウォリーズのレジェンド世界では、エルフは魂を持たないのだ。

テツヤ「じゃあなんで生きてられるんだよ!」

ディアブロ「魂は無くても命はあるって事よw」

ミヤ「禅問答みたいだなー」

【341】

近くで木の枝が折れる大きな音がした。
さっとそのほうをふり向くと、ほんの数歩先の木立ちのあいだに、銀の角の生えた黒いユニコーンが立っている。
こちらが呼びかけると、ユニコーンは冷ややかな目を向け、ひづめで地面をひっかく動作をした。
だが近づいてこようとはしない。

ミヤ「ユニコーンだ! 背中に乗せてくれないかな!」

テツヤ「道を外れるなって言ったの、お前だろ。こっちに来ねぇならほっとくぞ」

実際、ただの罠なので無視した方が良い。
T字型の十字架を持っていれば無傷、持っていなければ即死という、あまり面白味も無いイベントだ。

よって一行は先へ進む事にした。

ミヤ「あーあ、残念」

【530】

ついに暗い森から抜け出す。
そこからは嵐雲におおわれた山並みまで、吹きっさらしの荒地がつづいていた。
ステュクス川は激流となり、山々から滝となって流れ落ちている。

ふり返ると、森の上に月がかかっていた。
鉛色の雲越しに見える月は、心なしか光も弱く、気味の悪いふんいきを漂わせている。

ディアブロ「あれは人間界と同じ月なのかねぇ? まるで疫病やみの顔のようだぜぇ」

「もちろん同じ月だ」
旅人(トラベラー)がいった。

「変わったのは見ている人間のほうだ」

テツヤ「このゲームのPC(プレイヤーキャラクター)は人間限定らしいな」

ディアブロ「原作TRPGの方だと、エルフやドワーフも選べるんだがねぇ」

しかし「選ぶ事ができる」だけで、原則は人間が前提のようである。

412 雲の前を一つの影が横切った。
目をこらして空を見上げる。
何かが空から、こちらをめがけて落ちてくる。
近づいてくるにつれて、それは巨大な人間の頭だということがわかった。
青い肌の巨大な顔が、こめかみから生えた羽根をはためかせて舞いおりてくる!
あたりの空気がびりびりと振動しはじめていた。
こちらの頭の毛も、そのエネルギーのために逆立った。

テツヤ「おっ、敵だな!……しかしなんつうか、微妙なデザインだな……」

ミヤ「ドラゴンとかじゃダメだったのかな、あれ」

すさまじい大音声が響きわたった。
「遍歴の旅をする人間ども、雷をつかさどるレイ・クン様の顔を拝むがいい! わしは炎を吐く神、霊を焼きつくす神、雷の神だ」

声は山々にこだました。

ミヤ「雷神さまだね。実はトール神のアングバール王さんといい、冥界には雷神さまが住み易い何かがあるのかなあ?」

ディアブロ「賃貸住宅の割引でもあるんじゃないかねぇ?」

テツヤ「どういう繋がりだ、それは」

このシーンでは戦闘前にアイテムを使う事もできるので、手持ちの道具から適当な物を取り出す。
ここで使うのは銅の杖だ。

【333→521】

手の中で銅の杖がうなりはじめた。
目に見えないエネルギーが振動させているのだ。
ある直観がひらめいたので、杖を地面に突き刺す。
そしてレイ・クンが稲妻を口から吐くと同時に、こちらは横に飛びのいた。
稲妻が銅の杖に吸収されたのを見て、やつはあっけにとられたようだった。
激怒したやつは、こちらめがけて稲妻を次々と放った。
しかしどれも、銅の杖に吸いこまれてしまった。

テツヤ「避雷針バリアー!」

ディアブロ「雷神殿の御力も、電気エネルギー伝導の法則には従ってるとはねぇ」

だが問題が一つ生じた。
これでは、こちらもここに釘づけではないか。
杖を拾い上げることもできないし、かといって杖からあまり離れては、避雷針の役割をしている杖の保護下から出てしまうことになる。
どうやらこれはあまり良い作戦ではなかったようだ。

テツヤ「あん? ここから遠距離攻撃仕掛ければいいだろうが」

ミヤ「叔父ちゃん! 矢があんまり残ってないよ」

ディアブロ「俺の最強の攻撃呪文も雷属性だぜぇ。まぁレベルを落として低下力呪文を数十連発しても、ゲームシステム的には何も困りゃしないが」

テツヤ「……まぁ日が暮れる頃にはなんとかなってるだろ」

しかし旅人(トラベラー)がこの状況を救ってくれた。
彼は怒り狂っている悪魔に向かって、笑いながら悪口雑言をつきはじめた。

「あの老いぼれ雷神の姿はどうだ! 昔の腕のほどはいざ知らず、今では自分の真下に突っ立っている人間の頭に命中させることもできない。かわいそうな老いぼれめ、もう引退したほうがいいぞ」

これを聞いたレイ・クンは、ふいにひと声うなり声を上げて、森の向こうに飛び去っていってしまった。
わけがわからず
旅人(トラベラー)をふり返る。

テツヤ「いや、本当に意味不明なんだが。逆上してヤケクソにならねぇのか」

「レイ・クンは東洋の神なのだ」
彼がいった。

「東洋では、メンツを失うことは耐えがたいこととされている。彼はここで人間のあざけりのことばを聞いているのが、いたたまれなかったのだ」

テツヤ「……なんか東洋に対して、物凄い誤解がありそうだな」

ディアブロ「まぁ東洋側も西洋側に誤解は持ってるだろうし。そういうもんじゃないかね」

いっそ世界を全部誤解すれば、かえって平等かつ平和になると思う。Gガンダムみたいに。

ミヤ「あなたがいてくれて幸運だったよ」

「それはどうも。では、やつが戻ってこないうちに山へ向かおう」

とりあえず山地が今の目標地点らしい。逆らう理由も無いので、一行は山へ向かう。

【4】

これ以上読みすすめるまえに、黄泉の国について、あるいはそこで会った人物について、不審な点がなにかないか考えてみよう。
なにか思いついたら(仲間がいたら全員で考えよ)そのことをメモしておけ。

物凄く曖昧な指示だが、四巻におけるとても大事なポイントの一つだ。
ここでラストバトルの難易度が大きく変わるのである。

ガキの頃の初プレイ時は、たぶん「コーデリアが消えたままになってる」と書いたと思う。

【556】

目の前には、険しい山並みがそびえ、切り立った崖が荒野をふち取るようにつづいている。
地上から発せられるかすかな灰色の光線が、真っ黒な空を周期的に照らしだし、遠くでは雷鳴が鳴り響いている。
山並みの向こうは、嵐が荒れ狂っているようすだ。

テツヤ「ん? 地面から光線を発射してる奴がいるのか。それとも光線が出る岩でも転がってるのか」

ミヤ「照明に乏しいから、死の天使さんがサーチライトで照らしてるのかもしれないね」

ディアブロ「そこよりも警戒すべきは嵐なんじゃないかね」

ステュクス川は地上数百メートルの崖の真ん中にぽっかりあいた洞窟の口から、黒い滝になって流れ落ちている。
青白い人影のようなものが一つ二つ、もがきながら滝を落下し、下の岩に叩きつけられているのが見える。
細い小道を伝って洞窟の入口まで行くと、滝や嵐の音さえかき消すような、別のすさまじい音が聞こえてきた……。

拷問に苦しむ数千の霊たちのうめき声だった。

テツヤ「ようやく地獄っぽくなったな」

ディアブロ「今まではどこかの外国みたいな風景が多かったからねぇ」

ミヤ「でもあんまり楽しい所じゃなさそう」

そりゃ地獄ですので。

【517】

洞窟に入っていく。
川は洞窟の中央を流れ、両岸には醜い顔の灰色のデーモンが、地面に根が生えたようにじっと立っていた。
そいつらには足がなくて、下半身は木の幹になっている。
数十メートルものびる長い舌をムチのようにあやつって、そいつらは青ざめた霊たちを逆巻く急流の中へ追い立てていた。

テツヤ「植物系デーモンとは変わってるな」

ミヤ「でもなんで亡者さん達をいじめてるの?」

霊の一人がこちらに気づき、列から離れた。
そしてわめきながらこちらへ向かってきた。

「助けてくれ! 助けて……」

デーモンの舌がその霊ののどにからみつき、男はズルズルと地面を引きずられた。
デーモンは残酷な笑いを浮かべながら、男を列に引き戻した。

ミヤ「ああ、神さま」
思わずうめく。

ミヤ「こんな恐ろしいことはやめさせないと」

「そんな考えは捨てろ」
旅人(トラベラー)がいった。

「彼らは前世の行いの報いを受けているのだ。彼らは生まれ変わるため、人間世界に向かってこの川を運ばれていくのだ」

テツヤ「要するに刑罰か。なら手を出す必要ねぇな」

ミヤ「それは酷くない!?」

しかし、倒しても何も手に入らないのである。勝てない相手では無いのだが……。

テツヤ「じゃあ面倒だからやめやめ。甲斐が無ぇのにガンバルのは、腹が減るだけ損だわ」

ミヤ「んむー……叔父ちゃんがやる気を出してくれない」

ディアブロ「まぁ、このデーモンを倒しても、一時的に亡者が喜ぶだけで何かが変わるわけじゃないからねぇ」

最終盤に、なぜこんな意味の薄いイベントがあるのか。疑問ではあるな。

ともかく、一行はさらに奥へ進む。

【491】

洞窟は奥に行くにつれて広くなり、やがて大きな部屋になった。
水が壁を伝ってしたたり落ち、川に流れこんでいる。

ついに洞窟の奥にたどりついたようだ。
旅人(トラベラー)が水が流れ出してくる裂け目を指さした。
そこを調べるために壁をよじのぼる。

テツヤ「裂け目へ潜り込んでいくのかよ。閉所恐怖症だったらここで詰みだな」

ディアブロ「そんな奴が、ダンジョンに潜ってナンボの冒険者稼業をやるかねぇ?」

裂け目の中はせまくて、かがむようにしなければ進めない。
やがて四つんばいに進むしかなくなった。
そして最後には、蛇のように腹をつけて進むことになった。
緑がかった白い燐光を放つ流れが、どこか前のほうから流れてくる。
まるで目に見えないクモの巣を、おしのけて進んでいくような気分だ。
血管の中の血が音を立てているのがわかる。

テツヤ「歩き難いどころか、歩くことすらできねぇとはな。モンスターに襲われたらイチコロだぞ、この体勢は」

ミヤ「想像しちゃうからやめようよ」

ディアブロ「まさか死の天使殿も、裂け目で腹這いになって待ってなさる……て可能性が」

テツヤ「だったらたまげるわ」

「子宮の中へ入っていくようではないか?」
旅人(トラベラー)がくすくす笑いながらささやいた。

テツヤ「だまれ」
やつのおしゃべりにはうんざりしはじめていた。

テツヤ「今の内容にもな!」

【527】

せまいトンネルにとじこめられてしまったのではと心配しはじめた矢先、裂け目は急に広くなり、外に出る。
そこは白い霜が輝く、広大な岩だらけの平原だった。
ひんやりした風がそで口や髪をなでる。
空には雲一つなく、満天の星が輝いている。

ミヤ「いやあ、狭かった! やっと広い所に出たよ。あー気持ちいい!」

テツヤ「山を貫通して反対側に出たってわけか?」

ディアブロ「こちらには暗雲も光線も無いねぇ」

広い平原の中に立っているのは、まぎれもなく死の天使アザレルにちがいなかった。

テツヤ「ついにお出ましかい。で、どんな野郎だよ?」

どんな野郎が何をどう仕掛けてくるのか。

それは次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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