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2012年2月

2012年2月29日 (水)

ブラッドソードリプレイ3-13 マギ派との合戦

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:5 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:7 機敏度:8 生命力:31
装備:ブラッド・ソードの鞘 ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(6本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金35) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 木の人形

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:5 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:26
装備:ブラッド・ソードの柄 ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(6本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金貨袋(所持金100) 金の巻物

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:5 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+2 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:26
装備:銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 金貨袋(所持金100) 琥珀の火口箱 魔法のパン ファティマの銀の鍵 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 真鍮のびん エメラルド

Photo スクリーボ

旅の途中で買われたカラス。
お値段は金貨1枚。
とりあえず当面、役に立つような能力は無い。
しょせんは金貨1枚。

レジェンドという世界、クラースの地にて冒険者として旅する三人。伝説の“生命の剣”ブラッドソード探索の旅を続け、その柄と鞘を手に入れた彼らは、最後の部品である刀身を探す。刀身を求めてたどり着いたのは、十字軍が拠点とする都・クレサンチウムだった……。

クレサンチウムでブラッドソードを求め、三人は伝説の海賊船からエメラルドの目を奪った。これがあれば生命の剣への道が拓けるはずなのだ。魔神ジニーを従えた三人、帰路の途中にあった廃城で爺さんを助ける。爺さんはついでにもう一仕事頼んできた……。

ディアブロ「きいてやるためにはジニーへの願いを二つ使っちまうんだがねえ」

テツヤ「ああ、とんでもねぇ話だ。助けてやる側が、見返り有るどころか損しろってんだからな」

ミヤ「でもきいてあげていいよね?」

テツヤ「ああ、当然」

ミヤ「だよね!」

プレイヤー側が損する事前提で、善意のみが引き受ける動機というイベントは、本来あまり感心しない。そういう流れを“やらされる”と白ける事も多いからだ。
 だがこのゲームのこのイベント、別に必須でもなんでもないので、やりたくなければ平気でシカトして普通にクリアできる。自分がこのゲームを評価している一因でもある。

というわけで爺さんの頼みを引き受け、マギ派から若木を取り返してやる事にする。ジニーへの頼みは使いきり、クレサンチウムへ帰る道もこの後探す事になるはずだが……。

【項目316】
手に乗り移ると、ジニーがぶつぶつ言った。

「とんでもない話だ。何をしようとしているのか、自分でわかっているのか? この老いぼれを助けるために、自分の冒険をふいにしようというんだぞ。あんな爺い、狂ってるにちがいないんだ……」

ミヤ「よしなよ。あの人は助けを求めてきたんだから。できるだけの事はしてあげないと」

ふり返って修道院長に手をふる。
修道院長はここに残って、こちらの帰りを待つことに決めたのだ。
そのほうがこちらにも好都合だ。
彼を連れていけば、若木を探して取り戻すかたわら、彼をマギ派の連中から守ってやらなければならない。
彼はここにいたほうが安全だ。
どう見ても、勇ましい冒険に向いている男ではない。

ディアブロ「実際、スタート直後に失敗してたぜぇ」

テツヤ「修道院の連中が束になっても人食い鬼一匹に勝てなかったんだよな……魔物がうろつくファンタジー世界で秘宝を求める旅をするにゃ、戦力の乏しい修道院だったんだよなぁ……」

「神がお守りくださいますように!」

彼はテラスから叫んだ。
一つ目の化け物の焚火の光を背に受けて、修道院長は教会の窓を飾る聖人のように見えた。
遠ざかるサークナサールの宮殿が豆粒のようになるまで、じっと見守る。
院長の姿も焚火も、濃くなった夕闇の中に消えた。

ふと気が付くと、ジニーは夜空にのぼっていこうとしている。
飛んでいくつもりか……。
やつが説明した。

「長旅だからな。いつもなら、エネルギーを消耗するから空を飛ぶのは嫌なんだが、オパラールまでは長旅だから、しかたあるまい」

周りで雷の音が響き渡った。
嵐になった。
冷たい雨まじりの風が顔に吹き付ける。
先刻の会話を思い出して、思わずニヤリとする。
ジニーに尋ねた。

テツヤ「これを見た連中は、何と思うだろうな?」

「夜空を見上げた善良なターシム人は、何やら光りながら飛び去るものを見かけるかもしれないな。連中はそれを、伝説のデーモンだと思うだろうさ」

やつの目は東のはるか遠いオパラールをじっと見すえていた。

「だが、西の空を見ているマギ派の連中がいたとしたら……俺は大昔に、やつら一派と対決したことがあるんだ」

ジニーの声には憎しみがこめられていた。

「そいつらは、復讐に燃える天使の姿を見るだろう!」

テツヤ「おいおい。こいつもマギ派って連中にめっちゃ因縁あるんじゃねぇか」

ディアブロ「積極的に行くほどには恨んでないのかねぇ」

ミヤ「きっとあたし達の願いを使うのがもったいないって思って、黙っててくれたんだよ! ジニーも結構いい子だね!」

なぜか天使を自称しはじめたジニーに乗って、一同はマギ派の本拠地に直行する。

【項目284】
ハロガーン山脈を越えるころ、夜が明けた。
朝日を受けた雲が、はるか眼下の峰々を包んでいる。
ジニーは旅のあいだじゅう静かだった。
しかし、マギ派への憎しみを燃やしている様子はありありとうかがえた。
山の東側のふもとをめざして降下を始めた時、奴はようやく口を開いた。

「俺たちジニーは火から作られた。マギ派は火を崇めている。それなら、やつらは我々を崇めると思うだろう? ところが違うんだ。やつらの崇拝の仕方は狂っている。吸血鬼が血を崇めるように、奴らは火を崇めるんだ。捕らえたジニーから火を吸い出し、生命の無いぬけがらにしてしまう。あるいはその火を消して、やつらの奴隷にしてしまうのだ。邪悪な一族、マギ派どもめ! やつらの巣に近づくにつれ、我が一族の情熱がむらむらと蘇る! 復讐の炎が胸に燃え上がる! やつらとの対決の時には、俺も加勢するぞ!」

やつの怒りを見て、砦へこっそりもぐりこむ望みはなくなった。
やつは盲めっぽうにマギ派の砦に突っ込んでいくだろう。
それなら、やつを囮に使うのが一番だ。
少なくとも、やつに急襲されて、マギ派たちが右往左往しているうちは、若木の守りが手薄になるはずだ。

36テツヤ「なんかジニーの奴、いつのまにかスゲーやる気になってんぞ」

ディアブロ「なら率先して協力してくれりゃ、願い事を消費せせずに済んだと思うんだぜぇ」

ミヤ「ジニーも好きでわたし達に従ってるわけじゃないからね。仕方ないよ」

テツヤ「しかしジニー族をそうたくさん捕まえる事ができるんなら、マギ派の連中、強すぎなんじゃねーのか?」

マギ派の砦が地平線上に現われた。
砦は、切り立った崖の上に建っていた。
朝日に照らされて、なめらかな黒灰色の石の柱が輝いている。
建物全体が、まるで巨大な岩を削って造られたように見えるが、まさかそんなはずはあるまい……。

砦の中央の塔のてっぺんに、紅玉髄とトパーズがちりばめられた卵形のドームがのっている。
それは、第二の太陽のように、灰色の建物の上におさまり、朝日を受けて光り輝いていた。

「あの塔の上に降ろしてやったら、俺は攻撃を開始する」

ジニーが言った。

「俺が奴らを相手にしているあいだに、若木を探してくるがいい」

ここでは別れて行動するか、一緒に急襲するかを選択する事ができる。

テツヤ「まぁ別行動だな」

ミヤ「そうなの?」

テツヤ「マギ派ってのはジニー族をとっ捕まえる事ができる力があるんだろ? 正面から行くのは危険だ」

ディアブロ「まぁ負けなくとも甚大な被害を被る可能性はあるだろうぜぇ」

ミヤ「しゃあないなあ。でもジニーの掌の上じゃ、動きも制限されちゃうし仕方ないか!」

というわけで三人は別行動を選ぶ。

【項目39】
ジニーはこちらを塔の上に降ろすと、攻撃を開始するため、飛んで行った。
マギ派はあわてなかった。
銅の冠をつけ、金の縁飾りの真紅のガウンで着飾った司祭達が、中央のバルコニーに続々と現われた。
真ん中に立つ司祭長は、彼らに自分を取り巻くように合図をした。
彼は降下してくるジニーを、うす笑いを浮かべて見ていた。
自信たっぷりの様子だ。司祭達が甲高い声で歌い始めた。
司祭長が金と宝石で飾られた杖をかかげる。
杖は魔法のパワーに震えた。

テツヤ「ジニーと正面からやって勝てる自信があんのか……この世界の坊主はちと強力にすぎるんじゃねぇか」

スクリーボ(ドラゴンウォリアーズに神官なんて職そのものが無かったのはそのせいかもナ)

のんびり見物している暇はない。
こちらは塔の中へ入っていく。
ドームの中央には祭壇がしつらえてあり、その上に大きな水晶の卵が乗っていた。
ドームにはめこまれたトパーズを通して朝日が差しこみ、卵はキラキラ輝いている。

下へ降りる螺旋階段を見つける。

テツヤ「階段を降りるぐらいしかねぇかな」

ディアブロ「卵をブッ壊すってテもあるぜぇ?」

ミヤ「え? 持っていくんじゃなくて?」

ディアブロ「そんな選択肢は無いねえ。後は俺が呪文を使う程度だね」

久々に非戦闘シーンで魔術師の呪文を使うチャンスだ。

【項目75→213
Photoここで魔術師が呪文を使う事にすると、予言の呪文か魔法探知の呪文か、どちらかを選ぶ事ができる。

ディアブロ「どっちも無難で鉄板だぜぇ」

テツヤ「無難でも鉄板でもない呪文て何だよ?」

ディアブロ「ファルタインの召集

とりあえずここでは魔力探知の呪文を選ぶ。

(魔術師)

水晶の卵自体にも、そしてその周辺にも強力な魔力が感じられる。
そのあまりの強さによろめいた。
精神力がにぶったため、予言の呪文を使うのはあきらめる。

ディアブロ「というわけで半端なく感知したぜぇ。で、卵を砕くか階段を降りるかなんだが」

テツヤ「どうして卵をいきなりブチ壊すような不自然な選択肢を強調してんだ」

ミヤ「可能性その1。あの卵がマギ派の大事な物で、壊すと有利になりまーす」

テツヤ「で、その2は?」

ミヤ「単なる罠でーす」

ディアブロ「その上、やっちまったら即死だったりな。理不尽な即死こそレゲーの醍醐味だぜぇw」

テツヤ「……そんなクソな展開はねぇだろ。よし、いっそ叩き壊すか」

【項目567】
力いっぱい卵を打つ。
卵は無数の水晶のかけらとなって飛び散り、中心で火の玉が炸裂した。
水晶の破片は火を吐くような熱風に乗ってゆっくりと降り注いだ。
こちらも炎に包まれ、悲鳴をあげる。

テツヤ「熱っちー! マジで罠かよ!」

ディアブロ「ブッ壊されたマジックアイテムが暴走してんのかもしれないぜぇ」

各キャラクターは7点の生命力を失う。鎧は役にたたない。

テツヤ「ひでぇ目にあったな!」

ミヤ「生命力満タンだったから死なないけど……痛いよー」

スクリーボ(しかしこれで事態は急展開するのダ)

【項目463】
永遠に燃え続けるかと思われた火が消えた。
外は静まりかえっている。
黒くなった水晶の破片を踏んで、手すりに近づいた。
マギ派の連中が集まっていたバルコニーを見おろすと、黒焦げの死体がいくつか転がっているだけだ。
ジニーはこちらに気づき、にっこり笑って手を差し出した。
やつの手にのって、バルコニーに降りながら尋ねる。

テツヤ「何があったんだ?」

「危ないところだった。ところが突然、やつらのパワーが切れたんだ。防御の呪文を効かなくなったから、俺は雷を一発見舞ってやったんだ」

ジニーはおおげさに肩をすくめた。
焼け焦げた死体の顔に目をそむけ、臭いをかがないようにしながら、焼死体を点検していく。
何か光る物がある。
司祭長の杖だ。
奇跡的に、傷一つない。

テツヤ「何かの魔力でもあんのかね」

ディアブロ「じゃ持って行こうぜぇ」

スクリーボ(パーティ構成次第では、ほぼ必須アイテムなのダ)

指導者が死んだ今、生き残ったマギ派の連中は何の抵抗も見せなかった。
彼らは
若木を差し出した。
それを受け取った瞬間、身体に強いエネルギーがみなぎった。

これにより、全キャラクターはサイコロ2個ぶんの生命力を回復する。幸い、前の項目で受けたダメージを完全に癒す事ができた。まぁ僧侶がパーティにいるので、このイベントがなくても生命力を回復させる事はできるんだが。

テツヤ「無駄に6ゾロふっちまった……」

ディアブロ「どうでもいい時だけサイコロ様は良い目をお出しになるねえ

ジニーは得意満面の顔をしていた。
手に乗り移ると、やつが言った。

「我々の任務は、これ以上期待できないほどの成果をあげたな。これでマギ派もすぐには立ち直れないほどの打撃を与えてやったぞ!」

ミヤ「なんかジニーも嬉しそうだね! 笑顔見せてくれるの、初めてじゃないかな?」

テツヤ「文句言いまくってたわりに、コイツが一番楽しんでるよな。つーかさっきの卵、マギ派の連中の魔力源だったんだな」

若木を入手した一行、ジニーの手にのって廃城へと引き返す。

【項目494】
ジニーは空に舞い上がり、サークナサールの島へ向かった。
やつが言った。

「これで願いは使いきったな。修道院長の所に送り届けたら、おれは行くからな。あとの事は知らんぞ」

言い返す言葉が無い。
ハクバッドへ行く方法は他に考えるしかあるまい。
やつは七百年も閉じこめられていたのだ。
一刻も早く自由になりたいのも無理はない。

ディアブロ「輸送の願いの伝え方を間違ったねえ。どんな遠回りや迂回路を通ってでも絶対にクレサンチウムまで飛んでいけって言うべきだったぜぇ」

テツヤ「それ言ったら地球一周コースで帰還されそうだな」

レジェンド世界が球体なのかどうかは知らんが。

ジニーは戦いで疲れたのか、帰りに丸一日を要した。
やつの手のひらは居心地が悪く、こちらもほとんど眠れない。
疲れ果ててサークナサールの砦に到着した。

テツヤ「無人島の野宿でさえ回復する生命力が、全く回復しねぇ」

ミヤ「無人島の寝心地が良かったんだよ。あたし熟睡して12時間寝てたし!」

ディアブロ「若いうちはいくらでも寝てられるからねえ」

自分は今でも結構……まぁどうでもいい。

【項目531】
修道院長はたき火の前で高いいびきをかいていた。
老人の前に
若木を置いて、そっと彼を揺り起こす。
老人が目をさましてまず見た物は、若木だった。

ミヤ「これが求めていた若木だよね、院長さま?」

院長はまばたきをし、信じられないというように目をこすった。
しばらく口をパクパクやっていたが、言葉にならなかった。
やがて歓喜の叫びをあげて飛び起きた。

「私はまだ眠っているのだろうか? 魔王は空しい夢を見せて、私を苦しめようというのか? そうではない。この若木は本物だ! この指で触れる事ができる。若葉や芽や樹皮の香りをかぐ事もできる……確かめるために、我が身をつねってみよう。あいたっ! この痛みよりも美味なワインはこの世にあるまい。という事は、私は目覚めているのじゃな」

彼はふり返って、こちらに抱きついた。

テツヤ「危ね。よいしょ」

とっさにディアブロを爺さんの前に押し出す。おかげで院長殿が、15歳の少女に抱きつくお変態様というレッテルを張られずにすんだ。

ディアブロ「まあ構わんけどねえ…」

「私がどんな感謝したとて、すべての人間から受けるべき感謝の何百万分の一にもなりませんぞ」

やれやれと伸びをして、横になる。
どんな感謝よりも、今は眠りの方がありがたい。
眠りに落ちそうになりながら答える。

テツヤ「それはそうかもしれねぇが、生命の剣も取り戻さないことには、全てが無駄になっちまう。しかし、その事は八時間ほど忘れさせてくれ……」

そう言って目をつぶった。
数分後、院長が叫んだ。

「あれをごらんなさい! 東の空に、幻が浮かび上がりましたぞ……」

しかし、こちらは既に眠りこんでいた。

テツヤ「話は次の項目で聞くわ。じゃおやすみ」

ミヤ「zzz……」

ディアブロ「みな寝つきがいいぜぇ。俺もつきあうとしますか」

爺さんを引きはがし、ディアブロも眠りにつく。そして数時間後……

【項目435
37目を覚ますと、夕陽が沈もうとしていた。
修道院長がすぐに駆け寄ってきた。
旅の準備を整え、腕には若木をかかえている。

「ペレウスのアストラルの門をくぐって、修道院に戻ります。あなた達にこれをお渡ししようと待っていました」

彼の差し出す羊皮紙を、ねぼけた目でみつめる。
そこには謎のような絵がかいてあった。
院長が言った。

「あなた達が眠っているあいだに、東の空にこの幻が見えたのです。私はときどき幻覚を見るのですよ」

テツヤ「長いあいだ閉じこめられ、食べ物も与えられなかったあとでは、それも仕方ねぇよ」

絵を院長に戻していった。

「いいえ。これはあなた達が持っていなければなりません。この木と鹿の角とヘビとは、イグドラシルの伝説に出てくる重要なシンボルです。神はこれをあなたの冒険の案内役としてお送りくださったのです」

ミヤ「それなら、どうしてお爺ちゃんが幻を見たの?」

「おそらく、あなた達が私のいうことなら信用するからでしょう。あなたが同じ物を見たとしても、自分の目を信じたでしょうか? 私が恩返しをできるように神がこうなさったのでしょう。神は全能です。あの方がこのような示し方をなされたのなら、それが最良のやり方だったに違いありません」

絵を受け取り、荷物の中にしまう。

スクリーボ(この絵は持ち物に数えなくていいのダ。実は終盤で訪れる迷宮の地図、それも正解ルートを示しているのだゾ)

院長は袋の中から、ビスケットと塩漬けの牛肉と、ブランディーを一口わけてくれた。

 これにより全キャラクターは1点、さらに睡眠と休息で各自のランク数の半分(端数切上)の生命力を回復できる。

テツヤ「手のひらの上より石畳の方がよほど休息になるみてぇだな」

ディアブロ「しかし壊血病になりそうな保存食だぜぇ」

ミヤ「もぐもぐ……けっこうイケるよ?」

握手をかわすと、院長は壁を手探りしていって、何かを見つけた。
のぞいてみると、石の壁の上にかすかに光る物があった。

「さてと、ペレウスはなんといったかな……」

院長は目をつぶって考えた。
そして、しかめっ面をしながら、左手で鹿の角を描く異教徒のポーズを取った。

「神よ、魔法を使う事をお許しください。善い事のために行うのですから。それでは、ヴェスディジア・ヌーラ・レトロルサム!」

その言葉とともに、院長の姿は消えた。
こちらは、びっくりして立ち尽くすばかりだ。
壁にさわってみても、固いだけだった。

ディアブロ「行っちまったかい。騒がしい割にたいした事してくれねぇ爺ちゃんだったぜぇ」

テツヤ「年寄りに見返り求めるのは感心しねぇな」

しばらくしてから、テラスに出ていく。

テツヤ「問題はここからどうすっかだな。近くをハクバッド行きの船が通りがかってくれりゃいんだが」

ミヤ「ジニーは今ごろ何してるかなあ」

考えていても始まらない。ともかく三人は廃墟を出る。

【項目520】
そこには、驚いたことに、海の中に立って月と星を見ているジニーの姿があった。
やつは横目でちらりと、廃墟から出てきたこちらを見た

「それでは、院長は行ってしまったんだな。彼のためにしてやった俺たちの苦労を、ちゃんとわかってくれたのかね」

ミヤ「よくわかってくれたよ。けど、どうして行っちゃわなかったの? 七百年も閉じこめられていたから、やる事がいっぱいあるんじゃない?

やつは傷ついたような表情で、こちらを振り向いた。

「もちろん、やる事はたくさんある。実を言えば、俺は、お前たちが寝ているあいだにキータイへ行きかけた。だがその時ふと、まだそちらに借りがあるような気がしたんだ。マギ派のやつらをとっちめて、いい気分にさせてもらったからな。だからハクバッドへ連れて行ってやろうと戻ってきたんだ。ただし、これが本当に最後だぞ」

テツヤ「どう見たって、おまえの目には同情のかけらも見えないが? お前が礼儀にかなった事をする奴とも思えんしな?」

横目でやつを睨んでやる。
やつがうなり声で言った。

「言葉に気をつけろ! ハクバッドへは連れていってやる。だが侮辱は許さんからな」

そう言ってやつは手をのばし、こちらをそっとすくい上げた。

ミヤ「わあ、やっぱりこの子はいい子だよ!」

テツヤ「出してやったらまず踏みつぶそうとするような奴がかよ。思いつきで生きてるだけなんじゃねぇのか」

ディアブロ「マギ派に勝つ要因がこちらの加勢だったてのが、密かに大きい……かどうかはわからんねえ」

ミヤ「二人とも、いつまでもそういう事いうのは感心しないよ。さあ、ハクバッドへしゅっぱーつ!」

というわけで、街へ帰るのは次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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2012年2月 5日 (日)

ブラッドソードリプレイ3-12 廃墟の鬼女

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:5 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:7 機敏度:8 生命力:31
装備:ブラッド・ソードの鞘 ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(6本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金35) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 木の人形

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:5 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:26
装備:ブラッド・ソードの柄 ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(6本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金貨袋(所持金100) 金の巻物 金の鏡 黒い絹のクッション

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:5 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+2 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:26
装備:銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 金貨袋(所持金100) 琥珀の火口箱 魔法のパン ファティマの銀の鍵 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 真鍮のびん エメラルド

Photo スクリーボ

旅の途中で買われたカラス。
お値段は金貨1枚。
とりあえず当面、役に立つような能力は無い。
しょせんは金貨1枚。

レジェンドという世界、クラースの地にて冒険者として旅する三人。伝説の“生命の剣”ブラッドソード探索の旅を続け、その柄と鞘を手に入れた彼らは、最後の部品である刀身を探す。刀身を求めてたどり着いたのは、十字軍が拠点とする都・クレサンチウムだった……。

 クレサンチウムでブラッドソードを求め、三人は伝説の海賊船からエメラルドの目を奪った。これがあれば生命の剣への道が拓けるはずなのだ。魔神ジニーを従えた三人、後は街に戻るだけなのだが……。

テツヤ「まぁ街に戻ってから、また一波乱あるだろうってぐらいは想像つくわな」

ディアブロ「本当に何事もなく普通に剣が落ちていて、その日のうちに悪党の親玉に出くわして袈裟斬り一つでケリがつく……てのも悪くないんだがねぇ」

 ここまで来てそんな終わり方だったら、ある意味で伝説にはなれそうだ。「え? こんな終わり方!?」と言いたくなるゲームはごく一部に本当にあるが……。

【項目44】
35夜が近くなると、ジニーを取り巻いていた嵐は徐々におさまり、やがて雲におおわれた空から、暖かい霧雨が降ってきた。
前方に垂直に切り立った岩山が見える。
その頂上は、ちょうどジニーの頭の高さだ。
これが、魔法使いサークナサールの難攻不落の砦があるというあのグレイ・ロックにちがいない。
砦の廃墟が見えている。
横を通り過ぎながら見ると、風雨にさらされた砦は、岩の頂上にはりつくフジツボの化石のようだった。

ディアブロ「空き家があるぜぇ。なかなかの年代物だと見たね」

テツヤ「立地場所を考えるに、物件としての価値は最低峰だろうがな」

そのとき明かりが目にはいった。

ミヤ「止まって!」

ジニーは立ち止まり、こちらをのぞきこんだ。

「どうしたんだ? 旅がゆっくりすぎるというのか? それとも速すぎるのか? そうか、それで気分が悪くなったんだな? 何をしたいのかいってくれ。俺はおまえのいう事を聞くためだけに生きているんだ!」

ミヤ「これ、別にお願いじゃないんだけど……。それにしても、皮肉な言い方はやめない? あたしたち、あんまし長い事いっしょにいないんだしさ。ハクバッドに着いたら別れちゃうんだし、今ぐらい仲良くしよ?」

「わかったよ。どうして止まれといったんだ?」

廃墟のあいだの明かりを指差して教えた。

ミヤ「誰かがサークナサールの宮殿にいるの。調べた方がよくないかな」

「俺たちが? 新しい友情関係からいわせてもらうが、調べるのは反対だ。サークナサールの宮殿跡にだれが住み着いていようと、こちらの知ったことか。好奇心は危険だぞ。ヴィジールと四人のドワーフの話を知らないのか……」

やつが長たらしい話をはじめる前に、黙れと合図した。

ミヤ「え? あたし、どんな話か聞きたいんだけど」

テツヤ「興味がねぇから俺が合図した」

ディアブロ「で、家の中についてのご興味はどうかね?」

テツヤ「イマイチってところかね」

ミヤ「はいはい! あたしはめっちゃ有る!」

 というわけで、ここは調べてみる事になった。

【項目306】
こちらが宮殿を調べるあいだ外で待っていればいい、とジニーにいってやる。
ただし、その後で、こちらが再び願わなくても旅を続行する、という条件つきだ。

「どっちみち、おれの体は大きすぎて、あの中に入れないものな」

やつが言った。

「まあいいだろう。真夜中まで、ここで待つことにする。それまでに戻ってきたら、ハクバッドへの旅をつづけよう。戻らないときは、もうおれを必要としないのだと考えて、好きな所へ行く。それでいいな?」

もちろん、真夜中よりずっと前に戻ってくるつもりだ。
「いいよ!」と答え、やつの手から大理石のテラスへ飛び移る。
明かりは列柱の向こうに見える。
アーチをくぐり、大広間へはいっていった。

ミヤ「たいがいの事はできる魔力があるんだから、ジニーも小さくなってついて来れると思うんだけどなー」

テツヤ「んな事に願いを1個使うのも勿体ねぇだろ」

ディアブロ「小さくなってついて来い、で願い1個。何かあった時に手助けしてもらってさらに1個。帰り道をもう1回頼んだ時に『全部使っただろ』と言われてお終いだぜぇ」

ゲームオーバー確定が見えているのにそうする理由はもちろん無い。三人だけで奥へ進む事にした。

【項目39】
大広間を進んでいくと、夕陽が雲間から顔を出し、はるか遠くの壁の高窓から、一条の血の色をした光線が差し込んだ。
そして、消えかかっていた焚火の輝きと混じり合った。
するとその燃えるような赤い光が、奇妙な光景を照らし出した。
シェロの木のような黒い肌の大女が、鉄の鍋をひざにはさんで座り、べとべとしたシチューを手ですくっては食べている。
身体の大きさも異様だが、さらに驚くべき事に、女には目が一つしかない。
額の中央に黄緑色の大きな眼球が一つはめこまれているだけだ。

ディアブロ「ギリシャ神話のオデュッセウスの航海に出てくるサイクロプスを思い出すぜぇ。単眼の人食い鬼と、それに捕まった船員達の話だが」

テツヤ「とすると、あっちにいるのが食われる船員て所か?」

女のそばに鉄の檻が置かれ、その中にあごひげの長い老人が閉じこめられている。
老人は足に灰色の木綿のゲートルを巻き、ブルーのベルベットのひきずるようなガウンをはおっている。
そして檻の格子にしがみつき、大女が食事をするのを悲しげに見守っている。

ミヤ「んー、先入観で決めるのも良くないし、もうちょい様子を見ようよ」

【項目379】
檻に閉じこめられた老人は、弱々しいうなり声をあげた。
大女は巨大な片手をかざして、夕日をさけながら頭をめぐらした。
あざけるように大女が言った。

「どうしたんだい、おチビさん? この食事をわけてほしいのかい?」

「悪魔め! それをのどにつまらせて、思いきり苦しめばいいんだ」

老人が言った。
大女は顔をしかめ、やがて下品な声で笑いはじめた。

「おあいにくさまだね。おまえの仲間はみんな、じつにうまかったよ」

大女は空の鍋を放り投げた。
鍋は後ろの炉に当たって、大きな音を立てた。

「ひと眠りするとしよう。目がさめたら、今度はお前の番だよ……」

大女は板切れを二、三本炉に放り込んだ。
船材を割ったもののようだった。
錨を火かき棒がわりに使うと、その板切れにパッと火がついた。

テツヤ「様子を見た結果、人食いの邪悪な化け物だと確定したな」

ミヤ「むむ、これは見過ごせないぞ。よし、あの怪物をやっつけてお爺ちゃんを助けよう!」

テツヤ「ああ、困ってる年寄りを助けるのはこの世の法律だと相場が決まっているからな」

ディアブロ「まぁ助ける事に異論は無いが、正面から巨人となぐり合うのは避けたいぜぇ」

 そこで使えそうな物が無いか、持ち物から探してみる事にした。

【項目2】→【項目504】
ここで取り出すのは、プシュケの塔で手に入れた黒い絹のクッション

テツヤ「よし、狙いをつけて……ほらよ!」

黒い絹のクッションを投げると、ちょうど大女の背後に落ちた。
大女はあたりを見まわしたが、こちらはとっくに柱の陰に隠れている。
大女は檻の中の老人にたずねた。

「何か音がしなかったかい?」

老人が答えた。

「べつに。自分の犯した罪への良心の呵責から、ありもしない音が聞こえたんだろうよ、根っからの悪魔め……」

物音のことは忘れて、大女がいった。

「ふん。おまえの屁理屈はいただけないね。根っからの悪魔に良心の呵責があるものかい?」

大女が後ろへ下がると、かかとがクッションに当たった。

「おや、これはなんだい? 枕じゃないか……これはいいね! 色もあたしの肌にぴったしじゃないか! 今まで目にはいらなかったというのは変だね。でも、まぁいいさ。生まれたときからあんなに欲しかった枕が手にはいったんだから」

大女が瓦礫の山のベッドに寝ようとすると、老人がいった。

「待ってくれ。おまえが目をさましたとき、私を食うというのなら、せめて最後の願いを聞いてくれ」

「だめだよ」

大女は嬉しさを押えて、吐き出すように言った。

「なあ、頼むよ。願いを聞いてもらえず、嘆きながら死んだ私の身体は、まずくなるに決まってるぞ……」

大女は考え込んだ。

「それもそうだね。それで、どんな願いなのだい?」

老人は炉のそばの背負い袋の山を指さした。

「私の仲間の持ち物の中に竪琴がある。それを私に渡してくれ。仲間の死をいたむ最後の曲を演奏したいのだ」

「そうしてあたしの眠りのじゃまをする気かい? 冗談じゃないよ!」

老人は頭をふった。

「どうしてお前は、そんなに気が短いのかね? 美しい曲なのだ。これを聞けばぐっすり眠れるぞ。そして目ざめたら、食欲も増していることだろう……」

「まったく! ベチャクチャとよくしゃべるねえ! おまえもおまえの仲間も、わけのわからないことをしゃべりまくるんだから! おまえは最後のごちそうだから、そのおしゃべりもがまんして聞いてやっているけれど、あたしは神様にお願いして、この一つ目に合わせて耳も一つにしてもらいたいよ。余計なことを聞かないですむようにね。おまえが口を開くたびに、あたしはむしずが走るんだ!」

老人が静かに言った。

「お前こそ私の十倍はしゃべるじゃないか。それで、竪琴を取ってくれるのかね、くれないのかね?」

「いいだろう。だけど、あたしの眠りのじゃまをしたら、許さないよ!」

大女は袋の中から竪琴を見つけだし、ぷりぷり怒って老人に渡した。

テツヤ「おやま。結局、願いはきいてやるのかよ」

ディアブロ「殴り殺して冷蔵庫に入れとく、という案は無いようだぜぇ」

ミヤ「冷蔵庫が無いんじゃないかな?」

大女がクッションを巨大な頭の下にあてがって寝転がると、老人は物悲しい歌をかなではじめた。
音色は静かで、メロディーは押し付けがましいところのない魅力的な物だった。
美しい調べに引き込まれ、こちらもしばし我を忘れた。
柱の陰からもう一度のぞくと、大女はぐっすりと眠りこんでいた。

テツヤ「よし今だ! 行くぞ」

そっと近づいて、檻から老人を出してやる。
ほっとして泣きそうな顔つきで彼が言った。

「ありがとう。あの女は私の仲間を一人残らず食べてしまいました。そして今夜、私も食べられるところだったのです」

こちらの声で大女が目をさますのではないかと心配したが、老人は首をふって言った。

「いいえ、よほどのことがなければ、あの女は目をさましません。私が歌ったあの歌は、コーナンブリアの吟遊詩人から教わった強力な催眠の歌なのです」

ミヤ「そうだったんだ」

そう答えたものの、大女が眠りこけているのは、やはりクッションのせいだと、こちらは思う。

テツヤ「さてどうすっか。爺ちゃんは助けたが、化け物を放っておいていいもんかどうか」

スクリーボ(実は放っておいてもゲームは何も問題無く進むし、倒しても何一つ得は無イ。ゲーム的には放っておくのが正解なのダ)

ミヤ「ほったらかしにして次の犠牲者が出たらいけないよ。やっつけよう!」

 というわけで大女を退治しておく事にする。バトルオーダーはテツヤ=1、ミヤ=2、ディアブロ=3で、ディアブロはネメシスの電光の呪文を1発だけ準備。

【項目484】→【項目398】
 

テツヤ「では遠慮なく寝込みを襲うとすっかね」

ディアブロ「はは、それでこそこのゲームの盗賊だぜぇ」

Photo(盗賊)

大女は簡単には死ぬまい。
最初の一撃で目をさましたら、抵抗してくるだろう。
最初の一撃は効果的なやつを見舞ってやるしかない。
そこで、大女の目を狙った。
大女は悲鳴をあげて飛び起き、盲めっぽうに巨大な握りこぶしをふりまわした

テツヤ「よし、こんなもんでどうだ!?」

ディアブロ「近接戦闘しかできない敵単体なら、いつものネメシス電光責めで楽勝なんだがねえ」

ミヤ「どっちにしろ卑怯な事は変わらないんだね……」

大女(G) 戦闘力=4 精神力=8 鎧強度=1 生命力=59
打撃力=サイコロ五つ-1 機敏度=5

B12_3テツヤ「この命中率なら正面からでも勝てるだろ。ディアブロの呪文が成功する前に勝負を終わらせるぜ」

ディアブロ「まあ頑張んな」

味方同士でサイコロを振りあい、ミヤ→ディアブロの順番に決定。

○第1ラウンド
テツヤ:出目5で命中。大女にダメージ11(被害10)。残り49。
ミヤ:出目7で命中、大女にダメージ2(被害1)。

ミヤ「ありゃ、ピンゾロ出ちゃった」

ディアブロ:出目5で「ネメシスの電光」詠唱失敗。
大女:ミヤを攻撃、出目7で失敗

○第2ラウンド
テツヤ:出目11で攻撃失敗。
ミヤ:出目7で命中、大女にダメージ4(被害3)。残り46。

ディアブロ:出目8で「ネメシスの電光」詠唱失敗。
大女:テツヤを攻撃、出目8で失敗

○第3ラウンド
テツヤ:出目7で命中。大女にダメージ10(被害9)。残り37。
ミヤ:出目10で攻撃失敗。
ディアブロ:出目6で「ネメシスの電光」詠唱失敗。
大女:テツヤを攻撃、出目10で失敗

○第4ラウンド
テツヤ:出目7で命中。大女にダメージ5(被害4)。残り33。
ミヤ:出目9で攻撃失敗。
ディアブロ:出目8で「ネメシスの電光」詠唱失敗。
大女:テツヤを攻撃、出目9で失敗

○第5ラウンド
テツヤ:出目6で命中。大女にダメージ4(被害3)。残り30。
ミヤ:出目11で攻撃失敗。
ディアブロ:出目7で「ネメシスの電光」詠唱成功! ダメージ34(被害33)。撃破。

電撃に打たれ、大音響をあげて大女は倒れた。

ディアブロ「ウェヘヘ、結局は俺の呪文でケリだぜぇ」

テツヤ「チッ……まぁいいだろ」

ミヤ「うーん、あたし絶不調だったなー」

ともかく、助けた老人に話を聞いてみる事にする。

【項目467】
すこし落ち着くと、老人は話し始めた。

「カールランドの北のドラッケン山のふもとに、復活派の修道院がありましてな。無慈悲な一つ目の大女に食われてしまった仲間は、そこで長く修行した修道僧で、わしは修道院長なのです。我々の負っている使命は、人類全体にかかわる重大事なのです。我々は何年もかけてその準備をしてきました。ご存じかもしれませんが、新しい千年王国の夜明けには、万物の創造主は、ご自身の作品、つまりこの世界をすべて取り除かれ、新たな世界を創りはじめられる。悪は雑草のごとくこの世から引き抜かれ、悪魔やその家来は永遠に抹消されるのです。そして我らの子孫は新たな神の王国、千年王国を見出すのです」

なるほど、一千年という年が嵐と流血の戦いの年になるだろうということは聞いていた。
その時、スパイトの門が開き、真のマグスたちがこの世に戻ってくるのだ……

ディアブロ「その地上の楽園は、戦いなしには実現しないだろうぜぇ」

修道院長が答えた。

「そのとおりだ! よくわかっておられる! 多くの人々は、その楽園が彼らの生まれながらの権利だと考えている。しかし実は、神は人間がそれに耐えうるか否かを判断なさるのだ。戦ってそれを勝ち取るだけの力があるかを。神はお導きになることはできる。しかし、この世の初めから我々を悩ませてきた悪を倒すのは、我ら人間の任務なのだ。それができないのなら、我々は楽園を手にする事は不可能なのだ」

肩に手を置き、院長をなだめる。

テツヤ「落ち着け、爺ちゃん。あんたはあの辛い体験のあとで、まだ混乱してるんだって……」

院長は激しい調子でいった。

「ちがう! わしはいま、さらに大きな苦悩に苦しんでおる。危険はまだあるのだ。わしたちは最後の審判の日の戦いに必要なある物を取り戻すため、はるばる旅をしておった。ある物とは、我らの修道院の僧たちが代々育てつづけてきた生命の若木だ。生命の大木イグドラシルから生えた若木なのだ」

テツヤ「さっきまでキリスト教的な終末論だったのに、急に北欧神話がまざったな」

ディアブロ「レジェンド世界の基本なんだぜぇ」

ミヤ「お爺ちゃん、それでその若木はどこにあるの?」

「盗まれてしまった。オパラールのマギ派の連中によってな。彼らは魔法を使って我らの防御を破り、炎の橋に乗って若木を持ち去った。わしらは、同僚ペレウスの開いたアストラルの門を使って、彼らを追おうと考えた。ペレウスはかつては異教徒であり、魔法を学んだことがあったのだ。しかし不幸なことに、彼は呪文を唱えまちがえたらしい。門はオバラールへではなく、この大広間に開いた。そして、門の中へ飛び込んだわしらは、あの化け物につかまり、檻に入れられてしまった! 神が助けをつかわさなければ、わしは食われ、わしらの探求の旅も失敗に終わったろう。さて、もう一度わしを助けていただけまいか。若木はぜひとも取り戻さねばならんのだ。生命の大木イグドラシルが、エデンの園に生えた最初の木であり、千年のあいだこの世を支えてきたように、あの若木は新しい時代を支えなければならないのだ。神を冒涜するマギ派どもから、若木を取り戻す手助けをしてくれ!」

テツヤ「いやにスケールのでかい事情が出てきたが、結局、泥棒からお宝を取り戻してくれって話だな」

ディアブロ「しかしジニーが寄り道してくれるのかねえ。回り道ふくめて一回の願いごと、という理屈に納得してくれりゃいんだが」

 ともかく、こうしていても始まらない。ジニーのもとへ戻る事にする一行。

【項目253】
院長をともなってテラスに戻りながら、彼の申し出について考える。
彼の話からすると、院長の冒険はこちらの冒険と同じぐらい重要な任務のようだ。
しかし、彼を助けて若木を取り戻すのが先決なのか、それともこのままハクバッドへ向かい、ブラッド・ソードの刀身を見つけるのが先決なのか?

ミヤ「お爺ちゃんを仲間にして、一緒にブラッドソードを探しながら若木も追いかけるってのはダメかな?」

テツヤ「さすがにそこまで融通きかせるのはゲームブックの項目数じゃ無理だろよ」

ディアブロ「コンピューターゲームでもそこまでやらせてくれるシナリオは少ないだろうぜぇ」

考え込んでいると、ジニーを見つけた院長が大声をあげた。

「ターシムのデーモンだ! 見つからないうちに、中に戻りましょう」

「ああ、ようやく帰ってきたのか。新しい仲間を連れてきたんだな。えらくカッカしている老いぼれのようだが……」

院長をまるっきり無視して、ジニーが言った。

ミヤ「失礼だよ。こちらは修道院長さまなんだから」

院長は唖然としていた。

「この……化け物と知り合いなのですか? こいつを支配しているのですか?」

ジニーは大理石の手すりに手をのばしてきた。
奴がたずねた。

「旅を続ける準備はいいか? そのおえらい修道院長さまにお別れをいって、出発しようぜ」

どうするかの判断の前に、金の鏡を持っているかどうかのチェックがある。

【項目367】
院長はこちらの持ち物の中でキラキラ光っている鏡に目をつけ、それを手にとった。
彼はうっとりしているようだった。
院長は鏡を差し出して言った

「見えるかね? この木とヘビが見えるかね? どちらも生命のシンボルだ」

輝く鏡をのぞいてみた。シミが二つある。
金属内のヒビではないか?
だが想像力を働かせるうちに、院長のいうとおり、それが一本の木と一匹のヘビに見えてきた。

院長はもう一度鏡をのぞきこんだ。

「わしは占いの術も学んだのだ。ヘビは変わって、一本の剣になったぞ。生命の剣だ……これは何を意味するのだろう? 木の根元に剣が巻き付いている。ああ、だめだ。見えなくなってしまった……」

院長はまだたきをし、頭をふった。
沈黙が流れた。まもなく彼がいった。

「この鏡は非凡な道具だ。わしは未来をあんなにはっきりと見た事がない」

生命の剣か。
彼の冒険はこちらの冒険とつながりがあるのだろうか?

ここで鏡を院長にあげるかどうか、決めておけと指示される。

ミヤ「あげてもいいんじゃない? 拾い物だし」

ディアブロ「鏡を眺めてうっとりする爺さんて時点で、それ以上かかわりたくないから、まあくれてやってもいいような気がするぜぇ」

テツヤ「嫌な言い方すんじゃねぇよ。荷物も空いて丁度いいわ」

爺さんに鏡をくれてやる事にし、次の項目へ。

【項目19→343】
ジニーへの願い事が二つ残っていると、この項目に来る事ができる。

残る願いの使い方を考える。
考えながら声に出していく

ミヤ「オパラールのマギ派の砦へ行くのに、願いの一つを使うよ。そしてそこからハクバッドへ行くのに、もう一つの願いを使うの。これでオッケーだね!」

修道院長が言った。

「いいえ、いけませんよ! 若木はここに、グレイ・ロックに持ってこなければなりません。大広間にあるアストラルの門が、私が修道院へ若木を持ち帰ることのできる、唯一の安全な道なのですから

ディアブロ「この爺さん、自分の都合しか主張しやがらないぜぇ」

テツヤ「そう言うな。爺さんの気持ちになりゃ、ああも言いたくなんだろ。しかし俺らに不都合極まりないのは間違いねぇな……」

ジニーが口を挟んだ。

「ここに戻ると、願いは使いきってしまうぞ。それに、オパラールへ行けと命じれば、ハクバッドへ行くという目下遂行中の願いは無効になる。結論を言えば、マギ派の砦へ行って、その若木を持って戻ってくることはできる。しかしそのとき、俺は立ち去る。後の事は知らん。さあ、どうするつもりだ?」

ディアブロ「選ぶ余地ないぜぇ、普通に考えたらねえ」

テツヤ「しかし手助けはしてやりてぇな」

ミヤ「ん、じゃあ決まりだね?」

どう決まりなのか。それはもちろん次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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