« 2009年9月 | トップページ | 2009年11月 »

2009年10月

2009年10月29日 (木)

ブラッドソードリプレイ1-12 神殿の魔女

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:3 戦闘力:7+1 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:6 機敏度:8 生命力:18
装備:剣 革の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金17) 弓 矢筒 ロジ・スカイランナーの剣 オパールのメダル 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:8 機敏度:7 生命力:15
装備:六尺棒 リングメイル(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒 オパールのメダル 八角形のプリズム 八角形のプリズム

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:3 戦闘力:6 打撃力:サイコロ1個 精神力:8 機敏度:6 生命力:15
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 

クラースのダンジョンレースへ参加した三人。死者の蘇る橋での個々の死闘を切り抜けたが、次は不気味な神殿が待ち受けている……。

 断崖の橋を渡り終え、三人は古い神殿のテラスで合流した。ケガの治療や荷物の受け渡し等を終え、三人は改めて地下迷宮の突破に挑戦する。

ミヤ「決意もあらたに、いっちょいきますかあ!」

テツヤ「しかしな。ここにはケッタクソ悪いハッグどもが群れていやがる筈なんだが……」

ディアブロ「あいつらなら、ほれ、あそこにいるぜぇ」

ディアブロが指差す方では――

【項目98】
ショーが終わり、ハッグ達は大鍋の側に戻っていった。
彼女達の粘りつくような視線を感じながら、テラスを歩く。
おぞましい彼女たちの仲間が、こちらの足元に押しかけてきた。
目の腐りかけたカラス、黄色い牙をむく鼠、人間のような顔をしたイボだらけの奇形のヒキガエルといった化け物たちが、あちこちから近寄ってくる。

ミヤ「うっひゃあ、気持ち悪う! なにこれ、敵? 戦闘?」

テツヤ「実害のありそうな連中じゃねぇな。しかしペットは飼い主に似るとはよく言ったもんだ!」

ディアブロ「ま、蹴っ飛ばして進むしかないぜぇ」

かまわず通りすぎようとすると、そいつらは踵に噛みついてきた。
こんな気味悪さに耐えなければならないのなら、橋の上の戦いの方がまだマシだ。
ハッグ達は互いに喋り合い、気違いじみた笑い声をたてながら、神殿の階段の上に寝そべっている。

ミヤ「襲ってこないなら、何か話きけないかな?」

テツヤ「うさんくせぇな、あのババアどもは」

ディアブロ「ま、話す“だけ”なら無害だぜぇ。ちと声かけてみるか」

【項目212】
ミヤ「こんにちは! お婆ちゃんたち、ここで何してんの?」

こう尋ねると、彼女たちはにたりと笑ってこちらを見上げた。
その乱杭歯を見ると、吐き気を催した。

「料理をしているのさ」
一人が言って、鍋の石の蓋を開けた。
嫌な臭いが立ちのぼり、目がチクチク差すように痛む。
それを見て、ハッグ達は狂ったように笑った。
別のハッグが小走りでやって来て、尋ねた。

「味見をしてみるかい?」
彼女は湯気の立った粥を、ひしゃくですくって差し出した。

テツヤ「やっぱ先へ行く方が良さそうだな……」

「お待ち、こっちのほうが味がいいよ」
別のハッグが金切り声をあげたかと思うと、腐った片手を煮えたぎる自分の鍋の中へ突っ込んだ。

テツヤ「おい、このババアどもを斬り殺していいか?

ミヤ「叔父ちゃん、気持ちはわかるけど短気は良くないよ」

なお、ここでは魔術師が行動を起こす事が可能だ。

ディアブロ「ふむ、じゃあちっとばかり呪文を試させてもらうぜぇ?」

【項目283】
Photo (魔術師)

盲目的服従の呪文を心に準備した。
ハッグたちは疑り深い目で見守っている。

ここで呪文を判定するのだが、この項目の指示は少し解釈に戸惑うところだ。以下に本文のまま抜粋する。

呪文を無事唱える事ができたら、服従させようとした一人のハッグの抵抗ぶりをチェックせよ。
彼女の精神力は7だ。
成功したら374へ。
失敗の場合、相手のハッグは君の企てを見抜き、鍋の中身を君に向かってぶちまける。
そのため、君は生命力を1点失う。
再び呪文を唱える事ができるが、失敗するたびに生命力を1点失う。

呪文の発動に失敗する度に1点のダメージなのか。最初の1回は無条件に成功していいのか。はたまた、呪文が成功するまで唱え放題で、敵に抵抗された時だけダメージなのか。
少し迷ったが、やや厳しめに「呪文の発動失敗でも敵に抵抗されても1ダメージ」とする。ただし呪文の準備だけはノーダメージでやらせてもらう。
結果、5回ほど発動に失敗したが、6回目の詠唱で呪文が成功。幸いハッグは抵抗に失敗したので、5点のダメージで相手を服従させる事ができた。

ディアブロ「やれやれ、変な汁まみれになっちまった」

テツヤ「次の項目へ進む前によく拭いておけ……」

【項目374】
(魔術師)

ハッグは魔力の奴隷になった。
彼女は言った。

「さあ、なんでも尋ねてください。お答えしますから」
しかし彼女の生来の頑固さが、呪文と戦っている様子が目に見えるようだった。
質問を1つする暇しかなさそうだ。

ディアブロ「さて、何を訊くかねぇ」

ミヤ「他の挑戦者が気になるよ!」

ディアブロ「じゃあそれで。婆さん、ここを誰が通ったかね?」

【項目49】
(魔術師)

彼女は答えた。
「神を恐れぬイコンのワーロックが通りました。そして下劣な悪漢が二人。最後に来たのは、あの橋を渡る時に仲間を失い、一人ぼっちになった僧侶。あの男は私たちの料理の役に立ってくれましたよ」
彼女は鍋の一つをちらりと見る。
その時、服従の呪文がとけた。

ディアブロ「おっと、こいつは危ねえや」

とっさに近くの鍋のひしゃくをつかみ、毒を含んだ中味を相手の上にぶちまける。
ハッグはシューッと音をたてて溶けはじめ、灰色のどろどろした液体になってしまった。
他のハッグ達は大声で喚きたてたが、こちらの力を恐れて、何もしようとはしなかった。

ミヤ「うっわ……ちょっと酷くない?」

ディアブロ「正直、ここまでの威力がスープにあるとは思わなかったぜぇ。ま、さっき汁まみれにされた仕返しって事で」

【項目67】

テツヤ「さて、先に進むか」

ミヤ「たんま。鍋の中身が気になるよ

テツヤ「今のを見てなかったのか!? 毒だろ、それは

ディアブロ「しかしそうとは限らないんだぜぇ?

テツヤ「マジか!?」

 マジです。

【項目103】
鍋は五つ。
一つにつき金貨2枚で中味を飲ませてもらえる。

ミヤ「それで、あたしは中味を毒見できるんだよ」

 しかも無料で。

テツヤ「まぁ止めはしねぇけどな……」

【項目9】
3 (僧侶)

泡立つ緑色の液体は治療の薬。
黒い液体は“キメラのつば”という、効果がゆっくり表われる毒薬。
シューシューと泡立っている液体はキメラのつばの解毒剤。
ドロドロの緑の液体は死の毒薬。
無色の液体は分析不可能。

ミヤ「というわけだ。さ、皆で緑色のスープだけ飲もう! 見てくれは悪いけど、きっとホウレン草か何かだよ」

ディアブロ「案外、僧侶が放り込まれた鍋かもしれないぜぇ? 生命力回復術の力がダシになってるというオチでな」

テツヤ「笑えねぇからやめろ……」

【項目62】
この液体を飲んだ効果は、誰の場合も同じだ。
身体の中をエネルギーの波が走るのを感じる。
生命力を、最高点に1点加えた点にまで増やせ。
損傷を受けている場合も、この新しい最高点にまで生命力は回復する。

ミヤ「おお、なんか力が湧きあがってくるね! 無性に走りたい気分だよ!」

テツヤ「見た目はアレだが、まぁいけるな。どれもう少し……」

もう一口飲もうとすると、鍋の側にうずくまっていたハッグが、こちらの手からひしゃくをひったくった。
彼女は甲高い声で笑った。

「一人に一口だけだよ。そうしないと、身体に毒だ。おわかりだろう……」

テツヤ「そんなもんか。ま、他の鍋に手を出すつもりにはなれんし、そろそろ先へ行くぞ」

ミヤ「あいあいさあ!」

【項目481】

テツヤ「さて、神殿に向かうわけだが。よく見たら中に入らなくても横手に回れるな」

ミヤ「入らないの? なーんか残念……」

テツヤ「いや、入っても構わねぇよ。何かあるかもしれないしな」

事実、ここは最重要ポイントと言っていい。良くも悪くも、それ相応のモノが待ち構えている……。

ディアブロ「ま、恐れる事無く前進、と」

【項目298】
ハッグ達の前を通り過ぎた時、一人が聞えよがしに囁いた。
「私の鼻が嗅ぎつけたところによると、誰か勇ましい奴があっちへ行くようだよ……」
そして彼女達はどっと甲高い笑い声をたてた。

煤で汚れた階段をのぼり、神殿の柱廊へ入る。
間欠泉の光はそこまでは射し込んでいなかった。
しばらくの間、真っ暗闇の中を進む。
やがてふいに大理石の祭壇にぶつかった。
手をのばしてみると、その上には鋭いナイフと大きな石の壺があった。
壺の中には、温かくてべとべとした物があふれそうなほど入っている。
驚いた事に、それは血だった。

テツヤ「さっきのババアのたわ言といい、やっぱり魔物がまっていやがるようだな……」

ディアブロ「しょうがねぇさ。このダンジョンは挑戦者を蹴落とすための物なんだからな」

ミヤ「ねぇ。その魔物って、あれかなあ……?」

112 薄暗がりに目が慣れると、青白く光る顔が目の前に現れた。
美しい女の顔だ。
ただ、その女の肌は緑色がかっていて、顔の周りにはヘビがシューシューと音を立てながら、とぐろを巻いている。
僧侶に教わるまでもなく、そいつは人の生き血を吸うという半人半蛇の魔女エキドナだった。
九頭の蛇ヒュドラの母である彼女は、悪魔の中でも最も恐ろしい一人だ。

テツヤ「そんな神話級の悪魔が、なんで博打の対象になる競技場に飼われているんだよ!

ミヤ「不景気だから仕方なく探したお仕事がこれだったのかもしれないよ?」

ディアブロ「はは、神様の世界ってのは、負けたら悪魔の一族にされちまうような世知辛い所だからな。場末で働く羽目になる奴も出るだろうぜぇ。どうする? 試しに話してみるかい?」

テツヤ「壺いっぱいに生き血を溜めてるような奴が友好的なわけねぇだろ! 速攻だ!」

三人は古代の悪魔に挑む!

【項目129】
エキドナが、大理石の床の上を滑るようにして進んできた。

エキドナ(E)
戦闘力=8 精神力=9 鎧強度=2 生命力=40
打撃力=サイコロ2つ+2 機敏度=8
※彼女の牙は強い毒を持っている。従って、攻撃を受けてダメージを受けたときは、通常のダメージをそのキャラクターの生命力から引いた後、さらにサイコロを1つふれ。出た目が1から5なら、毒は傷口に入らない。しかし6が出たら、そのキャラクターはさらにサイコロ3つ分の生命力を失う。

機敏度が同点なので、テツヤと敵で1d6競争。テツヤ6、エキドナ5。今回はテツヤが先に動く事ができる。

テツヤ「うおおっ、コイツ強え! 能力値に全く隙が無え! しかも毒を食らえば俺らじゃほとんど即死だ!」

ミヤ「うわあ、大丈夫かなあ?」

ディアブロ「相当に高い確率で勝利できる方法があるんだが……はっきり言って格好悪いんだな、それが」

テツヤ「あるのか! よし採用だ! 格好なんぞクソの役にも立たん物はロンゲのイケメンだけが死ぬまで気にしてりゃあいい」

ディアブロ「わかった。じゃあ俺の指示通りに頼むぜぇ」

B4_2○第1ラウンド
テツヤ:防御
エキドナ:テツヤを攻撃。テツヤは防御しているので、エキドナがふるサイコロは3個。出目9で失敗。
ミヤ:D-2へ移動。
ディアブロ:F-4へ移動

テツヤ「本当にこれでいいんだな? なんか俺だけ敵の目の前に放置なんだが!」

ディアブロ「なに、危険に身を晒すのはこのラウンドで最後だぜぇ」

○第2ラウンド
テツヤ:B-4へ移動
エキドナ:C-2へ移動
ミヤ:D-3へ移動
ディアブロ:ネメシスの電光の呪文を詠唱。出目10で失敗。

テツヤ「最強の呪文か。確かにそれならコイツ相手でも有効だろうが、成功率低いだろ。間に合うのか!?」

ディアブロ「間に合うも何も、もう勝ってるぜぇ

ミヤ「へ?」

このゲームの基本ルールとして、敵が接近戦を挑むとき、一番近い者へ向かって移動する。ディアブロがテツヤおよびミヤよりも遠い場所にいるので、この状態ではエキドナはディアブロへ向かっては移動しない。
そして移動するとそれだけで1行動終わってしまい、攻撃は次のラウンドとなる。テツヤとミヤが常にエキドナの斜めマスに移動すれば、エキドナはいつまでたっても二人に攻撃を仕掛ける事はできない。
つまり、テツヤとミヤがディアブロに近づかないよう動き続ければ、全員がいっさい攻撃を受けず、かつディアブロがいくらでも呪文を詠唱できる事になる。
このゲームの魔法はMP消耗型ではなく、強い呪文=詠唱に時間がかかるというシステムだ。射程も半無限(戦闘エリアのどこにでも届く)なので、詠唱時間が無限にあるなら、事実上無制限に唱え放題だ。

テツヤ「つまり、最強呪文を長々と唱え続ける間、俺らにひたすら反復横とびを続けろと……

ディアブロ「ああ、その通りだぜぇ

7ラウンド目にネメシスの電光が炸裂。ダメージ30(被害28)。
8ラウンド目にネメシスの電光の呪文を準備。
12ラウンド目に呪文炸裂。ダメージ35(被害33)。撃破。

ディアブロ「勝ったぜぇ。まさかの無傷で大勝利だ

テツヤ「恐ろしく自慢にならねぇ勝利だな……

ミヤ「ていうかさ。これって格闘ゲームでいところのハメ技って感じじゃない?」

 まぁイカサマ無しでも、鋼鉄の笏エメラルドの御守りを使えば高確率で勝てるし、ある地点で魔術師の精神力を限界突破して上げる技を使えば何も考えなくても勝てるんだが。こういうやり方もあるよ、という事で。

【項目253】

テツヤ「ま、勝てたんだから文句はねぇ。何か無いか探すとするか」

ミヤ「おお、叔父ちゃんが久しぶりに盗賊らしい事をしてる」

暗い神殿の中で、エキドナの宝を探す事にする。
祭壇の下で見つけたのは、灰白色の金属片の入った小さな小箱一つだった。

テツヤ「なんだこりゃ?」

ミヤ「ここはあたしの知識の出番だね!」

 しかしその時、マグス・カルーゲンから受け取ったオパールのメダルが……

【項目521】
メダルの中から雇い主の声が聞こえた。
声はかすかで、遠くから聞こえてきた。

「お前達は地下深くへ達したので、交信が難しくなってきた。お前達が見つけたのはカリウムの破片だ。持って行くつもりなら、小箱の蓋をしっかり閉じておけ。カリウムは、水に濡れると爆発的な反応を起こす揮発性金属だからな」

テツヤ「おやま、助言ありがとさん。これ、通信機だったんだな」

ディアブロ「あのオッサンもたまには役に立つぜぇ」

ミヤ「むう……あたしだってそのぐらいの知識あったのに」

テツヤ「ふくれんな。一度ぐらい博徒のオッサンにいい格好させてやれよ。お前はちゃんと、何度も役にたってるからよ」

ミヤ「そう? やっぱりそう思う? もっと誉める権利をやろう!」

テツヤ「はいはい、ありがとよ。とりあえず今は先へ進もうな」

この神殿から進むルートはいくつかに分かれているのだが……それについてはまた次回で。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年10月26日 (月)

ブラッドソードリプレイ1-11 死者を呼ぶ橋

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:3 戦闘力:7+1 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:6 機敏度:8 生命力:18
装備:剣 革の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金17) 弓 矢筒 ロジ・スカイランナーの剣 オパールのメダル 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:8 機敏度:7 生命力:15
装備:六尺棒 リングメイル(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒 オパールのメダル 八角形のプリズム 八角形のプリズム

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:3 戦闘力:6 打撃力:サイコロ1個 精神力:8 機敏度:6 生命力:15
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) オパールのメダル 

クラースのダンジョンレースへ参加した三人。魔術師クレフとのゲーム勝負に勝利し、さらなる地底の深部へと案内された。そこで魔物の群れを退けた三人は、地底の断崖へ降り立つ……。

【項目142】
踊り場は、洞窟の壁から突き出した広い岩棚だった。
深い谷の向こう側では、ペットのダージを殺されて、ハッグ達が怒り狂っている。

テツヤ「だったらけしかけんなよ。テメエらの無責任で他人に怒るとかバカじゃねぇの?」

ミヤ「ま、あの人達も仕事でやってるんだろうし。仕方なしとはいえ、世話してた動物がやられちゃったら心中穏やかじゃいられないんだよ」

ディアブロ「そして俺らがそれを気にしてやる義理は無い、と。さ、気にせず目の前の谷を渡るとしようぜぇ」

111_3 その谷を渡るには、神殿のテラスと岩棚の間にかかった二本の橋を行くしかない。
踊り場の中央には、滝が流れ落ちて踊り場を二分しているので、滝を越さなければ向こうの橋にはたどりつけない。
ふと見上げると、天井近くの壁に大きなガーゴイルの頭の彫刻が刻まれている。
滝はその口から流れ出して踊り場を分断し、はるか眼下の激流に流れ落ちているのだった。

ミヤ「落ちたら死ぬよね……」

テツヤ「そして易々とは渡れないような仕掛けがある、て事までは容易く想像できるぜ」

ディアブロ「ま、安心しな。洋ゲーではあるが、ブラッドソードシリーズには選択間違い=即死、なんて場面はほとんど無いぜぇ。これはじきに死ぬ、という目にならちょくちょく遭うけどな」

ミヤ「うーん、じゃあどっちを渡ればいいのかなあ?」

どちらの橋を行こうかと思案していると、地響きを立てるような声が聞こえた。
もう一度上を見上げると、ガーゴイルの口が動いている。
よく聞くうちに、なんとかその言葉が聞き分けられるようになった。
その声はくり返しくり返し節をつけて言っていた。
「お前が最も恐れるものに立ち向かえ。あるいはより恐れぬものと対決せよ」
おそらく二つの橋の事を言っているのだ。
手前の橋は、一見、なんの苦労もなしに渡れそうだった。
しかし、向こう側の橋は滝の下をくぐらなければならない。
ガーゴイルの言葉は、曖昧で意味深だ。どちらを選ぶべきなのだろう?

テツヤ「先ずは俺から行く」

ミヤ「叔父ちゃん、がんばれ!」

【項目113】
二つの橋のどっちを渡って行くかを決めなければならない。
二つはほとんど同じように見えた。
ただ遠い方の橋へは、ガーゴイルの口から流れ落ちる滝の下をくぐって行かなければならない。

テツヤ「よし、ここは手前だ」

【項目267】
Photo_3 橋の上をゆっくりと歩いていった。
その時、雷のような声が響き渡り、ふと我に返る。
「死より蘇れ」
ガーゴイルの頭が叫んでいた。
それに応えるように、前方の橋の上にぼんやりした人影が現れた。
人影が前に進み出た時、噴出した溶岩の赤い光がその男を照らし出した。
男は錦織りのガウンを身に着けていた。
そして片目に宝石を鏤めた眼帯をかけ、もう片方の目は白く濁って、見えない様子だった。
そいつは、数年前の決闘で倒した狂った魔法使い、盲目のヒュロンダスだった。
そいつの盲目を額面どおりに受け取ってはいけない事を、こちらは知っていた。
それを補って余りある別の感覚を持っているのだ。
「ヒュロンダス、お前の待ち望んでいた敵が橋を渡ろうとしている。やつを食い止めろ。そして生き返るのだ」
ガーゴイルの頭が言った。
「俺の待ち望んだ敵か。ついに復讐の時が来た……」
ヒュロンダスは悪意のこもった声で言った。

テツヤ「チッ、戦闘かよ。なんとか楽に切り抜けられればいいんだが……」

 手前の橋は、各クラスのキャラクターに因縁のある敵が登場する。どの敵もこちらのランクにあわせて能力調節がなされ、こちらが強い時は相応に強くなる。ランクに関わりなく難敵なのだ。
 一応、盗賊には戦闘せずに切り抜ける方法もある。身軽さを利用し、敵を飛び越えられるのだ。機敏度で判定を行うのだが、問題は失敗すれば即死というリスクの高さ。テツヤの機敏度は8なので、成功率は7割程度だ。

テツヤ「3割の確率で即死か。ちょっと勘弁願いたいぜ……」

 ならば正面きって戦うしかない。

【項目171】
ヒュロンダスは、こちらのどんな動きも見逃すまいと、鼻をきかせ、耳をそばだてながら、そっと近寄ってきた。
背後には既にエネルギーの障壁ができていて、後退は許されなかった。
奴の待ち望んでいた決闘を受けて立つしかないのだ。

 狭い橋の上、後退も前進もできないので戦闘MAPは無い。小細工もできない力比べである。

ヒュロンダス
戦闘力=7 精神力=7※ 鎧強度=0 生命力=18
打撃力=サイコロ1個+1 機敏度=7
※ヒュロンダスは既にソードスラストの呪文を準備している(本来の精神力は8)。呪文が成功した後は、ヒュロンダスは通常の攻撃で戦う。

テツヤ「なかなか面倒な相手だぜ。けど悪い、こっちの準備は万全でな」

ロジ・スカイランナーの剣で戦闘力を補強し、鋼鉄の笏で追い込まれた時の逆転手段を確保しており、エメラルドの御守りで万が一の保険もある。どの程度消費するかはともかく、結果が勝利である事だけは疑いようがない。

○第1ラウンド
テツヤ:ヒュロンダスに攻撃。ダイス目7で成功。ダメージ6。残り12点。
ヒュロンダス:ソードスラストの呪文を詠唱。ダイス目6で失敗。
テツヤ(ダブルアクション):ヒュロンダスに攻撃。ダイス目3で成功。ダメージ5。残り7点。

○第2ラウンド
テツヤ:ヒュロンダスに攻撃。ダイス目9で失敗。
ヒュロンダス:ソードスラストの呪文を詠唱。ダイス目7で失敗。

○第3ラウンド
テツヤ:ヒュロンダスに攻撃。ダイス目5で成功。ダメージ2。残り5点。
ヒュロンダス:ソードスラストの呪文を詠唱。ダイス目7で成功。ダメージ10(被害8)。残り10点。

テツヤ「一発で半分近く持っていかれたか! だが時既に遅しって所だな」

○第4ラウンド
テツヤ:ヒュロンダスに攻撃。ダイス目6で成功。ダメージ5。撃破。

ヒュロンダス「ぬうぅう……! 無念……」

テツヤ「悪いな。愚痴は地獄の鬼相手に言っといてくれ」

くずおれて動かなくなるヒュロンダスを跨ぎ、振り向きもせずに対岸へ向かうテツヤ。

【項目88】
橋を渡りきり、テラスの上に立った。
ハッグ達はこちらを見ていたが、近づこうとはしなかった。

テツヤ「ふん、自分らが挑んでくるわけじゃねぇのかよ。さて、後の二人を待つとするか」

【項目494】
Photo_4 ディアブロ「テツヤの奴、無事に渡ったようだぜぇ」

ミヤ「よし、叔父ちゃんに続くよ!」

ディアブロ「ああそうだな。と、ここは俺が先に行かせてもらうぜぇ。後、これを預かってくれ」

 ディアブロはミヤに、剣と鎧以外の所持品全てを渡す。

ミヤ「???」

 首をかしげるミヤを尻目に、ディアブロは気軽な足取りで橋へ向かった。まずは白い火の呪文を準備。そして目指すは滝をくぐる方だ。

滝の中に踏み込んだ時、ひりひりするような奇妙な痛みを感じた。
滝の向こう側に出てみると、鎧と剣以外の所持品が全て無くなっていた。
幸先が悪いな、と思いながら、橋の上に足を踏み出した。

ディアブロ「ま、俺は剣と鎧しか持っていなかったから、何も無くしてないけどな

そのとき、橋の向こうから若い女がやってきた。
女は自分の髪をもてあそび、美しいドレスに触れて得意げに高笑いしながら進んできた。
「私の魔力を証明するために、死んでもらいます」
近づきながら女は言った。

ディアブロ「おやま、これは困った。若い女とは、死んじまうには勿体ないねぇ。ま、俺の命に比べればそうでもないけど」

ディアブロは平気な顔で攻撃呪文の詠唱を始めた。
若い女だろうが御釜だろうが、遠慮しない程度の神経はとうの昔から持っていた。

若い女
戦闘力=6 精神力=7 鎧強度=0 生命力=5
打撃力=サイコロ1個-2 機敏度=6
女は白い火の魔法を使って戦う。戦闘前、彼女は呪文を準備していない。

機敏度が互角なので1d6勝負で先攻を決める。ディアブロは2、女は5。残念ながら先手を打たれてしまった。とはいえ、ここまで弱い相手ならさほど問題にならないだろう。

○第1ラウンド
女:白い火の呪文を準備。
ディアブロ:白い火の呪文を詠唱。ダイス目9で失敗。

○第2ラウンド
女:白い火の呪文を詠唱。ダイス目7で失敗。
ディアブロ:白い火の呪文を詠唱。ダイス目7で成功。ダメージ5。撃破。

猛火が女を包み、断末魔をあげさせる。橋から落下する火達磨を尻目に、ディアブロは肩をすくめて橋を渡った。

テツヤ「無事に渡れたみたいだな」

ディアブロ「まぁな。簡単なもんだったぜぇ?」

滝をくぐる橋は、所持品を紛失する代わりに敵が弱い。よってパーティを組んでいるなら、メンバーの一人ないし二人は仲間に道具を預ける事で安全にここを通過できるのである。魔術師と戦士は因縁の敵が相手でも真っ向勝負するしかないので、この橋を渡る時には仲間の存在が大きな鍵となるのだ。

【項目157】
3_3 ミヤ「後はあたしかあ。むう、荷物を預ける相手もいないし、これは手前の橋しかないよね……」

手前の橋の上を進んでいった。
見下ろすと、百メートルも下の谷底を毒の川が激しい音を立てて流れている。
橋の中間点へ達した時、ガーゴイルの頭が再び喋った。
「再び息を吹き返せ」
それに応えるかのように、前方の橋の上に黒い影が現れた。
数分後、それは痩せて青ざめた女の姿になっていた。
女は破れた黒いドレスの下から鋭い鉄の剣を引き抜き、こちらへと進んできた。
こちらが得物を構えたのを見て、女の目は微かに輝いた。
その女は悪魔を母に、人間を父に持つネメシスだった。
六年前に殺したはずの、最も苦手とする敵だ。

テツヤ「なるほど。ミヤが九歳の時に倒した敵か。戦闘方法は口喧嘩か泥団子の投げ合いって所かよ」

ディアブロ「いやいや、殺した、とはっきり書いてあるぜぇ。九歳児ながら得物で殴り合ったわけだな」

テツヤ「サイコ臭え! キャラの年齢を十代に設定する事を作者は想定してなかったらしいな……」

「生と死は不変ではない。戦って、いずれか生者を決めよ」
ガーゴイルが低い声で言った。
ネメシスは軽く腰をかがめたかと思うと、やにわに襲いかかってきた。
彼女の剣がこちらの腕を直撃する。
(ダメージ4:被害2)。

ミヤ「うっわ、不意打ち卑怯! よし、あたしもここで超能力だ」

 この場面では僧侶の浮遊術を試す事が可能なのだ。

【項目282】
空中浮遊術は、学んだ超能力の中でも最も難しいものに入る。
それを行うには、大きさと重さの存在を忘れなくてはならない。
物質世界に囲まれた者にとって、これは容易い事ではない。
雑念を心から追い払う……。

 敵の死を望むか、勝ち負けに拘らない事にするか。それにより術の成否が決まる。

ミヤ「うん、拘らない事にしよう。自分が生き残れればそれでいいもんね」

【項目173】
全てを超越した境地に達した。
物質界は今も周りを取り巻いていたが、それを乗り越えて、解脱の境地へ達した。
そして重力の糸から切り離されたかと思うと、体はふわりと空中を漂いはじめた。
澄みきった境地から無私の心で下界を見下ろすと、こちら目指して突っ込んできた相手が、そのまま橋から谷底へ落ちていくのが見えた。
それがこちらを物質界へ引き戻した。
体が橋の上へゆっくりと降り立った。
谷底をのぞくと、相手の死体が激流に押し流されていく。
ため息をつき、橋の上を渡って行った。

ミヤ「あーあ。結局、ネメシスちゃんは死んじゃったか。何も喋らずに刃物ばかり振り回す困った子だったけど……

 少々後味が悪かったが、ミヤも橋を渡りきる。神殿のテラスにて全員集合。

ミヤ「おまたせー!」

テツヤ「よし、荷物と隊列を元通りにしたら先へ進むぞ」

 神殿で待ち受ける物は何か? それは次回のお話。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年10月24日 (土)

レビュー マージナル・ライダー(1) 第二話 駆け出し冒険者

Mr2_2 初めて、僕は街にきた。

初めて、僕はあのお兄さんに出会った。

 

あの人の、まなざしが、声が、ほほえみが……

僕に教えてくれたんだ。

 

初めてだったから、気持ちを言葉にできなかったけど……

初めて、僕はわかったんだ。

この気持ちが、恋なんだね。

 

 

  9  

ホモネタは消毒だ。

でもあのイラスト1枚だけ見せて嘘つけば

知らない人を普通に騙せそうな気もする。

無論、それで自分に何の得があるわけでもないが。 

 実際の中身は安心して読めるSNEリプレイって感じでした。

 たのだんが無暗にピンク色な空気満載だったので、本当に安心して読める。

 

 馬泥棒事件の真相を探るため街に出たラファル達一行が、新たな仲間を加えて困っている人を助けてめでたしめでたし……でまぁだいたいの話は説明できるのだが、仲間になったリルドラケン(竜人族)のルシアスが素敵すぎる。

 三人のレベルが2~3程度なのだが、ルシアスはレベル5。先輩としてパーティに加勢する形で参加なのだが、スキルの組み合わせは――

プリースト5/ファイター2/レンジャー1

 頑丈な種族を選んでこの組み合わせ。攻防においてはラファルと同程度に抑えた上で、固い壁と回復能力を両立させてある。強い新キャラ加入のせいで昔からパーティにいたキャラが見劣りする、という場合がRPGにおいてたまにあるが、ルシアスはそこらへんを物凄く考慮してあるのが嫌でもわかるほど。

 そして実際の戦闘でも、自ら前に出て、敵を攻撃せずにひたすらラファルの回復に努めていた。なんという下僕先輩。頼りになるにも程がある。ラファルのために生まれラファルのためにひたすら呪文で献身。もう馬じゃなくてこいつに乗ればいんじゃないのか。ドラゴンライダーならぬドラゴンマンライダーの誕生である。

 なんとなく、たのだんのシャーリィさん(脆い前衛)とレクサス(回復主体で戦闘力も補助的にもっているサポート役)の関係をゲーム的に強化したものが見えるような気がする。システムそのものができて間もない頃のキャラだったせいか、レクサスは数値面において中途半端なキャラクターになっていた。ルシアスの方向性とカスタマイズぶりは、少なくとも2話においては完璧に発揮されている。

 ロンゲのイケメンからトカゲになったが、個人的な嗜好だけで言わせてもらえば、これもパワーアップだ。異論を聞く気はない。

 

 蛮族達が不穏な動きを見せ始めている事も今回の話で臭わせてきたが、今回はあくまでさわり程度。個人的には、まだはっきりと見えてこない物語よりもキャラクター達の構成・設計を眺めているのが面白かったり。メンバーの入れ替わりなんかも計画しているらしいが、今回の下僕トカゲは最終メンバーにいて欲しいのが個人的希望。

(C)田中公侍・グループSNE/富士見書房 
(C)石ノ森章太郎/東映

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月21日 (水)

ブラッドソードリプレイ1-10 金のスパイラル

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:3 戦闘力:7+1 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:6 機敏度:8 生命力:18
装備:剣 革の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金17) 弓 矢筒 ロジ・スカイランナーの剣 オパールのメダル 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:8 機敏度:7 生命力:15
装備:六尺棒 リングメイル(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒 オパールのメダル 八角形のプリズム 

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:3 戦闘力:6 打撃力:サイコロ1個 精神力:8 機敏度:6 生命力:15
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) オパールのメダル 

 クラースのダンジョンレースへ参加した三人。魔物のたむろする通路を強行突破して死にかけるも首の皮一枚差でなんとか生存。壊滅の危機を辛くも突破した三人は、長い廊下を進むことにした……。

【項目503】
廊下をとぼとぼと歩いて進む。
何キロも歩いたかと思われたとき、天井に、こじ開けられた格子窓を見つけた。
別の冒険者がそこを通ったのかもしれない。
しかし、窓は高すぎて手が届かない。

テツヤ「多分、先んじて進んでいる奴がいるって事だよな」

ミヤ「その人もここを延々と歩かされたんだよね……。長いよー。キロ単位を歩かせる通路が、なんでダンジョンに必要なの?

ディアブロ「請け負った建築業者が通路をメートルあたりなんぼという勘定で契約したからだと見たぜぇ」

テツヤ「どこの道路工事だよそれは」

さらに進むと、廊下の片側にオパールの鋲の打たれた鉄の扉があった。
オパールの一つが抜き取られている。
足元を見ると、べとべとした液体が水たまりをつくっていて、その中で、抜き取られたオパールが不気味な光を放っている。
扉は開けられなかったので、そのまま廊下を進み続ける。

ミヤ「やっと扉があったけど、開かないし光景はわけわかんない」

テツヤ「宝石で飾った扉なんぞ、普通なら何か意味のある場所なんだが……行けないなら仕方ねぇ」

やがて、ゴシック様式のアーチに飾られたホールに出た。
そこから廊下は二方向に分かれていた。
分岐点の上の壁は何かの彫刻で飾られていた。
よく見ると、それは人の頭を象っていて、その横顔は左手を向いていた。

テツヤ「左へ行けって事か?」

ミヤ「じゃあ行こうよ」

ディアブロ「罠は疑わなくていいのかねぇ?」

ミヤ「そう思わせる事が罠かもしれないじゃない。でもさらに裏かいてるかもしれないね。もしかしたらさらに裏を……というわけで、考えても仕方ないよ

テツヤ「お前、今結論を先に考えて喋らなかっただろうな?

 とはいえ特に異論もない。三人は左へ歩を進める。

【項目249】
110 通路の壁には、血なまぐさい戦いを続ける剣闘士の姿が描かれていた。
通路のはずれには階段があり、それを降りると巨大な地下闘技場だった。
周りには段状の観覧席が設けられている。
天井の煙突のようなところから、薄明るい陽の光が射している。
そして低い壇の上には、シマメノウのテーブルにもたれかかるようにして、痩せた男が座っている。

テツヤ「奴が対戦相手って所か?」

ミヤ「或いは相手を用意する進行係かもね」

着ているローブは純金のように輝き、肌は黒檀のように黒光りしている。
そいつは、闘技場へ入ってきたこちらを見上げると、しばらくの間、長い眠りから覚めたばかりのような状態で、黙って見ていた。
それから、おもむろに口を開いた。
「お前らが初めてというわけじゃないが、よくここまでたどりつけたもんだ。今度は大きな難関だぞ。これは知恵くらべでも、剣や魔法の戦いでもない。おまえは、あるゲームでわしを倒さなければならんのだ……」

テツヤ「まさかのゲームバトルかよ。闘技場を設ける意味ねぇだろ」

ミヤ「むむ。しかし結構な強敵とみた」

ディアブロ「そりゃあ苦手なゲームで挑む奴はいないだろうな。でもこっちは受けてたつしか無さそうだぜぇ?」

 なにせ、先に進む道が無いのだ。前進するためには彼と勝負するしかないのである。

【項目26】
男はテーブルの上に両手を広げた。
それから、両手を引っ込めると、きらきらと輝く十四枚の金貨がテーブルの上に現れた。
七枚は男の前に、後の七枚はこちらの前に一列に並んでいる。
そばにはサイコロが一つずつ置かれている。
金貨は全て表向きになっていた。
「わしの名はクレフ。このゲームのチャンピオンだ。このゲームは“金のスパイラル”という。これから説明するから、よく聞くがいい。

我々はスパイラルと呼ぶ勝負をくり返す。最初のスパイラルで、わしは秘かにサイコロの目を選び、それを手の下に隠す。そちらも同じ事をする。そして互いのサイコロを見せ合う。

わしの選んだ数が大きかった場合、そちらは、二人の差に相当する枚数の金貨を失う。その金貨はわしの物になるわけではなく、脇へよける。一方、わしは金貨は失わないが、自分のサイコロに示した数に相当する枚数の金貨を裏返さなくてはならない。つまり、わしが手の下にサイコロ4の目を出しておき、そちらが3の目を出しておいた場合、そちらは金貨一枚を失い、わしは四枚の金貨を裏返すことになるわけだ。

次のラウンドはリカバリーから始まる。これはつまり、裏返しになっていた金貨を持っているプレイヤーは、そのうちの一枚を表に返す事ができるというルールだ。そして我々はさっきと同じように数字を選ぶ。こうやってプレイを続け、どちらかのプレイヤーの前に表向きの金貨が一枚も無くなったとき、彼の負けになるわけだ」

テツヤ「ただでかい目を出せばいいってもんじゃないんだな。自分の損失も考えながらやれ、と

ディアブロ「だが裏返しの金貨は時間経過で表がえる。これも考慮すべきだな」

ミヤ「むむ……ちょっとこんがらがってきたぞ」

「覚えておいてもらわなければならないルールが、あと三つある。そちらがサイコロに示す数は、そちらの前の表向きの金貨の枚数より多くてはいけない。つまり我々は、どちらも、最初のスパイラルでは1から6の数字を選ぶ事ができる。スタートの時点では、互いに七枚の金貨を持ち、全部が表を向いているからな。だが、ゲームが進んで、例えばわしの前に表向きの金貨が五枚しかないとすると、その時わしは1から4の数しか選べない事になるわけだ」

ミヤ「あ、これは説明がちょい間違いだよね? “多くてはいけない”じゃなくて“少なくないといけない”だよ

テツヤ「そうだな。ま、誰でも言い間違いはあるだろ。例をあげながらだから、本当のルールは伝わったじゃねぇか」

「次に、二人が同じ数を選んでいた場合、そのスパイラルは勝負なしで、二人とも失う物はない。

最後に、金貨を失う時は、残る金貨のうち表向きの物の中から出すこと。

以上だ。プレイのやり方がわかったかな?」

テツヤ「俺は了解」

ミヤ「多分OKだよ」

ディアブロ「それじゃ、始めますか」

【項目15】
「結構」
クレフはそう言うと、さっそくほっそりした手の下にサイコロを隠した。
そして最初の目を何にしようかと考えながら、テーブルの向こうからこちらに笑いかけた。

テツヤ「さて、どうするか……大きすぎても少なすぎても首を絞める事になるな」

ミヤ「て言うか、はっきりいってカン勝負だよね、これ」

ディアブロ「ま、ここは俺が遠慮なく……」

 ディアブロがサイコロを手に取り、4の目にして掌に隠す。そして合図一つ、クレフと同時にサイコロを見せ合った。

【項目20】
クレフのサイコロの目は5だった。

ミヤ「という事は……ええと?」

【項目35】
こちらの勝ちだ。クレフもそれを知っていた。
次のスパイラルのリカバリーの結果、彼は表が三枚と裏が四枚になっていた。
こちらの前には金貨が六枚しかなかった。
だがそれらは全て表を向いている。
今度彼が選べる数はせいぜい2だ。
こちらが5を選べば、彼はこのゲームを落とすことになる。

テツヤ「あれま。一発勝負じゃねぇか」

 この“金のスパイラル”にはかなりの項目が割いてあり、実は様々なパターンの勝負を楽しめる。しかしこのリプレイ、基本イカサマ無しで進めるため、唯一自分が覚えている勝ちパターンを使わせてもらった。まぁ勝てる物をわざと負ける意味も無いので……。

【項目85】
クレフは苦笑いを浮かべてこちらを見た。
「これまでに、このゲームでわしを負かした者はなかった。わしの嬉しさは、どんな褒美を与えても表しつくせないほどだ。だが、そちらがきっと興味を持つはずの品が二つある」

彼はテーブルの上に二つの物を置いた。
一つは色ガラスでできた
八角形のプリズム、もう一つは青い光を放つ氷の宝石だった。

ミヤ「プリズムは二つ目だね」

「どちらも持って行くがいい。さあ、さらに地下深くの洞窟へ入っていく準備をしろ……」
彼の指先から輝く光線が放たれ、こちらの周りにエネルギーの網ができた。
一瞬ひるんだが、すぐにその光線が危害を加えない事がわかる。
一体、これは何なのだろう?

そう思った時、自分の身体が床の中に沈みはじめているのに気づいた!

テツヤ「おおっ!?」

ディアブロ「ある種の転移魔法みたいだな

ミヤ「というか、クレフさん、魔術師だったんだ? カルーゲンさんといい、博打好きの魔術師さんが多いなー」

【項目5】
幽霊のように岩を通り抜ける間、肌に感じたのは微かな冷気だけだった。
まるで、濃くて冷たいタールの中に沈んでいく、といった感じだった。

ミヤ「でも息はできるんだ?」

ディアブロ「冥界だの魔界だの異次元だのにでも空気はあるからな。ファンタジー世界では水中ぐらいしか呼吸の心配は無いぜぇ

テツヤ「普通に考えりゃ呪文で保護されてるんだろ……」

クレフの呪文によって、さらに地底深いダンジョンへと転送されていく。
ゴツゴツした岩の天井を抜け、荒削りの階段の上にゆっくり降りる。
下からは、息のつまるような湿った熱風が吹き上げてくる。

【項目356】
階段を降りると、まもなく危険な岩棚に出た。
巨大な地下洞窟の壁から突き出している岩棚だ。
畏敬の念に打たれて、目の前に広がる、この世の物とは思えないパノラマをしばらく眺める。
洞窟は奥行きが二キロメートル以上、天井の高さは、場所によっては百メートル以上もありそうだった。
眼下には休火山の巨大なクレーターが見える。
裂け目から溶岩がふつふつと沸き出し、そこからさす赤黒い光が洞窟を照らしている。

ミヤ「ええっ? このダンジョン、火山の上に造られてるの!?

テツヤ「……おい、上を見てみな。もっと驚く事があるぜ」

天井は巨大な玄武岩の柱に支えられていた。
カルーゲンの砦の土台の下にいるのだ。
魔力がこの飢えた火山をおとなしく沈黙させているのだと思うと、ぞっとした。
岩天井のあちこちに口を開けた裂け目からは、有毒な液体がしたたり落ちている。
その裂け目は、砦の下水道の出口なのだ。
したたり落ちた汚水が火山の炎に当たって、ボッと緑色の光を発している。

ミヤ「えええっ!? カルーゲンさん、自分の家を火口の真上に建ててたんだ!? 度胸ありすぎでしょー! 魔力がきれちゃったら木端微塵だよ!」

ディアブロ「それを怖がるどころか、汚水処理に使っているぜぇ。あのオッサン、博打好きが高じるあまり自分の人生賭けて博打やりたくなったのかもな

テツヤ「付き合わされる使用人達は偉い迷惑だな……。給料はいくらなんだ?」

クレーターの底は、白緑色のもやが渦巻き、赤い火花以外何も見えない。
もやの海の中からは、三つの山が突き出ている。
その一つと、いま自分がいる岩棚のすぐ下の踊り場とは、二本の幅の狭い橋で繋がっている。
だが、それを渡るのは容易ではなさそうだった。
一歩踏み誤れば、汚水の激流がごうごうと音を立てて流れる谷間へ真っ逆さまだ。

テツヤ「激流ができるほど大量の汚水か。街の下水を直結させてやがるな

ディブアロ「カーカバードのカレーの街より、清潔度も危険度も格段に上だぜぇ」

橋を渡ったところには、油煙で黒く煤けた神殿が見えた。
岩棚を降りかけると、神殿の前のテラスに、ファウル・ハッグ達が出てきた。
こちらを歓迎しようというのだろうか?
いや、違う。彼女達は、澱んだ空気の中を舞い降りてくる翼のあるダージに注目しているのだ。
彼女達はショーを見るために出てきたのだ!
そして彼女達の喜ぶ見世物を提供するのは、おそらくこちら自身なのだと気づく。

テツヤ「ハッグて何だ?」

ミヤ「魔女のお婆さんだよ。まあ邪悪だと見て間違いないね」

テツヤ「で、ダージてのは?」

ミヤ「知んない」

テツヤ「チッ。まぁロクでもねぇ化け物なんだろうとは予想つくぜ」

【項目318】
ダージ達は高く舞い上がりながら、空腹そうな金切り声をあげた。
その煤けた連中は、はるか下方の間欠泉から立ちのぼる、嫌な臭いのする熱風の上を飛び続けた。
生死を賭けた戦いを見物に集まったハッグ達に、憎しみの一瞥を投げてやる。
彼女達はぺちゃくちゃと喋りあっている。
しかし谷間を流れる激流の音にかき消されて、その声はこちらの耳には届かなかった。

テツヤ「6匹ほどか……ちと面倒な数だな。正面から戦うのは避けたい所だ」

ディアブロ「職業別の行動はこの項目には無いが、アイテムは使えるぜぇ」

ミヤ「じゃあ何か役立つ道具を探そっか」

【項目89】

ディアブロ「さて、ここに取りだした氷の宝石。こいつをほうり投げてみるとします」

ミヤ「よーし、景気よくやっちゃえ!」

ディアブロ「おやま。君は女の子なのに、こういう物は惜しくないかね?」

ミヤ「宝石とか普通に好きだよ? 食べる物ほどじゃないけど

テツヤ「お前って奴は……」

ディアブロ「ま、ゲームのアイテムを惜しまれても面倒だし。そんじゃ投げるぜぇ」

【項目99】
祈りをこめながら、氷の宝石を岩棚から放り投げる。
すると、熱い空気の流れがたちまち冷たくなった。
高く飛んでいたダージ達は、あっというまにバランスを失って、はるか眼下の谷間を流れる激流の中へ、きりもみ状態になって落ちていった。
ほっと安堵のため息をつきながら、岩棚の下へ降りていくことにする。

ミヤ「よっしゃ、成功だね! でも気流が変わるほどの凍気が篭められているなんて、物騒な石だったんだね

ディアブロ「何かの拍子に暴発したら全滅の危機だな」

テツヤ「役に立ったんなら上等だ。よし、下まで降りて先へ進むぞ」

新たな地底世界で何が待ち受けるのか。それは次回で。

| | コメント (9) | トラックバック (0)

2009年10月18日 (日)

ブラッドソードリプレイ1-9 夜の妖精

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:3 戦闘力:7+1 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:6 機敏度:8 生命力:18
装備:剣 革の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金17) 弓 矢筒 ロジ・スカイランナーの剣 オパールのメダル 鋼鉄の笏(残り4回) エメラルドの御守り

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:8 機敏度:7 生命力:15
装備:六尺棒 リングメイル(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒 オパールのメダル 銅の鍵

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。
酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:3 戦闘力:6 打撃力:サイコロ1個 精神力:8 機敏度:6 生命力:15
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) オパールのメダル 

 クラースのダンジョンレースへ参加した三人。不死の魔物と戦いながらも不気味な地底湖を渡りきる。だがダンジョンはまだまだ奥へと続いているのだ……。

【項目152】
桟橋からは石造りのトンネルが前方に延びていた。
それを進むと、やがて小さな円形の部屋に出た。
部屋には二つの出口があった。
一方の出口は真っ正面にあり、ほぼ長方形に岩をくりぬき、鉄格子がはめ込んである。
鉄格子には鉄の鎖と南京錠が取り付けられている。

ミヤ「叔父ちゃん、さっそく鍵開けだ!」

テツヤ「どれどれ……こいつはちと開きそうにねぇな」

ミヤ「えー。ガッツが足りないよ」

ディアブロ「焦らなくても、もう片方を見てからでもいいと思うぜぇ?」

もう一つの出口は右手にあり、アーチ形をしていて、松明に照らされた短い廊下の先には、一つの扉が見えた。
廊下の両側には深いアルコーブ(岩壁の入り込み)がいくつも並んでいる。

テツヤ「こっちに来いと言わんばかりだな。しかも、いかにも敵が隠れてそうな場所まで設けてよ」

ミヤ「ところで、あっちの鉄格子だけど。ここに来る途中で、銅の鍵を一つ拾ったよね? あれ使おうよ」

ディアブロ「ま、拾ったもんは試さないとな」

【項目221】
鍵をとり出して、南京錠に差し込む。
思った通り、鉄格子は開いた。
そのとき、右手の廊下から不気味なうなり声が聞こえてきた。
そっちへ目をやると、アルコーブの奥から、前かがみになった灰色の化け物の一団が姿を現していた。

ミヤ「やった! けどピンチ! というか、あっちで待ってたんなら、鍵が開いたからってこっちに出て来ないで欲しいなあ!」

ディアブロ「鉄格子の中には今すぐにでも逃げ込めるぜぇ? ま、逃げ切れるとも限らんし、一応白い火の呪文を準備しとくかね」

テツヤ「……ん? ちょっと待った

【項目209】
最初は気付かなかったが、不気味な化け物達はそれぞれのアルコーブの壁に片足を繋がれていた。
鎖は、彼らが廊下まで出られる十分な長さがあった。
だが、鉄格子とその壁は繋がっているようで、鉄格子を開けたとたん、鎖はそれ以上伸びなくなった。
化け物たちはアルコーブから半身を乗り出したまま、それ以上延びない足首の鎖をねじ切ろうと、やっきになっていた。
彼らの歯ぎしりが聞こえた。

ディアブロ「勝手に出歩かねえようにされてるらしいな。よほど素行の悪い連中なんだろうぜぇ

テツヤ「化け物どもが通路の真ん中までこれねぇなら、走って突破もできそうだな。向こうの扉へ入る事も、できねぇわけじゃなさそうだが……」

ミヤ「せっかくこっち開けたのに? あ……でも、守衛を配置してるぐらいなら、何か値打ち物とか置いてあるかも!」

テツヤ「そうだな。おもしれえ、ひとっ走りするか。おい、これ」

 エメラルドの御守り(蘇生アイテム)をミヤに渡しておく。全員が攻撃にさらされるなら、HPが多めのテツヤよりもミヤの方に保険をかけるべきだと判断したのだ。

ミヤ「おお! 叔父ちゃん、ありがとう!」

ディアブロ「俺は……?」

テツヤ「一つしか無いんだからしょうがねぇだろ。ほれ、行くぞ」

【項目388】
右手の廊下を突進する。灰色の化け物は、こちらにつかみかかろうと、金切り声をあげながら身を乗り出した。
そのうちの六匹が、鎖を引き延ばす事に成功して、こちらに襲いかかってきた。

テツヤ「とはいえまん前で遮る事はできねぇようだな! このまま突っ切る!」

ディアブロ「ひええ、こいつは思ったよりハードだぜぇ」

 三人は6回攻撃を受ける。走りながら身をかわす事ができるので、敵がふる命中判定のサイコロは3個。化け物の戦闘力は7、打撃力はサイコロ3個だ。
 結果はとんでもない事に。テツヤとミヤが1発ずつ、ディブアロが2発くらった。

ディアブロ「ギャースッ!」

ミヤ「うわー! ディアブロが死んだー!」

 しかし威力はいまいちふるわず、ダメージは6点と11点。鎧強度を差し引いて合計13なので、残り2点でなんとか生きている。
 そのぶんかどうか知らないが、敵の攻撃はテツヤとミヤには重い一撃を放ち、テツヤに13(実ダメージ11)、ミヤには14(実ダメージ12)。全員が残り生命力1ケタという惨状に! 期待値どおりならもう少しマシな筈だが……と思いつつ、奥の扉へ転がり込んだ。

【項目31】
扉を開けると、そこは小さな洞穴だった。
石の床の上には死体が転がっている。
カルーゲンの衛兵だ。おそらく、悪魔のような主人に馬鹿げた自殺的任務を与えられて、この地底世界に送り込まれたのだろう。

彼は手の中に何かを握りしめていた。
それは色ガラスでできた
八角形のプリズムだった。

ミヤ「この人、ここにこれを持ってくるためだけに死んじゃったのかな……」

テツヤ「それこそ、魔法か何かで送ればよさそうなものなのにな。しかし明日は我が身だぜ」

 ボロボロの状態を立て直そうにも、ミヤの生命力も残り3点しかない。僧侶の回復術は本人の生命力を使って実行し、3分の1の確率で消耗するのみで終わる。後がない状態では、決して馬鹿にできない確率だ……。

ディアブロ「ま、ほぼ確実に立て直せるけどな

テツヤ「なに楽観視してんだ。確率的には分があるが、1点ずつ消費を2回しか試せな……」

ディアブロ「いや、エメラルドの御守りで蘇生できるから死ぬまで消費できる。つうかむしろ、一度死んで蘇生し、生命力を満タンにした方が早いくらい……

テツヤ「そんなバカな回復方法があるかボケがー!

ミヤ「でもそれしか無いなら仕方ないよ、叔父ちゃん。まずは残り3点、全部回復術に費やすよ! サイコロ様、お願い!」

テツヤ「マジかー!」

 さすがに一発勝負をする気にはなれないので、1点消費3回として3個ふる。出目は2・2・6。1か2なら無駄消耗なので、3点消費1発勝負なら本当に死んでいた。
 この後、元手の小さい回復判定を延々と繰り返し、相当に時間はかかったが全員の生命力を最大まで回復できた。

ミヤ「ふえー、しんどい。なんとか立て直したよ……」

テツヤ「偉いぞ、よくやったな。疲れただろ、しばらく休憩しとけ」

ディアブロ「生命力は満タンなんだからゲーム的にはピンピンしてる筈だぜぇ」

テツヤ「しばくぞ。黙れ

洞穴には別の出口はなかったが、傍らに大理石の祭壇があった。

死の通路を引き返す気にはならなかったので、三人は祭壇へ乗ってみる。すると……

【項目386】
壇上に登ると、眩暈が襲った。
洞穴は闇の中に消え去り、この世のものと思えぬ色と音の中を押し流されていくのを感じる。
まもなく、ふと我に返ると、再び固い地面の上に立っていた。
渦巻く光が消えると、長い廊下のはずれにいる事がわかった。
そこがどこだか見当もつかない。
しかしそんな詮索は後回しだ。
四人のナイト・エルフに取り囲まれているのだ。
指先で魔法を操る、すらりと背の高い妖精だ。
彼らは既に身構えていた。

B3_2

ナイト・エルフ(E)
戦闘力=7 精神力=6 鎧強度=1 生命力=6(四人とも同じ) 
打撃力=サイコロ1個+1 機敏度=7
※彼らは全員、ナイトハウルの呪文を既に準備している。各ラウンドでは、エルフのうち一人が魔法をかけようとする。他の三人は普通に戦う。呪文をかける事に成功したエルフは、次のラウンドからは普通に戦う。そして別のエルフが魔法を試みる。失敗した場合は、同じエルフが再び魔法をかけようと試みる。

テツヤ「チッ、敵か!」

ミヤ「あ、ディアブロが呪文の準備してないんじゃ……」

ディアブロ「してるぜぇ? 死の廊下へ入る前にな。解除の宣言はしてないからまだ有効だ。それよりミヤと敵の機敏度が五分だから競争だぜ」

1d6勝負。面倒なので敵はひとまとめ(今後もそうします)。結果、ミヤ4・敵3でミヤが先に動く。

○第1ラウンド
テツヤ:エルフ1に攻撃。ダイス目6で成功。ダメージ5(実ダメージ4)。残り2点。
ミヤ:エルフ2に攻撃。ダイス目12で失敗。

ミヤ「ところで、敵さんは誰が呪文を唱えるの?」

テツヤ「まぁランダムで決定だな」

 結果、まずはエルフ3から呪文を唱えだした。

エルフ1:テツヤを攻撃。ダイス目7で失敗。

ミヤ「あれ? 戦闘力7だから命中じゃあ……」

テツヤ「盗賊の“身をかわす技術”で、敵はダイス目に+1して判定なんだよ」

ミヤ「あ、そっか」

エルフ2:ミヤを攻撃。ダイス目9で失敗。
エルフ3:ナイトハウルの呪文を詠唱。ダイス目12で失敗。
エルフ4:ディアブロを攻撃。ダイス目9で失敗。
ディアブロ:白い火の呪文を詠唱。ダイス目6で成功。エルフ3にダメージ10(実ダメージ9)。撃破。

ディアブロ「おおっと好調! 汚物は消毒だぜぇヒャッハー!」

テツヤ「敵の数が多いな。俺も最初にエンジンかけておくか」

テツヤ:ダブルアクションでエルフ1に攻撃。ダイス目4で成功。ダメージ2(実ダメージ1)。残り1点。

テツヤ「うっ、ダメージが腐ってやがる……」

ミヤ「幸先悪いなー」

○第2ラウンド
テツヤ:エルフ1に攻撃。ダイス目3で成功。ダメージ5(実ダメージ4)。撃破。

テツヤ「よし、残り2匹! 半分いったぜ!」

ミヤ「よーし、あたしも!」

ミヤ:エルフ2に攻撃。ダイス目6で成功。ダメージ6(実ダメージ5)。残り1点。

ミヤ「あーん、惜しい!」

ディアブロ「敵の反撃だな。一匹は呪文に成功するまで挑戦する、と……」

エルフ2:ナイトハウルの呪文を詠唱。ダイス目7で失敗。
エルフ4:ディアブロを攻撃。ダイス目8で失敗。
ディアブロ:白い火の呪文を準備。

○第3ラウンド
テツヤ:エルフ2に射撃。ダイス目8で失敗。

テツヤ「うおっ、初めて弓を使ってみたが、なんか当たらねえ!」

ミヤ:エルフ2に攻撃。ダイス目12で失敗。
エルフ2:ナイトハウルの呪文を詠唱。ダイス目6で成功。目標テツヤ。抵抗判定のダイス目は2、抵抗に成功。

テツヤ「やっべ、目をつけられたか?」

ミヤ「しっかし、2とか12とか、今日は出目が極端だよ」

エルフ4:ディアブロを攻撃。ダイス目8で失敗。
ディアブロ:白い火の呪文を詠唱。ダイス目7で失敗。

○第4ラウンド
テツヤ:エルフ2に射撃。ダイス目6で成功。ダメージ3(実ダメージ2)。撃破。

テツヤ「あと一匹!」

ミヤ「よし、あたしも!」

ミヤ:エルフ2に射撃。ダイス目10で失敗。

ミヤ「初めては不手際があるもんだよ」

テツヤ「まぁな……」

エルフ4:ナイトハウルの呪文を詠唱。ダイス目7で失敗。
ディアブロ:白い火の呪文を詠唱。ダイス目7で成功。ダメージ11(実ダメージ10)。撃破。

ミヤ「あらら。終わってみたら無傷で勝利だよ。圧勝?」

ディアブロ「圧倒的だな、我が軍は」

テツヤ「へっ、生命力1ケタの相手に苦戦してたら先が思いやられるぜ」

 無傷の勝利にいつもより余裕のある三人。しかし……

【項目518】
最後のナイトエルフを片づけると、そいつは死ぬまぎわに妖精の言葉で何かを囁いた。
すると、しめった霧がこちらの周りに立ち込め、恐ろしい幽霊のようなものが周りじゅうに姿を現した。

テツヤ「チッ、最後っ屁か! しかしこいつは何なんだ?」

ミヤ「うし、あたしに任せて!」

【項目66】
3 (僧侶)

ナイトエルフは、死ぬ間際、祖先の死霊たちを呼んだ。
彼らは血族を殺した君達に復讐するためにやってきたのだ。
そして霧の中でこちらを取り囲んだ。

ミヤ「しかし大丈夫! ふっ、あたしに出会った不幸をのろえ」

悪魔払いの超能力を使って死霊を追い払う事にエネルギーを集中する。
そして幸運にもそれは成功した。
死霊達は退散し、霧も次第に消えていった。

テツヤ「この項目では判定不要で追い払えるんだな

ミヤ「まぁざっとこんなもんだね! さ、誉めれ」

ディアブロ「そんな事より戦利品を漁るべきだと思うぜぇ。エルフどもが何かと持っているみたいだな」

テツヤ「へえ? お、こいつら矢を持ってるじゃねぇか。補充しとくか」

剣6本 弓一張 矢8本 革のジャケット6着(鎧強度1)

テツヤ「逆に矢以外は特に欲しい物無ぇな」

ミヤ「ここ、廊下の真ん中じゃない。どっち行けばいいかな?」

ディアブロ「戦闘のFLEEマスが北にしか無い所を見ると、そっちに行くしかなさそうだぜぇ」

 そちらに何が待ち受けるのか。それは次回のお話。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月14日 (水)

ブラッドソードリプレイ1-8 湖上の死闘

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:3 戦闘力:7+1 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:6 機敏度:8 生命力:18
装備:剣 革の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金17) 弓 矢筒 ロジ・スカイランナーの剣 オパールのメダル 鋼鉄の笏(残り4回)

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:8 機敏度:7 生命力:15
装備:六尺棒 リングメイル(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒 オパールのメダル 銅の鍵 

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:3 戦闘力:6 打撃力:サイコロ1個 精神力:8 機敏度:6 生命力:15
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) オパールのメダル 

クラースのダンジョンレースへ参加した三人。迷宮内の冥府の渡し守の船に乗り、地底湖を進む。だが何事もなく渡れるはずも無く……。

タダ乗りした三人を乗せてゴンドラは進む。

ミヤ「ところでケロンてあの世の川の渡し守だけど、服を脱がせちゃうお婆さんもいるんじゃなかった?

テツヤ「そりゃ日本の話だろ。ここにゃそんな奴はいねぇよ……多分な」

ミヤ「それは助かった。脱がされてすっぽんぽんになったら大変だからね。このゲーム、回避力とか無いから鎧強度でしか身を守れないし

ディアブロ「攻撃からは逃げない。敵味方全員プロレスラーだな。カッコイイ世界だぜぇ」

テツヤ「そんなわけねぇが、まぁ確かに日本人的発想なら避けたり受けたりしたいわな……」

【項目193】
ゴンドラは湖を渡っていく。
見上げると、洞窟の天井は恐ろしく高く、鍾乳石がシャンデリアのように下がっている。
じっと目をこらしても向こう岸はまだ見えない。

ミヤ「でもあそこに何か浮いてるよ? ビーチボールか機雷かな?」

テツヤ「形だけで適当な事言うなって」

ゴンドラは湖面に浮き沈みする一つのブイの近くを通り過ぎた。
木でできた部分は波に削られ、鉄の雷文飾りは酷く錆ついていた。

テツヤ「こんな所にか。ちと調べてみるか……」

ミヤ「賛成! 船頭さん、ちょいと船を横付けてよ」

 タダ働きにも関わらず、船頭は黙ってゴンドラを近づけた。

【項目419】
ブイの木の部分に刻まれた詩の、三行だけが読み取れた。

お前が今あるごとく、私はかつてあった
私がいま有る所、お前は行かねばならぬ
私を引き上げよ、私の横たわる場所から……

ブイの輪には重い鎖が付けられていた。
鎖の先は湖底深くに沈んでいる。
船頭はそこにぐずぐずしていたくないようだった。
オールを握る痩せた手がピクピク動いている。

テツヤ「なんでかね。どうにも嫌な予感がするぜ」

ミヤ「船頭さんも内心は嫌がってそうだしね。でも調べてみたいな」

ディアブロ「そんじゃま、まずは俺からやりますか。予言の呪文を唱えるぜぇ」

【項目122】
Photo (魔術師)

呪文を唱えると果てしない無の空間が見えた。
未来が無いという事なのだろうか?
或いはそうかもしれない。
暗黒の死の世界が待っているのかもしれない。
だがそうではない可能性もある。

ディアブロ「ま、こんなところかな」

テツヤ「何もわかってねぇんじゃねぇか!

ディアブロ「毎回上手くいくもんじゃないぜぇ。未来なんてのは結構コロコロ変わるしな。選んだ項目によって

ミヤ「うし、それじゃあ次は私が透視術であの文章を読んでみるよ!」

【項目108】
3 (僧侶)

「内なる目」の潜在力を呼び起こさなければならない。
師匠達の教えを思い起こしながら、心の雑念を追い払った。

ミヤ「あり? なんか二つの数字から一つ選べ、とか書いてあるけど

ディアブロ「片方が正解の項目、もう片方が失敗の項目だ。ヒントは無いぜぇ。カンで選びな」

テツヤ「なんともゲームブックらしい選別方法だ……

ミヤ「要するに成功率50%かあ。サイコロで選ぼっかな?」

ディアブロ「安心しな。俺が正解を教えてやるから」

テツヤ「なんでお前が知ってるんだ?」

【項目263】
(僧侶)

成功だ!
詩の全体が目に見えてきた。

“お前が今あるごとく、私はかつてあった
私がいま有る所、お前は行かねばならぬ
私を引き上げよ、私の横たわる場所から
そして深みの底で私と一つになろう”

不気味な誘いだった。

ミヤ「私と一つになろう、だって。あは、いけないお誘いみたいだなあ」

テツヤ「どう見ても地獄への誘いじゃねぇか

ディアブロ「そんじゃま、準備しますか。今回、俺は呪文を準備しない。バトルオーダーは前と同じでいいぜぇ」

テツヤ「1番俺、2番ミヤ、3番がディアブロだな」

ディアブロ「そして俺が鎖を引き上げる、と。重いな……ちょっと待ってくれよ……」

【項目502】
B2 鎖を引き上げる事にする。
大変な重さだった。
引き上げた鎖の先には、泥をかぶった人骨の入った鉄のかごがついていた。
人骨の首にはコガネムシの形をしたエメラルドの御守りがかけられている。
その御守りに手を出した瞬間、気味の悪い衝撃を感じた。
その時突然、骸骨の眼窩が緑色に輝いた。
驚きで思わず鎖を持つ手が緩む。
気味の悪い鉄かごが再び水中に沈んだとき、緑色に光るエイドロンがゴンドラの側に浮き上がってきた。

「解放だ。人間の手で解放された。予言の通りだ。それでは、予言を完結させるとしようか」
化け物は呻き、爪で掴みかかってきた。

エイドロン(E) 初期位置は鎖を引っ張った者に隣接するマス
戦闘力=7 精神力=9 鎧強度=0 生命力=40 

打撃力=サイコロ2個+2 機敏度=9
※エイドロンが攻撃のサイコロで2を出した場合、爪は相手の脳を直撃する。そのときはサイコロを2つふり、自分の精神力と同じか、それより少ない目を出さなければならない。これに失敗すれば、攻撃を受けたキャラクターは即死する。
※エイドロンには鋼鉄の笏は通用しない。

船頭(G)
戦闘には参加しない。

テツヤ「なんなんだ、コイツのピンポイントな防御耐性は!」

ミヤ「うわ、強さもさることながら、こっちの動きが制限されまくりな状況だよ!」

○第1ラウンド
エイドロン:ディアブロに攻撃。ダイス目4で成功。ダメージ12(実ダメージ10)。

テツヤ「おい、大丈夫か! いきなり3分の2持っていかれてんぞ!

ディアブロ「ぐはっ、こりゃキツイぜぇ。だがこれで俺たちの勝ちだな

ミヤ「へ?」

ディアブロ「次は機敏度8のテツヤの行動順だな? 別の方法を考える、という選択肢があるだろ。それを選んで欲しいぜぇ」

テツヤ「何か手があるって事か? よし、わかった!」

【項目462】
僧侶がいれば、エイドロンを悪魔払いの術で追っ払う事ができる。
さもないときは戦いを続行してもいいし、別の手を考えてもいい。

ミヤ「そっか! ここはあたしが……」

ディアブロ「おっと、お譲ちゃんにも頑張ってもらうが、そっちじゃないぜぇ」

テツヤ「俺の行動順だしな。選ぶは別の手の方か!

【項目439】
厄介な事態になった。
おそらく、こいつの骸骨を再び引き上げる事ができれば、こいつを倒す事ができるのだ。
つまり、あの鉄かごを、水から引き上げなければならないということだ。
そのためには、一人のキャラクターでなら4ラウンド、二人のキャラクターが同時に取りかかるなら2ラウンドを必要とする。
三人以上で引っぱりあげることはできない。
その間、これに取りかかっている者は、戦ったり、逃げたりなど、戦闘シーンで可能ないかなる行動もとれない。
エイドロンの攻撃は、かごを引きずり上げようとしている者に集中する。

テツヤ「この鎖を引っ張ればいいんだな! よし、ミヤも手伝ってくれ!」

ミヤ「あいあいさあ!」

 ここから戦闘続行。

テツヤ:鎖を引っ張る。
ミヤ:鎖を引っ張る。
ディアブロ:する事がないので痛え痛えと呻いておく。

○第2ラウンド
エイドロン:D-6へ移動。

 エイドロンは戦闘前に鎖を引っ張っていた者に隣接して出現する。そして戦闘中に鎖を引っ張る者を最優先で攻撃する。つまり、戦闘前と戦闘中で鎖を引っ張る者が変わると、どうしても移動に行動を1回費やしてしまうのだ。

テツヤ:鎖を引っ張る。
ミヤ:鎖を引っ張る。二人で2ラウンド引っぱったので、これでかごが水上に出てくる。

 敵の性質を利用する事で、この戦闘では敵の攻撃を1回に抑える事ができる。ただしパーティが三人以上の場合だが。

【項目107】
ついにかごを引っぱり上げる事ができた。
かごが水面に現れると、エイドロンは絶望の呻き声をあげ、両手を握りしめた。
そいつは、骸骨に触らないでくれと哀願しているようだった。
しかし、こういう化け物に情けは禁物だ。
骸骨の首から御守りをもぎ取ると、それはちかちかっと光った。
エイドロンは悲鳴をあげ、その身体は空中に飛び散った。

テツヤ「強敵だったがなんとかなったな……」

コガネムシの形をしたエメラルドの御守りが手に入った。

テツヤ「で、これは何なのかって話だが」

ミヤ「叔父ちゃん、あたしに見せれ」

【項目352】
3_3 (僧侶)

御守りの裏には象形文字が刻まれている。

これは死から蘇ったカイクフランの神オシリスの象徴だ。
この御守りをつけていれば、死んでもたちまち生き返る。
その者の生命力がゼロになった途端、通常の最高点にまで生命力が回復する
御守りは一人に一度しか効かないので、こうして蘇った者は、他の者にこれを渡すか手離すしかない。
また、この御守りを既に死んだ者の上に置けば、この者は蘇る。
ただし、この場合は御守りの効力はこれっきり失われる。
またこれを、朽ち果てた屍の上に置いてはならない。
さもないと、死者は恐ろしい死霊の姿になって戻ってくる事になろう!

ミヤ「という鑑定結果が出たよ!」

ディアブロ「俺の手当ても忘れないうちに頼むぜぇ」

ミヤ「はいな! 2点消費の回復術を5連発、サイコロ5個ふって一発判定だ! 1回目、合計プラスマイナスゼロ! 2回目で2点、3回目で8点回復! これで10点回復したから満タンだね!」

テツヤ「マジで僧侶は便利すぎだな、おい……」

ディアブロ「ダイス運がちょっとアレだったが、ま、結果オーライで助かったぜぇ」

 というわけで入手したエメラルドの御守り。これがあるからこのルートを選んだような物だ。なにせランクの低いうちは事故死し易いのである。とりあえずテツヤに装備させておく。

【項目247】
ゴンドラは低いトンネルの前を通った。
はるか前方には、桟橋のランタンの明かりが見える。
船頭はかいを漕ぐ手を止めて、こちらの指示を待っている。

テツヤ「桟橋だな。船をつけるために有るわけだしよ」

【項目368】
ゴンドラは、湖の外れのごつごつした岩の桟橋についた。
桟橋の上には紙製のランタンが並べられ、湖面に映るその明かりが洞穴の天井に、ゆらめく影を作り出していた。
ゴンドラを降りる。
ふり返ると、ゴンドラも気味の悪い船頭も、跡形もなく消えていた。

ミヤ「ありゃま。お礼も言ってないのに消えちゃったよ」

テツヤ「俺らの顔を見るのにうんざりしてたのかもな。さて、前に進むとするか」

ディアブロ「通路が一本伸びてるな。この奥に行くしかなさそうだぜぇ」

 通路の奥は……次回へ続いている。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年10月13日 (火)

ブラッドソードリプレイ1-7 冥界の渡し守

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:3 戦闘力:7+1 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:6 機敏度:8 生命力:18
装備:剣 革の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金17) 弓 矢筒 ロジ・スカイランナーの剣 オパールのメダル 鋼鉄の笏(残り4回) 

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:8 機敏度:7 生命力:15
装備:六尺棒 リングメイル(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒 オパールのメダル 

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:3 戦闘力:6 打撃力:サイコロ1個 精神力:8 機敏度:6 生命力:15
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) オパールのメダル 

クラースのダンジョンレースへ参加しに来た三人。地下迷宮に突入し、早くも敵との遭遇を切り抜け強力な武器を入手。しかし難関はここからだ。

墓守を倒して鋼鉄の笏を入手した三人は道を引き返し、迷宮の入口から直進する通路を通る。すぐに別の戸口が見えてきた。

テツヤ「よし、気を引き締めていくぞ。笏は俺が持っておく」

ミヤ「隊列一番だから、接敵する機会が多いもんね」

ディアブロ「武器の命中率を考えるとミヤが持つのもありだが……回復術は生命力が残っていないと使えないから、いざという時には敵から離れたいしな。難しい所だぜぇ」

【項目246】
戸口を潜り抜けると、中は広い洞穴だった。
壁には煌めく石英の鉱脈が走っている。
岩をくりぬいた階段があり、それを降りた所には、灰色の部厚い石板をのせ、周りに彫刻を施した祭壇がある。
その向こうには、やはり彫刻を施した巨大な石棺が四つ並んでいる。
そしてそのさらに向こうには、地中湖の黒い波に洗われている小石の浜がかすかに見えた。
用心しながら階段を降りる。

ミヤ「なんかいきなり色々出てきたね。どこから手をつけよっか」

テツヤ「この場でなんとか調べる事はできねぇかな」

ディアブロ「俺の魔術とミヤの超能力でやれるぜぇ?」

ミヤ「はいな! じゃあ、あたしからいきまぁす!」

【項目207】
3 (僧侶)

読心術を使って部屋を点検した。
何も感じられなかった。
しかしそれが、魔力の圏内に敵がいないからなのか、単に超能力が働いていないからなのかは、判断しかねた。

ミヤ「それにさ。機械仕掛けとか魔法仕掛けの罠があっても、この超能力じゃわかんないよね

テツヤ「まぁ見える範囲に敵がいない事はわかったぜ」

ディアブロ「ゾンビやゴーレムみたいな意思の無い敵だとわかんないぜぇ?」

テツヤ「そっちはお前が調べるんだよ。さっさとやりな」

ディアブロ「あらま。それじゃあ魔法探知の呪文といくぜぇ」

【項目86】
Photo (魔術師)

呪文を唱えると明るいオーラを発する魔法の言葉が見えてきた。

石棺には魔法のしるしは見えない。
だからといって、魔法を帯びた何かが中に入っていないとは限らない。
灰色の石の祭壇には強い魔法が感じられる。
その魔法が良いものか悪いものかについては、何とも言えない。

ディアブロ「というわけだ。祭壇が怪しいぜぇ」

テツヤ「じゃあ触らないでおくか

ミヤ「回復とか治療の魔力かもしれないよ?」

テツヤ「別に誰もケガしてねぇだろ」

ミヤ「そっか。じゃあ石棺を開けてみよ!」

テツヤ「一応、それは俺がやるわ。機敏度も生命力も一番高いし、なにより盗賊だからな」

ディアブロ「おおっと、いよいよTRPGぽくなってきたぜぇ」

【項目96】
石棺は恐ろしく大きかった。
近づくまではそんなに大きい物とは思わなかったが、長さが優に四メートルはあり、オーガーや霜の巨人の体でも十分入りそうだった。
蓋には王者の盛装で着飾った四人の老人が彫られていた。
あのマグス・カルーゲンの祖先だろうか?
しかし面長の賢者らしい彼らの顔には、彼と似た所は少しも無かった。

ミヤ「むむ。やっぱり中には死体とか入ってるのかなあ」

テツヤ「パターンからいって、良い物・空振り・罠・敵で一つずつだな

ディアブロ「それじゃあアイテムが見つかった時点で打ち止めだな。で、どれから開けるかねえ?」

ミヤ「そりゃあ一番目から……はひっかけを用意してそうだから、最後から逆順に行こう!」

テツヤ「4つ目の棺だな。よし」

【項目137】
石棺の巨大な蓋をようやくずらす。
ミイラがあらわれたが、洞窟内に吹く微かな風で、ミイラを包んだ布と骨は、たちまちのうちに灰になってしまった。
灰の中に、鈍い光を放つ物が見えた。
銅でできた鍵だった。

テツヤ「おやま。いきなりアイテム発見だ

ミヤ「ダンジョンで見つけた鍵なら十中八九、ここのどこかで使うんだよね。持っていこ」

ディアブロ「んじゃ、棺からは離れるとして、次はどこへ行くかだぜぇ」

テツヤ「祭壇はパスして湖だな」

ミヤ「あたし、水着持ってきてないよ?」

テツヤ「ダンジョン内の地底湖なんぞで泳いだら、出る時には魔物の糞だっての

【項目293】
14 湖のほとりのすべすべした小石の浜に立つと、輝く湖面にさざ波が広がり、湖の向こうから濃紺のおおいのかかったゴンドラが一艘、すべるように近づいてきた。
かなり近づいた時、ようやく、ゴンドラの船頭の姿が視界に入った。
どうしてだか、最初は船頭の存在に気付かなかったのだ。
船頭は細い腕で、疲れを知らぬげに櫂を操っている。
ゴンドラは目の前にとまった。
さざ波の岸に打ち付ける音が、大きな生き物の寝息のように、シューシューと不気味に響いた。

ミヤ「墓守さんといい、どうしてこのダンジョンに出てくる人は不気味で怪しい人ばかりなのかなあ

テツヤ「お前な。ここが挑戦者をブチ殺す事が前提で作られた競技場だって忘れてねぇか?」

船頭を見ると、やせて骨張った体に奇妙な布が巻き付けられている。
顔は古代の悲劇に使われたような、悲しげな表情のマスクのかげに隠れている。
彼は黙って待っていた。

テツヤ「あれ、仮面だったのか。素顔かと思ったぜ」

ミヤ「うん、あたしも」

ディアブロ「洋ゲーのイラストだと、ああいう顔も普通に有りに思えるから困るぜぇ。アランシアやカクハバードなら街中を普通に歩いてそうだしな

テツヤ「とりあえず乗せてもらう事になりそうだが……素直に乗せてくれるかどうかが問題だな」

ミヤ「よし、またまたあたしにお任せだ!」

【項目474】
3_2 (僧侶)

この奇妙な船頭は、クラースの農民達が“嘆きのスタッグ”と呼ぶ男で、今では昔話に出てくるにすぎないが、かつては古代神話の世界でケロンと呼ばれて活躍した腹黒い渡し守だ。
彼に古代の言葉で話しかける事にする。

ミヤ「偉大なケロンよ、あなたはただ一人、潮に乗って二つの世界を行き来する。ただ一人、生と死の境目を乗り越える。私は“ケルベロスの五十三のパラドックス”によって命じる。私をこの川向こうへ運べ!」

この古代の教えを持ち出されては“嘆きのスタッグ”は命令に逆らう事はできない。
彼はゴンドラに乗るよう身ぶりで示し、暗い湖にこぎ出した……。

ミヤ「やった! これでタダ乗りOKだよ!

テツヤ「おいおい、まじないで強制かよ!」

ディアブロ「あれま。このゲームの僧侶は時々盗賊より酷いな。ま、こちらとしては乗り賃の金貨40枚を請求されずに済んだから助かるぜぇ」

ミヤ「つまりあたしのおかげでパーティの全所持金に近い額を稼いだとの同じわけだ。流石あたし! 叔父ちゃん、誉めれ」

テツヤ「……あのな。他人にタダ働きさせるってのは、人間としてはあまり誉めれたもんじゃ……」

ミヤ「こら! 盗賊らしくロールプレイするんだ!」

テツヤ「はいはいわかった。頭撫でてやっから出せよクソッ」

ディアブロ「それも全然盗賊らしくないと思うが、ま、黙っておくかね」

 三人の会話を聞きながらも、船頭は黙って船を漕ぐ。行先は……とりあえず次回。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月12日 (月)

ブラッドソードリプレイ1-6 地下迷宮突入

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:3 戦闘力:7+1 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:6 機敏度:8 生命力:18
装備:剣 革の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金17) 弓 矢筒 ロジ・スカイランナーの剣 オパールのメダル 

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:8 機敏度:7 生命力:15
装備:六尺棒 リングメイル(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒 オパールのメダル 

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種。酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:3 戦闘力:6 打撃力:サイコロ1個 精神力:8 機敏度:6 生命力:15
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) オパールのメダル 

クラースのダンジョンレースへ参加しに来た三人。なんとかスポンサーも見つけ、ついにレース開始の時が来た。死の罠の地下迷宮が、今、口を開ける!

――夜明け――

 寒い部屋の中、寄り添ってマントにくるまり眠る三人。寝息が小さく響く中、部屋の外へ足音が近づいてきた。

【項目402】
カルーゲンがこちらを連れにやってきた。
夜明けにはまだ一時間ほどあった。

「人ごみを避けて、少し早く出かけるとしよう」
彼は言った。

ディアブロ「おおっと、雇い主自らのお出迎えとは光栄だぜぇ」

テツヤ「……うん? 朝か。やれやれ、おい起きろミヤ」

ミヤ「……うへへぇ……叔父ちゃんは本当に頭ゆるいなぁ……うひひ……」

テツヤ「テメー! どんな夢ならそんな寝言になるんだよ! 起きな!」

ディアブロ「ところでカルーゲンの旦那、朝飯は出ないのかい?」

 カルーゲンが渋い顔で睨むので、ディアブロは肩を竦めて黙っておいた。寝ぼけまなこのミヤをテツヤが引きずるように連れて、三人は部屋を出る。

兵士に護衛されて階下へ降りると、宮殿の霜の降りた中庭には、カルーゲンの供をする、にやけた廷臣やいかがわしい女達が集合していた。
カルーゲンは籠に乗り、こちらはその後に従って、灰色の道を進んでいった。
既に大変な数の群衆が集まっている。
人々は沿道に並んで、黙りこくって見ていたが、やがて緑色のマントの兵士の一団に大歓声をあげた。

テツヤ「この群衆は何を騒いでるんだろうな。ダンジョンの中が中継放送でもされるのか? そうでもなけりゃ、彼らには無関係な行事だと思うんだが」

ディアブロ「されてんじゃないかねぇ。毎年優勝者がダンジョンから出てくるんだから、毎年改装されるだろうし。それを前提に庶民へ娯楽を提供してんのかもしれないぜぇ。ところで……」

ミヤ「……zzz……」

ディアブロ「寝ながら歩いてるのか、この子」

テツヤ「まぁ手を引っ張りゃ歩くしよ。静かだし、しばらくこのままでいいわ」

町の門の側には、煌めく二本の剣を手にして、カーテンのおろされた籠の中の何者かと話している背の高い男がいた。
「あれが神を恐れぬイコンのワーロックだ」
衛兵の一人が言った。
「あいつはマグス・ウルに代わって戦うため、沈黙の海を越えて、はるばるやってきたんだ」
イコンは、通り過ぎるこちらに冷たい視線を送った。

テツヤ「なかなかの面構えだな。出会えば強敵になると見たぜ」

ミヤ「……zzz……」

ディアブロ「こっちは緊迫感が無いぜぇ」

町を出て、寒々とした田園地帯を進む。
早朝から畑に出ていた農民達は、辛い仕事の手を止めて、こちらを見送った。
さらに進んでいくと、青銅の鎧に身を固めたバーバリアン達が、朝の冷たい空気の中で柔軟体操をしていた。
彼らは大きな戦斧をビュンビュンと音を立てて振り回している。
身震いを感じながらも、カルーゲンの籠に遅れないよう走る。
やっと、ずんぐりした黒い石の建物に辿り着いた。
列柱で飾られた入口の向こうには、凍った大地の中へ降りて行く螺旋階段が見える。

「わしのペナントを持って行くのだから、それに恥じない働きをしろペナントを入手)。いかなる危険にも怯むな。戦いから逃げてはいかん。勇敢に堂々と戦うのだ。行け!」
彼はこちらが死のダンジョンへと降りて行くのを見守っていた。
この地底のどこかに「勝利の紋章」が眠っているのだ。
ぜひともそれを手に入れて地上に帰らなければならない……。

テツヤ「さて、いよいよか。ここからが本番だ。ミヤ、そろそろ起きな。寝てるとお前の六尺棒でケツバット食らわすぞ」

ディアブロ「お譲ちゃん、叔父ちゃんがお前さんのお尻を狙ってるぜ」

ミヤ「おおう!? 叔父ちゃん、いくらなんでもそれはダメだ!」

ディアブロ「おう、おはようさん。さて行くかね」

テツヤ「このヤロー! ケツバットのターゲットはテメーに変更だ!」

ディアブロ「おおっと勘弁」

ミヤ「叔父ちゃん、そんなお尻はほっといて早く行こうよ!」

テツヤ「チィッ! どいつもこいつも!」

【項目136】
松明の明かりの中を降りて行くと、水のしたたり落ちる音が聞こえた。
まもなく、じめじめした階段の吹き抜けの下に辿り着く。
正面には煉瓦を積んだアーチがあり、その向こうにはトンネルが続いている。
トンネルを数歩進んだところで、右へ延びる別のトンネルが見つかった。
そっちへ目をこらすと、薄暗がりの中に、何者かがじっと立っているような気がした。
このまま真っ直ぐ進めば、装飾の施された大きな戸口に突き当たる。

ミヤ「各マグスの選手は違う入口から入るんだね

テツヤ「同じ所から入ったら、そこで即決闘になるからな」

ディアブロ「で、ここはどっちに行くかねぇ」

ミヤ「右に誰かいるじゃない。ライバルなのか、そうじゃないのか見に行こうよ」

テツヤ「よし、右だな」

【項目278】
13 薄暗がりの中の人影に近づいていくと、それはカルーゲンの砦の拷問部隊の兵士だった。

ミヤ「なんだ、カルーゲンさんの兵隊さんだよ。じゃあ敵じゃないね」

ディアブロ「カルーゲンのおっさんだと、そうは言い切れないぜぇ」

こいつは、何カ月も何年も陽の光を浴びることなく、地底世界をうろついている。
兵士は真っ黒の鎖帷子と黄褐色の衣服を身に着けていた。
鎖帷子のあちこちは錆つき、衣服には死臭がしみついているようだ。
ヘルメットはかぶっていない。

ミヤ「……なんか、あまり愛想の良い人でもなさそうだけど」

無精髭を生やした顔、乱暴に刈り込んだ頭髪、狂気じみた目つきは、こいつが地底の狂った墓守の一人である事を物語っている。

テツヤ「つーかあいつ、モンスター代わりに配置された敵なんじゃねぇの」

 実はその通りだ。このNPCと和解する道は用意されていない。この道を前進するなら打倒あるのみなのだ。

ディアブロ「ま、大概のファンタジーRPGなら、人間系のモンスターが職別に細分化される程度には豊富にいるもんだぜぇ

 墓守への対処法を考え、テツヤはちょっとばかり頭をひねる。

【項目262】
Photo (盗賊)

この厄介な衛兵を片づけるには二つのやり方がある。
まずは真っ正面から攻撃をしかけるやり方。
しかしこれは、相手が手だれの戦士の場合、こちらがやられる恐れがある。
やつは見た所、大変な手だれの戦士のようだ。

テツヤ「つーか、正面決戦するなら前の項目でそう選ぶわな」

これに代わるのは、奴を騙すやり方だ。
これは前者より難しいが、上手くいけばダメージを受けないで済む。

テツヤ「こっちにするか。上手くいけばお慰みだぜ」

【項目501】
(盗賊)

ブレイラック・ポートの名だたる盗賊“いたちのスティレッポ”が教えてくれた単純な手品を思い出して、にやりとした。

首に巻いていた絹のスカーフをほどき、それをしごく。
まもなくスカーフは静電気の作用で棒のようになった。
それに松明のちらちらする光を当てると、スカーフはまるで銀の剣のように見えた。

そっと墓守に近づくが、まだこちらに気付いていないようだ。

テツヤ「こいつで敵がビビッてくれりゃいんだがよ。さて、呼びかけてみるか。おーい、墓守さんよ……」

【項目528】
(盗賊)

墓守はこちらへ振り向いた。
そして輝く銀の剣を見て、一瞬たじろいだ。
そいつの足元には錆びた剣が転がっていた。
そいつはこちらがそれに目を止めたのを見て、自分の剣の柄に手を伸ばした。

テツヤ「悪いがそうはさせねぇ!」

瞬間、前転宙返りをして錆びた剣を拾い上げ、間髪をいれず、墓守の喉元めがけて突っ込んでやる。
墓守は血の海の中に倒れた。

ミヤ「おお!? 叔父ちゃん、この項目だけやけに強いね!

テツヤ「俺もビックリだ。まぁ誰だって調子の良い時はあるだろ」

 錆びた剣も手に入るが、攻撃する度に36分の1の確率で折れるので必要ない。これは放り捨て、通路の突き当たりにある扉へ向かう。

【項目151】
通路の突き当たりには重い扉があった。
中央の鉄の輪をつかんで、扉をひきずるように開けて中に入ると、そこは小さな部屋だった。
他に出口は無い。
赤い花崗岩のテーブルの上に、
鋼鉄製の笏がのっている。
それは魔法のエネルギーで微かに光っているようだ。
手にとって見ると、横腹にカウンターがあり、4を示している。

3 ミヤ「おっと、あたしにはこれが何かわかるよ。
 ドラゴンウォリアーズのルールブックに載ってたもん。
 北の錫杖(セプター・オブ・ザ・ノース)って奴でね、隣接マスに打撃力サイコロ5個の必中光線を発射できるんだよ。
 表示されてるのは残り使用回数だよ。
 あと4回使えるね

テツヤ「こいつは1巻の切り札になり得るアイテムだな。持って行くか」

ディアブロ「部屋は行き止まりだから、入口まで引き返すしかないぜぇ。さて、次回は迷宮の奥へ進むとしますかね」

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月11日 (日)

レビュー マージナル・ライダー(1) 第一話 馬フェチ緊急発進

 リプレイも丁度区切りがいいので閑話休題。先日入手したソードワールドのリプレイを一話読み終えたので、その感想等を。

 ゲームブックDSやミストキャッスルに続くシナリオの発売も予定されているので、まだしばらくはソードワールド2.0を(それなりに)追う事になりそうです。

Mr1  さてこの本の第一印象。

「あれま。絵師さん、笛吹りなさんじゃないんだ」

 まぁ可愛い路線の絵なので、同方向とは言えますが。

 ただ固定メンバーの3人に人外獣系なキャラがいないのはちと寂しいところ。まぁソードワールド2.0の獣人PCというとウサギかドラゴンマンになってしまうわけですが。そう思っていたら2話目からサブレギュラーぐらいで出てくるみたいです。

 主要キャラは左の三人。

 少年が主人公のラファル。愛馬ストラーダに乗る、騎乗技能メインの戦士になるようです。

 あくびをしている女の子がメルティー、操霊魔法の使い手にして射手でもあります。

 ハンドポケットの少女がルーンフォーク(人造人間種族)のナハト。アルケミストにしてセージにしてスカウト。ゲームの性能的には戦闘補助と知識判定と盗賊系技能の担当となる筈です。こうして役目を並べると彼女の負担が妙に大きい気もしますが。

 

 一話のあらすじをざっと要約すると、田舎に住む遊牧民の少年少女が馬泥棒から愛馬を取り戻し、その背後に組織的な犯罪の臭いをかぎつけ、部族の長から調査を命じられて旅立つ……というところ。

 ざっと感想を箇条書きにしてみますが……

1:主人公(ラファル)が女の子(メルティー)を押し倒す、なんとも直球なシーンがありますが、絵師さんの絵柄が性的興奮を強く促す方向性ではないので、なんか「起きろ! 起きろってばよ!」「うーんもう5分……」みたいなほのぼのした光景に見えました。 

2:この時点ではパーティで前衛を張れるキャラが主人公(ラファル)しかいないので、戦闘になると敵にひたすら主人公がボコられているように見えます。しかしこのゲーム、騎乗する事により前衛に能力を追加できる(封鎖能力を上げる事ができる、騎獣も敵の的になるので攻撃を分散させる事ができる、等)ので、これはライダー技能を前面に押し出すための措置なのでしょう。実際、敵の攻撃が主人公の馬にも結構向かっています。ただ判定等のリアクションを行うのが主人公(ラファル)なので、彼が延々と対処しているように見えるだけなのです。 

3:ライダー技能が上がると騎獣の能力も上がるのですが、それにも上限が定められています。馬のレベルは6までとルールブックにありますが、7レベル以降どうするのでしょうか。愛馬を見限るのでしょうか、そこまでキャンペーンが続かないのでしょうか。それとも馬のパワーアップイベントでしょうか。

4:ライダー技能を上げる事により習得できる「騎芸」ですが、キャラメイク直後でまだ技をほとんど覚えていないので、1話の段階では印象が薄いと思いますね。もっとも、これは話が進めば様々な技が出てくるのでしょう。実際、一話目から馬にも攻撃させていますね。今後、新たなライダーの技を覚えて、強敵相手に活用していくに違いありません。

Trx (一例)

 ライダーは、バトルホッパーをよび、

2台のマシンとライダーパンチで同時に攻げき!

 さい強のわざ・トリプルファイヤークロスの完成だ。

 シャドームーンは、にげていった!!

(ただしTV本編では未使用) 

 

 

5:ライダーパンチは当初10cmの鉄板をブチ破る威力があったとの事ですが、13話の特訓で3倍の威力になったそうです。さらに48の復活で能力が強化され、さらにRXとして復活した時に倍以上の威力になり、さらに最終話までにレベルアップ(15話辺りで勝てなかったデスガロンを後の映画でRX形態のまま撃破)しているのですが、最終的にパンチ一発でどれぐらいの破壊力になったのでしょうか。なんかこうやって列記すると、ドラゴンボールの人造人間編の「この前まで最強だった奴にボロ負けしたけど、パワーアップしてきたからその10倍ぐらい強くなったぜ!」を皆で繰り返してインフレレースしていたのを思い出します。惑星さえ破壊する宇宙最強のフリーザが強化復活したメカフリーザを一瞬で葬ったトランクスを一蹴してみせた人造人間17号と互角の神コロが手も足も出なかったセル第一形態がパワーアップしたセル第2形態に楽勝だった超ベジータがコテンパンにされたセル完成体が強化蘇生したけど真の力を解放した孫悟飯がかめはめ波で消滅させてめでたしめでたし、という話を作中時間数日ごとに「修業してきた」といって進めていたあの話は、きっと努力の大切さを説いていたのだと今思いつきました。

 

 というわけで今回の総括ですが、評価は今後の展開を見ねばなりません。創作話は冒頭で面白いかどうか決まる、という説もありますが、自分はそれを全く信じていません。まぁ一冊に3話入っているので、焦らずじっくり読んでいくとしましょう。

(C)田中公侍・グループSNE/富士見書房 
(C)石ノ森章太郎/東映

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月10日 (土)

ブラッドソードリプレイ1-5 マグス・カルーゲン

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:3 戦闘力:7+1 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:6 機敏度:8 生命力:18
装備:剣 革の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒 ロジ・スカイランナーの剣

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:8 機敏度:7 生命力:15
装備:六尺棒 リングメイル(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒 

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種だが、酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:3 戦闘力:6 打撃力:サイコロ1個 精神力:8 機敏度:6 生命力:15
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15)  

 クラースのダンジョンレースへ参加しに来た三人。他の立候補者を倒して参加資格を手に入れ、ようやく決まったスポンサーに会いに行く……。

テツヤ「結局、ケルって魔術師は殺しちまったか。逃げるか降参するなら見逃してやったんだが……」

ディアブロ「ま、この手のファンタジー作品(特に洋物)は命が軽いのが常だからな。異世界に現代日本の感覚が通じないのはある意味当然だぜぇ」

【項目52】
オリーブグリーンのペナントを手に取ると、カルーゲンの執事は厳かに告げた。
「あなたはこの町の支配者、カグス・カルーゲンの旗を選ばれた。さあ、宮殿にお連れしよう。五つの苦しみの館と呼ばれる宮殿へ。きっと歓迎されるだろう」
彼がそう言うと、一団の兵士がこちらの周りに現れて整列した。
そして、曲がりくねった薄暗い細道を先に立って進み始めた。
押し合っていた人々は、兵士のオリーブグリーンの制服を見ると、嘘のようにどこかへ消え失せた。

ミヤ「なんかその宮殿の仇名って、町の人が嫌ってつけたんじゃないのかな。辺りの人の反応を見る限りそんな気がするよ」

ディアブロ「カルーゲンの旦那が悪ぶったカッコつけで、自分でそうつけたのかもしれないぜぇ」

テツヤ「俺としては真夜中なのに周囲に町人が押し合うぐらい居た方が驚きだ。それと領主の館への道なのに、やけに狭い路地を通るのもな」

やがてカルーゲン宮殿の表門を潜り抜ける。
どっしりとした黒い館の窓という窓には閂がおろされ、建物の一隅にはしみだらけの高い塔がそびえている。
表門が背後でぴしゃりと閉まった。
そこは、ぼろをまとった人々の群れがひしめき合う中庭だった。
彼らは嘆願書を握りしめ、カルーゲンの拝謁を賜ろうと列を作っていた。

ミヤ「なーんか、領主様のお屋敷なのにイメージと違うなあ。バラザールさんのお屋敷はいかにもお貴族だったのに、ここは貧乏臭くてさ」

テツヤ「真夜中なのに嘆願書もった貧民が順番待ちしてんのかよ。受付時間はどうなってんだ?」

ディアブロ「噂通り、あまり良い領主様じゃなさそうだねぇ」

群衆の間を通り抜けて、暗いホールの中へ案内される。天井は煤けた暗がりの向こうに隠れて見えない。
ホールの外れまで連れていかれると、王座に腰かけた人の姿がぼんやりと見えた。
カルーゲンに違いない。

【項目471】
12 カルーゲンは、金の縁取りのされたオリーブグリーンの見事なサテン・シルクのガウンをまとって、王座に腰かけていた。
両の耳にはエメラルドのイヤリングが光り、どの指にも、露の雫が落ちたように指輪が煌めいている。
唇の厚い口は、小さくて冷酷そうだ。

「くつろいで話すとしよう」
彼は冷たい声で言った。
「わしは明日の戦いに、たいした関心を持ってはおらん。既に多くの土地を手に入れてしまったからな。わしは何も勝つ必要など無いのだ。そこでわしはちょっとした遊びをしようと思う……」
途端に、彼は背筋を伸ばして腰かけなおし、両膝を手でぴしゃりと打った。
「ゲームをしよう! わしはゲームが大好きでな。何をするかな? “山の老人”はどうだ? それとも“フレイの雄鶏”がいいかな? もっとも、こいつはあまり面白いゲームではないが」

テツヤ「……まぁなんだ、屋敷のありさまがよく理解できるお人だな」

ミヤ「あはは、不真面目で博打好きなんだ、この人! なんか冷酷で残忍な人なのかなーと思ってたけど、実は子供っぽいだけなんだね!

ディアブロ「しかも飽きたらやる気無くすが、ゲームはやめないときた。『このゲームつまんねえ!』と言いながらコントローラーは手放さない、だらけたゲーマーみてぇだぜぇ

テツヤ「とりあえずスポンサーなんだ、付き合うか。やりたがってる“山の老人”でいいや。どうせどっちもルール知らねぇからな」

【項目162】
「よろしい」
カルーゲンは頷きながら言った。
「これは面白いゲームだ。まず最初に、互いに賭け金を決めなければいかん。そちらからだ……」

 テツヤは金貨を一枚取り出す。

ミヤ「叔父ちゃん? たった一枚だけ?

ディアブロ「どこぞの博徒漫画じゃ、賭け金はできるだけ用意すべしと言って上限まで借金してたぐらいなんだぜぇ」

テツヤ「勝ちたけりゃな。付き合いでやるだけのゲームだ、負けた時に笑い飛ばせる金額にしとくんだよ

ミヤ「うわー、セコイなあ……」

【項目189】
カルーゲンは召使いに合図をして、金入れを持ってこさせた。
彼はこちらの賭け金を確かめると、金入れに太った指を突っ込んで、一枚多くの金貨を出した。

「親は多少有利な立場になくてはな」
そう言うと、彼は忍び笑いをした。

テツヤ「……2枚じゃねぇか。笑うほどか?」

ディアブロ「まぁ考えようによってはこっちの手持ちの2倍だぜぇ」

「さてゲームを始めるとしよう。どちらかが一つの数を宣言する。最初はそちらだな。2から12までの数の中から、一つの数を選ぶのだ。わしはサイコロを二つふる。出た目の合計が、そちらの言った数より少ない時は、わしに言った数と同じ枚数の金貨を払わねばならん。反対に目が多いときは、わしが同じ枚数の金貨を払う。目がそちらの言った数と同じ時は、二人ともその枚数の金貨を失う事になる。賭け金が先に無くなった方が負けだ。よし、ではそちらから始めるがいい」

ミヤ「叔父ちゃん、イカサマでひぃひぃ言わしちゃえ」

テツヤ「しねぇよ。ここにはサマするって選択肢が無いんでな

ミヤ「じゃあせめて、あたしからアドバイスだよ。僧侶の知識の出番だね」

【項目311】
3 (僧侶)

数学を学んだから、統計学上の確率について多少とも知っている。
こちらが勝ち、カルーゲンが負ける確率が最も高いのは4だ。

ミヤ「だったんだけど。あのルールだと、2を選べば引き分けか勝ちだよねー

テツヤ「それでも俺に先攻やらせてくれるとは、思ったより太っ腹な人だぜ」

ディアブロ「やる気無さが伝わったのかもしれないぜぇ」 

【項目499】
 ゲーム開始である。宣言する数は当然「2」。サイコロを2個ふると、出た目は8。当然のように勝利した。

テツヤ「金貨2枚儲かったぜ

ミヤ「あはは、これは凄い塩ゲームだ」

【項目228】
「これはいささかおかしいぞ。まぐれ勝ちに決まっとる!」
カルーゲンは不機嫌そうにがなりたてた。
「とはいえ、そちらの勝ちには違いない」

ミヤ「やっぱこれじゃあご機嫌ななめだね。接待ゲームでこんなしょっぱい事する叔父ちゃんは流石ならず者だなあ」

テツヤ「はん、金持ちの道楽にそこまで真剣な付き合いできるかよ」

ディアブロ「おやま。恵まれている者への敵意があふれているぜぇ。ま、俺は共感する側だがな」

【項目177】
カルーゲンは、衛兵達に命じて、廷臣達を部屋から追い出した。
すると、王座の後ろからカルーゲンに仕える道化が顔を出して、こちらを手招きした。
進み出ると、道化は王座の側にある大きな手箱を指差し、それを開けろと身ぶりで示した。
手箱の中には、こちらの人数と同数の
オパールのメダルが入っていた。
そしてもう一点、カルーゲンの緑色のろうで封印された
犢皮紙の巻物があった。

テツヤ「これを持っていけって事か。いきなり荷物が増えたな」

ディアブロ「ま、いつでも捨てる事はできるからな。特にその巻物、即行で尻拭いて捨てちまった方がいいぜぇ

ミヤ「へ? なんで?」

 悪質な罠だからだ。カルーゲンは本当に勝つ気が無く、PCを邪魔して喜ぶ悪い性癖がある。実は先刻の博打も、PCが負けると武器を取り上げてしまうのだ!

カルーゲンはひんやりした石の小部屋へ入れと合図した。
「夜明けまで休め」
彼は冷たく言った。
「力を蓄えておくがいい。いずれ必要となろう」

ミヤ「えーっ!? 寒いんですけど! お風呂は? 晩御飯は? お布団は?」

テツヤ「お前、職業設定的には過酷な僻地で修業してきたんじゃねぇのか」

ミヤ「今は修業中じゃないもん! 無駄に我慢する意味ないし!」

ディアブロ「ま、RPGじゃ飯・風呂・便所は『どこかで何時の間にか』が基本だぜぇ。定期的に用便を済まさねぇとパラメーターが悪化するゲームとか、斬新かもしれねぇがバカゲーの烙印は免れないだろうよ」

そしてくるりと背を向けると、高笑いをしながら、肩をゆすって暖かい自分の寝室へ立ち去っていった。

ミヤ「自分はぬくい部屋で寝るんじゃない! くそー、きっとさっきのしょっぱい負け方を内心で恨みに思ってるな。やっぱり叔父ちゃんがイカサマで屋敷ごと巻き上げてやるべきだったんだ」

テツヤ「ゲームの趣旨変わってるじゃねぇか、それは。そんなに飯と風呂が恋しいなら、ほれ、さっさと行くぞ。出歩くなとは言われてないから勝手にさせてもらおうぜ。食堂でごねりゃ、食う物ぐらい出してもらえるだろ」

ディアブロ「確かに鍵をかけたとも見張りがいるとも、この項目には書いてないぜぇ」

ミヤ「そっか! じゃあ冷蔵庫を勝手に開けるのもお風呂に無断で入るのも全然オッケーだね! さっそく突撃だよ!」

 堂々と部屋から出ていく三人。次回、ダンジョンへ潜るまでには戻ってくるだろう……。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月 9日 (金)

ブラッドソードリプレイ1-4 スポンサー争奪戦

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:3 戦闘力:7+1 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:6 機敏度:8 生命力:18
装備:剣 革の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒 ロジ・スカイランナーの剣

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:8 機敏度:7 生命力:15
装備:六尺棒 リングメイル(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒 

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種だが、酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:3 戦闘力:6 打撃力:サイコロ1個 精神力:8 機敏度:6 生命力:15
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15)  

 クラースのダンジョンレースへ参加しに来た三人。雇い主になってもらおうとしたマグス・バラザールは刺客の手によって倒れた。彼から授かった魔剣を手に、三人は新たな雇い主を探す。

テツヤ「チッ、足取りが重たいぜ」

ミヤ「お腹もへったしお風呂も入りたいしそろそろ眠いけど、弱音を吐くにはまだ早いよ! がんばれ叔父ちゃん」

ディアブロ「ようやく小屋が見えてきたぜ。ペナントがまだ残ってるって話だが……?」

【項目119】
がっかりして広場へ戻ると、黒と紫のペナントは既になくなっていた。

テツヤ「ヴァイルのクソ野郎のペナントが無えな」

ミヤ「くそう、ぎったんぎったんにしてやりたいのに!」

ディアブロ「意気込みはいいんだがねえ……」

 実はヴァイルはこの時点でのPC達では勝てるかどうかわからないほどには強い。ブラッドソードシリーズは全編通じて敵の強さが極端な傾向にあり、強い敵はその時点のレベルだとまず勝てないぐらい強かったりする。ただ、超強敵はほぼ全て戦闘を回避できるように計らってあり、理不尽な運頼みを強要する事はほぼ無い。さすが名作シリーズである。

しかしまだ一枚のペナントが残っている。
それはこの街を支配するマグス・カルーゲンのオリーブグリーンの旗だった。
執事は火鉢にしがみついていた。近づいていくと、彼は顔をあげた。
「時刻も遅いし、寒い。この旗を受け取って、私を家に帰らせてくれ」

ミヤ「それしかないね。じゃ、取るよ」

テツヤ「ああ、そうすっか」

そうしようとした時、ベルベットの手袋に白金の指輪をたくさんはめた手が横からのびて、旗を奪い取ろうとした。
「俺がカルーゲンの戦士になる」
男は執事に言った。
そいつは魔術師のようだった。
それから、男は振り返って笑いかけた。
冷たくて悪意のある笑いだ。
「俺の名はドミナス・ケルだ。俺の邪魔をすると容赦しないぞ」

ミヤ「そう言われても、剣だけタダで貰って帰るわけにはいかないよ。バラザールさんに報いるため、あたしたちが優勝するんだ!」

ディアブロ「戦闘だな。じゃ、バトルオーダー(隊列)を予め決めておくか」

テツヤ「俺が1番、ミヤが2番、ディアブロが3番でいくぞ」

ディアブロ「オッケー。じゃあ俺は白い火の呪文を準備しておくぜぇ」

【項目473】
B1 こちらが身構えると、執事は巻き添えを恐れて小屋の中へ逃げ込んだ。

ドミナス・ケル(Q)
戦闘力=6 精神力=7※ 鎧強度=1 生命力=35
打撃力=サイコロ2個 機敏度=6
※ケルの精神力は本来8。既に死の霧の呪文を準備している。

ディアブロ「俺とこいつの機敏度が同点だな。サイコロ勝負で順位を決めておくか」

 ディアブロが6、ケルが2でディアブロの先攻である。

テツヤ「幸先良いぜ! よし、うなれロジ・スカイランナー!」

ミヤ「おお、叔父ちゃんカッコイイよ! あたしもこの六尺棒でこてんぱんにしてやる!」

○第1ラウンド
テツヤ:ケルに攻撃。ダイス目9で失敗。

テツヤ「ありゃ?」

ミヤ:ケルに攻撃。ダイス目11で失敗。

ミヤ「あれー?」

ディアブロ:白い火の呪文を詠唱。ダイス目8で失敗。

ディアブロ「ありゃまぁ」

ケル:死の霧の呪文を詠唱。ダイス目7で失敗。

テツヤ「ええい、まだ俺にはダブルアクションでの2回行動がある!」

テツヤ(ダブルアクション):ケルに攻撃。ダイス目9で失敗。

テツヤ「クソッ、刀身が見えないから間合いが測り辛え!」

ミヤ「叔父ちゃんが剣に振り回されてるじゃない……」

○第2ラウンド
テツヤ:ケルに攻撃。ダイス目8で成功。ダメージ4(実ダメージ3。残り32)。
ミヤ:ケルに攻撃。ダイス目6で成功。ダメージ3(実ダメージ2、残り30)。
ディアブロ:白い火の呪文を詠唱。ダイス目5で成功。ダメージ12(実ダメージ11、残り19)。

ミヤ「おおっ! なんか調子出てきたよ!」

テツヤ「へっ、ようやくこの剣にも慣れてきたぜ。このまま押し切る!」

ディアブロ「水を差すようで悪いが、俺はまた呪文を準備しなおさなきゃな」

ケル:死の霧の呪文を詠唱。ダイス目7で失敗。

○第3ラウンド
テツヤ:ケルに攻撃。ダイス目10で失敗。
ミヤ:ケルに攻撃。ダイス目7で成功。ダメージ4(実ダメージ3、残り16)。
ディアブロ:白い火の呪文を準備。
ケル:死の霧の呪文を詠唱。ダイス目8で失敗。

テツヤ「チッ、敵さんがもたもたしているうちに決めちまいたいんだが……4回ロールして8以下が1回しか出ないとはどういう事だ!?」

ディアブロ「TRPGのキャラクターメイキングの時にこのダイス目なら最強なんだがな」

○第4ラウンド
テツヤ:ケルに攻撃。ダイス目3で成功。ダメージ6(実ダメージ5、残り11)。
ミヤ:ケルに攻撃。ダイス目8で失敗。
ディアブロ:白い火の呪文を詠唱。ダイス目9で失敗。
ケル:死の霧の呪文を詠唱。ダイス目9で失敗。

○第5ラウンド
テツヤ:ケルに攻撃。ダイス目6で成功。ダメージ2(実ダメージ1、残り10)。
ミヤ:ケルに攻撃。ダイス目7で成功。ダメージ4(実ダメージ3、残り7)。

ミヤ「おっしゃ、残り1ケタだよ! やっとこさ勝ちが見えてきたね!」

ディアブロ:白い火の呪文を詠唱。ダイス目8で失敗。
ケル:死の霧の呪文を詠唱。ダイス目3で成功。抵抗判定:テツヤがダイス目3で成功、ミヤがダイス目7で成功、ディアブロがダイス目8で失敗(ダメージ5、残り10)。

テツヤ「ついに来たか……しかしこんな霧なんぞな!」

ミヤ「ふんぬ! はね返したよ!」

ディアブロ「うっくゲホゲホ、詠唱中に散かれるとちと辛いぜぇ」

○第6ラウンド
テツヤ:ケルに攻撃。ダイス目6で成功。ダメージ7(実ダメージ6、残り1)。
ミヤ:ケルに攻撃。ダイス目6で成功。ダメージ5(実ダメージ4、残り0)。ケルを撃破。

ミヤ「こいつでとどめぇ!」

 六尺棒でしこたまブン殴られ、魔術師はうめき声をあげると動かなくなった。

ディアブロ「俺が負傷しちまってるな。治してもらえるとありがたいぜぇ」

テツヤ「ミヤの生命力回復術の出番だな。失敗すると逆に消耗することもあるが……」

ミヤ「お任せ! ここは確実性の高い方法でいくよ。一度に何点も使うんじゃなくて、1点消費の回復判定を何度もやるの。試行回数が多ければ期待値に近づくはずだよ。期待値的には有利な判定だからね」

テツヤ「1点ずつの判定を何度もやるのか? 回数制限が無いからって気の長い話だな」

ミヤ「いやいや、そこはサイコロを1度に何個もふればいいだけだよ。1点消費の判定5回、5個いっぺんに振って一度で済ませまぁす!」

 結果、消耗分を差し引いて純回復値2点。さらに5回(5個)ためして今度は10点回復。

ミヤ「ほらね。2回サイコロをふるだけで12点回復だよ。戦えて治せて、あたしって凄い! さ、誉めれ」

テツヤ「またかよ。はいはい偉い偉い、頭撫でるのはディアブロにやってもらえ」

ディアブロ「うぇへへぇ、撫でるのは頭だけで済むと限らないぜぇ」

ミヤ「うわっ、なんかやらしい手つきだよ」

テツヤ「しばくぞヘボ手品師が! さっさとペナントとってこい」

ディアブロ「おやま。また俺が悪者かよ」

 結局じゃれる二人を背に、ニヤニヤ笑いながら小屋へペナントを取りに行くディアブロ。新スポンサー、マグス・カルーゲンに会うのはまた次回の話。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月 8日 (木)

ブラッドソードリプレイ1-3 舞踏会

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:6 機敏度:8 生命力:18
装備:剣 革の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:8 機敏度:7 生命力:15
装備:六尺棒 リングメイル(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種だが、酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:3 戦闘力:6 打撃力:サイコロ1個 精神力:8 機敏度:6 生命力:15
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15)

 クラースのダンジョンレースへ参加しに来た三人。まずは雇い主を決めるため、受付場所へと訪れた。真紅のペナントを手に取り、マグス・バラザールに雇われようとする。だが彼は試験を出してきた……。  

ミヤ「不景気なんだから就活しなきゃなんないのは仕方ない。どうせやるならはりきって行こう!」

テツヤ「だな。向こうに見えるのがバラザールさんの館じゃねえか?」

 夜道の向こうをテツヤが指差す。

【項目64】
砦の神殿の銅鑼が真夜中を知らせたころ、やっとバラザールの館に着いた。
杉並木と華やかなランタンと刺繍の施された旗の並ぶ長い通路が、正面入り口の白い大理石の玄関まで続いていた。
衛兵が通路を行き来していたが、彼らはほかの訪問者には目もくれず、こちらだけを注目していた。
彼らが今にもこちらを捕まえようとした時、バラザールの案内係が、玄関から飛び出してきた。
案内係は玄関から入るように合図した。
中ではにぎやかなパーティが開かれていた。
客は全て仮面で顔を隠している。
彼らは手品や音楽を楽しんでいた。

案内係は、酒と砂糖菓子の乗ったお盆を差し出した。
「ご主人様はそちら様に今度の仕事をまかせる事になるでしょう」
彼は大勢の客をさしながら言った。
「もっとも、あの方を見分ける能力があればの話ですが……」
当惑して仮面のパーティ客たちに目をやる。
未来の雇い主は、いったいどこにいるのだろう?

テツヤ「ノーヒントで探し出せってか。聡明さを測るとか言ってたが、単なる当てずっぽうじゃねえか

ディアブロ「ところがどっこい、俺が前(1-1)に唱えた予言の呪文を忘れたか? 舞踏会に半仮面の男……こちらにゃもう答えが手に入っているんだぜぇ」

ミヤ「そういやそうだ。でも、あたしが読心術を使う事もできるみたいだよ? やっていい?」

テツヤ「ああ、構わねえよ」

ミヤ「よーし! そんじゃ、お試しだよ」

【項目309】
3  (僧侶)

超能力は、いつでもあてにできるものでも、簡単に使える物でもない。
部屋の隅に引っ込んで、心からあらゆる雑念を追い払う。
笛吹きの霊妙な調べが、それを助けてくれた。
精神が統一されると「心の空間」に到達する。
これで超能力は全面的に作動可能となった。他の人の心が読めるようになったのだ。
己の心の触角を伸ばし、部屋の中の人々の心を探る。
だがバラザールはこの作戦を予想していたに違いない。
彼は、客全員の心に妨害の呪文をかけていた。
よってそこにいる誰の心も読み取る事ができない。

ミヤ「あれま? お客さんの心は読めないなあ。でも仲間の心は見通せるよ。うむむ、叔父ちゃんは腹ぺこなのでおにぎりを山ほど食べたいと思っています。特におかか」

テツヤ「そりゃお前の心の中だろ!

ミヤ「なぜわかった! あたしの心を読んだな? いやーん、叔父ちゃんのすけべ」

テツヤ「んなこたー何も読まんでもわかるんだよ! メシなら後で相撲取りになるまで食わせてやるからさっさと情報を引き出しな!」

ミヤ「とは言っても妨害されててさー……おや?」

だが待て!

濃いブルーのマントをはおり、角のある雄牛の仮面をつけた陰気な雰囲気の男から、心の動きが伝わってくる。

【項目348】
 超能力はようやく客一人の心の動きを察知した。

ミヤ「牛さん? 半仮面の人じゃないなあ。お客ならバリアされてるから、不法侵入者?

テツヤ「ほう、ならシメてみるか? それとも話しかけてからか……」

ディアブロ「ここだけの話、この試験は最初に話しかけた人間をバラザールだと思った――と判断されるんだぜ」

ミヤ「うわ、そんな事言われたら敬遠しちゃうじゃない。先にバラザールさん探そっか」

【項目458】
 さて、どこに注目してバラザールを見分けるか。

テツヤ「半仮面だったな。じゃあ扮装に注目すんぞ」

【項目94】
周囲には様々な扮装の男がいた。
道化の衣装で、きらきら光る仮面をつけて、部屋の中を飛び回っている男がいる。
金髪のかつらの男はメルカナの盗賊のような扮装で、すらりとした若い貴婦人の手をとって、庭から入ってきた。
噴水の傍らで真剣に話し合っている二人の男は、一人が拷問役人のような扮装で、もう一人は香水の似合う洒落者の扮装だった。
長椅子の上には、黒いベルベットの服に身を包んだ娘に話しかけている半仮面の男もいた。

ミヤ「いたよ叔父ちゃん、あそこでナンパしてる人だ

ディアブロ「おやおや、まだまだお若いようだぜぇ」

テツヤ「仕事さえまわしてくれりゃ、私生活までは問わねぇよ」

【項目487】
バラザールは見間違えようがなかった。
近づいていって、おじぎをしながら自信をもって言う。

テツヤ「マグス閣下。試験はもう少し難しい物になさったほうがよろしいですね」
 彼は顔を上げてほほ笑んだ。
「この試験に合格した者はほとんどいないのだがね。それでは、謎あて遊びはこれぐらいにしておこうか……」
彼は手をふって、幻のパーティ客を追い払った。
大広間はからっぽになった。

ディアブロ「ほう、さっきのは全部幻影だったようだぜぇ」

ミヤ「えっ? じゃあバラザールさん、自分で作った幻の女の人をナンパしてたの?

ディアブロ「自作ギャルゲーを自己プレイしてるみてえだな

ミヤ「うわー、今あたしは口に出せない事をいろいろ感じちゃってるよ」

テツヤ「じゃあ黙っとこうぜ、な?」

バラザールは、こちらを正式に戦士として雇おうと考えているようだ。
しかしその時何を思ったか、彼ははっとしてあたりを見まわした。
柱の陰に濃いブルーのマントの人影が潜んでいた!
そいつは鋼鉄の短剣を手にしている。

「刺客だ!」
バラザールが大きな声を張りあげると同時に、そいつは突進してきた。

ミヤ「さっきの牛さんじゃない!

テツヤ「チッ、マジで不法侵入者かよ!」

とっさに、バラザールの前に出て、刺客の行く手を遮る。
男は立ち止まると、短剣を振り上げて投げつけようとした。
バラザールは必死になって、呪文を唱えようとしていた。

ミヤ「よし、ここはあたしが盾になって食い止め……」

ディブアロ「なんか刺客の剣には即死級の毒が塗ってあるみたいだぜぇ

テツヤ「やべえ、バカ、下がれ!」

 テツヤがミヤを引っ張り戻す。自然とバラザールの前から退く形になった……。

【項目149】
バラザールは有能な魔術師だったが、実戦の最中に魔法を操る事には慣れてはいなかった。
一瞬の迷いが致命傷となり、刺客に短剣を投げる機会を与えてしまった。
短剣は空をきり、バラザールの腕に突き刺さった。
バラザールはすぐさまそれを引き抜いたが、短剣の先は毒でぎらぎらと光っていた。
バラザールはたちまちぐらりとよろめいて、床に倒れた。

テツヤ「ゲッ!!」

ミヤ「致死毒……だったよね?」

ディアブロ「とりあえず敵を追うぜぇ」

刺客を追いかけたが、驚いた事に、そいつは長いカーテンをするするとよじ登り、バルコニーの窓の横に立った。
階段を駆け上がって追い詰めると、そいつは、立て続けに三本の手裏剣を投げてこちらを怯ませ、あっというまに夜の闇の中へ消えてしまった。
仕方なくバラザールの傍らへ戻る。

「わしの魔法では、この毒を取り除くことはできそうにない」
彼は弱々しい声で言った。
「あの刺客はわしの宿敵マグス・ヴァイルの送りつけた者に違いない。あいつは人間の屑どもを片っぱしから雇っているのだ」
バラザールは咳き込んだ。
死が近づいていた。

「わしが死ねば、そちらは雇い主を失う事になる。聞けば、カルーゲンがまだ戦士を探しているとの事だ。戻って、奴のペナントを取るしかあるまい。わしができる事と言えば、ある物を与えてやる事だけだ。向こうの戸棚を開けて、中の物を持って行くがいい」
そう言い終えると彼は息絶えた。

ミヤ「うわー……止められた筈なのに……あたしって最低だ……」

テツヤ「そんな事ねぇよ。お偉いさん達の抗争に立ち会っちまっただけだ。お前は悪くねぇ」

ディアブロ「とりあえず棚を見てみようぜぇ」

【項目196】
戸棚の中には、水晶でできたような青い半透明の剣があった。
手に取って見ると、その瞬間に、剣は完全に見えなくなった!
手触りは確かにあるが、目には見えないのだ。
伝説の
ロジ・スカイランナーの剣だ(見えない剣をかわすのは極めて困難だ。だからこれを使うキャラクターは戦闘力が1点増える)。

ミヤ「力になれなかったのに、贈り物だけは貰う事になっちゃうね……」

テツヤ「せめてコイツと共に優勝するか。そうすりゃ少しは供養になるかもしれねぇ」

バラザールの死体をマントで覆ってやってから、館を離れる。

ディアブロ「とにかく受付にもどらにゃあな。夜も冷えてきた。次回まで急ぎ足で向かうとするかね」

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月 6日 (火)

ブラッドソードリプレイ1-2 就職試験

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:6 機敏度:8 生命力:18
装備:剣 革の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:8 機敏度:7 生命力:15
装備:六尺棒 リングメイル(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種だが、酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:3 戦闘力:6 打撃力:サイコロ1個 精神力:8 機敏度:6 生命力:15
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15)

 クラースのダンジョンレースへ参加しに来た三人。まずは雇い主を決めるため、受付場所へと訪れた。マグスのペナントが三つ残っているので、それを一つ選ばねばならないのだが……。  

ミヤ「よし、情報も出そろったしペナントを選ぶよ」

テツヤ「その前に、近くに酔っ払いの商人がいるから話を聞いてみようぜ」

【項目69】
商人はふらつきながらも、三人から目を離すまいとしていた。
大きなげっぷをしてから、彼は言った。

「おめえさんら、マグスに雇われようってんだろ。ああ、俺にゃあわかってんだ。まだ三つ残ってるぜ、ほら、あそこの小屋んとこにあるだろうが……。
マグス・ヴァイルは中でも最低の奴だ。しかもあいつは吸血鬼だときてる。だが死んだ者を悪くいっちゃあいけねえや。カルーゲンはこの街の領主様だ。そりゃあおめえさんらも知ってるな。こいつもロクな野郎じゃねえ。それにあいつは、戦いに勝つ気がねえって噂だぜ。だが三番目のマグス・バラザールは、あの悪党連中の中じゃあ一番マシだな。なんたって、あいつはここんとこ、負けがこんでるからな。勝ちゃあ、お目当ての御褒美はたんまりよ」

商人からもっといろいろ聞き出したいというこちらの望みは、すぐに打ち砕かれてしまった。
話すのに疲れた彼は、最後に思い切り歯を見せて笑いかけたかと思うと、次の瞬間には石畳の上にのびていた。
脇腹を蹴ってみても、目をさまさない。仕方なく小屋に向かう事にする。

ミヤ「なんだ。あたしが知ってた情報とほとんど同じだよ」

テツヤ「はん、だったらミヤの情報はそんなにたいした価値もなかったって事だな」

ミヤ「えー。そうなのかなあ」

ディアブロ「はは、全くだぜぇ。たいして意味も無い情報を得意げにまぁ恥ずかしげもなく御披露してくださったとはカッコ良すぎて赤面ものだな。穴があったら入りたいだろうからスコップを買う金をどこかで工面するといい。俺も少しぐらいなら恵んで……」

テツヤ「そこまで言う事はねえだろうが! だいたいよく聞てみろ、商人の情報はペナントの色までは教えてねえよ! だったら情報としての価値には雲泥の差があるだろうが!」

ディアブロ「おやま、俺が悪者かね」

 ディアブロがニヤニヤ、ミヤが嬉しそうに笑っているが、テツヤは気づいていないようだ……。

【項目452】
小屋の方へぶらりぶらりと近寄っていく事にする。
三つのペナントは夕暮れの風にわびしくはためいていた。
マグスの執事達の冷たい視線に逆らうように、ぐっと睨み返してやる。

テツヤ「ペナントを選ぶ前に、一応、この執事どもとも話す事はできるな。なんとなく気にいらねえ連中だが」

ディアブロ「ここまでに得た情報よりマシな話が聞けるとは思えないぜぇ」

ミヤ「ま、損する事もないでしょ。ねえ、おっちゃん達。どのペナントがお勧めか教えてくんないかな?」

【項目227】
彼らは肩をすくめ、互いにおかしそうな表情をかわし合った。
「残念ながら、我々は助言をするわけにはいかないのです」
一人が両手を広げて言った。
「試合の規則に反しますからね。それになにしろ、我々のような身分の低い召使いが、クラースのマグスをあれこれ品定めする事などできません! こんな簡単な事、おわかりでしょう。でも……」
彼はつくり笑いをして、三本のペナントを指差した。
「運命が導いてくれますよ」

テツヤ「ま、そうだろうな。ウチの旦那よりあっちの方がお勧めです! なんて言ったらチクられてクビになるかもしれねえし」

ディアブロ「実はここで戦士がいたら、脅して情報を吐かせる事もできるんだぜぇ

ミヤ「そうなんだ。あたしの六尺棒でお尻ぶっ叩いてやったら、親切心に目覚めてくんないかな」

テツヤ「僧侶知識でペナントの情報を知る事ができるのに、そんな事する意味がねえだろ。確か一番の真人間はこれだったな」

 テツヤは真紅のペナントへ手を伸ばす。

【項目28】
真紅のペナントをつかんで、高々と差し上げる。
二人の執事は失望をかろうじて隠し、互いの顔を見合わせ、小屋の中へ入っていった。
三人目の執事は興奮して、こちらの前へ駆けつけてきた。
「あなた方は最も尊敬すべき、マグス・バラザールのペナントを選ばれた!」
彼は叫んだ。
その時、真紅のマントをはおった背の高い男が、広場の向こうからこちらの方へ堂々とした態度で歩いてきた。
執事は男に向かって、卑屈なおじぎをした。

テツヤ「あれかい。俺らの雇い主になるのはよ」

ディアブロ「まだ決まったわけじゃねえけどな」

ミヤ「何かあんの?」

【項目397】
「わしはマグス・バラザールだ」
真紅のマントの男は、口髭をなでながら言った。
「そちらが明日の試合でわしのために戦ってくれるなら、嬉しいことだ。しかし、その前に、そちらがそれに相応しいかどうかを試験しなくてはならん。力や度胸はさておき、明日の試合で勝つには狡猾さが必要となる。何人かの有望な候補者がいたのだが、十分な聡明さに欠けていたため、わしは採用しなかった。それでは今夜、わしの館に来るがいい。来れば、それがどんな試験かわるだろう」

テツヤ「この人のペナントが残ってた理由はこれかい。負けが込んでるとあっちゃ、人選を慎重にしたがるのもわかるけどよ」

ミヤ「テストの内容、予習させてくれないの? 試合は明日なのに、選手を確保できなかったらどうすんだろ」

ディアブロ「参加してないから勝負はしません! だから今年は負けませんでした! て言うのかもな。ま、博打から足を洗うなら、今以上に真人間になれるだろうぜぇ」

テツヤ「今すぐそんな事言いだされたら、俺らが困るけどな。ま、行ってみるしかねえだろう」

ミヤ「お金持ちのお屋敷だ! きっといっぱい食べる物があるに違いないよ!」

テツヤ「お前、金持ちのイメージがステーキとワインと銀食器だけで完結するクチだろ。今から俺ら、試験受けるわけだからな?」

ディアブロ「そんじゃ屋敷に向かうかね。ぶらぶら歩いて、次回へな」

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月 5日 (月)

ブラッドソードリプレイ1-1 勝利の紋章を奪え!

【このリプレイには原作本文を度々引用しますが、都合により細部に修正を施しています。ご了承ください】

Photoテツヤ (18歳・盗賊)

著作『夢幻の双刃』から出張。
販促活動の一環として様々な世界を放浪させられる青年。
全てを破壊し全てを繋げ!
今回は洋物ゲームブックで1,2を争う名作に挑む。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:6 機敏度:8 生命力:18
装備:剣 革の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒

3 ミヤ (15歳・僧侶)

著作『夢幻の双刃』から出張。
テツヤの従兄の娘であり、彼を『叔父ちゃん』と呼ぶ。
本来なら20年ほど時間軸がズレているが、今回の企画ではそれは無視。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:8 機敏度:7 生命力:15
装備:六尺棒 リングメイル(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒

Photo_2 ディアブロ (年齢不詳・魔術師)

著作『魔人竜生誕』から出張。
元々は天地自然の精霊の世界で暮らす妖精の一種だが、酒目当てや暇つぶしで度々人界に彷徨い出るホームレス。

ランク:3 戦闘力:6 打撃力:サイコロ1個 精神力:8 機敏度:6 生命力:15
装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15)

ミヤ「いよいよ冒険の旅が始まるよ!……でも最初は何すんの?」

テツヤ「まずは冒険者として、一発大仕事に挑戦するんだよ。目指すはクラース、そこで迷宮突破競技にチャレンジだ。次のあらすじを読みな」

クラースの地にある地下迷宮で、年に一度命を賭けた競技が行われる。
迷宮のどこかにあるという「勝利の紋章」を持ち帰った者が勝者となるのだ。
だが、迷宮の中には血に飢えた怪物たちや、死の罠が待ち構えている。
三人はこの試練に勝ち残る事ができるだろうか?

ミヤ「おおっ! 誰が何の得でやってんのか知らないけど、これは危険な試練だよ。あたし、なんかすっごいワクワクしてきたぞ」

ディアブロ「こいつを催すのはクラース一帯を治める領主達でな。そいつらは魔術師達でもあるんだが、その魔力でデカイ迷宮を維持してんのさ。で、年に一度、代理戦士を雇って潜らせて、一等賞になったチームのスポンサーが他の領主から土地をぶん獲れるのよ。ま、賭けレースの一種ってわけだぜぇ

ミヤ「面白いじゃない! 適当に武闘会でも良さそうな気はするけど、きっとマグスさんは迷宮好き揃いなんだね! 罠とか仕掛けてウヒヒヒとか笑ってそう

ディアブロ「他社から出てるゲームブックにも迷宮探検競争みてえのがあるが、あれより規模は上だ。でも賞金は下なんだぜぇ

テツヤ「やる気削がれるような事を言うな!」

ミヤ「大丈夫だ叔父ちゃん! あたしはいつでもやる気爆発寸前だよ! ほら、早く行こ!」

テツヤ「へいへい。こいつはこいつで緊張感無えな」

【項目1】
もうこれで丸一日、クラースのなだらかな平原から、垂直に数百メートルも立ち上る煙の柱をめざして進んでいることになる。
頭上の空は青く、雲ひとつない。
空気はひんやりしていた。
身を切るような風が、沼地の枯れ草の間を吹き抜け、低地の大部分をしめる水たまりにさざ波を作っていた。
風景の単調さを破るのは、黒く濁った池や湖のそばに時折り立つ柳の木ばかりだった。

テツヤ「言っちゃ悪いが、何か人里離れた荒野みてえだな。これから年に一度のお祭りがある場所へ向かっている筈なんだが……」

ミヤ「でも叔父ちゃん、一緒の方向に歩いている人はいっぱいいるよ」

一枚岩で作られたカルーゲンの黒い砦が、前方にぼんやり見えていた。
日暮れまでに砦の門に辿り着きたいのに、同じ方向を目指してごった返している農民や商人の群れのおかげで、道がはかどらない。
人々を押しのけながら、砦に向かう。
砦は、朝には広々とした荒野の遥か向こうに見える小さな染みに過ぎなかったが、今では地平線を覆わんばかりの威容を見せている。

テツヤ「やっぱあの砦、荒野の真ん中に突っ立ってるように見えるんだが。本当にあんな所にここらの領主達が集まっているのか?」

ディアブロ「それは日本人的な感覚だぜぇ。村と村の間が山林になってる方が自然に思うんだろうが、外国は平地も多いからねえ」

クラースの領主達(マグス)の中から、明日までにスポンサーを探さなくてはならない。
砦のダンジョンで戦いの火蓋が切って落とされる日は、もう明日に迫っているのだ。
迷路のようなダンジョンから「勝利の紋章」を携えて戻った冒険者と、そのスポンサーには、富と名声が待っている。
スポンサーとなるべき人が見つからなかった場合、次の戦いまで、また長い一年を待たねばならない。
その間、沼地の水位は上がり、砦へ通じる土手は水に没して、カルーゲンの砦は難攻不落となる。
そんな頃には、空飛ぶ絨毯を操るマグス以外、砦に行き来出来る者はない。
そして半年がたつとようやく、人々は畑にトウモロコシや米の種を蒔く事ができる。
しかしそのすぐ後には、また厳しい冬の季節が待っているのだ。

ミヤ「つまり使用人や召使いも砦に入れないから、マグスさん達は自分達の炊事洗濯を自分達でやってるわけだよ

テツヤ「それが嘘だって事はイッパツでわかるわ」

騒々しい荷馬車や人の群れをかきわけて、大きな門の灰色の石垣の下までやっと辿り着く事ができた。
鉄格子でできた落とし門が、飢えた神の胃袋のように大きく口を開けている。
いかめしい通りはマグスの旗で飾られている。
一年のうちこの一週間だけ、不気味なこの場所に鮮やかな色彩が燃え立つのだ。

テツヤ「やれやれ、やっとこさ着いたぜ。どれ、挑戦者の受付はどこでやってんのかな……と」

ミヤ「叔父ちゃん、きっとあそこだ!」

11 呼び込み屋がそれぞれのマグスの栄光を大声で叫んでいるのだ。
中央の広場に、マグスの執事達が明日の戦いの参加者の登録を受け付けている小屋がある。
参加する者達は、スポンサーのペナントをダンジョンへ携帯しなければならない。
しかし、見たところ、小屋の外には三つのペナントしか残っていないようだった。
それぞれのペナントの傍らには、執事が立っていた。三人のマグスが闘士を求めているのだ。

こちらがペナントに目をとめているのを見て、執事達は冷たくにたりと笑った。
おそらく彼らは、ここ数年の間に、それぞれの主人のために戦ってくれた数多くの勇敢な冒険者達と契約を交わしたに違いない。
これまでにいったい何人が、ダンジョンの露と消えたのだろう?
彼らを物凄い顔で睨み返してやったが、相手はただ下卑たにやにや笑いをするばかりだ。
彼らは、こちらがペナントの一つを選ぶ事を知っているのだ。
どれを選ぼうかと考えていると、汚い毛皮を身にまとい、明らかに酔った様子の年老いた商人が、こちらに視線を注いでいるのに気づいた。

ディアブロ「さて、ここからがブラッドソードの本領発揮な所だぜぇ」

ミヤ「まだ項目1番目だよ?」

ディアブロ「早くもって事だ。職業が4種あるこのゲーム、各職業のキャラクターのみが選択できる行動があちこちに用意されてんのさ。ここで選べる選択肢は“酔っ払いの商人は無視して小屋へ近づく”“商人と話してみる””盗賊が行動を起こす”“僧侶が何かする”“魔術師が何かする”の5つだ。早くも4職業のうち、3職業専用の行動が用意されているんだぜぇ」

テツヤ「パーティプレイの場合なら、誰に行動させるのかが要ってわけだな」

ディアブロ「その通り。ま、大概は程度の差はあれ有利な展開になる。まぁ大体において、戦士は筋力や体力で、魔術師は魔法で、僧侶は知識や超能力で、盗賊はペテンやイカサマで事態の解決を図る事になるな

ミヤ「よし、さっそく叔父ちゃんに悪ささせよう!」

テツヤ「なんでだよ!」

ミヤ「面白いからだよ?」

テツヤ「だよ?じゃねーよ! テメーの親父はどんな教育してやがんだ!」

ミヤ「猫可愛がり」

テツヤ「悪い見本が息してんのかテメーは!」

ディアブロ「よし、異論は無いようなのでさっそく盗賊の行動を選択だぜぇ」

テツヤ「話聞いてたんかお前はよ!」

ディアブロ「『異論―(意味)相手と異なる意見や考え。』テツヤは代案を出さなかったので『相手と異なる意見』は出て無いぜぇ

【項目58】
Photo (盗賊)

君は商人の、ビールのしみだらけの毛皮の下に、財布の膨らみを見つけた。あれを盗み取ってやろうか?

商人から財布を盗むつもりなら、サイコロを2つふれ。
出た目が君の機敏度以下なら盗みは成功する。
機敏度より大きい目が出た時は失敗だ。
盗むのはやめようと思うなら、戻って別の選択肢を選びなおせ。

ミヤ「よし叔父ちゃん、結果はどうだ?」

テツヤ「盗まねーよ!

ミヤ「チェッ。ちきんヤローめ」

ディアブロ「ここでは行動を取りやめて別の選択肢を選びなおす事もできるが、選択=決定の場合も多いんだぜぇ。試しに俺が行動してみるか」

 魔術師がここで選択できる行動は二つ。予言の呪文を唱えるか、ファルタイン召集の呪文を唱えるかだ。ディアブロは予言の呪文を選び、精神を集中する。

【項目442】
Photo_2 (魔術師)

まず最初に見えたのは、群衆の歓呼に迎えられて、ダンジョンから凱旋してくる、勝利の紋章を高く掲げた己の姿だった。
違う違う。
それでは先走りすぎだ。
そこへ辿り着くまでには、色々な事がある筈なのだ。
さあ、ここ数時間以内に起こる事に神経を集中させるんだ。

自分の目の中に、唇から血を滴らせ、己にのしかかってくる、青ざめた男の姿がちらりと映った。
その姿が明滅しながら消えると、今度は別の場面が見えてきた。

自分は仮面舞踏会に出席して、変装した客の中から、誰かを探しだそうとしていた。
やがて
自分は半仮面の男に近づいた。
男は仮面をとり、
自分の肩を叩いた。

もっと他の未来を見たいと思ったが、呪文をそれ以上持続させる事はできなかった。

ディアブロ「と、まぁこんな物が見えたぜ」

ミヤ「おお、すげー! 舞踏会と半仮面の男は覚えておくべき情報だね!

テツヤ「俺と偉い違いじゃねえか……」

ミヤ「ふてくされるな、叔父ちゃん! あたしは見捨てたりしないからさ!」

テツヤ「ありがとうよ! 泣けるぜ!」

ミヤ「次はあたしの番だね!」

【項目18】
3 (僧侶)

僧侶は分厚い書物を何百冊も研究し、古代の知恵の詰った文書をぼろぼろになるまで読んで何年も過ごしてきた。
だから、クラースのマグスについても、きっとどこかで読んでいる筈だ。

テツヤ「こ、こいつがか?」

ミヤ「うん、あたしがだよ」

ディアブロ「このゲームでは魔術師よりも僧侶のほうが知識人なんだぜぇ

心の中からあらゆる雑念を追い払う。
すると、周りの喧騒が徐々に遠ざかっていった。
内なる目の前には無数の古い文書が現れる。
それをふるいわけていくうちに、求めていた文章が見つかった。

オリーブグリーンのペナントは、この砦の大君主たるマグス・カルーゲンの象徴である。
無慈悲な事で知られるが、彼は今年は既に他のマグスたちから多くの土地を奪い取っているので、今回の戦いに勝っても得る物は少ない。

輝く真紅のペナントのマグス・バラザールの立場は正反対だ。
彼はぜひとも今度の戦いに勝たねばならない。
さもないと、彼は数千エーカーにも及ぶ貴重な松の木の森を含む領土の多くをライバルに渡さざるをえなくなる。

陰気な黒と紫のペナントはいかにもそれに相応しいマグス・ヴァイルの物。
彼は陽の光を嫌い、夜ごと血を求めてうろつく吸血鬼の一人として知られている。

ミヤ「……という事だよ。どのペナントがどんな人の物か、具体的な情報が手に入ったね。ディアブロの情報と組み合わせると、ヴァイルさんのペナントは鬼門かな。我ながらたいしたもんだ。さ、誉めれ」

テツヤ「はいはい、偉い偉い。自慢の姪っ子だよオメーは」

ミヤ「もっと! もっとだ!」

テツヤ「どうしろってんだよ!」

ミヤ「具体的には物理的に。頭撫でるとか」

テツヤ「あークソ、わかったよコノヤロー!」

ヤケクソで撫でまわすテツヤと、きゃっきゃ喜ぶミヤ。はみ子のディアブロは肩を竦めるばかりだ。

ディアブロ「あいつらがじゃれるのに飽きたらペナントを選ぶかね。ま、それは次回の話だな」

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月 3日 (土)

ブラッドソードリプレイ0-1 パーティ結成

Photo 秋月徹也

著作『夢幻の双刃』の主人公その2。

直情・短慮・迷走癖の三重苦にもめげず魔物と戦う好青年。

 

徹也「そろそろキャラクターメイキングに入ろうや。準備できたか?」

??「はいなー。こっちはオッケーだよ」

 

 

 

 

 

3_3 安納美也

著作『夢幻の双刃』の主人公・耕治の娘。

ルート限定のエンディングで登場する。

1項目しか出ないうえ、ベストエンディングでは出て来ないのでほぼ隠しキャラ。存在を忘れても全く問題は無い。

 

美也「そいじゃーさっそく出発しよっか。剣と魔法のヒロイックファンタジーが今、幕開けをだね……」

徹也「……おいぃ?」

美也「叔父ちゃん、どうしたの?」

徹也「滅茶苦茶おかしいだろコレ。このブログは一応“夢幻の双刃”等の著作の販促活動って事になってんだが? なんでお前が時系列無視で出てくるんだよ」

美也「女性キャラ出ないのかって話があったからだよ」

徹也「あー……今まで爬虫類とかヒネた小僧とかがゲストだったからな。まぁ仕方が……いや、それなら“夢幻の双刃”表紙3人で、俺・耕治・美由姉ちゃんになるのが筋じゃねえのか」

美也「ウチ、核家族ってヤツで、一家三人しかいないんだよ。あたしと父ちゃんが家を空けたら、母ちゃん一人になっちゃうじゃない? 寂しいよ、それは」

徹也「あー、なるほどな……いやいや、それでも美由姉ちゃんまで出て来ない理由がわからねえぞ」

美也「父ちゃんが行かないなら出る気無いって叔母ちゃんが言ってた」

徹也「相変わらずだな……安心すべきなのかそうでねえのか」

美也「それに叔父ちゃんもその方がいいと思うよ? 父ちゃんと叔母ちゃんの間に桃色の空気が充満して、叔父ちゃんがはみ子になっちゃうじゃない

徹也「余計なお世話ありがとうよ! とりあえずお前が出てくる理由は無いんじゃねえのか」

美也「いや、実はね。あたし、兄弟か姉妹がずーっと欲しかったの。父ちゃんも母ちゃんもすっごく可愛がってはくれるんだけど、やっぱり親と兄弟姉妹は違うじゃない? だからね、ここで家を長い事空けるわけだよ。そうすれば父ちゃんと母ちゃんは二人っきりで気兼ねないわけだから、あたしが帰る頃には弟か妹が母ちゃんのお腹に仕込まれ……

徹也「家族計画をお前が立ててんじゃねえよ!

美也「でも叔父ちゃんだって、妹とかいたらめっちゃ可愛がりたいクチじゃない? そんな気するよ、あたしは」

徹也「まぁ……否定はせんな」

美也「というわけであたしがパーティ参入で決まりっ!」

徹也「やれやれ。野郎が失せて、一五の女の子が入るとはな。せっかく洋ゲーのリプレイだってのに浮いてる話だぜ

?????「おおっと、それなら俺が世界との橋渡しをしてやるぜぇ」

徹也「誰だ?」

 

 

 

 

 

Photo_2 ディアブロ

著作『魔人竜生誕』に登場。

人界と超自然の世界を渡り歩く妖精の一種。

主人公の味方として現れるが、ルート限定での登場。

『夢幻の双刃』にも顔見世程度に出演。

ディアブロ「俺の濃くて男前なツラなら洋ゲーとの相性もガッチリだぜぇ。絵師さんの技量に感謝あるのみって所か。恰好もそのままファンタジーに持っていけるしな」

徹也「……別にいいけどよ。なんか表情が悪者っぽいぞ、お前」

2 ディアブロ

「ならこんな爽やかヅラはどうよ?

ブルーシートのテントに寝泊まりしてる奴だなんて、我ながら信じられないぜぇ」

 

徹也「ほとんど詐欺なんじゃねえか、これは。魔人竜からのゲストって事で濃い方でいけや」

美也「これでパーティ勢ぞろいだね! それじゃあいよいよキャラクターメイクだ」

 

キャラクターメイキング 

ディアブロ「このゲームのキャラクター作成にサイコロはいらないぜぇ。パーティ人数と各自のクラスを決めれば、能力と装備は固定で与えられるからな。例も兼ねて、先ずは俺から決めようか……パーティが3人だから、各自ランクは3だ。そして俺は魔術師を選ぶぜぇ。すると俺の能力と装備はこうなる」

魔術師(エンチャーンター):異次元からエネルギーを引き出して意のままに操ることのできる、神秘の魔法を修めようとする者。戦士としてはいま一つだが、彼が唱える呪文は圧倒的な力を発揮する。

ランク:3 戦闘力:6 打撃力:サイコロ1個 精神力:8 機敏度:6 生命力:15

装備:剣 銀の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15)

能力:魔術師用の魔法(以下、呪文表)

レベル1

炎のスプレー:全ての敵にサイコロ1個のダメージを与える攻撃魔法。

ナイトハウル:一人の敵に有効な精神魔法。敵は4ラウンドの間、戦闘および射撃の判定でサイコロを1個余分に振らねばならない。

白い火:一人の敵にサイコロ2個+2のダメージを与える攻撃魔法。

レベル2

ソードスラスト:一人の敵にサイコロ3個+3のダメージを与える攻撃魔法。

虎の目:“自分の戦闘力と打撃力を2点ずつ増やす”か“味方全員の戦闘力と打撃力を1点ずつ増やす”かを選べる魔法。4ラウンド有効。

緊急救出:味方全員をFLEEマスにワープさせる魔法。

レベル3

死の霧:全ての敵にサイコロ2個のダメージを与える精神魔法。

バンパイア:一人の敵にサイコロ4個のダメージを与え、自分の生命力をその半分(端数切捨)だけ回復させる精神魔法。

レベル4

雷撃:全ての敵にサイコロ2個+2のダメージを与える攻撃魔法。

死の接触:一人の敵にサイコロ7個のダメージを与える精神魔法。敵が抵抗に成功してもサイコロ2個のダメージを与えるが、この魔法は隣接した敵にしか使う事ができない。

レベル5

ネメシスの電光:一人の敵にサイコロ7個+7のダメージを与える攻撃魔法。

盲目的服従:一人の敵に有効な精神魔法。敵は自律的には行動できなくなり、魔術師の命令通りに動く(戦闘が終わるまで有効)。他の敵を攻撃させる事もできるが、サイコロを1個ふり、6が出たら呪文の効果は消滅する。

非戦闘時の魔法

魔法探知:周囲に魔法がかけられているかどうか調べる事ができる。

予言:近い将来に起こる事を垣間見る事ができる。

ファルタインの召集:異次元にすむ妖精を呼び出して使役できる……が、ずるがしこい小悪党の詐欺師なのでアテにはならない。

 

美也「そんじゃ、あたしも決めるね。よし、ここはファンタジーヒロインらしく、僧侶を選ぼう!

僧侶(セージ):不毛の地カクソスの厳格な修道院で人並みはずれた肉体と精神の修練を積んだ修道僧。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:8 機敏度:7 生命力:15

装備:六尺棒 リングメイル(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒

能力:弓術 六尺棒術 生命力回復術 超能力

弓術:弓を使って矢を射る事ができる。

六尺棒術:サイコロを3個ふって攻撃を命中させると、打撃力がサイコロ1個増え、命中させた敵の機敏度を次のラウンドのみ0にできる。

生命力回復術:非戦闘時に使用可能。己の生命力を任意に消耗する。サイコロを1個ふり、出た目から2を引く。残った数を消耗した生命点に掛け算し、算出された値を、自分を含む味方間に分配する事ができる(つまり1か2なら消耗のみ、3なら増減無し、4~6ならば生命力を回復させる事ができる)。

超能力:指示がある場合のみ、以下の4つの超能力を使用できる。

読心力:他者の思念を捉え、心を読む事ができる。

透視力:やわらかい障害物を透視する能力。

空中浮遊:体を宙に浮かばせる事ができる。

悪魔払い:幽鬼や死霊を退散させる事ができる。

 

美也「おお! この六尺棒があたしの武器か! よーし、魔物をブン殴ってやるぞ」

徹也「どこがヒロインだよ……神官じゃなくて僧兵だろこれは。さて、俺は……戦士と盗賊のどっちかだな。ここは盗賊で行くぜ

盗賊(トリックスター):キャラクターの中には、正直、公正などを売り物にしている者もいるが、盗賊はその正反対だ。このクラスのキャラクターは、基本的に、ならず者といってもいい。人に好かれる長所もあるが、ならず者であることに変わりはない。盗賊は、もっぱら機転によって生き抜く。相手をだましたり、背後から矢を放ったりして成功したときが、いちばん快感なのだ。

ランク:3 戦闘力:7 打撃力:サイコロ1個+1 精神力:6 機敏度:8 生命力:18

装備:剣 革の鎧(鎧強度:2) 金貨袋(所持金15) 弓 矢筒

能力:弓術 身をかわす技術 ダブルアクション

弓術:弓を使って矢を射る事ができる。

身をかわす技術:盗賊を攻撃する敵は、命中判定のサイコロの目に+1せねばならない。

ダブルアクション:1戦闘に1回、1ラウンドに2回行動できる。2回目の行動はラウンドの最後、全ての敵味方が行動を終えた後で可能。

徹也「盗賊だけボロクソな説明文じゃねえか!

ディアブロ「実は戦士も大概なんだぜ」

美也「あはは、まぁこれで全員準備オッケーだね。それじゃあ、次回はいよいよ冒険の旅がスタートだ! はりきって行こう」

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2009年10月 1日 (木)

ブラッドソードリプレイ0-0 レジェンドという世界

F_2安納耕治

著作『夢幻の双刃』の主人公。

虚弱で貧弱だが悪燃費の特殊能力と姉への愛で魔物と戦う好青年。

 

F_3 秋月徹也

著作『夢幻の双刃』の主人公その2。

直情・短慮・迷走癖の三重苦にもめげず魔物と戦う好青年。

 

耕治「徹也。次の旅行先が決まったよ

徹也「おう、じゃあゲームブックリプレイ開始と行くか。で、何をやるんだ?」

耕治「ミストキャッスルが和製新作だったから……というわけじゃないけど、次は洋物古典だよ」

1  

『ブラッドソード』シリーズ。

TRPGを強く意識して作られたゲームブックシリーズで、

伝説の魔剣ブラッドソードを求める冒険が展開する、

全5巻のキャンペーンシリーズである(ただし5巻は日本未訳)。

洋ゲーにありがちな調整不足やバランス破綻のほとんどない完成度の高さは

今でもかなりの高評価を出さざるを得ない。

 

 

 

徹也「俺は一向に構わんが、このブログ見てる人には予備知識ゼロな人も居そうだな」

耕治「じゃあ今回はシステム解説だね。この作品を知らない人にも、プレイ中に何をしているのか理解してもらいたいからね」

 

初めに

 この冒険の舞台となるのは、レジェンドと呼ばれる世界だ。

 冒険を始めるにあたって、まず最初に、何人のキャラクターで挑戦するかを決める。このゲームは1~4人の範囲で冒険に取り組む事ができるのだ。

耕治「このゲームのプレイヤーキャラクターにはランク(レベル)が設定されていて、パーティの人数と初期レベルは反比例するんだ。一人だとランク8で始める事ができるけど、4人パーティだと個々のランクは2からになるんだよね」

徹也「俺らは二人で始めるんだよな。この場合はランク4のコンビになるのか」

耕治「実は……二人で始めるか、ミストキャッスルの時みたいに助っ人を呼んで三人(ランク3)で挑戦するのか、ちょっと悩んでる」

 パーティのベスト人数は2人か3人だが、どちらがより有利なのかは今でも判断しかねるところ。基本的にサイコロの目を誤魔化さずにプレイするので、後々後悔しないようにより有利な条件で始めたいのだが……。

徹也「ま、実際にパーティ結成するのは次回だ。それまでにおいおい考えりゃいいだろ」

 

 人数を決めたら、次は各キャラクターのクラス(職業)を決める。クラスは4種、キャラクター達は全員が異なるクラスを選ばねばならない。

 戦士(ウォリアー)は高い戦闘力を誇る。

 盗賊(トリックスター)は機敏で機転が利き、様々な行動で他人の裏をかく。

 僧侶(セージ)は回復術と数種の超能力が使え、知識も豊富だ。

 魔術師(エンチャーンター)は数々の魔法を操る事ができる。

耕治「各クラスにはそれぞれ独自の能力があるけど、その解説は次回にまわすよ」

徹也「ま、使わないクラスの説明文を延々書かれても誰も喜ばんだろうからな」

 

 キャラクターが持つ能力値は次の通り。

 戦闘力――攻撃の命中率。

 打撃力――近接攻撃の威力。

 精神力――超自然的な攻撃への抵抗力。また、魔術師が魔法を成功させるための判定値でもある。

 機敏度――反射神経や身軽さ。戦闘の行動順を決める数値でもある。

 生命力――HP。ゼロになると死ぬ。

耕治「本文では打撃力を除いた4つと記載してあるけど、ここでは打撃力も含めて5つと勘定しました」

徹也「この5つがランクと共に上がっていくからな」

 

戦闘シーン

 このゲームの大きな特徴の一つが、MAPを使った戦闘である。

B0  1~4が各キャラクターの位置である。この数字はバトルオーダー(隊列)と呼ばれ、普段から予め決めておく。戦闘シーン以外ならいつでも変更可能だ。

 敵はアルファベットで示される――この例ならMが敵表示であり、3匹いる事になる。

 黒く塗りつぶされたマスは壁や柱などの障害物で、ここに侵入する事はできない。灰色のマスは深い穴や炎など、モンスターは入れるがキャラクターは踏み込めない場所を示す。

 FLEEと記してあるマスは脱出口――このマスには何人でも入る事が可能だ。パーティの生存者全員がここに入ると、次のラウンドで戦闘シーンから逃げ出す事ができる。

 戦闘になると、敵味方を問わず機敏度の高い物から行動する。同点がいる場合、各自サイコロを1個ふり、出目の大きい者から順に行動していく事になる。そして敵を含む各キャラクターは、1ラウンドに1回、以下の行動から一つ選んで実行できる。

移動

 縦横に1マスだけ動く事が出来る。別のキャラクターがいるマスにはFLEEマス以外侵入できないが、生命力が0以下になった者は障害物とみなされないので、そのマスに入る事ができる。

 敵は攻撃できる相手がいない場合、一番近くのキャラクター目指して移動する。対象になる者が複数の場合、サイコロを1個ふって最も小さい者が狙われる。

戦闘

 隣接した相手を武器で攻撃できる。サイコロを2個ふり、戦闘力以下の目を出せば攻撃成功。打撃力に基づいてサイコロをふり、敵にダメージを与える事ができる。ただしこの威力から鎧強度(防御力)を引いた値が、実際に与えるダメージである。

 敵が複数のキャラクターに隣接している場合、サイコロを1個ふって最も小さい者が狙われる。

防御

 この行動を選べば、敵から攻撃を受けた時、相手がふるサイコロは2つではなく3つになる。当然、相手の命中率は格段に落ちる事になる。

射撃

 味方では盗賊と僧侶だけが可能な行動。弓と矢を持っている場合、隣接してない敵を攻撃できる(逆に隣接している敵がいる時、『射撃』は不可能)。

 サイコロを2つふり、戦闘力以下の目が出れば命中。サイコロ1個のダメージを敵に与える(鎧強度は有効)。

魔法の使用/魔法の準備

 味方では魔術師だけが可能な行動。このゲームの魔法はMPを消費しないで使えるが、精神力を元にした判定に成功しないと効果を現さない。

 使いたい魔法を『準備』しないと、呪文を唱える事ができない。戦闘中には1回の行動とみなされるが、非戦闘時から準備状態にはしておける。ただし1つ魔法を準備するごとに、精神力が1減ってしまう。

 そしていざ魔法を唱えると、サイコロを2個ふらねばならない。その出目に魔法のレベルを加える。合計がその時の精神力以下ならば魔法は成功、効果を発揮する。

 精神力より高ければ失敗に終わる……が、次のラウンドで同じ呪文を唱えるならば、サイコロの出目から1を引く事ができる。3回目の挑戦なら2を、4回目なら3を……という具合に、同じ呪文に挑戦し続ける事で成功率は上がり続ける。

 

耕治「このゲーム、命中率はあっても回避率という概念が無いんだよね

徹也「己がどんなに強くても、何度も戦闘してると負傷が溜まっていく事になるな。そこをどうするかが要って所か」

 

各キャラクターの持ち物

 キャラクターは10個までしか荷物を持つ事ができない。矢は矢筒にいれて運ぶが、矢筒一つには6本までしか矢が入らない。金貨は袋に入れて運ぶが、1つの金貨袋には100枚までしか入らない。

耕治「一人パーティで一番辛いのがこのルールだったりする。武具やお金まで荷物になるから、実質5~7個しか余裕がないんだ

徹也「しかもクリアしたけりゃほぼ必須なアイテムが、各巻にあったりするらしいな……。複数キャラ前提で作られている事がよくわかるぜ」

 

魔法

 僧侶の超能力は魔法とは少し違い、許可された時に指示された物しか使う事ができない。

 魔術師の魔法は戦闘中に自在に選び、成功判定を行う事ができる。魔法には1~5までのレベルがあり、高い物ほど威力は大きいが成功率は低くなる。

 魔術師の魔法には2つのタイプがある。『攻撃魔法』は設定されたダメージを与える事ができるが、鎧強度は有効。『精神魔法』はかけられた者がサイコロを2個ふり、精神力以下の目を出すと効果を現さない。ただしこの抵抗判定に失敗した場合、鎧強度を無視してダメージを与える事ができる。

耕治「このゲーム、魔法がなかなか成功しないんだよね。ソロプレイに一番向かないのは多分魔術師だよ」

徹也「一応、魔法は射程距離半無限――どの位置にいる敵にでも届くんだよな? 仲間を壁にして詠唱し続けるしかあるめえ」

耕治「所がパーティ人数が多い=各自のランクが低いと生命力も低いので、長い間壁になってはもらえないという……」

徹也「今時のRPGやSLGにいたら、やり込み派や奇特なマニアがファンになるタイプだな。使い難いキャラしか使いたがらない奴って実在するしよ」

 テリーこそドラクエの至宝! スパロボの主役はキース! タムタムのいないサムスピなんてやる気にならないぜえぇぇ! そういう人が本当にいるらしい。都市伝説の類かもしれんが。

 

経験点

 各キャラクターは経験点を貯める事でランクを上げる事ができる。

 現在のランク=経験点÷250(端数切捨)+1

 ランクは最大で20。ゲーム開始時、各キャラクターはランクの最小経験点を持ってスタートすえる(ランク3なら500、4なら750)。

耕治「基本的に、各巻クリアーした時しか経験点は増えないと思っていいよ。たまにイベントでちょこっと貰える事もあるけど」

徹也「そういう所もTRPGぽいよな」

 

 生命力が0以下になったキャラクターは死ぬ。アイテム等で復活させられる場合もあるが、死体を持ち歩く事はできない。その場で蘇生できなければ、死体を置いていくしかない。

徹也「なんかパーティメンバーが減る一方なルールだぜ

耕治「基本はそうだよ。でも大丈夫。パーティの総力が減る一方だから残りのメンバーも時間の問題だし、すぐにみんな仲良くやり直しになるって」

 本当の話、4人パーティでプレイして1戦闘で全滅した事あります。運悪く一人が血祭りにあげられると、残りも面白いように後を追いました。このゲームのバランス凄いよ、流石ドラゴンウォリアーズのお兄さん!

 

耕治「基本ルール説明はここまでです。次回はパーティ結成編だね」

徹也「二人で行くか、三人にするか。クラスはどうすっか……始める前から面白えゲームブックだぜ」

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2009年9月 | トップページ | 2009年11月 »