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2011年2月

2011年2月13日 (日)

七つの奇怪群島・新生

 復刊されていた「七つの奇怪群島」が、アマゾンから届いた。

 さっそくパラパラと見てみる。この作品はグレイルクエストの中でも一番のバランス崩壊な無理ゲーで、旧版はルール通りにサイコロをふっているとクリアできないゲームだった。

 子供心にもこのバランスに疑問を抱き、結局、3巻以前のアイテムを持ちこしで遊んでいた。3巻まではアイテムを引き継げたのに、それができないのも不満だった。
 まぁそんなわけで、このシリーズの中では自分内評価の一番低い作品だった。

 ところがどっこい、やはり再発行する以上はそのまま丸投げにはしなかったようだ。
 再調整されて、ちゃんと遊んでもクリアできるようになっている。

 死亡した際に行かされる14番での指示が変更されているのだ。再スタートの際に……

○所持していたアイテムは持ったまま。

○使ってしまった消耗品は消えたまま、再取得もできない。

○倒した敵は死んだまま。

 旧版では↓

○所持していたアイテムは全て消える。

○消耗品含め、アイテムは同じ場所で再取得可能。

○倒した敵はHP半分で復活している。

 いくらHP半分といっても強力な攻撃力や特殊能力をもっている敵もおり、シリーズ中で主人公の武装が最も貧弱という事もあって、旧版のルールではまず最後までたどり着く事ができなかった(特に恐竜島が鬼門)。

 しかし新版ルールなら、1プレイあたり強敵1殺を繰り返してのゾンビアタックが可能。強敵を1つ降せば、直後に倒されても次のプレイではその敵はいない。クリアは充分可能になっている。
 元々、消耗品で強力な威力のアイテムも用意されていたのだが、入手にいちいち運が絡む物が多かった。だがそれも「コンティニューしても使いきるまではアイテム持ち越し」という指示のおかげで、時間をかければちゃんと集めて強敵まで温存する事が可能だ。

 ゲームブック全盛期は、確かにゲームバランスの細かい所にうるさい時代ではなかった。だがやはり、ちゃんと遊んで最後までいける物の方が、いけない物より良いに決まっている。
 というわけで、復刊版のグレイルクエストシリーズの中では、現時点において一番お勧めできる物になった。細部まで遊んで調べてみるのはこれからだが、クリア不能のバグ(誤植)でもない限り、この評価は変わるまい。

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2011年2月 5日 (土)

ブラッドソードリプレイ3-7 肉屋ササリアン

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:5 戦闘力:7(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:7 機敏度:8 生命力:31
装備:ブラッド・ソードの鞘 ロジ・スカイランナーの剣 革の鎧(鎧強度:2) 弓 矢筒(6本) 金貨袋(所持金100) 金貨袋(所持金37) 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り 膏薬の瓶(残り5回)

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:5 戦闘力:8(+1) 打撃力:サイコロ2個 精神力:8 機敏度:7 生命力:26
装備:ブラッド・ソードの柄 ヘラクロスの戦斧 鎧(鎧強度:3) 魔法の弓 矢筒(6本) 盾の御守り(鎧強度+1) 金貨袋(所持金100) 金の巻物 金の鏡 黒い絹のクッション

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:5 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+2 精神力:8(+1) 機敏度:7 生命力:26
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 魔法の指輪(精神力+1) 金貨袋(所持金100) 琥珀の火口箱 魔法のパン ファティマの銀の鍵 鉄の鈴 聖アシャナクスの十字架 水晶の瓶

Photo スクリーボ

旅の途中で買われたカラス。
お値段は金貨1枚。
とりあえず当面、役に立つような能力は無い。
しょせんは金貨1枚。

レジェンドという世界、クラースの地にて冒険者として旅する三人。伝説の“生命の剣”ブラッドソード探索の旅を続け、その柄と鞘を手に入れた彼らは、最後の部品である刀身を探す。刀身を求めてたどり着いたのは、十字軍が拠点とする都・クレサンチウムだった……。

 情報を求めてクレサンチウムを彷徨う三人。医師エメリタスの助言で、ササリアン王子という人物に会う事にする。あまり良い噂のある人物ではないのだが……。

ミヤ「会ってみればどんな人かわかるよ」

テツヤ「また襲いかかってくるような奴だったらどうすんだよ」

ミヤ「もちろん、叔父ちゃんがやっつける」

ディアブロ「はは、まぁいきなり寝首かこうとしてくるような奴は流石にそう多くはないだろうぜぇ」

テツヤ「お前の知人はそう多く無いうちの一人だったがな!」

【項目73】
ササリアンは肉屋の二階の一室に住んでいるということだった。
店にはいっていくと、あごひげをはやした大男が、石のまな板に向かって大きな肉のかたまりを叩き切っている。
肉切り包丁は情け容赦なくドスンドスンと肉の上にふり下ろされた。
男はこちらを見ても、表情ひとつ変えなかった。
だが手元が狂い、包丁は石のまな板を直撃して、ガチーンという金属的な音を立てた。

テツヤ「ササリアンてのは王子だったよな? ここ肉屋なんだが……」

ミヤ「肉屋の王様なんだね! 業界最大手って意味だったんだよ」

ディアブロ「本当にそうならこのゲームももうちょい平和なんだろうねぇ」

あごひげの男は、歯の欠けた包丁を見て顔をしかめ、次にあごで二階をさした。

ことばは一言もなかった。
男の前を通り、二階への階段をのぼる。
まもなく、男が肉を切る音が再び聞こえてきた。

テツヤ「上がっていいみたいだな。警戒する気はねぇのか」

ディアブロ「案外、煙たい居候だったりするかもねぇ」

そうだとしてもこちらがとやかく言う事でもないので、二階へと上がる事にする。

【項目283】
部屋は簡素だった。
窓際の木のいすに腰かけた男が、丈の高い水ぎせるを吸っている。
香の香りが、下の肉屋から漂ってくる死臭に似た肉の臭いを消している。

ササリアン王子がふり向いた。
ガウンがサラサラと衣ずれの音を立てた。
王子がこちらの顔を見ようと身体の向きを変えると、いすがきしんだ。
王子の金色のターバンの中央には、第三の目のような、透明で赤い宝石が輝いていた。
宝石と金糸で飾られたガウンは、朝日が当たるたびにキラキラと輝いている。

テツヤ「この旦那がササリアンか。エイリアンみたいな名前だからもっと化け物みてぇなのを覚悟してたが」

ディアブロ「エイリアンてな異邦人という意味だから、ササリアンも確かにエイリアンではあるぜぇ」

SFモンスター映画の大ヒット作のせいで、宇宙人という意味ばかり意識されるようになったが……まぁそれはこのゲームと何の関係もない。

王子の視線は厳しく、こちらをたじたじとさせるようなところがあった。
整った黒い顔からは、王子が激情と冷酷の人であることが見てとれた。
王子は壁際に積まれたクッションをさし、座るようにいった。
王子がほほえむと真っ白な歯がキラリと光った。
クッションにもたれかかるように腰をおろしても、緊張を解くわけにはいかない。
木の格子窓から差し込む光線が、ほこりっぽい部屋を横切り、こちらの顔に降りそそぐ。
その光は王子の身体から放たれているかのようだ。
クモの巣だな……?
ふと考えつき、苦笑する。

「そちらが来るのはわかっていた」
王子がいった。
やさしくて低い、大きな太鼓を静かに打つような声だ。

「そちらは生命の剣をさがしている。私は死の剣だ。力を合わせれば、双方が欲しいものを手に入れられるだろう」
とびつきたい申し出ではない。
しかしほかに手はないのだ。
仕方なくうなづく。

テツヤ「生理的に受け付けねぇ人種だしな」

ミヤ「え? なんで?」

ディアブロ「イケメンぽい描写だからかね?」

テツヤ「おう、その通りだ」

ディアブロ「なんというか、正直なのが常に感心できる事ではないぜぇ……」

王子が人形を差し出した。
腐った木を彫って作ったような人形だった。
「ここにハチュリがある。これは偉大な魔法使いサークナサールが作ったものだ。彼の砦の廃墟から、私の家来が持ち帰った。もしこれを動かす事ができれば、これが我々のために魔法の剣を見つけ出してくれるのだが、ところがこいつは動かない
王子は人形を床に置いた。
人形はそのまま動かなかった。

テツヤ「家来ねえ? 見当たらないようだが。自分でとってきたのを見栄はってるんじゃねえのか」

ミヤ「きっと下の肉屋のおっちゃんだよ」

ディアブロ「本業肉屋で副業は探索者か……まぁそういう冒険者がいてもおかしくはないんだが、やっぱり合点がいきにくいぜぇ」

ササリアンは続けた。
「両目がないのだ。これには、傷一つない美しいエメラルドが二つはめこまれていた。だがそれは海賊王ハンガックが砦を略奪した際に奪い去ったらしい。そこでだ、ハンガックの手からそれを盗み返してもらいたい……」
これは容易なことではない。
たとえ海賊王ハンガックが実在の人物だったとしても、五百年も前に死んでいるはずだ。

テツヤ「じゃあ墓荒らしをやってこいってわけか」

ところがそうではなかったり。

【項目439】
そのことをいうと、ササリアンはにっこり笑った。
「いや、あいつは死んではいない。だが生きてもいない。ハンガックは偉大すぎてこの世におさまりきれなかったのだ。この世に生まれ、この世の表面をうろちょろするだけの我々など、次代を超えた偉大なヒーローたちと比較すれば、取るに足りぬちっぽけな存在なのだ」

テツヤ「ヴァランダー王や、アブラクス王や、イムレフ・カリッドのようなヒーローのことか」
エメリタスのことばを思い出して、いってみる。

「そのとおりだ。その方たちの教えを学ぶ学者が語っていた。ハンガックは流血の略奪を行った罪により、魂を没収された、と。そして全てが終わりを迎えるときまで、この世をさまよいつづけることを運命づけられたのだそうだ。だが私はむしろ、彼は偉大すぎて、天国にも地獄にもはいれなかったのだと思いたい。彼は唯一許されている航路を航海しつづけている。多くの者が、霧や嵐のかなたを航行していく彼の船デビルス・ランナー号を目撃したと証言している。その全てが嘘ということはあるまい

テツヤ「どうだろうな。火の無い所に煙を立てるのが好きな奴は多いからよ」

ディアブロ「しかも本人は本気で信じ切っている場合も多いぜぇ」

 己の嫌いな不人気ゲームを好きな奴は社員か工作員だと、信じるのは勝手だが……悪い頭が生んだ妄想でしかないのが真実。スクコマ2や特撮大戦でさえ好きな人間はいる(証拠は自分)。

ササリアンはしばらく沈黙して、こちらの顔を見ていた。
そして一枚の羊皮紙を手に取った。
「ここに、デビルス・ランナー号が今度はいつどこに姿を現わすかを示す天体観測図が用意してある。これによれば、二日後、マラジッド湾の陸から百キロほど離れた場所に船は現れる。それに私は、天体図から、生命の剣と死の剣がハクバッドの都のいずこかにあることをつきとめた。エメラルドを奪還したおりには、そこへ来るがいい。私は『砂漠の微風館』で待っている
王子は背を向けた。
謁見は終わったのだ。

ミヤ「そこへはどうやって行けばいいのです?
天体観測図を荷の中にしまい、ドアへ向かう前にたずねてみた。

「私に聞くな。そちらで解決すべき問題だ
ササリアン王子はにべもなくいった。

ミヤ「ずいぶん投げっぱなしだなー。本気で剣を探す気、あるのかな?」

ディアブロ「こいつらが駄目ならまた別口、ぐらいのつもりなんだろうぜぇ」

テツヤ「気の長い話だぜ。ま、俺らが来るまでに航路図を用意しといただけでも上出来だ」

 ササリアンと別れて、店を出る事にする。これから海のど真ん中までの足を見つけねばならない。

【項目133】
肉屋は黙ったまま、こちらを見送った。
茫然としてササリアンの家を出る。
外に出たとたんに、人ごみの渦に巻き込まれた。
ふと見上げると、ササリアンがかすかな笑みを浮かべて、窓からこちらを見おろしていた。
あの男のためにエメラルドを取り返すことを引き受けたのは、軽率だったかもしれない。
しかし、ほかにどうしようがあったろう?
彼の天体観測図がなければ、決してハンガックの船を見つけ出すことはできまい。
また、ハチュリという人形を盗み出したところで、その使い方がわからないではないか。
忌まわしいことだが、あの不実な王子と手を組むことは運命で定められているのだ。
ターシムのことわざにもある。
「飢えているときは、ライオンとヘビすら、同じ茂みに隠れて、カモシカを待ち伏せする」

テツヤ「現実問題として、どうするかだな。どうやって航路までたどり着くもんだか……」

ミヤ「歩いていればきっといい方法が見つかるよ!」

テツヤ「根拠は?」

ミヤ「時間的にも位置的にも、この辺りで方法を探すしかないじゃない?」

テツヤ「正論だが、それは根拠と言わねぇ……」

歩いていくうちに町の外に出た。
遠くに漁村が見えたので、小舟を借りるため、そっちへ向かうことにする。
村は思ったより遠かった。
背の低い石造りの建物のあいだを縫うように進む小道を、延々と歩きつづける。
とっくに正午は過ぎていた。
土ぼこりで息がつまりそうだ。
一つの角を曲ったところで、道端に座りこんでひょうたんにはいった酒をあおっている男に出くわした。
男は顔をあげ、にっこり笑っていった。
「墓の中のやつらは涼んでいるだろうに、おれたちは、このお日さんの下で暑さにうだってなきゃならねぇ。しかし、のどがからっからにかわいても、やつらにはがまんしてもらわなきゃなるめぇ。この酒は、生きているもんだけのものだからな!」
男はひょうたんを差し出した。
「一杯どうだね?」

ディアブロ「こいつは悪いねぇ。どんどんついでくれ」

テツヤ「見知らぬ酔っ払いにたかってる場合じゃねぇだろ……」

ミヤ「でも地元の人に聞けば、いい方法があるかもしれないよ?」

事実、そうだったりするから驚き。さて、どうやって海賊王の船へ向かうのか。それは次回のお話。

(C)D・モリス O・ジョンソン 著 大出健 訳/富士見文庫

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