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2012年6月28日 (木)

ブラッドソードリプレイ3-14 神か悪魔か

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:5 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:7 機敏度:8 生命力:31
装備:ブラッド・ソードの鞘 ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(6本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金35) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 木の人形

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:5 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:26
装備:ブラッド・ソードの柄 ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(6本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金貨袋(所持金100) 金の巻物 司祭長の杖

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:5 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+2 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:26
装備:銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 金貨袋(所持金100) 琥珀の火口箱 魔法のパン ファティマの銀の鍵 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 真鍮のびん エメラルド

Photo スクリーボ

旅の途中で買われたカラス。
お値段は金貨1枚。
とりあえず当面、役に立つような能力は無い。
しょせんは金貨1枚。

レジェンドという世界、クラースの地にて冒険者として旅する三人。伝説の“生命の剣”ブラッドソード探索の旅を続け、その柄と鞘を手に入れた彼らは、最後の部品である刀身を探す。刀身を求めてたどり着いたのは、十字軍が拠点とする都・クレサンチウムだった……。

クレサンチウムでブラッドソードを求め、三人は伝説の海賊船からエメラルドの目を奪った。これがあれば生命の剣への道が拓けるはずなのだ。魔神ジニーを従えながら紆余曲折、三人はようやくクレサンチウムへ戻ってきた……。

テツヤ「マジ長かったな。やった事自体はさほど多くないはずなんだが」

ミヤ「内容が濃かったからそう思うんだよ、きっと」

ディアブロ「更新が滞ってただけの話だと思うんだがねぇ」

まぁしゃあねぇや。いろいろあるんだよ、こっちにも。
いや、いろいろ無くなったと言うべきか。
そんな事を考えている間にも物事は先へ進む。

【項目550】
朝早くハクバッドに到着する。
上空からは大きな宮殿や、先のとがったドームのある神殿が見えた。
そして広大な果樹園の向こうに、墓場や雑木林が広がっている。
人や建物が密集した北の都市を見慣れている目には、こういうだらだらと広がったターシムの都市がとても奇妙なものに映る。
ハクバッドの人口は百万以上と聞いている。
フェロメーヌの町の人口の四倍だ。
しかしそれが約十倍の広さの土地に住んでいるのだ。
考えただけでも、あっけにとられる話だ。

ジニーが言った

「この町はいくつかの川の合流地点にあるんだ。もともとは小さい町だったんだが、どんどん広がって、いまみたいなハクバッドの都になったんだな」

ミヤ「キミはいろんな事を、よく知っているね。この町はまるで……」

ジニーは二本の運河にはさまれた細長い原っぱを目ざして降下をはじめた。

「その昔、おれは犬や商人に姿を変えて、この町をぶらついたもんだ。おれの仕事は無事に完了したから、今夜は変身して大いに楽しむとしよう」

こちらを地面に降ろすと、やつは身体を縮めていき、シェロの木ほどの大きさになった。

テツヤ「そこらの行商人から土産物でも買おうと思ったら実はジニーだった……という事が有り得たわけか。この街は」

ミヤ「それはそれで何か面白そうじゃない?」

ディアブロ「ま、何食わぬ顔して適当な物をひっぱり出して売りつけてお終い、だと思うぜぇ」

無から有の創造という超魔力が小銭で買える饅頭の箱を生み出すのに使われる事があるのかと思うと、無意味に感慨深い物があるような気がする。

スクリーボ(なお、ジニーへの願い事がまだ残っている場合、ここで全て使いきってしまわないといけないのダ。このパーティは全て使いきったので関係ないガ)

【項目432】
ジニーはギラギラ輝く目をした黒い猟犬に変身した。
原っぱの向こうまで走っていくと、やつは肩ごしにどなった。

「真鍮のびんを拾ってきたのなら、持っているがいい。古いものだから値打ちがあるかもしれん。どっちみち、おれには二度と必要ないからな!」

ミヤ「いろいろありがとね! バイバーイ!」

テツヤ「野良犬に餌やったらジニーだったという事がありえるわけか……」

ディアブロ「ま、何食わぬ顔して骨っこ咥えて路地裏へ消えると思うぜぇ」

つまり魔神の餌=骨。

猟犬は木立ちの中に消え去った。
ササリアンは『砂漠の微風館』でこちらを待つといっていた。
それがどこにあるのかわからないので、適当に進んでいく。
町の中心へと通じるらしい砂利道に出た。
すぐにその道は幅の広い並木道に変わり、向こうから年老いた僧が重そうな袋をかついでやってくるのが見えた。

ミヤ「何持ってるのかな。行ってみようよ!

ディアブロ「どうしてすぐ首を突っ込みたがるのかねぇ。おじちゃん、何か言ってやってはどうかね……ん?」

一人、道の向こうへ行くテツヤ。盗賊が木の人形を持っていれば、ここで行動を起こす事ができるのだ。

【項目228】
Photo(盗賊)

原っぱに戻り、砂利道にかがみこむ。

[さがしていた物はすぐに見つかった。
緑色の小石が二個だ。
これを人形の目に押し込む。
ハチュリそっくりとはいえないが、うす暗い光の下でならごまかせるかもしれない……]

並木道に戻る。

テツヤ「ハチュリってのが今後の鍵になるなら、こういう準備をしておけば役に立つかもしれねぇしな

後々、実際に役に立つ。今は道に戻り、僧に話しかける事にした。

【項目134
テツヤ「散歩には時間が遅すぎねぇか」

近づいてきた僧に話しかける。

「早すぎるとも言えますね」

僧は答えた。
僧は立ち止まったが、話を続けようとはしなかった。

テツヤ(うえ……俺の嫌いなタイプだ、この坊主)

ミヤ「その袋には何が入っているの?」

肩にかついだ重そうな袋を指差してたずねる。

「本ですよ。経典もありますし、五感の詩集、倫理学や法学や数占いの論文集、ナセリーヌとオパラールの文学全集、カイクハランの墓から出土した写本……」

ディアブロ「それは値打ちがありそうだぜぇ。売るつもりですかい?」

僧はすきまだらけの歯を見せて笑った。

「とんでもない! 立派な僧である私が、金を欲しがるとお思いですか。ちがいますよ。これを燃やして、夜が明けるまで暖をとるつもりなのです」

ミヤ「冗談でしょう? そんなことをしたら、罪になるよ」

彼はあいかわらず笑みをうかべている。

テツヤ「はいはい立派りっぱ。自分で言う事で『嘘です』と教えてくださる点がまことにご立派」

ディアブロ「焚き付けにするための本をどこから持ち出したのか、そっちの方が気になるぜぇ」

「教典は、読むよりも実行するものです。あらゆる点において、行動は思考に勝るのです。けれど、燃すのにしのびないとお思いなら、この写本をさしあげましょう」

彼は袋から巻き物を一本、無造作にひっぱり出して、こちらの手に押しつけた。

僧のおかしな理屈に面くらいながらも、『砂漠の微風館』がどこにあるかをたずねた。

「近くですよ。この並木道を突き当たりまで行って、左手をごらんなさい。砂漠のまん中に、『砂漠の微風館』と、クモの塔と呼ばれている塔がそびえています」

クモの塔とは、縁起の悪い名だ。
僧に礼を言い、教えられた方向に歩いていく。

この巻き物はいつでも読む事ができる。このゲームには、読むとその場で威力を発揮する魔法の巻物なんかがあるので、いつ読むかの選択も重要なのだが……。

テツヤ「これが魔法の攻撃呪文を封印してる、て事はねぇだろ。荷物も多いし、読みたきゃ今読んじまえ」

ミヤ「うん、じゃあそうしよう」

よって巻き物を開いて見るのだが……。

【項目518→141】
この巻き物を読む事ができるのは、例によって僧侶だけである。

3(僧侶)

それは長い物語の一部だった。

[……こうして私は長く生きてきた。しかし、動く偶像に面と向かったとき、私は我を忘れ、がく然とした。私はひざまずき、神に救いを求めた。しかし偶像は私をつまみあげ、島の中央にしつらえた竹の檻に運んだ。檻の中には三人の不運な先客がいた。化け物が行ってしまうと、私は彼らに、どうして捕まったのかとたずねた。

「あなたと同じだ」

最初の男が言った。

「ここがセブン・イン・ワンの島だという事を知らないのか? セブン・イン・ワンというのは、あなたを捕らえたあの悪の偶像の名前だ。七つの偶像が一つになっているところから、そう呼ばれているのだ。どうしてやつに捕まったのかと、あなたは不審にお思いかもしれない。じつは我々も、キータイで最も賢い僧侶の三人なのだが、この檻の中で、その疑問について考えつづけてきたのだ。私自身の見解なのだが、これは天国へ入ろうとした三人のイフリットの物語に似ている」

「それはどんな物語なのですか?」

私は尋ねた……]

巻き物はそこで終わっていた。

ミヤ「ふむふむ。セブン・イン・ワンという怪物がいますよ、と……」

テツヤ「あんま実のある情報じゃなかったな。つーかこれ、いつ読んでもいいらしいが、戦闘中に読んだらこのクソ長い文章を一通り読むまで、敵味方全員が動き止めるわけか?」

ディアブロ「ま、戦闘中に読むなとは指示されてないから、そうなるだろうねぇ」

ゲーム処理の都合にいちいち突っ込んでも仕方がない。巻き物はその場に捨て、三人は砂漠の微風館に向かった。

【項目88】
僧の話から、『砂漠の微風館』はすぐにわかった。
それは灰緑色の大理石でおおわれた、二つの中庭のある低い建物だった。
中庭を仕切っている中央の建物にはぜいたくな部屋が並び、中庭のぐるりの建物には、厩や寝室が並んでいる。
中央の建物の上に、僧のいっていたクモの塔がそびえている。
細い尖塔は彫刻で飾られ、先端にはブロンズの小塔がのっている。
ターシムの天文学でクモ星と呼ばれる星が、ちょうど塔を照らしていた。
ササリアンはあの上にいるだろうという予感がした。

ミヤ「なーんか、今までの宿より高級感のある旅館だよね」

テツヤ「ササリアンはそういう所の高い場所が好きそうだな」

ディアブロ「まぁどこかの元王様とやらが、納屋の片隅みたいな場所でひっそりされておられてもねぇ」

やはりそうだった。
階段の下でしばらく待っていると、召使いがランプを持って現われ、塔の上へ案内した。
ササリアンの部屋は、塔のてっぺんの、悪魔の顔の彫刻のほどこされた赤いドアの向こうにあった。
何十本もの太いろうそくが部屋を照らしている。
壁に描かれた絵は、マラジッドのターシム以前の神々のほうらつぶりを描いていた。
ろうそくのゆらめく光の中で、神々はまるで生きているように見えた。

テツヤ「居住性は低そうな部屋だな。寝泊りしてる奴はバカだろ」

ミヤ「ササリアンさんだよ?」

テツヤ「ああ、知ってる」

ササリアンは、カーテンをさっと開いて、部屋にはいってきた。
ベージュの部屋着に、金とエメラルドグリーンの縁取りのあるガウンをはおっている。
ターバンの中央にはアヒルの卵ほどもあるサファイアが輝いていた。

彼はものうげにほほえんだ。

「もっと早く来るかと思ったぞ。ハチュリの目を持ってきたか?」

テツヤ「はいはい、これだろ。そらよ」

交渉を試みる事もできなくはないが、どの道、これを渡さねば話が進まない。今はさっさとアイテムを渡す事にした。

【項目347】
ササリアンがのぞきこむと、二つのエメラルドは明るい緑の光を放った。
彼はため息をついた。

「見事なものだ。長い年月がたつというのに、サークナサールの魔法はまだ残っているようだ」

彼はハチュリを箱から出して、エメラルドを人形の目に押し込んだ。
そして小さなテーブルの中央にそれを置いた。
こちらの存在も忘れて、彼はハチュリの周りに金で渦巻きを描いた。
そして渦巻きのふちにシマメノウを彫ったコマを十二個並べ、唱え始めた。

「ディダン、ジョスタン、ベイダーン、アーヴァルダン!」

恐ろしいことに、人形は気をつけの姿勢をとった。

ササリアンは人形に向かってほほえんでから、目を上げた。

「動いたぞ。宇宙の満ち潮から必要なエネルギーを吸収したら、これは自由に動けるようになる。そのとき、私のために死の剣を見つけだしてくれるだろう」

ミヤ「あたしたちのためにはブラッドソードをね。お互いに幸せになれる協力ってステキだと思うんだ」

ディアブロ「全く同意だが、相手をよく見ないとそういう協力は成り立たないだろうぜぇ」

話している二人を尻目に、テツヤはポケットを探る。

【項目482→219】
盗賊が木の人形を持っていれば、ここで1アクション起こす事ができる。

Photo(盗賊)

ササリアンの骨董品をよく見ようと近づいていって、絨毯につまづき、テーブルにぶつかった。
コマがいくつか床に落ちた。

「まぬけなやつめ!」

ササリアンはこちらを睨みつけながら、コマを拾い集めた。

「おまえたちコラード人は、妊娠したラクダのように不器用な動きしかできんのか」

「失礼」と答えて、倒れたハチュリを元どおりに立たせた。

[その時、漁師の人形とハチュリをすり変えた。
ササリアンはあまり腹を立てていたので、それに気付かなかった]

テツヤ「つーか俺コラード人じゃねぇし」

ミヤ「ササリアンさんの母国語では、自分たち以外の人という意味=コラード人、なのかもしれないよ」

ディアブロ「もしそうだとすると、彼は自分ら以外の人種は全部ラクダ妊婦だと思っている事になるわけだがねぇ?」

そんなバカな会話が聞こえたわけでもなかろうが、ササリアンがふり向いた

【項目86
ササリアンは急にふり向くと、壁画を指さした。

「じつに美しい壁画だと思わないかね? 火山灰の下に埋もれた神殿から発見されたものだ。見てもわかるとおり、ターシム教以前、五百年も前のもので、今の西ゼニールとオトレメールに住む多くの人々は、こういう神々を崇めていたのだ」

身震いをこらえてたずねた。

ミヤ「近くで見ると、ここには胸の悪くなるような悪魔のふるまいが描かれているけど、当時の人々は本当に、こんなきもちの悪い怪物を崇めていたの?」

彼は嬉しそうに笑った。

「お前たちコラード人は上品ぶりすぎるぞ! いや、そういう意味でなら、人々はこの神々をまるで崇めてはいなかった。こいつらは崇拝の対象ではなく、嫌悪の対象だったのだ。彼らは古い神話上の悪魔なのだ。彼らが崇められていたといったのは、そうだな、お前たちが、自分たちの宗教上の悪魔を崇めているのと同じように、という意味でだ。そうではないか? お前たちが存在を信じるからこそ、悪魔は実際の力を持つ。それが神話の力というものだ……」

テツヤ「だからコラード人じゃねぇっての」

スクリーボ(とはいえ、作者にそれを想定しろと言っても、デイブ氏やオリバー氏には迷惑だと思うがナ)

こちらはササリアンの相手をしているのにうんざりしはじめた。

ディアブロ「ばかばかしいぜぇ。いつ出発できるかねぇ? ハチュリの用意はまだですかねぇ?」

彼は再び笑った。

「ずいぶん気が短いのだな。ここを見ろ。この三つの人間の頭を持つヘビの化け物をな。これはアジダハカといって、破壊のデーモンだ」

彼はその次に、頭の上に木の根が生えた、ひからびたような男の姿を指さした

 「これはヤジール。ごまかしとペテンのデーモンだ。伝説によると、奴は魔法を使う」

彼は巨大なハエの頭を持つ、でっぷりとした女を指さした。

「そしてこれ。これはナスー。彼女は腐敗のデーモンだ。腐った物を食べて人が死んだら、ナスーのしわざと考えてもいい」

テツヤ「ササリアン殿下サマよ。この壁画は悪趣味そのものだぜ。この神々は悪魔の一族としか思えねぇ。さあ、ハチュリの用意ができたら、剣を探しに行こう。そして俺たちのうんざりする協力関係を早く終わらせましょうや」

彼はふり返って、こちらを見た。
くちびるの端には笑みが残っていたが、目は威嚇するように光っている。

「私がそんなに嫌われているとは知らなかった」

テツヤ「あんたが行く先々の国から追放されたことからも、わかりそうなもんだが。いずれにせよ、俺達は遠くかけ離れた立場にいる。あんたも言ったように、目的が正反対なんだ。今さら、喧嘩をしても始まりまらないぜ」

ディアブロ「いや、どう見てもお前さんが売ってると思うぜぇ」

彼はうなずいた。

「確かに、そのとおりだ。私がお前たちの民族を嫌い、正義漢ぶる者どもを憎んでいる点については異議はない。私の動機は恨みよりも好奇心なのだ」

ミヤ「いったい、なんのことなの、ササリアンさん? あなたの動機って?」

彼は再び壁画を指さした。

「神話と現実について、私はある考えを持っている。レンズを使って遠くの物体の映像が作り出せるなら、魔法によって神話の登場人物を作ることもできるはずだと思うのだ。つまり、神話の世界から、この世に影を映すということだ。理解できない話でもあるまい? いやはや、コラード人というのは、想像力の乏しい連中だ! よし、実演してみせてやろう」

彼は何か呟いた。
空気が急に息苦しくなった。
嵐の前のよどんだ大気のようだ。
ろうそくの火がゆらめき、部屋が暗くなった。
悪い予感がする。
数秒後、その予感が現実のものとなった。
壁画からデーモン達の姿が消えた。
ろうそくの火が再び明るくなると、壁の上には三つの巨大な影が映っていた。

テツヤ「だからコラード人じゃねぇって言ってるだろ」

ミヤ「むむ、彼の母国語に関するあたしの仮説も現実味を帯びてきたぞ」

ディアブロ「しかしフィクションから実体を召喚する術が使えるなら、マンガからかわいい女の子でも呼び出した方が建設的だと思うぜぇ」

本当にこんな術があったら、まぁ大半の野郎はそうするだろう。しかしササリアン氏の間違った行為により、このシリーズ和訳分で最強の敵が召喚されてしまった。

ディアブロ「とりあえず緊急救出の呪文を準備しておくぜぇ」

そして最強最悪の敵に挑む!

【項目300】
B13目の前に古代の三人の神々の幻影が立っている。

アジダハカ(A)
戦闘力=11 精神力=10 鎧強度=6
生命力=100 打撃力=サイコロ12個 機敏度=7

ナスー(N)
戦闘力=10 精神力=11 鎧強度=3
生命力=140 打撃力=サイコロ8個 機敏度=8
*ナスーの手は腐敗の手だ。彼女に傷を負わされたキャラクターは、精神魔法に抵抗するサイコロをふらなければならない。これに失敗したら、キャラクターは腐り果てて死ぬ。

ヤジール(Y)
戦闘力=9 精神力=18 鎧強度=3
生命力=85 打撃力=サイコロ5個+1 機敏度=9
*ヤジールは、ラウンドごとにかわるがわる呪文を準備して、それを唱える。サイコロを1つふって、彼の使う呪文を決める。出た目が1ならネメシスの電光、2なら雷撃、3はバンパイア、4は死の霧、5はソードスラスト、6はナイトハウル。最初のラウンドで準備ができると、次のラウンドで、この呪文は自動的に相手にかかる(彼の精神力は十分高いので、失敗することはないのだ)。つまり、1ラウンドおきにヤジールの魔法が襲いかかる。

テツヤ「……はあ? なんだこのバカなギャグみたいな数値は。子供の考えた、攻撃力百億万のスーパーロボットを見てるような気分だぞ」

ミヤ「これはちょっと、どう見ても勝つのは無理だね」

ディアブロ「ま、力押ししかできないプレイヤーにはここでゲームオーバーになってもらおうって事かねぇ」

機敏度が同じ者同士でイニシアチブを決める。
機敏度8 ナスー→テツヤ
機敏度7 アジダハカ→ディアブロ→ミヤ

テツヤ「しかも先手の取り合いはこっちの全敗かよ!」

ミヤ「こ、これはちょっと不吉かな」

スクリーボ(実はそうでもない。どうせ逃げの一手だから、行動順はさほど問題にならないのダ。戦闘マップやその配置も、そこらへんをちゃんと考えて作ってあるゾ)

○第1ラウンド
ヤジール:ソードスラストを準備

ディアブロ「おおっと、助かった。ネメシスの電光を準備されたら、逃げる間もなく一人殺される所だったぜぇ」

常に死の危険が付きまとうので、この戦闘はどうしても運が絡む。2ラウンドごとに6分の1の確率なので、実際はそうそう起こらない事だが……確率とは事故を起こす物なので。

ナスー:C-3に移動

敵は一番近いPCめがけて動くので、このラウンドの敵の行動はある程度決まっている。

テツヤ「1ラウンドたりとも接敵してられねぇが、敵の動きが誘導しやすい配置にはなってるな」

テツヤ:E-3に移動
アジダハカ:D-2に移動

ディアブロ:C-6に移動
ミヤ:D-5に移動

距離の関係で、以後のラウンド、敵はテツヤを追いかけて動く。後は隅に追いつめられる前に緊急救出の呪文が成功すれば、逃亡できるのだが……果たして呪文の詠唱は何ラウンド目で成功するか?

ミヤ「本当に運が絡むね。おじちゃん、大丈夫かな……」

ディアブロ「ちょいと気合を入れて呪文を唱えますかねぇ」

○第2ラウンド
ヤジール:ソードスラストを詠唱。ミヤにダメージ12(被害8)。

ミヤ「痛っ! でもまだ大丈夫」

ナスー:D-3に移動
テツヤ:F-3に移動

アジダハカ:E-2に移動

テツヤ「早くも壁際か。後は南下して時間を稼ぐわけだが……」

ミヤ「ディアブロ、お願い!」

ディアブロ「はいよ」

ディアブロ:緊急救出の呪文を詠唱。出目6で成功。パーティ全員がB-8へ。

ディアブロ「ほい成功。こんなもんでどうかねぇ?」

ミヤ「ええっ!? 嘘みたい!」

テツヤ「マジか!? サマか!?」

ちゃんとサイコロふりましたよ。

ミヤ:何もせず待機

○第3ラウンド
逃走。

すたこらさっさと部屋から出る三人。ここから逃走劇が始まる。

【項目278
部屋から飛び出し、階段を駆け降りる。
耳ざわりな金切り声と吠えたてる大声が聞こえた。
奴らは餌食の臭いをかいで追ってくる。
こちらを血祭りにあげるまで、追跡は続くだろう。

ササリアンが上の踊り場に出てきた。
彼は嘲るように言った。

「逃げられはせんぞ! 私の影たちは疲れを知らない。どこへ逃げようと、奴らは追っていく。そちらが疲れ果てたとき、やつらは容赦なく追いつくだろう。そして最後に、その身体を八つ裂きにするのだ……」

中庭に走り出る。
ササリアンの怒鳴り声が聞こえなくなっただけでもありがたい。
ふり返ってみると、化け物たちは階段を半分降りたところだった。
大きな図体で先を争って、かえって手間取っているようだ。

中庭を見まわす。
辺りは夜明け前のブルーと紫の薄明かりに包まれていた。
入って来た正門から出ていく事もできるし、中庭の奥の狭い通路をぬけていく事もできる

悪魔達から逃げねばならないが、逃走経路を間違うとまた追いつかれてしまう!

スクリーボ(まぁ、そう簡単に袋小路に追いつめられはしないように設計されているのだがナ)

ミヤ「あたし負傷してるから治療しとくね」

しばらくサイコロをころころ。全回復。

ディアブロ「そんな悠長な事してるのはおかしい気もするぜぇ?」

ミヤ「戦闘項目じゃないから合法だよ?」

テツヤ「よし、ならOKだ」

生命力を回復させてから、正門を選んで逃げ込む。

【項目587
あえぎながら、中庭を駆けぬけ、正門から外の通りへ飛び出した。
化け物は追ってくる。
薄明かりにぼんやり浮かんだその姿は、まるで夢魔のようだ。
左右を見渡す。通りに人影はない。
冷たい東の風に身体が震えた。
太陽が昇って一時間もすれば、町は炎天下にさらされるだろう。
しかしその時までに、こちらは死んでいるかもしれない

テツヤ「道が二手に分かれているぞ! 右へ行くか? 左か?」

ミヤ「なんとなく左!」

テツヤ「よし走れ!」

スクリーボ(実はどっちでもいいのダ)

そんな事を知らず、三人は懸命に走る!

【項目563
狭い通りを走る。
行き止まりで、道は二つの裏通りに分かれていた。
立ち止まって、後ろを見る。
迫ってくる化け物の姿は無い。
しかしすぐ近くに迫っているような気もする。
いまにも追いつく事だろう……。

右手の裏通りで、何かが動く気配がして、飛び上がった。
それは小さな猿だった。
日陰で眠っていたのだろう。
猿はわけのわからない言葉をまくしたてて、裏通りをぴょんぴょんと走り去った。
はっと我に返る。
こちらも早くここを立ち去った方が賢明だ。

ディアブロ「ここも右か左かの二択だぜぇ」

ミヤ「じゃ右!」

実は猿が目印なのだ。右を選び、持ち物にファティマの銀の鍵があると……。

【項目321→524
裏通りへ走りこむ。
両側の塀は六メートル以上もある。
掴まる所が見つかっても、よじ登っている暇はない。

必死に走ったので、猿につまづきそうになった。
バカな猿は立ち止まって、こちらをポカンと見上げていた。

テツヤ「行ったほうがいいぞ、相棒」

走り過ぎながら言う。

ミヤ「そうしないと、キミも食べられちゃうよ」

だが、ふと走るのをやめ、猿を見る。
奴は塀のドアを指さしていた。
そこで
を思い出した。
そういえば、ファティマが猿のことを何か言っていたではないか!

錠をさぐったが、興奮のあまり、指が震えていう事をきかない。
デーモン達はすぐ後ろに迫っている。
奴らの吐く息の悪臭が鼻をつく。
奴らを取り巻く悪魔の臭いで息がつまりそうだ。
ようやく錠を開け、ドアを押し開けたとき、やつらの鋭い爪がこちらにのびてきた。

ドアの向こうに飛びこむ。
デーモンの顔はすぐ後ろだ……。

ドアをバタンと閉めた。
ドアの向こうで、獲物に逃げられたデーモンの不満そうなうなり声があがった。
疲れきって、ドアに倒れかかる。
やれやれ、助かった。

ミヤ「あの怪物達、ドアは開けられないんだね」

ディアブロ「ファンタジーゲームの鍵つき扉は、破壊不可能の無敵材質でできてる事も多いからねぇ」

テツヤ「……で、ここはどこだ?」

それは次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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コメント

でましたね悪魔3柱の影。全体の記憶が薄くなっても、アジダハカ・ヤジール・ナスーは忘れない。つーか、倒した奴に与えられる称号が何ともパンチ効いた作者の皮肉でした。

猿の事も気付いたのは数年後でしたよ販売してから。細かい伏線が随所で散りばめられてましたね。

投稿: かずお | 2012年7月 2日 (月) 00時18分

伏線には気づき難い物もありますね。
魔女プシュケがなぜこちらの敵なのか、自分は長い事知りませんでしたし。
しかし3柱の影を倒す方法、どうもゲーム中に無いようですが、どうせなら一つぐらい抜け道が欲しかった所です。

投稿: 松友健 | 2012年7月 7日 (土) 20時30分

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