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2011年5月

2011年5月29日 (日)

真必殺技

 今日は久しぶりに仲間内で集まってTRPGで遊んだ。
 しょっちゅう集まれるわけではないので困りもの。
 何が困ると言うと、前までの話を忘れるのでキャンペーン(続き物のストーリー)の大筋も忘れてしまう。さらに遊んでいるゲームへの習熟もなかなか深くならない。

 そして今日、ついに奇跡が起こった……!

GM(自分)
「敵と遭遇したぞ。相手はジャックオーランタン、知能の高いアンデッドモンスターだ」

魔術師
「強敵だな!」

GM
「もうそのぐらいの相手と戦うレベルにはなっている」

格闘家
「じゃあ攻撃するか」

軽戦士
「先攻は……こっちだな。じゃあ誰から攻撃する?」

魔術師
「ここは俺がやろう。こいつらはアンデッド、回復魔法でダメージを与えられる。俺の妖精魔法にも回復魔法はある。単体魔法だが、戦闘特技で対象数を拡大すれば三体すべてにかける事が可能だ」

 そして炸裂する回復魔法による攻撃。敵のHPはいきなり半分近く減った。凄い威力だ。後は前衛による物理攻撃で叩きのめし、この戦闘は勝利する事ができた。

 ゲームは進行し、今回のボス各と遭遇。ところが運悪く、敵の範囲攻撃で大ダメージを受けてしまう(サイコロで判定するのだが、酷い目が出た)。一瞬でパーティ全員のHPが半減、ゴミクズのように蹴散らされながら各人が必死に逆転のため戦法を考える。
 ああするかこうするか、ルールブックを見ながら策をねるが……

魔術師
「ああっ! しまったー!」

GM
「ば……バカな……こんなことが……」

 二人でびっくり。
 妖精魔法の回復魔法には、ちゃんと「この魔法はアンデッドモンスターにかけても効果はありません」と明記してあった。
 さらにこの魔術師、対象数を拡大する特技を習得していなかった。習得しようと思ったがやっぱりやめた、という経緯があったため、久しぶりのゲームで勘違いしてしまったのだ。

 効かない魔法を有りもしない技で増幅して敵を蹴散らすという超絶な神業……!
 ジャンプのバトル漫画でも滅多に拝む事などできはしない!

 しかしなにせ、とうの昔に終わった戦闘の話。
 騙すつもりが誰にあったわけでもなく、皆が素で勘違いしていただけの事。
 それにもっと切羽詰った事態が目の前にある。

GM
「……あまり自信満々に呪文を唱えたもんで、ジャックオーランタンどもは自分たちが強烈な魔法を食らったと思い込んだらしいな」

格闘家
「そ、そうか! なまじ知能をもっていたから……!」

GM
「効果は無くても、魔法自体は発生したはずだ。周囲で派手に光ったり音がしたりしただろう、騙されても仕方あるまい。拡大もできていないから食らったのは一体だけだが、そいつが派手に吹っ飛んだもんで他の2体も思わず吹き飛んだのだ」

軽戦士
「戦利品としてあいつらの頭を拾ったんだが……」

GM
「荷物袋の中で、今ごろ頭だけで首を傾げているかもしれん

 何せ判定や進行も全部人間がやるので、こういう失敗もよくある。

 結局、ジャックオーランタンは思い込みで死んだ事にして話を進めた。
 肝心のボス戦は「この劣勢は覆せんわ」といったん逃亡し、追いかけてくるボスを罠に誘い込んで弱らせて倒した。

GM
「全滅寸前だったな……このパーティ、レベルの割に弱いんと違うか

軽戦士
「ダイス目も終わってたし仕方ないわ」

 そのうえルールの間違いも多いしな!

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2011年5月22日 (日)

回避vs防御

 ゲーム作ったりTRPGのシナリオ作ったりWIZのエディターいじってたりすると
自然とゲームバランスについてあれこれ考えたくなる。

 戦闘という概念のあるゲームには、たいてい回避力防御力って物がある。
どちらもキャラクターの防衛能力って意味では似たようなもんだ。
敵の攻撃力が同じなら、防御力0だが90%の確率で回避する奴回避率0%で確実に被弾するがダメージを90%カットできる防御力の持ち主
同程度の防衛能力を持っていると考えて、まぁ間違いない。

 だが実際に作り手としてプレイヤー(キャラクター)の相手をするなら、この二つは全然違う。
高回避率紙装甲のカトンボよりも、重装甲回避0のドン亀の方が遥かに扱いやすいのだ。

 なんせ確率は確率だ。回避率90%!といったところで、10%の確率でダメージ食らった時に被害が甚大すぎると立て直すのが困難になる。
 だが重装甲の奴は食らう事を前提に進めるし、一発や二発で沈まないようにしているので立て直しもし易い。

「じゃあ回避する奴でも1発や2発で死なないバランスにすればいいだけだよね?」

その通りだ。
そうすると敵の攻撃が弱くなりすぎて緊迫感なくなる場合がほとんどなんだけどな。

「じゃあボスのHPでかくして簡単に倒せなくすれば緊迫感でるよね?」

出ません。
しつこいだけのデクをしばきまくっていてもダレますので。

まぁいろいろ小細工をして、なんとか強い敵を演出しようとし、四苦八苦するんだけど。

 ここで自分が思い出すのがドラクエ1とFF2。

ドラクエ1:思い切って回避率の概念をほとんど無くした。物理攻撃は当たる事が前提。攻撃力と守備力の差でゲームバランスを組み立てればいいので、作り手には作りやすく遊び手には理解し易い。

FF2:敵の特殊能力が強力すぎて防御力の意味が恐ろしく薄い。

「7回ヒット0ダメージ 死んだ」
 どういうことだーっ!俺にわかるように説明しろーっ!

 しかし敵の命中率を0%にする事が普通に可能なシステムになっており、食らわないようにすればいいだけという事に気づくと普通に進めるようになる。
 回避率の重要性は未だに全RPGの中で五本指に入るんじゃないかこれ。

 ついでに思い出すのがスーパーロボット大戦F完結編。

防御力を重視しても、終盤の敵の攻撃力と数と手数の前にはほぼ無力です。
被弾率を0%にしてください。回避力が命です。
ただしそれを為しえるキャラは限定されており、できない奴はどうやってもできません。
弱いキャラはどんどん切り捨てていきましょう。

ダイターン3が動く棺桶になっちまったーっ!

 今ウチのメンバーでやってるソードワールド2.0のパーティーも回避重視低防御の前衛ばかりなんだよな……。
 バランスとり難いねえ。どうすっかねぇ。
 ボスはそこそこ強力な必中系攻撃しかしない奴ばかりにでもするかねぇ。
 したらしたで「高回避力のキャラの意味ないだろ!」とか言ったりするんだよな。
 全発回避されたらボスキャラの攻撃力の意味ないだろ!と言い返すと「でもでもだって~」とごねたりな。
 うるせーだったらお前がGMやって俺のキャラにかすり傷もつけられないヘボボス(略してヘボス?)でも出してろやーコノヤローでもやっぱそんなゲームつまんねぇから俺がGMやって文句はシカトしよう。

 結局そういう事に落ち着く。いつもな。

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2011年5月14日 (土)

「スーパー大戦」的思考

「仮面ライダークウガ」を最近DVDを借りて断続的に見ている。
 本放送時は飛ばしながらの視聴、しかも10年以上前。内容なんぞほとんど覚えちゃいなかったが……改めて見ると「良質な特撮番組を丁寧に作れ」という考えを突き詰めるとこの番組になりそうだと感じる。

 しかしこのライダー、神秘的な力を持つ古代の秘宝を腹部に埋め込んで身体を改造、その石は宿主の熟練とともに新たな能力を与え進化させていく……という設定が妙に「仮面ライダーBLACK」を連想させるのだが。
 最終形態が全身黒色だしな……。

 あーそういえば「仮面ライダーアギト」は昭和ライダーと世界が繋がっているんだっけ?
 そのアギトとクウガは没案では同じ世界だったんだよな。

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 

 太古の昔より、人類には神の力を顕現させる事のできる者が突然変異的に現れる事があった。「アギト」の力である。

 超古代、長い研究の果てに、その力を人工的に発揮させる事のできる身体改造装置を作る技術が生み出された。その技術はいくつかの部族に伝わり、各部族の特色を加えながら継承された。
 ゴルゴム、グロンギ、リント、地空人などはベルト状にして、古代インカの部族は二つの腕輪状にして、彼らの部族に残したのである。

 現代。人間の体を改造する技術を追求するうち、それらの部族が残した技術を発掘した組織があった。その改造人間は予想以上の性能を発揮し、彼を作り出した組織に引導を渡す事になったのである。
 それこそが仮面ライダー1号であった。

 仮面ライダーがどこか似た姿をしているのは技術の源流が同じだから。
 史上初の仮面ライダーは最初にアギトになった原始人。
 仮面ライダー型の改造人間がやけに強いのは、神の力を顕現させるのに理想的な形状だから。
 オルフェノクはアギトの力が死後に変質して漏れたもの。
 ヒューマンアンデッドがバトルファイトに勝ち残ったのはライスピの大首領が「俺この種族が気にいったから増やすわ」といって加勢してくれたから。
 気に入ってもらえたのはアギトの力が大首領のツラと似てたから。
 ワームは大首領と同じ星系から来た。だからネイティブからの技術提供で変身装備を作ると大首領に似ている外観になる。
 鬼になる修行は神の力であるライダーの変身を可能にする修行。仮面ライダーという単語がなかったから鬼と呼んでいる。
 ファンガイアの「鎧」も超古代の遺産。
 イクサの重機忘れられすぎ。
 一部の変身者の歌唱力や滑舌も神の力の顕現に有利な条件。
 シャドームーンが長い間寝てたのも超古代から現代までの悠久の時に比べれば短いと思ってゆっくりしていたから。
 クライシス皇帝が頭と足だけなのは頭突きの威力に自信があるから。
 ギギとガガの腕輪をそろえると得られる「凄いパワー」とは、超古代の秘石が二つそろう=創世王の力を得ること。しかしアマゾンは二つそろえた後に最終回の白いスーツを着るため腕輪を外してしまったので創世王にならなかった。
 そろそろ考えつかなくなってきたがもう残りの全部もどこかで繋がっている。
 そしてそれも全部私だ。

↑こんな感じの設定が「スーパー特撮大戦」の続編が作られたらゲーム用に作られると思う。
続編そのものが作られないと思うけどな。
作っても俺は買うんだけどな。
俺しか買わないかもしれないけどな。

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2011年5月 1日 (日)

ブラッドソードリプレイ3-8 海原へ

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:5 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:7 機敏度:8 生命力:31
装備:ブラッド・ソードの鞘 ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(6本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金37) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 膏薬の瓶(残り5回)

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:5 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:26
装備:ブラッド・ソードの柄 ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(6本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金貨袋(所持金100) 金の巻物 金の鏡 黒い絹のクッション

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:5 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+2 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:26
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 金貨袋(所持金100) 琥珀の火口箱 魔法のパン ファティマの銀の鍵 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 水晶の瓶

Photo スクリーボ

旅の途中で買われたカラス。
お値段は金貨1枚。
とりあえず当面、役に立つような能力は無い。
しょせんは金貨1枚。

レジェンドという世界、クラースの地にて冒険者として旅する三人。伝説の“生命の剣”ブラッドソード探索の旅を続け、その柄と鞘を手に入れた彼らは、最後の部品である刀身を探す。刀身を求めてたどり着いたのは、十字軍が拠点とする都・クレサンチウムだった……。

 クレサンチウムでブラッドソードの在処を知る人物・ササリアン王子に出会う三人。剣の有る場所へ行くには海賊王ハンガックからエメラルドを2個、奪わねばならないという。どうやって沖合へ行くのか、三人はその手段を求めて彷徨う……。

テツヤ「そして出会った酔っ払いと路上でカップ酒ひっかけてるという状況だったなオイ」

ディアブロ「おやま、ちと不満そうだねぇ」

テツヤ「あんま意味なさそうだからよ!」

ミヤ「まぁまぁ、現地の人と相談すればいい方法がわかるかもしれないじゃない?」

 実際にわかるから困る。

【項目458】
座りこんで、ひょうたんを傾ける。
酒は冷たくて、生き返るようだ。日に焼けた眉をこすりながら男が訊いた。

「どこから来たかね?」

ディアブロ「クレサンチウムからだぜぇ」

「それで、どこまで?」

ひょうたんを返す前に、もう一口飲む

テツヤ「飲んでばっかいねぇで話きけや」

ディアブロ「じゃあこの酔っ払いに相談するって事で。よろしく」

テツヤ「話は俺がするのかよ」

【項目76】
テツヤ「ある船と落ち合うために、この湾の陸から百キロの所まで、ぜひ行きたいんだ。落ち合うのは二日後という事になっている」

冒険の目的は気取られないように、言葉を選んだ。
この男が何者かは知らないが、用心にこした事はない。男がいった。

「俺に話して良かったぞ。さもなきゃ、その冒険は失敗に終わってたろうからな。いいかい、この季節、この湾内には、デンダンと呼ばれる巨大な化け物魚がうようよしているんだ。漁師たちはやつらの起こす高波を恐れて、金輪際、岸を離れようとはしない。そんな危ない冒険に小舟を貸してくれるような奴は一人もいないさ」

テツヤ「デンダンて宿屋のほらふき爺さんが言ってた超巨大魚だろ。そんなのがうようよっていうほどたくさんいるのかよ。生態系どうなってんだ」

ディアブロ「そいつらの餌を賄えるほど魚が多いんだろうぜぇ。だから死ぬほど危険な海なのに漁師をやる奴が絶えないという」

ミヤ「ていうか伝説の怪物かと思ったら、案外そこらへんにいっぱいいる魚なんだね」

ディアブロ「RPGじゃよくある事だぜぇ」

神様が群れででてきてマシンガンで蹴散らされる事もあるし。メガテンの主人公がRPG最強主人公だという説が、昔仲間内で一瞬だけ出た事がある。

テツヤ「普通にいっぱいいいる伝説の大怪魚をどっやって避けるのか知りてぇもんだな」

【項目113】
男は墓泥棒のガロールと名乗り、墓場から出て、険しい丘の道を指差した。

「最近の事だが、俺はある日の午後ここに座って、夕食にカモメの卵をとってこようと思いついた。もちろん、墓場には誰も見当たらなかった。それで俺は、あの丘にカモメが巣を作ってるんじゃないかと、この道を登っていった。ところが、恐ろしい大物を見つけちまったんだ。偶然見つけたほら穴の中に、伝説に出てくる大怪鳥の巣があったのさ。伝説を知っているかね? それなら俺がいうまでもないが、大怪鳥というのは、水夫シンバーが航海の途中に出会った巨大な鳥なんだ。シンバーがこの鳥をどう使って、魔法使いシャジレーの難攻不落の砦に入り込んだか、もうおわかりだろう。彼はこの鳥が寝ているあいだに、巨大な足に自分の身体を結びつけたのさ。そこで鳥が空に飛びあがると、彼も一緒に飛んでいけたってわけだ」

テツヤ「墓泥棒を堂々と名乗る奴がいるのもアレだが、伝説の鳥が何気なく暮らしているのも相当突っ込みまちだな。クレサンチウムの人間は平気で生活できてんのか」

ディアブロ「何事も慣れだぜぇ。最初に街つくった連中は頭がおかしいと思うがね」

なお、僧侶はこの話についての知識を持っている。

【項目9】
3_3(僧侶)

ガロールの語った伝説は、古文書で読んだことがある。
その古文書には、シンバーが目的地に着いた時、大怪鳥をそこへ着地させた秘密の合言葉も書かれていた。
その合言葉は『タウイ』だ。

ミヤ「それを唱えれば、好きな時に降りることができるよ」

テツヤ「そりゃ凄え。で、好きな方向に飛ばす合言葉は?」

ミヤ「無いよ」

テツヤ「……目的に行けるかどうか、帰ってこれるかどうかは『運』か?」

ミヤ「うん」

 しばし無言で見つめあい、やがて溜息をついて、三人はガロールと別れる事にした。

【項目314】
村に向かって歩いていく。
最初の家を通り過ぎようとした時、やせこけた数十人のターシムの子供たちに取り囲まれた。
子供たちは袖にすがって、金をくれと叫んだ。

ディアブロ「物心ついたら物乞いのバイトとは。世の中不景気だぜぇ」

テツヤ「しゃあねぇ、小銭やって追い払うか」

ミヤ「はいはーい、ではあたしが」

【項目124】
一番近くにいた子供が金貨を受け取った。
騒ぐのをぴたりとやめ、子供たちは信じられないという顔つきで、キラキラ輝く金貨をじっと見つめた。

ミヤ「さ、とっときなよ」

数秒間、沈黙が流れた。
やがて子供たちはワーッという歓声をあげて道を下っていった。
その後には、もうもうと土煙が立った。
金貨を手にした子供は、それを空中に放り投げた。
金貨が陽の光を受けて輝くと、その少年はにっこり笑った。

「神は親切な人をご覧になっていて、必ずご褒美をくださいますよ」

ふり向くと、かぶのような顔つきのターシム人の老婆がすぐそばに立っていた。
老婆が言った。

「私の家におはいりになりませんか?」

ディアブロ「金を持っている相手を家に誘う。この後強盗が出てきたら完璧だぜぇ」

テツヤ「あるいは物か情報をくれるかだな。まぁ物乞いに金をやると礼を言われるだけで終わりってゲームは意外と少なそうではあるぜ」

何も起こらないイベントって作る意味ねーし。

ミヤ「それじゃ行ってみよう! お邪魔しまーす」

【項目93】
老婆は、網をつくろっている若者を呼んだ。
若者がとんできた老婆が言った。

「私の孫のリダックです。リダック、コーヒーを用意してくれないかね?」

老婆が頼むと、若者はうなづいて走っていった。

「若い者は元気がよくて」

老婆が笑いながら言った。
小屋へ入っていくと、孫のリダックは、ターシム人がよく飲む苦いコーヒーの入った大きなコップを差し出した。
小屋の中を見回して、ある物に目を奪われた。
部屋の中央に黒檀と象牙で作られた等身大の馬が立っている。

テツヤ「なんか聞いた覚えがあるな……?」

ディアブロ「安宿にいたほら吹き水夫の話に出てきたぜぇ」

【項目469】
テツヤ「この奇妙な物はなんですか?」

老婆に尋ねる。

「信じられないような話なのですが、全部お話いたしましょう。
何年も昔、あなたがたがこの国を征服される以前に、東方のミンジから、一人の男が王様の娘と結婚するためにやってきました。男は黒檀を彫って作った空飛ぶ馬に乗って到着しました。それを見た人々はびっくり仰天。
男は王様に、お香と絹をおみやげとして差し出しました。ところが王様は、空飛ぶ馬に目をとめられ、自分のものにしたいと考えました。王様は約束を破って婚約を取り消し、ミンジの男を捕らえました。王様の勝手な仕打ちにあっけにとられた人々に向かって、王様はミンジの男の醜い風貌を盾にいいわけをしました。王様は嘆いてみせました。

『わしの娘を、あんな見るもおぞましい異教徒に嫁にやらなければいかんというのか?』

哀れな男が引っ立てられた後、王様は馬の背に乗って、手綱を強く引きました。すると馬は突然空へ舞い上がり、弓を離れた矢のように雲のあいだを駆けまわりました。最初怖がっていた王様は、そのうちに新しいおもちゃに夢中になりました。しかし、手綱をどう引っ張っても馬が降りようとしないので、また恐ろしくなりました……」

ミヤ「あれ? 水夫さんの話となんか違うよ?」

テツヤ「あの爺さんが嘘ついてたんだろ」

スクリーボ(とはいえこの婆さんの話も、通る項目によって変わるんだがナ)

 とりあえず不細工が結婚に夢を見るとロクな目に合わないという事らしい。

老婆はコーヒーを飲み、もたれかかっているクッションを整えはじめた。
まだまだ話は続きそうだ。
慌てて老婆を押しとどめた。

テツヤ「お話は実に面白いんだが。しかし今は全部聞いている暇がなくてね。結局は地上に戻って、今はあんたの小屋にあるってわけだ。それで、これはまだ飛ぶのかい?」

「いいえ、とんでもない! そんな事をしたら、イスハン王のかめから真珠を盗んだ奴隷みたいになってしまいますよ。たまたま、これも空飛ぶ馬の話の一部でしてね。いい教訓が出てきます。お聞きになりますか?」

テツヤ「さぞ面白い事だろうな。だがあいにく、こちらは急いでいるもんでよ……楽しい話をありがとさん。リダック、コーヒーをごちそうさま。お二人に神の加護がありますよう」

ミヤ「え? もう行っちゃうの? 最後まで聞こうよ」

ディアブロ「今は期限つきの行動中だからねぇ」

小屋を退散して、また海沿いの道を歩きはじめる。

【項目82】
海を見ながら歩き続ける。
二日後、百キロ南の海上に、ハンガックの船が現れるはずだ。
しかしこちらは、時間までにそこにたどりつけるだろうか……?

テツヤ「どうすっかね。空飛ぶ絨毯でも落ちてねぇか?」

ミヤ「向こうに地元の人ならいるよ」

ここらの人間はちょっとクセの強い住民が多いが、他にあてもないので行ってみる事にする。

【項目577】
やる気の無さそうな漁師に出会った。
網はあちこち敗れ、船も修理が必要と見えるのに、漁師は船にもたれて、小さな人形を彫っている。
こちらが近づいていくと、漁師はじろりとにらんだ。
彼が言った。

「俺はウーラックといって、網作りのアブダラの息子だ。座ったままでお役に立てるんなら、喜んで力になるぜ」

テツヤ「この船をいくらでゆずってくれる?」

漁師に尋ねると、奴の目にずるそうな光が浮かんだ。

「この船は古い。金貨五枚にまけとこう。払いは金貨でなくてもいいぜ。だが、俺の女房に会っても、これを買ったとは言わないでくれ。船は沈んじまって、俺は命からがら逃げ出したと女房には話すつもりだからな」

テツヤ「わかったよ」

ここへ来た以上、この船を買わない事には先へ進めない。なお、アイテムを1個くれてやればそれが代金となる。

ディアブロ「じゃあ俺の剣でもやるか。どうせ使わないし、3巻始まる前にタダで手に入れたもんだし、荷物が増えたら捨てるだけだからねぇ」

この他、あと1回ぶんしか残っていない回復薬や矢のカラになった矢筒などがあればそれも代金としてお勧めだ。

テツヤ「しかしロクデナシの多い街だな、ここは……」

なお、盗賊はここでさらに行動を起こす事ができる。

【項目385】
Photo(盗賊)

ふと思いついて、漁師ウーラックが彫っている木の人形を金貨一枚で売ってくれと頼む。

「いいとも! なんなら、もっと彫ってやってもいいんだぜ……」

彼は答えて、金貨を受け取った。
人形を手の中で転がしながら、なぜこんなものを買う気になったのかと首を傾げた。

テツヤ「いや、一つで十分だ」

まぁこのゲームの盗賊のカンは魔術師の予言程度には信用がおけるので問題は無い。

テツヤ「そう書くと魔術師がヘボく見えるな」

ディアブロ「予言の魔法はもっとも無難な選択肢の一つなんだがねぇ」

とりあえず船を入手したので、これで海へ漕ぎ出す事ができる。

ミヤ「よーし、さっそく出発! 目指すは南へ百キロよーそろー!」

ディアブロ「ボロい小舟で向かうには、普通に考えて自殺行為だぜぇ」

テツヤ「そのまま『難破したので死んだ』とゲームオーバーになりそうな選択肢だな」

無論そんな事は無いので、三人は海へ漕ぎ出す。確か大怪魚がうようよいた筈だが……どうなるかは次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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