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2016年9月

2016年9月30日 (金)

ブラッドソードリプレイ4-3 進め海原

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:7 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個+2 精神力:7 機敏度:8 生命力:43
装備:ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(矢:6本) 金貨袋(所持金85) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 食糧一週間ぶん

3ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:7 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2+2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:36
装備:ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(矢:6本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金の巻物 司祭長の杖 香油のびん 食糧一週間ぶん

Photo_2ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:7 戦闘力:7 打撃力:サイコロ2個+1 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:36
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 琥珀の火口箱 魔法のパン 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 食糧一週間ぶん

Photoスクリーボ

旅の途中で買われたカラス。

とりあえず当面、役に立つような能力は無い。
飯は食っているようだが、そのぶんの費用は免除されるので詳細は不明。

これまでのあらすじ

レジェンドという世界で「生命の剣」ブラッドソードを求めて旅する三人。
放浪の末に剣は完成したが、宿敵によって黄泉の国へ持ち去られてしまった。
それを取り戻すべく、三人は冥界への入口を知る魔術師の下へと船出した……。

ミヤ「作中でまともな船に乗るの、これが初めてじゃないかな?」

テツヤ「絨毯とか沈む小舟とかジニーの掌とか、確かにまともな船じゃなかったな。3巻のプロローグだけか」

ディアブロ「一応、どれも海をちゃんと渡れる手段ではあったぜぇ」

さて、ゴールデン・ランス号はちゃんと渡れる船なのか。

【項目20】

キャラクター・シートにFLAGという暗号を記せ。

ロックベンが寝場所に案内した。そこは船首甲板の下の乗組員用船室の隅だった。
「ここに手おけがあります」
彼がいった。

「酔った時にお使いください」

テツヤ「正直、ひでぇ所だな……」

ディアブロ「先客様もいるようだぜぇ?」

寝棚の下にうずくまっている大ネズミに気をとられて、彼の説明を聞くどころではない。
ネズミは堂々とこちらをにらんでいる。

テツヤ「猫はいないのか?」
彼にたずねる。

「以前はいましたよ。ゴブリンという名前の猫がね。だがかわいそうに、大ネズミにのどを食いちぎられてしまいましてね。それはそうと、船長が日暮れ時に船長室へおいで願いたいそうです。おそらく目的地のご相談でもしたいのでしょう。よくは知りませんがね」

テツヤ「ここも『まとも』な船じゃあなかったみてぇだな」

ディアブロ「いやまぁ、中世ヨーロッパぐらいの文明レベルなら、こんなもんかもしれんがねぇ」

ミヤ「ネズミは長い航海中の食糧の一つだったらしいよ。あたし、あんまり食べたくないけど」

テツヤ「俺は全然だ」

ゴブリンの冥福を祈りながら、一行、とりあえずは船長室へ話を聞きに行く。

【項目170】

船は強い追い風にのって、北北西に進んでいった。
太陽が左舷に沈んだので、船長の船室へ出向く。

ブランデー・グラスを傾けながら、船の進路について語り合う。
「エンタシウスの島がどこにあるのか、我々にははっきりしたことはわかっていません
船長がいった。

「ミスト海についたら、六日のあいだ、島をさがすことにしましょう。その間にみつけられなかった場合は、フェロメーヌに向かいます。そこで別の船をさがしてもらうしかありません」

ミヤ「仕方ないかな? でも期限についてはもうちょっと考えて欲しいよね。一週間足らずはちょっと不安だなー」

テツヤ「そもそも出航してから期限を勝手に決めようという態度が気に入らねぇ」

気に入らないので「約束がちがう。六日かかろうが六百日かかろうが、エンタシウスの島をさがすんだ」と無茶を言ってやる事にする。

【項目513】

シルソール船長はどうやら、むっとしたようだった。
ブランデーを注ごうとしていた手を止め、ボトルに栓をした。

「そうですか。それでは」
彼はゆっくりいった。

「そのことについては、ミスト海に着いてから、ご相談することにしましょう」

長居をしてきらわれてもと思い、船長室を出る。
そして数日間は彼と顔を合わせないようにする。

ミヤ「六百日がんばるぞ、と了解してもらったら、かえってこっちが困るよね」

テツヤ「そりゃな。しょせん例え話で出しただけだしよ。だが交渉もせずに話を先延ばしにしようとは、ますますこの船長が気に入らなくなったぜ」

こうして面白くなさそうな航海が始まった。

【項目494→419】

数週間が過ぎた。
船室は狭くて最悪だった。
傷ついていたキャラクターはサイコロを一つふれ。

(目の数)

1~2 傷は化膿し、サイコロ1つ分の生命力しか回復しない。
3~5 船酔いのためによく眠れず、かろうじて8点の生命力を回復する。
6   劣悪な環境にもかかわらず、16点の生命力を回復する。

テツヤ「だが俺らは全くの無傷なので、別に出目がどうだろうと関係ない……と」

ディアブロ「船室の居心地悪さだけは深刻だがねぇ」

ミヤ「叔父ちゃん! ゴブリン二世がどこかに行っちゃったよ」

テツヤ「大ネズミに名前をつけるのはやめろ……」

そんなこんなで日は過ぎる。
だが長い航海、途中で何も起こらないわけもないのだ。

【項目359】

クレサンチウムを出航して数週間たったある日、甲板の騒ぎに目をさます。
外へ出てみると、水夫たちが右舷の船べりに集まっている。
強い日差しに手をかざして目を防ぎながら、波の向こうを見る。
真紅の帆を張った一隻の船が浮かんでいる。
帆は低くおろされたり、たたまれたりして、船は微風の中でほとんど停止している。

テツヤ「おかしくねぇか、あの船。こんな海の真ん中で何停まってんだ」

ミヤ「どうするつもりなのか、船長さんに聞いてみようよ」

「幽霊船だろうか?」
船尾甲板の船長に近づいていくと、船長がつぶやいた。

「乗組員に見捨てられ、風の吹くままに流されていく船の話をいくつも聞いているが……」

ディアブロ「決めあぐねているようだぜぇ。こちらから何か提案してやるべきらしいねぇ」

テツヤ「提案つってもな。近づくか離れるかだろ」

ここは離れる事を提案する。

【項目281】

「そうですね。それが賢明だ」
船長がいった。

「幽霊船とわかれば、乗組員たちも不安がるでしょう。船が幽霊の出る海に迷い込んだのではないかと、怖がるかもしれません。やつらはあてにならないやくざ連中ですから、暴動を起こしかねません!」
船長は舵手を呼んで、赤い帆船から離れるように命じた。

テツヤ「甲板上で船員を堂々とやくざ呼ばわりか。聞かれてもかまわねぇんだな」

ミヤ「すごい信頼関係だね!」

ディアブロ「ちょっと違うんじゃないかねぇ」

スクリーボ(別の選択で、給料だけで繋がっている関係だとわかる項目もあるゾ)

ともかく、赤い帆の船からは離れる事になった。
しかし……

【項目12】

日暮れ時に、もう一隻の船に出会う。
「まったく、このごろは、このあたりの海も、フェロメーヌの市場なみの混雑だ」
船長がいった。

「近づいて、どういう素性の船か、確かめますか?」

テツヤ「またか。今度はどうすっかな」

ミヤ「あれ? 向こうから来てない?」

だがこちらが答えるまでもなく、その船はすでに肉眼で様子を確かめられるほど近づいていた。
船腹に金色に輝く盾飾りを張った、堂々たるバイキング船だ。
船首には、金赤色のラッカーをぬった愛らしい人魚像が飾られている。
白い帆にはアンゲート文字のENを表わす記号が記されている。
魔法使いエンタシウスの印だ。

テツヤ「へぇ、エンタシウスとやらも船の持ち主かい。こんな所で何をさせてんだ」

ミヤ「うん、船の人に聞いてみようよ」

ふとふり返ると、船長はまだこちらの返事を待っていた。
テツヤ「近づいてくれ」
船長に命じる。

【項目334】

バイキング船に接近していくと、船首の人魚像の両目が開き、木を打ち合わせるような音を立てて口が動いた。
「エンタシウス様がお待ちです」
人魚像がいった。

「この船にお乗りなさい。彼を島へお連れします」

ミヤ「あれ? 船が喋ってるの? 乗組員さんは?」

テツヤ「いないのかもな。しかもまさかの、こちらへのお出迎えとはよ。どこで俺らの事を知ったんだか。ちと怪しくねぇか」

ディアブロ「でも船長どのは乗り気らしいぜぇ?」

シルソール船長は大喜びだった。
こちらがバイキング船に乗り移れば、ゴールデン・ランス号はフェロメーヌへ直行できるのだ。
船長はカッターを海へおろすように命じた。

テツヤ「まぁ向こうの船に乗りこんでみる事は賛成だ。だがあのオッサン、勝手に決めやがって気に入らねぇな。現地までの金を受け取ったくせによ」

ディアブロ「ふむ、じゃあちょっとばかり返金するよう要求してみるかね?」

金はあっても困らないので、要求はしてみる事にする。

【項目31】

テツヤ「払った金を金貨百枚だけ返してくれ」
船長にいう。

テツヤ「あれは全行程分の船賃として払ったんだ。この船は、エンタシウスの島への行程の半分もいかないうちに、こうして引き返せるんじゃないか」

船長は得意げに大声で笑った。
「ばかな! いったん支払われた金は、返すわけにはいきませんよ。船を乗り換えるのは、そちらの勝手ではありませんか。我々のかわした契約とはなんの関係もありません」

テツヤ「こっちより先に決めやがって、よくも言いやがる」

力づくで取り返す事もできなくはないが、盗賊か魔術師が行動を起こす事もできる

ディアブロ「よしよし、ここは俺がやってみるぜぇ」

ミヤ「二人とも、お金が惜しいの? そりゃー無いよりはあった方がいいかもだけど」

テツヤ「いや、あのオッサンのツラが気に入らねぇからだ」

ディアブロ「俺は面白そうだからだぜぇw」

ミヤ「えー……」

【項目473】

Photo_2 (魔術師)
シルソール船長をじろりとにらみつけると、両手をあげて水夫たちに向かっていった。

ディアブロ「船長はいかさまを働こうとしている。魔術師の、この俺を相手にだ。俺は暗黒や死の秘密を知りつくしている。俺に手出しをしたり、正当な権利のある金を返さないというのなら、俺はこの船に呪いをかけよう。ゴールデン・ランス号は行く先々の港で入港を断られ、海をさまようことになるだろう。なぜならこの船は、疫病にとりつかれるからだ……」

水夫たちの顔は恐怖に青ざめた。
彼らは船長につめよった。

「魔術師のうらみをかったら、おれたちまで巻きぞえを食うんですよ、船長」
操舵手が低い声でいった。

「金を返してやってください」

ほかに手はなかった。
部下に暴動を起こされてはたまらない。
船長は金貨百枚をきみに差し出した。

ディアブロ「簡単に騙されやがったぜぇw」

テツヤ「でかした! 金貨はどうでもいいが、うぜぇ野郎にほえ面かかせたのはナイスだぞ」

笑いをこらえながら、小舟をこいでバイキング船に向かう。

テツヤ「ケチもついたが、まぁまぁの船旅だったな!」

ディアブロ「うはwwおkwww」

ミヤ「……レジェンド世界の魔術師が一般人から敬遠されてるって設定、なんかわかるなー」

なお、パーティの金貨は合計185枚。
三人で分割するのが普通なのだが、荷物の枠の関係で、100枚と85枚にまとめておいた方がいい。
よってテツヤが全て持っている事にする。

では、船を新たに航海が続く。

【項目492】

バイキング船は、人間には感じ取れない不思議な強風を帆いっぱいに受けて、すごいスピードで北へ向かった。
太陽が水平線に沈みきるころには、ゴールデン・ランス号は視界から消えていた。

テツヤ「ああ、そんな船もあったな。沈まねぇかな、あれ」

ディアブロ「疫病にとりつかれるよう、祈ってはおいたぜぇ」

【項目392】

来る日も来る日も、バイキング船は北をめざして進んだ。
傷ついていたキャラクターは
元の生命力まで回復する

テツヤ「ケガするような選択肢もあったのか」

スクリーボ(力づくで金を取りかえそうとすると、戦闘になっていたゾ)

人魚の像にいろいろな質問を試みたが、実のある答えは返ってこなかった。
人魚が話すことといったら、天気がどうなるとか、船がこの先どう進むかというようなことばかりだった。
夜になると人魚は、昔のセレンチウムの栄光を、アンゲート語で歌って聞かせた。
船べりに並んだ盾が、鐘のような音を立てて、人魚の歌の伴奏をした。

ミヤ「おお、音楽機能つきの船なんだ。会話機能はあんまり高くないみたいだけど」

テツヤ「しかし他の人間の姿は無ぇな。マジで乗組員ゼロなのか」

甲板の上には、毛布や食べ物や旅に必要な品物が用意されていた。
船尾の物置きには、寒い夜のための毛皮まであった。

ディアブロ「ま、準備はちゃんとしてくれてたみたいだぜぇ。食べ物が野ざらしなのはどうかとも思うがねぇ」

テツヤ「つぅか、バイキング船だから船室とか無いんだな、これ」

ミヤ「雨がふったら毛布を被って我慢するしかないんだね」

だが航海は順調に続く。

ついにある日、人魚は旅の終わりがきたことを告げた。
「明日この船は、タンタシウス様の島に到着します」

ミヤ「あれ? なんだかんだで、何も危険はなく航海が終わっちゃった?」

テツヤ「まぁ結構じゃねぇか。マジで生命力が一度も減ってねぇ

ディアブロ「このまま最後まで淡々となんとなく安全に終われば、言う事はないんだがねぇ」

ゲームのリプレイとしては壮絶なつまらなさになってしまうが……。

エンタシウスの島がどんな所なのかは、次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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2016年9月25日 (日)

ブラッドソードリプレイ4-2 出航前夜

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:7 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個+2 精神力:7 機敏度:8 生命力:43
装備:ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(矢:6本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金35) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り

3ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:7 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2+2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:36
装備:ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(矢:6本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金貨袋(所持金100) 金の巻物 司祭長の杖 香油のびん

Photo_2ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:7 戦闘力:7 打撃力:サイコロ2個+1 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:36
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 金貨袋(所持金100) 琥珀の火口箱 魔法のパン 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架

Photoスクリーボ

旅の途中で買われたカラス。

とりあえず当面、役に立つような能力は無い。
飯は食っているようだが、そのぶんの費用は免除されるので詳細は不明。

これまでのあらすじ

レジェンドという世界で「生命の剣」ブラッドソードを求めて旅する三人。
放浪の末に剣は完成したが、宿敵によって黄泉の国へ持ち去られてしまった。
それを取り戻すべく、三人は冥界への入口を知る魔術師の下へ向かう……。

魔術師エンタシウスはミスト海のどこかにいる。
よって船を雇う必要があるのだ。

なお、ミスト海のどこにいるのかは現時点でわかっていないので、着いてから考えねばならない。

テツヤ「よく考えりゃ無茶苦茶だな。『日本海のどこかにいる誰かさんに会うため、船をチャーターすっぞ』という旅行を考えてる奴がいたら、普通は止めるだろ」

ディアブロ「ま、調べても正確な住居が見つからなかったんだから、後は行ってみるしかないぜぇ」

ミヤ「とりあえず行ってみて、それらしい島に手当たり次第上陸すればいいんじゃないかな」

長い冒険の旅の中、あてずっぽうで出たとこ勝負をする事もまぁあるだろう。

【項目122】

すっかり元気になって目をさまし、エメリタスの用意してくれた朝食をとる。
テツヤ「不作法な食べ方を許してください」
口いっぱいに食べ物をつめこんでエメリタスにいう。
テツヤ「冒険の旅の最中は、いつどこで次の食事にありつけるかわからないのです。たまたまありつけたところで、中身はひどいものだったりしましてね!」

ディアブロ「ちっとも美味くない、と書かれた無限に食えるパンとかねぇ。俺らはそれで生きているけど」

エメリタスが手を振っていった。
「どうぞ、ご遠慮なくお食べ下さい。話は朝食のあとでできますから」

テツヤ「本当に人間のできた人だぜ、このお医者さんはよ。タダで飯食わせてくれるしな。礼を言っとけよおめーら」

ミヤ←一心不乱に食ってる

テツヤ「おめえの友人の筈だろうが……!」

なおエメリタス氏は本当にできた人なので、次の項目でさらに物をくれるのだ。

【項目50】

エメリタスは、旅に必要な品物を提供してくれた。
各キャラクターは一週間分の
食糧を手に入れることができた。
これは一個の持ち物として数えよ。

「私にはこんなことしかしてあげられません」
エメリタスがいった。
「私は患者から治療費を取りません。ですから金には縁のない生活なのです。それはそうと、プロヴィデンス号という名の船の船長をたずねてごらんなさい。私は彼のおこりを治してやったことがあるのです。彼なら喜んで面倒を見てくれるでしょう」

ミヤ「エメリタスさん、感謝します。とても助かりました!」
彼に別れを告げ、港に向かう。

テツヤ「飯と行く宛てまで面倒みてくれるのか。本当に感謝するしかねぇな。俺がこの人なら俺らみたいな奴らにここまでしねぇ」

ミヤ「おじちゃん、そう卑下しないで。あたしがいるじゃない」

テツヤ「ああ、そうだったな」

ディアブロ「そうそう、卑下する事はないぜぇ。俺もいるしな」

テツヤ「黙ってろ」

とりあえず三人は港の方へ向かうのだ。

【項目472→45】

潮の香りや大麻やタールの臭いにむせかえる桟橋を歩いていくと、適当な船がみつかった。通り過ぎた巡礼姿の若者が、こちらの思案顔を見て声をかけてきた。

「いい朝ですね。やっぱりプロヴィデンス号に乗船なさる方ですか?」

ミヤ「いや、そうと決まったわけじゃないよ。ところでこれは巡礼船なの?」

若者はうなずいた。
「ええ。ぼくたちの故郷のエルスランドへ向かう船です。故郷では家族がみやげ話を楽しみに待っているんです。じつにすばらしい旅でした! ぼくが聖地奪還の奇跡について話してきかせたら、家族はため息をつくことでしょう」

テツヤ「聖地奪還の奇跡といっても、金目当ての血なまぐさい戦争さ」
そっけなく答える。
テツヤ「ところで、この船の船長は頼めば寄り道をしてくれるか? エルスランドへ戻るまえにミスト海の近くのある島へ行ってもらいたいんだが?」

若者は大げさに両手をあげてみせた。
「ぼくたちの命を危険にさらしてまでですか? とんでもない!」
若者は十字を切って、プロヴィデンス号のほうへ走り去った。 

ミヤ「エメリタスさんはこの船に乗れって言ってたけど、他のお客さんの迷惑になっちゃうかなー?」

テツヤ「他に船がありゃ、別にそっちでもいいがな」

周囲を見まわすと、こちらの要求を満たしてくれそうな船がもう一隻見つかった。
ゴールデン・ランス号という商船だ。

ディアブロ「とはいえあっちにはツテは無いぜぇ」

テツヤ「しゃあねぇ。先ずはプロヴィデンス号に当たってみんぞ」

【項目291】

にぎやかにしゃべっている巡礼たちのあいだをすり抜け、船に乗りこむ。
一等航海士に名乗ると、パルドロという名の船長のところに案内された。
船長はひどくやせた男で、ことばにはわずかにコーナンブリアのなまりが残っていた。
 

「この船にはエルスランドの故郷へ戻る巡礼が、百人も乗ることになっています」
こちらが用件を話すと、船長は口を開いた。
「なかには、何年も故郷に戻っていない者もいます。その楽しい帰郷の旅を、長い寄り道で遅らせろというのですか? しかもミスト海へ行けと? お断りしますね。どんな条件を出されても、私にはお受けできません。船や乗客や私自身を、大変な危険にさらすことになるのですから」

ミヤ「まー予想できた事だよね。百人巻き添えは困るもん」

テツヤ「つってもこちとらにも都合がある。この船長はエメリタスになんか恩があるんだろ。一応、それで聞いてみんぞ」

【項目376】

テツヤ「エメリタスがあなたに頼めといったのです。以前病気を治してやったから、あなたなら引き受けてくれるだろうと彼はいっていました」

「そのお礼はしましたよ!」
パルドロ船長がいった。
「いや、しなかったかな? しかしそれは、あの人が支払えといわなかったからですよ。冗談じゃない。なぜあの人にこの船の行く先を指示されなければならないんです」 

恩義をあてにしてもむだということだろう。

テツヤ「俺らがやってやった事でもねぇしな」

ディアブロ「人様の手柄じゃ美味い話にはならないねぇ」

ミヤ「なら仕方ないね。他のお客さんの邪魔にならないうちに、次の船に行こう!」

三人はゴールデン・ランス号へとあたってみる。

【項目486】

大男のシルソール船長が船長室から出てきた。
こちらの話を聞くと、船長は軽蔑したような、苦虫をかみつぶしたような顔つきになった。

「二日以内にフェロメーヌに向けて出港するつもりです。運ばなければならない積み荷がありましてね。船の到着が遅れれば、そのぶん私は損をします。だというのに、ミスト海の得体の知れない島に行きたいから、数週間の寄り道をしろというのですか? では、どんな代償をくださるおつもりです?」
船長は目を細めて、こちらの顔をのぞきこんだ。
「金額をはっきりいっていただきましょう」

テツヤ「お、こっちは金の話に持ち込みやがったぞ」

ディアブロ「喜ばれてはいないようだぜぇ?」

テツヤ「値段交渉のためのスタイルだろ。そうでなくても銭を出す側が気にしてやる必要はねぇ」

一応、プロヴィデンス号の船長も金で言う事は聞いてくれる。

しばらく押し問答があり、代償は金貨で二五〇枚と決まった。 

「明日の朝、金を持って出なおしてください」
船長がいった。
「夜が明けたら出航しましょう」

ミヤ「話が簡単にまとまって良かったね! 金貨250枚なら、みんなのぶんをかき集めたらもう用意できるし」

スクリーボ(プロヴィデンス号なら150枚でOKしてくれるから、ゴールデン・ランス号はちょっと損だゾ)

どちらにせよ金が足りない場合、ここで金策に走る事になる。
盗賊か魔術師がいればどうにかできるが、どちらもいなければ所持品を売って金にするのだ。
戦士と僧侶しかおらず、持ち物を売っても金が足りないなら、ここで詰む事になる……と思うが、冒頭でファティマから貰える香油のびん金貨100枚で売れるので、まぁ問題になる事は無いだろう。

今回は最初から金が足りているので、金策関係の面倒なイベントは全部すっとばせる。
金が有るのは無いよりもいい事なのだ。
ちくしょうめ。

【項目487→179】

市場をぶらついて、大道芸を見物したり、講談師の話に耳をかたむける。
話は水夫シンベールの冒険談の佳境に入っていた。
しかし、シンベールが大魚にのみこまれたところで、話は祈りの鐘にさえぎられた。

「哀れシンベールは大魚の腹の中」
講談師は聴衆に向かっていった。
「果たして彼は聖都への方角を知ることができるでありましょうか?」
人々のあいだに笑いがおこった。
「続きは明日、ここでお聞かせいたします!」
聴衆が立ち去ろうとすると、彼はいった。
「シンベールは大魚の腹から吐き出され、ネフェールの岸に打ち上げられますぞ! 海の魔物を相手に見せるシンベールの剣の技に、手に汗をにぎっていただきましょう! そして美しい姫君リアブラに捧げる愛には、ため息をな!」

群衆は拍手かっさいをして、講談師に小銭の雨を降らせた。
こちらはその場を離れ、今夜の宿をさがすことにする。

ミヤ「いつの時代も娯楽で食べてる芸人さんはいるんだね」

テツヤ「実入りが少なかったら客の期待をあおって銭を出させるのは、現実世界の現代と変わんねぇな」

スクリーボ(リアルリアリティって奴かもナ。この当時、そんな言葉はなかったガ)

ゲームとしては全く無意味な項目だが、RPGには世界を感じさせる演出も必要であろう。

【項目115】

港から遠くない宿を探していると、まもなく『日の出の中心』という名の宿がみつかった。
クレンチウムの宿の、へんてこな名前にはもう慣れている。
ドアをあけて、中に入る。

ミヤ「今日は『紫の玉座の塔』じゃないんだ?」

テツヤ「泊まる宿を毎日替えるのがクレサンチウム滞在のセオリーだからな」

ディアブロ「そうでなきゃ、毎日エメリタス氏の家で暮らす事になるぜぇ」

入ったとたん、話し声がぱたりとやみ、みんなの目がこちらを向いた。
他国人は泊まらない宿なのだろう。
一つのテーブルに近づいて腰かけながら、大声で主人を呼ぶ。
ほかの客たちは、しばらくのあいだこちらを陰気な目つきで見ていたが、やがてそれもやめ、部屋には笑い声や話し声が少しずつ戻ってきた。

ミヤ「私はクレサンチウム出身です!ってキャラクターを作る事は想定されてないんだね?」

テツヤ「そりゃ、プレイヤーキャラクター一同は3巻の冒頭で外国から来た描写がされてるからな」

宿の主人は、耳に大きな輪飾りをつけたエレウォーン人だった。
長い口ひげをなでながら、主人は料金表を読みあげた。

「個室は一つしかありませんが、みごとな瑠璃色の部屋です。その美しさは、この町で知らぬ者はありません」

テツヤ「要するに高いんだろう。食堂の床にマットをひいてくれれば十分だ。さあ、パンと、あったかいシチューとワインを持ってきてくれ」

「まあまあ、そうお急ぎにならないで」
主人がいった。
「個室の件をもう一度じっくりお考えになりませんか? 一晩につき金貨十枚というのは、妥当な料金ですよ。それに、ご覧のとおり、この宿の客は、ほとんどがあやしげなごろつきどもです。食堂で雑魚寝をなさるなら、短剣でブスリということにならないという保証はいたしかねますよ」

客たちは再び話をやめて、こちらのやりとりを聞いていた。

テツヤ「客の悪口を店主が聞こえる所で言いやがるのか……俺の見たこの店は完全に地雷だぜ」

ミヤ「明日、ご主人さんが短剣でブスリになってたらどうしよう?」

ディアブロ「それなら宿代が浮くぜぇ。これはブスリのコースで決まりだな」

というわけで安いコースで。

【項目388】

主人はそれまでのこびへつらうような口調をガラリと変えた。
「まあ、それがそちらの身分相応ってもんだろう」
彼は不満げにいった。
「マットと夕食で一人金貨二枚だよ」

テツヤ「わかりやすい主人だな。埃をかぶった高い部屋に泊まってもらいたくて仕方ねぇんだな」

ミヤ「もう全部安い部屋にすればいいんじゃないかな」

というわけで就寝である。

【項目104】

その夜はぐっすり休むことができた。
目ざめてから卵とコーヒーの朝食をとったところで、傷ついていたキャラクターは3点の生命力を回復する。
さあ出発の時だ。持ち物を調べて桟橋へ向かう。

ミヤ「ゆで卵とコーヒーだけの朝食って斬新だったね! エレウォーン人さんたちは卵を主食にしてるんだ。ご飯とかパンはおかず扱いなのかな。さすがファンタジー世界にはいろいろな人がいるね」

テツヤ「まぁおかげで減ってない生命力も微妙に回復したしな」

ディアブロ「無限に食える不味めのパンがあって良かったぜぇ」

テツヤ「泣ける話だが同意だ」

異文化におどろきながら、三人は船に向かった。

【項目306】

「金はあるんでしょうね?」
甲板に上がっていくと、シルソール船長が握手をしながらいった。

テツヤ「わざわざ高い部屋に泊まって金を足りなくしてる奴がいたら驚きだぜ」

まぁ可能か不可能で言えば可能ではある。
もちろんそんな腰砕けプレイをする気は無いので、船長に金貨袋を投げ渡した。
リアルでは投げ渡されたい所である。

【項目304】

いかりをあげ、帆を張ると、ゴールデン・ランス号はゆらりゆらりと揺れはじめた。
一本マストの小型帆船で、風さえ吹けば速度が出そうな船だ。
これならエンタシウスの島へは一か月以内に到達できそうだ。
水夫たちは元気よく号令をかけながらオールをこぎ、船は港から出た。

だが、シルソール船長が、行く先を水夫たちに伝えているかどうかはあやしかった。  

テツヤ「まぁ銭は出してんだし。言う事は聞くだろ」

このゲームだと、そこらへんもいちいち怪しいのが困ったところ。

船は風にのり、波を切って進みはじめた。
船長が近づいてきたが、上きげんだった。
いったん海に出れば、船乗りはだれでも元気になるものなのだ。
彼は一緒に連れてきた男を、操舵手のロックベンだと紹介した。

ようやく船に乗れた一行。
行先がいちいち変なので、海へ漕ぎ出す度に難儀するのがブラッドソード探索行の醍醐味である。
操舵手の紹介も含め、海原で何が起こるかは次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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2016年9月20日 (火)

ブラッドソードリプレイ4-1 リアル発掘成功

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:7 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個+2 精神力:7 機敏度:8 生命力:43
装備:ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(3本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金35) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り

3ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:7 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2+2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:36
装備:ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(6本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金貨袋(所持金100) 金の巻物 司祭長の杖

Photo_2ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:7 戦闘力:7 打撃力:サイコロ2個+1 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:36
装備:銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 金貨袋(所持金100) 琥珀の火口箱 魔法のパン 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架

Photoスクリーボ

旅の途中で買われたカラス。

とりあえず当面、役に立つような能力は無い。

これまでのストーリー

当時、執筆していた作品の、出版の見込みが潰えた。
しかもブラッソドードの4巻が、ゲームブックを突っ込んでいた押入れの奥に見当たらない。
まさか引っ越す時に処分した物の中に紛れ込んでいたのか。
今さら買い直せる代物じゃねぇぞ。
まぁゲームのリプレイってんなら、他のゲームでも別にいいだろ。
特撮大戦は噛みしめると味が出る良いゲームだぜ!

その後、潰えた筈の新作にまさかの復活予定。
でもブラッドソードの4巻は押入れから出てこない。
1998年に復刻された内山まもる版「ザ・ウルトラマン」は出てきたんだが。
まぁ無い物は仕方が無い。連休だけど雨ふってるしどこにも行けないし、ちょっと気合いれてTRPGのシナリオでも作るか。

4_2 4巻が……ソードワールド2.0の旧版ルールブック1巻の下にありよった……。
どうりで見つからねぇわけだ……。

ディアブロ「というのがおおまかな流れだぜぇ」

テツヤ「これ、連休に雨が降らないとまだ見つかってなかったんじゃねぇのか」

ミヤ「まさに天の恵みってことかな?」

というわけで、ぼちぼち開始しようかとも思う。

これまでのストーリー

クラースの原で、年老いた竪琴ひきに会って以来、君たちの気楽な冒険は終わりを告げた。

竪琴ひきが追っ手によって暗殺されたとき、君たちは息絶えだえの彼の口から、恐ろしい「五人の真のマグス」の存在を聞かされたのだ。
「五人の真のマグス」は、かつて、クラースの暗黒時代の支配者だった。
その彼らが、紀元1000年になると、復活するという。
それを食い止めるためには、ばらばらになって今は失われた「生命の剣」、またの名を「ブラッド・ソード」を見つけだすしか、方法はないという。
竪琴ひきは、その探索の途上で、「真のマグス」があやつる暗殺者たちによって殺されたのだった。
君たちは事の重大性をさとり、「ブラッド・ソード」をかならず見つけだしてみせると、竪琴ひきに約束した。
彼は「ブラッド・ソード」の鞘を君たちに託して、息絶えた。

その時から、君たちに向かって「真のマグス」の魔手がのびてくるようになった。
数々の難敵を倒したあと、君たちはようやく「ブラッド・ソード」を手に入れた。
だが、そう思った瞬間、「ブラッド・ソード」は宿敵イコンによって、「死の国」に持ち去られてしまったのだ。

「真のマグス」が復活する紀元1000年までには、あと二年しかない。
しかし、友人になった女魔術師ファティマによれば、希望の灯はまったく消えてしまったわけではないという。
「ブラッド・ソード」をイコンの手から奪還する道は、まだ微かながら残されているという。

だが、そのためには、得体の知れない「死の国」に降りて行かねばならない……。

ミヤ「というわけで、3巻最後と同じ日から始まるよ!」

テツヤ「えらく長い一日もあるもんだな……」

1

そりゃ、長い日も短い日もあるだろう。
だが大いなる大宇宙から見れば、瞬きほどのわずかなものであろう……。
まぁ別の場所で使わなくなった本の下とは、さすがに盲点であった。
次があったらはっきりと目を見開いていたいものである。

【項目1】

ファティマに案内されて庭園のあずまやへ行くと、絹の衣装の召使いたちが、食べ物や飲み物を運んできた。
しばらくのあいだ、木立ちの中を飛びかう小鳥の声を聞いて、ゆっくりするとしよう。
陽は高くのぼり、草におりていた露は蒸発し、ファティマの育てている花々からは、むっとするような芳香がたちのぼっていた。

ディアブロ「ふう、セブン・イン・ワンとイコンに電撃を浴びせまくった疲れが癒えるぜぇ」

ミヤ「なんかもう一生ここに住んでいたくなるね。ご飯もどんどん出て来るし」

テツヤ「却下だ」

だが、このけだるいような景色の中にいても、こちらの心は落ち着かず、冒険の旅のことばかり考えてしまう。
ファティマにそのことを話すと、彼女は召使いに、旅に必要な品物を持ってくるように命じた。
新しい矢や武器や鎧が必要なキャラクターは、彼女の提供してくれた品々を受け取ることができる。

テツヤ「こりゃありがてぇ。矢の補充しとくか」

ディアブロ「俺も剣の替えを1本もらっとくぜぇ。前の剣はいらねぇから捨てちまったしな」

ミヤ「でも新しい剣、使うのかなー?」

ディアブロ「使わなくても俺は損しないぜぇw」

「もう一つ、さしあげるものがあります」
彼女は一本の香油のびんを手にしていった。
「これは戦いの傷を癒してくれる魔法のぬり薬です」

傷ついているキャラクターがこの薬を傷口にぬりこむと、傷はたちまち癒えた。
すべてのキャラクターが、こうして冒険スタート時の生命力を取り戻す

びんの中にはさらに十回分の薬が残っている。これからは一回分の薬でサイコロ二つぶんの生命力を回復することが可能だ。
びんの持ち主を決めて、キャラクター・シートに記せ。

ミヤ「これでHPも回復だね。ランクが上がっているから、新しい最大値まで全快だよ。残りは私が持っておくね」

テツヤ「まぁその薬も多分使わねぇんだろうな……」

僧侶の回復能力が優秀なので。
だがその場合でも、すぐに別の使い道が出てくる。

「さあ、それでは出発なさい」
ファティマが立ち上がっていった。

ミヤ「うん、いろいろありがとう! よし、行くぞー」

ディアブロ「切り替え早いね君は」  

【項目127】

ファティマは、秘密の花園から出る門の一つに案内してくれた。
これまでに彼女の魔法の力はさんざん見てきたので、その門がほんの数日前に発ってきたクレサンチウムの町に通じていると聞かされても、驚きはしなかった。

ミヤ「うん、この人ならこのぐらいはお茶の子さいさいだよね。正直、ちょっとびっくりしたけど」

テツヤ「俺は結構はっきり驚いてる」

「船をやとって、北西のエンタシウスの島へ向かいなさい」
ファティマが言った。
「エンタシウスは名高い魔法使いです。黄泉の国へ行く手立てを、教えてくれることでしょう」

テツヤ「死の集約点を通っていくわけにはいかないのですか? あそこからなら直接、黄泉の国に行けるのではないですか」

ファティマは首をふった。
「それはそうです。でも、イコンと同じ道を通って黄泉の国へ行ってはいけません。死ぬことは簡単です。でも、生命の剣を取り戻したら、再びこの世に戻ってこなければならないではありませんか。その方法を教えることができるのは、エンタシウスただ一人です」

テツヤ「なるほど、そりゃそうだ」 

彼女は門をひらいて、さよならをいった。
彼女に礼をいって門をくぐると、そこはクレサンチウムの大広場へつながる通りだった。

ミヤ「おおっ! 帰ってきたよ、クレンチウム。なんだかなつかしいね!」

ディアブロ「まるで数年ぶりみたいな気分だぜぇ」

テツヤ「黙んな。さて、これからどこ行ったもんだか」

しばし考える3人。
3巻で世話になった友人・医師エメリタスに相談してみる事にする。

【項目193】

エメリタスは無事な姿を見て、よろこんでくれた。しかし、この一週間のできごとを話すと、彼は気むずかしい顔になった。

「それでは、今度は黄泉の国へ下っていかなければならないのですか。それがイコンの最後の復讐というわけですね。わかっているでしょうが、あの世から戻るのは至難の技です」

ミヤ「なあに、だいじょうぶ。失敗など気にかけなければ、この冒険の旅は成功まちがいなしだよ」

「たいした度胸ですね」
エメリタスはかすかにほほえんでいった。
「それにしても、そんなふうに楽観的に考えることは、私にはできません!」

テツヤ「それはそうと、黄泉の国について、何か教えてくれませんか? 立ち向かう敵については、あらかじめ情報を入手しておいたほうがいいですから」

「それでは、私の図書室へ行きましょう」

彼は百冊ちかくの大型本とたくさんの巻き物の並んだ部屋に案内した。
個人のものとしては、オトレメールでも一、二を争う蔵書にちがいない。
エメリタスは、その中からぼろぼろになった一枚の羊皮紙を選び出し、日の光にかざした。

「死は眠りの兄弟です」
彼がいった。
「そしてこの二つはそれぞれに、夜の息子と娘だといわれています。黄泉の国、つまり死の王国は、生と死をへだてる壁が薄くなっているある地点を通って、到達できるはずです。でも、それがどこにあるのかはわかっていません」

ミヤ「死と眠りは兄妹なんだね。姉弟かな? ギリシャ神話でも双子の神様だったみたいだけど、何か関係あるのかなあ」

テツヤ「調べりゃわかるかもしんねぇぞ。ここの本を読めばな……」

ズラリと並んだ本と、ほこりをかぶった巻き物の山を見わたす。
これ以上ずぐずぐしていて、冒険の旅の出発を遅らせるわけにはいかない。
しかし、ここには重要な情報があるかもしれない。

ディアブロ「ま、やるだけやってみるとしようぜぇ」

【項目401】

 エメリタスは情報集めを手伝おうといってくれた。
「でもここには書物がたくさんありますから、よほど要領よくやらなくてはいけません。それで、どんな情報を知りたいのですか?」

ディアブロ「エンタシウスについてか、黄泉の国についてか、死の天使についてか。この三択だぜぇ」

テツヤ「まずは近い所からだな。エンタシウスについてわかる本はねぇか?」

【項目507】

古い書物を相手に、何時間も格闘する。
ついにエメリタスは魔術法典の中に、役立ちそうなページを見つけ出した。

「エンタシウスは古代セレンチウムの貴族だった」
エメリタスがいった。
「平民の娘と恋に落ちたが、法律のために、一緒になることができず、二人はエンピールから西の海に浮かぶある島へ脱出しようとした。これはもちろん何百年も前の話です。そんな法律は三一〇年に廃止されていますから、それ以前のことにちがいありません。いずれにしろ、彼らが脱出を計ったその夜、娘はエンタシウスを憎んでいた連中にさらわれ、殺されてしまいました。エンタシウスは一晩中娘を待ちました。そして夜が明けると魔法を使って出発しました。彼は名高い魔法使いだったのです。それから数年後、セレンチウムはコーティックの遊牧民たちの略奪を受けました」

ミヤ「何それ! 酷い話だなー!」

テツヤ「身の上には同情するが、これから行く死の国に関係ある話じゃなさそうだな」

 もう日暮れも近かった。

ミヤ「これだけじゃね……もうちょい調べようよ」

ディアブロ「生命力が減ってないから徹夜も平気だろうしねぇ」

テツヤ「んなわけねぇ。だがもうちょい調べるには同意だ」

【項目23→519】

ミヤ「エンタシウスさんの事をもっと調べるか、黄泉の国の事か、死の天使の事から、調べる事項を選べるよ」

テツヤ「じゃ、今度はずばり死の国で」

黄泉の国に関して書かれた本をみつける。
黄泉の国とは天国にも地獄にも行くことのできない、かわいそうな霊の住む所だ。
異教徒や狂人や幼児や、葬式をしてもらっていない人びとの魂の行き着く所なのだ。
その本によれば、黄泉の国へ生きた人間が行くことは、理論上、不可能ではないという。
ということは、黄泉の国からこの世に戻ってくることができるということではないか。
その本には、それ以上のことは記されていなかった。
しかし、何年もまえにこの本を読んだ人の書きこみが余白に残っていた。 

「エンタシウスがその答えを知っている」と。

テツヤ「はいはい、異教徒は天界からも冥界からもつまはじきな。幼児や身寄り無しも出血大サービスで押し込んでくれるとは泣けるぜ。この本書いた奴は何教のどこ教会からいくら貰ったのかも書いとけよ」

ディアブロ「まぁそう怒るもんでもないぜぇ。理論上可能、と冥界への往復を保証してくださってるじゃねぇか」

ミヤ「理論で考える事だったんだ……ちょっと意外だよ」

テツヤ「しかも結局、魔法使いの爺さんの事を調べろって結果だとはな。なめんな」

ディアブロ「今の時点では爺さんだとは限らないぜぇ。外見青年のメガネイケメンの可能性は無いでもない」

なお、娘さんと恋仲だった人なので、女性の可能性はこの時点でもう皆無である。

【項目522】

アマティーヌ出身の冒険者シモキュスの著書によると、エンタシウスはまだ生きているという。
シモキュスはその本に、ミスト海よりはるか西の海に浮かぶある島に行き、そこでエンタシウスの歓迎を受けたと記していた。
ところが彼は、エンタシウスの不死身の秘密をさぐり出そうとして、島を追い出されてしまった。彼はこう書いている。
「数百年も生きつづけてきたにもかかわらず、エンタシウスの魔法使いとしての力は少しも衰えていなかった。彼は島の岸辺に立ち、私たちの乗った船を追いはらう呪文を唱えた。船は五日の間、ひどい嵐に翻弄された。もしもエンタシウスが、欲に目のくらんだ私たちを震えあがらせるだけで怒りをおさめてくれなかったら、いまごろ私たちは海の底深くに横たわっていたことだろう」 

「事実、そのとおりの結果になったのです」
エメリタスが皮肉な笑いを浮かべていった。
「このシモキュスの乗った船は、彼がこの本を書いた数年後、行方不明になってしまいました」

テツヤ「結局は死んじまったのか。そこまで知られたくない方法だったって事かよ」

ディアブロ「案外、無関係な事故だったりするかもしれないぜぇ」

 もう日も暮れかかっていたので、これ以上の情報集めはあきらめることにする。

テツヤ「さすがにそろそろ眠いか」

ミヤ「うん、仕方ない。さーご飯にしよう、そうしよう!」

ディアブロ「君はまだまだ元気そうだねぇ……」

【項目367】

「そのほうがいいと思います」
エメリタスがいった。
「長旅のあとですから、休んだほうがいい。冒険の旅のことは、また明日になって相談すれば妙案が浮かびますよ」 

どっと疲れを感じる。
エメリタスに礼をいって用意された寝室に行き、あっという間に眠りこんでしまう。

ミヤ「さー、気合いれて寝るぞー。叔父ちゃん、お休みぃ!」

テツヤ「わかったわかった。しかし今回のパート、全然争いごとは無かったな」

スクリーボ(今回どころか、4巻はほとんど戦闘無しで進める事ができるゾ。もちろん敵の避け方がわかっていればだが、必須の戦闘が極端に少ないのは確かなのダ)

結局、本を読んだだけの三人。しかしこの日は3巻のラスボス戦と同じ日なので、もう疲れているのだろうと考えるべき。
翌日から海を渡り、冥界への道を知る魔術師を探さねばならない。

しかしそれは次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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2016年9月 1日 (木)

次作予告

次回作の予告が幻想迷宮書店に出ましたので、ここでも告知させていただきます。

作品タイトルは「バリアントナイト―魔眼の騎士―」でございます。

ようやくタイトルを発表できる所まで来たか……。
この作品の一番の目玉は、編集者が発売を諦めなかった事以外に無いな。
正直、出ると思わなかった。
まぁここまで来たら発売はするだろう。明日自分が車にはねられようがトラックにはねられようがニンジャに首をはねられようが、とりあえず出す事はできる所までは来ている。

一応ヒロイックファンタジーなので、モンスターも出るし戦闘もある。
戦闘はサイコロを2個ふっていろいろ足したり比較したりする昔ながらのやり方なので、まぁそのつもりでよろしくお願いする。

自分が好きなもんでね。
TRPGなんかで、サイコロふって戦闘するのがな。

ただパラグラフジャンプは使わない事にした。
あれも大好きなんだが、電子書籍とは正直相性が悪い。
それでも1~2箇所は使おうか……と思わなくもなかったが、現時点で編集者へ送っている原稿には本当に一つも無い。
このまま行けば全くの皆無だな。何一つ隠された物の無いノーガード戦法である。
そういう意味でも、自分にとって初めての試みである。
戦闘を全勝ちにすれば絶対に最後まで行けるぞ。やったな。キャラクターシートの存在は忘れていいぞ。

ともかく、80~90年代のファンタジーゲーム全盛期を生きた人間として、剣と魔法のファンタジー世界を舞台にした作品を作れた事は嬉しい話だ。
編集者も「正統派ファンタジー・ゲームブック」と予告文に書いている。

まぁどういう定義で「正統派」なのかは、自分にも全くわからないのだが……。
主人公はダンジョンをうろつく冒険者では無いので、ウィザードリィ的な意味での正統派では無い事は確かだ。
WIZは小説がドカドカ復刊されたんで、十分足りているとも言えるしな。

もう少し制作が進んだら、また何かしら事前情報を出そうと思います。
よろしくお願い申し上げる。

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