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2016年10月30日 (日)

ブラッドソードリプレイ4-9 ステュクスの向こう

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:7 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個+2 精神力:7 機敏度:8 生命力:43
装備:ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(矢:2本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金85)(オボル銅貨入り) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 食糧一週間ぶん 金色の球

3ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:7 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2+2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:36
装備:ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(矢:1本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金の巻物 司祭長の杖 香油のびん 食糧一週間ぶん

Photo_2ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:7 戦闘力:7 打撃力:サイコロ2個+1 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:36
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 琥珀の火口箱 魔法のパン 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 食糧一週間ぶん 銅の杖

これまでのあらすじ

レジェンドという世界で「生命の剣」ブラッドソードを求めて旅する三人。
放浪の末に剣は完成したが、宿敵によって黄泉の国へ持ち去られてしまった。
それを取り戻すべく、三人は冥界へと乗りこみ、案内人とともに奥地へと向かう……。

テツヤ「海岸から崖を登って、村だの神殿だのを通り過ぎて、川を渡って、だらだらと荒野を歩いて……今、全行程のどこらへんだ?」

ディアブロ「半分は過ぎてるぜぇ。距離的にも、イベント的にもな」

ミヤ「そうなんだ? ここまで特に苦戦もしてないし、残りもこんなものなら、意外と楽勝だね!」

これも4巻までに入手したアイテムや資金のおかげであろう。
やはりキャンペーン型のゲームブックは1巻から始めるにかぎる。
後半から開始した方が有利だと、誰も前の巻を遊ばないからな。

【83】

「とうとう荒野を渡りきった」
旅人(トラベラー)がいった。

「ここからは、いよいよ死の王国の中心部だ。あの川が見えるか? あれが、古代エンフィドールの人びとがステュクスと呼んだ憎しみの川だ」

ミヤ「ギリシャ神話が元ネタかな。やっぱり古代エンフィドール=紀元前のギリシャなんだね」

ディアブロ「【ネメシスの電光】も、その時代に開発されたのかねぇ」

川岸に立つ。
流れているのは透明な水ではなく、真っ黒なインクのような液体だった。
青白い魚が矢のような速さで泳いでいる。
ステュクス川は山脈地帯から流れ出て、暗い森を通り抜け、二つの小山のあいだを通って海へと流れこんでいる。

向こう岸の小山に目をやると、何かが動いたようだった。
テツヤ「生き物がいるぞ」

「生き物?」
旅人(トラベラー)は鼻先で笑っていった。
「そんなはずはない!」

テツヤ「つっても、何か動く奴がいたしな」

ミヤ「後で見に行こうよ」

ディアブロ「こちらの味方だといいんだがねぇ」

小山の向こうに塔が立っていた。
塔の窓はエメラルド色に輝いている。

旅人(トラベラー)はステノの塔だといった。
だが、それ以上のことは彼も知らなかった。

「ステノが果たして我々を歓迎してくれるかどうかは、私にもわからない」
旅人(トラベラー)がいった。
「しかし、どちらにせよ、我々はステュクス川を渡ってあそこへ行かなければならない」

気づかぬうちに、一そうの小舟が向こう岸から近づいてきた。
渡し守がマントのフードの奥からじっとこちらを見ている。
小舟は魔法であやつられているにちがいない。
渡し守の手はオールに触れてもいないのだ。
この川が三途の川のステュクスなら、あの渡し守は死者の霊を彼岸へ運ぶカローンということになる。
やつは生者を小舟にのせてくれるだろうか……

テツヤ「あん? 似たような奴が1巻にいなかったか?」

ミヤ「あっちはケロンさんだったね。タダで船に乗せてくれるいい人だったけど、こっちはどうかな?」

結論から述べれば、美味い話は無いのだ。

【489】

カローンの小舟がこちらの岸に近づいてきた。
顔はフードの陰にかくれて見えない。
沈んだ声でやつはいった。

「人間界から来た者だな? この川を渡りたいのか?」

これにはYESと答える。

【36】

しばらくだまっていたが、やがてカローンは答えた。
「渡し賃は一人につきオボル銅貨一枚だ」

ミヤ「こっちの人は代金とるのかー」

ディアブロ「まぁ、タダ働きを要求するのは感心できない事だぜぇ」

テツヤ「ワイトの墓をあばいてギッた硬貨が役に立つときが来たぜ」

代金を持っているのに、なぜ彼らワイト達が川を渡らずに墓場で寝ていたのか。
この奥に行きたくない理由でもあったのであろう。
だがこちらは奥に行かねばならないので、渡し賃をありがたく使わせてもらう。

【469】

カローンはマントのかげから白い手を出し、銅貨をひったくるように取った。
旅人(トラベラー)は自分の渡し賃を持っているので、こちらが払う必要はない(コーデリアが同行している場合も同じ

この一文を見るに、コーデリアを同行させる事はできるようだ。
やはりサモンの神殿で呼び出せば、姿は消えるが一緒にはいてくれるという事なのだろうか?

小舟に乗りこむ。
「水に触れてはいけない!」
旅人(トラベラー)がいった。
「触れると、この渡し守のような、生気を失った真っ白な身体になってしまうのだ」

テツヤ「色白になるなら、女は喜ぶんじゃねぇのか」

ディアブロ「白くなるだけなら、だぜぇ」

カローンはそれを聞いて、くっくっと笑った。
そして向こう岸を指さした。
小舟は方向を変え、ゆっくりと進みはじめた。

「テテュスの息子はこのステュクス川で水浴びをした」
カローンがつぶやいた。

「しかしやつの身に、悪いことなど起こらなかった。むしろ反対だ」

旅人(トラベラー)が渡し守をにらんで叫んだ。
「悪魔め! そんなうそに、我々がまんまとのせられると思っているのか? この川は憎しみの川と呼ばれているんだ。おまえのうそは、この川の名前だけからも見え見えだ」

テツヤ「まぁここは旅人(トラベラー)の方を信じて、触らないでいておくか」

なお触ると、ダメージを一定確率で無効化できるようになるか、単に即死するかという判定が行われる。即死率は5割といったところなので、基本、やるべきではないだろう。

【63】

向こう岸に着き、船をおりる。
カローンに礼をいおうとふり返ると、やつの姿は消えていた。
黒い水面には、小舟のたてたさざ波一つ残っていない。

ミヤ「どこ行っちゃったんだろ?」

テツヤ「消えたんじゃねぇのか。魔法の世界ならそんなもんだろ」

「黄泉の国は、奥地へ入れば入るほど、非現実的になっていく」
旅人(トラベラー)がいった。
「これからどこへ向かう? 生き物の気配を見たというあの丘へ向かうか、それとも窓がエメラルド色に輝く塔へ向かうか? あるいはこれ以上まわり道をするのはよして、まっすぐ死の天使に会いにいくか?」

ミヤ「さっきの丘だよね!」

デァイブロ「ま、何かはいるだろうぜぇ」

【466】

生き物の影を見た気がしていたので、用心のためイバラのやぶに身をかくしながら丘に近づく。
頂上には大きな箱を守る奇妙な化け物が二匹いた。
一匹は頭に真紅の角の生えた大コウモリ、そしてもう一匹は馬ほどの図体で、あごひげを生やした真っ白い毛の犬だ。

テツヤ「あれも何かの神話がモトネタなのか?」

ディアブロ「よくわからんぜぇ。ちと様子を見てみるかい?」

一行は茂みに隠れて、相手を観察する事にした。すると……。

【16】

驚いた事に、化け物たちは口がきけるのだった!

「この箱に宝を集めはじめてから、だいぶたつなあ、相棒」
角のあるコウモリが目を細めて箱を見つめながらいった。

ミヤ「お話はできる子なんだね! じゃ話しかけてみようよ」

テツヤ「いや、まだ様子見だ。宝の箱ってのが気になる」

ディアブロ「お、盗賊らしい対応だぜぇ」

「まったくだ」
あごひげのある犬がうなずいた。

「英雄たちの時代が過ぎてからというもの、生者の世界からやってくる旅人はめっきり減った。それに大したお宝を持ってくるやつもいなくなったしな」

ディアブロ「どうやら人様から強盗を働く仕事をなされているようだぜぇ?」

「嘆かわしいことだ」
角のあるコウモリが、羽根をバタバタさせていった。

「おれはときどき、この箱がかわいい息子のような気がするんだ。あんまり長いこと新しい宝を入れてやらないと、こいつが泣いているようで、おれまで悲しくなってくるのさ」

「いや、まったくだ。それにしても、おまえはうまいいい方をするもんだな。こんな血も涙もない世界ではめったにお目にかかれない、深い情ってやつがあふれているぜ」

コウモリがうなずいた。
「おまえってやつは、いいやつだなあ。おまえがいてくれなきゃ、おれにはこんな仕事はいっときだって我慢できなかったろうさ」

テツヤ「いや、我慢どころか喜んでやってるだろ、絶対」

ミヤ「強盗さんだったのかー。でもこっちから襲うのもなんか気がひけるね」

テツヤ「じゃ、こっちから話しかけてみるか」

一行は潜んでいた場所から出て、二匹の魔物へと近づく。

【146】

あごひげの犬は、こちらの姿を見てのけぞらんばかりに驚いた。

ディアブロ「犬の方はあんまり頭のまわる奴じゃなさそうだぜぇ」

しかし、角のあるコウモリは平静だった。
「ようこそ、旅の方!」
やつは叫んだ。

「こちらへどうぞ。我々はこの丘から一度も離れたことがないんです。外の世界の話が聞けたら、こんなにうれしいことはありません……」

テツヤ「で、コウモリの方はセコく立ち回れるみてぇだな」

「用心した方がいい」
旅人(トラベラー)がささやいた。

ミヤ「だいじょうぶだよ」
といって、化け物に近づいてゆく。

テツヤ「当然、お宝にも近づいてゆく……と」

ディアブロ「まぁこの状況だと、目当てはそれになるねぇ」

アイテム強奪はRPG黎明期からの冒険者の仕事なのだ。

【192】

「それにしても、生きた人間がここを通るのはめずらしいことだ」
角のあるコウモリはそういって、箱のまわりを気遣わしげに飛びまわった。

「まったく、そうだ」
あごひげの犬が平静を装っていった。

「ここには、おれたちとこの宝の箱以外、見るものもありはしないんだから……」

その瞬間、二匹ははっとして顔を見合わせ、こちらをふり返った。
犬の顔がかすかに引きつった。
あわてて二匹はしゃべりはじめた。
コウモリは犬の口を羽根でふさいでいった。

「こいつがいったのは、あの……炭箱のことなんですよ。なかなか立派な箱でしょう? 中には炭しか入っていないといっても信じられないくらいにね?」

テツヤ「ギャグマンガか、このシーン」

ディアブロ「お宝の事を彼らの用語で『炭』と呼ぶ事にしているなら、まぁ嘘じゃないんだろうぜぇ」

「まったくだな」
旅人(トラベラー)が落ち着きはらっていった。

「どう見たって、それは宝の箱というところだ」

「ハッハッハ」
あごひげの犬が大声を張り上げた。

「宝だって! そりゃまた、突拍子もない考えだ! ハッハッハ」

もう少し会話を続けられるので、塔の事も聞いてみる。

【134】

「塔のことは、ほとんどといっていいほど知りません」
コウモリがいった。

「俺だって、こいつより知らないよ」
犬がいった。

テツヤ「この犬、どことなくバカっぽさがあるな」

ミヤ「あたしは可愛いと思う!」

「だれも住んでいないと思うよ」
コウモリがいった。

テツヤ「じゃあ、あの上の窓の明かりは何なんだ?」
そういいながら塔を見ると、こちらからでは明かりが見えないのに気づく。

テツヤ「ああ、角度の問題か……って、大昔からここにいたんじゃないのか、こいつら」

ミヤ「大昔からずっとここだけに居たんじゃない? 冥界の住人さんの大半は、何百年もずっと同じ所にいそうだよ」

「明かり?」
コウモリがいった。

「上の窓だって?」
犬がいった。

「それじゃあ、だれかが住んでいるんだ」
二匹はこそこそと顔を見合わせていった。

「ってことは、宝も……」

ミヤ「あ、物を盗りに行く気なんだ」

テツヤ「強盗稼業何百年、か」

「エヘン」
コウモリがいった。

「では、何者かがあの塔に住んでいるのですね。我々は長いあいだここを離れなかったので、ちっとも知りませんでした」

「驚いたな」
犬がいった。

「行って確かめたほうがいいな……いや、いずれ、今すぐってわけじゃなくて」

ここで盗賊が行動を起こす事ができる。多分、この巻で一番の見せ場である。

【177】

Photo(盗賊)

テツヤ「それにしても不思議だな」
やつらに向かっていった。

テツヤ「あっちの丘の宝はどうして警護もなくほったらかしてあるんだろう……」

「えっ?」
コウモリがいった。

「なんのことです? あっちの丘って?」

「どこのことだ?」
犬がいった。

ミヤ「本当にどこ? そんなもの、あった?」

ディアブロ「いいから静かにしておこうぜぇ。君の叔父ちゃんが誉められない仕事をしているからね」

川の向こうを指さす。
テツヤ「この林をまっすぐ行った向こう岸の丘だ。盗んでくれといわんばかりに、穴の中に宝石や金貨が山積みされているんだがよ」
やつらの顔色が変わったのを見て、にっこり笑いかけた。

テツヤ「どうして確かめに行かないんだ?」

ディアブロ「まともな脳味噌があれば、こんな見え透いた話には食いつかないはずだぜぇ」

「おい、早速行ってみようじゃないか」
犬はむっくり起き上がっていった。

「あわてるなよ」
コウモリが相棒の耳にささやいた。

「俺たちが行っちまったら、あいつらは宝の箱と一緒に残ることになるじゃないか」
二匹はこちらをじろりとにらんだ。

「俺が行って見てくるよ」
コウモリがいった。

ディアブロ「まともな脳味噌がある奴ばかりでもないぜぇ」

テツヤ「ま、腰をおろして一服しとくか」

コウモリは林の向こうの闇の中へ消えた。
しばらく待つ。
それから、木の枝で地面をつっつきながら、犬に向かっていった。

テツヤ「相棒は遅いな? あいつ、見つけた宝があまりすごいもんだから、自分のものにしようと思ったんじゃないか?」

犬は鼻先で笑った。
「ばかいえ! あいつは信頼できるやつだ。俺を裏切ったりするもんか!」

ミヤ「あたしもしないと思うけど」

ディアブロ「まぁ、この時点ではそうだろうぜぇ」

テツヤ「しかし、それにしても遅くないか?」

「行くのに手間取ってるんだ」

テツヤ「飛んで行くのにか?」
皮肉な笑い声をたてる。

テツヤ「しかしまあ、あんたのいうとおりなんだろう……」

犬はしばらくウロウロと歩きまわっていた。

「おれは決めた」
ついに犬がいった。

テツヤ「ほう?」
とぼけて鼻をこすった。

「相棒がどうなったのか見てくるつもりだ。しかし、この箱をここに置いていきたくない。そりゃあ、中味はただの炭なんだが。こいつをおれの背中にのせるのを手伝ってくれないか」

ミヤ「おっけー!」

ディアブロ「さすがにそう簡単に、箱をくれはしないねぇ」

テツヤ「ま、そう慌てんな」

こちらは、やつが箱を背負うのを手伝った。
テツヤ「炭にしては重いな?」
そういってやった。

「全部炭だよ」
犬が叫んだ。
やつは丘を下って、イバラの茂みの中に消えていった。

ミヤ「箱を盗むの、失敗したね」

テツヤ「ま、ダメモトって言葉があるし、何か消費したわけじゃねぇからな。それにまだ終わったとも決まってねぇ」

よって少しのあいだ、ここで待つ。

【518】

Photo(盗賊)

まもなくコウモリが戻ってきた。
「あなたのかんちがいですよ。あそこには何もありませんでした」
やつは疲れたようすでいった。

「おや? 私の相棒はどこへ行きました?」

ミヤ「それはね……」

ディアブロ「はいストップ。叔父ちゃんの仕事を邪魔しちゃいけないぜぇ」

テツヤ「まったく、どこへ行ったのやら」
顔をしかめていってやる。

テツヤ「あんたが行ってしまってから、やつはこの機に宝を一人占めにしたいと考えたようだ」

「私の信頼できる相棒が? そんなばかな!」
コウモリは絶句した。

テツヤ信頼していたのは、あんたのほうだけだったんだな」

コウモリは涙をこぼした。
そして怒りの目でこちらをにらんだ。

「卑劣なやつはどっちへ行きました? 教えてください。このまま逃がすものか。何世紀ものあいだ、私はあいつの馬鹿さ加減や下品な会話を我慢してきたんだ。あいつに思い知らせてやらなきゃ、腹の虫がおさまらない!」

ディアブロ「こっちはあっさり掌を返したぜぇ。犬の方が、頭が悪いぶん騙され難かったかねぇ」

わざととぼけていった。
テツヤ「俺は関わりたくないんだが、しかし、これではあんたがあんまり気の毒だ。あいつはあの塔に隠すとかつぶやいていましたよ」

「そういうことか!」
コウモリは叫んで、空に飛び上がった。

ミヤ「行っちゃった……」

テツヤ「じゃ、ちょいと寝転んで待つか」

数分が経過した。
犬は背中に宝の箱を背負ったまま、ぶすっとした顔で戻ってきた。

「こんな荷物があっては、川を泳いで渡れないってことを忘れてたよ」
犬がいった。

「あんた、行ってコウモリに何が起きたか見てきてくれないか。おれはここで待ってるから」

テツヤ「わざわざ行かなくても、相棒に何があったか話してやれるよ。しかし、これを聞いたら、あんたは悲しむだろうな」

「どういうことだ? 相棒がひどい目にでもあったのか? 泥棒にでも襲われたのか?」

テツヤ「そうじゃない。しかし、やつはあんたとの友情をこれまでと決めたらしい。やつはすごい宝を持ってあっちの丘から帰ってきた。一人悦に入ったようすで、あんたのことをずいぶんひどいいい方をしていた。たしかこんなふうにいっていたな。“これは掘り出し物だ。あの山犬と分けあうなんて馬鹿げている。あの塔へ運んでいって隠すとしよう。あいつにはよじのぼれっこないからな” あんたにはショックな話だろう。しかし相棒の正体に目をそむけてはいけない……」

ミヤ「えっ? もう完全に焚きつけてない?」

ディアブロ「それを察する事ができる脳味噌があれば、彼らの話も変わったんだろうけどねぇ」

「くそっ!」
犬が叫んだ。

「腹黒のペテン師野郎! 俺はいままでずっと、あいつのためになんだかんだとつくしてやってきたんだぞ。仕返しをしてやる」

犬は塔のほうへかけだした。
それに距離をおいてつけていく。
塔にたどり着くと、コウモリが中から現われ、地面に舞いおりてきた。
やつは爪のあいだに金色に輝くお守りを握っていた。

「裏切り者め!」
犬がうなった。

「極悪人!」
コウモリが叫んだ。

二匹は怒り狂ってお互いにとびかかり、丘の斜面を組み合ったままころげ落ちていった。

激しい取っ組み合いののち、犬は敵ののどに鋭い牙を突き立てた。
しかしコウモリの爪も犬の腹にしっかり突き刺さっていた。

ミヤ「ええっ!? 何世紀もいっしょにいたのに、話もしなかったの?」

ディアブロ「そういう連中だったという事だぜぇ」

テツヤ「ま、いなくなった連中の事はどうでもいいだろ」

両方が死んだのを確認してから、やつらの持ち物を確かめるために、死骸に近づいていった。

テツヤ「さてさて、宝箱なんぞ久しぶりだな。全く、心が洗われるみてぇだ」

ディアブロ「景気が良くてけっこうw」

ミヤ「……」

【3】

コウモリが塔の中から見つけ出してきたのは、T字型の十字架で、頭の部分に円の模様がついている。
カイクハラン時代に、お守りとして人々が身につけていたものだ。
これを首にかけたいと思うキャラクターは25へ進め。

テツヤ「こいつの効果は後回しにすっか」

コウモリたちの宝の箱のふたがあいている。
中には以下のものが入っていた。

・鎧強度5の魔法の銀製の鎧(シルバー・プレート) 1着
※魔術師はこれを着たまま、呪文を唱えることができる。

・鎧強度4の魔法の鉄鎖製の鎧(チェイン・メイル) 2着

・鎧強度3の鋲を打った皮の魔法の鎧(スタッド・レザー) 1着
※魔術師はこれを着たまま、呪文を唱えることができる。

・魔法の斧 2本
※戦闘力は増えないが、打撃力がサイコロ1つ分増す。

・魔法の弓
※これで放たれた矢はサイコロ1つ+4のダメージを与える。

テツヤ「……まさか鎧や斧が詰まってるとはな。こりゃ予想外って奴だ」

ディアブロ「注釈で『魔術師は呪文を唱える事ができる』と書いてある所を見ると、書いてない鎧は魔術師の俺に着る事はできない、と考えるべきかねぇ」

ミヤ「斧も弓も、打撃力が増えて戦闘力は増えないんだね」

武具を選別する。
テツヤはチェインメイル(鎧強度4)と魔法の弓を入手。

ディアブロ「盗賊が金属鎧を着ていいのかねぇ?」

テツヤ「そりゃ他のゲームの理屈だな。この項目のどこにも駄目と書いてねぇぞ」

ミヤはシルバープレート(鎧強度5)と魔法の斧、魔法の弓を入手。

ミヤ「盾のお守りと合わせて、鎧強度が6になったよ」

テツヤ「だいぶ安心感が出てきたかな」

ディアブロはスタッドレザー(鎧強度3)を入手した。

ディアブロ「武器を使わないんで、こんなもんだぜぇ」

このほかに千枚の金貨も見つかった。
「ほう、これはたいした収穫だ」
宝に見入っているこちらに向かって、旅人(トラベラー)が皮肉っぽくいった。
戦利品を選び終わったところで、旅人(トラベラー)がいった。

「ずいぶん時間をとられてしまった。さあ、急ごう」

テツヤ「十字架の効果を確認してからな」

ディアブロ「荷物の関係で、俺かねぇ」

というわけでディアブロが装備。

【25】

このお守りは命の象徴だ。
死者の王国には、このようなものは他に二つとない。
これをだれかが首にかけると
、全キャラクターが影響を受け、敵から受けるダメージが半減する(端数切り上げ)
つまり攻撃によって17点の生命力を失う場合、お守りのおかげで9点のダメージですむのだ。

テツヤ「おいおい、全員がめっちゃ固くなったぞ!?」

ディアブロ「露骨に最終決戦仕様だぜぇ」

ミヤ「よし、これでなんでもドンと来いだよ!」

大した危険も冒さず大きくパワーアップだ。子供番組の年末商戦でもここまで露骨にやるかどうか。
この装備でもって、これからの戦いに立ち向かうのだ。

だがそれは次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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