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2009年6月19日 (金)

レビュー たのだん(1) 6回目・第三話

【ソードワールド2.0リプレイ「たのだん」のレビューと感想です。当然ネタバレしているので注意してください】

F_2安納耕治

著作『夢幻の双刃』の主人公。

虚弱で貧弱だが悪燃費の特殊能力と姉への愛で物と戦う好青年。

 

F_3 秋月徹也

著作『夢幻の双刃』の主人公その2。

直情・短慮・迷走癖の三重苦にもめげず魔物と戦う好青年。

 

耕治「第3話『ゆだんはたいてき』のレビューと紹介を始めます」

徹也「1巻の最終話だよな、これ。この後は2巻に行くのかよ?」

耕治「どうかな? それは今おいとくとして、いつも通りキャラ紹介するよ」

 

Photo_2 シャーリィ  人間・女・16歳

二刀流で戦う盗賊少女。

敵が出る度HP1ケタ。彼女がサイヤ人ならそろそろ戦闘力1000ぐらいになっていただろう。

 

Photo_3 チロル  ドワーフ・女・18歳

両手武器で戦うパワーファイター。

戦いはパワーだよ兄貴! 

 

Photo_4レクサス  ナイトメア・男・18歳

セクハラ神官戦士。

うっ……ぐあっ……くそっ……俺の邪鬼角力(ナイトメアフォース)がまた暴れ出しやがった……。 

 

Photo_5 ポポ

ウサギ獣人。魔法も使える。

キャラシートをよく見たら保存食20個持ってるけど、弁当20箱って相当にかさ張らんか。コンビニでふとそう思った。 

 シナリオ開始前、各自がキャラクターの微調整に入る。この本が書かれた頃はまだシステムが完成されておらず、数値面の調整と並行してプレイされていたようだ。マギテックや魔力撃などが現状ではかなり強めらしいが、それはこの本のキャラクター達が影響させたのかもしれない。

 シャーリィさんが毎回死に掛けてるよ→マギテックをちょっと強化してみっか?→製品版に反映→キャラの組み方次第ですごく強い技に!

耕治「逆に弱い種族や技があったら、それはテストプレイヤーの調子が良かったせいなんだよ」

徹也「なんか一昔前の格闘ゲームの社内調整の話みてえだな」 

6  こうしてシナリオは始まった。

 パーティは前回助けた考古学者・マクレガーから、最近家によく泥棒が入ると相談される。
 その犯人を捕まえるため、一行はマクレガーの自宅に向かった。メイドのルーンフォーク・サリーから状況を聞き、ガラクタなんだかそうじゃないんだかわからない物を盗んでいったのがゴブリンとグレムリンだと知る。
 泥棒が定期的に来ている事を知った一行は、家に泊まりこみで見張る事にした。

 

耕治「これで突然『泥棒は来なくなりました。泊り込みで見張っていたので、生活費を半年ぶん減らしてください』という展開になったら困る所だけど……」

徹也「そんなバカなゲームマスターは皆で便所に連れて行ってしばけ。それが一番わかりやすい解決法だ」

耕治「いや、このシナリオは普通に敵が来たから」

 

 夜中に忍び込んできたのは、ゴブリンとグレムリンが2匹ずつ。シナリオ2つもクリアしてレベルアップしている一行には敵ではなく、ゴブリンは蹴散らされ、グレムリンは降伏した。
 情報を吐かせる一行。グレムリンが言う事には、ボス級の蛮族に無理矢理働かされているとの事。この窃盗も仕事として嫌々やっていると主張する。
 情報を聞き終え、シャーリィ・レクサス・ポポの三人はグレムリンを始末しようとした。チロルだけは「降参を受け入れてそれは酷い……」と反対。
 ただこの世界の蛮族が、見逃されたらまたどこかで悪事を働くだろうというのも事実らしい。実はゲームマスター(ソードワールド2.0のデザイナーだ)も「蛮族の中にはどうしようもない奴がいて、決して相容れない」とこの本の中で断言している。

 

11 蛮族幻人め、今に見ていろ全滅だ!

(バンバンババン)

このヤロウ、死ねえ!

(バンバンババン)

この俺が滅ぼしてやる!!

 

 

 21

鬼神のごとくオーブに攻め込むシン。

しかし、その前に2体のモビルスーツが現れた。

そんな筈は無いのだ。フリーダムは己が落とした、ジャスティスに乗っている者は己が始末した。

しかしジャスティスから入った通信の相手は、間違いなくかつての上司、そしてシンがその手で葬った筈のアスランであった。

あくまで祖国オーブを攻めようとするシンに訴えるアスラン。

「お前だって友達の一人や二人、この祖国にいるだろう! お前はこの国を討ってはいけない!」

その言葉に動揺するも、シンは止まる事はできなかった。オーブには戦乱の元凶となった男が潜んでいるのだ。それを討つのがシンの任務なのである。

「俺だってちゃんと考えてこの道を選んだんだ! もうあんたの指図なんて受けない!」

 結局、交わる事のなかった二人の道は、このオーブでの攻防が終っても、戦火の元凶となった一人・ロードジブリールが討たれても、それでも重なる事はなかった。

 ほとんどの敵が消えたのを見計らい、ザフトの議長デュランダルはデスティニープランの導入実行を宣言した。

 “デスティニープラン それは高度な遺伝子工学を応用した人類救済システムである  その概要は遺伝子解析による人材の再評価と人員の再配置だ  そのプランのしめす新しい世界は全てを遺伝子が支配する世界だ  人は遺伝子の指し示す道を歩めば失敗はしない 先の見えない不安からも解き放たれる  戦争に疲れきった人々はそんな夢のような言葉に吸いよせられていった……”

31_2 最後の戦が始まった。

片やディスティニープランを全世界規模で施行するデュランダル。

もう片方はそれに反対するラクス・クラインである。

ラクス側はフリーダムとジャスティスを前面に押し出し、一転突破に近い戦法で突き進む。

「何をやっている! 数はこちらが圧倒しているんだぞ! 包囲して各個撃破しろ!」

「しかし敵の動きが速く対応しきれません!」

数では勝れど決して優勢とはいえないデュランダル側・ザフト軍。

 

 

41 だがラクス側の2トップを抑えにかかる者があった。

レジェンドを駆るレイ、そしてデスティニーに搭乗するシンである。

戦いの趨勢は、もはや彼らの勝敗が決する状態となった。

レイ/レジェンドはキラ/フリーダムに、そしてシン/デスティニーはジャスティス/アスランに挑む。

刃を交えるシンとアスラン。決して交わる事の無かった二人の道は、正面からの激突に行き着いたのだ。

 

 

51 アスランはシンに問う。議長が何をしようとしているのか、その後に来る世界がどんな物なのか。

シンの答えは……

「わかっているさ そんな事は!」

強制された平和で、人は本当に幸せになれるのか?

「だったらどうすればいいっていうんだ!? あんたらの理想ってヤツで戦争を止められるのか!?」

シンは3年前、戦火によって家族全てを失ったのだ。父も母も妹も亡くし、故郷を焼け出された少年が、その結果として何を望んだのか。

「戦争のない世界以上に幸せな世界なんて……あるはずがないっ!!」

理想とは確かに素晴らしい。だがそれにより犠牲を強いられた者が、皆が従順になる事で平和が保たれる世界を選ぶ事は、人としてさほど不自然ではあるまい。

「だから俺はあっ!!」

61 この時代の最新鋭機・デスティニーの力をフルパワーで使うシン。

そして彼は、その全性能を完全に引き出すだけの技量も培っていた。

キャリアで上回るアスランが、その機動性に翻弄される。

「はっ 速い!?」

残像が残るほどの超高速。

「これがデスティニーの力だ!!」

かつて戦争で全てを失った少年は、次の戦争の中で恐るべき技量を身につけていた。

圧されるアスランは戦線の中を前進できない。

ジャスティスとフリーダムの戦線突破が中核であるラクス側にとって、これは危機以外の何物でもなかった。

 

71  

アスランを圧倒するシン。

しかし何かがおかしい……。アスランとて前大戦の英雄、そしてインフィニットジャスティスはデスティニーにひけを取らぬ超高性能機だ。ここまで一方的な筈は……。

「なぜ本気で闘おうとしない! アスラン!!」

アスランには、シンの気持ちが充分にわかっていたからだ。彼もかつて、母を殺された憎しみで戦いに身を投じた事があったのだから。

「だからわかる! 今のお前の気持ちが!! 自分の無力さを呪い、ただ闇雲に力を求めて……」

「だがなシン! その先には何もないんだ! 心は永遠に救われはしない!! だからもう、お前も過去にとらわれて闘うのはやめろ……明日に……未来に目を向けるんだ!」

過去からずっと出てこなければ前進はできない。歩かず前に進む事など無いのだ。シンが考えを変えなければ、生涯、過去に亡くした家族のためにしか行動できないだろう。

しかしシンの答えは――

「今さら何を!!」

「もう俺は選んだんだ!! この道を!! なら行くしかないじゃないかっ!! あんたが正しいっていうのなら! 俺に勝ってみせろっ!!」

人形ならぬ人間なのだ。選択した以上、責任がある。結局武力のぶつけ合いという愚行になろうと、わかった上で兵器に乗って、承知の上で戦場に来た筈だ。

ここまでで、二人とも相手の言い分を「間違っている」とは一言も口にしていない。

何を優先したか、何を求めたか。それが異なるだけなのだ。

81 遂に追い詰められるアスラン。

今のシンは半端な態度で止められる相手ではなかったのだ。

月面に叩きつけられた∞ジャスティスに、デスティニーがとどめを刺すべく降りてくる。

「これで……やっと終わる……

この戦争も……

俺の戦いも!! 全てがっ!!」

追い詰められているアスラン以上に焦燥して叫ぶシン。悲痛だ。

91 だが、アスランとてここで終わるわけにはいかなかった。

「まだだ!!」

突如、砂煙をあげて飛び立つ影。

一挙一動が生死を分かつ戦場で、これを無視する事は難しい。

見上げた時、それが分離機能を持ったオプションパーツだったとわかったとしても!

確認するまでは目を離せないものなのだ。

ここでシンは隙を見せてしまう

 

 

92_2 続いて放たれるアンカー。

∞ジャスティスは近接戦闘を得意とする機体であり、クロスレンジ用の装備が豊富なのである。

ほんの僅かとはいえ隙を見せてしまったシンには、この攻撃を避ける事はできなかった。

アンカーが剣を奪う。

デスティニーはあらゆる距離で闘う事のできる万能機だが、当然ながら武器を無数に持つ事などできない。

各距離で使う武器は自然と限られてくる。

また武器を失う事で、咄嗟に迷ってしまうものでもある。

 

 

101 近接戦ならぬ格闘戦。

なんと∞ジャスティスには、足にも武装がついているのである!

足の甲から刃が飛び出し、蹴りでデスティニーの腕を斬り飛ばした!

こちらの腕には盾が装備されている。

つまりデスティニーは、武器と防具を失ってしまったのだ!

ほんの一瞬の間に!

 

 

102 半ば混乱しながらも、なおも戦おうとするシン。

しかし……この時、既に勝敗は決していたのだ。

最初に放ったリフターは、それ自体が武器でもある。

囮、武装剥奪、追撃により防具破壊、そして反撃する前に囮が本命となって致命傷を与える。

これだけ的確な攻撃を繰り出されたら、対処しろという方が無理だ。

最後の最後で、アスランは機体特性を完全に活かしきった。

シンは敗れたのだ。

 

 

111 シンがとどめを遠距離砲撃で狙っていれば。あるいは最後の戦場が埃舞う月面でなければ。結果は違ったかもしれない。

しかしここは戦場なのだ。武道の試合会場ではない。結果的に勝てるかどうかが問われる場所なのだ。

「アスラン……あんた、やっぱ強いや……」

敗れながら、シンはどこか安堵を感じているかのような表情だった。

彼とて思う事は多々あった。自分の選択がベストでは無い事も薄々わかっていた。しかしベターではあった筈だ。そしてそれでも、自分を全肯定できなかったのだろう。

もう少し傲慢に開き直れれば楽だったかもしれないが、シンはそうなれない人間だったというだけの事だ。

 

 

121

シンが敗れたほぼ同時に、レイのレジェンドもまた破れていた。

それを境に戦況は一変し、ラクス率いるオーブ軍がザフトの総本山を陥落させる。

戦争は終わった。

シンは機体から出て、一人月面を歩く。

どこかに救助の手が来る筈だ。

「俺はまだ……生きている……」

生きている限り、明日はやって来るさ……

 

才能はあった。努力もした。エースになった事もあった。

それでも、最後には敗れ去った。

羽の生えた大きなロボットが宇宙をびゅんびゅん飛びまわる嘘っぱちな世界の中で、シンは明るく楽しく幸せ一色な結末に辿り着けなかった。

「リアルロボット漫画」なんていうジャンルがあるならば「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」は間違いなくその一つなんだろう

シンがクロスオーバー系のゲームに出演した際、多かれ少なかれ幸せな結末に行き着く事が多いのは、この最後に何かを感じた者が少なからずいるからではないだろうか。

【終】

(C)藤澤さなえ・グループSNE/富士見書房 
(C)高山瑞穂/講談社

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